「きらきら」と「これだ!」

2018-02-28 07:27

免責事項:私がここに書くことは、私が雇用契約を結んでいる企業で行われていること、語られていること、実態、その他とにかくなんであっても関係ないのです。全く関係ないことを可能な限り強力に主張します。


ビジョンをかかげる企業は多い。しかしほとんどの企業は「ビジョン」なるものが「きらきらビジョン」という美しくなんの役にも立たない妄言と、苦痛を伴い社員に制約を課し、そして運がよければ成果をうむ「これだビジョン」であることに気がついていない。などと私のようなチンピラが書いてもなんの説得力もないので、権威の言葉を借りよう。

戦略と呼ばれるものの大半は、実は目標になっている。「事業展開する市場すべてで1位か2位になりたい」というのは、その一例だ。これでは何をすべきか伝わらない。伝えているのは、どんな結果にしたいか、ということだけだ。それを実現するための戦略が、さらに必要である。

引用元:戦略は単なる目標ではなく、限られた数の明確な選択肢である | HBR.ORG翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

「世界平和」はビジョンではなく、それは単なる妄想、スローガン、寝言の類。それについていくら社員に会議をやらせ、「腹落ちしましたか」というアンケートでYesという答えが集まろうが、それにはなんの意味もない。

マーティンが目指した新戦略は次の3つである。(1)(玩具ではなく)完璧な縮尺模型をつくる。(2)(子どもではなく)大人のコレクターをターゲットにする。(3)(大人に子ども時代を思い出させるため)郷愁に訴えかける。

引用元:戦略は単なる目標ではなく、限られた数の明確な選択肢である | HBR.ORG翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

これこそが「戦略」であり「ビジョン」。子供にも夢を与えたいよね。子供の心を持つ大人にもアピールしたいよね。そうだよね。鉄道模型で世の中を平和にできたらいいね。こういう寝言を言っている間は、何も起こらない。そうではなく

「数ある選択肢の中から、我が社はこれで行く」

と明確に宣言し、実行にフィードバックすること。これこそが私が考えるビジョンであり、戦略だ。

我が国にはこの「きらきらビジョン」と「明確だが、その意味については滅多に顧みられないKPI」を語ることで役員としての給料をもらっている人がたくさんいる。結果は東芝である。「売上目標が達成できないなんて聞いてない!」と部下をどなりつければ仕事ができると評価される組織のできあがりだ。

つまるところ、この「きらきらビジョン」と「一方的なKPIの強制」というのは上位者の無能を表すものであり、不思議なことに日本の組織ではそれが許容されることが多い。何度も書いているが、私の最近の関心はなぜ我が国ではそれが許容されることが多いのか、である。

最近の仮説は「基本が今の位置を守ることにあるのか。あるいは動き続けることにあるのかの違い」である。つまるところ農耕民族と狩猟民族の違い、あるいは常に外部からの侵入に対処しなければならない国と、島をまもってりゃいいよね、という国の違い、とか。ただこの点についてはわからないことだらけである。


模倣の天才

2018-02-27 07:20

今となっては信じられないことだが、私が幼いころ、そして会社にはいってもしばらくは「日本のメーカーは欧米のコピーばかりしている」と言われていた。日本企業は確かにコピーで成功しているが、Creativity-創造性-がない、と。

太平洋戦争において、アメリカはブルドーザを持っていたが日本がそれを模倣したのは随分たってからだった。伊藤正徳はこう書いた

「模倣の天才日本がなぜこれをすぐに模倣しなかったのか」

それから数十年たち、今は21世紀である。

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サムソンが、新しいGalaxyでAR Emojiを出したのだそうな。

AREmoji

引用元:Verge

そもそもなぜAppleの同じような仕組みが、人間の顔を模倣せずにアニメーションキャラクターを使っているかとか誰も考えなかったんだろうな。こういうのが、過去に日本が行なっていた「模倣」である。

私はこういう「模倣」については何も思わない。特許を避けていい機能が広がるなら、最終的に勝者は我々消費者である。今日書きたいのはこのことではない。

利益を上げ、「復活」が噂されているソニーも「最新機種」を発表した。

Xperia
引用元:Wired

It’s hard to really get excited about the latest in the Xperia XZ line of smartphones. Sony has added plenty of nice touches like wireless charging, a repositioned fingerprint sensor and a neat redesign. But most of these only bring Sony up to parity with flagship phones that other manufacturers released last year or even earlier.

引用元:Sony Xperia XZ2 hands-on: a lacklustre flagship with few thrills | WIRED UK

適当な訳:最新のXeperia XZシリーズに興奮するのは難しい。Sonyは山ほど改善した。ワイヤレス充電、指紋センサーの位置、そして良いデザイン。しかしこれでようやくソニーは他の会社が去年かそれより前に発売したフラッグシップと比べられるようになっただけだ。


かつての「模倣の天才」の輝きは今は見る影もない。


強い企業

2018-02-26 07:25

昨今の日本企業は、、と自分を完全に棚に上げ嘆くことが多い今日この頃であるが、もちろんこれは間違っている。「日本企業」などという会社は存在しないのだ。

というわけで先日のABEJAカンファレンスで聞いた面白い話、KOMATSUの発表について書く。

小松製作所だかKOMATSUだかしらないが昔は建設機械の会社だった。そのあと「建設機械にセンサーを仕込み、遠隔でデータを把握できるようにしている」と聞き驚いた。中国で実際にどの程度建設作業が行われているかしっているのはKOMATSUだけだ、と言われていた時期もある。

その頃から「IOT」などというバズワードとは関係なくKOMATSUは「自分たちが目指す姿の中に必要な技術を取り入れる」という形でIOTで成果を出していた。あまり着目されないことだが、これは素晴らしいことだ。


免責事項:ここに書いてあることは、私が雇用契約を結んでいる会社の意見、動向、実態とはなんの関係も、これっぽっちもありません。


多くの会社はこの反対で、経営者が「うちもAIとかIOTとかをやれ」とわけのわからない命令を下す。経営者本人にも全くビジョンがないから、担当者は戸惑う。とにかく何かしなくては。しかし何もわからない。どうしよう、そしてABEJAのような会社のカモになるわけだ。ダイキンはまさにそのパターンにはまっているように思える。

しかし今回の公演はそんなものではなかった。KOMATSUは建設機械の機能・性能をあげれば工事現場の効率化に繋がると思っていた。しかし実態を調査するとそんな簡単なものではない。ある場所で土砂を採掘、それをトラックで運び別の場所で捨てる。こういうよくありがちな作業一つとっても、実はトラックの運搬にボトルネックがある。だからKOMATSUがスーパーショベルカーを作っても全体としては何も改善されない。

というわけで、KOMATSUは、「建設現場のコンサル」を目指しているのだそうな。ドローンで地形の精密な測量を行う。トラックの位置を全て把握する。それを一箇所にまとめてCommand Control Centerを作る。まるで防衛部門で数十年前にはやったC3Iである。(Command Control Communication and Intelligence)それが実際に機能するのだ。

おまけにKOMATSUは様々な現場で得た知見を社内で共有する。一人の現場監督が一生かかっても蓄積できない様々なデータを集約できる。

この日は「AI」の講演だが、それについては怪しげな図を一枚出しただけだった。逆にいえば、彼らは真面目に成果をだせるものにAIを活用しようと計画し、取り組んでいるからこそ「怪しげな図一枚」しかださなかったのだと思う。いや、お見それしました。

彼らはバズワードに踊らされることなく、「そもそも我々はどんなサービス、製品を作りたいのか」「それに新技術はどう適用できるのか」という実に真っ当な考え方をし、着実に技術を事業に取り入れている。こう書くと当たり前に聞こえるが、これができている会社には滅多に出会えない。

建設機械に全く興味はないが、もし俺が大学をでて就職するとしたらKOMATSUを選ぶかも知れん。これは面白そうだ。というわけで、今後機会があればKOMATSUの公演を聞くことにしよう。惑星トヨタの崩壊と同じくらい楽しみにしたい。



ABEJA SIX2018に行ったよ

2018-02-23 07:21

昨日の午後、ABJEAという会社が主催のSIXというイベントに行って来た。この会社は創業6年のベンチャーで、画像、動画、音声、センサーデーに機械学習を行なってなんらかの認識結果をだすサービスを提供しているようだ。

時間より早く、基調講演(CEOがしゃべるのだ)の会場につく。すると会場係が山ほど待機しており、問答無用で最前列の席から隙間をあけずぎゅうぎゅう詰めに座らされる。本日満席を予定しておりますというのだが、開始時間が近づいても満席になる気配はない。両脇に巨大な男性がいる状況というのは好きではない。

ちなみに講演が終わったあと、後ろを振り返ってみれば少なくとも1/3は空席だった。二つ目のセッションでもずーっと会場係が「前から詰めておすわりください。ご協力お願いします」と叫んでいる。会場はがらがらなのに。そう叫んでいる若者を捕まえて

「こんなにガラガラなのになぜ詰めて座らせるんですか?いや、あなたに文句を行っているのでなくあなたに指示を出している人に文句を行っているのですが」

といった。気の毒な若者は困惑した顔をしていたが、また同じことを叫び出す。正直いって気持ち悪い。

この気持ち悪さはCEOの基調講演にも共通していた。内容はよくある

「今やAIにより産業革命が起こっています。ぜひ弊社にお手伝いさせてください!」というもの。しかしCEOの必要以上に丁寧な日本語を聞くと日本語の特に敬語はプレゼンに向いていないのではないかと思う。英語なら

Today, we are proud to announce new service.

力強く言い切るところを

「本日から、弊社の新しいサービスをご提供させていただきたいと考えております。こちらがそのサービスの概要になります。」

となる。ああ、気持ち悪い。日本語でももう少しましな言い回しはあると思うのだけどね。

だから基調講演は半分寝ていた。なぜこんなに詰め込まれなくてはならんのだ、と考えながら。3社ほどユーザ企業が登壇したのだが、一社を除いて内容は覚えていない。その1社については後述する。

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さて、二つ目の講演はダイキンのものだった。なんでも故障修理に持っていく部品を最適化したい。そのため故障診断情報から持っていく部品を決定するところにABEJAの技術を応用しようとしている、のだそうな。

話を聞いて「ああ、これはダメなパターンだ」と思う。病気の診断とか故障診断とか、一つ前の「第2次AIブーム」のころから散々やられているが、いまだにものになっていない。理由はいくつもあるが、一番大きなものを上げておく。

「こういう症状が出ています」

というのをお客様から聞いたり、作業員が入力するわけだがそこですでに人間の判断が大幅に介在してしまっている。故障というのは本当にいろいろなパターンがあり、故障診断に熟達した人はいろいろな方法で観察し、症状を記録する。そうでない人は「赤ランプが点滅している」とだけ書く。

入力のところでこれだけデータがばらついているものに、どんな高級なアルゴリズムを適応したところで意味がある結果はでない。古くからのことわざGarbage in , garbage out ゴミを入れればゴミがでるのだ。不幸にしてダイキンの担当者はそこらへんが全く理解できていないようだった。入力の正規化とかいろいろ工夫をしております、とか言ってるけど、そんなことやったって無駄だよ。

しかしここに困惑する事実がある。この日私の記憶に残っている事例紹介は武蔵精密工業、ダイキン、コマツの3社。そして3社ともまだ成果がでていない。なのに彼らは登壇して何か喋っている。ABEJAはこんなイベントを無料で主催するほど儲かっている。これはどういうことなのか。ちなみに武蔵精密工業は、検査のところに画像認識技銃を応用しよとして「文系の社長」いわく「成果がでる一歩手前」まで来ているとのこと。社長がそういうということは、まだまだ先は長い、ということである。

こういう「なんとかブーム」が起きた時にどう対応するかは、企業の力量によって様々だ。一番多いパターンが「偉い人がAI使って何かやれと言っている」と担当者が困り誰かに泣きつくパターン。これはABEJAのような企業にとってはカモである。ダイキンはその典型的なパターンに見えた。

もう一つは「その新しい技術は何ができて、何ができないのか」をちゃんと見極めた上で自社にどういかせるのか考え、その上でABEJAのような会社に依頼するパターン。こちらは商売の上でうまみはないが、実際に現実と対面しているエンジニアがハッピーになれるパターンである。これは別の機会に書くがコマツはこちらのパターンだ。

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セッションを聞いた後に、ABEJAの人と軽く話をする機会があった。相手は非常に素直な若者で、私がここに書いたことを真面目に聞いてくれた。この日よかったのは、コマツのプレゼンとこの担当者との会話だった。

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無料で面白い話を聞かせてもらったので、お礼にABEJAのCEOに一ついいことを教えてあげよう。
写真をみてわかっていたが、ABEJAのCEOの頭髪は薄くなりかかっている。そしてそれを一生懸命カバーする髪型をしている。
髪型は個人の自由だ。それは100も承知した上で、その髪型をしている限り話を聞く方がそこにしか注意がいかない。
「人の髪型に難癖をつけるとは。これだから日本人はだめだ」
とでも言われるかな?少し前にAlly McBealという米国のドラマがあった。そこでのエピソードを紹介しよう。
ある男性が、はげているのだが残った髪の毛を長く伸ばし頭の上にトグロをまいてかぶせていた。彼は保険会社に勤めていたのだが、「その髪型ではお客様からみて信用を得られない」という理由で何か不利益になることをされた。訴えたい、といって弁護士事務所に駆け込んで来た。
かの国でもこうしたストーリーは成立する。だから私はこれが「日本人がダメな理由」の一つであるとは思わない。基調講演の間中ずっと私は君の髪型にしか注意が向かなかった。

だからいさぎよくスキンヘッドにしなさい。それが顧客のためであり、社員のためでもある。

ストをするのだ

2018-02-22 07:24

そういえば、ここ数十年ストライキという言葉を聞いていないな。

厚生労働省は20日、JR東日本の最大労働組合「東日本旅客鉄道労働組合」(JR東労組)からストライキなどの争議行為を実施する可能性があるとの通知があったと発表した。3月2日以降に東京都内や千葉県内で実施する可能性があり、実施されれば1987年の国鉄民営化後で初めてとなる。

 通知によると、スト実施によって列車の運行に支障はないとしている。

 JR東労組は、今春闘で基本給を引き上げるベースアップを組合員一律に行うことを要求しているという。

引用元:<JR東労組>ストの可能性 3月2日以降「運行支障なし」 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

このご時世に「一律ベースアップ」とか昭和の遺物か。

思えば学生の頃までは電車が止まっていたように思う。あれ、そういえばバスも止まっていたかな。東京に来てから誰かが「東急はストが大好きだから」と言ったのを記憶している。そういえばスト権ストとかあったな。

当時は徒歩で学校に通う小学生か中学生だったから電車が止まってもどうということはなかった。しかし思うのだ。これだけ多くの人が電車の定期的な運行に依存している関東圏でストライキをやることの無謀さを。事故があり少し運行が乱れるだけで大騒ぎになるところで、電車の運行を止めるなど。

当時の話はよく知らないが、もし今それを大規模にやったら駅員たちはリンチにあってもおかしくないと思う。よくそんなことができたなあ。

漫画「巨人の星」ではねじり鉢巻をしたトラックの運転手が「バッキャロー」と叫んで無謀運転をする。今はそんなことをすれば、たちまちビデオに録画されyoutubeにアップロードされ、大炎上。しかし当時はそういう時代だったはずだ。

どうやってそうしたストを行う側への怒りから身を守ったのだろう。そんなことを調べてみようかと思っている。



詐欺あるある

2018-02-21 07:11

歳を重ねると「ああ、これはよくあるパターンだ」というものが増える。そうして本当に革新的なものを見逃したり、対処しなければならない予兆を見逃し

「老害はひっこんでろ」

と言われるようになるのだろう。とはいえ多分それは役に立たないことばかりではない。これはよくある詐欺パターン

それにしても、ネットのニュースなどを見ると、コインチェックは「無責任体制だ」などとボコボコに叩かれていますね。3Dプリンタで殺傷能力のある拳銃を作った人が逮捕されたニュースで「危険だ」などと言う人が多かったように、日本人にはこういうものはなかなか受け入れられないのでしょう。

新しくてしかもよくわからないものに恐怖感を抱き、それで儲ける人に嫌悪感を示し、それをやっている企業も糾弾する。

このような姿勢だと、ブロックチェーン技術そのものが国内で支持されず、世界的な金融システム変革の波に乗り遅れるのではないかと懸念しています。

引用元:コインチェック被害者の私が冷静だったワケ。相場に動じない2つのコツ=午堂登紀雄 | ページ 3 / 4 | マネーボイス

「日本人」は新しいものに対して保守的で、批判ばかりして革新の芽を摘んでしまう。これでは新しい波に「乗り遅れる」

ここまで典型的だと、引用も短く済むので助かる。「日本人は」という危険なまでの一般化。加えて「乗り遅れるな」というのは確信度高のRed Flag Wordだ。繰り返し書いてきたが「バスに乗り遅れるな」と言った国がどういう目にあったかは、ぜひ歴史の授業で教えるべきだと思う。

じゃあ「日本人以外」はどう反応しているのか。英国の中央銀行総裁はどうだろう。

カーニー総裁はロンドンのリージェンツ大学で行った講演で、ビットコインは「伝統的な貨幣としてこれまでのところおおむね失敗した。 至るところに散らばっているため価値貯蔵手段でもなく、交換の手段として利用する人もいない」と述べた。

ただ、ビットコインなどの仮想通貨の基幹技術「ブロックチェーン」については、金融取引を分散的に認証する方法などに有用である可能性があるとの見方を示した。

引用元:ビットコイン、通貨としておおむね失敗=英中銀総裁

これもよく言われることだが「ブロックチェーン技術」の価値と、現在仮想通貨を巡る「バカな小金持ちから金をすいあげよう詐欺」は区分して考えなければならない。それを意図的に混合して語る人間は善意のバカか詐欺師である。

学校の歴史では鎌倉幕府ができた年号がどうとかいうことより、こういうことを教えるといいと思うのだよね。チェンバレンの宥和政策、それを掲げたイラク戦争、新体制運動、それにバブルの歴史。絶対役にたつと思うのだけどなあ。


メディアと企業の変な関係

2018-02-20 07:09

広告しか載っていないEngadgetに見切りをつけてしばらくたつ。たまにはいい記事がある、ということでTechcrunch日本語版はまだ読んでいる。しかし彼らの特定企業に対する妙な肩入れが気になる。「指にはめるメリケンサック」ことログバーを持ち上げたり、あるいはテックビューローというこれまた胡散臭いブロックチェーンの会社を持ち上げたり、と。

編集部注:この原稿は朝山貴生氏(@takaoasayama)による寄稿である。朝山氏はビットコインと国産暗号通貨のモナーコインを扱う国内向け取引所の「Zaif Exchange」(ザイフ)を2015年3月初旬にオープンしたテックビューロの創業者で代表取締役。暗号通貨関連サービスを開始、運用している立場から書かれた解説記事だという点は留意してほしいのだが、一方で、表層的な理解だけで「胡散臭い」と遠巻きに眺めているだけにするには、暗号通貨やブロックチェーンは、あまりにも重要な技術トレンドだ。

引用元:誰も教えてくれないけれど、これを読めば分かるビットコインの仕組みと可能性 | TechCrunch Japan

これは広告記事と明記はされていない。内容はまあ「自分で運用している人の宣伝」でしかない。それをよくTechCrunchとして掲載するな。このテックビューロという会社がどういう会社かというと

しかしその矢先、テレビCMの放送が始まった2月16日、Zaifで時価総額約2200兆円分のビットコインが0円で売り出されるエラーが発生したとネット上で指摘が挙がりました。

引用元:「Zaif」運営テックビューロの決算 資金繰りは余裕も“危うさ”はらむ - ITmedia NEWS

でもって今のところこの件に関してはダンマリ。その一方剛力某を起用したCMを始めるあたり、コインチェックと大同小異でしかないように思える。このCMが仮想通貨のCM全部に共通する
「何も言っていないが、雰囲気だけで押し切る」
ものだ。つまりその雰囲気だけで金を注ぎ込んでくれる人間をターゲットとしている。

というわけで、結局「小金をもった弱者を食い物にする商売とメディアの結託」という図式が繰り返されているように思うのだ。なんでこうなっちゃうんだろうね。

今日得られた知見は、それなりに出来高のある仮想通貨取引所が、どこか一箇所でも致命的な脆弱性を突かれると、仮想通貨全体の暴落の引き金になる可能性がある、という事。コインチェックはNEM暴落だけで済んだが…
システムが脆弱な取引所の存在は、仮想通貨界全体の不利益になると改めて確認した

引用元:単眼愛(モノアイ)さんのツイート


今そこにある狂気

2018-02-16 07:08

自分が住んでいる国を、伝聞で聞く他の国と比べ「我が国はダメだ。なぜならば」と論じることはたやすい。日本に向かうバルチック艦隊の上でも「ロシアは日本にかてない。なぜならば」という議論が盛んだったそうな。

そうした議論は長い退屈な航海の気晴らしにはいいかもしれない。しかし実質的な意味はあまりない。どの国もいいところ、悪いところをみつけるのは難しいことではない。認知症の進んだ大統領がなんと言おうと私はアメリカは偉大な国だと思っている。しかしもちろんいくばくかの狂気は存在している。「また」米国の高校で銃の乱射事件が起こった。

“This was a terrible tragedy, but sometimes these things just happen and there’s nothing anyone can do to stop them,” said Indiana resident Harold Turner, echoing sentiments expressed by tens of millions of individuals who reside in a nation where over half of the world’s deadliest mass shootings have occurred in the past 50 years and whose citizens are 20 times more likely to die of gun violence than those of other developed nations.

引用元:‘No Way To Prevent This,’ Says Only Nation Where This Regularly Happens

いいかげんな訳:「これはひどい悲劇だ。しかし時にはこうしたことが起き、それを防ぐことはできない。」インディアナに住むハロルドターナーは述べた。彼が住む国では過去50年間に世界でおきた銃による大量殺人の半数以上が発生し、住人は他の先進国に比べ20倍も銃によって殺される確率が高い。


ちなみにこれはonionという私の理解ではパロディサイトにのった記事だからFakeだ。しかしこれがパロディとして成立するということはいくばくかの真実を含んでいるということでもある。

「アメリカ人」などという人間は存在しない。アメリカに住んでいる個人がいるだけ。私もそのことを忘れそうになる。高校で銃の乱射があったと聞いた時

「またか」

と思った。しかしメディアのニュースをみて考えが変わる。その場にいた生徒、家族、友人たちにとっては「またか」ですまされるものではない。こういうご時世だから現場の生々しいビデオがいくつも公開されている。不気味に響く銃声、逃げる通路に横たわる学生たちの身体。ニュースで「娘と連絡がとれない」と必死に呼びかける両親の姿。それを鎮痛な面持ちで読み上げるアナウンサー。

国民から銃を取り上げても、アメリカは依然として偉大な国であり続けると思う。なのに国家としてのアメリカにはそれができない。

日本人が餅を食い続けるようなものか。



判断・決断は危険(我が国においては)

2018-02-15 07:08

長年サラリーマンをやっていると、「処世術」というものについて考える機会が増える。「正しいことを言う」のは多くの場合危険である。「正しいことを知る」のは危険だが、語らなければ護身術に使える。「本音を語る」のもダメ。かくして首を垂れ黙って満員電車に揺られる日々が定年まで続く。

話を変えよう。私は社会人を「航空宇宙産業のエンジニア」としてスタートさせた。(そういいつつも、実際やっていたのがトラックの修理というのは内緒だ)そして日本の航空宇宙産業にあきあきした。米国がやることを10年遅れて「検討を始める」ことしかしないからだ。それから数十年たち、世紀も変わったがやっていることは当時と変わりない。たった30年だからねえ。

イーロン・マスクとジェフ・ベゾスという二人の狂人が、「自分で作った会社」でいずれもロケットを打ち上げているのというのは顎が外れるような事実だ。かの国にはそれだけ「航空宇宙関係のエンジニア」が豊富に存在していることを物語っている。それに加えて「決断するリーダー」がいる。

スペースXがロケットを再び使う計画を発表し、次々と実験を始めたのは、2012年。

引用元:世界最大のロケット成功の衝撃 SFが現実に!|NHK NEWS WEB

イーロン・マスクの判断が全て正しいとは思わない。しかし彼はとにかく「ロケットは再使用したほうが経済的だ」と判断し、その方向に爆走した。その結果本当にロケットの再使用が可能となった。さて、我が国はその状況にどう反応しただろうか。

こうした動きなどを受けて日本でも宇宙政策を決める2014年の宇宙政策委員会で次期基幹ロケット「H3」のさらに次にくる2030年以降のロケットを検討するなかで、再使用型は選択肢の1つとして研究するべきという見解がまとまったということです。

その1年後の2015年、スペースXは、人工衛星を搭載した「ファルコン9」の1段目のロケットを逆噴射させ、地球に舞い戻らせて陸上に着陸させる離れ業を成し遂げました。

内閣府によりますとこうした成功などを受けて、日本でも具体的に研究を加速させることになり、新しい実験機を製造して来年にも再び実証実験に臨むことにしています。

引用元:世界最大のロケット成功の衝撃 SFが現実に!|NHK NEWS WEB

最初に努めた会社を辞めたあと、別の会社で宇宙産業に携わる機会があった。しかしそれを見送った(その結果、さらにひどい判断をしたのだが、それは別の話)こうした状況を見ていると、その判断は正しかったように思える。結局アメリカ様がやって、実現させたこと以外何もしたくないのだ。

かくして今日の標題「判断・決断は危険(我が国においては)」という結論が導かれる。あれですよ。高速道路の「先行車追従型クルーズコントロール」みたいなもんで、前の車が加速したら加速する。減速したら減速する。これが安全かつ正しい日本のサラリーマンというもの。

そう考えるとあれだなあ。日本の家電メーカーというのは誰の真似をすればいいのかわらなくなっていたんじゃないだろうか。アメリカ企業は家電を作らなくなり(当時は)まさか韓国、台湾企業の真似なんかできないよね、といっているうち滅亡してしまったと。

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免責事項:このブログに書いてあることは、私の個人的な妄想、グチ、放言であり、私が雇用契約を結んでいる企業の見解とはなんの関係も関連もこれっぽっちもないんです。


製品づくりの難しさ

2018-02-14 07:31

作るのも、普及させるのも、やめるのも難しい。Apple watchが最初に発表されたとき

「なんだか分厚いし、丸くないよな」

と思った。(当時モトローラ?の丸型Watchが話題になっていたのだ)サムソンはだいぶ前からWatchを出していたし、Androidも対応している。ほとんどの人が無視していたが、ソニーもSmart Watchを出していた。さて勝者はだれでしょう。

the Apple Watch achieved a new first in the holiday quarter: shipments of the smartwatch exceeding exports for the entire Swiss watch industry

引用元:Trend line suggests Apple Watch could be on track to overtake entire Swiss watch industry | 9to5Mac

推定によれば、Apple Watchの出荷台数がSwiss時計メーカーのそれと並べられるところまできたのだそうな。

watch

引用元:9to5 Mac

Apple watchはホリデーシーズンにまとめて売れ、Swissの時計は年間通じて売れるから、四半期で超えたからといって年間トータルではまだ差がある。しかしそもそもサムソンの独自WatchとかAndroid Wearとか話題にすら登らなくなったことを考えれば、この成功は驚くべきことだと思う。

Sonyは論外として、Android WearとApple Watchの差はどこにあったのだろう?今だにApple Watchすら使うことができない私にはよくわからない。ただAppleが毎年Watch OSを大幅に機能強化する熱意には感銘を受けざるを得ない。

そうやってしつこくやれば成功する、というものではないのも確か。私は答えがでないと知りながらその差についてぼんやりと考え続ける。


セールスについて学ぼう

2018-02-13 07:27

私には絶対向いていないという職種はいくつもある(そもそも何に向いているというのだ)その一つが営業である。

昨日(伏せ字29394文字)のためカーディーラーを回った。会社ごとにカラーがはっきりでて大変興味深かった。いろいろな話を総合すると自動車営業業界には「決算期」というものがあり、今はどうしても車を売りたい時期のようだ。

それが一番色濃くでていたのが日産だった。他のところでは聞かれなかった「予算はどの位ですか?」という質問があり、幅をもって答えたのだがその上限を少し超える金額をだしてきた。しかも「下取り費用」「下取り査定用の費用」などが数万円も含まれている。あんた客が乗ってきた車見れば1000円以上つかないことはわかるでしょう。それを下取り「してあげる」ために数万円客に払わせるとは。あと担当者は何度か「こちらも是非売りたいので」と繰り返した。そりゃそちらの都合としては今月のノルマを達成したいんだろうけど、それを客に言っちゃいかんよね。おまけに日産では途中で「営業主任」と「所長」が割り込んで名刺だけ渡して行った。なんというか「売り上げ増」に一生懸命なことは伝わってくるけど、それが顧客からみてどう感じられるかは少し想像するといいと思うよ。

もちろんお互い「商売」だから自分の都合をぶつけたい気持ちはあるだろう。しかし営業としてはそれを見せたらいかんと思うのだけどね。

もう一つ面白かったのが、日産とホンダで「整備パック」のようなものを勧められたことだ。(日産は問答無用で見積もりにいれてきた)二桁の万円を払うとこの先の法定点検、あと最初の車検の費用までが半額になるという触れ込み。しかしこういう正規ディーラーで車検を頼むことがいかに愚かな行為であるかということを過去に身をもって知っている。しかしこれは

「車をサブスクリプションサービスにする」

試みなのかもしれないな、と面白く聴いた。あと今だによく理解できない「メーカーオプション」と「ディーラーオプション」というものがあり、それを一生懸命勧めてくる。思うにディーラーオプションの儲けはディーラーに入るとかそういうことなんだろうな。値段を見るとドライブレコーダーとかびっくりするような数字が並んでいる。こういうところで買うのがどれほど愚かなことかを学んだのはもう30年くらい前のことか。

ホンダは営業担当者の「自己紹介印刷物」を配った。きっとあれこれ工夫をしているんだろうなとうかがわせる。営業というのは、その成果が数字できっちりとでてくる数少ない職種。そりゃ個人で工夫するしかないよね。ちなみにホンダは「いや、決定権は全て奥様にありますから」と言ったら、チョコと毛布をくれた。こういう贈り物が主婦の心を掴むのに必要だと思っているのだろう。

トヨタのカローラ店は壁紙が一部剥がれていたし、そこらじゅうA4の張り紙だらけである。考えようによっては高級感を求める客はLexusにいくからこちらのほうが気が休まるということかもしれん。実際客層を見ると、店の雰囲気とマッチしている。それと対照的なのがマツダで、店内は黒で統一され展示車は全て赤である。営業担当者に聴いたら

「マツダからの指示で、黒を基調とした店舗は赤しかおいちゃいけないことになってます」

とのことだった。つまりデザインに対してマツダは明確な意図を発揮しているわけ。ちなみにこちらの名前を聞きもしなかったのはマツダだけだった。

そもそも我が家に車を購入する金があるのか、という深遠な問題は気がつかなかったことにして、こういう体験もたまにやるのは悪くないと思えた。生きていればどんな状況であっても「自分を売り込む」ことが必要になる。それの生きた教材を体験できるのだから。



理由を我らに

2018-02-09 08:03

今日の標題「理由を我らに」というのは、私が本家のほうで17年前に書いた文章の題名でもある。何が言いたいかといえば、人間は理由が大好き、ということ。偶然の神様の仕業をみても「これは我々が生贄を捧げなかったせいだ」と理由を見出してしまう。

それに気がついてから長い長い時間をかけ、ようやく私は「あたりまえの事実」に出会うことになった。

研究によれば、人は自分の無意識の思考、感情、動機を探ろうとしても、その大部分をそもそも知ることができない。そして、意識上で認識できないものが非常に多いため、人は「真実だと感じられる答え」をつくり出すことがよくあるが、それは往々にして間違っているのだ。

引用元:リーダーに不可欠な「自己認識力」を高める3つの視点 | HBR.ORG翻訳リーダーシップ記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

要するに、実は人間が行うことの理由をほとんど知ることができない。なぜなら自分もわかっていないから。でもそれだと愛する理由がなくてさびしいので、適当に何かをでっちあげる。私のように人の言葉を文字通りに受け取る阿呆はそれを真に受ける。

というわけで、理由が欲しければそれをでっちあげてもいい。いいけれど、「何をすれば」それが解消できるだろう、と考えると良いと引用元の論文は言っている。

彼は自分の仕事を嫌っていた。多くの人はこの場合、「なぜ自分はこんなに嫌な気持ちになるのだろうか」という思考にはまるところだ。

 だが彼は、こう自問した。「自分を嫌な気持ちにさせる状況は何だろうか。そのような状況に共通しているのは何だろうか」。これにより、彼はその仕事ではけっして幸せにならないと気づき、資産管理という分野で、はるかに充実感を持てる新たな仕事に就く勇気を持てた。

引用元:リーダーに不可欠な「自己認識力」を高める3つの視点 | HBR.ORG翻訳リーダーシップ記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

この例を読むと「それは”なぜ”じゃないのか」と思ったりもする。しかし確かに微妙かつ決定的な差異が存在しているようにも思える。

つまるところ、人間の判断とかその元となる(いかに論理的なことを言っていても、それは大半嘘だ)感情というのはブラックボックスのようなもので、荘子が看破したごとく「それは様々に揺れ動くが、なぜそうなっているのかはわからない」ものなのだ。

だから「なぜこうなっているのか」を問うても意味がない。ブラックボックスの挙動を観察するためには、異なる入力を与えそれがアウトプットに影響を及ぼすかどうかを観察するしか方法がない。

だから「異なるインプット」のために「何」を考える。今の仕事、今の職場、今の環境の「何」がそれほど堪え難いのか。もしそれが取り除かれたらどんな気持ちになるか。人間は多くの場合予想が下手だが、この予想はひょっとするとうまくできるのかもしれない。

自分が過去に行った判断、愚かな行為、ひどいフラストレーション。これらの本当の原因はその時わからないことがほとんど。私は記憶力だけは無駄によいので、おりにふれ自分が過去に行った「愚かな判断」を思い出す。そして20年くらいたってから振り返ると

「うん。あれはよくあるパターンだったよね」

と納得することができる。いやー、よく考えればあの女の子とうまくいかないのは当たり前だったよね、というかそうでなければ今頃ひどいことになっていたよね、とか。つまり「理由を知る」には20年かかるのだ。

だから「なぜ」を問うのは老後の楽しみとしておいて(ちょっと待て。20年後も私の頭脳はちゃんと働いているのか)今は「何を変えよう」と自問しよう。というわけで

「なぜ私はこんなに貧乏か」

と問うのではなく

「小銭をかせぐために、何をするか。出費を減らすために何をけずるか」

と考えよう。ああ、気が滅入ってきた。


起業する人は頭がおかしい

2018-02-08 07:23

WISS2017のナイトセッションで、学生さんとあれこれ会話した。その中で私は「頭がおかしくなければ起業なんてしないよ」としったようなセリフを吐いた。これはいつもの「しったかぶり」だがこの漫画をみると確かにElon Maskは頭がおかしい。

Elson Mask

引用元:Joy of tech

Elonの元妻はあいつは性格破綻者だと言っているらしいが、確かにそうでなければこんなことはできない。そして先日彼のSpace Xは巨大なロケットを実際に打ち上げ、ダミー人形をのせたTeslaを宇宙空間に飛ばした。無茶苦茶である。

いや、こんなのは例外中の例外ということはできるが、その例外がいるのといないのとの差は大きい。こういう気狂いと比べると、日本のチンピラ起業家のなんと可愛らしいことか。英語圏のニュースを見ていると、唯一でてくるのがソフトバンクの孫氏。しかし彼も実にまともで可愛らしい。

ダイエーって実質潰れた時、有利子負債が2兆円超えてて大きすぎて潰せない言うてたけど、ソフトバンクの有利子負債は15兆円超えてるしなあ。9ヶ月で4000億円利息をお支払いになってる。月440億円か。この金利のない世界で。少しでも金利上がったら財務担当者は震えがくるな。

引用元:たにやんさんのツイート

もうつぶれる。もう限界だと言われてから早何年。惑星Toyotaが崩壊する様子を私が見られるかどうかわからないが、Softbankが爆発する姿はおそらく見られると思う。iPhoneでは世話になったけどね。


技術革新の源

2018-02-07 07:22

VHS対ベータというビデオテープ(今の若いものは知らないかもしれない)のフォーマット戦争に関してはいろいろなことが言われている。本当かどうか知らないが、VHSのほうにエロが多かったのが勝因だと何度か聞いたことがある。

かくのごとく、エロ要素というのは人間の願望を掻き立て技術革新の源となってきた。北米の地域病だった梅毒があっという間に世界中に蔓延したことはその一つの証左かもしれない。(技術革新じゃないけどね)

というわけで

最近はAIである。シンギュラリティ(笑)である。かくしてこのような言葉ができる。

fake porn videos of celebrities created with a machine learning algorithm, the deepfakes

引用元:Pornhub Is Banning AI-Generated Fake Porn Videos, Says They're Nonconsensual - Motherboard

最近のすばらしい人工知能技術を使うと、エロ動画の出演者の顔だけを有名人と差し替えることができる。それをみれば想像力豊な男性は

「をを、あの有名人があんなことしている」

と喜べるらしい。そのようなビデオにはDeepFakeという名前がついているんだそうな。ああ、技術革新。

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ブレードランナー2049ではライアン・ゴスリングの彼女は「製品」である。起動音がするし、街でCMもやっている。

そうわかっていながら、その彼女はとても可愛く、愛おしく見える。根性の曲がった生身の女よりずっとよい。であれば、それで何がまずいのか。そんなことを色々考えさせる映画ではあるが、そこから派生して

「じゃあ顔の作りの何がそんなに偉大なのか」

と考えるのは無駄ではないと思う。クジャクがきらびやかな羽根に反応するように、男性は女性の胸部の微分係数に反応する。馬鹿馬鹿しいと思っていても、反応する。イケメン、美人も同様である。顔の造作が一定のパターンに収まっていることになんの意味があるのか。

そうしたややこしい理屈とは関係なしに、インターネット上の誰かは一生懸命最新技術を使って顔を差し替え続ける。あれやこれやと言っていても結局人間バカだよね、ということを再認識するのはそんなに悪いことではない。



好意と敬意

2018-02-06 07:24

長年サラリーマンとして働いてきた。その過程で「相手を批判することは厳に慎むべき」という教訓を得た。これは一般的な真理ではないかもしれないが、少なくとも私が覚えておくべき事柄。特に今働いている会社ではそうだ。

とはいえこういう言説を聞くことは多い。

「衝突は、チームが難しい状況と折り合いをつけ、多様な観点を総合し、ソリューションを周到なものにする助けになる。衝突は、気分はよくないが、真のイノベーションの源であり、リスクを特定して緩和するうえで不可欠なプロセスでもある」

引用元:仕事における意見の不一致は、なぜそこまで重要なのか | HBR.ORG翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

表立っての殴り合いをとても好む(と私からは見える)かの国においておうである。衝突することは「気分がよくない」のだ。

しかし

長いサラリーマン生活を振り返ってみると、面と向かって耳の痛いことをいいながら嫌われない人というのは確かにいた。それは単に人徳とか才能とかいう言葉を貼っておしまいにすることもできるかもしれない。しかし今日ヒントになる言葉を見つけた。

好かれたいと思うのは自然なことだが、それは必ずしも最も重要なことではない」と書いていた。そして、「好感度」を上げようとするのではなく「敬意」に注目するとよいという。相手に敬意を払い、自分自身も敬意を得るのだ。

引用元:仕事における意見の不一致は、なぜそこまで重要なのか | HBR.ORG翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

好意と敬意。これは似ているようだが異なるものである。防衛庁の(すいません。私が付き合っていたころは庁だったんです)の某技官が散々私が働いていた会社の悪口を面と向かっていいながら、嫌われなかったのはどこかに敬意が感じられたからなのだろうか。

つまり仕事上の人間関係というのは

「あいつは嫌なやつだが、確かに仕事はできる」

これでいいのだ、と割り切る。近所づきあいならともなく、会社としてはこのほうが

「あいつは仕事はできないんだけど、いいやつなんだよねえ」

ばかりより健全という気がする。

ちなみに

もっとも研究が示すように、特に女性はこのアドバイスを実践するのに苦労する傾向がある

引用元:仕事における意見の不一致は、なぜそこまで重要なのか | HBR.ORG翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

なんだそうな。


リーダーに必要な資質:接地していること

2018-02-05 07:14

すいません。今日のタイトルは釣りです。いきなり何を書き始めたかといえば、このフレーズ。

優れたリーダーになる秘訣は、
「いま、ここにいる」ことである

引用元:優れたリーダーになる秘訣は、「いま、ここにいる」ことである | HBR.ORG翻訳リーダーシップ記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

実はこの文章に書いていあること自体は、私が今日書きたい内容ではない。書きたいのはこのタイトルについて。私が考えるにリーダー、上役、人の上にたつ人というのは常に現実に立脚している必要がある。つまり「接地」していなければならない。

空疎なスローガン、現実と乖離した目標の押し付け。こうしたことを行うものは良いリーダーとは言えない。具体例をあげよう。

課長が報告しているのは、調達のコスト削減目標に関する進捗状況だ。期初にカンパニー社長が出席する会議で目標を掲げる。だが、その目標額は課長が考える現実的な数字に、上司から強要された「チャレンジ分」を上積みしたものだ。達成の見込みはほとんどない。そこで課長は、当初より目標額を低く再設定した計画を作り直し、会議の場で報告していた。

 突然、課長の報告を聞いていた上司が苛立った声を上げた。

 上司:「すぐにそういう風に話をすり替えるから困るんだよ。だましているんでしょ」

引用元:東芝現役社員が録音していた「無間地獄」:日経ビジネスオンライン

これが接地していない態度。この上司は「今ここにいない」彼の「目標」という空疎にして抽象的な数字を満足しろと現実を無視して叫んでいるだけ。どこか遠い世界から怒鳴っている。突撃と督戦命令ばかりだして遊んでいる牟田口と同じ。

しかし

これは話の半分でしかない。現場の事情を知りそれに「みなさんがんばっていますね」ばかりでは、接地しているだけで有能なリーダーではない。

現実を知りながらそれを必要と信じれば無視すること。反発を買うことを恐れず、不確かな決断を行うこと。つまり抽象的な思考と現実に接地することの両方を行われなければならない。

私自身は良いリーダーではないし、それになる見込みもないので気軽にこういうことが書ける。いや、万年ヒラとは気楽なものだ。