映画評について
2019-08-06 08:26
私にとって大きな謎である「君の名は」の監督が新作を発表した。
「君の名は」は私にとって驚愕の謎映画だったし、この監督が以前発表した「秒速5センチメートル」という作品をAmazon Primeで途中まで見て懲りたのでおそらく私が金を払ってこの映画を見ることはない。というかこの監督背景画にしか興味がないのだね。しかしこの映画について述べている人たちについて書くことはできる。
この映画では一切試写をしなかったのだそうな。
「君の名は。」は膨大な量の試写をして盛り上がりを作ったのが勝因の一つでした。それと正反対なことを選択したんです。
この映画は観客を怒らせようとして作ったことを監督が公言している。
でもそこで「じゃあ、怒られないようにしよう」というふうには思わなかったです。むしろ「もっと叱られる映画にしたい」と。そのとき自然に浮かんできたのがそちらの感情だったんですよね。『君の名は。』に怒った人をもっと怒らせたい。たぶんそれこそが、そのときの僕の表現欲求の核にありました。
それゆえ試写はネガティブに働くと判断したのではないかと推測している。実際Yahooの映画評は賛否両論というより否定的な論調が多い。
高評価をつけている映画評を見ていると自分がこの映画を褒めることを必死に正当化しようとしているようなものが目立つ。
賛否両論、様々な評価が現れるだろうという今作。夫婦2人で観てきました。
確かに君の名はで感じた疾走感や物語の展開、後に伏線がつながるドキドキハラハラ感はありませんでした。妻もあんまりだったようです。銃の意味は?とか。
でも自分が感じたこの映画の面白さや期待はそこではなくて。
圧倒的な映像の美しさ、雨の音や光の色彩、視覚聴覚をここぞとばかりに刺激され、予告で期待していた通りのグランドエスケープの鳥肌感、まだまだ若くて青臭い主人公とヒロインの無垢さや真っ直ぐな感情に心打たれ、中途半端に歳をとった自分にはたまりませんでした。
こういう「自分に言い聞かせるようなレビュー」を読むと、年寄りはスターウォーズ ファントムメナスが公開された直後の反応を思い出す。何十年もまったスターウォーズがこんなにつまらないはずがない。これは面白いんだ、と自分と他人に言い聞かせるような映画評をたくさん見た。ファントムメナスがゴミだという評価が固まるまでにはかなり時間がかかったように記憶している。
現時点でこの映画が多くの客を引き寄せているのは確かだ。細田守の時も実感したが、一度得られた名声は1度や2度のダメ映画ではなかなか衰退しない。おそらく3年後にはまた新作(おそらくさらにダメな映画)が公開されるだろう。その時どのような映画評が読めるか、そして売り上げはどうなるのかを今から楽しみにしておこう。