日本の家電凋落の原因は"人工知能"にあった
2019-05-21 07:46
をを、私も結構ありきたりの煽り文句が書けるぞ。この見出しを読むと普通は
「日本企業は人工知能に投資しないからだめなんだ」
という議論に見えるだろう。そんな寝言を言うのは東大教授に任せよう。日本の家電はディープラーニング云々の前から凋落していた。じゃあなぜ”人工知能”が原因だと言うのか。
私は最近用語を定義した。2012年以降騒ぎになったディープラーニングとか機械学習の類は”人工知能”と書く。もっと広い意味の機械で実現する知能は「人工知能」だ。なぜこんな定義をしているかは、本になりいつかAmazonに並ぶこともあるだろう。
さて、”人工知能”の特徴は過去のデータのパターンをあてはめるのは得意だが、それ以上何もできないことにある。それを念頭においた上で次の文章を読もう。
パンを1枚だけ焼くためのトースターが3万円。新興家電メーカーのバルミューダが2万円を超える製品で切り開いた高級トースター市場に三菱電機が参入した。
網の上に載せたパンをガラス管のヒーターの熱で焼く一般的な方式のトースターであれば価格は5000円程度で収まる。三菱電が4月25日に発売した「ブレッドオーブン」の店頭予想価格は約6倍の約3万円。
(中略)
同社営業部の樋口裕晃部長は3万円という価格設定に社内では「いまでも抵抗されている」と話す。
バルミューダが成功している。それを模倣したにもかかわらず「社内ではいまでも抵抗されている」これが日本企業の実態。つまりこれは「過去のデータに存在するパターンを当てはめる」ことしかできない”人工知能”そのものである。
このブログで何度か書いているが、日本社会の得意なことは「型を作り、それに当てはまる度合いを競い出す」ことである。ソニーが成功する。彼らは無意識のうちにSONY型を作り出しそれにはまらない物を全て否定する。そしてSONYは没落する。
つまり日本企業の思考パターンというのは極めて”人工知能”的なのである。そしてそれゆえ「あんな弱小メーカー」と言い放っていた会社に完膚なきまでに打ちのめされる。なぜ弱小メーカーとののしれるか?日本企業が愛する型にはまっていないからだ。
しかし
三菱電機の「バルミューダの模倣ですら抵抗される」っていうのはどういうメンタリティなんだろうね。状況は想像できるけど、ため息しかでない。