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三河工芸ガラス美術館(三州碧城):愛知県(2014/1/3)
昨日は思いもかけず珍スポットを巡ることができた。ありがたいことだ。今日も一日自由だがどうしよう。映画でも観に行こうか。そう考えてぼんやりしていると母が
「あんた。今日は珍寺行かないの」
と聞く。そうですねお母様。あれこれ考えているところです、と答えてやはり箱根駅伝を横目でみながらあれこれ考えたり探したりする。すると十分おきに母が
「あんた、早く珍寺行かなくていいの」
と聞く。これはやはり映画等にうつつを抜かすなということでありましょうか。考えてみれば映画は普通の生活でも(大変な幸運に恵まれればだが)観る事ができる。珍スポットはそうはいかない。というわけで愛知県三河地区に存在している2カ所のスポット向かうこととする。自動車に乗り込むとぶるるるるんと発進だ。
カーナビに目的地を入力すると1時間以上かかると表示がでる。多分高速を使わず一般道で計算しているのだろう。こちらも急ぐ道のりではないしのんびり行く事にする。
名古屋から南に向かうと町の様相が何度か変化する。最初は名古屋の市街地。そのうち典型的な「自動車でのアクセスだけ考えた郊外」の風景が広がる。ここらへんは日本全国どこにいっても同じだ。しかしそのうち三河特有の風景になってくる。思うにここらへんああまり戦災の被害を受けていないのではなかろうか。古い建物と、新しい建物が微妙にいりまじっており、私のような人間にとって興味深いことこの上ない。
カーナビのお告げに従って進んで行くことしばらく。思いもかけずカーナビに設定したのとは別の目的地が目の前に現れた。
目的地その2、三州碧城である。隣にあるのは碧南市の市役所。駐車場には特にゲートとかなく、休日の今日であれば止めても多分誰の迷惑にもならんだろう。今日は風もなく日差しが暖かい。のんびり外にでて写真を撮る。
ここは本来和菓子屋なのだが、ご主人の意向で半分城にしてしまったとのこと。やはり「お城の主」というのは日本人男性の夢なのだろうか。私が作るなら和風とも洋風ともつかぬおどろおどろしいものを作るがなあとか言っている人間には金は巡ってこないのであろう。
写真を撮るばかりではなんなので、中にはいって150円のお菓子を買う。なかなかおいしかった。さてそこからカーナビのお告げに従いさらに先に進む。カーナビの指示が妙に細かくなってきたところで「800m進むと左手に目的地がある」とか英語で言われる。(父の趣味で実家のカーナビは英語をしゃべるのだ)いかにも住宅地といった狭い道をくねくね進むとそれは確かに左手に現れた。
今日の目的地その1の三河工芸ガラス美術館である。この「お宅に御邪魔する感」が大変よろしい。車を中にとめて進む。こんな案内図があるのだが、一見わかりそうで実はよくわからないその内容に期待が高まる。(間違ってますか。でもトイレは結局どこにあるのだろう)
いきなりでてくるのがこれで、確かに「ガラス美術館」と表示もあるのだが、ここはお土産屋であり、展示館は別である。
さらに進むとこんな建物がある。
これがお目当てのガラス美術館。中にはいると500円払う。2階がメインの展示なのだが、2階のみ撮影禁止なのだそうな。さっそく上がろう、と階段を観ると
このように注意書きが満載である。さらに壁にはこの場所が取材されたときの写真が飾ってあり、そこにはこんな人の写真もある。
「坂東英二」そういえば最近TVでみないなあ。北朝鮮並みの「無かった事」処理を受けたというニュースは見た事があったが。。しかしまだ話は終わっていない、とはこの時無想だにしなかった。
さてこの先は撮影禁止エリアになるので、写真がない。最初にでてくるのが、ギネスに載ったという巨大万華鏡。中にはいると、ナレーションが始まり表示が変わる。
なんでも地球は奇跡の星ということで、深海の様子からはじまり銀河を飛び出て、謎の天体ブラックホールを避けビッグバンにたどりつくのです、というもの。内容としては平板的な音楽が耳に残る。ビッグバンを模したとおぼしき場面では正面の壁全体が明るくなり、ここでは万華鏡の威力が発揮されたと思う。その壁がどこまでも広がっているように見えるのだ。
万華鏡はもう一つあり、日本の四季をイメージし春夏秋冬の植物の状態が再現される。これもやはり壁が見えてしまうと感興がそがれる。途中の壁が見えず、上下の照明だけがどこまでもつらなっているところがおもしろいと思った。こうみていくと人がはいる万華鏡の作り方にもいろいろノウハウがあるのだと思う。
さて、その間には公式サイトの「このページ」にあるような映画の一シーンをガラスで再現したものが並んでいる。最初にでてくるのはタイタニック。有名なあのシーンである。その反対側にはローマの休日があり、これは気合いがはいっている。グレゴリーペックとオードリーヘップバーンの白黒写真の超拡大版まで飾ってある。その先にレオン、風とともに去りぬ、めまい、があるのだが、次にはなぜか「キャスト・アウェイ」がある。
カズヒコは基本姿勢としてガラスアートには美人しか彫らないと決めている
引用元:アーティストの項
ではなかったのか。たしかにヘレン・ハントも描かれているのだけど画面の大部分を占めているのは遭難したトム・ハンクスである。むさ苦しいおじさんだ。
さらに館長の母のガラスがあり、そこに書かれた「お前にはできる」という言葉に励まされたという説明に涙を誘われたかと思うと、その隣にあるガラスに描かれているのは「取材当時の板東英二」というのは理解がしがたい。この板東英二への思い入れはどうしたことだろう。
首をひねりながら3階に上る。といきなり正面にこんな部屋がでてくる。
実はここに至るまでにこんな注意書きもあったのだった。
そりゃ文句を言う人もいるだろう。というか私の想像ではここを作った人がガンマニアなのだと思うのだが、公式ホームページにはこんな説明がある。
ガラス美術館になんで鉄砲があるの?って聞いたら、家族サービスに駆り出されたお父さんやガラスに興味のない子供さんに楽しんでもらうためなんだって。映画の中で活躍する銃がどんな物なのか楽しく、詳しく説明しています。今ではこの展示館を見るために遠くから来られる人もあるそうです。最近では女性のファンも増えてるんだって。何かと世間の風当たりの強い銃達だけど、知ることは悪くないわ。
引用元:体感ミュージアム
なぜここだけ語尾が女性的なのだ。
というわけでとにかくモデルガンがてんこもりである。それぞれの銃器の説明に、それらが使われている映画のシーンが添えられているところが工夫であろうか。
そしてその先にはこんな「人達」がいる。
これはSWATチームなのだそうな。最初「なんでこの人達はこちらを観ているのだろう」と思ったがどうやら一定間隔で目が動くらしい。
そしてこんなものもある。覗いてみるとこんな具合である。
田んぼの一角が確かに見える。だからどうだと言われても困る。
といったところで「映画とモデルガンで綴るてっぽう展示館」はおしまい。その外にはこんなものがある。
これで仲良く写真をとっているカップルを観たとしたら「貴様らそこに座れ、歯を食いしばれ」と叫びたい衝動に襲われることであろう。この日結構人が来ていたが、カップルがいなかったのが幸いであった。
といったところでガラス美術館の見物はおしまい。帰りはまた一般道をのんびり運転する。途中今は閉鎖されてしまった「紫峰人形美術館」があることを知る。その瞬間今さらのように
「実は愛知県は珍スポット密集地ではないか」
ということに気がつく。県別一覧で、愛知県の項目がやたら多いのは、何も私の実家が愛知県にあるからばかりではなかったのではなかろうか。