システム構築の費用とは一体なんなのか
2015-05-25 06:54
こういう記事を読んだ。
「IP電話を導入する場合のベンダーの見積もりは約2億円だった。アナログ交換機を更新する場合でも費用は約2000万円。しかし自分たちで敷設することでサーバーは20万円,電話機500台は800万円で導入でき,電話料金も年間400万円削減できた」
いろいろな点で示唆に富む内容だ。考えるのは
「確かにそうだろうが、会社として受けるなら、2000万の見積もりだすよなあ」
といった点である。はてなブックマークのコメントから拾ってみよう。
このレベルの人が要件をきっちり整理してSLAに判子押してくれれば、外注しても問題はないと思うのですがねー
"IP電話に障害があれば一部残したアナログ電話を使えばいい,いよいよとなれば職員の携帯電話も使える"この割り切りができるかと、その責任を取る覚悟、あとは稼働を保障する代金が料金の95%。
特に二つ目のコメントが真実に近いと思う。2000万といったとき、その95%は
「何かあった時の文句を避けるための保険代金」
なのだ。トラブルがあったとき「ちゃんと試験はしたのか」「試験手順書を見せろ」「試験結果の確認印がない」とかまあそんなことを延々とやる。そういう「リスク」に備えようとすれば、あれやこれやをくっつけて2000万にするしかない。日曜大工でいいというなら30万で請け負うけどね。
私が若かりし頃、部内のLANを(当時だからLocaltalk+Ethernetだが)を自分で設置した。当時はLocaltalkのハブも相当な値段がしたが、それだけは会社の費用で購入し、あとは電話線を休日に引き廻した。(あれ、あの電話線自腹で購入したんだっけな?)あれも仮に「外注」したとしたら数百万から1000万はかかったのだろうな。
だから皮肉なことだが、この記事を読んで
「なんだ。こんな値段でできるというじゃないか。お前らもっと見積もりを下げろ!」
とか寝ぼけたことをいう人間がほとんどなのだと思うし、そういう人間は絶対に「割り切りによるコストダウン」の恩恵を受けることができない。
話はいきなり飛ぶ。私は以前こう書いた。
アクティブユーザ4億人以上のサービスを32人のエンジニアだけでマネージしていると聞けば、IT方面の人は卒倒しかねない。NTTデータに派遣されていたときは、紙の仕様書を作るだけで、10名以上のエンジニアが座っていた。(そして半分以上遊んでいた)
引用元:ごんざれふ
たとえばNTTデータに「4億人以上のアクティブユーザをさばけるシステムを構築してください」といえば「ラインを組んで」数十億の見積もりを出してくるにちがいない。そしてその出来栄えはWhatsAppの現行システムの1/1000くらいのものになる。つまり「システム構築費用」というのが実質的に「なんの費用であるのか」というのはまだあまり真面目に検討されていない項目だと思う。