題名:習わないがよく聞く英単語-英訳できない日本語

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日付:2002/5/13

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習わない英語-Part3

I am sorry

I'm sorryのどこが「習わない英語」なのだ、と思うかもしれない。だいたい日本人は"Sorry"を連発しすぎると言われるし、実際私は連発しているし、アメリカで初めて自動車保険に入ったとき

「事故の際、絶対にI'm sorryと言わないでください」

と言われた覚えもある。ここでのSorryを和訳すると「すいません」になろうか。時々

「日本語では英語でThank you という場面でも”すいません”と言っていないか」

と思ったりする。しかしここで書きたいのは日本語で言うところの「すいません」とは別の意味のI'm sorryである。

実習船えひめ丸に米国の原潜が衝突し沈没したことがあった。そのとき私はClintonでこう書いた

「元副長が行方不明者の家族のところにきて

I am sorry for your loss.

といい、深々と頭を下げた、という記事を読んで仰天した。私の限られた米国生活の中で、米国人がI am sorry というのは、たとえば

「このクーポンはもう無効よ。sorry」

といった具合に「絶対自分が悪くない」ときにしか聞いたことがないからだ。」

この下りに対し、ETSUさんから以下のコメントをいただいた。許可をいただいて以下に引用する。

--(引用開始)--

確かに、欧米人にBowする習慣はないですよね。しかし、I am sorry はアメリカ人がとても口にする言葉の一つだと思います。これは、単に謝罪の言葉ではなく、気の毒に思う・・相手の心情を察すると言う意味でもあります。例えば、誰かが失恋した場合や、家族をなくした場合に、周囲の人は I am sorry という言葉をかけます。ひどい話を聞かされた時には、I am sorry to hear that などもありますが、または皮肉でI am sorry for him と人を哀れむときにも。

--(引用終了)--

一読し、なるほどと思った。確かにこちらの「気の毒に思う」という意味でのI'm sorryは何度か耳にしたことがある。(Cheersの中でだが)

たとえばこんな場面。ウェイトレスのカーラが夫の同僚からの電話を受ける。受話器を置いた後

「で、旦那さんは娘の卒業式にくるわけ?」

とSamが聞く。それまで”大事な娘の卒業式なのに旦那はきっと来られない。絶対なにか言い訳をするんだから”とカーラは言っていたのだ。

その問いに対しカーラは

"No"と答える。彼はなんて言い訳したの?とSamが聞くとカーラは

"He is dead"と答える。

この後Samは"I'm sorry"と言う。最初この下りを観たときは「無神経な事を聞いてしまってごめんなさい」という意味かと思った。しかるにその後こんな場面にでくわしたのだ。

キャリア指向だけど実体と実力が伴わないRebeccaがInterview(面接)から帰ってくる。掃除かなんかしていたSamに対してNobody wants me.という。そこでSamが

I'm sorry to hear that.

と言う。「それを聞いてごめんなさい」???そりゃ確かに楽しい話ではないけどそれでは意味が通らないではないか。

それからしばらくして、帰納的に「I'm sorryには「お気の毒に」といった意味があるのではないか」と思い出した。

そう考えると、米国の偵察機が中国軍機と接触した際に米国が出した書簡は、この2種類のSorryを巧みに混同させていたのかな、と思う。2カ所使われているSorryのうち、前者の方はどう考えてもこの「お気の毒」の意味だ。しかし中国側は「米国が謝罪した」ということで一件落着。政治の世界ではこのように「意図的に誤訳、誤解する」というのも必要なことかもしれないが。

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注釈