日付:1998/1/25
まえがき 1章 2章 3章 おしまい おしまいの後に 4章 終章 蛇足編 あとがき 追加編 あとがき+登場人物のその後
とんび騒動がおさまってしばらくして、ほとんど皆が忘れかけていた話が持ち上がった。Mr.Aの家にティーチャーYZから電話があって、「いま妹が遊びにきてるんだけれど、妹と替わるね」「前にS(♂)さんから合コンやろうといわれていて、ようやく人数そろったんだけど。S(♂)さんに電話してもつながらないし、伝言たのんどいてもかかって来ないし。」というわけで、S(♂)発案の合コン話がMr.Aに回ってきたのである。
ことの起源を説明するためには、大分前にまで遡らなくてはならない。7月8日にティーチャーYZ一族と合コンがあったその翌日、S(♂)はナース1号と会っていたのである。彼がどのようにことを運んだのかはあまり明らかではない。しかし結果として言えることは、おデートはしたものの、お互いの生活環境のすれちがいから、その後の交渉があっさりいきづまりになったということである。ナース1号のところは看護婦寮であり、電話が通じにくいことで有名である。おまけに看護婦さんは休みが不定期であり、私達普通のサラリーマンとは必ずしも一致しない。付け加えればS(♂)も独身寮住いの身であり、あまり電話が通じやすいとは言えない。こういった環境的条件から、この話はそれ以上進展せずに終わったのである。
しかし交渉が進展しようがしまいが、合コンの話だけは残っていて、今それが実現しようとしているのである。看護婦合コンはなんと火曜日に行われた。男の子は、Mr.A、IK、S(♂)、KT、大坪、Dである。女の子も6人の筈であった。
私はその日、仕事で遅くなったので、車で直接名古屋駅に向かった。ハンドルを握りながら、ふと「もしやティーチャーYZが顔を出すのではあるまいか」という予感が頭をかすめた。待ち合わせ場所は、某課の男の子達にとって因縁深い、名古屋駅ななちゃん人形の下である。この時も女の子は若干遅れてきた。その間の我々の不安は相当なものであった。でも最終的に彼女達は来たのである。会ったその瞬間から、なんでもないんだよーという顔をしながらも、男の子達はするどいチェックを怠らなかったのである。宴会場所に向かいながら、ひそひそ男の子達の間で相談したところ、かわいい娘が多いという大方の意見であった。
このときの合コンの詳細な内容は覚えていない。私の前には、最初IKが座っていたが、途中からMr.Aになった。(IKは、ティーチャーYZのところに行って、なかよくしていた。) 私の右隣はナース1号、右端のほうにはKTとDが座っていた。私の正面には、後に有名になるヤマガが座っていた。
かんぱーいと言った前か後か忘れたが、誰か入ってきたな、と思ってそちらを見ればなんとティーチャーYZである。この瞬間S(♂)はおなくなりになってしまった。
このことについては若干説明を加えなくてはなるまい。ナース1号との交渉がいきづまりになった後に、S(♂)は国語教師と数回会っていたのである。どのような交渉経過であったかは誰も知らない。しかしその結果として、ティーチャーYZがキャンプの後にAYに語った所によると「国語教師が、最近おかしい。」この場合のおかしいというのは、暗いのでは無くて、妙に明るいという意味である。しかしS(♂)の偽らざる気持ちとしては、「そんなに気合いをこめられても困る。」といったところであった。この合コンが行われたころには、すでにS(♂)から電話をすることは皆無とまでは言わないまでも、相当減っていたらしい。
ティーチャーYZはそういった交渉経過全体を知っているのである。そのティーチャーYZの見ている前で、S(♂)にはいったいどういった行動の選択余地があったのだろう。彼の言葉によれば、「まるで蛇ににらまれた蛙のようだった」そうである。
この合コンではMr.Aの活躍が目立っていた。私の正面に座ったMr.Aは、「月が僕達をやいてるぜ攻撃」 とか「いきなり薔薇の花束攻撃」 などを連発して、大ウケであった。(私はその正面で、じんましんに苦しんでいた)そして彼の語るところによれば「自分の電話番号を書いて、机の下でそっとヤマガに渡したところ、ヤマガは”そっと”受け取った」 そうである。
1次会が終わったのは結構遅かったのであるが、IK、KT、ティーチャーYZはそれから「めぐみ」に行って、2時まで騒いだそうである。(その時いれたボトルには、「八方美人、色気がなくてわるかったな」とティーチャーYZの字で書いてある。)Mr.Aと私とS(♂)は一次会で帰ったが、その帰り道、Mr.Aはすこぶる上機嫌であった。
翌日会社では、例によって先日の合コンの話題でもちきりであった。みんなの意見を総合したところでは、ヤマガが一番かわいいという話であった。(私は正面に座っていたにもかかわらず、未だによくわからない)しかし、ここで上機嫌だったMr.Aはふと我に帰るのである。Mr.Aからヤマガにアプローチしようとすれば、まず電話番号を調べなくてはならない。しかしその肝心の鍵、すなわちナース1号の電話番号はS(♂)が握っているのである。ここでS(♂)がその気になれば、Mr.Aをだしぬくことが可能であった。Mr.AはS(♂)を「とんび3号」と呼んで、密かに警戒しだしたのである。
しかし今度はだしぬかれることは無かった。S(♂)はナース1号に電話をして、看護婦寮のどの館にヤマガがいるかを聞き出そうとしたのである。もちろんMr.Aのために。しかしそれは部分的にしか成功しなかった。結局Mr.Aは現在も様々な方法を使って、彼女へのアプローチ方法を検討中である。結果はまだわからない。
なんと火曜日:相手が看護婦さんであることを考えれば、火曜日もうなずけるというものだ。彼女たちがちゃんとそろうのは惑星が一列に並ぶのと同じくらい難しい。本文に戻る
ななちゃん人形の下: この物語とは全く別個に、某課の男の子達がケントスに行った。そしてKZが女の子をひっかけた。なんだかんだと話があった後に、みんなで合コンをやろうという話になった。その時の待ち合わせ場所が、ななちゃん人形の下であった。男の子達は「ななちゃん人形の足に触ってるからね」と言っていたので、代わる代わる一人づつ足に触っていたのである。しかし結果において(未だに理由は不明だが)すっぽかされたのである。(それ以前にも当日だか前日か、いきなり向こうがキャンセルしてきたこともあったそうだが)これ以上書いても暗くなるだけだから書かないが、ともかく「ななちゃん人形の下」は我々にとって、因縁深い場所なのである。本文に戻る
蛇ににらまれた蛙: 合コンの終わり際になって、みんなでナース1号をS(♂)の隣に座らせて、わーわー囃し立てたのである。しかし当然のことながらS(♂)は何もしなかった。(「できなかった」か、「しなかったか」は明確ではない)本文に戻る
月が僕達をやいてるぜ攻撃: 書くのも恥ずかしいが、Mr.Aの体験談で、「女の子とふたりっきりで浜べを歩いていて。月がでている。女の子が”どうして月があんなに赤いのかしら”、そこですかさず”僕達のことを焼いてるのさ”と言う。」んだそうだ。本文に戻る
いきなり薔薇の花束攻撃: こちらはたいしたことはない。女の子の誕生日には、いきなり年の数だけ薔薇の花を送ると、そんだけの話である。本文に戻る
”そっと”受け取った: この「そっと」というところに、Mr.Aは絶大な期待を抱いていたのである。もしその気がなければ、「そっと」受け取る訳がない、というのがMr.Aの自信の源だったのであるが。結局この電話番号はどうなったのだろう。本文に戻る
部分的にしか成功: なんとこの寮は、呼び出すために、「何館の何階」まで指定しないといけないそうである。S(♂)は、「何館」は聞いたのだが、「何階」までは聞けなかったのである。本文に戻る