五 郎の 入り口に戻る
というわけで私は川沿いに歩き続ける。てくてくてくてく。さすがに暖かくはないが、風がないので寒くもない。そう悪くもない気候であ る。ありがたいなあと思っているとこんな建物が目に入る。
さて、と私は立ち止まる。入場料は大人800円。そんなにすごい展示があるとも思えないところにこの値段はつらい。一階にある喫茶店で のコーヒーまたは紅茶代金も含まれているらしいのだが、特に喉が渇いているわけではない。
しかしここまで来てそのまま帰るのもしゃくだ。考えうる最悪のパターンは、800円払ったあげく、撮影禁止でネタにできないことであ る。中に入るとカウンターに人が居る。ここは撮影できますか?と聞くと大丈夫です、と言われる。なるほど。それなら、ということで800 円払う。展示は2階らしい。さて、あがるかと思えばいきなりこんなものが床にある。
階段は車いすでも上がれるようになっているのだが、そこにも血が点々と続いている。
いきなりネタ全開でこちらとしてはうれしい限りである。とはいえこの「西村京太郎」とは誰か。た ぶん人が殺される小説をたくさん書いたのではないかと思う。2階にあがるとまずこんな部屋がある。
察するに多数TVにもなっているのではあるまいか。もっとも私はTVをみないし、ドラマはさらに観ないので「ふーん」と思うだけであ る。そこを出た広いエリアの入り口にはこんなロボットが居る。
ロボットに人間の案内役をさせようなどと言っている輩はここにきて自分で使ってみるといいと思う。画面をタッチするとロボットは自己紹
介を始める。しかし5秒もするとこちらは飽きてしまい別のところを見始める。私は気が短いので悠長な合成音声につきあうつもりはな
い。しかしロボットはそれにかまわず所定の動作を続行する。
しかし私はそちらを全然観ていない。電車のジオラマにじっと見入る。いや、電車に興味は無い。これはただのジオラマではなく、そこかし こにこんな光景が展開されているのだ。
なんでも殺人現場は4カ所、死体が5体あるのだそうな。それを聞けば探さずにはいられない。よくよくみるといたるところにパトカーが止 まっており、それに 伴って渋滞とか起こっている。そのうちこのような光景に気がつく。
これで二人発見。さらに水辺を観るとこんな人が転がっている。
あと二人居る筈なのだが、なかなか見つけられない。トンネル入り口の上の方に注意、という記述がある。それに従ってトンネルの上を眺め てみるが、死体は見つからない。他にも小技があることなど気がつくのだが。
とうとう諦めて、その場を後にする。喫茶店エリアにいくとコーヒーをもらう。私が当初予想したよりもはるかに多くの人が次々とやってく る。混み合っている、というほどではないが気がつけば新しいお客さんがくるような状況だ。西村京太郎という人は私が想像する以上に有名人 なのだろうか、それとも温泉街に他に観る物がない、ということなのだろうか。