日付:2004/5/12
飯高洞窟美術館 御十八観音巡りいやしの里 : 三重県(2004/5/2)
名古屋から近鉄にのり松阪へ。昨今ではこの名前を聞くたび某ピッチャーのモンチッチ金髪が頭をよぎるがそんなことは関係ない。駅前からその名も「スメール」行きのバスに乗る。(香肌峡というところらしいのだ)最初は私の他に乗客もいたのだが、途中から貸し切り状態になる。前方に「主な停留所」の名前一覧が書いてあるからどのあたりまで来たかはわかるけど遠いなあ。川に沿って進んでいるのだが、そのうち民家が少なくなってきた。はて、今日の目的地はどんなところだ、と思っていると再び道が広くなりあれこれ建物が見えてくる。そこからしばらく行ってようやく終点スメールに到着だ。
時計を観ると12時40分過ぎ。90分バスに揺られていたことになる。さて帰りのバスはと観れば13時22分発。それを逃すと17時台までバスはない。ということは私は40分で目的地まで往復しかつ見物せねばならぬということか。これは厳しい。
などと嘆いている暇があれば進まねばならぬ。さて問題です。目的地はどこでしょう。バス停があるのはパターゴルフのハウス。えーっとえーっとと適当に決めつけた方向に向かって進み出す。道の脇では変わり自転車(横に二人乗りとかぴょんぴょんはねると前に進む物とか)に家族連れが楽しそうに乗っているがこちらはのんきに歩いている場合ではない。最初は早足だったがそのうち小走りになる。そのうち前方に何か見えてきた。はるか上方にレジャーセンターと書いた看板が見える。あそこまで往復すればそれだけで40分はかかりそうだ。おまけに遠い。ええい、なにも今日の目的地があそこと決まったわけではない。なおも進むと「リフレッシュパーク・本日は終了しました」という看板が見えてくる。
一瞬絶望しかかるがしかしその先に今日の目的地とおぼしき看板も見えてくる。とにかく行ってみようと先を急ぐ。
みえてきたのがこの入り口と出口。某新聞のサイトによれば、今年の2月18日にリニューアルオープンしたとのことで、他のサイトで観たのとは書いてある文句が変わっている。入場券は中で、と書いてあるが、入り口近くにある小屋から女性がでてきてくれた。800円払うと中にはいる。このときその女性が「さっきまで大変だったけど今は落ち着いたわ。あなた丈夫そうだから歩いても問題ないわね」とか言ったように聞こえた。(実はこの時それほど言葉に意を止めなかったのでうろ覚え)洞窟は700mということだがそれほどの難行苦行なのだろうか?この言葉の意味を知るのはここを出た後になる。
そんなことも知らず私はとにかく先を急ぐ気持ちで充満している。中はこんな感じでトンネルの両脇になにやらが飾ってある。
アンコール、ビルマタイ、ベトナムの仏像、それに陶磁器、伊万里などがごろごろ並んでいる。ゆっくり観ればそれなりに面白いのかもしれないが、とにかく先を急ぐ私は早足で歩き続ける。18体のいろいろな御利益をもつ観音がところどろこにいて、たとえばこれは夫婦観音-元気な赤ちゃんがさずかります-だそうである。
普通の仏像ももちろんたくさんある。
しかしこの像の足下にある
「仏立像
目を大きく見開いて眉がつながっている最も仏像」
という言葉はどう解釈すればいいのだろうか。
その先に洞窟が枝分かれしたところがある。中に入ってみるとこんなのがいる。
番外1,宝当観音とのこと。宝くじが当たる、当たると10回念じながら鐘をつけ、とのことだが、洞窟の奥深く、一人でそんなことをしているとそれこそ悟りを得てしまいそうだ。先を急ぐ。ところどころ佛教の発祥と伝搬、何故たくさん宗派があるのか、などの説明文書があり読んでみたいとも思うのだが私の最大の関心事は時間だ。トンネルは思ったより長く自分が時間を消費しすぎてしまったのでは、という強迫観念に襲われる。
その先にわき水がでているエリアがあり、鍾乳洞のように岩壁が白くなっている。後からもらった地図を観れば、「御観音命水」とだけ書いてある。ここが何かを知るのはもう少し後の事。
ずででと歩き続けると、だんだん何も置かれていないエリアが増えてくる。途中石が置いてあったりするのだが、意図してそうされているのかどうかわからない。出口近くになるとこんなものがある。
あとから地図を観れば喫茶室というエリアらしい。前掲の記事の中で「この水で立てたコーヒーやぜんぜいの無料サービス」とされていた場所のことだろう。近くには「日本コーナー」がある。他の場所でも何度か経験したことだが日本の物が並び出すとどうにも物置のような雰囲気を醸し出すのであった。
さて、これで一通りか、と思い外に出る。するとそこにいるのは貧乏観音だ。
なんでも手前にある看板によれば
「貧乏はお金の問題ではない!心の問題です!と言ってもお金が欲しいですね....
貧乏観音様の御前で御観木(自分自身の弱い心)を3回叩いて、3回蹴飛ばす(散々逃げていくという洒落)吊がねを2回叩いて、福の観音を呼び出して下さい。」
なのだそうな(一部抜粋)。私は自分が金持ちだと思ったことはないが、ここで叩いたり蹴ったりするのもいやである。その隣には動物供養観音がいる。どうも馬か何かの頭の像らしい。
全般的に他のサイトで観たものよりも、リニューアルによって大分整理されて「しまった」なあというのが感想である。一般向けにはもちろんそのほうが好ましいのかもしれないが、、と思っていると先ほど入場券を渡してくれた女性がいる。時計を観るとまだ少し時間がある、と話しかけた。
ここから書くことは私がその女性に聞いたことを怪しげな聞き取り能力に加え更に怪しげな記憶力を使って書くことである。従って内容の真偽については直接お問い合わせるなり水をくんで成分を分析して医学的に調査してくださな。
そもそもこの洞窟はなんですか?と聞くと26年前近くに作られたダムの湖底に石を敷くため、採石用として作られたのだそうな。ダムが完成した後、洞窟の中はゴミだかが捨てられ、コウモリが住み着きかなり不気味な事になっていた。そこで町から美術館をオープンしてくれ、と依頼を受けたのだとか。
それまでは給料をつぎ込み集めたコレクション(パンフレットによれば「昭和35年から約35年かけて東南アジアの美術名品を収集」)が家にあり、それらと顔をつきあわせて暮らしていたので大変だった。
8年前にオープンしたのだが、とても採算がとれず、一時は土日祝日のみの営業としていた。
今年3回目のリニューアルオープンをした。その際、中にある仏像全てににお坊さんを呼んでなんとか(聞き取れませんでした)をしてもらった。それから採算がなんとか合うようになってきた。(現在休館日は月曜日、火曜日?)佛の御利益ですか?と聞けば、どうやらもっと物質的な理由らしい。
途中岩壁をわき水がつたい、その周りが壁で囲まれているエリアがあった。あれはなんだろうと思っていたのだが、どうやらこの洞窟内でわき出す水が(最初からわき出していたわけではないらしい)カルシウムに富み、(一リットルあたり100mg以上?)骨粗鬆症とかリウマチとかに卓効がある、という事が知れ始めたのだそうな。なんでも人によっては20リットルのカンを五つも持ってくるとのこと。(後で気がついたのだが、それでは総計100kgになるではないか)などと説明してくれている女性も以前はリウマチがひどく杖をつかなければ歩けず、病院に行ってもどうしても直らない。こういう類の話は信じないのだが、他の人が飲んでいるから、と洞窟の水を飲むようになってからほれ、この通り。今は700mの洞窟を一日に何度も廻っている。。。なるほど。なるほど、と感心して聞きながらも私が時間が気になってしかたがない。1時22分までにあそこに戻らないと私はここでなすことなく4時間過ごす羽目に陥るのだ。
ここの水で氷を作ると乳白色になる。お茶を作るとよいお茶は出過ぎ、悪いお茶は黒ずむ。などと話がループしかけたところで、では、と失礼する。あわくって坂を駆け下りバス停に着けば5分前。トイレに行きひとごこちついたところでバスがやってきた。やれなんとか間に合った。
というわけで帰りも90分のバス旅行。きっと足が悪い方が水をくみに訪れることもあるのだろう。なるほど、私が丈夫に見えるわけだ。などと考えているうちに居眠りする。目が覚めると松阪駅に近づいていた。