題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る
日付:2022/1/7


黄金町:神奈川県(2020/12/12)

2003年の3月、映画「アマデウス」を見に行こうと思い立つ。上映しているのは初めて行く映画館。地下鉄に乗ってかたこんといき初めて降りる地下鉄の駅で降りる。

地上にでて広がる光景に驚く。なんだこれは。街の至るところに「無料相談所」という看板が出ているが、どう考えても無料で済みそうにないし、そもそもなんの相談所なのだ。しかもそうした光景は裏通りだけに存在しているのではない。

唖然としながらふと気が付く。以前京急で通勤しているとき、キラキラひかるなにやら風俗系の電飾が目についた。あれはこの場所であったか。しかし探訪などしている暇はない。映画を見に来たのだ。仮に時間があったとしても怖い。というわけでその日は映画を見て帰った。

後に黄金町が日本有数の風俗街だったことを知る。過去形で書いたのは私が訪れた時がそうした黄金町の最後の姿だったから。2005年に神奈川県警による24時間パトロールが始まり街の浄化が行われたとのこと。

とはいえ、まだ何か痕跡があるのではなかろうか。そう思い家を出る。家からはずっと地下鉄に乗る。地上の様子はわかららない。しかし17年前は地下鉄の出口を出た瞬間異様な雰囲気を感じた。

阪東橋を出る

2020年の暮れに阪東橋の地下鉄出口を出て見えた光景がこれである。自転車に乗っている女性の言葉がアジア系の何かと思しき言語だったりするが、他はほぼ普通。これが街を変えようという努力の表れか。

機銃掃射の跡

これが以前は短時間の売春に使われていた建物の現在の姿。まず周りがとても整備されており、雰囲気が明るい。しかしその構造の異様さは今でも残っている。異様に横幅が狭い2階建ての部屋が連続している。かつては玄関の前に客引きがおり、お客と2階に行っていたそうな。そして今は非常に混沌とした空間となっている。

通常店舗

ここには通常の店舗がいくつかはいっている。英会話の教室と思しきものもある。古いお店もあるから、全てが新しく入れ替わったわけではないのだろう。

通常店舗

ここがアートを目指していると思しき区間。確かに中央の一角はそれっぽい色使いなのだが、空き家のように見えるのが少し不安。

通常店舗

ここが理解に苦しむエリア。「完全個室シェアハウス」の張り紙がベタベタ貼られている。即日入居可で、月額3万円から。これはどう理解すればよいのか、あまり理解したくない気もする。

通常店舗

裏側を見るとこんな感じ。エアコンの室外機が所狭しと並んでいる。これを見ると3階立てなのだろうか。

交番


すぐ先にあるのがこの交番。屋根にとまっているワシが立派。心なしか交番の建物自体立派な気がする。この場所での勤務は大変だろう。

高架下

かつてはこのような「無料案内所」がいたるところに存在した。今回発見できたのはこれだけ。「ちょっと親切な」とはどういう親切であろう。

少し歩くと「横浜ウィークリーマンション」なる普通なのだか普通ではないのかよくわからない建物がある。先ほど見たポスターのものとは別の物件のようだが、これ以上詳しく見るのもなんだか気が引ける。

などと考えながら歩いていたら伊勢佐木長者町から関内に至った。昔よく映画を見に来たり、カレーを食べに来たエリアだ。昔と比べると聞こえる言葉に日本語以外が増えたような気がするが。

この18年間に地元の人のどのような努力があったのだろうか。そんなことを考えながらその場を後にする。

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注釈