題名:巡り巡って

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日付:2007/1/13


姫 路モノレール跡:兵庫県(2007/1/3-4)

賀正である。謹賀新年である。去年に引き続き私は年末年始に姫 路に来ている。姫路と言えば国宝姫路城。しかし今は国の宝だろうが人類の宝だろうが立ち寄っている暇はない。
日 はまさに落ちようとしている。駅で予約したホテルにたどり着かねばならぬのだ。もらった地図にあるとおり歩き続ける。それとともに私はホテルを探すという 目的を超え過剰にあたりをきょろきょろ見回す。なぜかと言えば明日どこを見物すればよいのか見当をつけねばならぬなからだ。しかしその二つの目的-今 夜泊まるホテルと明日見る場所-は同時に明確になった。
大将軍駅
これが明日見るべき場 所のうちの一つ、姫路モノレール大将軍駅跡である。駅跡と いっても横浜ドリームランドのそれのようなものではない。立派なビルの中に設置されている。しかしその下にあったビジネスホテルは不幸にして閉鎖されてい るようだ。ううむ、ここに泊まりたかったなあなどと言ってもせん方無きこと。その近くには今日泊まるべきホテルも見える。わーいわーい、というわけで気が 大きくなった私はそれからぱしゃぱしゃと写真を撮り続ける。

だ いたい近くの写真はとったわい、というところでホテルに向かう。荷物を置き晩ご飯を食べにでかける。姫路は 古い建物と新しい建物が混ざり合った都市であることを知る。裏側から見るとすごく時代がかった文字が書かれた建物があるのだが、正面からみたらちゃんと営 業していた。(この写真は翌朝撮った物)この文字が昔のままなのか、おしゃれでやっているのかは分からぬが。
劇場
かと思えばつい最近たてら れたとおぼしきしゃれたビルも同じ通りにある。なんだかおもしろいなあ、と思ったところでその日は寝てしまう。
翌朝、目が覚めても外 はまだ暗い。今日も予定がてんこもりだから早く出発したい気持ちはあるのだが、日が昇らないと何も見えない。じっとTVなど見て我慢する。そのうち外が明 るくなってきた。チェックアウトし、線路-というかかつては線路だったもの-にそって歩き出す。
な ぜここにモノレールがあると知ったかと言えば、どこかに行く途中、新幹線から廃線らしきものが見えたからだ。家に帰って「姫路 モノレール」で検索したと ころいくつかのサイトが ヒットする。その内容をここで繰り返すことはやめておくが概略を記せば昭和1966年から姫路駅から手柄山までモノレールが運行されて いたと。利用者は大幅に予想を下回り、そのほかの理由もあり、1974年に休止、1979年廃止となった。そしてその路線の一部だけが今に残されているわ けである。昨日見た大将軍駅はあまりにも姫路駅に近く(私が駅から徒歩7分と言われたビジネスホテルのすぐそばなのだ)最後にはほとんど通過されていたと のこと。それでもこのアパートの中にある地図にはモノレールが記されている。(「国鉄姫路駅」の上方を通る点線)
地図

こ こから出たところは線路がとぎれている。
とぎれた線路
しかしその先からはしばらく連続し た線路が存在する。ふとみればカラスがとまっている。もう何かが走ってくることもなく、カラスたちにとっては格好の止まり木であろう。
カラスの止まり木
そこから川にそってしばらく進 む。
中間地点
川に沿って
最後になる支柱は川 の中に立っている。その基部を見るとこれを取り除くのは大変だから、そのままにしておこう、という気持ちにもなってくる。
川の中の支柱
レールはここで手柄山方面をさ して切れている。途中には学校らしき物、それにいくつかの施設が作られているからその間の支柱は取り除いたのだろう。到着点はいくつかのサイトによればこ こらしい。
終着点
こ の中には未だに車両が一両取り残されており、駅自体も存在しているとのこと。姫路市が何らかの行事を行っている時は見ることができるらしいが、今日はもち ろんしまっている。屋上に上ってみると散歩をしにきたとおぼしき夫婦連れに出会う。展望台のようになっている場所から望めば遠く姫路城が見える。
手 前にはこうした場所によくある「これはなんという建物ですよ」という看板がある。そこにモノレール跡は無いかと探してみたらちゃんと描かれていた。
説明図
実物はこうである。
実物
風 景を眺めながらしばらく考える。ぷらぷら歩いてしまったらついたほどの距離だから確かに物珍しさで一度乗れば十分、という人も多かったのだろうな。何人か でタクシーに乗ったほうが安い、などと言われるようでは実用的な交通機関としては成立しえなかったのだろう。しかしモノレールが空中を駆けていたとき、そ れを見た人達は「未来」を感じたのでは無かろうか。その昔描かれた「二十一世紀の想像図」には必ず空中を駆けている電車が描かれていたものだが。
戻 ろうと歩き出すと庭園のような窪地があることに気がつく。
プール跡?
ここでは昔大博覧会が催され、モ ノレールはその足として利用されたとのこと。道理で妙な形をした建物があるわけだ。
夢のお城
こうした「夢の跡」はどこと なくわびしさを伴う物だが、ここには横浜ドリームランドのような悲しさはない。再び大将軍駅に戻り、そこから姫路駅に進んでいく。途中ずいぶん大きな支柱 がある。
大きな支柱
ここがおそらくは最後 の支柱だろう。
最後の支柱
ここから先は綺麗に 整備された姫路駅にになる。この支柱群はいつまでここに立ち続けるのだろう、などといつまでも感慨にふけっている暇はない。今日はまだ先があるのだ。

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注釈