というわけで脳内会議に行ってきました。
この会議ではブログでフィードバックをすることになっている。というわけで、全体の詳細な説明とかそうしたものは書かない。他の参加者のブログをご参照ください。というわけで私は参加している間ずっと頭にひっかかっていたことについて書く。
主催者が途中こういうコメントをした。
「企業さんとお話をしていると、ユーザ視点で考えることになっていたはずが、いつのまにか企業視点での話しになっちゃってるんですよね。」(うろ覚え)
今回の会議のテーマはgooがリリースした脳内検索メーカ。この「開発秘話」を聞いていて、私はどうにももどかしい感じを覚えた。その違和感はこの主催者氏のコメントに集約されている。
脳内検索メーカーについていくつかの裏話が披露された。なかなか仕様が決まらなかったとのこと。なぜかといえば、「うそこ」さんは画面をできるだけシンプルにしよう、と主張したらしい。つまり脳内メーカーと同じく検索結果を「どん」と絵で表示するだけにしたかったようなのだ。
それに対してgooは「やはりgooの検索を使ってもらわないと」と主張したらしい。そして結果はこのとおりである。
ごらんのとおり仲良く脳内の図と通常の検索画面が並んでいる。
私はこの「妥協」は失敗だと思っている。
最初この脳内検索を使ったときこう思った「なんだ。これただの検索じゃないか」つまり画面の右だけみて左を見なかったのだ。なんだか字細かいしね。
ブラウザの「バック」ボタンを押した。
会議が迫ってきて「もう一度使ってみよう」と思いトライした。そして前は気に留めなかった脳内の説明を読んでみたのだ。なんだか見慣れないキーワードがある。それをクリックする。すると「額縁ショー」なる風俗規制逃れのストリップショーがかつて存在したことを知る。リンクを辿り、説明を読みしばしの時間をつぶしてしまった。つまりなかなかできない「意図せざるキーワードの発見」ができたわけだ。これは面白い。
そもそもこのシステムは私が経験したような「意図せざるキーワードの発見」を目標として作られたものだと説明があった。ならば何故興ざめの「普通の検索画面」を最初から提示するのか。
しかしこの「違和感」は単なる画面デザインの問題に起因しているのではない。
gooの方の説明には、先ほどの「主催者」氏のコメントがそのまま当てはまる。視点が全て企業からのものなのだ。説明からは「企業としての願望」は感じられたが「ユーザとしてのパッション」が感じられなかった。
これはすばらしいシステムだ。
これを使いたい。
この素晴らしいシステムをみんなに使ってほしい。
そうしたパッションが全く感じられなかったのだ。
ネットを徘徊しているといくつかの記事が心に留まる。その全てがとはいわない。しかしその多くに私は「作り手のパッション」を感じる。何のことだ、といわれればいまはこれを挙げる。
<script type="text/javascript" src="http://ext.nicovideo.jp/thumb_watch/sm2397344" charset="utf-8"></script>
この動画には二つの意味でパッションが込められている。作成者のコメントを引用しよう。
それが実らない恋だとして、しかしどれだけ好きか、ということでしかない。そんなテーマ です。
この動画に現れるミクの姿は強烈だ。元はアニメ絵(というのでしょうか)でしかないミクがメガホンをもって叫びまくる。自分の愛を叫びまくる。
そしてもう一つのパッションは(これはニコニコ動画の多くの作品に共通することだが)この動画を作った人間のパッション。動画が再生されたからといって金がはいるわけでもなければ、名前が上がるわけでもない。それでもいいものを作りたい。作ったいいものを人に見てもらいたい。ただそれだけの気持ちが爆発している。
脳内検索メーカーとその説明は実に合理的だとは思う。「作ること」に対する努力もわかる。リリース日の朝の5時まで作っている、というのは裏話としては面白い。
しかしそんなことはどうでもいいことなんだよ。
これは本当に素晴らしいシステムだ。自分が作ったからではなく、自分がおもしろいと思うから自分のブログにも乗せるし、人にも使ってもらいたい。本当にそう思っているのか?その結果gooの検索が使われる頻度が上がるだのはユーザにとってどうでもいいことなんだよ。
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もう一つ感じていた違和感はもっと「どうでもいい」ことだ。説明の中で「検索は従来能動的なものと思われていたが、そうではない検索もあるのではないか。気付きをうながしたい」というものがあった。
そんな話は4年も前から俺がいってることだーーーーー(誰も聞いてません)
2004年に作ったのがこれ
<object width="425" height="336"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/mgsVNaWD2WQ"></param><param name="wmode" value="transparent"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/mgsVNaWD2WQ" type="application/x-shockwave-flash" wmode="transparent" width="425" height="336" FlashVars="movie_url=http://d.hatena.ne.jp/video/youtube/mgsVNaWD2WQ"></embed></object>
2007年に作ったのだがこれ
<object width="425" height="336"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/U45yImPdeYY"></param><param name="wmode" value="transparent"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/U45yImPdeYY" type="application/x-shockwave-flash" wmode="transparent" width="425" height="336" FlashVars="movie_url=http://d.hatena.ne.jp/video/youtube/U45yImPdeYY"></embed></object>
こうした「気付きをうながすシステム」で肝心なことは(と偉そうに)「あまり説明しすぎないこと」だと思っている。人間の頭は物事に関連性を持たせることに血道をあげる。自分が予想しない要素が連続してだされると「おや、これの関係はなんだろう?」と疑問を持ち、妄想が広がる効果がある(と何の実証もせずに主張する)
こうした点からも今の脳内検索メーカーの画面はごちゃごちゃしすぎていると思う。逆に脳内の部分だけ取り出してみると抽出されているキーワードおよびその配置のランダムさと何か理由がありそうな加減はすばらしいと思う。