イノベーション大好き!

2019-07-16 08:28

今回は、親愛なるソニーを取り上げるが、これはソニーに限った話ではない。日本企業全般が等しくかかっている病だ(もちろん例外はあります)

ほとんどの企業はイノベーションが大好きだ。アイディアソンをやりましょう。社内の新規事業コンペをやりましょう。そして最新の流行が「オープンイノベーション」である。というわけで、こういう取り組みが生まれる。

イノベーションのタネとなるアイデアを生み出す人材をいかに確保するか。「ソニー社内だけでは11万人に限られてしまう」(小田島氏)。ならば、自社にこだわらず外部に門戸を広げた方がいい。そこで18年から新規事業創出プログラムの外部への開放を本格化し、同年10月には第1弾として京セラとの連携を開始した。今年2月には名称を「SSAP」に変更し、オープンイノベーションを積極化している。

引用元:ソニー、新規事業創出に確かな手ごたえ、その術とは:日経ビジネス電子版

さてここで問題です。

「あなたが求めているイノベーションの実例をあげてください」

「それは”素晴らしいアイディア”があったから成功したのでしょうか?」

私はiPhoneそれにAmazon Web Serviceは歴史に残るイノベーションだと思う。iPhoneは町の様子を変えた。AWSは関係ない人には関係ないが、コンピュータを使ったシステム開発の様相を大きく変化させた。

この2つの例をアイディアレベルで言ったら実に平凡である。iPhone以前からスマートフォンは存在していた。それらは皆ネットに接続でき、ブラウザもあった。アプリだって存在した。iPhoneはそれらをとてつもなく上手に実行しただけだ。

AWSだってOracleはネットワークコンピューティングなるものを提唱し、すでにビジネスをしていた。(リンク先はなんと1997年のページだ)AWSはそうしたすでに存在した概念をとてつもなくまともに実行した。

つまり

ベルカンティ教授の言葉を借りれば「不足しているのはアイディアではない」iPhoneはAppleにとって社運をかけたプロジェクトだった。それに人と金と物を投資するという大きな経営層の判断。これがiPhoneを生むのに必要不可欠だった。AWSはそれまで社内だけで利用していた計算機資源を外部に対して提供するという大きな判断が必要だった。これは経営者にしか行えない。

つまり

イノベーションを起こすには、不確実で予想がつかない新しい構想、新しくはないが、それを徹底的に使えるようにするという判断に大きく掛けることができる経営者が必要なのだ。

その事実から目をそらし、「もっとアイディアが必要だ」と同じことを続ける。真の狂気とは奇矯な言動をすることではない。うまくいかないとわかっていることを、何度も何度も何度も繰り返すことだと米国のラジオで聞いたな。あのことわざは日本でも流行るべきだと思う。