早期参入してシェアを獲得

2017-12-27 07:05

2010年代ももう後半だというのに、何を言っているのかと思う。

AppleがSmartwatchを発表したのは他社がいろいろな製品を発表しシェアをとった後からだった。(シェアといっても微々たるものだが)あるいはiPhoneもそうした「遅れて参入した製品」かもしれない。

だから今時

「早期に参入してシェアを獲得」

とか寝言を言っている人間は馬鹿ではないか、と警戒すべき(もちろんそれが成り立つ業界もあるのだろうが)

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テレカンとか電話会議とか遠隔で入るとかいろいろな言い方があるが、「ネット経由で会議に入ってもらう」のは過去10年に渡り頭痛の種である。とにかくつながらない。一度つながっても途中で切れる。そもそも入ることを忘れている。理由はいろいろだが会議の冒頭10分は間違いなくこれでつぶれる。

そんなものSkypeがあるじゃないか、と10年以上前から誰もがいう。しかしSkypeはろくに動きゃしない。みんなそんなものだと思って冒頭の10分を無駄にしている。こういう

「皆がおかしいと思いながら、それを当然と受け入れている」

状態はチャンスでもある。iPhone登場以前のスマートフォンは本当にゴミのような製品だった。もっといえばそれを作っていた会社の人間もゴミのような人間だった。しかしそういうものだ、と思っていたのだ。

そこにiPHoneが登場した。機能の項目だけみれば、すべて日本得意のガラケーでできていたこと。しかし「ちゃんと動く」のである。あとはご存知の通り。

まだ使ったことはないが、テレビ会議にもようやくそうしたサービスがでてきたようだ。Zoomという。実際に使った人からは Zoom,Zoomとまるでマツダの宣伝のような声が聞こえている。使い方をみただけだが

「URL共有するだけでブラウザで一発で繋がる」

というのは確かに革新だ。まずアプリをダウンロードし、それからIDを登録して、、とは全然違う。

つまりこうだ。今までにないことをやるのが大ヒットサービスを作り出す唯一の方法ではない。Google登場前にも検索エンジンは山ほどあった。しかしろくなものではなかった。誰もが行なっていた検索という行為を、一番うまくこなしたのがGoogleだったのだ。

「誰もが行いながら不満を感じ、それを当然と思っている」

ことに「まともに動く」解決策を提示すること。それこそが大ヒット製品・サービスをうむ一つの方法ではないのか。


The Bank Job

2017-12-25 07:03

私の叔父は某銀行に勤めていた。海外駐在が長かったがそれなりに楽しく働いていたと思う。私のいとこに一人第一勧銀に勤めていた人がいた。彼にはもう数十年会っていないな。しかし

「銀行は汚い仕事をするところだよ」

というコメントは人づてに聞いた。空手部の先輩が銀行に就職した。「やりたくもないことをやらされる」とぼやいていたのを覚えている。

銀行のリテールなんか難関大学出てやる仕事じゃないね。老人相手の布団の押し売りと何も変わらない

引用元:ヒーホーくんさんのツイート

どうも本当にそういうことらしい。野村證券や某銀行から時々売り込みの電話がかかってくる。かけているのは多分下請けの社員なのだと思うが、社員もやっていることは変わらないらしい。

今テレビで銀行?の押し売り問題の番組やってて、銀行員の人が「お客様に適した提案をしたい為に入ったのに、今は会社の提案をお客様に押し付けているだけの自分に腹立ちすら覚える」って言ってて、まさしく前のショップがそれだったんだよねってすごい共感してしまった…もち退職しましたけどね←

引用元:セフェラン@7鯖の狐さんのツイート

いいものを販売し、お客様に喜んでいただき自分たちも利益を得る。多くの人はそれを目指しているわけだが構造的にそうではない業界の方が多いのではなかろうか。そしてその中にはいってしまえば、こう言える人の方が幸せである。

「それは、現場の営業の君らの責任なわけやん。君らが販売商品にマッチしたお客さんを見つけられへんから、既存のお客さんに無理に押し込んで、こうやって問題になってもとうわけやろ?」

引用元:Kurao (蔵オ)さんのツイート

少なくともこういう実態が明らかにされるのはいいことだと思う。銀行から商品を購入するにせよ、実態を知った上で行うべきだ。


日本衰退の理由

2017-12-22 07:15

免責条項:本ブログの執筆者は狂信的Apple原理主義者であり、Appleが関連する記述、主義主張には巨大なバイアスが存在している可能性が高いことを警告しておきます。


ネットパチンコ業界で、しばらく前から収益源になっている「ガチャ」という仕組みがある。やったことがないので知らないが、要するにサイコロをふって6のゾロ目がでれば何かが手に入るとかそういう仕組みらしい。

でもって

その当選確率は誰にもわからないようになっている。だから運営側が操作し放題。例えば0.001%にしておけばゲームに入れ込んだ人は延々サイコロをふるためにお金を振り込んでくれる。

でもってこれについてはあれこれの「議論」がずっと続いている。

なので、やはり業界団体をきちんと整備して、しっかりとしたガイドラインを作って消費者保護のための枠組みを作っていかないと、ソーシャルゲームという業態そのものが成り立たなくなる可能性は否めないと思います。そもそも、利益率が4割の世界で成立しているコンテンツ産業なんて、ぱちんこメーカーや流通の全盛期みたいなものじゃないですか。こんな商売が青天井のまま、なんらかの制限がかからないはずがないのです。

引用元:ソーシャルゲームのガチャ規制論の推移と今後の動きについて(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

DeNAとかGREEとかはそれでしこたま儲けているからもちろん規制には消極的(南場がコンサル的良心で何を言おうが)関係各省庁は

「それ、どこの役所に言ったんですか」@シンゴジラ

状態である。つまり問題が存在していながら誰も何もできずに小田原評定を続けているという日本の伝統的な図式である。

さて

昨日こんなニュースを見た。

Appleが開発者向けに公開している「App Store審査ガイドライン(英語版)」に、「ガチャの排出率表記」を義務化する条項が追加されていたことが分かりました。日本語版のガイドラインにはまだ反映されていませんが、これが厳格に適用されれば、今後ガチャの排出率を表記していないアプリはApp Store上で提供できないことになります。

引用元:Apple、開発者に対し「ガチャの排出率表記」を義務化 - ねとらぼ

ガチャで儲けている企業の売り上げの何割かはAppleにはいる。だからもしAppleがこの規則を厳格に適用し、この世の春を謳歌しているアプリを締め出せば、Appleの売り上げが下がる。これは明らかにAppleにとって不利益となる動きだ。

しかし

私は確信している。ここでAppleはサッカーではなくNFLのように判断したのだ。短期的利益をもたらす胡散臭さを排除し、「正しく」ふるまうことが長期的な利益につながるのだ、と。だからAppleの売上に悪影響がでる内容であってもすっぱりと決断し、実行した。


多面的かつ総合的な観点から慎重に議論を続け何もできない日本。

短期的な不利益と長期的な利益について確固たる信念をもち決断・実行するApple


この差異について改めて絶望的な気持ちになるのは私だけだろうか?なぜダメなことがダメと言えない?



日本の大企業

2017-12-21 07:17

日本の大企業に勤めているからといって、その個人が優秀なわけではない。なんでも85%はクズだという定理はここにも当てはまる。

しかし経営者というのはそんなにたくさん必要なわけではない。毎年何百人も採用する新人のなかから、6年に一度経営者たる人がでてくればいいのだ。私は日本の大企業はそういう原理で成り立っていると思っている。

そう考えれば、確かにこの人は「日本の大企業のトップになる人だ」と思える。

ーー本の中で、西田氏が海外で働いていた時は、相手の国の文化も全て調べ尽くして勉強した上で商売をしていて、不正会計の時のように数字だけをいう人ではなかったと書いていましたね。

本当に優秀だったんだと思いますよ。

東京大学の大学院で西洋哲学とか西洋政治学とか学んでいた人が、いきなり実業の世界の方に足を踏み込んで、たちまち頭角を表す。

引用元:【東芝不正会計】西田厚聰元会長が死去。「最後のインタビュー」で語ったこと (ホウドウキョク) - Yahoo!ニュース

絵に描いたような救世主。You are the one.である。そしてこの人が出世するとこうなる。

あれだけ優秀だった人が自己弁護しかしないというのが、非常に意外でもあったし、いたましいなという感じでした。「100億200億とか、僕らがやっていた事業規模の1兆円からすると多額ではない」というような言い方をしていて、そんな風になっちゃうのかなぁという。

引用元:【東芝不正会計】西田厚聰元会長が死去。「最後のインタビュー」で語ったこと (ホウドウキョク) - Yahoo!ニュース

かつての「現実を調べ尽くし、考え抜いて仕事をする人」が偉くなると「私は絶対に悪くない」の虚構の世界に閉じこもる。私にはどうしてもこの「救世主」と「暗愚の経営者」の間の変化が理解できない。どうしてこうなってしまうのか。

「三つ子の魂100まで」とは私がその正確性を信じていることわざでもあるが、この事例はそれとは対極にある。

我々は歴史上の人物というと一定の性格があるように思い込む。しかしそれは正しくないのかもしれない。人間は短期間でここまで変貌(堕落)しうる。そのことを我々はもっと認識すべきなのかもしれない。


正しいこと

2017-12-20 07:15

SFとか漫画には「未来予知」という能力が時々でてくる。未来が見えるから的中率100%。絶対に正しい。

そんな力があれば、テストで100点とれるのになあと思っていたのは平和な少年時代だ(当時はそう思っていなかったが)最近ようやく悟ったことがある。

「正しいことに意味はない」

例えばこういうことだ。株価が100%の精度で予想できるとしよう。しかしそれだけでは何にもならない。株を買わなければならないのだ。そして

「ひょっとしたら今度は違うかも」

という恐怖と戦い続けなければならない。

サラリーマンなら「正しいことに意味はない」という言葉の意味がわかると思う。採用されるのは正しい意見ではない。リソースを動かす権限をもった人間が考えることだ。嘘だと思うのなら、戦前の日本にタイムスリップして

「アメリカ相手に戦争すると日本は破滅するぞ!」

と叫んで見ればよい。(無理です)

しかし

多分そういう見方は世の中を狭く見すぎている。そう多くはないが、「正しいことに意味がある」世界もあるのだ、と最近考え直すようになった。たとえば将棋。正しい手をさせば勝つ。こちらが中学生だろうが、相手が将棋連盟の会長だろうが、日本国の首相だろうがである。他にもそうした世界がある。数学の世界だ。


ABC予想

引用元:Wired

長年にわたり未解決だった問題ABC予想に証明が与えられたと発表があった。しかし誰もそれを理解できなかった、というニュースを聞いたのはだいぶ前のことである。

私はもちろんその予想の理解すらできない。しかしこの写真を見よう。この異様な風体。しかし数学界においてはそんなことは意味がないことなのだと思う。他者のレビューに耐え、ロジックを組み上げ定理を証明する。それが正しければよい。そりゃ確かに小学生がABC予想を証明しても誰もレビューしてくれないかもしれないけど、ここまでぶっとんだ証明でなく、ポアンカレ予想の証明を小学生が書いて投稿したらちゃんとレビューされたと思うよ。

今日の結論:安易に一般論を導くにはこの世の中は複雑多様すぎる。だから嘆くより先に頭を足を動かそう。


宣伝という仕事

2017-12-19 07:13

社会人になってから、物をうるため広告にものすごい金が投下されていることを知る。そしてそれだけ金を払う人がいるということは、それを請け負う人がいるということ。

信じられないことだが、まだ日本の家電メーカーはスマートフォンを作っている。何度もなんども書いたが一体彼らが何を目的にしているのかがわからない。しかし存在する以上広告宣伝しなければならない。そしてその仕事を請け負う人がいる。

どうやってF-01Kのスゴさを伝えるか――ITmedia Mobile編集部内でいろいろ議論した結果、伝説の「arrows先生」に解説してもらうしかないという結論に。編集部員Iがその旨を先生に伝えたところ、「arrowsの素晴らしさを広めることも、私の使命である」と快諾してもらえました。

引用元:タフネス×スイスイ――arrows先生と学ぶ「arrows NX F-01K」 (1/4) - ITmedia Mobile

この文章を読んでいると、担当者の苦悩が伝わってくる。富士通が実装した自慢の新機能を説明しようとするが、その前にこんな説明がある。

Exliderは初期設定では「無効」です。これから説明する機能は、Exliderを有効にすると使えます。
 有効化は、「Exlider体験」アプリ(後述)または端末設定の「便利設定」からアクセスできる「Exlider設定」から行えます。

引用元:タフネス×スイスイ――arrows先生と学ぶ「arrows NX F-01K」 (2/4) - ITmedia Mobile

いや、こんなことを赤枠でかかれても。そのあとこの新機能の説明が延々と続くが、なんのことかさっぱりわからない。赤枠の注意書きが二つもある。

これ以上挙げることは控えるが、とにかく仕事を請け負った人の悲鳴が聞こえるような文章である。まるで今が2010年頃のような内容。4倍高いとはいえ、iPhoneXと同じ時代に存在している機種とは思えない。ちなみにこの機種は生体認証が二つ載っている。それに関する記述はこうだ。

 ……と、ここで「なぜ2つも生体認証を載せているの?」と疑問に思う人もいるはずだ。「どちらか片方でいいじゃない」と。普通に考えれば当然の疑問だろう。

 F-01Kが生体認証をわざわざ2つ搭載したのは、お互いの欠点を補いあい、いつでも生体認証できるようにするためだと私は考える。

引用元:タフネス×スイスイ――arrows先生と学ぶ「arrows NX F-01K」 (3/4) - ITmedia Mobile

私の予想では、きっとどちらもまともに動かないんじゃないかなあ。二つ載せときゃどっちか動くだろう、ってな感じで。

せめて「1万円切ってます!」とかならなあ、と思う。しかし本当に彼らは何を目指しているんだろうね。なぜこんな事業が継続するのだろう?


歴史を学ばなければならないわけ

2017-12-18 07:20

学校で歴史を教える時に、関ヶ原の合戦とかどうでもいいから、チェンバレンの宥和政策とその結果については是非教えるべきだと思う。「武力に頼らず、話し合いで解決」は絶対正義として教えられるが、はたしてそれはどうなのか?ひどい話だが、仮にあの時点でドイツに戦争をしかけていれば、間違いなく死傷者それにともなう悲劇の数は対数規模で減少したはずだ。しかしそれは後になってからわかること。

それと同じように「バブルの発生と崩壊」についても教えるべきだ。

円天

引用元:Twitter

バブルの発生と、その時に起こることは驚くほど似ている。毎回毎回

「これは画期的なシステムで、これまでの常識は通用しない!」

という煽りが登場し、


bitcoin

引用元: Twitter

このように一般向けの宣伝が出始めたころが終焉の合図である。

仮想通貨女子が年を取ったら円天ババアになるのか。

引用元:ほろうみ@ポジポジファイトさんのツイート

学ばない人は、何を言われても絶対学ばない。しかし学べば理解できる人は一定数存在しており、その人たちにはちゃんと伝えるべきだと思う。


何を報道するのか

2017-12-15 07:15

今朝のNHKニュースをみた。例によって沖縄でヘリコプターの窓が落ちた話を延々とやる。その次には阪神の見たこともない選手が契約更改したというニュース。誰だお前。しかしこのことについては何も報道しない。

中国人技能実習生を軟禁して犬扱い。時給400円で朝8時から深夜0時まで働かせ続けて、一人600万円以上の賃金を未払いで計画倒産し、直ぐに異口同音の会社を作って逃げられない中国人を再び働かせる。そしてブランドの担当者は自社の下請けのことは関係ないと開き直る。最低最悪のMADE IN JAPAN。

引用元:台湾人さんのツイート

誰が発明したのか知らないが、外国人研修制度というひどい制度が日本に存在する。以前新幹線で隣になった人に、手にできた火傷の跡を見せられ

「日本人は外国人が嫌い」

とつぶやかれた。沖縄の小学生が10m離れたところに落ちた窓枠で怪我をした(どうやったんだ?)話は大騒ぎするが、日本に実質出稼ぎに来てひどい目にあっている人たちのことは無視。私にはどうしてもこの理屈が理解できない。ロヒンギャの人たちがひどい目にあっていると大量に報道する前に、身近なところにある問題を報道しよう、とかは思わんのかね。

そして私もこうしたことを薄々知っていながら知らんぷりを決めていたわけ。だから同罪である。それを気づかせてくれたのが、オールドメディアであるTVというのも興味深い。インターネットがどうのこうのというが、こうした取材に基づいた報道はまだインターネットではなんともならんのかな。なんとかなるべきだと思うのだが。

さて、まずはどうしよう。いろいろな政党に「外国人実習制度の問題についてどう認識していますか」と質問を投げるか。というかこういう公の団体に質問なげるのって、オウム真理教に質問投げた時以来だな。


3流よりは2流をめざせ!

2017-12-14 07:17

というわけで、ユーザの根本的な不満をないがしろにして「新機能てんこもり」の発表を行い炎上したニコニコ動画である。しかしあれだよね。ユーザの声を公開して炎上するだけ良心的だと思う。どっかのウォンテッドリーとか炎上してもCEOは「誰かが勝手にやった」で雲隠れ。ああ、そういえば川崎さん、億万長者になっておめでとうございます。

だからウォンテッドリーを4流とすれば、ニコニコ動画は3流と言える。でもってこのたびいろいろ方針を変更するのだそうな。

ドワンゴ広報:反発を予測していなかった、というよりも、ユーザーの声に対して鈍感になってしまっていたことが、現在の弊社の抱えている大きな問題だと認識しています。それを発表会の場で痛感しました。今後はユーザーと対話し、ユーザーに寄り添った運営を心掛けていきたいと思っています。

引用元:「自席で涙ぐんだ社員もいた」 古参生主の“魂の叫び”は運営に届いたか 「意見交換会」にかけるniconicoの思い (2/2) - ねとらぼ

だからユーザに寄り添っちゃだめだってば。ユーザの声を聞いちゃだめなんだってば。

「ユーザーが喜ぶもの」という当たり前の企画をあまり出してないように見えるんですよね。
そもそも経営者というのは多忙なので、ネットを長時間見たり、ネット上で何かを作ったりする暇人の気持ちなど普通わからないのですよ。

んで、ユーザーの気持ちのわからない経営陣が判断権限を持ってると、ユーザーが喜ぶ企画を選ぶことが出来ないので、いくらいい企画が社内から上がったとしても、サービスとして世に出なかったりします。

引用元:一般ユーザーと経営者の乖離(西村博之/ひろゆき) - BLOGOS(ブロゴス)

この指摘は正しい。「ユーザの気持ちを理解する」ことは必要だが、ユーザの声を聞いてはいけない。なぜなら人間は自分の気持ちを声にださないからだ。

とはいえ

これで3流から2流にステップアップするかもしれない。Appleのようにユーザの声を聴きながらそれを大胆に無視する1流企業にはなれないだろうけど、ステップアップはいいことだ。


WISS2017雑感

2017-12-13 07:32

WISS2017というワークショップに行ってきた。

このワークショップはいろいろと特徴がある。それについては別の長い文章を読んでもらうとして、今年もいろいろ興味深い点があった。

プログラムをみてもらって伝わるかどうか。今年は

「裸の要素技術」

「よくわからないアプリケーション」

が多い登壇発表だった。「裸の要素技術」とはなんだと言われれば例えば「こんなことできます。何かの入力に使えると思います!」というやつだ。こうした技術に関しては

「この技術の使い方を考えるのが面白いところ」

という意見もあるが、私は反対の立場を取っている。裸の要素技術だけあっても何にもならない。要素技術はそれを生かす使い方と組み合わせてワンセットなのだ。マルチタッチとかピンチ、ズームは何十年も前に発表されていたが、それはiPhone,iPad登場以前には世間になんの影響も与えなかったことを思い出そう。あれほど画期的な技術にしてこうである。

特にCHIなどでも「こんな入力方式があります!」と誇らしげに語るものの90%は「そりゃスマホの全画面一番いいところを全部使わせてもらえればなんとでもできるわな」といいたくなる。もちろん可能性としてはそれがすばらしい新しい可能性を開くこともあり得るのだが、不幸にして過去10年以上そうした例を見たことがない。そうした裸の要素技術と、売れる製品の間のギャップについては認識どころか考察された例すらないと思う。

プレゼンテーションに関して言えば、津田塾大学の栗原さんは今年も見事だった。しかし若者はどうしてああ

「しゃべる内容をスライドに書く」

のかなあ。それも含め「なーんでこんな面白そうな話をこんなにつまらなくしゃべるかなあ」という年寄りの嘆きは今年も継続であった。

会場横で、研究室の先輩or教官相手にプレゼンの最終練習をしている学生さんをよく見かけた。つまりみんなちゃんと努力しているのである。しかし自分のプレゼン準備をしていて気がついたのだが

「しゃべる内容をだらだらスライドに書く」

というのは、なーんとなく皆がそういうものだと思い込み継続されていることなのではなかろうか。そろそろプレゼンテーションはどうあるべきか、と考察してもいいのではないだろうか。実際国際会議のCHIとかでは美しく印象的なプレゼンを時々見ることができのだが、今回はそうした例がなかったように思う。人間とのインタラクションを考える研究をしている人間の集まりとして、最後のプレゼンももう少し考えられてもいいのではなかろうか。

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では全く面白くなかったかといえばそうではない。いくつも印象的なことがあった。NECがデモしていたのが「タンブラーの傾きからそれが空になりつつあることを検知する」デモである。確かに飲み物が空にならないと大きく傾けることをしない。ではそれがなんの役にたつのか?「タバコ部屋コミュニケーション」の威力はあまねく知られたことである。海外ドラマFriendsではあまりにそれが強力なため、タバコ吸わない主人公が無理してタバコ部屋に行く、というエピソードがあったように思う。

しかし今やタバコ部屋自体が絶滅しつつある。ではどのように職場においてカジュアルなコミュニケーションをとるのか。新しい場所は「水汲み場」である。あるいはコーヒーがおいてある場所か。タンブラーが空になりかかっている人を誘って「コーヒー行かない?」と誘うのである。そう考えれば、アメリカを舞台にした映画やTVでコーヒー置き場がコミュニケーションの場になっているという例を見たことがある。確かにこれは面白い。

もう一つ面白かったのは、企業デモでのチームラボである。彼らは普通の企業展示のように最初はビデオを流すだけにしようと思っていたとのこと。しかし会場の様子をみて

「これはデモを作らなければ」

とその場で作り始めたのだそうな。不幸にして私自身のデモと時間が重なっていたので彼らの成果は見られなかった。しかしこの

「デモを作らなければ」

と思わせるのが、WISSという場の力であり、楽しさだと思う。文章の前半でうだうだ書いているが、そうした楽しさを満喫した上で文句を言っているのだからいい気なものである。

One more thing..

私が三菱重工を退職したのは20年以上前である。その時の三菱重工を考えれば、WISSという場から一番遠い企業のひとつだったと思う。

今回その三菱重工から参加している人がいるのには本当に驚いた。その人と夜の宴会タイムに話したのだがとても楽しかった。世の中は変化していないようで変化している。企業も人も少しずつでも変わることができるのかもしれない。


英訳するのだ

2017-12-11 07:14

1984年の7月。私は神田外語の女の子達との合コンに参加していた。その席上私はこう言ったことを覚えている。

「もう10年もすれば自動翻訳が普及して、英語勉強しなくてもよくなるよ」

それから33年経ち、ようやくこういう記事がでるようになる。

翻訳AI(人工知能)の技術が急速に進化している。ビジネス会議で同時通訳をしてくれる世界が目前に迫っている。英語を話すのが苦手な日本人にとっては朗報だが、そうした世界ではこれまでとは全く異なるコミュニケーションの力も必要になりそうだ。

引用元:翻訳AIの進化でこれ以上の英語学習は不要?:日経ビジネスオンライン

この記事では「専門家」がしゃべっている。まあメディア向けのサービスと思ってホラを混ぜているのだろうが、多分彼は先日行われた大谷投手の入団記者会見を聞いていないのだと思う。彼はエンジェルスに決めた理由を問われこう答えたのだ。

エンゼルスと縁みたいなものがあると感じたので、本当にいいチームだと思ったのでお世話になろうと決めました。

引用元:【大谷エンゼルス入団会見全文】二刀流に意欲「最高なのは1つの試合で両方」― スポニチ Sponichi Annex 野球

これをどうやって英語にするのか。Because Angels is a good team.以外に何を言えるのか。縁ってなんだよ。「お世話になる」ってどう訳すのか。ちなみにGoogle先生に聞くとこう返してきた。

Since I felt that there was something like an edge with Angels, I decided to be indebted because I thought it was a really good team.

edgeってなんだよ。

この専門家もぺらぺらしゃべってないで、NICTの自動翻訳使って自分が知らない言語で会議やってみるといいと思うんだよね。その上で

そうでない人は、自動翻訳を積極的に活用して、浮いた時間を別のスキルの習得に回すという発想もあっていいでしょう

引用元:翻訳AIの進化でこれ以上の英語学習は不要? (5ページ目):日経ビジネスオンライン

と主張するなら、いいのだけど。


ユーザに聞いてはいけないわけ

2017-12-05 07:00

発売前はどうなることかと心配だったiPhone XのFace IDだが、どうやらうまく動いているようだ。

さて、「ユーザーの声に耳を傾ける」というのは製品開発においてもっとも初歩的な間違いの一つである。例の本でもそれについてはあれこれ書いているが、もっと端的にはこの漫画を読もう。

OMG

引用元:Joy of Tech

数ヶ月前:

このFaceIDというバカな新機能がうまくうごわけがない!

Appleの失敗だ!この機能がついたスマホは絶対買わない!

数分前:

わお!FaceIDが大好きだ!

指紋認証にはもう絶対もどらない!

理由は簡単で、ユーザは新しい機能がどういうものか、それを実際に使うとどう感じるのかを想像することができない。もっと言えば、実際に触って見てもじゃあそれを本当に使うのか、使わないのかについてまともに想像することができない。

だから「ユーザの声」には文字通りの意味がない。(なんらかの意味はあるが)そう考えるとあれだよね。「ユーザの声」で政治を決めてしまうのは如何なものかと思うけど、それは不思議なことにそこそこうまくいっている。

というわけで、私はMacにFace IDが搭載されるという悪夢に悩まされている。どう考えても私のMac Book Airはそこまで持ちそうにない(最近ヒンジの具合がおかしい)となるとTouch IDを買った途端に時代遅れ、、まあいいや。鍛えられた古参のApple 原理主義者はこんなことではめげないよ。


大企業の偉い人

2017-12-04 07:08

シャープが東証1部に復帰したのだそうな。正直いって私にはそれがどの程度難しいことだったのか、稀なことなのかわからない。

2016/03:鴻海によるシャープ買収決定
2016/08:東証2部に降格
2016/08:増資割当で正式に鴻海の子会社化
2017/12:東証1に昇格

シャープの日本人経営陣がボロボロにした会社を実質1年で完全に立て直した鴻海すげーな( •̀ㅁ•́;)

引用元:焼き魚@🐡さんのツイート:

もちろんこの一社をもって「日本の企業の偉い人」というのも間違いだ。しかしなあ。シャープで偉かった日本人がどんな人だったのか。どのように踏ん反り返っていたのか。そしてその実力はどうだったのか。

古い本

引用元: maruanさんのtweet

私のような年寄りが言えることは、仮にその企業なり人がこの世の春を謳歌しているように見えても、実態はそれとは別かもしれない。偉そうなことをいっても話1割くらいに聞いておけばいい、ということか。

改めて思う。組織の上のほうにいる人は、その能力次第で多くの人を幸せにも不幸にもできる。唯才を実行できる人がどれだけいるんだろう、と。


先住民族の暮らし

2017-12-01 06:58

先住民族といえば、おそらく多くの人に「素朴な暮らし」「自然と共存」「家族の絆」「われわれが忘れてしまったものをもっている」などのキーワードが思い浮かぶだろう。そこでわれわれ野蛮な侵略民はつねに「悪者」であり「教えられる側」である。

こうした神話がどのように頭に刷り込まれたかはよくわからない。しかし多分現実はそれほど単純ではない。

(CNN) ノルウェーの警察は、北部の小さな町テュスフィヨールで、151件の性的暴行事件を摘発したと発表した。
テュスフィヨールは人口わずか2000人の小さな自治体。警察の28日の発表によると、事件は1953年から今年8月にかけて発生した。151件のうち43件は強姦事件で、うち3件は子どもが被害者だった。40の事件では、容疑者が14歳未満の子どもと性的関係をもったとされる。
被害者82人のうち、最年少は4歳の子どもだった。容疑者92人の年齢は10~80歳。
容疑者も被害者も、ほとんどが「サーミ(旧ラップ)」と呼ばれる少数民族の関係者だった。サーミはスカンジナビア半島北部に数千年前からすむ遊牧民を祖先とする。

警察は、昨年6月の地元紙の報道をきっかけとして捜査に乗り出した。事件の背景に民族や宗教が絡んでいた形跡はないとしながらも、サーミでは家族の絆や連帯感が強く、それが「事件についての沈黙を守らせる仕組み」として作用したと見ている。

引用元:CNN.co.jp : 小さな町で性的暴行151件、子どもも被害 ノルウェー - (1/2)

子供達の運動会では、それぞれが衣装の背中に漢字一文字を書いていた。そこには「絆」という文字が多かったように思う。これは東日本大震災以降だと思うが、なぜ我々は「絆」という言葉が良い意味だと無邪気に信じ込めるのだろう。

最近夏王朝の本を読んでいる。春秋戦国時代にはそれは理想的な仁徳の治世であったことにされた。考古学的発掘の結果はそれが単なる「神話」であったことを示している。こうした

「ちょっと自分たちと異質な、離れたもの」

を勝手に理想化する回路というのは人類の頭のどこかに組み込まれているに違いない。