デザイン思考のアンチパターン
2020-02-21 07:51
デザイン思考が嫌いだと言っていたら、それが生業になってしまった。世の中はこのようにできている。
いや、この経験は悪いことばかりではない。私が従来考えていたよりも多くの「失敗パターン」が存在することがわかってきたのだ。というわけで目につくたび描いていこうと思う。今日書くのは「一周遅れの新アイディア」
ブレーンストーミングの原則はあれこれ述べてはいるがじゃあそれにのっとればいいアイディアがでるかといえば、そんなことはない。ダメなブレストにあるパターンのうち今日取り上げたいのは「参加者の頭が一周遅れ」というやつである。例えばこんな人がいる。
まとめ。
経験して思ったことは、在宅はやはり最高。
通勤、というのは恐ろしく精神と体力を消費するものである。
もちろん、毎日顔を合わせるからこそコミュニケーションが生まれ、仕事が円滑に進む、という考え方もあるかも知れない。
でも、それを抜け出せなかったら、いつまでたってもグローバルには戦えないと思う。
在宅勤務最高!グローバルに戦うには在宅勤務必須!と叫んでいる。この人が例えば「業務効率を上げるには」というブレストに参加すれば「在宅勤務で一発っすよ!」と主張するだろう。
じゃあその「グローバルで成功している企業」はどうしているか?
「米IBM」や「米ヤフー」が在宅廃止に
しかし今、以前から在宅勤務を推進してきた海外の大手企業が、同制度を廃止する方向に舵を切っている。
THE WALL STREET JOURNALは今月、数十年にわたって在宅勤務を推進してきた米IBMが同制度の廃止を決め、数千人の従業員にオフィスで働くか退職するかの決断を迫っていると報道。
フルタイム雇用者の約25%がなんらかの形で在宅勤務していた米ヤフーも2013年、社員の在宅勤務を禁止し、オフィスへの出勤を義務付ける方針を明らかにした。
在宅勤務を実際に採用した会社には、問題点が見えておりその適用を縮小する動きが既にでている。こうした動きを承知の上で「それでもメリットがある」と主張するのは有意義だが、なーんにも知らず、何も学ばず「最高っす!」と言われてもねえ。
こういう「事実」を知らず、「在宅勤務最高っす!」といくら叫んでも、そのブレストからでてくるアイディアは的外れなものになる。Googleの実験結果によれば「チームの成果を高める要素は心理的安全性」とのことだが、それはGoogleに採用されるような人間にとっては、という注釈を付けるべきではなかろうかと思う。
いや、最近になって気がついたけど、東証一部上場の大企業であっても(いや、大企業だからか)信じられなくらい無知は人は多い。しかもそのことに全く気がついておらず自信満々に「二十年前の新アイディア」を述べる。デザイン思考はこの現実の前に無力だ。