2013-09-30 06:52
なんでもGalaxy Note3が発売されたのだそうな。
Note 3は素晴らしいデバイスだと受け止めている。この時代に、バッテリ交換ができることもすごい。
via: 【山田祥平のRe:config.sys】「Galaxy Note 3」が目指す掌のアクセラレータ - PC Watch
山田氏絶賛のデバイスだが、こんな点が話題になっている。
I really thought the days of region-locking were dying with the DVD, but it seems I was wrong - Samsung has decided to revive the odious practice with its Galaxy Note 3 smartphone.
via: Seriously, Samsung? Sorry, roamers, but the new Galaxy Note 3 is region-locked -- Tech News and Analysis
DVDには未だに「リージョンロック」なるものが存在する。アメリカで購入したDVDは日本の機器では簡単に再生できない。もちろんこれはユーザの利便性のためではなく、日本人に日本だけの価格で高いDVDを売りつけるのが目的である。
というわけだがどうだか知らないが、後継のBlue-rayではこれはある程度緩められているようだ。ところがその「古き悪しき習慣」を最新のNote3で取り入れたのがサムソンである。
最初
「Note3は、異なるリージョンのSIMを入れても使えない!」
というニュースが流れた。例えば出張で海外に行く人がいるとする。母国の通信サービスを「ローミング」というもので使うこともできるのだが、天文学的な値段を取られる。
というわけで慣れている人は、現地で安い通信サービスのSIMを購入して、機器に差し込んで使う。これをやるためには、機器が「SIMロックフリー」であることが必要だ。つまりどんなSIMでも差し込めば使える、というわけ。
Note3はそれができず、購入した場所と同じSIMでしか使えない!という声が存在した。之に対してサムソンは
「そんなことはない。最初にアクティベーションするときには、購入した場所のSIMでなければならないが、その後は自由にSIMを差し替えることができる」
と言ったらしい。
これで問題解決!とはならない。こんな馬鹿なロックがかかっているのはNote3だけなのだ。おまけにドイツではパッケージに明らかに
「他の地域のSIMは使えません」
と書いてあるとのこと。そもそも
「なぜこんなことをする?」
という疑問にまだサムソンは答えていない。
山田氏は、Note3を絶賛するばかりでこの「問題」には何も言及していない。あるいは
「海外に旅行して現地のSIMをさすなんて人は少数派だ」
ということなのかもしれない。Google先生にお伺いをたてても、今のところ日本語で上位に来ている記事はこれだけだ。
サムスンはこの端末が欧州または米州のいずれかで使用されているSIMカードとしか互換性がないとはっきり述べている。アンロック版の端末を購入する際は、世界中どこでも好きな場所で使えるようにするための追加料金を支払うことになる。
via: サムスン、「GALAXY Note 3」にリージョン制限を適用か - CNET Japan
ここらへん「古き良き時代のSONY」を彷彿とさせるのが微笑ましい。一時のソニーもCDにコピープロテクトをかけるため、わけのわからないことをやったり、楽しませてくれたものだ。
2005年10月に、コピーコントロールCD (CCCD,セキュアCD) の米SunnComm Technologies製セキュリティ技術に脆弱性が発見された。このCCCDをWindowsパソコンに入れてソフトウェア『XCP』のインストールに同意すると、rootkitプログラムをインストールすることになり、更にXCPのアンインストールが不可能だという指摘がなされ、世界中から非難を浴び訴訟問題へと発展した。
via: ソニーBMG製CD XCP問題 - Wikipedia
というわけで続報が待たれるところである。
2013-09-27 06:28
をみると、やはりPanasonicはなにか問題を抱えているのではないか、という気がしてくる。
パナソニックは2013年9月26日、2013年10月以降、国内通信事業者向けの個人用スマートフォンの新製品開発を休止すると発表した。
via: ビジネスニュース 企業動向:パナソニック、個人向けスマートフォン事業から撤退を発表 - EE Times Japan
このニュース自体には何の驚きもない。ずっと前からそうする以外ないことは誰の目にも明らかだった。驚くべきはその時期だ。NECに遅れること2ヶ月である。
そのヒントの一つはこの記述だろう。
同社の個人用スマートフォン事業は、AVCネットワークス社(以下、AVC社)傘下のパナソニックモバイルコミュニケーションズ(以下、PMC)が展開してきた。今回の事業見直しに伴い、2013年10月1日付で、PMCは、個人用スマートフォンの新製品開発を休止し、個人用従来型携帯電話機の生産、販売と、個人用スマートフォンを含む既に発売済み製品の顧客サポートに集中する。
個人用従来型携帯電話機の開発については、PMCからAVC社傘下のパナソニックシステムネットワークス(PSN)のコミュニケーションプロダクツ事業に業務委託する。同時に企業向けスマートフォン事業もPMCからPSNのターミナルシステムBUに移管する。
via: ビジネスニュース 企業動向:パナソニック、個人向けスマートフォン事業から撤退を発表 - EE Times Japan
何のことやらさっぱりわからないし、どうでもいい。しかしPanasonicの中の人達にとっては「何を残して何を止めるのか」「それをどの部署が担当するのか」は2ヶ月以上を費やして議論するべき事項なのだろうな。
まあそれが伝統的な日本の大企業というものだが、そんなペースで物事を決めていて果たして海外の有力メーカーと競争できるのだろうか?
--------
さて、一方アメリカの巨艦。
Microsoft sees the future of RT in phones, but it's not immediately clear how Windows Phone and Windows RT will merge, or when. On the subject of progression overall with Windows, Myerson notes that the company is focused on executing quickly. "We have a very clear vision of what we want to get done, and we're moving very fast."
via: Microsoft sees phones as the future of Windows RT | The Verge
話としてはこういうことだと思う。昨今スマートフォンは大型化している(そろそろ打ち止めかも知れないが)でもってタブレットは小型のサイズのものもでてきている。
そのように区別は曖昧になりつつあるのだが、スマートフォンとタブレットで異なるOSを唯一提供しているのがMicrosoftである。今はなきシノフスキー粒子はかつてこう語った。
スマートフォン、タブレット、PC。これらを区別している要素は何か? と考えると、これが実は2つしかありません。キーボードとマウスの有無、それに画面サイズ。この2つだけです。
via: スティーブン・シノフスキー氏インタビュー:開発責任者に聞くWindows 8の世界――「2年後、タッチできないPCは欠陥品に思われる」 (2/3) - ITmedia PC USER
今となっては彼が間違っていたことは明らかだ。MicrosoftはARM CPUで動くOSを2種類提供しており、素人目にはその違いがさっぱりわからない。例えばNOKIAが6インチの何かを出した時、それで動かすのはどちらのOSであるべきか?Windows Phone OSかWindows RTか?誰も自信を持って答えられないと思う。
というわけでこれまた誰が考えても「Windows Phone OSとWindows RTを統合する以外の選択肢はない」ということになる。問題はそれがいつ行われるかだ。
Microsoftのいうところの
"We are moving very fast"
というのがどの程度のスピード感になるか見せてもらおうじゃないか。というかその前にCEO決めないとね。
2013-09-26 06:28
何度も書いていることだが、私はバルマーのファンである。(多分こういう人は世の中に多くないと思う)そしてMicrosoft CEOとして最後に近いインタビューでのこの言葉を聞こう。
Ballmerがコメントしたのは、Microsoftのモバイル市場における立場についてだけではない。この日それ以前に、彼は自分の会社がモバイル機器で「シェアはほぼゼロ」だと語った。さらに彼は自分が現実主義者であり、Microsoftが消費者向けハードウェアで弱い位置にいることにも困惑してないことを明言した。もちろん、何ら驚く内容はないが、CEOが自社のビジネス状況についてためらいもなく詳細を語るのを聞くことは、やはり新鮮である。
via: スティーブ・バルマー最大の後悔は「ケータイという新デバイス」に乗り遅れたこと | TechCrunch Japan
彼が語っているのはVistaに集中し過ぎていたため、Mobileへのリソース配分が遅れたという後悔。自分の失敗を正直に述べることができる人は多くない。
もちろん仮にVistaの開発が順調に行っていたとしても、彼らがその余剰リソースをMobileに向けたという確証はない。しかしVistaの影響がこんなところにもあった、というのは興味深い話だ。
-------
今や反原発電波じいさんとなってしまった中島氏だが、過去の発言には耳を傾ける価値がある。彼がマイクロソフトのカルチャーについて述べた言葉を聞こう。
マイクロソフトのカルチャーは、ビル・ゲイツそのままで、その一番の目標は「勝つ」ことにある。マイクロソフトにとって、「良いものを作る」のはそれ自体が目的ではなく、「市場で勝つ」ための手段である。
via: Life is beautiful: ソウル(魂)のあるもの作り
多分これは本当なのだと思う。それ故私は仮にVistaがうまくいっていても、彼らはMobileに投資しなかったと思う。「敵」がいないところに彼らは戦いを挑まない。敵がいない、新しいブルーオーシャンを切り開く、というのはMicrosoftのやり方ではない。
他の会社が切り開いた新しい市場に、後からでていって制覇するのが彼らのやり方。(据え置きゲーム機のように、制覇したはいいが市場が死にかかっている例もあるけどね)問題はなぜかMobileの世界ではそのやり方が(今のところ)成功していない点にある。
彼らのカルチャーにのっとれば、ひたすらOfficeを軸にし「相手が失敗するまで粘る」というのが一つの方法。もう一つは「エンタープライズモバイル」という新しい市場(会社とMicrosoftにはうれしいが、従業員にとっては悪夢のような)を作り、そこを支配する、という方法。あとどうすればいいのだろう?それこそ「マイクロソフトの入社試験」の問題に出したいほど難しくて面白い問題だと思うが。
2013-09-25 06:31
iPhone発売の大騒ぎの影で、ひっそりとSurface2が発表された。
あるサイトの説明をみれば
従来機種 Surface RT の後継かつ上位機種にあたり、液晶ディスプレイのフルHD化やUSB 3.0搭載、薄型化にバッテリー駆動時間延長 (動画再生10時間)など、全般に進歩を遂げました。
via: マイクロソフト Surface 2 発表、フルHD画面とTegra 4採用の Surface RT後継 - Engadget Japanese
より薄く、軽く、処理能力をあげ、スタンドも2段階になって使いやすくなった。正常進化と言えるだろう。
問題は
初代Surfaceが失敗した事実に対して何も回答を用意していない点だ。一年後のタイミングで製品化しようと思えば、初代からのフィードバックはほとんど取り入れられなかったと思う。特にそれが
「そもそも売れない」
というものであれば尚更。
というわけで仮にMicrosoftが現実に対応するとしてもそれは一年以上先の話になる。その答えがどんなものになるか私にはわからない。XBOXが意外な成功を収めたのはいわば
「敵が勝手にコケてくれた」
ことによるものだった。それ故XBOXから正常進化を遂げたXBOX360は米国で勝利した。もちろん同じことがPC+Tabletの世界でおきないとは誰にも言えない。
先日面白いデータを観た。
これは非常に興味深いデータだ。最初のグラフは、Microsoftの売上が半分以上エンタープライズ事業から来ていることを示している。その意味でMicrosoftは、消費者テクノロジーにちょっと手を出しているエンタープライズ指向の会社と見ることができる。
via: 3枚のグラフで見るマイクロソフトのビジネス状況 | TechCrunch Japan
私はMicrosoftは消費者向けの会社だと思っていたがそれは間違っていた。彼らの売上の半分以上は企業から来ているのだ。
であれば
Surfaceも企業にまとめて売り込めればよい、と考えているのかもしれないし、そうした考え方もアリだと思う。であれば、企業のIT担当者が予算を通すことが容易になるような製品を作る、というのは一つの解答だ。気まぐれな消費者がどう思おうと関係ない。
・会社の機関システムと親和性がよい
・管理部門による管理もばっちり
・従来のPC資産を引き継ぐことができる
これだけ揃えば、だれでも書類にハンコを押すだろう。かくしてMicrosoftは栄え続けるのであった。。と本気で思っているのかな?
2013-09-24 06:56
というわけでMacheadはこういう題名を付けたくなるわけだ。
2007年に初代iPhoneを発売してから、iPhoneのバージョンアップは今回で7回目。年間1億台以上出荷されている人気商品だが、最近はその人気に陰りが出ている。
via: アップル人気に陰り?iPhone失速で減益続く...中韓勢台頭で激変するスマホ市場 (Business Journal) - Yahoo!ニュース BUSINESS
「人気に陰りがでている」ことは数字で明白だ。このグラフを見よう。
Note that the data is normalized to units/day.
via: iPhones 5c and 5s launch performance illustrated | asymco
早く記事公開しておいてよかったですねえ。
--------
世の中には「アナリスト」という不思議な職業がある。彼らがどうやって収入を得ているかはこれまた面白いのだが、たとえばこんな言葉を聞こう。
ただ、OSうんぬんの話ではなく、iPhoneというデバイスを持ちたいから乗り替える、ということになります。iPhone好き、アップル好きという方は多いと思いますので
via: スマホ "OS戦争" どちらが強い? (THE PAGE) - Yahoo!ニュース BUSINESS
Apple製品が売れるのを「アップル好きな人が多いから」で説明するのは、まあ飲み会の与太話としてはいいのだが、プロのシンンクタンク勤務者がそんなこと公言して恥ずかしくないのかな。
-----------
2007年、iPhone発表後にデンソー社内であれこれ議論する機会があった。その時iPhoneの模型(実物はまだ手に入っていなかったのだ)をかざって「これどうですかねえ」と聞いた。一番多かった反応が
「Appleは信者がいるから売れると思う」
というものだった。
話は少し飛ぶ。先日自家用車につけていたカーナビがお亡くなりになった。もう10年たっているからしかたがない。
でもってディスプレイの取付台だけ活用し、100円ショップで買ってきたスマートフォンホルダーを取り付け、780円でAmazonでかった電源ケーブルを取り付けた。
それからGoogle Mapは快適にナビゲーションの機能を果たしてくれる。(私はApple原理主義者だが、現実主義者でもあるのだ。)電波が届かないところにいったらどうするのか、とかやっぱり本ものカーナビが優れているところはいくつもあるのだろう。
しかしそのメリットではとても10万円を超える出費を正当化できない。ましてや地図更新に1万円とか、カスのようなタッチパネルとか、修行のような50音キーボードでの入力とか今となっては冗談としか思えない。
「Appleは信者がいるから売れると思う」
といっていたメーカーのカーナビのことを少し思い出す。あの開発にどれだけの労力がかかっていたか。骨董品のガラクタの山の上にビニールシートをかぶせたような土台の上でアプリを作るのがどれだけ不毛な作業だったか。それと比べてiOSの上でアプリを作ることがどれほど楽しいか。
あの労力は一体なんだったのか。カーナビメーカーが長年にわたって蓄積した(という)ノウハウは何の意味があるのか。MP3の再生も、地図の更新も、メールのやりとりも全てはiPhoneだけで完結だ。メールにかかれた住所を一瞬で地図に取り込み、ボタンをぽんぽん。
そうはいっても「大きな流れ」は簡単には変わらない。私が無責任にこう書いている今でも、あの建物の中では世界各国向けのカーナビが開発されているに違いない。ポケットのなかにあるiPhoneと仕事で作っているカーナビ。この2者を
「いや、全くの別物だよ。Appleは信者がいるから売れてるだけさ」
と言い切れなくては、大きな企業で長年勤めることなどできないのだと思う。
2013-09-20 07:00
MacHead(i.e. Apple原理主義者)の私としては、最初に「Appleが新興市場用に安いiPhoneを計画している」ときいた時に「?」と思った。Appleは常にBest Productを作る、と公言している。そこに廉価版とは?
でもって蓋を開けてみればiPhone5Cはそれほど安くなかった。株価は下がった。株価というのは勝手にあがり勝手に下がるものだ。しかしAppleの考えはぶれていなかったのだと思う。
Cook says that the goal with the iPhone 5c was "to sell a great phone and provide a great experience, and we figured out a way to do it at a lower cost."
via: Apple CEO Cook interview: iPhone 5c never intended to be budget phone | BGR
あくまでも「素晴らしい製品」をつくり、「素晴らしい体験」を提供することが主眼。そのうえでそれを低コストで実現する方法を探した、という。つまり素晴らしい製品があくまでも先にくるわけだ。
-----
貧乏な私はiPhone6Cを買うつもりだった。しかしあの指紋認証技術は素敵だ。あれが6Cにのるだろうか?だんだん不安になってきた。
というわけで4Sを限界まで使い続けるのだと思う。愛用しているIIJがiOS7から使えないのではないか、という噂もあったが幸い使えている。昨日iPhone4S,iPad2をiOS7にしてご機嫌だ。さて、来年は何がでてくるかね。
2013-09-19 07:08
ということで、昨日書いたことにちょっと関係する話。
The graphs above combine both Nintendo portable/consoles and Sony
via: Game over | asymco
子どもたちがDSをもっている光景はどこでも見かける。だからNINTENDOはポータブルではうまくやっているのかと思っていたがそうではないらしい。
任天堂はDSもWii(+U)も販売台数が激減している。SONYも同様。Microsoftだけが少し増加しているが、ここ数クオーターはただ減少している。
そして3社のハードウェアセールスを合計した数の傾向は明らかだ。つまりゲームビジネスは縮小を続けている。彼らはお互いに戦っているわけではない。無消費との戦いに負けつつあるのだ。
PS3, XBox360に比べ、PS4, XBOX-Oneが話題にならないのには理由がある。これからゲーム業界はどこに向かうのだろうね?
2013-09-18 06:27
いくつかほれほれと。
よくもわるくも話題になるのがアップル。20年前はSONYがこのポジションにいたんだよ、、といっても最近の若いものは信じてはくれまいな。
でもってXperiaも新しくなったらしい。
このインフィニットなガラスの先に、クラウドのインフィニットなアプリやユーザーエクスペリエンスがある。そういう世界観というか、宗教観のようなもの、「その向こうに世界がある」みたいなものを表現したいと考えています。
via: ソニーに聞く:Xperia ZからXperia Z1、半年でフラッグシップを更新したソニーのこれから - Engadget Japanese
もう一つ記事もあるのだが、両者に共通しているのは
「何を言っているかわからない」
こと。しかし国産家電メーカーのスマートフォンでおそらくいちばん長く残るのはソニーだろうから是非がんばってほしいものだ。
------
これには少し驚いた。
マイクロソフト(MS)は17日、米国などで11月に発売予定の家庭用ゲーム機「Xbox ONE」の日本での発売時期を2014年に遅らせると発表した。ライバルのソニーも、欧米では11月予定の新型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」の発売を日本では14年2月に遅らせると発表したばかり。
via: <Xbox ONE>マイクロソフトの新型ゲーム機 日本では来年発売 (まんたんウェブ) - Yahoo!ニュース
家庭用据え置きゲーム機というものはもはや死にかかっているのだろうか?XBOXは日本で存在しないも同然だからスキップするのはわかるが、SONYまで年末商戦を外してくるというのは意外だった。
PS3への話題の高まりは今からは想像できないほどだった。それが空砲に終わり、PS4,XBOX ONEにしても一部で話題になるだけ。どこに重点があるのかわかりやすいともいえるし、過去を知っている人間にとってはちょっと感慨深い物がある。
--------
5Sと5Cの関係について
I think, about establishing the 5S as the top tier in what is now a two-tier lineup. The Lexus to the 5C's Toyota; the Banana Republic to the 5C's Gap. (The 4S is Old Navy.)
via: Daring Fireball: Thoughts and Observations on Today's iPhone 5C and 5S Introduction
5SはLexus, 5CはToyota, 5SはBanana Republicで5CはGAP. ふと考えたのだが、日本でこういう2層式のブランドって何があるんだろうね。買い物をしないのでよくわからん。
--------
しかし本当に携帯会社の料金プランというのはわかりにくい。まあまた海外のSIMフリー端末買うから関係ないのだけども。
2013-09-17 07:05
何度か書いたことだが、私のようなApple原理主義者がいれば、ひたすらアップルをけなすことに生きがいを感じる人もいる。
高機能・ブランド力にこだわる従来戦略を転換し、販売台数の拡大を狙って、日本市場では携帯事業者最大手のNTTドコモと組む。両社が交渉に要した期間は5年。苦境に立つアップルとドコモの2強が手を携え、事業の巻き返しをはかる。
via: 交渉5年 ドコモ、契約流出止まらずiPhone参入 :日本経済新聞
この短い文章だけで突っ込みどころが満載だが、ここでまともに相手をしてはいけない。「よく飛ぶ記事」を旨としている日経にマジレスするのは、東スポの記事は正確ではない、と怒るようなものだ。
おもしろいのは、散々「Appleが低コストiPhoneを出す」と言われていたiPhone5Cがそれほど安くなかったことだ。これはiPad miniが出る前の状況とも似ている。iPad miniは思ったほど安くない、と誰もが口を揃えて言った。AppleがiPadを小さくしたのは「安くする」ためではなく、iPad-miniという別の製品を作るためだったのだ。最近会社でiPadminiをさわっているのだが、触ってみないと私が何を書いているかわからないと思う。サイズが違うだけで別のデバイスになるのだ。iPadminiは一人用。そしてiPhoneより大きい。
同じようにiPhone5CはiPhone5Sの廉価版ではなく、「別の製品」なのだと思う。私はSimフリーのiPhone 4S + IIJ Simの組み合わせに至極満足しているがちょっとその将来には暗雲が垂れ込めている。しかしここは楽観的に将来もこの組み合わせが使えると想定しよう。
次は多分iPhone6CとIIJ Simの組み合わせになると思う。iPhone4Sを買った時も6万円だったが多分それくらいで買えるだろう。
でもって
最近面白いマンガを見つけた。
(いい加減な訳)
[Macユーザグループの会合で]
みんなもしってのとおりAppleは2種類のiPhoneを発表した。
期待されていた安いモデルがでなかったからみんな、アップルは馬鹿なことをやったと言っている。
メディアの評価は渋く、株価は下がり、Androidファンは大喜び。NOKIAですら公式アカンとでネタにしている。インターネットでアップルは笑い者にされている。
君たちApple原理主義者はどう思う?
やった!俺達はまた負け犬だ!
90年代に戻ったみたいだ!古き良き時代が復活だ!
トップにいるのは面白く無い。いつでもかかってこい!
アップル対世界全体の戦い。やってやろうじゃないか!
古参のMachead(最近知ったのだが、こういう英単語があるらしいのだが)の気持ちはまさにこれだ。いや楽しい。
2013-09-13 06:46
Pacific Rimという映画を観た。とても気に入った。それと同時に「怪獣映画」を作れなくなった日本の現状に絶望した。
愛情の差は作品のどこに具体的に表出してるんでしょう? RT : 愛情の量ですよ RT : 宇多丸君「ガッチャマン」酷評 パシフィック・リムも脚本良くないのに気にならないのは何が違うんだろう
via: Twitter / TomoMachi: 愛情の差は作品のどこに具体的に表出してるんでしょう? RT ...
予告編をみただけで、見る気が0になるガッチャマンという日本映画がある。この差異はなんなのだろう?
「愛情の差異」だとか感覚的な言葉で逃げるのはよくある態度だが、それでは何も解決しない。町山氏が提起しているように
「それは具体的にどこなのか?」
が知りたいのだ。監督がいかに熱意をもっていようが、それは一旦映画というメディを通じて観客に届けられる。つまり全ては映画の中から感じ取れるはずなのだ。
-------
でもって話はまたWISS-Tokyoに戻る。問題は査読だ。私が望みたいのは
「ガッチャマンはリジェクトし、Pacific RIM は採択する査読」
だ。問題はこれがどうすればできるのかわからない。血の通わない
「評価実験不適当」
「論旨が明確でない」
という言葉を当てはめれば、Pacific RIMは間違いなくリジェクトされる。でも面白い。
ガッチャマンだって、それなりに論旨も理由も(無茶苦茶ながら)存在しているに違いない(見てないけどね)でも面白くない。
結局これは査読者の問題ということになるのかもしれん。というわけで今日も投げっぱなしで終わるのであった。
2013-09-12 07:57
というわけで、WISS-Tokyoで講演をしたのだ。
今年は「表の仕事」で忙しくWISSに論文を投稿できなかった。だからこれが今年の唯一のWISSでの「登壇発表」になるのであった。
直接会場で聞いてくれたり、ニコニコ生放送を通じて聞いてくれた人には感謝の言葉の他にない。
でもってパネルディスカッションで少し話たりなかったところについて書いておく。
「WISSに企業からの参加者が減っている」
という問題提起が何度もなされている。そしてその議論はいつも
「土日開催にしたほうがいいか、一泊のみの参加を認めるか」
というところに行ってしまう。
もちろんそれも大きな問題だが、私は別の問題になーんとなく気がついている。
もちろんWISSに来ている人たちにはあまりそういう傾向が無いことをしりつつも、大学の先生にとっては
・国際会議に論文を通すこと
と
・科研費(学振?)をとること
というのがものすごく重要である、ということが伝わってくる。
でもって企業の人にとっては「企業の売上、利益を増やすこと」が最終的な目標だ。
もちろん両者の思惑が一致する必要はない。しかし先ほどあげた「それぞれの目的」の先にある
「新しい物を作り、世の中を変える」
といった目標は一致していてもいいのではないかと思うのだ。
問題はお互いの側にそうした「本当の目標」が共有されていないように思えることだ。
具体的に言おう。WISS Tokyoの煽り文句は
「日本語予測入力やマルチタッチはここから生まれた」
と書いてある。それは本当なのか?マルチタッチで世の中を変えたのはWISSなのか?WISSのことなど歯牙にもかけないAppleなのか?
もっと具体的に言おう。大学の先生の多くからは先ほどの共有しておきたい目標の後半、
「世の中を変える」
といった点に関して意識が希薄なのではないかと思える点がある。もちろん「いや、論文を発表しアピールしてます」とか「一般向けに展示会をしてます」という意見もあるだろう。
しかしそれは有効なのか?本当に世の中を変えているのか?という疑問はあまり感じられない。
もちろん名古屋大学の河口先生みたいにそうした面ですばらしい仕事をされている人もいる。もっと河口先生のやっていることについて議論がされていもいいと思うのだ。
この目的の共有がない限り、企業から「優秀な学生のリクルート」以外の目的でのWISS参加へのモチベーションが高まるとは思えないのだ。私が指摘したいのはそこだ。(パネルディスカッションでは日和って曖昧な表現になったから、誰にも理解できなかったと思うけどね)
というわけで問題を投げっぱなしにして今日は終わるのであった。
2013-09-06 07:44
噂通りサムソンがSmartWatchを出した。
問題はやはりここにある。
There is one thing the Gear doesn't seem to have: a purpose.
via: Samsung Gear: A Smartwatch in Search of a Purpose - Businessweek
機能は満載だが、そもそもの「目的」がない。これは他の会社のSmartWatchも同様だ。
これだ。
これこそが、大切なんだ。
プロダクトがもたらす体験。
人が何を感じるか、ということ。
そのあるべき姿を思い描くとき、
一歩引いて、じっくりと考える。
これは、誰のためになるのか?
生活をより良くするものか?
存在する価値があるものか?
via: 【6/22】アップル、WWDC2013で上映した "Designed by Apple in California" プロモーションビデオとTV CMの日本語版を公開。(6/22) - Apple Brothers + Mac News
Apple原理主義者としては、Appleがこの言葉通りの製品を出してくれることを期待したい。しかしそれがどんなものになるかはわからない。
誰もがスマートフォンをもち、それをすぐ手に取ることができる。その上でなぜ腕になんらかのデバイスを巻き付ける必要があるのか?この問に答えを出さない限り、SmartWatchはたんなる徒花に終わるだろう。
-------
そして今朝から
「Docomo がiPhone発売へ」
というニュースが流れてくる。日経だけなら「いつもの」と思うところだが朝日(笑)とNHK(笑)が報道しているそうだ。でもね、なんとなく思うんだ。きっと他のキャリアより値段を高く設定してくるだろうなって。
しかしこれで
「メールが消えたぁ!」
とか叫んでいる姪に堂々と
「iPhoneにしなさい」
といえるようになるわな。
2013-09-05 07:21
面白い文章を読んだ。
つまり、人生とは、「バッシーン!に出会えるかどうかがすべて」なんですよ。
ジョブズも、ザッカーバークも、才能があったから成功したわけじゃない。
人生のどこかで「バッシーン!」にバッシーン!と出会ったんですよね。
via: 成功の秘訣は「バッシーン!」|水野敬也オフィシャルブログ「ウケる日記」Powered by Ameba
ちょっと説明しておくと、この人が言っている「バッシーン!」というのは、ニューヨークのストリッパーが目の前で自分のおしりを叩いてくれたことなのだそうな。
彼はその「バッシーン!」の人と話すためだったらTOEIC350から950まであげられると断言している。そしてそうなのだと思う。
ジョブスはStanfordでのスピーチでこう言っている。私は幸運だった。若いうちに自分が好きなものに出会えたから。そしてこうも言っている。
私は自分がしていることがたまらなく好きだ。それが私を動かし続けている唯一のものだと堅く信じている。たまらなく好きなことを見つけなければならない。そしてそれは仕事についても愛する人についても真実だ。仕事は人生の大きな部分を占めることになり、真に満足を得る唯一の方法は偉大な仕事だと信じることだ。そして偉大な仕事をする唯一の方法は自分がしていることをたまらなく好きになることだ。まだ見つけていないなら探し続けなさい。妥協は禁物だ。核心に触れることはすべてそうであるように、それを見つければ分かる。そして素晴らしい関係は常にそうであるように、それは年を経るにつけてどんどん良くなっていく。だから見つかるまで探し続けなさい。妥協は禁物だ。
via: スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学での卒業式スピーチ - himazu archive 2.0
Appleとは、彼が「たまらなく好きなもの」だったのだ。まさに「バッシーン!」だったのだ。
今WISS-Tokyo でのプレゼンをあれこれ考えている。おそらく私は「バッシーン!」にであっていながら、それを馬鹿のような理屈で見送ってしまった。なぜ自分が今の仕事をしているか。88式地対艦誘導弾の発射機を担当していた男がなぜiPadアプリをごりごり作っているか。
同じくWISS-Tokyoでプレゼンする産総研の後藤さんにとっては「音楽情報処理」がまさに「バッシーン!」だったのだと思う。それは後藤さんのプレゼンを一度でも聞いたことがある人には明白だろう。あの周りの人を動かさずにはいられない「熱」は「バッシーン!」からしか生まれない。
そう考えるとおそらくWISS-TokyoでのWISS Talk Sessionはそれぞれが自分の「バッシーン!」を語る場になるのではなかろうか。
色々本読んだり、研究したりするんじゃなくて
何よりも「バッシーン!」に出会うことを優先しなければならない。
出会いに行かなければならない。
「バッシーン!」は、いつどこであなたの前に姿を現すか分かりません。
僕だって、Tバックの女が突然自分の尻を叩き始めるなんて予想だにしてませんでしたから。
だから、動かなきゃ。
自分のだけの「バッシーン!」に出会うまで、動き続けるんだ。
via: 成功の秘訣は「バッシーン!」|水野敬也オフィシャルブログ「ウケる日記」Powered by Ameba
ここで水野氏が語っていることと、ジョブスのスピーチは驚くほど符合している。子供に最近「お父さん、俺将来なにになるのかな」と聞かれる。もう少し彼が大きくなったら「バッシーン!」の話しをしてやろうと思う。
2013-09-04 06:32
こう書いたのが8月29日
将来の命運を握るWinows PhoneはもはやNokia独占になるらしい。となるとMicrosoftにはそれがどれほど財務的に危険な賭けであろうと、NOKIAを買収するかしか選択肢がないことになる。でなければWindows Phoneから撤退するか。
via: ごんざれふ
でもってこのニュースだ。
Microsoftは米国時間9月2日夜、「Nokiaのデバイスおよびサービス事業すべて」を買収すると共に、Nokiaの特許をライセンスし、Nokiaのマッピングサービスを使用すると発表した。
via: マイクロソフト、ノキアのデバイス・サービス部門を買収 | TechCrunch Japan
Apple, Google+ Motorola,それにMicosoft+Nokiaの戦いとなった。つまるところみんなハードとソフトの垂直統合になったわけだ。
Let's be honest though: This news is just the final nail in the coffin for hardware makers to license Windows Phone, and Windows RT, for that matter.
via: Let's get real: Nobody will license Windows Phone or Windows RT now -- Tech News and Analysis
このニュースで、数日前に出た「NokiaがWindows RT端末を出す」というニュースが納得できるものになる。NokiaはMicrosoftの一部としてWindows RTをだすのだ。このニュースの前であっても独立した企業があらたにWindows RTを出せば
「お前はNECか」
と言われかねなかったが、今やだれもWindows RTに見向きもしないだろう。Microsoft(とその一部たるNokiaを除けば)Windows Phoneもそうだ。(いずれにしてもそうなる運命だったようだが)
かわいそうな日本マイクロソフトの社員は、端末を更新してもらえるのかねえ。
-----
さて、Scott Forstallの首、シノフスキー粒子の首、MicrosoftによるNOKIAの買収など次々と予言を的中させてきた(当たり前です)当ブログが次に大胆な予言をしよう。
次のMicrosoftのCEOはElop.
今プロフィールをみて気がついた。Elopと私は同じ年生まれなのだな。。(遠い目)
理由?顔だよ顔。次期Microsoft CEO候補の顔ぶれをみればわかるでしょ。この中でMicrosoftのCEOとして一番相応しい顔をしているのはElopだ。個人的にはPanos Panayがなっても面白いんじゃないかと思うけど、Microsoftという会社の性格を考えればそれは適当ではない。
確かに市場は変化している。しかし、Krugman氏の見解によると、ITマネージャーというものは本来保守的であり、気まぐれな普通の人間が、Appleを凌ぐ輝きと新しさを備えた製品を見つける可能性があるにしても、ITマネージャーがそれと同じようにすぐにはMicrosoftから離れることはないということになる。
via: アップルはMSよりも多くの試練に直面する可能性--米経済学者P・クルーグマン氏が示唆 - CNET Japan
この記事は別に一つ記事を書いて言及するだけの価値があるが、それはおいておいて、要するにMicrosoftとは保守的なITマネージャーに受け入れられることで命脈を保つ企業だ、ということになる。概ねこの指摘は正しいだろう。
おそらく今後20年か30年、WIndows 7は使われ続ける。そしてその間Microsoftは収入に困ることはない。その頃までにはMicrosoftは「ソフトの土管屋」として自らの地位を確立しているはずだ。そういう会社のCEOとしてPanayは相応しくないんだよねえ。
2013-09-03 06:34
今でも既に何種類かでているのだが、全く話題にもなっていないSmartWatch.しかしAppleがそれを出すのではないか、と噂されるなか、サムソンは「先手」を打つようだ。
サムスン(Samsung)が9月4日に発表するとみられるスマートウォッチ「Galaxy Gear」についての新たな情報が伝えられている。
via: サムスンのスマートウォッチ「Galaxy Gear」続報 ー プロトタイプ画像が流出など - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)
先に出しておけば「真似した」と訴えられることもない。それどころか相手を訴えることすらできるかもしれん。
というわけで実にサムソンらしい製品を作っているらしい。
個人的な意見を言わせてもらえば、私がPebbleのようなデバイスを、もっと大げさなガジェットより好む理由は、数少ないことをうまくこなすことに集中しているからだ。通知? もちろん。運転中にBluetoothで曲を変える? 簡単。SamsungはGalaxy Gearでスマートウォッチのレシピに山ほどの複雑さを盛り込んだが、それは、人々の期待に答えない要素がたくさんあることも意味している。
via: Samsungの奇怪なスマートウォッチ、Galaxy Gearの詳細リーク情報 | TechCrunch Japan
サムソンらしい、とはかつての日本家電メーカーとどこか共通するといった意味でもある。つまり絞りこまずやたらとなんでも載せているのだ。SonyのCLIEがそうであったように。
いま出ている情報ではバッテリーが10時間しかもたない、という。なんだそれは。とはいえ正式発表前なので嘘かもしれん。
Appleが本当にSmartWatchを出すのか。そしてそれはどのようなものになるのか。例によって予想はあれこれなされている。確かなことはそれのどれも当たらないだろうチウことだけ。さて、来年が楽しみだ。
2013-09-02 06:33
本家から引用。
----
風立ちぬ(2013/8/18)
今日の一言:遺言にしましょう。
あるところで聞いたのだが、老いると他人との対話が難しくなり、自分語りばかりになる人がいるのだそうな。宮崎某も72。というわけで観客は、彼がぶつぶつつぶやき続けるのを金をだして聞かされることになる。
この映画には頻繁に「夢」の場面が現れる。夢だからイタリアの伯爵と友達になるのも、空想上の飛行機に乗るのも自由自在。では現実があるかと言われればそれもどうも怪しい。全編が宮崎氏の夢といったようにぼんやりしている。関東大震災、銀行の取り付け騒ぎなど当時の様子が描かれてはいるが、それは夢の中のできごとのようにどこか実感が無い。
飛行機の擬音を全て人の声で作り上げるのはまあ趣味の範疇でいいだろう。しかし演技を生業としない人間に主役の声をやらせるのは行き過ぎ。「観客」というものがこの監督の頭から抜け落ちていることを示している。もはや彼にとって映画とは自分だけが楽しければいいものなのだな。宮崎某はこの映画の試写をみて「自分の映画をみて泣いたのは初めて」といった。そりゃあんただけは面白いんだろうね。
大震災の中、綺麗なお嬢様と美しい女中を助ける。大学で好きな飛行機の勉強をし、本場のドイツで学び世界を観て帰る。そのあと飛行機の設計をまかされる。綺麗なお嬢様とは劇的な再会をし(なぜお嬢様は一回目気がつかず、2回目に泣きそうになるのか?)、プロポーズすると即座にYesが帰ってくる。しかし彼女は不治の病に冒されていた。そして自分に美しい顔だけをみせて去って行くのだった。
これが中学2年生の夢でなくてなんだというのだ。もともとジブリでの宮崎氏の作品は、彼が全て一人で考え、誰もチェックしないものだそうな。だから彼が独り語りを始めればそれを止めることは誰にもできない。プロデューサーはできた映画を売るだけ。
千と千尋の頃からそうだったが、宮崎氏の「夢」を描く力には驚嘆させられた。たとえばポニョでは見事に「悪夢」を映像化してみせた。しかしもはや彼には驚きの映像、観て驚く「夢」を作る気力は残っていないらしい。4分の予告編でも使われていた「紙飛行機を飛ばす」シーンだけは素晴らしい。そこに才能の残光はある。しかし全体としてこの平凡な夢を観ろ。これを遺言とし、これ以降作品を作るべきではないと思う。
などという映画に真面目に突っ込むのは何だが、戦前の三菱重工が野原の中のほったて小屋のように見えるのはまあ目をつぶろう。しかし入社6−7年目の社員があんな高級ホテルで休暇を取るなんて設定には我慢がならん。三菱重工のサラリーマンが観る「夢」としてなら納得できるけどね。
----
メイキングで、宮崎氏が主役の「声優」を決める場面を観た。その様子から
「ああ、この人たちは、宮崎氏が言い出したら止めることはできないんだな」
とおもった。宮崎氏以外その起用に反対しているのだが、誰も言い出すこともできず、うにょうにょ口を濁すだけ。
彼も最後にやりたい放題やって満足だったと思う。少なくとも自分は泣いたようだしね。老い方というのはいろいろあると思うが、こうやって自分一人に閉じた夢の中に引きこもっていく老い方もあるのだな。
最新作『風立ちぬ』が大ヒット中の宮崎駿監督(72)が"引退"を表明した。
via: 宮崎駿監督、引退表明 6日に東京で会見へ (オリコン) - Yahoo!ニュース