シンギュラリティ教信者と「君の名は」

2019-07-24 07:48

シンギュラリティという噴飯ものの説がある。それを丁寧に笑い飛ばす本を書いているところなのだが、どうしても説明がつかない事実もある。

社会的地位もあり、頭もそれほど狂っていないと思しき人の中にシンギュラリティ教の信者が存在するのだ。

現在は人間がロボットに対してやるべき目標を与えているが、ロボットがどんどんスマートになれば、将来は人間が人生のゴールや目標を聞かれる時代がやって来る。その際に適当でいいかげんなことを答えても、賢くなったロボットはそんな話を聞いてくれないだろう。明確な人生のゴールを語れる人間にならないと、シンギュラリティの時代に勝ち残れない。

引用元:シンギュラリティの時代に勝ち残る人間の条件

この言葉は、少しでも人工知能についてまともに考えた人にとっては寝言である。あやふやな「ロボットが人間のゴールを聞く未来」を勝手に想像し、その仮定の上で本を一冊書いてしまう。寝言を一冊の本にまとめるとは正気の沙汰とは思えない。では著者はどういう人かというと

◇小池淳義(こいけ・あつよし)氏 ウエスタンデジタルジャパン社長
早稲田大学大学院理工学研究科修了後に日立製作所に入社。2002年にトレセンティテクノロジーズ社長、05年にルネサステクノロジ技師長を経て、06年にサンディスク日本法人社長に就任した。国内外で講演を行っているほか、東京大学などでの講師経験も豊富だ。52年生まれ。千葉県出身。

引用元:シンギュラリティの時代に勝ち残る人間の条件

私の数百倍も立派な経歴の持ち主であり、気が狂っていてはサンディスクの社長が務まる訳が無い。

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さて、忘れている人もいるようだが、この「ごんざれふ」は映画評サイトでもあるのです。新海誠という人の新作が封切られた。いろいろな意見があるようだが、驚くのが「”君の名は”は良かったが、この新作はだめだ」という意見の多さ。いやあなた、映画だからたった数年の間に地球上の同じ町に2度も隕石が落下するという非科学的な設定には突っ込まないけど、「隕石が落ちてみんな死んじゃう!」という危機の時に、「名前がどうのこうの」とか頭おかしいんじゃないのか?

と私などは思う映画である。あの映画がどうして人々の心を掴んだのかは私にとって謎であり続けている。しかし昨日ふと考えた。シンギュラリティ教の信者と、「君の名は」のファンは結構かさなっているのではないか?

「君の名は」の面白さを説明する理屈として私が理解できた数少ないもののの中に「穴だらけの筋だが、音楽と、きらきらした少年少女と、綺麗な絵で観客をねじふせた」というものがある。世の中には2種類の人間がいる。「人間の努力には限界がない」と真顔で語る人間と、「それなら自然数を最後まで数えてみろ」という人間。私は後者だが、前者の人ならばシンギュラリティに現実味を感じることも、綺麗な絵ときらきらした少年少女に共感を覚えることもできるのでなかろうか。

というのを調査してみると論文がかけるかもしれません。社会学だかなんだかの人、ぜひお願いできませんかねえ。