五 郎の 入り口に戻る
というわけで私は愛知県を北から南に縦断しようとしている。なぜこんなところにいるか聞かないでほしい。とにかく先を急ぐのだ。
行く場所の住所は入力してある。地図でちらっと観た限りでは愛知県の南側かと思っていた。しかしなかなか近づく気配がない。天気のよい ゴールデンウィークであるから、道が混んでいる。幸いな事に混んでいるのは反対側だ。帰りが気になるがそれは当面の問題ではない。
しかしさっぱり目的地に近づく気配がない。そのうち刈谷という文字が見えてきた。こんなところに来たのか。ところが目的地はさらに十数 キロ先だ。無念無想でハンドルを握る。あまり無念無想にすると眠くなるので、姿勢を正し目をかっと見開く。
そのうちようやく目的とする市の名前が見えてきた。一般道だが、高速のような道路から降りる。さあ、目的地は近いぞ。看板まで見えてき た。ここで間違いない。問題はその下に書いてある数字だ。8kmと書いてある。一般道をまだこれだけ行けと?などと文句を言ってもしょう がない。ひたすら走り続ける。そのうち室内が暑くなってきた。おかしい、冷房をつけているはずだが、と思いエアコンの表示を観る。ランプ が消えてい る。理由はわからないが、冷房がきかなくなっている。窓を開ける。目的地はまだ先だ。
簡易型の「かわなび」なので目的地までの距離がでるわけではない。しかし次に曲がるところに目的地がありそうな気がする。信号で止ま る。ふとこんな光景に気がつく。
カメラを取り出し写真に収める。というわけで交差点を曲がると目的地だ。道路に面して広々とした駐車場が存在している。車をとめ荷物を もって降りる。
これが西尾大仏。周りには何もない。そこにぬっと立っている。大きさはそれほどでもないのだろうが、存在感が際立っている。後ろから見 ると、なにやら丸い物がついている。
あとで調べれば光背というのだそうな。その下に入り口がある。鍵が閉まっているわけではなないが、いちおうかんぬきがかかっている。は いっていいものだろうか。少しがちゃがちゃやる が、気が小さい私はそこで諦め、写真を撮るだけで満足する。
誰もいないというのに、小心者の私はびびりまくりである。それゆえ綺麗にぶれてしまった。近くに案内板もあるが、文字が全て消えてお り、よほど苦労しないと読む事ができない。ここにたどり着くだけでかなり気力を消耗したので 読む気が起きない。近くにはこんなものが並んでいる。
ここを端から端までお参りすると88カ所回ったことにしてもらえるのだろうか。最後にもう一度お顔を拝見する。口の下にある?マークが 印象的。
というわけで西尾大仏見物はおしまい。再び車にのると新たな目的地を入力する。冷房はまだ復活していない。シャツを脱ぐとTシャツ一枚
になる。道は混雑しており、歩くのと同じくらいのスピードでしか動かない。