日付:2007/9/30
目覚めると昨日買い込んでおいたパンを食べさっ そく出発である。実はこのホテルでは無料で朝食バイキングを食べることができる。昨日の朝
「無料の朝食バイキングなんてどうせろくなものではあるまい」
と 思いながら降りていった私は驚愕した。実に様々なものが用意されており、下手なホテルの「1000円朝食バイキング」よりよっぽど豪華だ。麦飯にとろろを かけ、山盛りの野菜と一緒に食べるととっても幸せな気分になる。よし、ここでしこたま食べておけば昼飯が浮かせるに違いない、と思い実際昼飯は100円の アン パン一つで満足であった。
ああ、幸せ。翌朝もこれを食べるのだあ、と密かに決意したのだが、いかんせん時間が合わない。泣く泣くあき らめとにかく出発で ある。青春18切符にはんこを押して貰い、これで今日は一日鈍行乗り放題である。青森から出発と思うがなかなか列車が動き出さない。なんでも先発の特急列 車が車両点検の為に遅れており、そのため出発できません、とか。なんということだ。次の電車への乗り継ぎ時間は7分。それ以上遅れたら今日の予定が全部 パーになるではないか。などと憤怒の炎を燃やしているうちに電車は動き出す。まあ動き出せばなんとかなるだろう、と思っているうち寝てしまう。目が覚める と弘前で乗り換え、もう一度乗り換えたような気がする。とにかく時間通り秋田に到着する。レンタカー屋を探し、あれこれ手続きをする。なんとか保険をつけ るか、と問われる。つけます、というとその後に「この保険ではこれはカバーされません」と説明がつく。入ると言った後に説明というのはアンフェアではなか ろうか。
などとごねている場合ではない。ここに午後3時までには帰ってこなければならないのだ。車両の準備をして貰っている間地図を 眺める。それ まで今日行く場所は秋田から東に行くのだと思っていた。そのつもりで地図をいくら観ても目的の地名は現れない。これはいかなることか、と南に目を転じてみ るとちゃんと存在している。最近駅の乗り換えはインターネットで検索すれば簡単に分かるようになった。しかし地理的関係が把握できないのでこういうことが よく起こる。とにかく南だ、と自 分に言い聞かせる。
用意された車はプリウス。ハイブリッド車である。モーターの音がとても静かなのでいつ動き出すのかよくわからな い。最初はおそ るおそるだがそのうち慣れてくる。7号線という日本海に沿って走る道路をひたすら南下する。ふとみると道路脇で何かを売っているのだがこれが結構売れてい る。どの場 所にも車が止まっていたような気がする。あれは何だったのだろう。そのうち車の流れがはたっと止まる。今日のように時間制限がある旅だとこうした渋滞はとても 恐ろしい。最悪何もみないまま 所定の料金を払って、ということにもなりかねぬではないか。とはいえのろのろ動いてはいる。しばらく行って渋滞の原因が判明した。追突事故が起こっていた のだった。
そこをすぎてもすいすい、とはいかない。しかしこの7号線という道路はほとんど信号もないので基本的に流れはスムーズであ る。そのうち カーナビ様が降りろ、とおっしゃる。言われるまま降りて内陸部、つまり東に向かう。道は細く曲がりくねっている。反対車線の車とすれ違うのはいつも神経を使うこ とだが、ゆっくり走るしか手段はない。外は日本晴れ。これは暑かろう。
そのうち山道に入り、ぐいんぐいんとくねった道を進 んでいく。するといきなり目的地の看板が現れた。入り口からしてこのイ ンパクトである。写真では読みづらいが「岩 城修弘霊場」と書いてある。おそらくこの場所の名前であろう。いくつかの看板には字が充満している。そのうちの一つにはこう書いてある。
「癌を含む、病気で苦しんでいる方、ここの霊場にはたくさんの観音様地蔵 様等がおりまして貴方様の心を癒し病気を治してくださいます。
ぜひ登つて行つて(100米)見て下さい。Uたんする所あります。 霊 場主」
そういわれても、この言葉を真に受け、上がったところで「Uたん」に苦労するのはいやである。近 くの空き地に車を止めるとてくてく登り出す。道の脇にある登りには「七福神」とかたくさん書いてあるが、どっかに七福神いたっけな。そのうち道の脇にこん なものが見える。
この後もこうした人の顔に は何度か出会うことになる。そして坂の右側にはこのようなものが延々と並んでいる。実在の寺院の写 真と説明らしいのだが、なぜこのようにたくさん存在しているのかよくわからない。道の左側を見るとこのように地蔵が点在している。
こ こはなんなのか、と首をひねりながら登り切るとこのように立派な建物がある。
や れうれしや。何かまともそうではないか、などと一瞬安心する。しかしその前に左手にあるものから目をそらすわけにはいかないのである。
こ れが何かと問われれば「顔です」としか言いようがない。鼻が棒になっているのはなぜなのだろう。口が扉になっているのだが、そこから上に向かってはえてい る毛は一体なんなのだろう。その左右にあるCの形は何を表している、などと考え始めめてもおそらく解はあるまい。そして先ほど見えた本堂も近づいてみると 普通の場所では無いことがわかるのだ。
「病 める方よ-貴方様は現代医学にだまされているとは思いませんか。??」
と言われてもはて、左様でございますか、としか言いようがない。「。」のあとに「??」がついているところからして何やら不安に襲われるが、ここ を作った人が何かをいいたいことはわかる。お堂の周囲にはこんな調子でびっしりと文字が並んでいる。
では具体的に何が書かれているのだろう。一部を以下に示すので後は推測してくださいな。ちなみに↑には「癌は病気ではない」と書いてある。
キリスト様仏様が並んでいるあ たりにここを作った人の熱い思いが感じられるではないか。さて、正面の扉にはこんな張り紙がある。
「開けて下さい」はいいのだが、その 下にある花の写真は何を意味しているのだろう。いや、今は考えている場合ではない。