2013-01-31 07:02
先日、渡邊氏が「自己帰属感デザイン」という言葉について語っていた。それを聞いて考えたことをつらつらと書こう。
氏があげていたのはiPhoneのインタフェースだった。それまでのタッチパネルというのは
・押す
・システムが動作する
という仕組みがまるわかりだった。ところがiPhoneだと指を動かしたとおりに画面が動く。つまり画面が指と一体化したように感じているのではないか。
この「一体感」をもたせるためには、どの程度の反応速度とかそうした性能指標が必要、という研究はどっかでみたような気がするが忘れた。でもってここからが私が考えたこと。
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この一体感というのは「自分が何か動作をすれば、必ずシステムが動作する」という思い込みというか安心感でもある。最近は滅多にないのだが、昔のボールが転がる式のマウスを思い出そう。順調に動いているときはその存在を意識しない。つまり身体の一部のように感じている。
ところがボールにゴミが付着し、動きがおかしくなると、急にその一体感がなくなる。自分が言うことを聞かない機械を操作している、という意識になるのだ。
もっと怪しげな例を言えば、PC自体の動きがおかしくなる時も、そんな気持ちになる。順調に動いているときは全く存在を意識せず「ファイルはそこにあるものだ」と思い込んでいたのが、ディスクやらフィルサーバーがおかしくなった瞬間からその存在を意識しだす。つあまり「身体の一部」という感じがなくなったのである。
さらに妄想を広げよう。
少し混み合っている駅の改札を思い浮かべてほしい。人は一定の速度で流れ続ける。こちらもそれを「当然」と思ってあまり人との距離をとらず一定速度で歩いている。それを当然だと思っているのだ。
ところがそこで周りの速度を一切関知せず歩く人がでてくる。スマートフォンの画面を眺めているとか、ポケットをさぐって定期を探しているとかだ。
私はこうした「速度を乱す」人がいると滑稽なくらいに腹を立てる。その後自問する。なぜそんなに腹をたてるのかと。そして気がつく。私は「その場にいるすべての人は一定の速度で歩くべきだ」というルールを勝手に頭の中に作り上げていたのだ。
そのルールが守られている限り、周りの人混みをあまり意識せずにすむ。いわば自分が流れと一体化した状態だ。しかしそのルールが破られた途端、ものすごい不快感を感じる。それはマウスのボールにゴミがついたり、ファイルサーバーがいかれた時の不安感に似ている。
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というわけでこの「自己帰属感」というのはもっと広い範囲に存在しているのではなかろうか、と思うわけだ。ワンマン社長は、社員全体に対してこの「自己帰属感」を持っているのではないかと思うフシがある。もちろんそれは幻想なのだが、幻想というのは一度作り上げると壊すのが難しい。それ故自分に歯向かう(と社長が認識した)人間に対して異様な態度をとりはじめるわけだ。
この
「自己帰属感というのは、個人的な妄想に過ぎない」
という視点がMaturedということではなかろうかな、などと考えたりする。だから改札の前で歩くペースを乱す人がいても、腹をたてるんじゃないよ、と自分に言い聞かせたい。
2013-01-30 06:55
久しぶりに顔を名前を観た。久夛良木氏である。
インタビュー記事であるから、本当に久夛良木氏がしゃべった内容に、編集者の編集が加わっているわけだ。であるからここから書くことは久夛良木氏ではなく、編集者に向けられるべき言葉かもしれないのだが、一読した感想。
何を言っているかわからない。
親会社から落ちてきた人間の演説を聞いてるかのようだ。
消費者がネットに求めているのは、スタンリー・キューブリック監督のSF映画「2001年宇宙の旅」に登場する人工知能「HAL9000」のように、1つの問いに対して答えを1つだけ返してくるような能力です。そのためにはコンピューター側で情報を処理する機能を一段と高める必要があります。これからのネットは単なる配信用としてではなく、膨大な情報を処理できる超巨大コンピューターのようなイメージを目指すのではないでしょうか。
via: 「スマートフォンの時代は終わる」:日経ビジネスオンライン
これを読むと、PS,PS2の成功というのは、「止まっている時計が一日に2回は正確な時間を指す」ような奇跡的な出来事だったのではないかと思えてくる。PS3が彼の実力だったと。あるいは本当にどこかで「酸素欠乏症」にかかったのではあるまいか。
この記事で久夛良木氏が述べている「プレステをネットに"溶かす"」というのは一時Sonyが本当にやろうとしていたことだ。しかしこの人間がそれを主導していたのなら、失敗するのも当然と思える。
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いや、没落するのは日本企業のお家芸ではない。こんなグラフを見つけた。
Look how well Apple is doing selling just iPads, versus how Dell is doing sell all products.
via: CHART OF THE DAY: iPad Vs. Dell Revenues - Business Insider
一時はあれほど強大な存在だったDELLの「全ての製品の売上」がAppleのiPad単体の売上に近づいているのだ。
新しいカテゴリーの製品を作り出し、それが従来製品のトップメーカーの売上に並ぶ、というのは全ての会社経営者が夢見ることだろう。なぜかといえばそれは滅多に起こらないので。
今後仮にAppleが没落し、存在しなくなるにしても、iPod,iPhone,iPadと何度もそうした「新しいカテゴリーを生み出した」事実だけは特記されつづけるに違いない。
米国ではPlay Stationを打ち負かしたXboxの成功も賞賛されるべきことだが、性質は少し異なる。Microsoftは正面から勝負を挑み、Sonyの自滅も手伝って勝ったのだ。つまりBlue Oceanを切り開いたのではなく、Red Oceanの勝負で勝った。次のRed Ocean,スマートフォンでMicrosoftがその成功を繰り返せるかはまだわからない。IDCの予想が現実になるのかいなかはまだわからないのだ。
世界スマートフォン市場(出荷台数ベース)では、米Microsoftがシェアを拡大し、2016年には米AppleのiPhoneを抜いて2位になる――。米調査会社IDCは6月6日(現地時間)、このような予測を発表した。
via: iPhoneは2016年までにWindows Phoneに抜かれる――IDC予測 - ITmedia ニュース
2013-01-29 07:09
最近「廉価版」iPhoneについての噂がかまびすしい。
しかしながら、今のAppleが単に「コスト低減のため、スペックダウンしたiPhone」を出すとはあまり考えていない。Tim Cookの言葉を聞こう。
"We're not interested in revenue for revenues' sake," Cook said, when asked if Apple needed more price points to attract more iPhone buyers. "We could put the Apple brand on a lot more stuff, but we don't want to do that."
However, in what could be read as a hint of what's to come, he allowed that Apple has used different price tiers before successfully. "We have a great track record here, of the iPod doing different products at different price points and getting reasonable share for doing that. I wouldn't view those things as mutually exclusive as some might," he said.
via: Tim Cook to Apple investors: Keep calm and stop listening to rumors -- Tech News and Analysis
単に売上、あるいはマーケットシェアを増すための販売は行わない。Appleは常に「最高の製品を作る」というブランドに価値を置いている。
しかし同一ジャンルに異なる価格帯の製品を投入すること、についてはAppleは過去に成功してきている。iPodは異なる3つの価格帯に異なる製品を投入している。iPadも同様だ。
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実際「スペックと価格を変えた製品ラインを作る」ことは多くの場合行き詰まる。過去においてはMacのCentris,Quadraラインがそうだったし(誰が68040の数値演算コプロセッサの有無なんか気にしただろう)今ならDocomoのwithシリーズ、NEXTシリーズがそうだ。誰もそんなシリーズのこと気にしてないでしょ?
・価格を下げる
・どの製品も「最高だ」と言える
これを両立させるのは並大抵のことではない。多くのPCメーカーは「廉価版ノートPC」のネットブックを作った。それは確かに安かったがものの役には立たなかった。結果として今やそれはどこにも存在しない。
こうした難しい方程式にAppleがどんな解を提示してくるかは楽しみでも有り、失望するのではないか、というスリルもある。最近でてきた「写真」は単なる廉価版にしか見えないのが残念だ。
In summary, the budget iPhone will look a lot like an iPhone 5 from the front, an iPod classic from the side, and an iPod touch 5G on the bottom--only made from plastic rather than glass or metal. It won't make any bold departures from past Apple designs, but then, it's supposed to be an inexpensive iPhone, and achieves that goal pretty much as expected.
via: New Details On Apple's Budget iPhone 5 | iLounge Backstage
おそらくiPHoneとしての機能は妥協せず、ただし製造困難な(これはiPhone5のビデオでApple自身が主張している)部分をプラスティックに改めたものに見える。これではまさしく「貧乏人のためのiPhone」であり、どちらも最高の製品とは呼べぬのではなかろうか。
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もう一つ、少し前に飛び回っていた「iPhone5が大失速」のニュースだが、これに関してはTim Cookの言葉に全面的に賛同だ。
I don't want to comment on any particular rumor, but I'd question the accuracy of any kind of rumor about our plans. I'd stress that even if a particular data point were factual, it would be impossible to interpret [the meaning] for our overall business.
via: Tim Cook to Apple investors: Keep calm and stop listening to rumors -- Tech News and Analysis
例えば日本のサプライヤー一社から「Appleからの発注が減少した」という情報を得た所で、そこからiPhone全体の販売動向を推定するなどはとうてい無理ではなかろうか。
そうした記事を書くことで、利益をえることができると日本経済新聞は考えているんだろうな。多分今のマスメディアにはこういう事をいう経営者がいないんだろうと思う。(どこの業界でも滅多にいないと思うが)
5年後、10年後、20年後も我々のビジネスが健全に維持できているのか。お客様が満足し続けているのか。一時的に上手くいっても、いずれどこかで後悔するかもしれないのか。様々な仮説を検討する中で、どの方法が任天堂の価値を維持できるか。こういうことを考えると、目先の利益のためにそこへ行こうとはまったく思いません。
via: 昔楽しんだゲームの最新作を、親になっても安心して 子どもに与えてもらえる、そんなビジネスがしたい ――岩田 聡・任天堂社長インタビュー|コンテンツ業界キャッチアップ|ダイヤモンド・オンライン
2013-01-28 07:10
毎回みる巡回路からね。
お洒落を目指して、使いづらくなるサイトが多い件。
はてなブックマークという、ソーシャルブックマークサイトのデザインが変わりました。
via: ひろゆき 「はてなブックマークとか某ニコニコとか、お洒落を目指して使いづらくなるサイトが多い件」 : ズコログニュース(・ω・)
ひろゆき氏が喝破しているとおり、今回のデザイン変更は
「おしゃれを目指したゴミデザイン」
だ。見た目はおしゃれだが、実に使いづらい。ざっとスクロールするだけで情報を見ることができた一覧性はどこかに消え失せ、役に立たない情報ばかりが「スタイリッシュ」に表示されるようになった。
はてなの「デザイナー」のレベルはこんなものなのだな。。あるいは経営者の「デザインセンス」がかもしれないが。
数日は我慢して使ってみたが、そもそもはてなブックマークに載っている情報は「頭のジャンクフード」で切っても差し支えない、という結論に達した。
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先日あるブログで読んだ記事。(どうしても出てこないが)その時感じる欲望にいちいち反応してはいけない。10分待ち、その結果どうなるか考えてから行動しなさい、と。
10分まっても腹が減って手が震えていたら、何か食べてもいい。そうじゃなければ欲望の赴くままにお菓子など食ってはいかん、ということだな。
はてなブックマークもこの「欲望に反応したジャンクフード」だとなくなって初めて気がついた。そう考えると今回の「デザイン改善」には感謝せねばなるまい。これも「UIを改悪してUXが向上する 」一例と言えなくはないかな?
2013-01-25 06:54
ほとんどの人が知らないことだが、私は会社からガラケーを持たされていた時代がある。最初のはNECのどうしようもないFOMA.標準でバッテリーが2つついてきた。その次はINFOBARにした。私が持つ気になった唯一の携帯だ。
auが低迷を極めていた頃、iidaなるブランド名の元にいくつかの携帯が発表された。ほとんどは頭を抱えるような代物だったが、新しくなったINFO BARは気に入っていた。そしてその2代目が発表されたらしい。
深澤さんによると、従来の携帯電話は、中身である「あんこ」と、それを包む皮の部分「もなか」を別々に作って組み合わせていたが、A02は、中と外が一体化した「ようかん」のようにデザインしたという。
via: 目指したのは「ようかん」 前面キーのない新「INFOBAR」、「指先でクラウドに触れる」UIに - ITmedia ニュース
この「ようかん」というコンセプトは、もっと広く語られるべきだ。というか(何度も書いていることだが)画面の中身が今や主役なのだが、それに気がついていない製品が多すぎる。
VIDEO
このビデオを見て一番気になるのが
「ソフトを作ったのは誰だ?」
という点だ。
リストのスクロールを斜めにするなど、正直やり過ぎの面もある。しかしこれを作るのはかなり大変だ。いや、ガッツさえあればなんとかなるかな?
いずれにせよこの「異常に面倒な」ソフト開発を誰が引き受けたのが是非聞いてみたい。ハードはHTCらしいがそんなのはどうでもいいんだよ。
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こうした表示上のギミックは設定でOFFにできるらしい。ここがなんというか主張の弱いところだな。もし本当にこうした表示が最高だと信じているのであれば、簡単にはOFFにできないようにするべきだ。というかもともともINFOBARはそんなにたくさん売れることを目指した製品でもないだろうし。
逆に「日常使うには過剰すぎるギミック」を思っているなら、そもそもそんなもの出すべきではない、、、というのは部外者の勝手な言い分だね。いずれにせよ私がもしAndroidを持たなければならないとすれば、持ちたい唯一のAndroidはこれだ。
2013-01-24 06:52
昨日Facebook経由でこんな記事を知った。
HAL研のPC-8001用PCGボードをフル カラー対応に改造する。高木ひろみちゅ先生が高2の頃にI/O誌に投稿した記事。640x200のタイリングで表示されるDig Dugっぽいもののサンプル画面が初代PC-8001とは思えない。
via: Twitter / Ackieee: HAL研のPC-8001用PCGボードをフル カラー ...
セキュリティのご意見番としか認識していなかったひろみちゅ氏がこんなことをしていたとは!今の若いものにこの640x200のフルカラーがどんな衝撃だったかを伝えるのは難しいと思う。当時の8001の解像度は160X100でしかも2X5単位でしかカラーの指定ができず、しかも(以下10万行続くが省略)
そのころは
「ああ、こんなに解像度が細かくなったら一体どんな素晴らしい未来が開けるのだろう」
とまじめに考えていた。つまり「解像度を細かくする=幸せ」という非常に幸せな時期にいたわけだ。
どんな新製品にもこういう幸せな時期がある。前に進むのは確かに辛い。しかし進むべき方法がわかっていれば、前に進む勇気も湧いてくる。そして前にすすめば幸せがやってくる。
しかしそうした時期は長くは続かない。「イノベーションのジレンマ」で言うところの「性能がユーザの要望を追い越してしまう」点が必ず訪れるのだ。
そこからは、ひたすら道を前に進んでも結果がついてこなくなる。そして「あんなショボイハード」と言っていた製品に叩きのめされることになる。そして自分が進むべき道を見失ってしまっていることに気がつく。
不幸にして日本の家電メーカーはいつまでたってもこの図式に気が付かないようだ。
ELUGA Xを「今考えられる最先端の機能を全て搭載した最強のフルスペックスマートフォン」
via: 「今考えられる最先端の機能を全て搭載」――パナソニック モバイル「ELUGA X」説明会 - ITmedia Mobile
大型テレビは昨年、シャープのシェアをソニーと東芝が奪う形で推移した。それでは「画像のリアリティーの高さが魅力」(道越氏)の4Kではどんな勢力図が描けるのか。
「付加機能ではなく、本質機能を先鋭化させた製品が生き残る」と道越氏は分析する。価格が安定する大型テレビでの優越が業績にも直結しかねず、4Kを軸とした市場争奪戦が始まる。
via: 「大型4K」で変わるテレビ勢力図 生き残りへ各社の戦略は (2/2) - ITmedia ニュース
TVは画素数をひたすら増やし、そして(コンテンツもないのに)画像に磨きをかける。スマートフォンはひたすら最先端の機能を搭載する。そうすれば売れるだろう。
彼らはまだPC-8001の時代に生きているようだ。
渡辺氏は最後に、「本当に全部入り。すべてが詰まった最強のスマートフォン。ELUGA Xを買えば、2年、3年と長く使えることをお約束します」と、その仕上がりと自信のほどを語った。
via: パナソニックがELUGA X説明会「他社と十二分に戦える」 - ケータイ Watch
あのさ、2年3年使えるかどうかに一番関係するのは、OSなの。ソフトなの。でPanasonicは今後3年ELUGA XのOSをアップデートすることにコミットすると宣言したわけ?
2013-01-23 06:55
あ、社長。それは死亡フラグです。
「Xperiaが一押し」と強調。「iPhoneに十分に対抗できるのでは」と自信をみせた。
via: 「iPhoneに十分対抗できる」――ドコモ春モデル、「イチオシはXperia Z」と加藤社長 - ITmedia ニュース
というか、なんというか全く学ばない点に関し、思わず拍手したくなるほどだ。
キャッチフレーズ:「ドコモにはプラダフォンがある」(山田社長) 結果:ブランド携帯に似つかわしくない大値引き販売の後ひっそり生産終了
via: iPhone痛 : ドコモによるiPhoneキラーの歴史を御覧ください
なんでこうも同じ発言を繰り返すかなあ。
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というわけでDocomoの春モデルである。2画面とかに私の関心はなく、春モデル一覧 である文字を探していた。
NOTTVである。最近は話題にも登らなくなったな。
今回発表された12機種中、6機種が対応ということで一安心。8っつある春モデルの特徴の中で下から2番めだがまあいいとしよう。
現在の契約数は50万とのこと。一月420円だから、現在視聴料収入はMax月2億1000万円(プレミア番組料金除く)
この加入者数は偉大な数字である。月額420円定期的に徴収されるのだ。それが50万人もいるというのはなかなかできることではない。
しかし黒字化はまだまだ先にある。久しぶりに公式サイトをみてみたが今だ「否定から始まる」TVじゃない、だけどなんだかわからない状態から脱せていないように感じる。
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おそらくはDocomo全体もその罠にハマっているのだろう。iPhoneは扱わない。土管屋にはならない。だけど何になってよいのかわからない。Amazonに対抗しよう、XperiaでiPhoneに対抗しようと言ってはみるものの果たしてその方向に消費者は向いてくれるのだろうか。
Docomoには優秀な人がたくさんいるから、おそらくはこの言葉を頭では理解していると思う。
最近、「過剰の精神(abundance mentality)」が業界のバズワードになっている。これはライバルにわずかに差をつける努力をするより、画期的なイノベーションに集中した方が利益が大きいというものだ。この根底にある前提はわれわれは基本的に資源が希少であるような世界にはいないというものだ。「人々の暮らしを改善する方法は無数にある。テクノロジー企業が取り組んでいるのはそのうちに1%だ。99%は未開の領域だ」
実際、エリック・シュミット会長も有力テクノロジー企業はいつも死闘を繰り広げているというストーリーをむやみに作りたがる としてメディアを非難したことがあった。
via: Googleの精神―ラリー・ペイジ、「競争なんてくだらない。イノベーションこそすべて」と吼える
しかしそれが実行につながらないのも、我々凡人というものだ。Docomoも自分の欲求に素直になって「これがDocomoの姿だ」というのを提案してみてはどうかな。Docomo2.0とかじゃなくて。
2013-01-22 06:43
というわけで、本日は細かいことを書きます。
先ほどのLGのSmart ThinQのデモ映像をご覧いただくと分かるが、使用電力を管理して細かく制御する仕組みが用意されているようだ。今回CESで東芝がデモしていたスマート家電も、こうした電力制御が大きな目的の1つにある。
via: 2013 International CES:"ネット家電"が少し身近に、家電各社のスマート戦略 (2/4) - ITmedia LifeStyle
震災のあと随分とひどいデマが新聞にも載った。風力発電があれば原発の電気が全部まかなえるとか。そりゃまあいつも風が吹いていればいいけど。
でもって
スマート家電というと、この「電力をスマート化」とかいう話が必ず出てくる。こういうのは組織の論理として非常に受けがいいんだろうとは思う。
しかし
つまるところ誰も「エコ」なんて考えてないし、細かいことをあれこれやって電気代を減らそうととも思ってないんだと思う。本業をほっぽりだして、環境活動に専念するとかいうディカプリオみたいな人もいるわけだが、ほとんどの人は暑くなれば冷房をつけ、寒ければ暖房をつける。
でもってそのエネルギー事情だが、私が小学生の頃にも「石油はあと30年」とか言われていた。それから40年がたったが、今だ我々はのんきに石油を消費している。でもってシェールガスとか石油とかいうものが採掘可能になったおかげで、アメリカが石油と天然ガスの輸出国になるのだそうな。
となると怪しげな(と私は思っている)地球温暖化さえ目をつぶれば、米国にとって新エネルギーを開発する意欲は0になるというわけだ。少なくとも私が生きている間は。これって無茶苦茶大きな話だと思うんだけど、あまり議論になっていないような気がする。まあネット世論とかそういうものか。
一時は自然エネルギーがどうのと言っていたこの人 も最近はすっかり飽きてしまったようだ。こういうふうだから「突発的自然エネルギー賛美者」は信用する気になれん。
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アメリカといえば、今回のアルジェリアの人質事件である。日本の報道じゃわけがわからないから、CNNをみてみた。そしてその扱いの小ささに驚いた。今回の事件ではアメリカ人の犠牲者も出ている。
Among the dead were three Americans, State Department spokesman Victoria Nuland said Monday. She identified them as Victor Lynn Lovelady, Gordon Lee Rowan, and Frederick Buttaccio, who had been previously identified.
via: Count of hostage deaths in Algeria standoff at 37, prime minister says - CNN.com
しかしCNNのトップはオバマの就任式。昨日は奥さんの写真がでているから何かと思えば
「今日の最大のサプライズは、ミシェルの新しい髪型だ」
とオバマが言ったとかいわないとか。つまり人質事件は一つのニュースに過ぎず、大統領がしかめっ面をする事件ではないわけだ。
これには正直驚いた。どちらがいいとか悪いとかいうわけではなく、その「感覚」の違いについて。
いつも思うのだが、米国大統領というのは、いわば世界の大統領である。国務省が相手にするべき国、案件は日本の外務省の何倍になるのだろう。
そうした中では、中東のプラントをテロリストが襲撃した、というニュースも一つの脚注としてしか扱われないのかもしれない。
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というわけで、少なくとも我が国ではこうした事態に政府が率先して立ち向かわないと批難を浴びるわけだ。
政府の面々を見ているとなんとも言えぬ安心感を覚える。主義主張にいろいろな意見はあるが、少なくとも仕事ができる人たちが事に当たっているという安心感だ。過去3年間は
「ああ、こんなのが担当しているのか、、」
という嘆きの連続だった。もし鳩山が首相の時にこの事件が起こっていれば、何をやっていたか想像するだに恐ろしい。
もう失言とか、バー通いとかどうでもいいんだよ。仕事しろ仕事。
2013-01-21 06:57
すいません。題名は釣りです。
理由はわからないが、そうした記事が飛び交う今日このごろ。こんな見出しを見つけた。
2013年初頭、スマートフォン購入予定者の23%がサムスンデバイスを購入予定。一番人気のiPhoneは前回から21ポイントダウン
via: 2013年初頭、スマートフォン購入予定者の23%がサムスンデバイスを購入予定。一番人気のiPhoneは前回から21ポイントダウン
パッと読めば
「そうか。Appleは大幅に下がり、サムソンは23%もの支持をえているのか」
と思っても驚きではない。記事を真面目に読むと
12月に行われたこの調査によると、北アメリカの人の2人に1人が2013年初頭にiPhoneを買う予定であるとのこと。前の調査時には71%の人がiPhoneの購入を予定していたので、20%ほど数値が下がっていることになる
via: 2013年初頭、スマートフォン購入予定者の23%がサムスンデバイスを購入予定。一番人気のiPhoneは前回から21ポイントダウン
おまけに20%ほど数値がさがるのは恒例の「季節変動」とのこと。なんだかなあ。その昔ソ連という国が存在していた時のジョークを思い出した。
「アメリカ大統領と、ソ連の書記長がかけっこをした。翌日のプラウダにはこういう記事がのった"我が国の書記長は、国際レースで栄誉ある2位になった。米国の大統領はビリから2番めに過ぎなかった」
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今や、日本の電機・部品メーカーの先端工場はアップル一色に染まっていると言っても過言ではない。
週刊ダイヤモンドの調べでは、年間売上高の50%以上がアップル向けという冒頭のジャパンディスプレイを筆頭に、コンデンサなど電子部品を供給する村田製作所やTDK、太陽誘電など業界大手も10~20%を依存していることは業界内では公然の秘密だ。
via: iPhone5が大幅減産で "アップル依存列島"に大打撃|inside Enterprise|ダイヤモンド・オンライン
おそらくこの状況は事実だろう。それ故Appleの売上には誰もが敏感にならざるをえない。
それ故、根拠があやふやな情報であってもとにかく記事になるのだろうな。
ペイジの結論はこうだ。「クレージーでないようなことをやっているのだったら間違ったことをやっているのだ」
via: Googleの精神―ラリー・ペイジ、「競争なんてくだらない。イノベーションこそすべて」と吼える
観測を続けるように、このように考えることが正しい、、、とチンピラは考えたりする。
2013-01-18 06:54
Gozen の構想を練っているうちふと気がつく。
「黒板に書くというのはあれは深い意味があった行為ではないのか」
TEDでも立てかけられた紙にチャートを書いていく人がいる。未だに数学の世界では黒板に書くのが「常識」だという。フェルマーの最終定理を証明した人も、ポアンカレ予想を証明した男も黒板の前に立っていた。ハーバードの統計の講義がよいというので、最初の一回だけみた。黒板の前に立っていた。
「そうか。ハーバードの講師はパワーポイントというものの存在をしらないのだな」
と無邪気に結論づける人もいるだろうが、大多数はそう思わないだろう。ではなぜ彼らは黒板を使い続けるのか?
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PowerPointなどを使って作られた「古典的スライド」と比べると違いがはっきりする。「古典的スライド」にはいくらでも情報を詰め込むことができ、かつ再生産のコストはほぼ0。最初に作っておけば使い回しがきく。
しかも「綺麗な字」で書くことができるからますます情報を詰め込むことができる。「古典的スライドバンザイ」と叫びたくなるではないか。
問題は
これが「教師」の方から一方的に観た意見だということだ。そもそも黒板時代と比べて生徒が吸収できる情報というのは画期的に向上したのだろうか?そうでなければ、古典的スライドで講義を行う、というのは、受け取りての都合を考えない教師のエゴでしかないのではなかろうか。
板書を行う、ということは黒板上に書くことができる情報量を一定以下に抑える、という役割がある。「情報量を抑えるとはけしからん!」とか叫ぶ人もいそうだが、受け取り手がいることを考えれば、そうすることには意味がある。教師は内容を厳選する必要があるのだ。
もう一つメリットが有る。目の前に図やら文章やらチャートが構成されていくさまをみることで、学生はその過程を「追体験」することができる。
Khan Academyの動画は黒板にチョークで字を書くような見た目をしています。
見ている人はKhan先生の描くペンの動きを目で追いながら、解説に耳を傾け学習を進めていきます。
僕は様々な学習動画を見ていく中で、Khan Academyのスタイルがものすごく頭に入ってきやすいことに気がつきました。
なぜ頭に入ってきやすいか。
その答えは「追体験」 にあります。
via: パワーポイントのスライドを使った授業が恐ろしくつまらない理由 | ShareWis Blog
この追体験、というのは重要な要素ではないかと考えているのだ。
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なぜこんなことを言い出したかといえば、先日のプログラミングシンポジウムでのパネル発表で何人かの先生方とこうした点について議論をしたからだ。
その際一番驚いたのが
「講義で古典的スライドを用いることの功罪」
についてまともな議論が行われているように思えないことだった。いやひょっとしたら「教育学」とかでやられているのかもしれないけど、論文を書くために私が探した範囲では見つからなかった。(もっとも世の中にはWebで情報を公開、共有することを良としない学問分野もあるということのので、探し方が悪かったということなのかもしれないが)
実験すれば面白い結果がでると思うんだけどなあ。古典的スライドで説明したときと、黒板に板書しながら説明したときで、生徒の理解度、記憶度がどの程度違ったか。何事も決めたくない人達は
「いや、それでは条件が統制されていない」
とかいって喜ぶんだろうけど。
2013-01-17 07:04
というわけで、Appleの株価が下がっている。きっかけは最初は日経、ついでWSJなのだそうな。
日本経済新聞は1月14日、Appleが1カ月ほど前から、ジャパンディスプレイやシャープなどのサプライヤーへの液晶パネルの発注を大幅に減らし始めたと報じた。
同様の内容がその後、米Wall Street Journal紙でも報じられた。こうした報道の背景には、Googleの人気OS「Android」をベースとしたスマートフォンを開発し、世界市場でシェアを拡大しつつある韓国Samsung Electronicsなどのライバル勢の躍進がある。
via: iPhone 5の販売伸び悩みか 「ディスプレイ発注を半減」報道でApple株下落 (1/2) - ITmedia ニュース
信頼性では実績のある日本経済新聞である。東スポ以下だといえば東スポが「失礼な」と怒るような日本経済新聞である。今朝はこんな記事を載せていた。
全国2400店の家電量販店を調査するBCN(東京・千代田)が16日、昨年12月のデジタル家電 の販売動向を発表した。タブレットの販売台数シェアでは、ネクサスをグーグルと共同開発し、生産する台湾エイスース(華碩電脳)が44.4%を獲得。アップルは40.1%で、10年5月のアイパッド発売以来守ってきた首位の座を譲った。
via: グーグル、タブレットでアップル逆転 低価格武器に :日本経済新聞
こちらもAppleのシェアに関しては「信頼が置ける」BCN調べの数字を記事にしてしまうところが日本経済新聞らしい。そもそもBCNの数字にはApple Storeの売上は入っていないのだ。その他にも過去には独創的な手法で「SonyのウォークマンはiPodより売上が上!」とか楽しい主張をしてくれた(最近は面倒になったのか、こんな調子 だが)
この件に関しては様々な考察がなされているようだ。一人のApple狂信者としては、
「この報道が真実だとしても心の準備はできている」
という悟りきった心境だ。もう一つ共感した記事を引用しておこう。
The critics that are screaming right now are intellectually lazy. They're throwing temper tantrums instead of looking at the big picture. Like two-year-olds, they don't really know what they want. And they're not happy when they get it, anyway.
via: The Market Wants Apple to Unveil a Time Machine - Dan Pallotta - Harvard Business Review
iPhoneが登場した時、その脅威について正確に認識した人はごく少数だった。大多数の人は「タッチでは文字入力はできない」とか「片手で使えるからガラケー最高」とかまじめに論じていたのだ。だからこういう噂記事にいちいち喜んだり悲しんだりはしない。今はSSD容量の大きいMac Book Airがでてくれないかな、と静かに願っている。
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その影で、かつて
「Steve Jobsがやることは、会社を解散して残った金を株主に返すことだ」
と言ったCEOが経営する会社がひっそりと表舞台からさろうとしている。
匿名の関係筋からの情報として、複数の米国メディアが Dell がプライベートエクイティ会社との間で身売り交渉を進めていると報じている。交渉が成立した場合、Dell は非公開企業となる。だが専門家の多くは、今回の買収が成立する可能性は低いとしている。
via: Dell が身売りを検討-米メディアが報道 - インターネットコム
そうだよなあ。実家の母が使っているノートパソコンDellだけど、壊れてばかりだもんなあ。。。
かつてDELLのビジネスモデルがどれほどの賞賛とともに記述されていたか。そのことをぼんやり覚えている私は「盛者必衰」という古の理を思い出すのだ。かつては強大で無敵と思われたSony,Sharp,Panasonic,日本国債よりも安全と思われた東京電力の株、これらがいずれも没落する姿を目の当たりにした私は、その理を信じている。
いずれAppleにもその運命が訪れる。その時も私はApple狂信者でいるだろう。
2013-01-16 07:23
すいません。題名はつりです。
先日プログラミングシンポジウムというものに参加した。ポスター発表ができるようだったので、申し込んだ。理由はわからないが、最近妙に発表熱にとりつかれているのだ。
でもって初日に「一分間説明」がある。これも実に緩い定義で、最初の案内では1−2分で説明となっていたから短い方の一分で準備をした。しかし会場で説明を聞くと「2分で」とのこと。なんと2倍も喋れるではないか。構成を変更すると、実際に説明が始まるときは「一分で」といわれる。もう好きにしゃべろう。
でもってその時のチャットを後で見ると、いくつかのコメントが上がっていた。まさかあそこで参加していた人がここを読んでいるとは思わないが、私なりの回答を書いておく。
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「印刷はできるんですか?フラッシュでやっている人は印刷が大変だといっていました」
→大変いい質問です。印刷などははなから考えていません。
ここで重要な事を書きます。いいですか?
「印刷して配布 or Slide Shareにアップロードしてことがすむようなら、人前でしゃべる資格はない」
プレゼン時に画面に映し出される物だけ読んで、ことが足りるなら、なぜ聴衆の貴重な時間を浪費しようとするのですか?これが基本的な考え方です。
詳細な説明をサイトに提示する、あるいは印刷して配布するのはいいでしょう。しかし「説明資料」と「プレゼンテーションのビジュアルエイド」は全く別物です。
「Steve Jobsのプレゼンを印刷しといて」
とかはどっかの大企業の阿呆な管理職がいいそうな言葉ですが、この言葉を聞いて馬鹿げていると思う人なら私の主張が理解していただけるかと思います(同意するかどうかは別として)いや、おれはSteve Jobsのプレゼンの印刷物を見たい、という人はどうぞご自由に。
もう一つ参考情報を掲載しておきます。任天堂の決算説明会 社長説明資料 です。これを見てもらえばわかりますが、任天堂の決算説明資料は、「社長の説明+ビジュアルエイド」という形式になっています。つまりスライドだけ見てもなんのことかわかりません。私はこれがあるべき姿だと思っています。
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「高橋メソッド」はできるんですか?
「もんたメソッド」はできるんですか?
→自分たちが何を質問しているかについて少し考えてください。
「高橋メソッド」「もんたメソッド」が何を意味しているか。両者に共通するのは、ユーザに情報を提供するタイミングを、プレゼンターが細かい精度で制御できなくてはならない、という隠れた主張です。
そもそもGozenはそのために作りました。ですから、両方共実現可能なことはもちろんですが、「なぜそれらを使いたいのか」について考えてもらったほうがよりよい活用ができるとおもいます。
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どっかの学生さんがJS+CSSでアニメーションを実現するものを作ってました!
→それはよかったですね。おめでとうございます。ちなみに世の中にHTMLとかYAMLとかで「スライド」を記述するシステムは山ほどあります。(論文 を参照ください)しかしそれらとは根本にある考え方が違います。
同じチャットで誰かが発言されてた
「スライド使ってる時点でダメじゃん」
に賛同いたします。
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でもってここからは、ポスター発表中にあった議論、、、は別のエントリーにしよう。非常に興味深い(と私は思っているので)
会社でプレゼンをするため、しかたがなくPowerPointを使っているが、これは本当にStaticな「スライド」を作るための道具だな。ああ、イライラする。
2013-01-15 07:29
などと美術が2だった人間が言っても説得力がないのだが。
なんでもそうだが、自分が作るより他人が作ったものをあーだこーだ言っている方が楽しい。最近映画館にいくといや、というほど見せられる予告編にこんなのがある。
いかにも日本人が作ったアニメーションキャラクターという顔だ。あまりクセがなく、目が大きい。同じようなキャラクターをアメリカに持って行くとこうなる。
どっちがいい?
via: 痛いニュース(ノ∀`) : アメリカ版ときめきメモリアル発売 - ライブドアブログ
こうした「変化」についてはあれこれ議論もあろうが、私が考えるに日本人は「キモカワ」なかおを作るのはあまり上手でないと思っている。ETとかどうみても気持ち悪いのだが、映画の最後には観客の涙をしぼりとる。どうも日本では最初から「可愛く」しないとうけないようだ。結果としてなーんだか似たような顔ばかりになる。
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とはいっても所詮人間の想像内で争っているだけだ。SF映画にはそれこそいろいろなクリーチャーがでてくるが、それも大脳品質の産物に過ぎない。
なぜ突然こんなことを言い出したかといえば昨日これを観たからだ。
VIDEO
大きな一つの目でこちらをじっと見つめ続ける。半開きで。目の上にある口ともなんともつかないものからは、水を吐き出し離れようとする。その間も足ではしっかりと「餌」を抱え込み、口からわしゃわしゃと食べ続ける。
「感情」というものは、観察者の心の中にしか存在しない、という説を読んだことがある(間違いなかな?)それ故、人間は何にでも感情を見ることができる。
私がこのダイオウイカに対して感じる恐怖も、所詮そんなものだ。しかし次のコメントは興味深いと思う。
The squid's probably controversial because people think it violates God, or Allah, or the Gods, or something. It always has to turn into a religious debate, no matter what. This is just a SQUID, a COOL squid. It's not here to destroy our religions and launch a holy war, it's not here to steal our guns, it's not here to completely redesign our scientific concepts, and it's not here to steal our spouses, or money, or anything. It's just a really cool squid.
via: Giant Squid Caught on Tape for First Time for Discovery Channel's 'Monster Squid: The Giant Is Real' - YouTube
確かにこれはCoolで巨大なイカにすぎない。しかしそれが英語圏の一部ではGodとかAllahとかGodsに敵対するものと捉えられるのは、この「造形」のどこかに人間を恐怖させるものが潜んでいるからではなかろうか。
そしてこの「圧倒的な造形」を目にすると、大脳皮質の産物がいかにも安っぽく思えてくるわけだ。
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私はこの番組が放映されるのを知らなかったし、そもそも体調不良でへげへげしていたわけだが、翌日自分のTwitter Timelineをみれば、確かにイカだらけである。気の毒なことに同時間帯に「アバター」の再放送がされていたのだそうな。というわけでこんなやりとりがあったとのこと。
アバターの配給元・20世紀FOXの子会社であり、BD・DVDの販売を手がける20世紀FOXホームエンターテイメントのツイッターは、番組開始直後から、
「私だってダイオウイカが観たい!でもチャンネルはテレ朝!」 「『アバター』にもイカが・・・!日曜洋画劇場で『アバター』放送中!」 とダイオウイカをネタにしながら懸命にPRをするものの、視聴者の関心を覆すには至らず。番組中頃からは、
「(´-`).。oO(ダイオウイカ・・・絶対許さない」 といじけモードになり、最終的には、「(´-`).。oO(ダイオウイカの好物がイカってどうなんだろう・・・」 「(´-`).。oO(窪寺博士おめでとう・・・!」 と、すっかり一視聴者になって、ダイオウイカ撮影に成功した窪寺恒己博士への拍手まで贈っていた。
via: NHK「ダイオウイカ」と20世紀FOX「アバター」 愉快な「場外乱闘」、どっちが勝った?(J-CASTニュース) - 国内 - livedoor ニュース
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しかし私のようなのんきなしろうとではなくて、職業として「変な顔」作っている人はイカの姿を見てどう思ったんだろうね。
2013-01-10 07:44
何事も「一般化」は正しくない。世の中も人も我々が簡単に貼るレッテル以上に複雑で多様なのだ。
そうした中でも「アメリカ」という国の多様性は実に興味深い。ちょっと触ると「アメリカの企業は」とか語りたくなるけど、多くの場合アメリカの企業はそう簡単に一般化できるものではない。なんでもありである。
というわけで、CESである。長年Bill GatesがKeyノートを努めていたらしい。Gatesは引退し、MicrosoftはCESから手を引いいた。今年のキーノートはQualcomの人が担当とののこと。
The keynote began with three actors behind a veil, vamping on about their "Born Mobile" lifestyles. We assumed that it was parody from the start -- but with a growing sense of both horror and awe, we came to realize it wasn't and we were in for a wild ride.
via: Qualcomm's insane CES 2013 keynote in pictures and tweets | The Verge
写真がデカすぎてこのブログの幅に収まらないが、いやすごい。プレゼンの冒頭3人の俳優が表れる。まずお姉ちゃんが「mobileでのアクセスなしにはやってらんないわ!」といったことをキャーキャー叫ぶ。次にTornade92とかいうuser nameをもつゲーマーがでてきてしゃべる。そのあとアジア系男性起業家が「俺の携帯は俺の会議室だぜ!」と力強く宣言する。ここだけで会場が静まりかえるのが伝わってくる。
Steve Ballmerがでてきたり、映画監督がでてきた後に、新しいStar Trek映画の女優さんがでてくる。この人静止画は綺麗だし、胸部の2次微分係数も大きいのだが、あまりしゃべりたい人ではないな。間違ってもActors Studioにはでないほうがいいよ。
彼女相手にCEOがあれこれしゃべるが、この女優さんのシラケぶりは見ていて楽しい。一応プロだから「とってつけたような」笑顔は見せるけどね。何かクイズか何かとくとStar Trek新作のワールドプレミアに招待されるらしい。CEOがそれはExcitingだね、というと女優さんは全く何の感情もこめず
Ya, it's exciting really.
とか言う。さすがに会場から笑いが起こる。いや、すばらしい。何故こんなことをしようと思ったのか。CEOの趣味か、あるいはQualcomの広報担当が気が狂っているのか。
via: Qualcomm's insane CES 2013 keynote in pictures and tweets | The Verge
CESの停滞感を指摘する声は多いが、こんなすごいプレゼンテーションが見られるのだから,
まだまだ捨てたものではない。(Qualcomのサイト にいくと動画が見られる)
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でもって親愛なる日本のメディアの反応だが
10年以上に渡りMicrosoft関係者が登壇してきたCESのプレキーノート。今年はQualcommのポール・ジェイコブスCEOがその役目を担った。新プロセッサー「Snapdragon 800/600」を発表してモバイル時代のCESを印象づけたが、一方でステージ上にはあの人も。
via: 2013 International CES:PCからモバイルへ 時代の変化を象徴する2013年のCESプレキーノート - ITmedia プロフェッショナル モバイル
こちらはあたかも「普通のキーノート」のような報道の仕方。あるいはあれが気が狂っているのか、面白いのか判断がつかなかったのかもしれない。
クアルコムは「Born Mobile」をテーマに掲げ、モバイルテクノロジーが教育から映画産業、エンターテイメントまで人々の生活にどれほどの影響を与えてきたかをプレゼンテーションを通して描いた。いっぽう、技術的発表では、超高速のLTE Advanced規格(参考情報 )や高い処理能力を実現する同社のクァッドコア・プロセッサ「Snapdragon 800」シリーズが披露された。
via: CES 2013開幕 - クアルコムの基調講演にはマルーン5からS・バルマー氏、ビッグバードにロールスロイスも - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)
こちらは日本語の文章は普通だが、リンクが貼られている動画がThe Vergeが編集した「最も狂ったところを集めた動画」だったり、リンクしている記事がこんなのだったり。記事を書いた人間の意図はよくわかる。
You know what else probably helps? Crazy, crazy keynotes.
via: Qualcomm Pulls Out all the Stops in 'Born Mobile' Keynote | Gadget Lab | Wired.com
いや楽しい。来年はどこが基調講演を行うだろう。そして何をやってくれるだろうか。
2013-01-09 07:05
新清士という人がいる。実は私は一度宴席でこの人の隣に座ったことがある。こちらはゲーム関係には疎いが、先日マイクロソフトの蹉跌という本を読みました。ゲーム業界ではあの件はどのように受け止められていますか?とか聞いたがあまり返答がない。その後何かのきっかけで、彼は持論を滔々と述べ始めた。こちらが素人だとかそんなことはおかまいなしに。ゲーム業界は、人の育て方をどうのこうの、と言っていたような気がするが忘れた。
もちろんその一件だけをみて人を判断するのは間違っているが、最近目にした「新氏に対する批判」を目にするにつけ、すごく思い込みの強い人であまり周りからのフィードバックを得ないのではないかな、と思った。
ソシャゲが登場した頃(今でも)既存のゲームが好きな開発者やユーザーの間には嫌悪感が広く喚起された。この反応は、過去に起きた反応と同じだと言ってもいいだろう。我々はワイン愛好家と変わらない。我々は自分たちが、統計的な存在にされたときに、「機械的」に感じて、ゲームをつまらなくしているように直感的に感じてしまう。それは、人間自身がそう感じるように作られているからである。
via: ソシャゲへの反感はワインの方程式が生んだ反感と同じ -ゲームと心理学(2) | 新清士の「デジタルと人が夢見る力」 - コミニー[Cominy] / ブログ
この一文に関しては大量のツッコミがなされている。これだけ
「読んで突っ込まずにはいられない」
文章を作り上げる才能は大したものだ。やまもといちろう氏はものすごく拡張高く突っ込んでいる。
いやほんと、統計結果を語るのであればともかく、プロセスを記事にするのであれば、「データ取得ができてゲーム運用や収益最大化に活用できるようになりました」という八百屋の仕入れの話と、「過去データから統計的手法で相関分析ができるようになって同一ノウハウが流用できる構造分析ができるようになりました」という選挙の当選予測の話とをごっちゃにしないほうがいいと思うよ。>新清士さん
お陰で、この手の話を理解していないどこぞの会長が簡単に釣られてて心が痛むぞ。
via: 新清士さんが統計と情報とデータをごっちゃにして語ってる件で: やまもといちろうBLOG(ブログ)
この文章はツッコミというよりは、やまもと氏が新氏の文章をもとに、統計というもの、あるいはゲーム業界におけるデータの使い方について親切に説明してくれたもののように思える。
私が思うに、前述の文章へのツッコミはこのエントリーの題名だけで十分だ。これはいつかアメリカで観たショーのギャグで、あまり美人でないコメディエンヌが
「私が美人すぎるからって嫌いにならないでね」
と言う。誰が見ても不美人なので、観客どっと笑う、というやつだ。話の肝は、「嫌われている理由」をコメディエンヌは意図的にすり替え、新氏はまじめに間違っているというところ。動機は異なるが結果は同じである。
というかもう少しましな「ジャーナリスト」っていないんですかねえ。。結局我が国では2chの意見が一番信用がおける、ということになってしまうのだが。(もちろん大量のノイズを選り分ける必要はあるが)
2013-01-08 07:21
ラスベガスでCESというショーが行われている。過去には毎年Bill Gatesが退屈な基調講演をやるので有名だったが。
でもって東芝が「誰が見るんだ」4KTVの発表をしたのだそうな。
4K2Kパネルを生かすため、フラットに周波数特性が伸びる新映像処理エンジンを開発
via: 【CES2013速報】"手が届く大画面4K"を投入する東芝。インチ単価を一気に半額に(本田 雅一) - 個人 - Yahoo!ニュース
もうこの「スライド」をみただけでげんなりする。(こちら にはもっとすごいのがたくさん掲載されている)これは「スライドの形をした説明資料」であり、プレゼンテーションに使うべきものではない。しかし東芝はまだ数年はここから脱却できないんだろうな。
こういう「誰も読み取れない文字満載のスライド」を見る度に、その企業の「内向き」の度合いが測れると思うのだ。説明会において相手にわかってもらおうとしない企業が本当にコンシューマーが求める製品を作ることができるだろうか?
気になる価格については、84V型は難しいものの、58V型、65V型については「1インチあたり1万円を切る水準」(東芝)を目指すという。競合他社が100万円を超える価格帯で4Kテレビをラインアップしているなか、価格面での訴求力は高いといえるだろう。
via: 2013 International CES:インチ1万円を切る、東芝が語った4Kテレビとクラウド戦略 - ITmedia LifeStyle
58型のTVを50万出して買えってことですか。すごいなー。世の中には金持ちがたくさんいるなー(棒読み)
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というわけで、日本のメディアがCESに人を投入する流れはまだ続くだろうが、明らかにこうした「大規模ショー」というのは下り坂にある。日本でもCEATECとか参加する度に場所が縮んで歩きやすくなっていく。
2007年のCESはApple一社のMac World Expoに完膚なきまでにふっとばされた。そして世界を吹っ飛ばす力のある企業はもはやCESには存在していない。Microsoft,Apple,Google,Facebook,Twitterのどこもいないのだ。
"The consumer electronics show as a concept is changing and maybe fading out in some way," Topolsky told me.
via: Why We're Not At The Biggest Tech Show In The World
誰も4k TVなんかに未来があると思ってはいない。おそらく日本の家電メーカーで直接担当している人たちもそう思ってはいないのではなかろうか。しかし仕事は仕事だ。やらなくてはならない。
それに世界をふっとばさなくても、「関係者」が同じ時間、同じ場所に存在するイベントというのはやはり交渉には最適の場所だ。だからなんらかのかたちで続いては行くのだろうが。
2013-01-07 07:04
思うにこういう愚かなメディアが存在している限り、この手の「音声で自由に対話できるエージェント」は存在し続けるんだろうなあ。
HMN (ホームネットワークシステム)とは、テレビや洗濯機、ルームライトなどの家電をネットワークで接続し、音声やジェスチャーなどで遠隔操作 するシステムです。SF映画によく登場する未来の技術が、ここまで実現しているのには驚きを隠せませんね。
via: 神戸大学がやりおった! 『初音ミク』が家電を操作してくれるHNシステムを開発(動画あり) : Kotaku JAPAN
あのさ、そんなもの何年も前から何度も何度も何度も作られてるんだよ。
風呂のお湯の温度を調整するのに大苦戦し、フィノはまるで言うことを聞かず、ユビキタスホームといっても住んでみればオール電化の家との違いは説明しにくいなぁ、などと思いながら、日々は過ぎていく。
via: 【レポート】実験住宅「ユビキタスホーム」へ引っ越してみた (4) テ・レ・ビ・ヲ・ツ・ケ・テ | 家電 | マイナビニュース
これを読むとおそらく「音声認識の精度が上がった」のが唯一の変化に思える。しかしこの手の「対話エージェント」が出る度に「未来が現実になった!」とはしゃぐ愚かなメディアは必ずセットで湧いてくる。
このデモを作った研究室についてはコメントを差し控えたい。デモビデオ集 を見ると、これでもかというくらい
「UI開発失敗パターン」
にはまっているところから、私と意見が違う人なのだろうなあ、とは思う。
といったことをつらつらと考えていると、題名の言葉が思い出されるわけだ。少し「歴史」を紐解けばこうしたシステムが
「よくあるパターン」
であることがわかる。それをやらずに自分の経験の範囲内だけで「これは新しい!」と思うんだろうなあ。
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先日池上なんとかという人が「なぜバブルは30年毎におこるのか?」と説明していた。彼の説明によれば
「バブルで痛い目にあった人が引退して、代替わりするのが30年だから」
とのことだったように思う(横耳で聞いていたので間違っているかもしれん)人間馬鹿なので、自分が体験しないことにはバブルの恐ろしさを学ぶことができん、ということだろうか。
あるいは本当に賢い人は、自分が体験しなくてもバブルについて学び、その混乱を利用して一儲けするのだろうな。
2013-01-04 07:10
12/21に私はこう書いた。
それならそれで、いっそAmazonのようにAndroidをベースにした独自OSを作るくらいの心意気を見せてくれれば面白いと思うのだけどね。先日のなんとかモデル発表会で
「ワンピースのキャラクター商品」
をぎこちなく手にとっていた社長の姿が痛々しく思い出される。あんなことやらせるくらいなら
「これからDocomo端末は全てこのD-roid OSを搭載します!」
くらい言わせてあげたらどうかな。
via: ごんざれふ
それから数日後こういうニュースがあちこちに出回った。
昨年末ぎりぎりになって、Samsungが日本のNTT docomoと組んで、Tizen搭載機の開発を行っていく というニュースが入ってきていた。
via: NTTドコモとのタイアップが報じられたSamsung、Tizenデバイスを年内に発表予定だと公式に確認
いや、すばらしい。5年後に「確実に生き残っているOS」を選びたければ、独自OSを5年間何があっても維持するしか無い、と思っていたが本当にそれをやるようだ。
現時点で私が「しかしなあ」と思うのは、このOSが「責任を曖昧にすることでは有利だが、良い製品を出す上では最悪な」共同開発方式で作られていることだ。主体はどこなのか?IntelなのかSamsungなのかそれともDocomoなのか。仮に強力な「主体」があったところで「委員会」というのは
A camel is a horse designed by committee. (ラクダとは委員会によって設計された馬である)
via: らくだをデザインしていませんか? : could
という代物だ。
とはいえ「従来の常識をうちやぶる」事象が次々でてくるのもこの世の中の真実というもの。Windows Phoneが全く普及していないのだから、委員会方式で作られたTizenが「蜀」になってもいいではないか。(棒読み)
というわけで、このプロジェクトの行く末は時間だけが知っていることだが、おそらく一つだけ確かなことがある。こうした取り組みはDocomoの文化にぴったりなことだ。CPUメーカの雄Intel,世界一のスマートフォンメーカーSamsung。それに宇宙一高貴なDocomoが組めば怖いものなし!と多分彼らは本気で思っているのだろうな。私も20代の頃ならそう思ったかもしれない。