日付:2003/4/25
深川えんま堂を後にしててくてく歩く。同じ道をいったところに今日の目的地その2があるはずなのだ。
そのうちなにやらそれらしい通りの名前が左側にでている。曲がってみる。いきなり「うぐいすのふん」という看板をかけた店がある。「うぐいすのふん」懐かしいなあ。そういえば最近あまり見ないけどまだ売っているのであるか。
などと考えながらその道を進む。公衆便所があるのだが、そこもなんだかそれっぽい古い作りになっている(中はきれいだが)しばらく進むと大きな建物が見えてきた。深川江戸資料館である。
入り口で入場料300円を払い中に入る。いきなり江戸時代の人々を掘ったガラスの板が並べられている。配置はじぐざぐで、そこを通っているうちに江戸時代にはいっていくかのような錯覚を起こさせることをねらったのだろう。
その先に大きなホールのような空間があり、再現された江戸の町並みが見える。
天井には開閉式の採光窓がある。ここは20分で一日の変化を表現しており、昼の時間帯には自然光を取り入れ、夜間には窓についたシャッターを閉める。私が入った時は夕暮れだったのかもしれない。なんとなく暗く鶏の鳴き声が聞こえる。屋根の上には猫がおり、時々動く。にゃーんとも言う。
屋根の上の猫:遠景
屋根の上の猫:近景
そのうちあたりが暗くなった。街を見て回る。実物を見たことがあるわけではないが、リアルに再現されているのだと思う。少なくとも展示物、というよりは人が住んでいる町、という感じを受ける。通路に水がまかれており小さな水溜まりができている。八百屋にはリアルな野菜が並んでいる。手に取ってみるが確かに本物ではない。
後から気がついたのだが、ここには説明というものが一切ない。ただ黙って江戸の街を再現しているのだ。はっぴを来ている人が二人くらいおり、彼と彼女たちに聞けばあれこれ教えてくれるのかもしれない。しかし係りの人だかただのはっぴマニアだか判断がつかなかったので話しかけることはしなかった。
なかなかここまで思い切って説明の看板などを省くことはできないものだと感心しながら町を回る。天麩羅を売っている屋台がある。乗っている天麩羅があまりにも真に迫っているので手に取ろうと近づく。
その瞬間おでこに激痛が走る。屋台の屋根にぶつけたのだ。頭をさすりながら天麩羅を手に取る。しっかりした重さがあるがもちろん本物ではない。本物の町のように入り組んだ路地を歩いてみる。夜の時間帯だから暗いが歩行が困難なほどではない。長屋には押し入れというものがなく、部屋の隅をかこって衣服などをいれていたのだなあ、というのは他の見学者の会話を聞いた内容。本当かどうかは知らない。
ここの展示でもう一つ気がつくことは人形がないことだ。人を置くと想像力を制限すると思ったのだろうか。その代わりにいるのが動物である。猫はさっき見たが今度は犬を見つけて喜ぶ。実家に犬が来てからというもの、私は犬好きになったのである。
ぷらぷらした後ボードを使った展示を見る。今まではぼんやり見ていただけだった江戸の風俗を描いた絵を興味深く見ることができるような説明がなされている。感心しながら見たあと再び町並みに戻る。昼の時間帯になったらしく天井から光が差し込んでいる。自然光を使うのもリアルさを増すのに役立っているのだろう。
満足のうちにその場所を後にする。さて、深川めし、という物を食べようとあたりをふらつく。資料館のすぐ前に一軒あるのだがまだ開いていない。信号をわたったところにある食堂にはいる。まもなくでてきたそれは、「あさりのかけらがはいった炊き込みご飯」といった趣で、「高い(945円、消費税込み)、まずい、あさりがはいっていない」という代物であった。きっと本物の深川めし、というのはこういうものではないのだろうが。
深川めしの素を売っている店の前にある人形