題名:❤︎の歌

五郎の入り口に戻る
日付:2022/2/20


2022/1/31

5:10

お小水:225cc 比重1.028

目が覚めてしまったので、デイルームにいく。外はまだ真っ暗。

朝


久々に15分間瞑想をする。いつもは朝の運動の後瞑想していたのだが、朝の運動をサボるようになって瞑想の機会も減っていた。そんなことをやっている間に外が明るくなってきた。


夜明け


部屋に戻って体温を測る。35.1。体温計がおかしいのか私の体温が下がっているのか。我が家は伝統的にせっかち。7時に起こしますと言われたが、6時40分にはもう自分でできることは全部やってしまってやることがない。

7時ちょうどに看護師さんがきてくれる。薬を飲み、体重測定、血圧測定、酸素量の測定。酸素量の測定はコロナで有名になったパルスオキシメーターというやつらしい。指を挟むとすぐ数値が出る。

同室の方と看護師さんの会話が聞こえる。また暇になる。トイレに行く。

お小水:47cc 比重1.030


8時ごろ

当初朝1番の予定だったが2番目になったと告げられる。点滴を繋がれる。その後薬剤師さんが来て処方されている薬の説明をしてくれる。私の姪が薬剤師で病院に勤めているのだが、こういう仕事もしているのだろうか。

点滴は造影剤を体から早く出すための水分とのこと。だからこれがあれば多分水を飲まなくてもいいだろうし、何も飲んでいないのにトイレにいくことになる。


8:53

そろそろ及びがかかるかと思いトレイにいく。お小水:34cc 比重1.028

9:07

日中の新しい看護師さんが来て「930カテーテル室到着とのことなので、920に車椅子で迎えにきます」と言われる。をを、人生初車椅子。

9:20

名前を呼ばれる。検査着に替える。前が開くようになっている。私は貧乏性なので、家からトレーナーを持参し、パジャマはレンタルしないと決めていた。レンタルすると1日数百円かかるのだ。というわけでこの時点まではずっとトレーナーだったが、昨日の話では血がついたりするから検査着を来てください。下は任意でいいですよとのこと。ところが今日は有無をいわせず下も着替えるように言われる。今着ているものに愛着があるわけではないので、素直に従う。着替え終わり車椅子に乗って移動しようとしたところで時計を外してくださいと言われる。とにかく一切合切はずせということか。

車椅子を押してもらう立場は気楽なもので周りの様子など観察しながら移動する。というか押してもらう。私を見ている人がどう思っているかはわからない。しかし私のように自力で移動できるのだが、車椅子に乗っている人もいるのだな。

先日CT検査をやった場所の近くに向かう。部屋にはいると

「あら、早すぎたかしら」と言われる。そこでカテーテル室の看護師さんに引き継ぎになる。元気のよい女性が準備ができたら移動しますのでと言う。しばしそこで待つ。

まもなく部屋の準備ができたようで、3番という部屋に移動。途中の部屋にはディスプレイがいっぱい並んでおり何かを表示しているがもちろん私には何もわからない。

3番の部屋にはいる。ベッド及び巨大なディスプレイが存在しており、その上に横になるらしい。言われるままベッドの上に座る。するとまず上半身の検査着を脱げと言われる。タオルがかけられる。まるで裸の女性が前を隠すような動作。完全に横になるとその上にさらにタオルがかぶせられ、下も脱げと言うことになる。ああ、今朝パンツを替えておいてよかった。かくして私はタオルの下ですっぽんぽんになる。

検査をしてくれるのは今まで私をみてくれた先生。低い落ち着いた声でてきぱき指示を出す。数人がよってたかってあれこれの準備をしている気配がする。私は仰向けなので様子はわからない。左手からカテーテルがはいるので、何か台のようなものを手の下に置き、腕をテープで固定する。それをやってくれるのが男性のなのだがその人の手が暖かいなあと思う。逆に言えば理由はわからないが私の手足は冷え切っている。右手の指先にSPO2メータがつき、左手に血圧計がまかれる。検査中何度か血圧測りますから驚かないでくださいねと言われる。

準備ができたようだ。まず左手の手首に麻酔。この麻酔の注射はちくっとする。歯医者の麻酔を思い出す。最初だけ「ちくっ」とし、あとはぼんやりと奥まで針がはいっている感覚がある。追加でもう1本という声がする。

それが効き出すと腕は何も感じなくなる。カテーテルをいれているらしいのだが、その様子は見えないし感覚もない。先生が私の体の上にひじを置き何かをやっているので、おそらくカテーテルを操作しているのだろう。

「もう痛いところは終わりましたからね」

と言われる。確かに最初の「ちくっ」の後痛みは全くない。ただ何かが腕の中をつたっていっている感覚はあるが不快ではない。

先生と他の人が私に理解できない単語で会話をしている。そのうち「口がちょっとソワっとします」と言われる。するとその直後確かに口がゾワっとする。途中で先生が

「これやはりかなり細くなってます。明日処置しましょう」

と言う。なるほどそうきたか。まあ入院が一度で済んだ方が当方としてもありがたい。昨日の夜考えていた。1日処置をすると、その前後併せ2泊3日入院する必要がある。処置を別の機会にやるとなると合計6日つぶれてしまう。明日措置してもらえれば、3泊4日で済む。おまけに来週から少し忙しくなる。先生のスケジュールと合わないとよくないことが起こる気がする。などと考えているうち何度か息をすって止めてください、と言われる。

どうやら心臓の検査がひと段落したようで、お腹の血管を見ようと言うことになる。先生が誰かにお腹と足の血管を見る必要性について説明しているような気がするがもちろん内容は理解できない。CT検査を行ったときは、胸のあたりに熱くなるような感覚があったが、同じ感覚が今度は下腹部にくる。おもしろいのはお尻の穴がぼわっと熱くなったこと。こんどは逆に「息をはいて止めてください」と言われる。どういう分担かわからないが、ここの撮影は男性の人がやってくれた。

その撮影が終わると検査終了。写真を見て説明しますねと言われる。そこから心電図用の電極を外したりという作業が続く。パンツが足元にきたので自分で履こうとすると止められる。服を着終わり、さて靴を履くかとベッドに手をついて上半身を持ち上げようとしたところで周りにいた人が一斉に慌てて

「手をつかないで」

と言う。左手は動脈に穴をあけたので、力を入れてはいけないと言われる。しかしすでに力がはいってしまったらしい。内出血したと思しきエリアに、看護師さんが黒いマジックで印をつける。

そこから再度車椅子にのり、隣の部屋に移動する。PCの前に先生が座っており、模型を使いながら検査結果を説明してくれる。動画で検査の様子が記録されており、おそらくカテーテルの先から造影剤が噴き出ているような映像が見える。右側の動脈は綺麗、左側の細く見えたところは実際にとても細くなっているのですぐ処置をしましょう。明日空いている時間にいれます、とのこと。もう一本背中側の血管は綺麗です。処置は1か所だけで、この金網を入れます。これいれればあとはスポーツでもできるようになりますからね、と言われる。

私は「ありがとうございました」といってその場を後にする。というか車椅子なので移動させてもらう。相変わらず滅多に人と視線を合わせない先生だが、言葉付きがしっかりしており患者としては安心感がある。

次の人がはいってくると入れ違いにそこを出ることができると言われる。カーテンで仕切られた場所でぼんやり待つ。二台の端末がありそこには「コロナ最新情報」が表示されている。時間は10時10分。処置をしていたのは30分あまりだったのだな。


そのうち次の人が来たらしい。声だけ聞こえる。昭和九年生まれの方で高齢のはずだが声はしっかりしている。まもなく迎えの人がきて私はその場を後にする。

ベッドに戻りまた着替えるかと思えば、血圧の測定とSPO2の測定がある。血圧の高い方が110しかない。体温は35.9度。なぜかここに来てから体温が低く、血圧も低い。いつも血圧測定の時は百四十を超えないように祈りを捧げているというのに。あとポータブルの心電図も取り付ける。袋にいれて首からかけられるとのこと。カテーテル検査を行ったため、移動可能なのは8Fのみと言われる。つまり何か食べようと下にいくことはダメよ、というわけ。しまった。昨日もらった注意書きに「午前の検査の場合、朝食抜き。検査後に食べれる軽食をご用意ください」とかいてあったのはこのためか。しかたない。昼まで我慢しよう。


一連の説明の後、先生から採血の依頼があったとのことで看護師さんが採血を試みる。いつもは腕からだが、今日は右腕に点滴、左腕の動脈に穴が空いている。というわけで足から採血。担当看護師さんが

「ちょっとちくっとしますよー」

と言う。確かにちくっとするがこれでおしまい、とはならない。もう一度ちくっとする。それでおしまいにもならない。別の看護師さんが来る。

この人も私の足に穴を二つ以上開けたと思う。しかし目的は達成されず、また別の看護師さんがくる。熱いタオルをあてたりいろいろするがやはり穴が増えるばかりで目的は達成されない。先生と相談しますねということになる。三人目の看護師さんの独り言を聞くに、血管が見えるのだが細く、いざ針をさすと血が取れないと言うことらしい。

点滴を変える。もう500mlはいったことになる。お小水:233cc 比重1.075

まもなくお昼の時間になる。

昼食


普段から考えれば質素なメニューだが、朝を抜いた身にはうれしい。食べている最中担当の看護師さんが来て「先ほどは何度も採血しましたが、先生に確認したところ、採血なしでも大丈夫とのことでした」で一件落着。これ以上若い女性に足に穴を開けられると間違った世界に目覚めてしまうのが心配だったのでこれは朗報である。


ご飯が終わるとデイルームに向かう。看護師さんの会話からするに外は寒いらしいが素晴らしい蒼天だ。

青空

最初の予定では、これで明日退院だったが、実際の山場は明日になった。とはいっても私にできることは何もない。ただまな板の上の鯉は言われたとおりにするだけである。

奥様に検査終了と、明日処置の件を連絡する。奥様からは先生から電話をもらいましたと連絡がある。


子供たちからそれぞれ別件でメッセージがくる。

14:25

お小水:246cc 比重1.067

2本目の点滴が空になったがまだ替えが来ない。まあ昼は忙しいからね。昨日の記録を信じるのであれば、晩御飯は6時ごろ。それまでまたデイルームでもいくか。と思い部屋を出たところで看護師さんにでくわす。空になっていた点滴を交換してもらい体温血圧の測定。体温は35.9,血圧は106の58。この謎の低血圧はなんなんのだ。

次の測定は4時とのことで、それまでデイルームに行く。子供たちからそれぞれメッセージが来る。処置をするので一日入院が伸びることを伝える。


16:00

デイルームで執筆をしまくって、ベッドに戻る。ほどなくして看護師さんがくる。血圧は相変わらず低く105/56。体温も35.9でいつもより低い。カテーテルを入れた部分をバンドを締めているのだが、実はずれていることが判明。数時間前から傷口は露出していた(そして出血はとまっていた)。

バンド

とは思ったのだが、上の写真で見ている傷口は実は麻酔用のもので、ちゃんとした位置にバンドが存在していたという意見もある。どちらが正解かわからない。このバンドがかなりきつくだんだん痛みを感じてくる。麻酔が切れたのだろう。もちろん動脈に穴が空いてるのだから、ちゃんと止血しないと大変なのだが。おしっこの密度が1.03を切ると造影剤が全部でたことになるそう。またデイルームにいってコーヒーでも飲みまくるか。 ここに一つ問題がある。検査着にはポケットがない。なのでコーヒーを購入するための小銭を持ち歩くのが面倒なのだ。はてどうしよう。ぽん。いいこと思いついた。今私は首からポータブル心電図いれた袋をぶらさげている。これを小銭入れにすればいいではないか。というわけで、袋にあれこれ放り込む。というわけで再度デイルームにくる。本を書く。普段いかに自分があれをやりこれをやり実は何もしないで時間を無駄に過ごしているかよくわかる。

夕焼け


17:00

ベッドに戻る。お小水:207cc 比重1.024。デイルームでコーヒーを飲みさらに空き容器に冷水をいれて飲んだ甲斐があった。これで造影剤はクリアのはず。今まで尿を検査する機械は実際にカップが置かれたことをセンサーか何かで感知して、それから閉めていると思ったが実はそんなことはなく、ただ時間設定にしたがって開け閉めしているだけだとわかった。原始的ではあるが、確かにこちらのほうが故障とか少なくていいのかもしれない。


しばらくして看護師さんが来て明日のカテーテルは午後、お昼は絶食で朝は半分しか食べられないと言う。これは食べ物に対する執着をほどく絶好の機会。そもそも私はコレステロール過多でこの状況に至っている。一日位食べずともどうということはない。あとは精神の持ちようだけ。家族に明日の午後に処置することを連絡する。


17:56

夜間の看護師さんが来てくれる。点滴は500ccを3本落とし終わったので本日は終了。明日また使うのでと保護の網を被せてくれる。これで夜は楽だ。食事の前にトイレにいく。

お小水:397cc 比重1.011 これがコーヒーと冷水の威力。しかしすごいおしっこの量だな。


18:15

晩御飯がくる。

夕飯

鯖の味噌煮。私の大好きな鯖である。ああうれしい。しかし量は多くない。味わって食べなければ。私は異常な早食いでいつも母に「噛んでない!飲み込んでる!」と怒られる。しかし今日は母からも合格点をもらえるほどゆっくり味わって食べる。明日の朝は半減だしそのあとは夕方まで何も食べられないのだ。そしてコンビニに行こともできない。


19:20

熱は36.2 血圧高いのが118 だいぶまともになってきた。お小水:233cc  比重1.016本日の診察関係はこれでおしまい。明日の午前中は何もやることがないし、そもそも午後の何時に処置があるかもわからない。まあいつかはあるだろう。


20:17

お小水:217cc 比重 1.01

10時前に消灯。この時間に隣の人に点滴の処置があると聞いており、早めに寝てもまた起こされると思い起きていた。私にとってはとっても夜更かしである。

さて明日はいよいよ本格的な処置。かといって緊張で眠れないとか言うことは全くなくそのうち眠りに落ちる。

 前の章 | 次の章 


注釈