ブロック経済再び

2020-10-05 10:09

コロナである。日本はそれなりに「高値安定」の状況だが欧米の状況はあまり芳しくない。一時は再開された映画館も再び前面封鎖の可能性が囁かれている。

この状況において映画産業はどのように生き残るべきか?ディズニーの映画ムーラン はその一つの試みだった。

ディズニーによる実写映画『ムーラン』が、米国のDisney+にて、収入2億6,000万ドル(約272億円)を超える大ヒットとなっていることがわかった。米Yahoo!が報じている。

当初2020年4月17日に公開予定だった『ムーラン』は、度重なる公開延期を経たのちに劇場公開を断念。2020年9月4日から、Disney+のサービスが展開されている国と地域では「プレミアアクセス」として独占配信されている。価格は日本では2,980円(税抜)、米国などでは29.99ドルだ。

米国の調査会社7PARK DATAによると、9月12日までに、米国のDisney+会員の29%近くが『ムーラン』を視聴。

引用元:『ムーラン』米Disney+で大ヒット、収入270億円超え ─ コロナ禍で劇場公開断念、配信リリースの功罪は | THE RIVER

ムーラン は映画館で公開せず、Disneyだけのオンライン配信サービスDesiney+で配信。しかも追加料金2980円である。普通の映画館なら1900円で見られるのに。

誰がこんなもの観るのか?と私などは思った。しかし結果をみればDisney大勝利である。Disney+の会員はなんと3割が三千円払ってムーラン を見たのだ。しかもこの収入は全てDisneyにはいる。映画館と分ける必要はない。ちなみに映画館での成績はどうだったかと言うと

『Mulan』は海外市場で6440万ドル、Top5市場は中国(40Mドル)、中東(5.8Mドル)、ロシア(4.4Mドル)、タイ(2.8Mドル)、台湾(2.4Mドル)となっています。厳しい数字です

引用元:元編集長の映画便りさんはTwitterを使っています

このようにあまり芳しくない。ここから重要な教訓が得られる。DisneyはDisney+に毎月金をはらうようなDisneyに依存した人間だけに映画を公開した方が儲かる。一般向けに宣伝費をかけ予告編を上映し、チラシをおくよりはるかに効率がよい。

Disneyの内部にいるMBA取得者が「ブロック経済」の復活を唱えても驚かない。

ブロック経済(ブロックけいざい、英語: bloc economy)とは、世界恐慌後にイギリス連邦やフランスなどの植民地又は同じ通貨圏を持つ国が、植民地を「ブロック」として、特恵関税を設定するための関税同盟を結び、第三国に対し高率関税や貿易協定などの関税障壁を張り巡らせて、或いは通商条約の破棄を行って、他のブロックへ需要が漏れ出さないようにすることで、経済保護した状態の経済体制。

引用元:ブロック経済 - Wikipedia

ちなみに私の考えでは日本のプロ野球もこの状態だと思う。今や私の子供たちは野球のルールをしらないし球団も知らない。しかし熱心なファンは存在しており、その人たちは球場にきてお金をたくさん落とす。高校野球というプロの下部組織も含め閉じた経済圏での商売がうまく回っている。

Disneyも今後映画の一般公開を取りやめ、より収益性の高いDisney+での配信に全面的に切り替えたところで私は驚かない。Disneyというのはそうした排他的、独善的なメンタリティを持つ企業だ。少なくとも最近の彼らの作品を見る限りそう思える。過去のアニメーション作品をどんどん「実写化」し、Disney+で配信。それで大儲け。Disneyはコロナという不況をブロック経済で乗り切りました、と将来のビジネス書に書かれるようになる、、、のかな?

この方法の弱点は、プロ野球と同じでいずれブロック経済の中身が縮小していく、というところにある。しかし一定数のマニアを捕まえることさえできれば、持続可能なビジネスモデルになる、、、のか?