日付:1999/10/24
前編メールを読みかえしてみると、最初にYDからメールが届いたのは10月の8日であったようだ。日付はわかるのだが、題名も内容も読めなかった。何故かといえば全文がMIMEでエンコードされており、最初に目にしたのは「keWS2IKzgvGBQZNjkoaCs4LxgUGQmZZ7grOC8」
といった類の文字列だったからだ。
誰だ?一体私にこんなメールを送ってくるやつは。ひょっとしたら新手のウィルスやもしれん、と思ってデコードしてみるとでてきたのはYDからの合コンのお誘いであった。なんでも某音楽教室の女性達の合コン話が持ち上がったのだそうだ。この音楽教室は我々にとって大変縁のある音楽教室と同一であるが、別にそちら方面の関係はないらしい。
うむ。YDはどうやってこういうつてを持ってきたのであろう、と感心しながら私はさっそく返事を書いた。もちろん参加である。彼のメールには「3連休は旅行にでていますので、Private Addressのほうに返事をお願いします」と書いてあった。なるほどと思い私はいそいそと返事を送信した。
さてわざわざprivate addressに送れ、と言ってくるくらいだから急ぎなのかもしれない、と思い返事をまっていたがなかなかこない。それが到着したのは10日の夜であった。なんでも旅行先に携帯端末を持っていったのはいいが公衆電話に接続するためのケーブルを忘れたんだそうだが。日程は10月23日(土曜)を第一候補とするということであった。私は「ではよろしく」ということでしばらく彼からの連絡を待ったのである。
「詳細が決まりました」という題名でメールがとどいたのは18日である。4対4で、男性側はおなじみbunに、名前だけは何度も聞いていたが顔は初めて見るSG-2がいるようだ。
さて、当時の私はといえば、20日から22日までの3日間、あちこちまわってソフトの売り込みをやっていた。とはいっても例によって例のごとく私自身は何もしないのであるが。とはいってもさすがに3日あちこちかけずり回ると気疲れする。そのセールスは英国人と一緒であった。途中我々のBossは
「今日終わったらインフォーマルにちょっと飲もうと言っている」
と主語を曖昧にして我々に言った。正直そんな飲み会などしたくなかった。第一疲れているし、このメンバーで飲みにいったところで、気疲れするばかりで楽しくない。とっとと帰って一人になりたいと思っていたのである。しかし、遠来の客が飲みたいと言っている(先ほどの曖昧な表現は、そう解釈するのが当然だと思ったのだが)のであれば、しょうがないな。。。それが彼が喜ぶことであればやろうではないか、と腹をくくっていたのである。
ところがその後その英国人としゃべってみれば「会議が終わったら子供にみやげを買いたい」などと言っている。なんとその飲み会の話は我々のBossが勝手に言いだした話であった。要するにこれはBad Side of Japanese Hospitality(日本の歓待心の悪い面)であったわけだ。相手にどんな都合があろうと、とにかく飲み会を催すことは相手を歓待していることになる、という押しつけがましい親切心である。
さて、英国人とBossの会談の結果めでたく飲み会は消滅し私は一人ご機嫌に中華料理を食べてその週が終わったことを祝福した。ご機嫌な私であるが、こうした場合「仕事の後に楽しく飲みたい」という願望が無いわけではない。いや、大いに存在したのだ。ただ今の会社の人とはあまり飲みたくないだけである。そして「今の会社の人以外との飲み会」は翌日に厳然と存在したのである。
翌日の朝私は名古屋に帰った。待ち合わせは夕方だからそれまでの間は暇である。両親とあれこれ話しながら午後はひたすらねていた。とにかく3日間かけずりまわったことによる疲労の蓄積は大きく、おまけにちょっと風邪の雰囲気もあったからである。
時間になり私は待ち合わせ場所である日産ギャラリーに向かった。いつものごとく時間より7分くらい前に着いたのだが、ふとみるとすでにbunとYDがなにやら話し込んでいる。bunの姿を見るのはひさしぶりだ。彼はここ数ヶ月飲み会の席から姿を消していた。とにかくやたらと忙しかったのである。彼が時々書いてくれるメールに書いてある彼の状況は読んでいるだけで背筋が寒くなるようなものであった。そう思って久しぶりのbunをみるとなんとなく精気にかける。いつものbunなのだが肌の艶がなく、そしてどことなく全身から「疲労、倦怠」という文字が浮き出ているようだ。私は「青年、元気か?」と言った。彼はGive me fiveをやってくれた。
さてそれからはしばらく男3人でおしゃべりである。まだ5分前というのにもう3人集まっている。YDに今日の相手は誰なんだ?と聞くと別の合コンで知り合った相手であり、その女性側の友達からの要望で今日の合コンがあるんだそうな。
そんなことをぐでぐで話していると、私が話している側からみて、YDの後ろのほうから目のぱっちりした髪の長い女性がこちらをちょろちょろと見ている。私はひょっとしたらこれは相手の幹事やもしれん、と思ったが、私の位置から見てYDの背中のほうに見えるということは、YDから全く見えないということだ。しばらくそんな談笑を続ける間に男性の残り一人SG−2が登場した。彼はYDと同じバンドに所属していて、私のバンドのドラマーとキーボードプレーヤーと同じ職場に居る。従ってこれまで何度か名前は聞いたことがあったのだが実物を目にするのは初めてだ。私は「おうわさはかねがね」と言った。彼はちょっと控えめに挨拶をした。みればなかなかしゃれた格好(私から見ての話だが)をした細身のまじめそうなお兄ちゃんである。
さて、さらに話すこと数分、相手の幹事とおぼしき女性がYDに話しかけてきた。やはりさっき後ろにちょろちょろ見えていた女性である。なんでもまだ一人来ていないことのこと。とはいっても、とにかく男性も女性もちゃんと待ち合わせ場所に存在していて、かつあらかた人数がそろっているのだからあまり気にすることもない。談笑しながら待つこと数分。女性がそろったという。我々は例によって例のごとくぞろぞろと宴会場所に向かいだしたのである。
それまでの会話とメールでもって、本日の女性側出席者のうち3人までが音楽教室の先生である、ということを聞いていた。その知識とちらっと彼女たちをみた観察結果から私は彼女たちはちょっと(私の目から見てであるが)お嬢様っぽいという結論を勝手に引き出していたのである。一団の先頭をきって歩いているのはYD。それと並んで話しているのは私である。なんだかんだと話をしているうちに、ふと後ろを振り返れば女性の姿が見えなくなっているのに気がついた。私は「うむ。さすがにお嬢様型は歩くのが遅い」と勝手に自分で作り上げた結論をもって自分を感心させた。
それからしばらく歩くと今日の宴会場所についた。ちょっとしゃれた居酒屋という風情である。最初YDから今日の場所のパンフレットを見せられた時は、「ちょっとこの場所は我々には高級すぎるのではないか」と思ったが、実際にきてみれば高級すぎず低級すぎずなかなか雰囲気がいいところだ。案内された座席は4名ずつふたつの机に別れたところでなおかつ机は移動できない。ちょっととまどいがあったが、男性が勝手に座った後に女性が適宜はいってきた。そう大きな混乱もなく決まったのが以下の座席である。
例によって楕円形が男の子、角の丸い四角が女性である。男性のほうの名前の由来は省略。女性に関しては今後適宜書いていく。
さて、例によって例のごとく最初はちょっと雰囲気が堅めだが、私は当日妙にご機嫌であった。とにかく今の職場に来てからというもの、こうした肩のこらない宴会というのはめったに存在していないのである。事前にYDから来ていた情報によれば今日の女性方はなかなかのりがよろしいそうだし、男の子達もかってしったる仲間だ。昨日までのわけのわからないセールスツアーも終わり、少しぐらい私がHighな気持ちになっていたとしても無理はなかろう。
最初の飲みの注文で、YDが「ビール以外の人?」と聞くと私の前に座っている腰痛仲間が「あたしウーロン茶」と言った。彼女は全く飲めない人だそうである。こうしたことは体質がなせる技だから如何ともしがたい。
飲み物が届くと乾杯である。あれやれこれやと会話が始まった。私はビールを半分ほど飲み干すといきなり「あおーん」と遠吠えである。この遠吠えというのは基本的に私がご機嫌な時にでるものであり、前述したとおり私はこの日妙にご機嫌であった。従って最初の数分の間は、ビールを口に運んでは吠え、吠えてはビールを飲む、といった様子であった。ふと気がつくととなりでNo4が顔を下に向けて笑っている。私だって隣に座った人間が10回ばかりも吠えていれば「なんやこいつは」と思うだろうし、それも確かに理解できるのだが、当時の私は「それがどうした浅田飴」という具合に吠えたい気分だったのである。
さて、今回の女性方の関係であるが、日本シリーズとNo4,それに腰痛仲間は某音楽教室の講師仲間だという。彼女たちは特約店に派遣されて、子供達にピアノを教えているそうだ。なんでも紀香2号の姪が腰痛仲間の生徒さんなのだそうな。聞くところによれば、紀香2号の家庭では「腰痛仲間先生ごっこ」というのをやっているんだそうである。姪に「腰痛仲間先生?」と言うと先生のまねをしてくれるんだそうだが。紀香2号はNo4の高校からの友達ということだ。
さて、適当にわーわー騒いでいる間に自己紹介タイムとなった。自己紹介の順番にいて一時「年齢順」という言葉も出て出席者に戦慄がはしった一幕もあったが、結局50音順になった。男性のトップバッターはいずれにしても私である。私から始まり自己紹介は粛々と進んでいった。男性が一通りの事をのべ、そしてその後女性からの質問をうけつけるというのが最近のパターンであるが、この日はあまり女性のほうから質問がでなかった。私にいたっては「なぜ私が遠吠えをするのか、とか何故サスペンダーをしているのかとか、何故こんな位置に時計をつけているのかとかは全部ホームページに書いてありますから、そちらをよろしく」とわけのわからない事を言って説明をほとんど省略していたから手抜きも良いところである。
さて、男性が終わると今度は女性の自己紹介である。この日私は大変ご機嫌だったのはいいのだが、記憶がかなりあやふやになっている。従って覚えていることだけ書いていこう。
最初は私の前に座っている腰痛仲間である。彼女が何故こんな名前になっているかと言えば、この後、YDが「大坪さんの”腰痛の歌”を読んで笑いました」と言ったときに彼女も腰痛をやったことがある仲間だということが判明したからである。なんでも掃除をしていてなったのだそうだが、あのつらさはやったものでないとわからない。しかしながら彼女は私の腰痛物語を聞きながら「腹が痛い」とかいって笑い転げていたのはいかなることか。
次はたぶん私の左に座っている「No4」である。彼女が何故No4かといえば、今は解散してしまった「おにゃん子クラブ」の会員番号4番こと新田恵利に似ているからだ。どれくらい似ているかといえば、おにゃん子クラブが全盛の時には、彼女のあだ名は間違いなく「恵利」だったと思える程だ。
さて、彼女は音楽の先生をやっているだけあって大変ノリがよろしい。この後私がよっぱらったあげくに「Queenというバンドを知っていますか?」と聞くと彼女は「知ってますよ」と答えてくれた。それで私は一気にご機嫌である。だいたいQueenというのはその変態性にもかかわらず大変私が愛して、かつ尊敬しているバンドだが、誰もが、特に最近の人が知っているとは限らない。私はいきなりそこでBohemian Rapsodyの一節を歌い出した。たぶん彼女はとなりで「なんなの、このおっさんは」と思っていたのかもしれないが、それでも一応私に石をなげることはなかった。
その後何かの曲(EaglesのHotel Californiaかもしれないが)を歌い出したときに
「ちゃちゃちゃーちゃちゃちゃちゃー。ちゃちゃちゃちゃーちゃー。(とんとん)」
というリズムの「とんとん」の所を合わせて机を一緒に叩いてくれるほどの柔軟性を見せてくれた。さすが音楽をやっている方だけあって、合いの手を入れるタイミングのはかり方などはなかなか敬服すべきものがある。なんでも彼女と腰痛仲間がカラオケに行くと、腰痛仲間の歌に合わせて彼女はMyタンバリン(だかなんだか)を持ち出して伴奏に徹するのだそうな。
さて、彼女に「趣味は?」と聞くとYDをはさんで座っている「紀香2号」と一緒に温泉に行くのが好きなんだそうである。どこの温泉がいい?とか聞くと確か日本海側の温泉の名前を挙げた。なんでも露天風呂がすばらしいのだそうである。景色がよくて、広々として、所謂ホテルの端に申し訳程度に露出している物とは違うのだそうな。彼女たちは真面目にこういう話をしていたのだろうが、私は露天風呂、と聞いた瞬間「混浴」を想像してニタッといやらしい笑いを浮かべた。それをNo4にすかさずチェックされ「おやじはいってる」と指摘を受けてしまった。ちなみに彼女たちは混浴には入ったことがないとのこと。
次は紀香2号である。何故彼女が紀香2号かと言えば、彼女も藤原なにがしにあこがれているからなのだそうである。ここでYDは「三井ゆりと悠木奈江が女性に嫌われるタレントの代表格だ」と力説していた。しかし私はその二人が何者であるか全く知らなかった。逆に何故藤原なにがしがそれほどまでに女性の人気を集めるか聞いたところ「姉御肌の雰囲気がある」のだそうだが。この女性-紀香2号-とは最後まで全く話さずじまいだったからそれ以上のことは何もわからない。
さて、最後は日本シリーズである。何故彼女がこの名前になったのか忘れてしまったが、たぶん彼女の自己紹介の間に「今日の日本シリーズは」という話題が語られたのではなかろうか。彼女は本日の女性側幹事であり、仕事の上では腰痛仲間とNo4の後輩にあたるのだそうだ。彼女たち3人はみな同じ機種のパソコンをもってお互いメールのやりとりやらインターネットサーフィンをしている、というから「機種は」と聞けば「NECのなんとか」という。私が知っている限りこの機種は中山美穂が宣伝をしているので「中山に惹かれて?」と聞いたら、そうではなくセットアップやらをしてくれた人が同じ機種を使っているのだそうだ。私が何か言おうとしている雰囲気をさっして、これまたPrivateではMacintoshユーザーのYDはこういった
「私もMacintoshをすすめようかと思ったのですが、なんといってもNECや富士通はサポートがしっかりしてますよ。電話かければなんでも教えてくれますから」
なるほど。なんといってもそうしたサポートというのはありがたいものに違いない。Apple-Japanにそれを期待するのは無理というものであろう。おまけに最初からインストールされているメールとブラウザを使うだけであればWindowsマシンであってもそれほど支障はあるまい。YDの理屈に納得した私は「なんやそれは」とわめきちらすこともなくおとなしく引き下がった。
ちなみに日本シリーズの趣味は内外の旅行だ、ということだ。外は?と聞くとこの前オランダとベルギーに行ったと言った。その瞬間私とbunは「ベルギーの首都ってどこだっけ?」と頭を悩ませはじめた。我々にはベルギーなんてのは遠い遠い国であまり縁もゆかりもない。中は?と聞くと北海道が好きだとのこと。北海道というと私は「昔ミスラベンダーとお知り合いになったことがあります」という定番の話題を初めてしまうところがなさけないところだ。思えばあれはもう10年以上も前のことなのだろうか。
さて、自己紹介が終わるとあとはわらわらと会話が進んで言った。
YD:「この名前はよく登場するが何者だ?」と思った方は4XX Official Web Siteを観ていただきたい。このバンドのベースマンである。本文に戻る