西洋の交渉術
2019-04-17 07:21
スマートフォンが通信するためには、モデムというものが必要である。それを通じて無線で情報をやりとりする。そのメーカーであるところのQualcomという会社とAppleが長らく喧嘩をしていた。お互いがお互いを訴え、QualcomはAppleから注文をもらっている会社まで訴えと話はどんどん拡大。その影響で去年発売されたiPhoneのモデムをQualcomからではなく(それより劣っていると知りながら)Intelから購入していた。
そして昨日その訴訟の第一日目が始まったところで、いきなりこのニュース。
AppleとQualcommが、全世界で全ての訴訟を取り下げることで合意したと発表(Qualcomm発表)しています。
Appleの契約メーカーとの間を含むすべての進行中の訴訟を終了させ、世界的な特許ライセンス契約とチップセット供給契約を結んだと説明しています。引用元:AppleとQualcomm、全世界で全ての訴訟を取り下げることで合意 | NEWS | Macお宝鑑定団 blog(羅針盤)
これがどれくらい突然のことだったかと言えば、
Just a few days ago, a report detailed the icy relationship between Qualcomm CEO Steve Mollenkopf and Apple CEO Tim Cook.
引用元:Apple and Qualcomm reach settlement in patent case - 9to5Mac
数日前、Wall Street Journalに両者のCEOの険悪な関係が報道されたばかりだったのだ。
ぱっと頭に浮かぶのは独ソ不可侵条約。
この独ソ不可侵条約で最も衝撃を受けたのは日本だった。日本は日独防共協定を結んでドイツと提携し、ソ連とはノモンハンで衝突し交戦中であった。時の平沼騏一郎内閣は、「欧州の天地に複雑怪奇なる新情勢が生じた」という声明を出し、総辞職してしまった。
それまでお互いを不倶戴天の敵と公言していた同士がいきなり手を結ぶ。考えてみればかつては日本でも徳川家康がいきなり北条と和解とかこんなことはよくあったのかもしれない。
だから「西洋流の交渉術」と言ってしまうのは気がひけるが、少なくともこういうことは起こりうる、ということは頭のどこかに置いておいたほうが良い気がする。