題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2004/1/26


応声教院 : 静岡県(2004/1/4)

掛川からJRで一駅。菊川というところで降りる。駅名を聞くたびアンパンマンのような顔をした某氏の事が頭に浮かぶがそれは本編とは何の関係もない。それどころか数年後にこの部分を読み返せば自分が何を書いていたのかも思い出せないであろう。

そんなことはどうでもよい。とにかく駅の前にある案内図をぐっと眺める。今日の目的地は出ていないがとにかく南に歩くのだ。某サイトに「県道79号沿い」とあったことだけを頼りに、とにかく県道79号を目指す。菊川の駅前というのは区画整理をしているらしく古い家と新しい家が混在している。歩道は広いから歩くのは楽だ。快調に歩いていくとそのうち「県道79号」という看板が見えた。よし、と思うがその一瞬後に首をひねる。私はとにかく南に向かっているつもりだったのだが、この看板によれば79号は私が通ってきた道と直角に交わっている。つまり西に進めと行っているのだ。さてどうしよう、と思うがここは素直に看板に従う。(後から考えればこれは幸運なことだった)てくてく歩き続ける。某サイトで調べた菊川駅からの距離は3.5km。数十分は歩くことになるだろう。風はほとんどなく空気は冷たいが日差しは暖かい。

そのうち大竜頭寺とかいう看板が見えてきた。ここってひょっとしたら応声教院の別名じゃないかしら、と期待を抱き今一度確認する。どうやら違う。まだ茶畑の中を歩かねばならぬようだ。てくてく。そのうち工業団地のようなエリアが見えてきた。工業団地に行きたいわけじゃないのだけどな。そもそも県道79号に添って歩いていることは確かだが、それで目的地につけるかどうかはわからない。間違っていてももう出直すだけの気力は残っていない。何か手がかりはないか、と思いそこの案内図をじっと観る。すると今歩いている道の先の方に「至応教声院」と書いてあるではないか。やれうれしや。この先に本当に存在しているらしい。疲れてきた足をがんばって前に運ぶ。

そのうち道がまた折れた。今までは小さな山の間を歩いてきたのだが、ここで一気に視界が開けた。本当にこのままでいいのかなあ、と不安になったところで前方になにやら看板が見えた。漢字4文字で応声教院と書いてある。やったやったと足を速めた私は結構な大回りをして門にたどり着いたことを知るよしもない。

とにかくついたのがここである。門前の道には道祖神とおぼしき石像がいくつもおいてある。なかなか立派な門構えであり、ここから観ている限り珍の気配はみじんもない。しかし近づいてみると門を守っている2匹の蛙に気づくのであった。

この門は由緒正しい物で国の重要文化財にもなっているらしい。それは偉大なことなのかもしれないが、ここまでたくさん看板を打ち付けてしまうのはいかがなものであろう。

そこをくぐると少し登ったところに本堂がある。しかし私の関心はもっと手前にある。いきなりでてくるのが「飲んべえで死んでしまった父を供養するために」作られた日本で唯一の飲んべえ地蔵である。

なんでもこの地蔵の周りを囲っているのは酒樽なのだそうな。その近くには「蛙の面に小便」と名付けられたこんな像がある。(もっとも水はでていないが)

その近くにはカッパの3連発。

さらに階段を上るとこんなものがある。

ううむとうなりながらごろごろと辺りをうろつく。本堂の左手にはお墓が並んでいる。右手には水子地蔵があるらしい。矢印に従い歩いていくと大きな犬がわんわんほえている。人間にほえているのではなく、そこらへんをほっつき歩いていた犬にほえているようだが。などと考えながら視線を上げるとこんな光景が飛び込んでくる。

階段状になった水子地蔵の大群の上に巨大な地蔵が身をよじらせている。水子地蔵には小さな小屋のようなものがかけられたものあり、何かで編まれたものを身につけている物有り、おもちゃが備えられた物有り、それらを備えた人の事を少し考える。そしてそれらがいずれも朽ち果てかけていることを観また少し考える。などと考えにふけっているのは私ばかりではない。

この像自体は小さなものだが難しい顔をして考えている。正面には100円入れるとお経を唱えてくれる人形坊主がいる。

100円入れると坊主の手がときどきけいれんするように動き木魚を叩いているつもりらしい。それとともに下にあるスピーカーから子供が読経する声が流れてくる。バックに小さな声で大人の声が聞こえる気もするが確証はない。お経はかなり長いこと読まれ続けるが、どこかでぱたりと止まる。その前にはこんな物がある。

円形にならんだ中央に青い石で道が造ってあるところを観るとこれは賽の河原をイメージしたものではなかろうか。石をけとばす鬼もいるし。

といったところで応声教院見物はおしまい。帰りは45分くらいで菊川駅につきました。

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注釈