題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2002/12/26


石切神社-石切夢観音:大阪府(2003/1/4)

京都から近鉄に乗り一度乗り換えると石切に着く。下りるとすぐ鳥居があり門前街がつらなっている。けっこうな人混みは正月四日であることを考えればあたりまえなのかもしれない。しかしそこに並んでいる店は当たり前ではない。

いきなりこんなのがでてくる。「霊感は2階」この省略しきった文から何を読みとればいいのか。また「科学的にズバリ占う」という文章をどう解釈すればいいのか。

そこからゆるゆると坂を下っていくと占い関係の店の多さに驚く。いや、もう占いの店は見飽きた。驚かないぞと思っても妙な店は次々と出てくる。

「豊八衣料品 婦人服 セーター」という文字があるが、2階は「カラオケ」そして一階には「巷でよく当たると評判の占い」と書いてあり、実際占いをしている人がうじゃうじゃいる。さらにはこんな店もある。

売りたいのは占いかレコードか、それともキムチなのか。こういうエリアにおいては洋品店もただではすまない。売るのは「服」ではないのだ。

そのうちこんな大仏がでてくる。

下に写っている人間の頭と比較してもらえればわかるが、大仏という名前をつけるのもはばかられるほどの大きさだ。しかるにやたらと「日本で3番目」と強調されているのだが、どう条件をつけたらこの大仏が日本で3番目になるのであろう。近くにある説明の看板には

「日本で3番目に大きな石切大佛さまを建立させていただきました。(中略)

大佛さまの高さ 六メートル座像 蓮台の基礎の高さ 二メートル(中略)

昭和55年11月1日」

とあり、確かに慎重120mの牛久大仏はそれより後に出来たのだろうが奈良の大仏、鎌倉の大仏、それに聚楽園大仏だってここよりでかいのではなかろうか。

その先には大きく「耳ナリ」と書いた看板がついた何かがある。人が並んでいるのでなにかと思えば、右耳の人用、左耳の人用と書いた何かがあり、それに何かをするとごりやくが有るらしい。

この像も異様だが同じ場所にかかっている

「ひふ かゆい人 ご相談下さい」

という看板に言いしれぬ恐怖を感じる。相談すると何が起こると言うのだ。まさかかゆみがとれる代わりに耳鳴りがするというのではあるまいな。

ずっと続いている門前市にもエリアごとに店の傾向があるようで、神社に近くなると占いは少なくなる。かといって油断はできない。

歴代大臣直筆の何かがあるらしいのだが、紙が外れかかっている。隣には宗教法人の大天狗様とかがおり、太鼓を2度叩くと病魔が退散する、と書いてある。その割には「ご病気の方は隣の斉藤薬局へ」という看板がでているのは何故だろう。赤まむし、という文字が何カ所に書かれているその薬局には全く客がおらず猫も暇そうにしている。

その少し先には石切神社がある。「お百度参り」と書いた石柱があり、人が手をついてぐるっと廻る。その人達からは何か異様な熱気が発散されており、お百度参りの人専用の荷物ロッカーまである。奥の方にもなにやらあるのだが、ここまでくると何が普通で何が変わっているのかについて自信がなくなってくるので(感覚が麻痺したのだろう)ただふらふらと歩き続ける。

そのうち神社の門らしき物が見えてくる。

写真を撮ると今来た道を戻る。雪がちらつきだしており先を急ごうと思うが人込みは絶えることなくそう早く歩くわけにもいかない。しかし雪がひどくなる前に途中見えたあの看板の方向に進みたいのだ。

ようやく近鉄電車の線路にたどり着いた。そこを越えて更に山道を登る。そのうち前方に異様な何かが見えてきた。あれに違いない。

左:全景 右:先っぽのアップ

雪が舞い散る先、異様な光景が広がっている。残念ながらここは毎月一日と日曜日、それに正月3が日しか開けないそうで中はみられなかったのだが、外から見ただけでも十分ここが普通の観音様でないことは伝わってくる。なんでも

「純粋無垢な幼児が、自分の名前をやっと書くことが出来た喜びで、はじめて拝んだ「千手観音」を思い出し、さっと画いた絵に夢を託して「夢観音」と名付けました」

ということだが、その結果がこれか

この近くにはまだ変わった形のお寺だか神社のようなものがあるのだが、ますますひどくなる雪はさらなる探求を妨げる。しっぽを巻いて駅に向かう。

前の章 | 次の章   | 一覧に戻る


注釈