正しく
2019-07-17 08:04
最近になって気がついたことだが「正しいことを行う」と「物事を正しく行う」というのは全く別の話である。しかし多くの企業では両者を混同し、ひたすら正しい手続きで間違ったことををやっている。
いろいろな人の承認とか推薦を得て、法務の許可を得て、収支計画も完璧に整えられた事業が無残に失敗するのを何度も何度も何度も見てきた。そういう時に大抵の会社が何をやるかというと、
「もっとチェックのステップを増やそう」
となる。そもそも最初が間違っているのだから、いくらチェックしたところで何の役にもたたないのだが。
では「正しいことを行う」とはどういうことか。ここが難しいのだが「そもそもやろうとしていることが正しいか、正しくないか」はロジックでは判定できない。それはアートの領域に属することなのだ。いきなり現れたそれは、人間の心を揺さぶる。不愉快であっても、掴んで離さない。iPhoneを思い出そう。最初に出たそれはどうみても不完全だった。山ほど欠点があった。しかしその結果世界が変わった。
対するに経営論を声高に語る人間は感情論と責任逃れの「緻密な計画」に逃げる。こういう人間を教育で作ることはできる。アーティストを教育で磨くことはできるが、そもそもアーティストは生まれつきのものである。だからそうした才能を発掘し、生かす努力をすることが企業にとってとても重要なのだ。
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話は突然変わる。日本人は日本が敗退した時点から大会に興味をなくす。しかし今回女子サッカーW杯で優勝したアメリカチームのキャプテンは面白い人らしい。
ニューヨークの優勝パレードをチームメイトが撮影した動画が、ネットで拡散した。マンハッタン市内を移動するオープントップ・バスの上で、ラピーノはカメラ目線で「私はこうする資格がある」と叫び、シャンパンをぐいと飲み干した。
ここまで自信をむきだしにする女性は、これまであまりいなかったと、米カリフォルニア大学バークリー校のボニー・モリス教授(歴史学)は言う。女性は従来、「謙虚に謙遜する」べきだと思われてきたからだ。
髪の毛をピンクに染めた33歳のレズビアン。かの国でも賛否両論のようだ。否定的な意見にも部はある。しかし私が強調したいのは以下の点だ。
モリス教授は、見事な結果を出した頭のいいレズビアンが、世界的な舞台でアメリカを代表して勝ったことに、希望を見出すと話す。
「ホモフォビア(同性愛嫌悪)は才能と業績を無駄にすることだと、多くの人が気づき始めた」
彼女は国際大会で見事な結果を出した。仮に彼女がレズビアンというだけの理由で米国代表に含めないとかいう判断をしていたら、米国の優勝はなかったかもしれない。
重要なのは「正しいことを行える能力があるか」それだけ。曹操の言葉を借りれば「唯才」なのだ。多分この国は「正しく行う」ことばかりに気を取られ、それを忘れているような気がする。