題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2004/2/28


弁天洞窟 : 東京都(2004/1/31)

よみうりランドからいったん駅に戻り線路と垂直に交わっている通りをてくてく歩き出す。するとまず目にはいるのが「墓地分譲中」という多数の登りだ。住宅の分譲と違ってどこかはためく登りが虚しく見える。

などと考えながらてくてく歩く。間もなく左手にこんな看板が見えてきた。

新東京百景というからには他に99カ所あるのだろうがあまり聞かない気がする。進んでいくと本堂の様なものがある。それを横目で眺めつつ左手奥にある橋を渡ろうとする。きっとあの先に洞窟があるのだ。

橋を渡ったところに看板があり「大人300円。。。受付でお支払いください」と書いてある。そうか。受付があったのかと思い少し戻る。すると「ご用の方はインターホンを押して下さい」と書いてある。インターホンを押す。部屋の中でなにかがピンポーンとなる。何も起こらない。またインターホンを押す。何も起こらない。これを8回くらい繰り返し

「どうも今は人がいないらしい。」

と結論づける。しょうがない。後でお金を払うことにしてとりあえず洞窟に向かおうと進んでみるが入り口から左右に通路が分かれた先は真の闇であり、一歩も進むことはできない。しょうがない。後でこよう、とありがた山石塔群に向かう。

(しばしの時間が流れる)

というわけで汗をかきつつ戻ってきた。向こうからローソクをもったカップルが歩いてくる。ということは受付に誰か居るわけだ。観れば男性が座っている。300円出すとローソクとマッチをくれた。

さて、と洞窟に向かえばさっきは人気の無かったあたりが妙ににぎやかである。小学生とおぼしきの子供の団体がいる。ううむ。一人で静かに洞窟巡りをしようとしたのに、と一瞬考えた私は数分後に自分の愚かさを知ることになる。

すいませんねえ、と言いつつ小学生をかきわけ先に入れてもらう。さっき漆黒の闇だったところもローソクがあれば大丈夫だ、というのは甘い考えだった。ぼんやりとした光は行く先を照らすのに大して役に立たない。そろりそろりと進むがどうも上方に何かあって頭をふきとばされるような気がする。

直接ローソクの炎を観ているのがいけないのだろうか、とかもっと壁に炎を近づけないといけないのだろうか、などとあれこれやる。マッチ箱をもらったから炎が消えても付け直せばいいや、などと思っていたがそれが可能かどうかも怪しいくらいの暗さである。何かある、と思いカメラを向ければこんなものが写っていた。

通路は地図の上では比較的単純に思えるのだが、自分がどこを歩いているのかもわからない。足下がおぼつかないからゆっくり歩いているのだが、どれくらいの距離を歩いているか見当もつかない。そのうちまた前方に何かあることに気がつく。再びフラッシュをたいて撮影すればこんなものだ。

壁に彫られた蛇である。写真がずれた位置を写しているが、肉眼では全く目測がつかないからしょうがない。この蛇は壁一面に結構長く彫られている。しっぽの辺りで気がついたからよかったようなもの、この白く光る目をいきなりローソクで照らしたら驚くであろうな。

そのうち洞窟内がさわがしくなってきた。小学生の集団がご入場である。彼らが歩いている姿が前方とか後方に見える、ということは私は別の通路にいるらしい。「あっ。あっちに光が見える!」とか私のローソクの光を見て叫んでいる子供もいる。

しかし彼らと彼女たちが入ってきてくれたことは私にとって幸いであった。ローソクの数は何倍にも増え、おかげで洞窟内がどのようになっているかがわかったからである。壁にそって何体かの像が存在していることがわかる。

フラッシュをたけばこれくらい写るがローソクの明かりだけだとこんなん感じ。

目で見える光景はこの中間ぐらいだろうか。

というところで表に出る。それまで何度か消えそうになっていたローソクはその瞬間消えた。でももう明るいからいいのだ。外に出て地図を観れば結構こった通路になっていたようだが、全然わかりませんでした。

蛇も2匹いたらしいのだが一匹しか気がつかなかったし、23体の石仏のうちの5−6体しか観ていないのではなかろうか。田谷の洞窟もローソクを持って入ったが、中は明るかった。それに比べるとこちらは「本物の洞窟」という感じがする。

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注釈