北朝鮮の幸福度
2019-06-12 08:05
遠慮なく意見を述べてほしい、と言われた時には嘘をつかなくてはならない。特に何も付帯条件をつけずに意見を求められた場合も嘘をつかなければならない。とにかく本当のことを言ってはいけない。
私は元学業での優等生だったので、この簡単な原則を学ぶのにひどく長期間を要した。学校では問題に対して正解を答えると無条件に高い評価が得られたのだ。そして社会にでるとそんなことはまずない。
「悪いニュースを伝えた人は、それがけっして当人の責任によらない場合でも、非難され、ネガティブな感情を向けられる傾向にある。その帰結が“沈黙効果”だ。優れた生存本能を持った部下は、悪いニュースを和らげて聞こえをよくしたり、そもそもニュースが上司に伝わらないようにしたりする。このため、厳しいヒエラルキーの中で上層部に届くのは、喜ばしい話ばかりになっていく」
引用元:従業員が声を上げられる組織文化がなぜ重要なのか ボーイング737MAXの墜落事故からの教訓 | HBR.org翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
こうした事例はどの会社でもあることだと思う。これが現実だが、逆の傾向もある。昨今であれば会社は従業員の満足度にも大きな関心を払っている。問題はそれをどうやって測定するかだ。
いつも思うのだ。アンケートをとれば、世界中でもっとも幸せな国は北朝鮮だと。誰もがそれが嘘だと知っているが、じゃあ否定するデータを収集することができるか?と言われたらNOと答えるしかないだろう。
だからもし企業なり団体が本当に「構成員の本音を知りたい」と思ったらそれ相応の努力をする必要がある。それをしていないということは、企業なり団体は構成員の本音を知りたいのではなく、構成員が「私たちは幸せです」と叫ぶ声を聞きたいと思っているということなのではないか。