題名:私のMacintosh

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日付:2001/11/12


29章:iBook-Part2

家についてみるとドアのところに何かがはさんである。どうやら今日きたようだと思いながらそれをみれば確かに「お届けでしたが不在でした」通知だ。

今日は11月1日の木曜日。さっそく福山通運に電話をするが、今日中の配達は無理とのこと。しょうがない。とはいっても明日の金曜日は夜が遅くなるし、土曜日は映画を見に行こうとしているのだ。なんとか土曜日の午前中に届けてもらうことにした。

それと同時に申し込んでいたADSLも次の週の木曜日に開通するというメールが届く。私のMac環境はかなりの変化を見せることになる。長年使ってきた2400とも今週限りであろうか。金曜日出勤するとき2400を鞄に納めながらふと考える。

さて、あまり大きな声ではいえないことだが、会社のパソコンを使って大きなMac OS X関係のアプリケーションをいくつかダウンロードしてCDにしてしまうとその週はめでたく終わりである。頭の中であれこれ考える。まずあれをやってこれをやって。。いつも環境を変えるとそれなりにあれこれのセッティングが必要となり半日くらいは簡単につぶれるものだが、今回はそれに新たな要素がいくつか加わっている。今までやったことのない無線LANの接続とMac OS Xへの移行だ。特に後者は気になる。いままで常用していたソフトはどれくらい動くだろうか。もし動かなかった場合どういう代替手段があるのだろうか。

そんなことをうだうだ考えている間にiBookが届く。交通事情により遅くなるかもしれません、と言っていたが見事に時間までに届いた。箱を開けて取り出してみるとまごうかたなきiBookである。手にしてみると「薄い」というのが第一印象だ。2400よりも平面の大きさは少し大きくなっているはずなのだが、大して気にならない。

さて、とさっそく電源を接続しスイッチを押す。立ち上がるのはOS9。自動的にセットアップの画面になる。例によってあれこれ入力していくとLANの設定になる。AirMacを使用するを選び、ボタンをちょこちょこ押すだけであっというまに無線で接続できてしまった。これには正直驚いた。そりゃセキュリティを考えればいろいろあるのだろうが、純正のAirMacベースステーションを使っていないこともあり、あれこれ設定の方法とかをインターネット上で探して準備していたのに。

それからしばらく膝の上に置いた状態で(有線でつながっているのは細い電源ケーブルだけである)ブラウザなどさわってみる。反応はきびきびしており、実に快適だ。2400とのLAN接続もあっさり成功。ここからがいつもセットアップをするたびに時間がかかる行程。ファイルの大量コピーである。2400上のフォルダを根こそぎ選択するとコピーを指示して家を出た。帰るまでには終わっているだろう。

さて、この日みたのはSweet Novemberという映画である。悪くはないのだが、思わずのめりこんでみてしまうほどではない。というわけで誰もいないアパートでひたすらファイルのコピーをしている2台のコンピューターのことが頭に浮かぶ。ああ、こうして私が映画などみて怠けている間にあのコンピューターたちはせっせとファイルをコピーしているのだなあ。私だったら

「やってらんねえよ」

とかいってさぼり出すところだがなあ。融通が利かないと言えばきかないのだが、便利というかけなげというかそういうところもあるよなあ。

そんなことを考えながら家に戻る。どれどれ。コピーは終わっているはずだがと思い画面をみると何かダイアログがでている。おかしい。コピーが終了したはずならこんなものがでるはずはないのだがと思いみてみると

「○○は使用中です。コピーできません。継続しますか?」

とかなんとか聞いたまま止まっている。コピーはまだ1/5も終わっていない。とりあえずとばしてコピーしてくれればいいのに、そうやって聞いたまま何時間も待っていたとは。ううむ。やはり融通の利かないやつめ。

ぶつぶつと思いながらも手動でファイルをコピーしだす。結果から見ての話だが、この「停止」は私にとって幸運だったかもしれない。今までパソコンやOSを乗り換えるたびに過去の遺産をごっそりそのまま持ち込んでいた。たいていいつもより広いハードディスクに移行するからそれはそれで問題ないのだが、今や

「これはなんだっけ」

というプログラムがHDの中にやたらと存在している状態である。捨てようかと思うのだが、使うこともあるかもしれない、と思うと捨てられない。しかし今回は手動コピーが幸いしてとうとうそうした遺産の整理ができるかおもしれない。とにかく必要になったものだけその時にもってくることにしよう。

そう割り切るとコピーは結構早く終わった。さて、これからが面倒なところだ。OS Xへの移行である。幸いにして2400はまだちゃんと動いている。必要なアプリケーションがうまくうごかなくても日々のサイトの更新に支障がでることはないだろう。(それくらい毎日の更新は私の中で高いプライオリティをもっているのだ)意を決すると「起動ディスク」をえいっと切り替える。

現れるのは懐かしのOS X起動画面である。7500にインストールしたときには一文字一文字入力するたびにくるくるまわる虹色アイコンがあらわれてくれたものだが、OS Xのバージョンアップの成果かあるいは600MHz G3の威力か快適に入力が進んでいく。今度もAirMacの設定は何の問題もなく終わってしまった。ああ、なんてすてきなの。感動さめやらぬうちに設定は終わりOS Xの画面が立ち上がる。

ちょこちょこさわってみるがなかなか軽快に動作する。特に7500上の不動とも思えるOS X を経験しているだけになおさらだ。おまけに意識的にOS 9を使う時間を短くしておいたから、

「OS 9 に比べると速度が云々」

といったこともない。

さて、ここからが面倒なところ。あれこれのアプリケーションの設定である。まずおそるおそる今こうして文章を書いているサイト作成用、ホームページProを立ち上げる。するとメニューがOS 9のそれに切り替わり何の問題もなく立ち上がった。いやいや、まだ油断できない、と半信半疑でちょこちょこさわってみるがちゃんと動いているようである。これはすばらしい。しかしまだ明日このマシンから更新するためのハードルは残っている。次はサイトをアップロードするためのFTPソフトである。これも従来型のいわゆるClassicアプリケーションなのだが、問題なく動いているよう。これで明日の更新もなんとかなりそうだ。

次には電子メールプログラムを設定する。フリーで使えるOMEとかいうもので、受信したメールをテキストファイルのままで扱えることが売りである。なんとかこれを使おうと思ったのには理由がある。私は相変わらずNiftyのパソコン環境でメールを読み書きしている。新しいメールプログラムに比べれば何かと不便なのだが、アクセス解析の結果を加工が可能である、という利点がある。

しかしその便利な環境がOS Xで使用できるかどうか今ひとつ確信がもてなかったのである。ではどうしよう。メールだけでもなんとかテキストとして受け取ってくれるプログラムがないものだろうか。そこにOMEの登場である。これを機にメールの環境を変更してみるか。

そう思ってインストールをしてみる。まずは受信だ。どうやらご機嫌に動いている。さて、これを区分したり、返信を書くのにはどうすればいいんだ、、と思いあれこれやり出すととたんに壁にぶつかった。とにかく面倒なのである。アプリケーションはいくつにもわかれており、そりゃそれぞれ適したものを使える、という利点はあるのだろうが、最初はとまどう。おまけにメールを受信してくれるメインのプログラムは「今何通受け取りました」とも言ってくれないし、おまけに自動的に15分ごとにメールを受信にいくのである。マニュアルには

「間隔を変える方法も、止める方法もありません」

と堂々と書いてある。しょうがない。プログラムを止めておくかと思うのだが、メインのプログラムだけあってメールの読み書きを行おうとするたびに自動的に立ち上がってくれるのである。そのたびに彼(あるいは彼女)は、ぴーぎょろぎょろ、とインターネットに接続を要求する。

しばし格闘した後に見切りをつけた。これは私には使えない。となれば今使えるのは前から使っていた環境だけである。おそるおそる立ち上げてみると何の問題もなく動いているようだ。とはいってもファイルの位置とかが変わっているから簡単に動くわけではないがしばしの後にちゃんとメールの送受信ができた。

ここまでやってふと時計をみると12時を越えている。土曜日だから遅くまで寝ていたとはいえ、昼寝もしていないのにこんな時間まで起きているとは。いつも9時半就寝の五郎ちゃんにしては珍しいことである。とはいってもそろそろガソリン切れ。残りは明日にしよう。おやすみなさい。

翌朝はいつも通りというか、休日にしては早くというか5時に目覚める。眠いとは思うのだが、セットアップにかける情熱は私をしてキーボードに向かわせる。この日のためにダウンロードしておいたプログラムをあれこれつっこみ出す。あまりやりすぎるとシステムがふっとんでしまうかおもしれないと思うものだからなんとなく控えめになる。 

そうこうしているうちに結構日常生活でも使えそうになってきた。サイトの編集、アップロード、それにメールの送受信も大丈夫である。こうなれば、しばらく2400にはSETI専門マシンとしてがんばってもらっても問題はあるまい。2400は机の上段に移動してもらい、メインの位置にはiBookがすわることになった。

そうやって日常業務に使い出すと、日本語変換がやはり今ひとつであることに気がつく。今度の日本語入力プログラムであるところの「ことえり」はなかなかいいぞ、と何かで読んだのだが、やはりATOKには勝てないようだ。しかし問題はない。こうしたこともあろうかとちゃんとATOK14をOS9用、Mac OS X用とダブルで購入していたのである。

とはいっても私は横着だから最初OS X用だけインストールした。だってOS9用をインストールしようと思えば、立ち上げ直す必要があるんだもん。しかしそのうち気がついた。Classic環境ではOS9の方の日本語入力プログラムが使われるのだと。せっかくのATOKもClassicに切り替えるたびに「ことえり」になってしまう。

うむ。やはり横着はいけないか、とOS9の方にもATOKをインストールする。考えてみればClassic環境で動くプログラムが存在し続ける限り、日本語入力プログラムは2倍売れ続けることになるような気もするが、現実はそこまであこぎではない。

さすがにATOKの威力は偉大で、新しいiBookはほぼ文句をいう必要がないほど快適になった。使う前まではClassic上でちゃんとプログラムが動くか非常に不安だったのだが、今のところ動かないアプリケーションはない。使っている側からすると時々メニューバーが切り替わるだけでOS9がどうとかOS Xがどうとか気にする必要はない。OS Xの新しいファインダーは結構使いやすいし。これはご機嫌だ。

ハードのほうも順調に動いている。今まで2400にはキーボードのケーブル。電源ケーブル、それにLANケーブルをつないでいたが、無線LANに切り替えたいまつながっているのは細い電源ケーブルとUSBのケーブルだけ。1本減っただけなのだがとてもすっきりしたように思える。Duoの頃から比べればキーボードも実に使いやすくなった。あのぺちゃぺちゃの感触を覚えている身としては、技術の成熟に感謝したくもなる。

翌日は初めて外に持ってでた。通勤電車の中では実にめだっているのではなかろうか。パソコンを膝に乗せている人はあまり多くないが、私のはその上に真っ白でさらにはふたの裏に大きなリンゴマークまでついているのである。幾人かの人がじっと見ているのに気がつく。ところで隣に座ったおばさん。のぞきこまないでね。ろくなこと書いてないんだから。今まで外付けバッテリーを使ってなんとかもたせていたのだが、内蔵バッテリだけで帰りの電車の中でも使える。(また2年もたてば同じ問題に直面するのかもしれないが)

かくして私のMacintosh生活は思ったよりも平穏のうちに新しい環境に移行した。しかしまだ変化は終わったわけではない。ADSLの導入が待っているのだ。

 

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注釈