2002年カレーの旅

日付:2002/4/1

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 夜汽車にのって | 札幌 | 


札幌

まずは地下鉄を目指す。ホームをみているとなんとなく大阪の地下鉄にどことなく雰囲気が似ている。しかし列車に乗ると大きな違いに気がつく。静かなのだ。後で聞いたところでは全国唯一のタイヤ付き地下鉄だという。いや、鉄の道はないから、地下「鉄」と言っていいのかどうかも定かではないが。

中島公園というところで降りるときょろきょろする。今日泊まるホテルはここから歩いて5分となっているのだが、その歩くべき方向はどこだ。2度ほどあさっての方向に突進した末なんとかホテルにたどり着く。荷物をおき風呂に入ると(寝台列車には風呂はなかったのだ)少しリラックスする。それとともにあれこれの不安が顔を出してくる。昨日の午後6時まではとにかく参加できるか、買ってしまったチケットが無駄にならないかばかり心配していたがこうして無事札幌に到着してしまった今となってみれば、本当に私はオフに参加してしまうのだ。今まで一度も会ったこともしゃべったこともない人たちと会うのだ。どうしよう。OG氏だけはだいぶ前からサイトを読んでいるけど、他の人たちは最近読み始めたばかりだし。だいたいサイトの印象と実際に会ったときの印象って必ずしも一致していないし。

などと考えているとだんだん気が滅入ってくる。折しも夕方であり日は傾きそして外は十分に寒く道路には雪が残っている。ええい、私は札幌まで来てしまっているのだ。今更

「大坪は失踪しました」

などと言うわけにもいかない。とにかくケツを上げて前に進むしかない。ベッドからむくっと起きあがると外にでる。地下鉄に乗ると札幌駅に着く。どうやら駅ビルの工事をしているらしく、通路はややこしくなっているが、どうやらあれが指定された

「札幌駅西口改札ミスタードーナッツ」

のようだ。

時計を観るとまだ5時。待ち合わせ時間まであと30分もある。本屋に入ったり、でたりして時間をつぶす。そろそろ行こうかと思うと残りは10分。これは微妙な時間だ。ちょっと早すぎる気もする。かといってこれから何かをするのには短すぎる。しょうがないから明日空港にどうやって向かったらいいかよいか、など調べてみる。もう時間が過ぎただろうと思い時計をみるとまだ5分ある。これまた微妙な時間だ。そこらへんをくるくるくると3回ほど回ってみる。時計を観ると3分前。ええい、もう面倒だから行ってしまえ。

待ち合わせ場所につく。あれ、ミスタードーナッツの前に誰もいないじゃない、と思うと電話帳を抱えた男性の姿が、ああこれが。こちらが相手の顔をのぞき込むと、以前サイトにあった

「サングラスをかけた男性の顔」

を思い起こす。この顔にあのサングラスをつけると、、たぶん間違いあるまい。相手も

「大坪さんですか」

と聞く。かくして私達は無事対面を果たしたのである。OG氏は一緒にきていたKZ氏を紹介してくれた。背がひょろっとした青年である。聞くところによると彼はまだ大学2年生。ということは私の約半分の年齢。OG氏は

「サイトの写真のどれにも似てませんね」

という。私はほーれこの顔だよとどれかの顔を作ってみせる。

ほどなくしてRM氏が到着。一行はOG氏に先導されカレー屋を目指して歩き出す。道を歩きながらあれこれ話す。すると頭に浮かぶのは閉鎖されてしまった「デジタルライフ」というサイトに書かれていたOG氏のサイト紹介の一文だ

「頭の回転早いよ」

彼と話しているとどこかそういう印象を受ける。本日はスリランカカレーと、タイカレーがありますがどちらがいいですか?と聞かれる。どう違うのか、と言うと、タイカレーはココナッツミルクがはいっているのだそうな。そういえば以前タイ料理を食べにいって人生最大の下痢をしたことがある。そう口にはださなかったがスリランカカレーを所望する。

店に入るとさっそく注文だ。基本はチキンカレーだそうなのだが、結果的に我々の注文はみごとにばらけた。チキンカレー、ベーコンと野菜カレー、豚の角煮カレー、豚の角煮と野菜カレーである。辛さは5段階から選べるとのこと。OG氏を除いた3人は中くらい(と思われる)3を選びOG氏は5を選択した。そこからカレーの辛さに関する話題がしばらく語られる。なんでも200段階あるうちの2を頼んだところ、その辛さにエライ目にあったとのこと。2でそうなのだから残りの198段階はどうなるのだと誰もが思うところだが次第に耐性ができ、度数が上がっていくのだそうだ。しかし80+xに達したところでその店がなくなってしまったそうなのだが。

そこからスープカレーの起源についていくつかの事柄が語られる。私は横浜で「スープカレー」なる看板を2度ほど目にしている。ということはそれほどポピュラーではなく、宣伝するに値する事柄のわけだ。一方この地ではスープカレーという存在はごくあたりまえのものという。その事実を知ってRM氏は驚く。そこから転じて

「北海道では普通に観られるけど、他の場所ではたぶんそうでない事柄」

に話題が移る。コンビニがどうの、という話の次には密漁を禁じる話が語られる。何でも

「漁民は泣いているぞ」

とかいう看板がたてっれているのだそうな。まるで226事件の時の投降を促す呼びかけのようだ。

密漁ハ止メテ今スグ戻ッテコイ。オ前ラノ両親ハ知ラナイガ、漁民ハ生活ノ糧ヲ奪ワレテ泣イテオルゾ

しかし不思議なことにその看板は山の中にあるのだそうである。スキー場に行く途中とかに。なぜだろう。なぜかしら。

そんなことを言っているうちにスープカレーが運ばれてくる。テーブルに4っつのカレーが並んだところで私はシャッターを押す。

 

これがかの有名なスープカレーである。さて、食べようというところでOG氏が食べ方を説明してくれる。私などが普通に考えるとこのスープの方をご飯にかけたくなる。しかしそれをやると怒られるのだそうだ。正しい食べ方は逆でご飯をスプーンにもってスープにつけなくてはならないと。

なるほど、と思いやってみるとこれが素敵においしい。一同は無言になってぴちゃぴちゃぱくぱくやりだす。具も基本的にはそのままの形で浮かんでいるのだが、これもまた結構。

ふと気がつくと5倍カレーを食べているOG氏は心なしか顔が赤くなっているようだ。彼の弁によると、若くて(彼からみても若いということだが)新陳代謝の激しい男は、カレー屋に入ってそのにおいだけで汗を流すという。そんな話を聞き、カレーを食べながら考える。このカレーは実においしいい。これだけで今日はるばる来たかいがあったといってもいいだろう。しかし同時にこのカレーが関東エリアでは見つけがたい物であることも知っている。OG氏は4月から就職とともにこの地を離れ神奈川県に行くことになっているのだ。ああ、彼のカレー生活はどうなってしまうのだろうか。

そのうちOG氏が携帯を何度か見出す。7時までに次の待ち合わせ場所に行かねばならぬのだが、どうやらその時間が気になるらしい。次の待ち合わせ場所がどこだか知らない私にはそれがどの程度切迫したものであるのか知らないが、とにかく急ぐ必要があるのだろう。全員が満足のうちに食べ終わると「では」ということで店を後にする。

この店は注文取りから、調理するのから、運ぶのから、お金を受け取るのまですべて一人の人がやっている。我々が個別に精算している間他の作業はすべてストップしていたわけだがそれでも客は入ってくる。たぶん待たされる店であることを知っているのだろう。隣のテーブルでカレーを待っている人たちはのんびりと雑誌に読みふけっている。

私たちはOG氏の後につき駅を目指す。道には少し雪が残っており、時々雪の上をあるかなければならない。その上を軽々と歩いていくのが他の人たち。一人だけ腰を引いたなさけない格好になりながらついていくのが私である。雪がないところに戻ると追いつくべく足を速める。

地下鉄に乗ると待ち合わせ場所とおぼしき場所についた。そこで間中「学生であるKZ氏がしたらいいと思う」アルバイトについて会話がなされる。KZ氏、RM氏が言うには本土の方で

「住み込みで工場で働く」

というバイトが結構あるのだそうだ。しかし「寮完備」という言葉の裏に何が待っているかはその募集要項から伺いしることはできない。ではマグロ漁船に乗り込むのはどうだ、などと言ったか思っただけか覚えていないのだが、そこからKZ氏がやった

「富士山の山小屋(標高3000m)で一ヶ月バイトする」

話となった。なんでも毎日飯をつくり、人間を寝床に押し込むのだそうである。この山小屋で寝る、ということに関しては山に登る人である父から何度か聞いたことはある。父は話を誇張しているのだろうと思っていたが、KZ氏の話を聞く限りそれは真実のようだ。頭と足を互い違いにして、人間を押し込む。目の前に見知らぬ他人の足があるわけだが、それでもよれよれに疲れているから寝入ってしまうのだそうな。TVなし、ラジオはあり、新聞は毎日食料とともに運ばれくる。そうした下界と隔絶されたバイトだが、KZ氏はこともなげに

「楽しかったですよ」

といった。

そんな話をしながら我々はまだ観ぬ二人を待ち続ける。そのうちOG氏の携帯に電話が入った。会話が終わると彼は近くの公衆電話にあった電話帳をつかむ。やはりこれが目印なのだ。最初につかんだものは厚すぎ、一度おいてもっと薄い物にする。私も「手伝おう」として薄い一冊を手に取る。できあがったのは電話帳をそれぞれ手にしたあやしげな男4人組。はたしてこれが「手伝う」ことになるのかどうかはなはだあやしいものだが。

そのうちAC氏が登場する。簡単に挨拶をすると最後のRB氏を待つ。彼女はどこにいるのでしょうねえ、、などと思っている、めがねをかけた女性がためらいがちにこちらに歩いてきた。おお、彼女は電話をかけたいのではないか。考えてみれば我々は公衆電話の前を電話帳を手に占拠している状態なのだ。OG氏は道をあけるように位置を変えるがその女性はそのままの様子で近づいてくる。数秒後に解ったことは彼女の目的は公衆電話ではなく我々であり、そして彼女はRB氏である、ということだ。

全員がそろって宴会場に向かいましょう、ということになる。場所を予約したのはOG氏だが実際に行ったことはないらしい。AC氏は行ったことがあるという。というわけで一同二人の女性を先頭に歩き出す。

上に上がれば結構な繁華街だ。ここがかの有名なすすきのか。KZ氏曰くここは一人で歩いているとやたらと声をかけられると。ほどなく店に着く。一同が案内された席に座るとまわりは結構にぎやか。写真では静かなところに見えたのだけど、などという会話がなされる。

 

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注釈