題名:Osaka Bay Blues(9章)

五郎の入り口に戻る

日付:1998/1/10

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9章:The day after:

その日は平穏のうちに帰宅した。そして安らかな眠りにつくことになった。

日曜日。こちらからお礼の電話をしようかと思っているうちにTから電話がかかってきた。

まず合コンのお礼をのべた。CとDが喜んでいたことも述べた。

情勢からして予想どおりというかなんというかKとTは、帰りに一緒の電車に乗って盛り上がったそうである。

私は翌日会社に行ってKにお礼を言うと共にひとつ注文をつけた。どのような形であってもKがこの合コンの結果として何かうまくいくようなことがあった場合、私にクッキーをよこせということである。 ここでKは「クッキー一箱でいいんですか。クッキー二箱にチョコレートにバナナ一本送りましょう」と大阪弁でしゃべった。ここで2次会で話題になっていたチョコレートとバナナをつけるあたりが流石関西人である。

合コンの最に痛感したことであるが、私は大阪弁と大阪の「のり」に畏怖をおぼえるものである。彼らの言葉と文化の間に割り込むことは容易なことではない。Tと27歳女が、そしてKが2次会で(おそらくは大阪弁で)もりあがっていたのをみて、その感を強くした。

 

今後に関して言えば、私には二つの楽しみがある。一つはKとTがうまく行って、ただでクッキーとバナナとチョコレートにありつくこと。もうひとつはKとTの結婚披露宴を想像することである。(多少先走りかもしれないが)

二人の知り合ったきっかけというのはかならずどこかで(披露宴でなければ2次会で)しゃべらなくてはならない。ここでまさか「新婦は新郎の友人でありますところの某氏によって新幹線でナンパされ、そのあと合コンの席上において新郎と知り合ったわけであります」などと紹介することはできまい。彼らはなんらかのストーリーをでっちあげなければならないわけである。もし私がその2次会に列席することができたら、かれらの作り話しを聞きながら隅でニヤニヤしていることができるわけである。

 

なんとなく情けない態度かもしれない。しかしもし彼らがうまくいけば、これくらいのことは許されるのではないか。

 

(追記)この後、参加人物は異なるが我々は再度大阪に遠征することになる。その模様はHappyDays8章参照のこと。

(追記その2)KとTはその後結婚した。披露宴で紹介されたところの「二人のなれそめ」は「Kの先輩からTを紹介された」のだそうである。確かに嘘ではないが、私としては「ほほう。」と言いたくもなるのだが。


注釈

クッキーをよこせ:以前ある男にある女の子を紹介した時に、そいつがうまくいった場合にクッキー一箱よこせといったら本当にもらえたことに由来する。この男はその後私に二人も女の子を紹介してくれたが、私の性格の悪さが災いして、いまだにクッキーを返せずじまいである。戻る

 

チョコレートとバナナ:注文したケーキがバナナケーキとかチョコレートケーキだとかそんな話しが起源だと思った。戻る