日付:2006/10/30
いがらしゆみこ 美術館・貯金箱博物館: 岡山県(2006/9/28)
さて、話は倉敷に戻る。私が行ったのは倉敷アイビースクエアという場所なのだが、ここの周りにはコンビニというものがない。延長コードを買うために数十分 歩くことになった。ぜいぜい。
しかし何事にも前向きな意味を見いだすことが大事だ。てくてく歩いていると道ばたに「いがらしゆみこ美術館」なる看板があるのに気がつく。倉敷の古い町並 みのなかで少女漫画のキャラクターを描いた看板は思い切り浮いている。これは行くしかあるまい。
ということでお仕事が終わってからのこのこでかけたわけだ。アイビースクエア裏の路地に向かう。
この雰囲気のある道をはいっていき
看板に従って道路の右側をみると
落ち着いた周りの雰囲気とは隔絶した空間がそこに出現する。これは期待できるかもしれない、と思い中にはいる。入場料は600円で ある。ふりふりの格好をした恰幅のよい女性にお金を払う。
ここからの記憶はかなありあいまいになっている。「何があるに違いない」
と先を急いでいたせいもあるかもしれない。一階は売店になっている。今から考えていえることだが、売店は無料エリアに設置されてい ることが多いように思う。なぜ有料エリアにそれがあるかについてもう少し考えを巡らしておけばよかったかもしれない。
2階にあがる階段の途中にこんなものがある。
(株)ナカシマプロペラから送られた22個の愛の鐘である。果たしてその会社はなんなのか。なぜ22個あるのかについて何の説明も ない。次の階 には「原画」と呼ばれるものであろう、ふりふりの絵がたくさん掛かっている。好きな人はきっとこれを見て涙を流すのだろうが、私には何の興味もない。部屋 の隅にいろいろな漫画家から送られた色紙がかかっている。その中でひときわ眼を引いたのがこれ。
なぜこれに眼をとめたか。他の色紙には「いがらしゆみこさんへ」とかなんとかとにかく贈る相手になんらかの言及がなされているのだ が、この絵に はそれがない。この色紙なら近くのラーメン屋にかかっていたとしても何の問題もないだろう。というわけでその階を後にして階段を上る。すると屋上に続く扉 につきあたった。へっ?ということはこれだけなの?脱力しつつ扉を開ける。
屋上には何かがあってほしい、という願いをよそにあるのはこれだけである。なんでも写真撮影のスポット-2ショット・ラブポイント なのだそう な。男女が描かれているところを見るとカップルでここで写真を撮れ、ということなのだろうか。「かわいい」漫画と倉敷の落ち着いた町並みの対比が美しい。
などと言うしかないではないか。階段を下りながら考える。これで600円か。確かに売店に立ち入ろうとする人間からも入場料を取り たくなるわけ だ。一階に下りると何かないかと思いあちこち見回す。ファンシーな品物は私にはノイズでしかない。唯一眼をとめたのは「怪鳥ヒヨヨ」という鶏の写真。しか しそれがどうしたというのだ。
がっくりとした私はアイビースクエア方面に戻る。その前には別の「博物館」があるのだ。昨日アイビースクエアに到達する前に気がつ いたその場所は、こんなところだ。
屋根にならぶビクターのわんちゃんの群れ。ここに立ち寄らずに倉敷を離れていいものでしょうか、いやいけない。というわけで勇躍店 の前に立つ。しかし次に気がついたのは無情な「本日休業」の文字だった。ああ、こうやって表から見ても中はとても楽しそうなのに。
しかし開いていないものはしょうがない。屋根の上に居並ぶ犬の群れを見ながらその場を後にする。