題名:巡り巡って

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日付:2003/9/13


ハニベ厳窟院-地獄編 : 石川県(2003/8/14)

ここからはとにかく地獄という彫刻シリーズになる。たとえばこれなどはいかにも地獄という感じだ。

宴のメニューは「目玉の串刺しと面の皮の青づけ・耳と舌の甘煮で酒は人血酒」ということであり、皿の上を見ればそれらしきものがちゃんと再現されている。奥の方で頭をかいているとおぼしき鬼の姿を見ると彼らの会話を想像したくもなる。今食べているものとは何の関係もないくだらない話題に違いない。職場の愚痴とか。女性に関する話題とか(たぶん彼らは男性だと思うのだ)また人間を食べる人がいればコックさんもいる。

近くには小さな池があり、その中にはこんなものがいる。

紛う方無きシーマンである。商標権とかそういうのは大丈夫なのだろうかと人ごとながら心配になる。まあ確かに地獄にいる人面魚と思えばそれらしくも見えるのだが。

こうした地獄地獄した彫像もいくつかあるのだが、その先には時事ネタが出てくる。これなどなかなかわかりにくかったが

「銃乱射地獄 日本にもくるぞ」

なのだそうである。言われてみれば左様かと思うが、解釈に苦しむものもいくつかある。

ゼネコン地獄と言うことで、偉そうに座っている人間は議員バッジをつけている。議員様に頭が上がらないゼネコンということなのだろうが、これではただ現実を描写しただけだ(ゼネコン業界のことは知らないけどね)そうした現実が地獄、ということなのだろうか。さらにはこんなのがある。

「失楽園地獄 色欲の罪」と書いてあるが、男女がなにやらしているだけでどこが地獄やらよくわからん。なんだかうらやま、、あわわ。

こうした時事物を見ていると、そうした事件をすぐに忘れてしまうことに愕然とする。たとえば「急便汚職地獄 私服をこやした罪」というのがあるのだが、佐川急便がどのような汚職事件を起こしたか私の頭の中には何も残っていない。この人もあと数年もすれば「誰これ?」ということになるのだろう。

そもそもこれが何の地獄なのかよくわからない。見たくもない顔を見せられる我々見物人が責め苦を受けている気さえしてくる。「何分ニモ地元ナモンデ 悪シカラズ」と書かれた黄色い幕の向こうには森元首相とおぼしき人間がゴルフをしている。しかしそのバックに描かれている潜水艦はなんだったのだろうか-と思い検索してわかった。えひめ丸が事故を起こしたとき、森がゴルフをしていたことを描いていたのだ。(asahi.comより)そういえばこの話、Clintonでも書いたことがあったじゃないか。かくのごとく時事ネタは私の頭から簡単に消え去っていく。時事ネタとしてもう一つ。

ネタとしてはここらあたりが一番新しい物ではないかと思う。サダムはいない。「セクハラ知事ノックアウト」などというネタもあるがこれと9.11とどちらが先だったか後だったかも覚えていない。

ストーカー男と追われる女のペア。例によって女性の描写が部分的に誇張されている。(腕など省略されているのに)他にはもう少し時事色の薄いネタがでてくる。

上のはへび地獄。下のはよくわからなかったのだが説明を読めば「闘争に明け暮れた罪 三すくみ」だそうである。白い人間の上にいるのはなめくじなのであろう。さらには今ではあまり聞かなくなったこんな罪もある。

「不敬罪 最高の罪」と書いてあるのだが、ここでさらし首になっているのが誰かはさっぱりわからない。ラディンの横にあったこれなどはターミネーターの一シーンのようだが。

この後は「普通の」仏像エリアになる。

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注釈