題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2005/11/4


盛岡大仏-松園寺 句碑編:岩手県(2005/10/10)

ここはお国を何百キロ。私は盛岡駅前のとあるホテルで目を覚ました。何故こんなところにいるかは聞かないで欲しい。とにかく来てしまったのだ。

荷物をまとめホテルをチェックアウトする。向かう先は盛岡駅。昨日から気になっていたのだが、この駅は実に妙な構造をしている。店舗と中途半端に合体したせいかあるいは一部工事中のせいか知らないのだが、とにかくまっすぐ目的とする場所-例えば改札とか-に行き着けないようになっている。しかし今はそんなことにかまっている暇はない。目的の電車に乗るのだ。

ホームに着いてみると既に列車は到着しており、かなりの人が並んでいる。しかもその列の雰囲気が異様だ。「濃い」男性の比率がやたらと高い。これはどうしたことか、といぶかしがっていたのだが、しばらくしてその謎が解けた。どうやらこの電車は臨時列車で、その事が鉄道マニアの何かを刺激しているらしいのだ。彼らは忙しく列車の乗り降りし、カメラやビデオを振り回して何かしている。

私も端から見れば彼らのように見えるのだろう。ただ彼らとは興味の方向が異なっているだけだ。そんなことを考えているうちに電車が動き出した。ほどなくして上米内という駅に着く。こんなところで降りるのは私だけだろうと思っていたら他に数人の男性が降りた。なんと、鉄道マニア兼珍寺マニアがこんなにいたということか、なんてことはもちろんなく私以外に降りた人たちは駅に置いてあるパンフレットを漁っている。きっとそれらには私にはわからない価値があるのだろう。ちなみに彼らのうち多くが車体側面にむかってカメラを向けており、何だろうと思っていたのだが、たぶんこれを撮影していたのだと思う。

鉄道オタクを駅に残し珍寺マニアは一人でとぼとぼ歩き続ける。今日の目的地に関してはアクセス方法に関する情報が少なく、最寄りのバス停が解らない。しょうがないからJRで近くまで行き、てくてく歩こうではないかと思ったわけだが、はたしてこの道で正しいのか。珍スポットの常として看板が出ているわけでもない。いつものことだが完全に明後日の方向に歩いているのではないかという恐怖がつきまとう。

そのうち国道455という標識がでてきてほっとする。どうやら正しいようだ。道を曲がると国道沿いに歩き出す。交通量は多いが立派な歩道があるので特に問題はない。あとはこのまま歩いていけば突き当たる筈、とのんびりしていたのは短い間だった。そのうち

「本当にこの道でいいのか。行き過ぎてしまったのではないか」

という脅迫観念に襲われる。それらしき気配が全く無いのだ。何か看板くらいあってもいいはずなのだが、、しかし仮に間違っていたとしたらどうすればいいのだ。今来た道を戻る、というのは心理的にとても抵抗がある。はてはてどうしたものか、と思っているうち前方にこんなものが見える。

やれ嬉しや、これに違いないと歩を進める。すぐ近くにバス停があることもわかり、帰りはここからバスに乗れば良かろう。というわけで心おきなく見物ができるというものだ。

後から気が付いたのだが、どうやら私は裏口から入ったらしい。しかし表だろうが裏だろうが光景は余り変わりない(表の口には立派な門があるが)

道の両側にこうした句碑が立ち並んでおり、それに俳句とか標語とかそれに類するものが書かれているのである。最初は書かれている文句をほうほうと読んでいたがそのうちあまりの量にただ歩きすぎるようになる。途中で少しその列がとぎれたと思ったがその先にまだ続いている。数ある句碑の中でいくつか気に入った言葉を上げておこう。

そのうち道が分かれ一つの道は上に向かっている。そちらには後で行くことにしてまっすぐ進み続ける。そのうち石碑以外の物が見えてきた。

まず目にはいるのがこれである。福助。確かにそうなのだが、この文字が持つ力は一体なんだろう。そのすぐ脇にはお稲荷さんがあるのだが、その手前にはなにやら地面から突き出ている。

交通安全の碑の回りには交通安全にちなんだ言葉が記されている。

そのすぐ近くには電柱が2本立っているのだが、これは一体なんなのだろう。近くに機能を果たしている電柱もあるのだが、この2本は何の役に立っているというのだろう。

少し先にはこういうものがある。これも2本なのだが、何か関係があるのか、そもそもこれは何なのだろう。

ここらへんからだんだんとこの場から風圧を受けるような気がしてくる。その先にはこんな塔があり、近くにある説明を読む限り慰霊碑のようだ。しかしこの形状はなんなのだろう。そしてなぜ手前に「猛牛」がいるのだろう。

その先には本堂と思しき立派な建物がある。それ自体は最近できたと思しき普通の建物だ。少しだけほっとして歩を進めるのだが、まだ悪夢は始まったばかりだった。

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注釈