「最適な情報を推薦」などと軽々しくいう人間は

2008-10-24 00:00


考えが浅い(きっぱり)


先日行われた第4回キャズム会議で増井氏がこう発言したと聞く。



チャンネルを変えたときに、どうして変えたのかを入力させれば簡単にリコメンド機能は作れますよ。


「リコメンド機能とかは今の技術でも作れるんでしょうか?」という質問をされたときの回答です。


キャズム会議での増井俊之語録より



私は増井氏の意見に賛成だ。逆の言い方をすれば、


「どうして変えたかを入力させない限り”最適な情報”の提供などできっこない」



先日某学会で 特別企画「インテリジェンスとインタラクションの統合に向けて」なるパネル討論が行われた。私はこのパネル討論の一回目に参加しており、そこでも曖昧に主張したのだが(ああ、、数か月前まではそんなことをしていたのだなあ。。)ここで再度主張しておく。



「情報推薦は、リアルタイムのインタラクションなしには成立しない」



何が「ユーザ」にとって最適かは、コンテキストに依存する。そしてコンテキストは、ユーザに聞く以外の方法で取得することはできない。


であるから「黙って座ればピタッとあたる」なんて情報推薦は絶対にできないのだ。


先日紹介した「珍スポット探訪システム」であるが(例によってFireFoxかSafariでみてね)


ここでは増井氏が言うところの「どうして変えたかを入力させる」というのを次の方法で実現している。


・何かをいいと思った→クリックしたものに「近い」ものを表示する。


・今のも悪くないけど、同じようなのがもう少し見たいと思った。→Moreを押してもらう。


・なんだか知らんが、「別のもの」を見たいと思った。→Otherを押してもらう。


こうやってぽんぽん変えていくと、出てきたものをみてユーザにとって「最適な情報」は変化する。つまり「最適な情報」とはMoving Targetなのだ。Moving targetを狙うのを、リアルタイムのフィードバックなしに行うなんて馬鹿げている。


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ついでにいえばTVにごちゃごちゃした情報やら、画面部品を表示するのは「根本的」に間違っている。そうしたものが「前のめり」になって使うPCの世界で生まれてきたものであり、どてっと座り、後ろに倒れた姿勢で使うTVの世界には適合しないのだ。


その昔TV本体には「チャンネル」というものがついていた。それを回せば番組が変わる。あれより格段に複雑なものをTVのユーザに触らせよなどというのは「どうしようもなく」間違っている。


その間違いに気がつき、提供するインタフェースがPCの呪縛から解放されない限り、TVは今の形態より進化することはないし、普及することもない。


じゃあどうする?何度も出しているので「またか」と思われるかたもいるかもしれないが、今私がここで主張したことを形にしたのが、この画面だ。



D


これは頭がほれほれになっていても使える、、、と少なくとも私は知っている。