Web文化というもの

2014-06-30 06:55

Google I/Oに行ってきた。いろいろ考えたことはあった。些細なことを自分が主張したい内容を補強する証拠としてとりあげる強引な議論にはあきあきしている。だから自分が同じ事をするのは気がひけるのだが、少し印象的だったので書いておきたい。

初日のスケジュールは事前に公開されたスケジュール表によれば

AM7-9: BreakFast

AM9-11:Keynote

AM11-:Lunch/Code Labs/Sandbox

であった。

しかし実際に起ったことは

BreakFast:なし

Keynote:9:05-11:35

であった。6時45分頃から並び始めた列が動き出したのは8:40頃である。キーノートが始まった時点では、会場は2/3もうまっていなかった。キーノート会場が満席になり、人がこなくなったのは9:40頃である。そして実際に11:00からいくつかのセッションはスタートするので、キーノートの終盤には席をたつ人がたくさんいた。過去2回参加したWWDCでは決してこんなことはなかった。

Google I/O自体にホスピタリティを感じなかったといえばそれは嘘になる。しかし「細かいところ」でWWDCと比べた時に差異を感じたのも事実である。混んでいるセッションでは、なぜか床に座ることが禁じられ立っていろと言われる。そう告げている人はおそらくアルバイトだから、彼女たちに責任をもたせるのは適当ではない。

ベータバージョンでもとにかく公開してフィードバックを得るのがWebのやり方だ、と思っている。そう考えればこのGoogle I/Oの運営はまさしくベータバージョンだった。多分私がここで書いていることは、Googleにとっては「まあ些細なことに目くじらをたてる人はいるよ。気にするな」ということなのだと思う。



いくつかの断片

2014-06-24 07:19

こんな記事を読んだ。

日本ユニシスと大日本印刷がこのほど、集団でアイデアを出し合うブレインストーミング形式の会議において、最先端のITを活用して多彩なアイデアの創出を支援するシステムの共同開発に乗り出した。両社は2012年8月に業務提携を行い、新たな事業やサービスの創出を模索をはじめた。今回の共同開発はその一環として具現化したものだ。

via: 松岡功の時事日想:“空気の読める人工知能”が稼働、「未来の会議室」はこう変わる (1/2) - Business Media 誠


こういう「未来の◯◯」はとりあえず作ってから公表してはいかがだろうか。この構想で語られている内容の古さとか陳腐さにはコメントしない。私のような部外者がなんと言おうと、「実際に使って効果があればよい」ものだからだ。構想はどうでもいいから物見せろよ。

でもって2014年秋から社内で使うってことはもう最初のプロトタイプはできてるんだよね。それ見せてくれない?こんだけいろいろ作るっていうのにまさか「外注の下請けに、仕様書書けば3ヶ月で完成」とか思ってないよね。

ーーーーー

さて、親愛なるSurface Pro3である。

But the Surface Pro 3 is not for me, for one very specific reason that might resonate with you, too. Its keyboard and trackpad just aren’t as good as those found in many laptops, and certainly not in high-end laptops like the MacBook Air, the Apple machine that Microsoft has held up as its main competition for the new tablet.

via: Microsoft’s Surface Pro 3 Isn’t for Everybody - NYTimes.com


Microsoftは「これはPCを置き換えられる」と何度も強調している。でもって前に述べたことだが、このキーボードの問題を解決するためにはキーボードと本体をヒンジで接続すればいいと思うんだ。そうするとキックスタンドもいらなくなるし。

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さて、日本企業も負けてないぞ!世界のToyotaから新しいプラットフォームの提案だ!

新しいプラットフォーム


彼らの頭は1990年代から全く変化していないのだな。あ、「スマート」という言葉があるからこれは21世紀のものか。

しかしこのセンスのない「パワポ資料」はなんとかならないものか。世界のトヨタには山ほど優秀なデザイナーがいるはずなのに、なんでこんなものを世の中に晒せるかね。

いや、そういう優秀なデザイナーはパワポを作るためにいるわけではない、、なるほど。ではその肝心のアプリ画面は誰がデザインしたんだろう。

アプリ例

停止の達人。

ブレーキのスムーズさを診断し、ポイント化。
交差点ごとのランキングにより、ゲーム感覚でブレーキ技術を向上できます。

停止の達人。の画面

via: T-Connect


わーすごいなあ。Toyota様の新プラットフォームはとっても魅力的だぁ~(棒)あのさあ。こんなもの出して恥ずかしいと思わないの?車の世界に閉じこもっているうちはいいんだけど、アプリを公開とかいったらiOSやAndroidと競争するってことなんだよ?わかってる?

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最後はこのニュース

井口氏はあるインタビューで「世界で勝負するにはハッタリが必要」という話をしていたが、僕もスタートアップには自分たちの現状のリソースで実現できる以上の大きなビジョン、ハッタリは必要だと思っている。新しいプロダクトを生み出すには、そりゃ当然今の常識を越えていかないといけないだろう。だからこそ、Telepathyに関してもプロダクトを早く見たいと思ってしまう。

ともかく、「代表」という意味で井口氏がTelepahtyから退任した(厳密には米国についてはCEOは未定だ)が、会社としてはプロダクトの開発を引き続き進めるという。

via: 日本はすでに代表が交代、米国はCEO未確定–井口氏退任に揺れるTelepathy - TechCrunch


逃げたのか追い出されたのかはわからない。こういう人がいること自体は問題ないと思う。私が憂えているのは、こうした人間を持ち上げ続ける日本のメディアの姿勢だ。日本のベンチャーでも真面目にしっかりと仕事をしているところはいくつもあるんだから、そういうところを取り上げようよ。


コリン・パウエルの講演に行ってきたよ

2014-06-23 07:04

というわけで、ソフトバンクが主催したコリン・パウエル氏の講演に行ってきた。なぜ行こうと思ったかといえば、何かの本で「パウエル氏の講演がすばらしかった」と読んだからだ。

全般的にはあまり「面白い!」というような内容ではなかった。しかし印象的な要素がいくつかあったのは確かである。

まず彼が国務長官だったときに小泉首相と話したときの内容が語られる。真面目な話をひとしきりやったあと、エルビスプレスリーの話になったのだそうな。小泉はプレスリーの大ファンで、パウエルが「ドイツに駐在していたときに、プレスリーと会った」と聞くと大ノリだったとのこと。

でもって日米の関係は、プレスリーの歌のようだ、と言ったと。曰く

I Want You, I Need You, I Love You

なのだそうな。安倍くんがオバマに期待していたのもあるいはこういう「雑談」だったのかもしれん。

孫社長をひとしきり持ち上げたあと、なぜか「移民を受け入れろ」と延々話をしだす。彼も移民の息子だから。さらに話は「リーダーシップ13箇条」に移る。ここらへんあまりうまくつながっている気がしない。

その13箇条で面白いと思ったのは以下の項目。

続いての教訓「まず怒れ。その上で怒りを乗り越えろ」。

「怒りが大きすぎて、相手を敵と思ってはいけません。スタッフには、私が怒っているときは数分1人にしてくれればいい、と話しています」

via: 孫正義 x コリン・パウエル対談講演、リーダーシップ論特別講義「Leadership: Taking Charge」 - Engadget Japanese


講演だから、非常に丁寧にしゃべっているとはいえ、パウエル氏は移民の息子から四つ星の将軍に上り詰めた男なのだ。きっと職場では怒鳴りまくってんだろうなあ、と思える雰囲気がある。彼が"Next"(スライドを次に送れ、という意味)という言葉は将軍のそれだ。

さらに印象的だったのは、彼の姿自体。プレスリーに会ったことがある、ということからもわかるとおり、彼はかなりの歳だ。Wikipediaを調べれば77歳。日本の基準で言えば立派な後期高齢者である。

しかし一時間壇上に立ちっぱなしで語るその姿からはそうした年齢は全く感じられない。現役時代から少し髪は白くなったように思うが、それ以外は四つ星将軍時代と何もかわるところはない。

そうした「知性がすばらしいが、怒ると怖い将軍」の姿が一番印象に残った講演会だった。

そのあと孫君との対談があったようだが、孫君には全く興味がないのでそこで退席。ちなみにもう一つ印象的だったのは、講演の前に流れた「ソフトバンクアカデミア」のビデオ。なんでも孫君が自分の後継者を育てるための「学校」を開いているのだそうな。

そこでは目をきらきらさせた人たちが「孫社長から直に学べるなんて!」「プレゼンしたプランが採用された!」とか語っている。多分このアカデミアには2種類の人間がいるのだろう。孫から学べるだけ学んで利用してやろうと思っている人間と、「孫社長から学べるなんて光栄!孫社長の言葉が聞けた!」と感動している人間。もし孫君の後継者という意味で考えるならば、どちらのタイプを求めているかは明白だが。



なぜKPI中心設計になってしまうのか?

2014-06-17 06:59

KPIなる便利な言葉が企業で使われるようになったのはいつからだろう。そして日本人の悪癖として「何か権威があるような言葉ができると、その意味も気にせずひたすらそれを追い求める」というのも過去数十年変わっていないような。昭和初期なら「国体明徴」だし、終戦間際なら「国体護持」だし、昨今だと個人情報保護かもしれん。

というわけで今朝うなずいたこの文章。

多くの企業が、顧客中心主義をうたい、「人間中心設計」を行っているように見えるが、実際には顧客である人間を見ておらず、「KPI中心設計」になっていると指摘。デザイン思考やHCDに対しては、「ツールとしての認識ではなく、企業文化という観点」で根付かていくことを考えなけばならないと語る。

via: 日本人としての「デザイン思考/HCD」の本質--関係性を再定義し、多様性を持ち越境する(2/4):企業のIT・経営・ビジネスをつなぐ情報サイト EnterpriseZine (EZ)


実のところそのKPIが有効か、とか短期的なKPIばかりみていると革新がでないよとかそういう議論は

「まあ。それはそうとして今日もKPIの確認から」

と朝礼をやるのが日本企業の平均点なわけだ。

これは「デザインとはなにか」という問題に関わることでもある。以前書いたように「良いデザインとヒット曲は似ている」のだ。誰もそれがヒットするかしないか事前に知ることはできない。

というわけで「良い、新しいデザインを作り上げる」というのは、新しい曲、新しい映画を世の中に出すのと同じくらい勇気のいることだ。そしてKPIの追求というのは、そうした勇気を要する決断から逃げる最も安易かつ安全な方法なのである。定量的に評価できる指標を設定し、毎日チェックを行っております。これ以上に「説得力のあるデタラメ」はあるだろうか。

というわけで今日もKPIの確認から朝礼を始めましょうか。考えてみれば、社会主義国にはこうしたKPIがいっぱいあって、日夜それをちゃんと確認していたのだろうな。


一番つらいのは

2014-06-16 07:07

批判されることが一番つらいのではない。無視されることが一番つらいのだ。

とかどこかで読んだような気もするし、何度か聞いた気もする。なぜそんなことを言い出したかといえば。

By my count, Samsung has now announced 11 different Android tablets since the start of 2014 (and it's entirely possible I'm forgetting a few). In the past five months alone, the company has launched the following devices:

• Galaxy Tab S 8.4
• Galaxy Tab S 10.5
• Galaxy Tab 4 7.0
• Galaxy Tab 4 8.0
• Galaxy Tab 4 10.1
• Galaxy Tab 4 Nook
• Galaxy Tab Pro 8.4
• Galaxy Tab Pro 10.1
• Galaxy Tab Pro 12.2
• Galaxy Note Pro 12.2
• Galaxy Tab 3 Lite

via: Samsung insanity: Can anyone actually tell all these tablets apart? | Computerworld Blogs


2014年が始まってからサムソンがリリースしたタブレットは実に11種類にのぼるのだそうな。そういえば最近なにかサムソンタブレットのレビュー記事(多分宣伝記事だろう)を見かけたような気もするがまあ誰も気にしてないわけだ。こういうやり方はSpray and Prayと揶揄されることもある。

Spray and pray is a derisive term for firing an automatic firearm towards an enemy in long bursts, without making an effort to line up each shot or burst of shots.

via: Spray and pray - Wikipedia, the free encyclopedia


実際何をどうしたらこういうことができるのかわからないが、「馬鹿げたやり方だ」とか笑っている間に日本の家電メーカーは全部サムソンにしてやらてしまったのも事実である。

その結果としてこういう文章がある。

Is this true, though? Is Apple the only company that can do this?

via: Daring Fireball: Only Apple


この文章ではAppleが他の有力企業とどう異なるかが考察されている。取り上げられているのはGoogle,Amazon,Microsoftそれにサムソン。

日本企業は一社も比較対象にすらいれてもらえないのだ。20年前だったら必ず入ったであろうSony、Panasonic,Sharpはどこへ行ったのか?

外資系の金融機関やコンサルティング会社が、総合商社とともに東大生の就職先の「御三家」と呼ばれたのも、今は昔。2008年のリーマンショック以降、特に外資系金融の人気はピークを打った。代わりに「新御三家」として台頭したのが、ディー・エヌ・エー(DeNA)、グリー、サイバーエージェントの「メガベンチャー」3社だ。

via: 激変、東大生の就活!新御三家はこの3社! 商社、金融を押しのける 人気のメガベンチャー - ライブドアニュース


東大生に大人気(笑)の御三家はどこにいるのだ?


デザインの方法論が全て的外れな理由

2014-06-13 07:02

前にも書いたが

「デザイン思考とか、なんとかメソッドとか全部ゴミ」

このことを説明するために、私は再度以下の文章を引用する。

僕らの頭の中にあるイメージは、言葉でもなければ映像でもなければ音声でもないですよね。
それは絶えず蠢いている複雑で果てしない思考の連続で、一見膨大で捉えようのないものです。
音楽はもちろん、文学も、映画もダンスも料理も写真も、そいういうものの一部を体感できる何か別の形で具現化する行為なんじゃないかと思うんですよね。

で、ここからが面白いところで。
僕たちはその掴み所のないイメージが自分のイメージ通りに具現化されているところに出会うと、凄まじく感動するんです。
それこそ、お金なんかいくらでも出しちゃう。
この感動が価値なんですよね。

via: お客様が支払うお金の事について、長老と若いイケメンが語り合ったそうです。


この言葉は本来音楽に関して述べられたものだが、「デザイン」に関しても等しく当てはまる。つまり「良いデザイン」とは

「人が潜在的に持っていはいるが、明文化できていない願望を具現化したもの」

なのだ。

そうした点において「良いデザイン」は「ヒット曲」や「売れる映画」と同じものである。

例えばある歌手の曲が売れ出すことがある。すると「専門家」がなぜその歌手の曲が売れるかを解説する。曰くコード進行がシンプル、斬新、複雑。曰く彼(または彼女)の曲を生み出す姿勢がどうとかこうとか。曰くアレンジが「時代の要請」にピッタリだとかなんとか。

私の考えでは「デザイン思考」とか他の類する方法論は、こうした専門家の言説と同じレベルにある。こう比べると、私がなぜそれらを

「ゴミ」

というかわかってもらえると思う。(無理がありますかぁ?)

島耕作が子会社のレコード会社に出向した時、ボケた出向者がこう聞いていた。

「ヒット曲を作るコツがあれば教えていただきたいですな」

それにその子会社生え抜きの人はこう応える

「そんなものがあれば苦労はしません」

---

「ヒットするデザインをするコツがあれば教えていただきたいですな」

という問いに対しては、多くの人が

「それはこの◯◯メソッドを使えば。。」

とかまじめに答えて金を取っている。


爆速はいいけれど

2014-06-12 07:26

Yahooは爆速なのだそうな。Google Readerが廃止されるというニュースが流れたあと、こんな記事を読んだ。

多くのネットユーザーが話題にした、Googleリーダーの終了(2013年7月1日予定)。そのニュースが日本に伝わり始めたのが3月14日(木)朝のこと。

それから約36時間後の翌15日(金)22時過ぎ、Yahoo! JAPANはGoogleリーダーのRSS情報などをそのまま引き継げる乗り換えツール『たった3分でMy Yahoo! へ引っ越ししよう!』の提供を開始した。

via: 「ヤフー爆速36時間」その時、現場は…Googleリーダー乗り換えツールを2日弱で開発したMy Yahoo!チームを直撃 - エンジニアtype


期待したんだよね。私もGoogle Reader難民だったから。確かに移行はできた。しかし使いにくくてとても利用できたものではなかった。(結局今はFeedlyを使っている)そういう事情は彼らも認識しているらしい。

「今回のツールはGoogleリーダーの機能を完全に移行できるわけではないなど、課題がたくさんあることは認識しています。日々ユーザーの声を拾っていますし、何とか改善できないか、模索中です」(加藤氏)

via: 「ヤフー爆速36時間」その時、現場は…Googleリーダー乗り換えツールを2日弱で開発したMy Yahoo!チームを直撃 - エンジニアtype


模索は結構だけど、結局それはどうなったのか。結局「爆速」に自分たちが満足しただけではないのか。

さらに「ベストな選択をするのは無理で、ベターな選択をいかに打率高くし続けるかがこれからの経営」とし、その理由として「検討に検討に重ねたベストでも、今日のベストが1カ月後は市場環境が変わりベストではない」「検討を短くしてベターを細かく積み重ねたほうが打率が上がる」を挙げた。

via: アプリ開発における“爆速”の実現方法とは--ヤフーのスマートデバイス戦略 - CNET Japan


そのweb的な発想は「これから」ではなく「そろそろほころびが見えてきた」のではないだろうか。それ故Facebookはそうした「とにかくリリースして改善」のweb的なアプリ開発と平行して、Apple出身者を集めたPaperを作ったのではないか。

皮肉なことに、この講演で挙げている例ははたしてそうした「とにかく爆速で改善」なのだろうか?

最初はGPSで正確な位置を記録していたが、バッテリの持ちが問題となり、それ改善していくというループが起きていた。しかし、改善が思うようにいかず、途中で本来のユーザー体験を再検討。おおまかな位置情報にすればもともとのアイデアが実現できるのではないかと仮説を立て、「マニアのための高性能ロガー」から「ライフログ自動化ツール」に変更したところ、好評なアプリに変わっていったという。

via: アプリ開発における“爆速”の実現方法とは--ヤフーのスマートデバイス戦略 - CNET Japan


これは一旦引き下がり、短い間でも熟考した結果ではないだろうか。というかこれ言っている人も自分が何を言っているかわかっていないんだと思う。

そして、その後もレビューを見るなどしてユーザーからの声を検証し、「今がベストか?」を問いかけることが必要だと語り

via: アプリ開発における“爆速”の実現方法とは--ヤフーのスマートデバイス戦略 - CNET Japan


あのー、ちょっと前には「ベストな選択をすることは無理」って言ってませんでしたかぁ?

必要以上に時間をかけるのは間違っている。しかしなんでも「爆速」でいいのだろうか。それは大量のクズアプリを生み出すだけではないだろうか。

アプリを25倍にすると宣言した際には、社内が「ざわっとした」と振り返る川崎氏。「かつてケネディは演説で『私たちは月へ行くことを選択した』と言ったが、50本の目標も同じで、『出せるかどうか』ではなく『出す』ということ。ミクシィのエンジニアは本当に優秀でも『ざわっ』とさせる目標が必要。『mixiって、いい意味でやばくなってきたね』となれば」。

via: 「復活愛は求めない」新生mixiはアプリで存在感示す~川崎裕一取締役に聞く - INTERNET Watch


確かに「モンスト」でmixiの株価は回復してるけどね。。それでいいんですか?それがやりたいことなんですか?


Open原理主義

2014-06-11 07:12

Apple原理主義者の私がいうから間違いない。世の中にはいろいろな原理主義者がおり、Apple原理主義者の仮想敵はOpen原理主義者である。

OpenなAndroidはClosedなiPhoneに勝つ!という主張は当初からあり、日本以外では見方によってはそうなっている、と主張もできる。皮肉なことに日本でそう主張していた人もたくさんいたのだが、結果は逆になっている。
私はこのOpen-Closed論争を聞く度、「太平洋戦争、日本はこうすれば勝てた」的な印象を持つことが多い。つまり発言している人がとてつもなく評論家的無責任な立場で語っているように思えるのだ。

 ただより高機能といわれるHTML5の採用が広まり、GPSなどの機能にアクセスできるオープンなAPIが普及していけば、モバイル・タッチ・ウェブでもかなりの機能を搭載できるようになるとみられている。このためアプリよりもブラウザベースのサービスが今後ますます主流になるだろう、というのがTaptuの予測だ。

via: iPhone対Android、勝つのはブラウザベースのサービス : TechWave

Open原理主義者と近い立場にいるのがHTML5原理主義者である。これからはHTML5の時代だ!ブラウザさえあればアプリはいらない!と何年前から言われていることだろう。おじさんはいい加減聞き飽きたよ。
なぜ今朝こんなことを言っているかといえば、こういう記事を見たからである。

 実際、Firefox OSの開発はものすごい速さで進んでいる。メンテナー(開発を取り仕切る役割の人間のこと)がさばき切れないほどのコードが毎日アップロードされている。これはオープン化の恩恵といえるだろう。しかし残念ながら、Firefox OSを取り巻く現状は上記の通りだ。そしてオープン化はいいが、我々一般ユーザーに何のメリットがあるのだろう? いや、むしろそのオープン化があだにもなり得る。

 現在、Firefox OSのマーケットプレースに登録されているアプリは数千だが、最近はマーケットプレースを通さない野良アプリが増えている。AndroidにはGoogle Play経由でないアプリをインストールするにはユーザーの同意が必要だが、今のところFirefox OSにはその仕組みがない。セキュリティ的にも無法地帯というわけだ。

via: Firefox OS端末が日本で年度内に発売されないであろう5つの理由 - ITmedia Mobile

 
オープン原理主義者も、HTML5原理主義者も、さらにはキャリア主導原理主義者も狂喜するはずのFirefox OSだが実態はこんなところらしい。ここに挙げた原理主義者の全てが「供給者側の視点」にたっており、ユーザからの視点を欠いていることに気をつけよう。

筆者自身はFirefox OSを応援する立場であることを明言しておく。まず手元で最新版が気軽にビルドできるのがいい。そしてすぐに実機で試せる。さらに国内のコミュニティも熱がこもってきている。

via: Firefox OS端末が日本で年度内に発売されないであろう5つの理由 - ITmedia Mobile

この「利点」は開発者視点から挙げられている。(そうした意味ではここで引用している文章はユーザ視点と開発者視点をきちんと切り分けた素晴らしいものだと思うが)そりゃ私だって開発者視点からすればAndroidのほうが好きだよ。なんでもできるもん。
はたして供給者原理主義の人たちは、消費者の心をつかむことができるだろうか?今まで示されている結果からすれば、それは全くの空論に終わる可能性が高いと思う。


「デザイン思考」という虚構

2014-06-10 07:20

日本企業からイノベーションでていないよねー。デザイン思考でそれは解決だー(棒読み)

という文章は世の中にあふれているし、講習会もたくさんある。しかしながらHuman Centered Designからはじまり私はこういう「デザイン方法論」には常に懐疑的だ。

“ 個人がもつ熱意あるアイデアから、新しいイノベーションが生まれることもある。例えば、デザイン思考プロセスだけではiPhoneが誕生することは難しいだろう。4つのプロセスだけがデザイン思考ではなく、もっとダイナミックに捉えなければいけない。究極的には、人間の営みから目的を導き出さなければいけない。なんのためのデザイン思考なのか。目的に基づくデザイン思考の実践こそが重要だ ”

via: モノのデザインからコトのデザインへ-HCDを軸に人間の営みからデザイン思考を考える(3/4):企業のIT・経営・ビジネスをつなぐ情報サイト EnterpriseZine (EZ)


この講演をした人はとても正直な人だと思う。Human Centered Designから始まり、「モノのデザインじゃなくてコトのデザイン」というこれまたすごい(棒読み)概念を紹介したあと結局この文章にたどり着く。あれこれ言ってみたけど結局

「よくわかりません」

ということを正直に吐露しているように思える。

"Creativity is just connecting things. When you ask creative people how they did something, they feel a little guilty because they didn't really do it, they just saw something. It seemed obvious to them after a while."


これはSteve Jobsの言葉である。学校の先生方はこの言葉に同意しないと思う。「イノベーションを生み出すプロセス」(笑)はどの組織でもその気になれば再現可能なものでなければならないからだ。

イノベーションのきっかけとは

"They just saw something. It seemed obvious to them after a while"

ただそうなるべきだ。そうなるのが当然だ、ということに気がつくこと。

そのプロセスを疑似科学的に分解しても何もでてこないよ。つまりそれは属人的な力なのだ。

もう一つあげるならばそのきっかけにリソースを割り当てる経営上の判断ができる経営者の能力。この2つが「企業からイノベーションからイノベーションを生む」ために必要。もちろん◯◯思考やら◯◯メソッドを振り回す怪しげなコンサルタントに大金をつぎ込むのも結構。それで自分が定年になるまで持ちこたえることができるのであれば。




どこでCloudを切るか

2014-06-09 06:59

というわけでわけがわからないけどあっという間に広く使われるようになったCloudである。

このCloudとそうでないところをどこで切るかは各社で異なる。例えば、「場所だけ提供します」だったらデータセンターと呼ばれるし、バーチャルマシンだけ提供します、というところも多い。

Amazonはその上で動く「ソフトウェア開発環境」までを提供している。あまりよくしらないがAzureもそうだと思う。Googleも似たような事をしているが、こちらはもう少し自由度が低い。アプリ開発言語とデータベースは基本固定である。

さて、素晴らしい端末は作るけれどiCloudってなんのこと、という状態が長く続いてきたAppleであるが、実に「素晴らしい端末メーカー」らしい切り方をしてきた。キーノートにあったCloud Kitである。これは驚いたことに基本端末側で動くKitなのだ。でもってCloudは

「なんだかわからないけど、複数端末間で共有できるデータベース」

として動くような気がする。(まだよくわかなっていない)つまりAppleにとってCloudとは「なんだかわからないけどつないでくれる」ものであれば良い、ということなのだな。

誰かがWWDCの前に予想していた「もう写真は全部iCloudにいれちゃえば大丈夫だよ」というソリューションも発表はされた。ただ残念なことに


iCloud Photo Library では、従来のフォトストリームだけではなく、全ての写真をクラウドに同期できます。



最初の5GB まではiCloud 無料ストレージと共有で無料。20GB は月0.99ドル、200GB で月3.99ドル、最大1TBまで保存できます。

via: iOS 8の写真アプリは編集を大幅強化。iCloud Photo Libraryですべての写真をクラウド同期 - Engadget Japanese


値段が高い。月400円といえば、マクドナルドで2回暇をつぶすくらいのコスト。まあそれくらいの無駄は間違いなくしているわけなのだが、がっぽりもうかっているAppleだしここはもうひと息、二息がんばって

「200GBまで無料」

とかできなかったものか。Flickerが1TBまでフリーで提供しているんだから、それくらいやってもバチは当たらなかったと思うよ。

あとこれが実際の環境で

It just works

のようになってくれるかどうかは、もう少し様子を見ないとわからない。期待と不安をまぜこぜにしながら夏がすぎるのを待つことにするか。


モバイルとPCで何を分け、何を共通化するのか

2014-06-05 08:10

まずは話の枕にこんな記事を引用する。

ユーザーレベルの視点で話をするなら、iPhoneで使っているアプリが、タッチ対応になったMacBook Airでも使えたらどんなに便利だろう。

via: 【笠原一輝のユビキタス情報局】MicrosoftがUniversal Appsと次期Windowsで目指す新世界 - PC Watch


この記事自体意味不明だが、こういう言説をする人にはまずこう聞きたい。

「そういう世界はもうWindowsで実現されている。であなたはそれが本当に便利だと思っているの?使っているの?」

WindowsとiOS+Mac OSがモバイルとPCに対して異なる「切り方」をしていることはこれまでも何度か言及してきた。そして今回Appleが発表したContinuityをこうした観点からみるのも面白いと思う。

これらの中でもっとも注目すべき部分は、iOSとMacの連続性を表すContinuityだ。これからは、モバイルとデスクトップをそれぞれ別のもの、別世界と考える必要がなくなるのだ。しかもそれは、Appleのネイティブのアプリやサービスに組み込まれているだけでなく、サードパーティのデベロッパにも公開される。二つのデバイスをWiFiネットワークの共有という形でペアにしてもよいし、ご近所同士ならBluetoothのキューやレンジを利用してもよい。デスクトップ上のSMSや電話の入呼起呼もContinuityになるから、いわばモバイルとデスクトップがシームレスにブレンドされる。しかも、そのための不格好なつぎはぎ細工…MicrosoftのWindows 8的?…は要らない。

via: iOS 7はiOSを変えたがiOS 8はコンピューティングを変える | TechCrunch Japan


わたしのようなApple原理主義者でなくても、上記の主張には同意してもらえるのではないかと思う。つまりAppleはOSを共通化するとか、同じソースから簡単に複数プラットフォーム対応のアプリができる、といったようには考えなかったのだ。

そうではなく、ユーザにとって本当に「共通化したいのか何か」をきちんと考えたのだと思う。その結果がWWDCでデモした

「iPhoneで書きかけた返事の続きを、Mac上で続ける」

「SMSや電話での会話はiPhoneでもMacでも可能」

という姿なのだ。その背後にあるOSが共通だとはそうでないとかはどうでもいいんだよ。

最近人前でしゃべるときに強調している点だが

「離れた画面をキーボードとマウスで操作するPCのインタフェースと、手のひらの中にディスプレイが存在しそれを親指で操作するインタフェースは根本的に異なるべきだ」

という点をおそらくMicrosoftそれに笠原氏は認識していない。それ故

だが、Universal Windows Appsの意味はそれだけに留まらない。アプリの開発者がディスプレイの解像度の違いを吸収する設計をすればという前提条件は付くものの、Universal Windows Appsにより、4型から、それこそ100型といった大型までどんなタイプのディスプレイでも動くアプリプラットフォームを得られる

via: 【笠原一輝のユビキタス情報局】MicrosoftがUniversal Appsと次期Windowsで目指す新世界 - PC Watch


こういう寝言に意味があると信じるのだと思う。ここでさらっと条件として簡単に述べている

「アプリの開発者がディスプレイの解像度の違いを吸収する設計」

というところが問題なのだ。そうした本質的かつ重大な問題から目をそらして、「どんなディスプレイでも動くアプリ」なんて言ったって意味はない。

愛すべきMicrosoftはいつになったそのことに気がつくのだろう。しかしあれだね。「これでMicrosoft勝つる!」という「評論家」の文章はずいぶん読んだ気がするけど、いつその「変化」は到来するのだろう。


WWDC2014のキーノートを見て

2014-06-04 06:55

Jobsが亡くなってから3年である。世の中には

「Jobsは自分の頭のなかに生きている!」

という幸せな人がおり、こういうことを書いたりする。

( ´_ゝ`)フーン iOS8の話しだけだったんかな。 ジョブズいないしどんどん興味が削げてくアップル製品

via: Twitter / masshi20: 【悲報】WWDCでiPhone ...


さらには本日発見した「もっとも狂ったWWDCの感想」

ハードウェア側でiPhone6が発表されなかった理由は、おそらく次の半導体プロセス技術が間に合わないからだ。

via: 【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】Appleが新言語「Swift」とAPI「Metal」を発表して「iPhone6」を発表しなかった背景 - PC Watch


私はJobsが亡き後のWWDCはより本来の目的-すなわち開発者にフォーカスしたものになっていると思う。そしてそれは正しい動きだ。

Appleのソフトゥエア開発能力は、日本の企業につとめている身からすると驚嘆するべきものだ。今回はソフトウェアの新機能だけでキーノートがうまった。誰かが書いていたが、本来ならCookが述べるべき「リテールの成功」には全く言及しなかった。その暇がなかったからだ。

我が身を振り返ろう。馬鹿げた言説に関わりあっている暇はないのだ。逆に「読んでうならされた」感想をいくつか引用しよう。

でもこれらの中でもっとも注目すべき部分は、iOSとMacの連続性を表すContinuityだ。これからは、モバイルとデスクトップをそれぞれ別のもの、別世界と考える必要がなくなるのだ。

via: iOS 7はiOSを変えたがiOS 8はコンピューティングを変える | TechCrunch Japan


私もこのContinuityには驚かされた。あたかも複数のデバイスが見えない糸でつながっているかのように連携する。Googleだったら「とにかくデータは全部クラウドに」とやるところだが、そこはちょっとテイストが違う。

会場には普段夜中に仕事して、主な食事はハンバーガーとコークとピザという開発者が、世界中からたくさん集まります。

しかし、「よし、ユーザーを騙してでも大きく儲けよう」という顔をした趣味は悪いけど小奇麗なビジネスマンはいません。

みんな嬉しそうな顔でユーザーの喜ぶ顔を見るためにアプリケーションを開発しているんです。

via: WWDC2014 KeyNoteスピーチレポートその1「Appleは何のために製品を作っているのか」 | レポート | Macお宝鑑定団 blog(羅針盤)


WWDCのセッションは全てビデオで見ることができる。しかし実地にいかなければ決して体験できないことがある。

それは開発者の笑顔。Appleの社員が満面のドヤ顔で"I think you are goint to love this"と新機能を紹介し、会場の開発者たちが笑顔でそれに拍手する。そのやりとりの幸福感はとてもビデオからは伝わらない。

developers22

ハードウェアの発表はなかったが、ソフトウェアの話だけで十分満足感の得られるものだった。

今日発表内容はアップルの未来に大きな影響を与えそうだ。

さて、このあと技術メディアはどう伝えるか。

そこからメディアのスタンスが透けて見えるに違いない・・・

via: WWDC 2014 の印象 | maclalala2

デザインに美しさがなぜ必要か

2014-06-03 08:15

日本でもSurface Pro3の発表をしたのだそうな。アメリカでやったときはMac Book AirとSurface Pro3(ただしキーボードなし)の重さ比較をした。

なぜか日本ではこういうことをやったらしい。

Surface Pro3すごい

引用:Engajet日本語版

比較対象はMac Book Proになり

Macbook ProとSurface Pro 3の重さ比較。ペンとACアダプタとリンゴを載せても軽いとアピール。

via: 速報:Surface Pro 3 日本版発表。樋口社長「やばい、すごいデバイス」、7月17日発売、9万1800円〜 - Engadget Japanese


もはや彼らは自分たちが何をしているのかわかっていないのだと思う。そもそも彼らは何が作りたかったのだろうか?Mac Book Proと比べるということはラップトップがつくりたかったわけ?

だったらキーボードは必須。ここで一つMicorosoftに提案がある。キーボードをヒンジを通じて本体に固定してはどうだろうか。そうすると背面のキックスタンドがいらなくなる。もちろんそうすると只のラップトップになるんだけど、いいじゃん。結局目指しているのはそれなんだから。

Engadget:そういえば、米国のブリーフィングでは参加ジャーナリスト達がMacBookを手にしている姿が映りました。率直に彼らがMacbookを持っている姿をどう思いますか? 今日、僕もMacBook Airだけど。

ホール氏:いろいろな理由があると思うけど、米国のジャーナリストの方々はMacのヘビーユーザーですからね。アップルのMacBookのビジネスは米国が中心だし。

via: Surface Pro 3インタビュー:MS担当者「ラップトップを置き換える美しいタブレット」をアピール - Engadget Japanese


こういう寝言を言っている限り、彼らは「自分がなぜもてナイか」わからないと思う。いや、言葉の上では彼らも理解しているらしい。

ホール氏:我々は新しいカテゴリを作るという姿勢で取り組んでいます。これは全てのOEMメーカーもキャッチアップできるところです。かっこいい! と思う点や品質に関する点が重要で、Windows デバイスは本来、かっこいいものでなければ、これだけ質の高いものでなければならないんです。Windows デバイスへの高い期待を作らなければなりません。

多くの人達がSurface Pro 3のようなものをメインマシンとして期待していたとします。見かけはタブレットでラップトップと同じように機能するようなものです。

via: Surface Pro 3インタビュー:MS担当者「ラップトップを置き換える美しいタブレット」をアピール - Engadget Japanese

Well, we will see.


NHK技研公開2014

2014-06-02 07:21

というイベントに行ってきた。まず一階は8Kテレビだらけ。これから東京オリンピックに向けてがんばろう、ということなのだろう。しかしあんな巨大なディスプレイをどこに設置する気なのだろうか。パブリックビューイングかな。まさか一般家庭をNHKが広くしてくれるわけじゃあるまいし。

というわけで8Kディスプレイは全部スルー。地下に降りるといろいろな研究が並んでいる。

しかし例えば感覚に関する研究では、着眼点も平凡なら結果の説明もおざなり。タブレット端末を使いタブレット上の画像とTV画像を重畳する展示があったのだが、少し質問するとおそらくはアルバイトの女性は全く答えられなくなる。そもそもそれがなぜおもしろいのか、というコンテンツもないし。

圧巻だったのは「脳活動分析による番組視聴状態の心理状態推定」だった。fMRIを使ってお笑い番組を見ている人の脳活動を分析しよう、というよくあるタイプの研究。

では何がわかったかというと「笑いの8秒前に特定の活動があることがわかった」とのこと。8秒も前ならそれは全く笑いと関係がないじゃないか。それを調べるために落ちがあるのとないのと比較してみてはいかがですか?と質問する。

すると説明者は「いや、それは全ての単語を認識し、何がおもしろいかを解析しなくてはいけないので、我々のスコープに入っていません」とわけのわからない回答をする。いや、単に2つケースやってみればいいだけなんじゃないですか?同じフリを流して、その後にオチがあるケースとないケース比較すれば、その「特定のパターン」が笑いに関係するものかどうかわかるんじゃないですか?

それに対する答えは「いや、我々は別に笑いにこだわっているわけではなく、感情と脳活動のパータンがどういう関係にあるかを調べたいのであって、それは我々のスコープにはいっていません」というものだった。

となると結局その「特定のパターン」がなんの感情に関連したものかはさっぱりわからず、それは「スコープにはいっていない」と力説されてもねえ。

その説明を聞きながら、この研究所の実態というか期待されているものをぼんやり想像していた。企業によって「研究所」というものに期待する内容はずいぶん異なる。「実業では使い物にならない人間」を集めておく場所として研究所を作る場合もある。もちろんNHK内部でこの研究所がどういう位置づけにあるかなど外部の人間である私にはわかりようがないが。


全般的に研究としてみたとき、NTT研究所,ATR,産総研などとは比べ物にならない。(8Kの技術は知らんよ)私はNHKのファンで長年視聴料を喜んで払ってきたが、あの技術研究所にかかっている金の8割は返金しろ、と言いたくなった。