題名:映画評

五 郎の入り口に戻る

日付:2005/9/24

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950 円-Part7(Part6へ | Part8へ)

マリー・アントワネット-Marie Antoinette(2007/1/20)

ロスト・イン・トランスレーションとこの映画しか見な いで言うのもなんなのだが、ソフィア・コッポラという人は自分の経験の範囲+αしか想像力が及ばない人なのではあるまいか。

フ ランス革命時の王妃といういわば「ババ抜き」で最後にババを引かされた女性の物語。前半はなかなか快調である。よけいな台詞を省き、シーンの連続で雰囲 気、それ に描き手の意図を伝えるのは見事。14才の女の子がまだ見ぬ花婿に思いをはせるところ。実物を見たときの表情。「結婚生活」への不満からギャンブルや馬鹿 騒ぎに興じるのも宜成るかな。だって中高生の女の子だもんなあ、とつくづく思う。

おそらく一番描きたかったのはこ の時期のマリーアントワ ネットが浪費三昧をするところではあるまいか。お菓子や靴の連続するカット、それに次から次へと服を持ってくるところは実に生き生きとしており、それだけ に空疎な彼女の生活といったものを観客に感じさせずにはいられない。最高度かつ無意味に発達したヴェルサイユのしきたり。そのばかばかしさを見ていると確 かに民衆の暴動の一つや二つ起こるかもしれん、と思えてくる。そしてこうした姿は今日に生きる普通の女性も一端を経験したり想像したりできるものかもしれ ない。

しかしながら不幸にしてコッポラの想像力はそこでつきてしまったようだ。民衆が暴動を起こした、という知ら せがはいったところから映像は急にその力を失う(その前から少しだらけ気味になっているのだが)。 民衆がヴェルサイユに押しかけています、と聞くルイ16世とアントワネットは妙に立派。現実の彼らがどうだったかということとは関係なく、この 「立派さ」はそれまで描かれてきた空疎な生活とつながらない。想像するに、監督がこの時期の彼らをどう描くべきかイメージできなかったのではなかろうか。 従ってそこからはただ主要なイベントをなぞるだけになる。最後はそれすら途中で放り出す。

善人であり、かつ普通の 人間なら誰でもしそうなこ とをしただけで首をちょんぎられる運命が訪れることもある。それ故「悲劇の主人公」と呼ばれようがその人間が私たちと同じくらい愚かであることも違いな い。そんな姿 を前半の調子で描いてくれたら歴史に残る名作になったかもしれん、と思いながら劇場を後にする。

シャーロットの贈り物-Charlotte's Web(2007/1/5)

ダコタ・ファニングちゃんはいつまでたっても女の子っぽく ならない。ということは最初に見たときはいくつだったのだろうか。

映 画のポスターを見るとものすごく豪華な名前が並んでいる。しかし人間として出演するのはファニングちゃんぐらいなもの。あとはみんな言葉をしゃべる動物で ある。春生まれの子豚は生まれてすぐ「処分」されそうになるところをファニングちゃんに救われる。しかし子豚が暮らすことになった納屋の住人達はみんな 知っていた。彼はクリスマスのごちそうになるという運命だと。

というわけで動物+ネズミにクモのシャーロット、そ れにファニングちゃんがが 子豚のウィルバーを救うべくあれこれがんばる物語。おきまりのお話と言えば確かにそうなのだが、男の子を持つ父親としてはウィルバー君の行動が何かと気に なる。最初は遊んでくれない納屋の動物たちに一生懸命遊ぼうと誘いかけるところとか、あるいはファニングちゃんに「おやすみ」と言わないと寝られない、と いうところとか。

ジュリア・ロバーツが声を演じているクモのシャーロットはおそらくほとんどCGだと思う。しかし それは漫画的に誇張された 姿ではなく、あくまでもクモの姿。しかししまいにはそのクモの姿が不自然ではなく思えてくるのはいつものことながら見事な芸だ。(日本人に作らせれば間違 いなく目の大きさを5倍にすると思う)

というわけでいい作品とは思うのだが、もう少し頭をひねるともっと良くなっ たのではないかと思う。最 後にウィルバーが助かるだろうとはだれもが予想しているところなのだが、それが大人の観客にも納得&驚かされるものであってほしかったなあ、、子供向けの 映画として作られた物であっても。

エ ラゴン-Eragon(2006/12/24):1000円

ドラゴンに乗ります。 ファンタジーです。というわけで近年乱造されている「ロード・オブ・ザ・リングの2番煎じ」ものなのだが、身分相応のすがすがしさが光る作品となった。そ れはどういうことか。
ロード・オブ・ザ・リングのメイキングを見ると、その世界を作り上げるために膨大な時間と労力と費用と知恵と情熱が注ぎ込まれていることがわかる。仮に同 程度のそれら資源が得られないとすればどうしよう?基本線を絞り、きびきびと進む映画を作るのは一つの方法だろう。そして この映画はまさにそれだ。

と いうわけでだらだらやっていればどう見ても映画2本分にはなろうという内容をずんずん描いていく。かといって「えっ?今の何?」と観客を置き去りにするこ ともない。これだけの内容で時間は1時間44分というのはすばらしい芸だと思う。特にロード・オブ・ザ・リングは長すぎる小さなお友達にはもってこいだ。

とはいっても話は定番通りで、しがない農家の息子がドラゴンに乗ることになり、お姫様を助けたり悪いやつと戦って最後は勝利、という物 語だ。物 には名前があり、それを唱えることで相手を支配できる、というのはゲド戦記(映画じゃないよ。原作だよ)にもあったが定番の設定なのだろうか。というわけ で感動するところまではいかないが、剣が子供を振り回したり、「知らない人についていってもいいかも」のナルニア国物語よりは100倍もましである。

そういえばこの映画のお姫様ってナルニア国の悪い女王様の若い頃みたいな顔だなあ。。あちらのファンタジーにはこの手の顔が受けるのだ ろうか。とか考えていたが、気になって調べてみれば、あのお姫様シエンナ・ギロリーじゃないか。どうしようもない映画タイムマシンで唯一見る価値のある女性 を演じていた。 

などとあれこれ考えているうちにお話は終わりを迎える。劇場を出る人混みの中 で聞いた小学生とおぼしき子供の「あーおもしろかった」という声に深くうなずくおじさんでありました。


アイス・エイジ2-Ice Age The Meltdown(2006/4/22):1000円

原題にある通り、今度は「地 上を覆っていた氷が溶け始めみんなで大騒ぎ」のお話である。

前作アイス・エイジも良かったが、この作品もとても手 堅く作られている。観ている内に動物たちの表情に見入ってしまうし、CGの技術面で言えば毛皮、羽などの表現がすばらしい、、ってのはCGにちょっとだけ 関心を持っている男の台詞ですね。

アメリカ人がアニメを作ると、どうも「往年のミュージカル映画を模したダン スシーン」を入れたくなるらしい。Dream Worksの悪ふざけアニメだとそれが唐突に挿入されるのだが、この映画ではストーリーと自然に融合する形で取り入れられているし。

というわけでなかなか良いと思うのだが、前作に比べると感動がワンランク下がるような。。何故かは自分でもよくわからない。前作はマン モスの孤 独を中心に据えていたのだが、この作品は「自分をフクロネズミだと信じ込んでいるマンモスの雌との恋愛」が中心。それ自体は結構真面目に描かれていると思 うのだが、、何が足りないんだろう。

とはいえ前作同様「子供は子供なりに、大人は大人なりに」楽しめる作品だ と思う。

ウォーク・ザ・ライン/君につづく道-Walk the line -1000円(2006/4/6)

主演の二人はすばらしい。し かし。。。

1950年代に実在したロックスターの一代記。主演はホアキン君。整ってはいるが、どこかぼんやり というか間が抜けた顔がこのキャ ラクターにぴったり。今まで観た中では一番のはまり役という気がする。主演女優はリース・ウィザースプーン。彼女は目が大きいが全体的に整った顔と は言えない。しかし最後にはそのちょっとアンバランスな顔がとてもチャーミングに見えてくる、というくらいに演技がすばらしい。アカデミー主演女優賞受賞 も 宜なるかなである。歌についてもホアキン君よりリースちゃんのほうが良い気がする。エンドクレジットで流れていたのが「本人」の歌声だと仮定するとリース ちゃんはほとんどそのまんまである。

というわけで主演二人はすばらしいのだが、二つ問題がある。一つ目。これ は映画の問題ではないのかもしれないが、何故「50年代音 楽スターの物語」はこうも同じような話なのか。不遇な下積み時代。一躍スターになるとツアーの連続で私生活は崩壊していく。奥様は旦那の稼ぎはちゃんと使 いながら「あなたが家にいないのがいや」と文句を言う。スターの方はツアー先で浮気三昧。愛人も作ります。そのうち薬物中毒になるのだがなんとか立 ち直り、最後はそこそこHappy Ending。こう書くと「レ イ」 と全く同じであるし、最近TVでみたプレスリーも似たような話だった。(彼は立ち直れず死んでしまうのだが)ただ「レイ」と比べるととってつけたような善 人ぶりがないし、薬物から立ち直ってもホアキン君があまり立派になりすぎないのがよろしい。「実在の人物」が死ん でしまっているせいで遠慮無く描けたのかも知れない。

二つ目はどうにも話が長く感じられることだ。それが端的 に出ていると思うのがこのシーン。

ベッ ドで主役の二人がいちゃついている。
ホアキン君が「これあげようかなー。ぱく。ぼくたべちゃった」とやる。一度はまあいいだろう。
同じくホアキン君が「これあげようかなー」とやる。2度でイラっとするがまあいいだろう。
同じくホアキン君が「これあげようかなー」とやる。3度同じネタは使わんだろう、と思うと全く同じ事を繰り返す。

しかもここで3度繰り返したことが後で生きてくるわけでもなんでもない。現実のカップルというのはそうしたおバカなものだろうが、映画でやられてはたまっ たものではない。というわけで映画全体のできとしては(てんてんてん)となってしまうわけだ。

ファ イヤーウォール-Firewall(2006/4/1)

一言で言えば、ハリソンフォードが

「63才ですけど、こんなにアクションできます!インディ・ ジョーンズ新作いけるっす!」

と叫ぶ映画。

お話は、何度か観たこ とがある「家族を誘拐された男が悪事への荷担を要求され苦悩したり活躍して家族を救い出す」
である。であるからあまり細かい事を言ったり深みや感動を求めるのは間違っている。例によって後半話は加速度的に無茶苦茶になり、コンピュータ関連の仕事 に就いている私としては

「あんなにシ ステムを自由に操れる犯人グループがなんでハリソン・フォードの力を借りる必要があるんだ」

と思いたくなるが それは言わない約束である。

でもって「どうやって事件を解決するのか」と思っているとそりゃあもう大格闘。頭を使ったり思わぬ伏線が、なんて面倒な事をせずに殴る、蹴る、突くと往年 のインディ・ジョーンズ状態である。というわけで
「インディ・ジョーンズのウォームアップ」
の為に作られたのではなかろうかなあと考えるわけだ。
見終わった30分後には映画の内容が頭から綺麗に消えていく。しかし居眠りしたり怒ったりもせず最後まで平和に観ることができた。御デートに無難な映画を 観たい、ってな場合にいいんじゃないでしょうか。

ジャー ヘッド-Jarhead (2006/2/11)(1000円)

この映画を宣伝す る人は

「理想に燃えて海兵隊にはいっ た若者が戦場の現実に直面して変わっていった」

というお話にしようと(そのほうが分かりやすい)と努力したの だろうと思う。コピーの

「最高の生き 方がある。そう信じて、僕は戦場に向かった」

にそういう努力がにじみ出ているが、例によってこの宣伝文句は映 画自体とはあまり関係がない。

「メ ディアが暴けなかった湾岸戦争の真実がここにある」

というのは見方によっては正しいかも知れない。これは一人 の海兵隊員の目からみた湾岸戦争の姿だ。そしてそれは確かにニュースで流したくなるようなものではない。ドラマチックさは少しもなく沢山の退屈さと少しの 恐怖と。

この主人公は理想に燃えて海兵隊に入ったりはしなかった。単に行き場がなかった、、彼の言葉によれば 「大学に行く途中で道に迷った」とのこと。 狙撃手として訓練を受けているうち、湾岸危機が勃発する。「地獄の黙示録」が上映され、兵隊たちはヘリコプターによる襲撃シーンで歓声をあげる。なんと言 おうが現実はそんなものだろう。

やがて彼は砂漠に行く。しかしそこで半年以上に渡りただ待機。訓練に明け暮れ ることになる。そりゃ若くて元気が余った兵隊を砂漠の中に半年おい ておけば退屈で退屈でしかたがないだろう。この部分は長い。しかし必要な部分だ。そしてそこで描かれている人間達の姿は決して観客を飽きさせることはな い。

やがて「ようやく」戦争が始まる。しかしそれはたったの4日と少し。目標はすべて空から叩かれ主人公は一 度も戦闘に加わることはない。帰国する と大歓迎が待っている。そこでバスに乗り込み海兵隊員と握手を交わす男。説明は何もないが彼は元海兵隊員なのだろう。そして彼がどのような人生を歩んでい るかは観客の想像に任される。いろいろなことを考える。

そこから彼らの道は分かれる。一人を除いて髪の毛が伸 びるのだが、最後は「僕はまだ砂漠にいる。僕はジャーヘッドだ」という言葉で終わる。 「元」海兵隊員という言葉はなく、Once a Marine, always a Marineなのだ、という話を読んだことはあった。しかしこの映画を観ていると何故その言葉が生まれたのか、その一端を観たような気がする。それはこの 映画が安っぽい感傷や主張を交えず、海兵隊員達の姿を人間として丁寧に描いているから。派手さは全く無いが登場人物達の心の動きが伝わってくる佳作だと思 う。


フライトプラン - Flightplan(2006/1/29)

950円の部に入れているが、最後の5分が無ければ560円である。

夫が謎の死を遂げた 後、Jodie Fosterは娘と二人、ベルリンからニューヨークに向けて旅立つ.最初のアップを観てぎょっとする。The Silence of the lambsにでてきたマーティン上院議員そっくりだ。つまりJodie Fosterは痛々しいくらい老けたのである。

でもって話はと言えばパニックルームとほぼ同じである。目が覚 めたら娘がいない。どこに行ったの?どうして誰も娘を観ていないと言うの?みんなが私を気違い扱いしても絶対娘を助け出すわ、という娘を必死で守る強い母 親の話である。これがどうしようもなく単調だ。謎解きの面白さがあるわけではなく、謎が解けても爽快感はなく、犯人は全く面白くない人間で、最後の数分を 除いてJodie Fosterのとげとげしい老け顔だけが映し出される。いなくなった子供を捜すと言えば、「ズバコーン!」の「フォーガットン」を思い出すが話としては あっちのほうが遙かに面白かった。必死に子供を捜す母親役としてもジュリアン・ムーアのほうがよかったと思うし。

Jodie Fosterってもうこういう役しかやらないのかなあ。。どうつけても560円だよなあ、、と思っていると最後の数分で考え直す。それまで彼女に冷たい視 線を向けていた乗客乗員達のお詫びと祝福の心、それへの「返し」がさりげないのがよろしい。ここがある故に560円にするのをためらうわけだが、全体は紛 れもなく560円のできだ。

後から考えれば犯人の計画も随分偶然に助けられてるし、エンジン回りを設計しただ けのエンジニアがそんなに全体に詳しいわけもないしなあ、、とかまあ突っ込みどころはいくつも思いつく。しかし頭に残るのは単調な重苦しい雰囲気だけ。

ザ スーラ-Zathura-1000円(2005/12/18)

兄弟が離婚した父親の元に 来ている。遊んで欲しくてしょうがないが、父親は仕事に追われ会社にいっちゃった。しかたないから二人で遊び始めるが けんかばかり。弟が探してきたボードゲームを始めると何故かカードに指示された事が本当に起こる。扉を開ければそこは宇宙空間だった。さて、地球に返るこ とができるでしょうか。

ある映画評には「全くの子供向け」と書いてあり、確かにそうかもしれない。しかし個人 的な理由からこの映画を少し気に入った。私には弟がいる。 幼い頃は本当に喧嘩ばかりしていた。今から考えれば何故そんなに喧嘩していたのかわからないがとにかくしていた。そして喧嘩すること自体がいやだった。つ まりあまり楽しい状態ではなかったわけだ。

この映画にでてくる兄弟もつまらぬこと(回りから見れば)で喧嘩ば かりしている。しかしこのボードゲームは二人が交互にプレーしなければ進まな い。進まないと地球に返れない。というわけで喧嘩しつつ最後には仲良くなるのはおきまりのストーリー。しかし少しかつての自分の事を思い出した。そんなこ ともあってか最後に仲良くパスをしている二人の姿は普通のHappy end以上。兄弟はいないぞ、という向きには劇場を埋め尽くした小さなお友達が少し首をひねるひねりもはいっていて大人も少しにやりとできる。あと彼らの お姉さん(こちらは立派な反抗期のティーンエージャー)も脳みそ空っぽなりによい脇役を演じている。

というわ けでDream Worksが粗製濫造しているお子ちゃま向けアニメなんかと違ってちょっと幸せな気分で見終わることができるわけだ。10年前に似たような構想で作られた ジュマンジというのも機会があったら見てみるか。


ハ リーポッターと炎のゴブレット-Harry Potter and the Goblet of Fire(2005/11/26)

何だかわからないけど良かった一 作目二作目には 及ばないが、訳がわからなかった三作目よりま し、といったところか。

直前にTVで一作目を観ていたせいか主役3人がすっかり若者になってきたなあと思う。 となると子役ではなくなるわけで、演技力が気になってくる。ハリーもいかがなものかと思うが、今回特に気になったのはハーマイオニー。この人演技が破滅的 に下手なのではなかろうか。

こう思うのには特に前半、場面のつながりが見えない事にも原因があるのかもしれな い。ホグワーツに空飛ぶ馬車と水中から登場する帆船が到着す る。あれはなんだろう、と思っていると突然場面が変わる。それらが今回登場するお色気女学院の生徒達と北方筋肉体育学校の生徒達を乗せてきたのだ、と気が 付くのは大分後になってから。ロンが突然すねはじめる。ハーマイオニーがいきなり怒ってしくしく泣く。えーっとこれは一体なんなのでしょうか。

後半のクライマックスだけはなかなか良いと思う。余分な事を考えずに画面に集中できた。これまで最後は必ず丸く収まっていたお話がそう はならな いのも登場人物達の成長に合わせてのことか。しかし(これは原作がそうなっているのだと思うが)そこに至るまでの過程には疑問符がいくつもついてしまう。 そもそも2番目の競技はなんなんだ。あんな無茶な人質の取り方があるものか。わざわざ死人を出しているようなものだ。それにあの女の子は何故棄権したの か。また例によって原作読んでいることがRequiredなのでしょうか。

と、なんだか文句ばかり書いている ようだが、お話はそれなりに理解できたし、、というわけで前回よりワンランク上の評価にするわけだ。5作目はどうなるかなあ。そろそろ役者交代してもいい のかもしれない。


シン・シティ- Sin City(2005/10/2)

アメリカのコミックをベースとした映画らしい。 公式サイトを見ても今回描かれたエピソードがコミックとして存在しているのか、あるいは舞台設定だけを利用したのかよくわからない。一つ確実に言えるのは 映像及び設定がコミックを思わせる程度に抽象化されている点だ。

罪の町-Sin Cityを舞台に3人の男がそれぞれ女性の為に戦う様が描かれる。コミックのように抽象化されていなければとても映像にできないようなグロシーンが続出す る。

出演者は名前だけ観ると豪華だが、特に男性は映像とメークに埋もれてしまっている感は否めない。ロード・ オブ・ザ・リングのフロド君ことイライ ジャ・ウッドに至っては台詞が一言もない。ネコのような変質者兼殺し屋役なのだが本当に出演していたのかどうかもわからない。誰かの演技に顔だけ張り替え たのではなかろうかと思うほど。ベニチオ・デル・トロに至っては出演していることに気が付かなかった。

かくの ごとき映画なのだが、見終わった後の感じは不思議なほど悪くない。シーンはグロいが、描かれている世界はどこか昔ながらの価値観を保って いるからなのかもしれない。例えば女性はグロい殺され方をしないとか。監督が好きな日本のコミックは「子連れ狼」なのだそうだが、どこか相通じるところが あるのかもしれない(子連れ狼も真面目に観たことないけどね)退屈もしなかったし、腹もたたなかったので消去法でこの値段になる、というわけでした。


銀河ヒッチハイクガイド-The Hitchhiker's Guide to the Galaxy(2005/9/24)

そ の昔アメリカに居るとき、Nerd Testというものを見つけた(Webが普及する前のインターネット上でだ。今ネットで見つけられるものはここを参照) Nerdという言葉の正確な意味は未だに知らないのだが、コンピュータオタクとでも訳すのではないかと思う。例えば

「髪の毛がテカテカしているか?」

「しかもその事に気が付いていないか?」

「スタートレックのエピソードを10以上言えるか?」

「プログラミング言語を8つ以上使え るか?」

とかそんな質問が並んでいる。(最後の質問を読み飛ばし たりせず、ぶつぶつ言いながら指を折り始め「俺は10は使えるぞ」と他人に言いふらさず には居られないのがNerdだ。そう言われて「CとC++は一つとすべきか二つとすべきか」について不毛な議論を始める人間が居たとすればそいつも Nerdである)その中に

Have you ever read The Hitchhiker's Guide to the Galaxy?

と いう質問があった。何だこれは?と思ったがきっとその手の人が読む本なのだろう、と想像していたわけだ。

それ から月日は流れ幾星霜。その小説が映画化されたというではないか。というわけでのこのこと見にいった訳だ。

主 人公の家は、バイパス建設のため取り壊されようとしていた。その時地球も太陽系を通るバイパス建設のために取り壊されようとしていた。というわけでこの映 画の題名が表示される前に地球は粉々に吹っ飛ばされる。

しかし主人公とその友達の宇宙人は宇宙船にヒッチハイ クしていてなんとか生き延びていた。そこから銀河系の大統領やら何故かその大統領と一緒に 居る女性とかとあっちこっちに行く。ここらへんのストーリーはStar Warsのエピソード2のようなもので、特に意味は無いのだと思う。まあそこらへんは映画の中でも問われている「究極の難しい質問」と同じことか。

でもって何だか解らないうちに話は丸く収まる。読んでいて何のことだ、と思われるかもしれないが実際そういう話だからしょうがない。映 画館の中で一人だけやたら大きな声で笑っている男性が居たから話を知っている人には笑えるのかも知れない。

か くのごとき訳の分からない映画なのだが、不思議と見終わった時の感じは悪くない。途中では「昼寝しようかな」と思い560円という値段が頭を よぎったのだが、最終的にはこの値段にすることにした。登場人物はとにかくいらいらさせるキャラクターばかりなのだけど、何故この値段なのか、、と自分で もよくわからないのだけど。

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注釈