日付:2002/7/13
950円-Part5(Part4へ | Part6へ)ナショナル・トレジャー-National Treasure (2005/3/19)
例によってプロデューサーなのに名前が大きくでるジェリー・ブラッカイマー制作である。ニコラス・ケイジである。というわけで安心して(つまりあまり緊張とか感動せずに)観ることができる娯楽映画。
長い話はどうでもいいので、省略すると要するに宝を探してニコラス・ケイジと悪者が競い合う、という話である。必要に迫られ裏に地図が書いてあるという米国の独立宣言を盗み出す。そうこうしているうちブロンドで美人の考古学者が道連れになる。逃げ出す途中で
「この格好では目立ちすぎるから」
という理由で服を替えるのだが、
「服装云々よりもそんなブロンド美人を連れているほうがよっぽど目立つぞ」
と軽く突っ込みを入れる。
というわけで特筆するところはないがさすがに「手慣れている」という感じがする。テンポ良く話が進み例によって最後は丸く収まるのだが、必要以 上に人が死なない(悪者も含めて)のがいいところ。また山ほど発見した財宝も米国だけで占有するんじゃなくて、各国に分け与えるところが昨今の映画という ところか。見終わった5分後には内容があらかた頭から消え去っていきます。
アレキサンドリア図書館にあった文書があれば、私だって是非みたいぞと思うが結局は脳天気な娯楽映画だからそんな妄想を広げてはいけない。というわけでご機嫌に2時間少しを過ごさせてくれるのだから見事な芸と言っておこう。
クライシス・オブ・アメリカ-Manchurian Candidate(2004/10/29)(1000円)
湾岸戦争で待ち伏せ攻撃を食らった米軍部隊。その危機を見事に切り抜けCongressional Medal of Honorをもらった男は副大統領候補になった。しかし同じ部隊にいた男は悪夢に悩まされていた。。。あの時あの場所で本当に起こったことはなんだったの か。
いくらの値段をつければいいのかまだ悩んでいる。映画はとても緻密に重々しく進む。本編を観てから予告編を観たのだが、監督はThe Silence of the lambsの ジョナサン・デミ(最近さっぱり聞かなかったけど)悪夢に悩む主人公はデンゼル・ワシントン。それに副大統領候補のでしゃばりママ兼上院議員はメリル・ス トリープ。早回しだの飛ばし機能を使おうなどとは全く考えずに見入ったのは確かである。また一度見終わった後には、あちこちを見直し「なるほど、こういう 事だったのね」と確認したり。
しかし緻密に作られているだけ、だんだんとその重さに耐え難い気がしてくる。そんなことを言えばThe Silence of the lambsだってとても暗く重い映画だったのだが、ではレクターとクラリスのような圧倒的なキャラクターがいるかと言えばそうでもない。とてもよくできた いると思うのだが、見終わった後全く幸せな気分になれない。従っていくらの値段にするか困ってしまうわけだ。
でしゃばりママ兼上院議員が、「子供のためと言っているが実は自分のエゴを実現するためだけに子供を意のままにしようとする」ところが一番印象 に残る。その浅はかさと恐怖が話が進むにつれて伝わってくるのだが、、、いや、「恐怖」がもっと感じられれば傑作と思えたのだろうか。あと、副大統領候補 は結婚もしておらず、いつも母親とでてくる。となれば誰がどう見ても強烈なマザコン男だからいくら米国人が大好きな「戦争の英雄」だからといって人気がで るとは思えんなあ、とか突っ込みどころこはそれくらいなのだが。
主演男優と音楽には感銘を受けた。しかし映画はそれほどでもない。
盲目の天才的ミュージシャン(後者の方は映画を観た後だから言うのだが)レイ・チャールズの生涯をたどる映画。貧しく不幸が重なった少年時代、 有色人種故の差別、天才としか言いようがない音楽の才能、浮気&隠し子、ヘロイン中毒、有名になったが故の昔からの仲間との決別。ドラマを作るのに事欠か ない材料がそろっているのに、今ひとつ心に迫ってくる物がない。
彼は妻や子供や愛人に「愛してる」と繰り返すが、それは(映画の中でも言われているが)彼が唯一愛している自分の音楽のために必要だから「愛し ている」に過ぎない。つまり相手がどう思おうが、どうなろうが知った事じゃないけど、君がいないと僕が寂しくて音楽に影響がでて困るからいかないでくれ、 といっているわけだ。
というわけで天才アーティストというのはどうしようもない人間であることだなあ、と再認識するわけだが、その人間としての「ダメさ」加減とすば らしい才能のギャップが何かを考えさせる-とはならない。なんだか中途半端にRayがいい人に描かれているのがいかんのかなぁ。聞くところによると生前の レイ・チャールズ自身がこの映画の製作に深く関わっていたとのこと。それがこの「中途半端さ」の原因だろうか。
では全くどうしようもない映画かと言えばそうではない。をを、これは聞いたことがある。まあ、これもだ。全部レイ・チャールズの作品であった か。ジャンルもカントリー、ゴスペル、R&B、なんでもこい。まれにしか天才は生まれないものだが確かにたまには存在するものだなあ。主演男優- ジェイミー・フォックス-もすばらしい演技を見せ、その姿は私が知っている晩年のレイ・チャールズとなんら違和感なくつながる。しかし映画を作った人はそ れほどの才能に恵まれていなかったということか。
ボーン・スプレマシー -The Bourne Supremacy(2005/2/12)
まだあまり親しくなってはいない相手とのデートで「とにかく無難な映画」を観たい、という時にはまことに適当な映画。
前作を観ていないのだが、特に問題になることもない。オーシャンズシリーズで は情けない役柄のデーモン君だが、この映画では堂々の主役。CIAで暗殺計画目的にトレーニングされたけど、記憶喪失になった男を演じる。彼が宣伝用の番 組に出て「アクション映画だからとにかくアクション観て」と言ったとおり話の筋はまあどうでもよい。インドで隠遁生活を送ろうとしているのに何故かCIA とロシアの殺し屋から狙われる。これはどうしたことか、とあれこれやるお話。エロもグロもあまりありません。テンポが良いから眠くもならないし。
でもってデーモン君ご推奨のアクションシーンなのだが、とにかく画面が揺れるので、何が起こっているのかよくわからない。人にもよるのかもしれ ないが私にはちょっと「ブレ過ぎ」。特に最後のカーチェイスにけりがつくところはかなり想像力を駆使しないと何が起こっているかわからない。とかなんとか やっているうちに悪い奴はやっつけられ話は丸く収まる。よくよく考えるとデーモン君があまり何もしなくて、悪い奴が勝手に自滅したような気もするがそんな 細かい点を問う映画でも無かろう。終わり方を観るとあわよくば3作目を作るつもりかもしれん。暇があればそれも観るか。
ふたりにクギづけ-Stuck on you(2004/12/11)
いろんな面でChallengedな人の映画を撮り続けるファレリー兄弟の作品。今回の主人公はConjointed Twin-シャム双生児である。前作-「メリーに首ったけ」、と愛しのローズマリーよりは良いと思う。しかし見ている間に値段は560円から1080円までを上下し最終的にここに落ち着いた訳だ。
性格の違う二人の兄弟。兄の方はハリウッドに行って一旗揚げることを狙う。もちろんそれに弟も離れずついて行くわけだ。でもって成功したりほさ れたりあれこれあるのだが、結構テンポ良く見ることができる。例によっていろんな意味でMinorityな人たちはてんこ盛り。弟-マット・デーモンの破 壊的に下手な女性との会話とかそれなりに面白いし。ハリウッドを背景に置くとシャム双生児も特に違和感感じないなあとか。
だからくだらないハリウッド内輪受けギャグとか変な執着とかを除けばもっと良い映画になったのではないかと思う。最低なのは最後のシーン。(エ ンドロールの前ね)このシーンを見て観客は楽しくなると思ったのだろうか。おそらく歌っている俳優と作っている監督は楽しいんだろうけどね。それともメリ ル・ストリープを田舎芝居に出すのが楽しくてしょうがないとか。エンドロール中の二つのシーンは。。入れたくなるのは解るけど何故入れるかがわからない。 この映画全体もなんだかそんな調子かな。良い要素は散らばっているけど全体として今ひとつ。
スクービー・ドゥー2 モンスター・パニック-SCOOBY-DOO 2: MONSTERS UNLEASHED,(2004/10/16)
"2"とついているからには続編なのだろう。「そもそも彼らは何をしている人たちなのか」理解するのに大分時間がかかったが、要するにドジな探偵?達があれこれやる話。その中で特に間抜けとされている男と犬が主役。
その笑いはドリフともトムとジェリー(特に最初に二人がひきずられる場面)とも思えるが軽くけたけたと笑い飛ばせる。「ドジな役」というのは結構私をいらつかせることが多いのだが、そうしたこともない。
そもそもの自分を受け入れることがいいことなんだよーん。自分でない自分になろうとあがくのは良くない、と何度か語られる。もちろんコミカルな 映画の中での話だが、その言葉はどことなく頭に残る。そして全編を貫く軽快なテンポ。観ている間楽しくすごさせてもらいました。最後はみんなそろって80 年代デスコ風ダンス。当時若者だったおじさんにはとてもうれしいHappyなEndingでございました。
ヘルボーイ-Hell Boy(2004/10/10)(1000円)
またまたアメコミの実写化映画らしい。そういわれればあの折れた角の跡には見覚えがあるようなないような。
地獄から一人だけ出てきてしまった赤ん坊は大きくなり人間のために戦っていました。でもって悪い奴がぞろぞろ、、というお話。ここ数ヶ月こうし た「モンスターぞろぞろ」の映画を随分みたような気がするが、この映画はそれらとはひと味違う。端役に到るまでキャラクターがちゃんと描かれているのだ。 それはもう台詞を一言もしゃべらないナチのおじさんまで。あちら側とこちら側のヒロインもきりっとした美しさが印象に残る。
基本的にはヒーロー物だから最後はHappy Endになるし、そのなり方はいくらなんでも都合が良すぎるだろうと思うが、他の点では「ついていけない」と思うことは無かった。それどころか適度にどきどきしながら観てしまった。
惜しむらくはその内容に比べてあまりにも長すぎたところか。2時間13分はあまりにも。ヘルボーイが惚れている女性が別の男と外出。後をつけて あれこれやるところなど面白いことは面白いのだが、ちょっと長すぎたような気がする。しかし全体としてみればスパイダーマン2とX-MENの中間のできと でも言おうか。(当映画評のランクとしても950円と1080円の中間くらい)続編が作られるらしいのだが、今から楽しみだ。
主演女優の努力は分かるけど
連続殺人犯である女性が主人公。人生に行き詰まり死のうと思っていたところに同性愛者の女性と知り合う。そして彼女との「愛」を失なわないため殺人を繰り返すのであった。
サイダーハウスルールで その美しさを印象づけた女優さんが見事な醜女ぶりを見せる。喋る言葉もF○ckの連続でそれが不自然とも思えぬその演技はすばらしい。しかし骨格の美しさ までは隠せません。たるんだお肉の下から鎧が見えます。(肌の汚さは地かと思ったのだが、公式サイトを見る限りメイクのようだ。)
というように主役はがんばっているのだが、如何せん全体のトーンが妙に安っぽい。「愛」だの「選択」だの言っているが、この二人の女性にとってお互いは所詮「自分に都合のいい幻想を維持するための道具」にすぎない。でもって主人公にとって人を殺す理由とは
「殺してしまうのが最もてっとりばやいし、なんだかばれないし」
くらいに考えているとしか見えない。つまり「育った環境の犠牲になったど実はいい人」で「目の前のことしか考えていない幼稚な性格」の短慮な犯 罪者にしか見えないわけだ。実際の殺人犯にはそうした人も多いのかもしれないがこの人はSerial Killerだし。「モンスター」という題名の映画として人に見せる話としてはいかがなものでございましょうか。この映画の元となった事件を扱ったあるサイトによれば
「反社会性人格の犯人は自分が絶対的に正しいという自己イメージを持つと同時に生きるに値しないゴミであるという矛盾したイメージも持っている」
とある。こうした主人公の矛盾した性格とそこから生まれる恐ろしい殺人が描かれていれば印象も変わったかもしれないけど。
唯一笑える(というかホッとした)のは主人公に殺されずにすんだ男の場面。事が終わった後のThank you . You're welcome.というやりとりだけがこの映画で少し気を抜けた瞬間だったが。
映画の冒頭、前作で結ばれた二人がお下品(かつてのドリフのように)かつ楽しそうにしている姿が描写される。はたからみてどうだろうと、二人が幸せなことが一番大切。あたりまえのことだが、これを実写でやるのは難しいのかもしれない。
というわけで幸せではあったのだが、そういえばご両親たる国王夫妻にまだ挨拶してませんでした、ということでFar far awayの国に挨拶に行くとやっぱりあれこれの騒動が、、というお話。前作同様緑の怪物姿もいいが人間になったときの姿もきっちり決まっている。(米国で は男性の容貌に関する基準が異なるのだろうが)また普通私はCGがどうとかには興味を持たないのだが、いくつかのシーンは実写と見間違えるほどのできだっ たのは確か。今や「実写」の映画でもCG onlyのシーンはたくさんあるそうだからあたりまえと言えばそうなのかもしれないけど。
今回は国王、それに王妃がいいなあ、と思い最後のクレジットを観ればなんと王妃の声はジュリー・アンドリュースだった。などと最後まで退屈せずに観ることはできたのだが、前作より少し軽かったかなというのも確か。アメリカの観客限定ギャグが多すぎたからだろうか。
新しいキャラクターとして長靴をはいた猫が登場する。彼の必殺技「子猫のつぶらなひとみでうるうる」は観客の笑いを誘うが、そもそもなんでいき なり味方になるかな、というのも気になったり、、というわけで良くも悪しくも「アメリカ的な。あまりにアメリカ的な」という感を抱きながら劇場を後にしま した。
キング・アーサー-King Arthur (2004/7/25)
よくわからない映画である。
いや、ストーリーはこれ以上は考えられないほど分かりやすい。アーサーと円卓の騎士はがんばって働きました=戦いました。兵役おしまいといわれ ても、まだ残虐なサクソン人と戦いました。何人か騎士は死んだけど生き残ったアーサーは分身断髪の綺麗なお姫様と結婚して英国の王様になりました。(別に ネタバレして困るストーリーとも思えないので書いてしまうが)
よくわからないのは、「この映画って何?」ということである。戦う理由を求めて、というところと不利な戦いを引き受けるところはどこか「七人の侍」 にも通じるところがあるかもしれない。しかしこの映画では顔しかでてこない円卓の騎士がごろごろしているし、多少台詞がある人たちもそこに何かを感じるこ とはできないし、アーサーは大変御立派で感情移入もできない。不利と思われる戦いに悲壮な決意を固める割には結構勝ってしまうし、守られる「百姓達」にい たってはほとんど描かれない。
予告編を観たときから「よくわからんなぁ」と思っていたが全部見終わってもやはりよくわからない。退屈はしなかったがもちろん感動などはしな い。戦闘シーンを壮大なスケールで描いた、というのでもなさそうだし。印象に残ったのは傲慢な一神教とそれに威を借りる人間の暴虐さかなあ、、従ってか関 係ないのかとにかくキーラ・ナイトレイの美しさも不発である。いちゃつくシーンは必要以上に長いと思うけど。
ウォルター少年と、夏の休日-Secondhand Lions(2004/7/11)
出演者と予告編を観れば「これは傑作かも」と期待がふくらむ。しかし本編を観た後には「悪くないけど、、、もうちょっと」という思いが残る。
嘘ばかりついている母親に、大叔父二人にあずけられたオスメント君。この二人がやることと言えば、日長一日ポーチに座り、セールスマンにショッ トガンをぶっぱなすことだけ。最初は驚くがそのうちお互い心の交流が、というお話。叔父二人の若い頃の血湧き肉躍る冒険譚の下りはまるで「ビッグ・フィッシュ」のよう。幸運にもこの映画を作った人はCGに溺れることは無かったから退屈はしない。自分の事しか考えない母親もどっかの映画にでてきたような。。と考えているうちに、するするすると話が進んで行ってしまい、今ひとつ印象に残らない。
その中ですばらしいのがマイケル・ケイン。オースティン・パワーズでも出演シーンだけ「映画」にしてしまう力量はこの映画でも健在。逆にオスメ ント君は今ひとつのような気が。。まあまだ若いしね。ロバート・デュバルは映画全体の出来をくつがえすほどにはよくない。原題にあるLionは複数形だ が、単数形のライオンもちゃんとでてくる。でもあまり機能している気もしないし。
二人の終わり方はちょっといいな、と思うがやはり感想は「もうちょっと。。」になってしまうのだった。