正しさの意味
2019-05-22 08:04
私は学校では優等生だった。出題された問題に対して正解を素早く、正確に導き出す能力に優れていたからだ。
社会人生活も34年になる。ようやく最近得た悟りというのは
「正しいことにはなんの意味もない」
いや、もっと正確に言えば
「正しいことだけでは何の意味もない」
ということ。
ギリシャ神話のなかで、トロイアの王女カサンドラが授かった予知能力は呪いだった。彼女が予言したことは、すべて現実になったのだ。その問題は、誰も聞く耳をもたなかったことにある。
カサンドラでなくても、世の中には「会社が失敗することを正確に察知した預言者」が溢れている。飲み屋とか金曜日21時過ぎの満員電車はそんなオヤジで溢れている。
しかしそれだけでは何の意味もない。それどころか(これは某プレゼンで使ったネタだが)「正しいこと」は高確率で危険を招く。私はバカなので、学校時代の習慣をそのまま引きずり正解を口にすれば褒められると思っている。それは大間違いだ。
タイムスリップした現代人が「知っている正解」をふりかざし過去で大活躍する物語は星の数ほど存在している。多分それの大多数は間違っている。一人や二人正解を知った人間がいたところで何もおこらないのだ。
なぜこんなことを書き出したかと言えば、あれかな。今人工知能に関する本を書いていて、人工知能芸人を調べ、同じ頃により説得力のある「シンギュラリティは信仰だ」議論が存在することを知り、金を儲けているのはデタラメをふきまくる人工知能芸人の方だということを再確認したからだろうか。