2012-11-30 07:09
先週Surface (ARMのほうね)にさわる機会があった。初見で使うのはまず不可能と思えるようなインタフェースだった。最初のMetro画面がある。そこからタッチすると何かが立ち上がる。そこからどうやって戻ればいいのか?
多分これだろうと思ってWIndowsキーを押すとMetroに戻った。隣で小さな女の子が
"Dad, how can I get out of this?"
とかいっていたのでWindowsキーを押してあげたらThank youと言われたからこのインタフェースも悪いことばかりではない。
でもってタッチ式のキーボードのほうだが、作り手の苦心がわかるような製品だった。タッチだから、キーがタッチされたのを検知しなくてはならない。しかし「打つつもりはなかった」ときは無視しなければならない。この兼ね合いをとるのが実に難しい。正直このバランスはまだ試行錯誤中なのだろう。キーを押したつもりが認識されないことが、不愉快なほど頻繁にあった。しかしそこを鋭敏に検知すると今度は
「キーを打ったつもりはないのに文字が入力されることが不愉快なひど頻繁にあった」
ということになるのだろう。
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まあARMの方のSurfaceは早晩消える運命にあるから気にしない。問題はPC代替としてのSurface, Surface Proの方である。ようやく詳細が発表された。
マイクロソフトがWindows 8 Pro 版 Surface タブレットPCの価格を発表しました。内蔵ストレージの量によって2機種あり、64GBモデルは899ドル、128GBなら999ドル。Windows 8 Pro 版の特徴であるデジタイザペンは付属しますが、フルキーボードつきのカバー Touch Cover / Type Cover は別売りです。
via: マイクロソフトSurface Windows 8版の価格決定。64GB 899ドルから - Engadget Japanese
こちらのほうでキーボードがない、というのはありえないから本当の価格はこれ+$130である。高い、としかいいようがない。容量128GBのSurfaceが$1129である。11インチのMac Book Airの容量128GBモデルは$1099である。おまけにバッテリーの持ち時間はSurface RTの半分なのだそうな。
For me, that'd be a deal breaker. With a tablet, I count on not having to lug a power cord around. Other readers of mine say they plan to use the Surface Pro like a PC, so they are less worried about only getting four to five hours of battery.
via: Microsoft Surface Pro to have half the Surface RT's battery life | ZDNet
つまりこれは電源をあまり気にせず持ち運ぶタブレットではなく、紛れも無いPCなのだ。それにしては高い。
いやいや、Windows8はタッチ機能を持っており、Surface Proではそれを使えるのがメリット、という意見もあろう。今のところWindows8ではあまりタッチが使われていないようだが。
Windows 8を使うようになっても、ノートPCを操作する作業は、そのほとんどがクラッシックデスクトップ環境だ。割合的には9割以上だといっていい。ノートPCの場合は、スリープとそこからの復帰を繰り返して使う。Windows 8を起動したときには、あの新しいスタートスクリーンが表示されるが、そこからいったんデスクトップ環境にいくと、以降はスリープして復帰したときに表示されるのは、スリープ直前まで使っていたデスクトップだ。そして、それを繰り返す。だから、明示的にWindowsキーなどを叩かない限り、スタートスクリーンにお目にかかることはない。
だから、せっかくのコンバーチブルなのに、液晶を裏に返してタブレットとして使うことがほとんどない始末だ。
via: 【山田祥平のRe:config.sys】 タッチが変えるフォームファクタとアプリ
というわけで、今のところWindows8はただ高いだけの売れない商品になってしまっているようだ。
タッチスクリーン付きのWindow 8パソコンは全体に価格が高めであることなどが災い、アマゾン(Amazon.com)の売上ランキングでは上位20機種のなかにまったく入っていないと記している。
via: Windows 8出荷本数、累計4000万突破 - 「Windows Phone 8も好調」とバルマーCEO - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)
責任を問われるべきシノフスキーはもういない。というわけでMicrosoftではSurface2に向けた巻き返し策が議論されているところだろう。
私はMicrosoftのしつこさを尊敬している。XboxもXbox360もどちらも微塵も買おうという気をおこしはしなかったが、それでもXbox事業はようやく成功しつつある(Sonyが勝手にコケただけという意見もあろうが、勝ちは勝ちだ)
だからWindows9とともにSurface2が生まれるとき、勝負はそこからではなかろうかな。
バルマーCEOは、依然として同社がパートナー頼みのビジネスであることも強調しているものの、最終製品の完成度を高めるためには、ハードウェアやサービス事業にも注力している必要性があるとの認識を示した。
via: 米マイクロソフトのバルマーCEO、ハードウェアとサービス事業に注力 アップル追随 |ソフトバンク ビジネス+IT
もっともバルマーが首になったりして、次のCEOが路線を変更すればわからないが。
2012-11-29 06:53
これも何度か書いたこと。
AppleのIveの言葉だ。
何かを使っていてイラッとして、それで問題に気づくこともあります。これはとても現実的なアプローチで、一番簡単です。
難しいのは、新しいチャンスを発見しようとするときです。それこそ本当にデザイナーの能力が発揮されるときです。既知の問題への対処ではなくて、誰も必要性を感じたことのないものを作り出すべく「もしこれをこうしたら、便利だろうか?」って自問し始めるんです。
via: アップルのデザインの進め方、責任者ジョナサン・アイヴが語る : ギズモード・ジャパン
IveとかAppleにとって重要なのは、問題解決能力+問題発見能力ということ。
でもって問題発見能力を持っている人にとって、この世は実に住みにくい。つまるところ誰もが特に不満を持っていない状況に対して
「いや、これはもっと素晴らしいことができる」
と問題を発見する。ということは問題を発見した人だけが不満を感じ始めるということでもある。周りからみれば
「こいつは頭がおかしいのではないか。何を文句を言っているんだ」
というところか。
日本で飛行機を作ろうとした二宮忠八は「飛行機を作りたい」と提案した。しかしそれはどのような扱いを受けたか。
日清戦争時に衛生卒として赴いた忠八は、戦場での「飛行器」の有効性について考え、有人の「玉虫型飛行器」の開発を上司である参謀の長岡外史大佐と大島義昌旅団長に上申したが、却下された。長岡は「戦時中である」という理由であった。また大島には戦地の病気で帰国し、戦争が終わった頃に尋ねてみたところ、「本当に空を飛んだら聞いてもよい」という返答が帰ってきた。
via: 二宮忠八 - Wikipedia
彼には「空を飛べないことの問題」が見えていた。しかし他の人には見えていなかった。彼としては「なぜこの問題に気が付かないのか」とフラストレーションを感じただろうが、周りの人はそんなことを問題と思わず平和に暮らしていたのだろう。
結局かれは自分でやるしか無いと思いサラリーマンとして成功し資金を貯める。ここが私のようなチンピラと違うところだ。
とかやっているうちに、ライト兄弟は先を越し、初飛行を成功させてしまった。残ったのは忠八のフラストレーションだけ。「問題発見者」がたどる運命の多くはこんなものだ。
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いやいや、状況はそんなに悪くない。仮に忠八が今生きていたとすれば、自分で資金を貯める代わりにベンチャー企業を作って出資者を募っただろう。
仮に資金調達に成功すれば、おそらくもっと早く「失敗」できたと思う。であれば少なくとも「先をこされた」という悔いだけは残らなかったのではないか(私は飛行神社に行ったことがあり、そこで忠八の書いた記録を観た。私の考えでは彼の飛行機は決して飛ばなかったと思う)
であれば、歴史的にみれば今は「問題発見者」にとって良い時代ということになる。
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この「問題発見」と「与えられた問題を解く」という力は全く別個のものだし、個人の適性も異なる。世の中はあまりこの差異について考えないようだ。
さらには、ほとんどの企業は「問題発見者」を必要としていない。というか排除する傾向にある。そりゃそうだよね。みんな仲良く平和に(心の底に不満を感じているとしても)やっているところに突然
「これは問題だ」
と言い出すんだから。
もちろんただの不満屋という可能性のほうが高いのだが、そうでない場合もある。しかし「あいつは文句ばかり言っている」と排除しておいたほうが組織は安定する。
といったところで唐突に終わるのであった。
2012-11-28 07:08
というのを書くのは何度目であろうか。Androidは組み込みOSであり、iPad,iPhone(iOSデバイス)はプラットフォームだ。であるからして、端末の出荷台数でAndroidのシェアが伸びているからiOSは終わったな、などという議論には意味が無い。それを言うなら、iTronはとっくの昔に世界を制していた筈だ。
と誰も読んでいないブログで喚き散らしているのだが、その証拠を裏付ける(と私が勝手に考えた)事例がまた一つ見つかった。
IBMの「Holiday Benchmark Reports」が今年も発表された。これは、米国の多くの消費者がクリスマスに向けて買い物をすませる感謝祭の翌日金曜日(「Black Friday」)の消費行動を分析したもの。
(中略)
とりわけ大きな成長をみせたのはiPadからのアクセスで、ショッピングサイトへのトラフィックのうち10%を占めていた。iPhoneの8.7%がこれに続き、端末販売の市場シェアでiPhoneを上回っているAndroid携帯端末の利用は、iPadのおよそ半分にあたる5.5%であった。
携帯端末とタブレット端末を合計すると、モバイル端末経由のトラフィックのうち、iOS端末からのものが全体の77%を占めた。それに対し、Androidは昨年の29%から今年は23%へと落ち込んだという。
via: 米ブラックフライデーのオンラインショッピング、iOS端末経由がAndroidを圧倒(IBM報告) - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)
端末台数のシェアでいえば、Androidは伸び続け、iOSデバイスは減り続けている。なのに実際にショッピングサイトを訪れた人のシェアではiOSデバイスが全体の77%であり、去年より増えている。
ここから示唆されることはただ一つ。Android端末とiOSデバイスは使われ方が全く異なるということだ。
We've become accustomed to thinking that platforms that look similar are used in a similar fashion. But this is clearly not the case.
via: Why is shopping via iPad and iPhone outpacing Android? - Apple 2.0 - Fortune Tech
つまりAndroid V.S. iPhone,iPadという図式は間違っている。なぜならそれぞれの使われ方が異なるから。同じスマートフォンという名前でくくるのは正しくない。
と言い切ったところで、じゃあ具体的に何が違うのか、、という点になるとよくわからん。元記事とかAsymcoとかでは様々な意見が飛び交っているがいずれも定量的な裏付けを欠いている。ただAndroidに移ったガラケーユーザはガラケーでの行動様式をそのまま引きずって、特にネットをみるとか、物を買うとかしない、、とかいうのは説得力がある意見かもしれん。しかしあれだね。Android tabletって誰が買ってどう使っているんだろうね。
というわけで最後は物悲しいニュースで締めよう。
NTTドコモは、ソニーモバイル製のAndroidスマートフォン「Xperia AX SO-01E」の不具合を明らかにした。
不具合は、特定のエリア環境において、SO-01Eの電源が強制的に落ちて、再起動するというもの。東京23区で発生しやすいとしており、現時点では23区内でのみ確認されている事象としている。
(中略)
なお、現状で不具合を回避するためには、データ通信機能をオフにするか、Wi-Fiでのみ通信する。不具合の端末がスマートフォンであるため、データ通信を切ることに勇気は必要だが、電源断と再起動を繰り返すことはなくなるため、特定エリアであっても音声通話は利用できる。
via: 「Xperia AX SO-01E」が23区内で強制再起動の不具合 - ケータイ Watch
勇気をもってデータ通信を切ろう!こんなことをやっていたらそりゃ誰もWebサイトで買い物しようとか思わんわな。
2012-11-27 06:45
実に興味深い文章を読んだ。
つまるところ、大学の研究室で生まれた商品アイディアを、製品化にむけての開発費リスクをクラウドファンディングによって抑えて商品化する、という新しい産学連携の試みである。
via: 進まぬ『製品』レベルでの産学連携をクラウドファンディングで打破! 塚田先生×Cerevo、イーテルミン製品化へ向けて始動 - キャズムを超えろ!
この文章の9割は産学連携でもって商品化するクラウンドファンディングの説明である。ちなみにこのクラウンドファンディングの仕組を作ったのは筆者なわけだな。
でもって肝心の売ろうとしている製品に関しては
コラボ一発目の題材として、イーテルミンはちょっとイロモノに走りすぎたかなぁという思いがなくもないが、宴会での一芸や、プレゼントにちょうどいい一品になるかとは思う。
via: 進まぬ『製品』レベルでの産学連携をクラウドファンディングで打破! 塚田先生×Cerevo、イーテルミン製品化へ向けて始動 - キャズムを超えろ!
この一文でおしまいだ。つまるところこの筆者が言いたいのは
「僕って素敵!僕が作ったフレームって最高!売ろうとしている製品はクソだけどお前ら金払え」
いや、すがすがしい。これくらい「俺様最高!」でなくては日本でベンチャーなどできん、ということなのだろうな。
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しかしベンチャーというのは茨の道だ。相手の動機が「俺様最高」にあろうがなんだろうが使えるものは使わなくてはならない。
日を同じくして、このCHIshなプロジェクトはEngadgetでも取り上げられた。そちらではもっと愛情にあふれる苦言が並んでいる。
EaTheremin が「何に役立つのか」「使ってどう嬉しいのか」は、Cerevo DASH に掲載されているページを一見して想像するのはやや難しく、また「こういうガジェットおもしろいね!」という人の中には、無骨な試作品であれば楽に作れてしまう人が少なくない割合含まれているだろうことを考えると、誰に向けて支援をお願いしようとしているのか、いまいち不明瞭な点が気にかかります。
via: テルミン食器「EaTheremin」がCerevo DASHで支援募集中 - Engadget Japanese
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個人的にこの一連の騒動を見て思うのは
きっかけは、日本の大学では素晴らしいプロダクトの種がそれこそ星の数ほど作られているというのに
via: 進まぬ『製品』レベルでの産学連携をクラウドファンディングで打破! 塚田先生×Cerevo、イーテルミン製品化へ向けて始動 - キャズムを超えろ!
とかいったところで結局「学会で発表し"楽しいねー"と言われた」という内輪受けレベルでとまってしまっているのだなあ、という失望感である。
いや、そんなことはない、というのであれば「産学連携第一弾」はそうした可能性を感じさせる製品にして欲しかった。これじゃ
「結局大学のセンセイが考えることなんてこの程度か」
でおしまいだ。などといったところで、クラウンドファンディングの場を提供した側が「俺様最高」の人だからなんともならんか。
いやもちろん産総研の「ぼかりす」のようなすごいテクノロジー、すごい商品力をもち実際に商品化されるものだってあるのだけど、後藤さんは大学のセンセイじゃないしね。
2012-11-26 07:13
私はひねくれ者の上に、反社会的な人間なので
「納得できるストーリーを提示すること」
などと言われると
「そんなことはできません。この件は取り下げます」
という。こともある。たいていは相手が「納得」しそうなデタラメを並べ立てるけどね。
――ふつうの雑誌では、まず企画会議を通ってから取材に行って、それから記事になりますよね。
築氏■だけど、プレゼンっていうのは人を説得しないといけないわけじゃないですか。そのためには説得のための材料が必要になる。たとえば、いまニューヨークでこれが流行っていますよという記事がやりたいとするよ。でも、説得材料があるってことは、もう誰かが企画して雑誌などですでに形になっているということじゃない。それってもう二番煎じなんですよ。おもしろそうだけど、行ってみないとわからないから取材に行くわけでね。つまり、企画と会議なんて宿命的に合わないものなんですよ。だから、企画会議って根本的におかしい。
都築氏■結局、企画会議っていうのは、リスクの分散のためにやるんですよ。誰も責任を取らなくてもいいシステムなんです。僕が昔、企画を編集長のところに持っていったときに「売れるかどうかはわかりません」って言って、すごく怒られたことがあるんです。「金になるかどうかを考えるのは俺なんだ、お前は考えるな」って。
via: 企画会議をすると企画の9割はダメになるし、説得材料がある企画というのは二番煎じでしかない - ARTIFACT@ハテナ系
今あるものの「改善」であるとか既に存在している製品の「対抗製品」を考えるならこれでもよい。しかしそれでできることは果てしないRed Oceanでの殴り合いである。
会議をやるといろいろな意見がでる。それを取り入れると結局既存の製品AのA'ができあがる。もちろん最初からそれをやることを目指しているのであれば何の問題もないのだが、
「革新的な案をだせ」
とか言っておいて、会議したり投票したりするのは馬鹿げているとしか言いようがない。効果を証明するなどというのは、未来を保証するようなものでそんなことは誰にもできない。
だから引用した文章のように、その不確かさを認めた上で判断できる人間の責任が大きくなるわけだが、、たいていの組織では責任を負おうとはせんわな。
未来の予測は誰にも不可能なのだから、「納得できる合理的なストーリ」などというのはフィクションにすぎない。サラリーマンだから金を持っている相手が「納得」できるフィクションをでっちあげられる能力もとっても大切なのだが。
2012-11-23 00:25
こういうニュースは定期的に現れる。
都内の数あるカフェの中からブロガーがおすすめする「かわいいカフェ」「きれいなカフェ」などを条件検索できるサービスを女子大生が開発。来年3月の正式サービス化を目指している。
引用元:SFC ORF 2012 Report:「かわいいカフェ」「きれいなカフェ」を自動検索――女子大生が開発した「Cafe Palette」 - ITmedia ニュース
仮にこの「女子」を「男子」に置換すれば、誰もニュースメディアに載せようとは思わないだろう。ダンサーが踊ってもニュースにはならないが、熊が踊ればニュースになる。つまりこうした記事を載せるということは、女子大生を熊扱いしていることになる。
女の子の"かわいい"を検索できる「かわいい検索」は、アルゴリズムの設計からプログラミング、デザインまで、学生が中心になって作り上げたWebアプリ。Googleが無視している「Webページの見た目の雰囲気」という要素にこだわり、日本人独自の検索エンジンを目指す。
引用元:Googleに負けないものを作りたい――女子大生が挑む日本独自の「かわいい検索」 - ねとらぼ
発想、インタフェース、アルゴリズム、どれをとっても何の特長もない「研究」だが「女子大生」をつけるとたちまちニュースだ。こうした女性を熊扱いするニュースは昔に比べると減った,,,と思っていたがまだ存在するのだな。鳩山元首相のニュースを見るのと同じくらいげんなりする。
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いやいや、そんなに絶望することはない。私だってあと31年もすれば
「80歳のおじいちゃんが作ったiPhoneアプリ」
という題名とともにゴミみたいなアプリを作っただけでメディアに載せてもらえるかもしれないのだ。あと31年後にもきっとCは生き残っているだろうから、せっせと勉強しておこう。
2012-11-21 01:16
今年のWISS2012でのネットワーク使用方針が公開された。
登壇発表セッション中は、プログラム委員長の方針により、今年度は実験的にメイン会場内の参加者ネットワークの外部接続を遮断します(チャットなど内部サーバへのアクセス制限はかかりません)。
引用元:WISSネットワーク - WISS2012
産総研の後藤さん曰く「伝統的に革新的」だったWISSならではの素晴らしい取り組みだと思う。
去年のWISS2011でも会場内チャットが提供されていた。しかしそこで発言するのは「どこかで聞いたような名前の人達」ばかりであったのも事実だ。
発表後の質疑応答になかなか学生さんが質問してくれない、というのも問題になっていた。
こうした問題の原因はおそらく複雑で、一つに特定できるようなものではない。しかし私はあることに気がついていた。何人かの学生さんはずっとチャットでしゃべっていたのだ。
しかしそのチャットは「研究室ローカル」のもののように思えた。つまり彼らは外部のワークショップにきながら、居心地のよい「こたつ」に閉じこもり友達同士で会話していたのだ。
だーれも理解してくれなかったようだが、去年のプレゼン最後のチャートで示した
「炬燵にとじこもっていちゃだめだ。上を目指さなくちゃ」
というメッセージは(こう書いていて耳が痛いが)炬燵に閉じこもっていた学生さん達に向けた物でもあった。研究室というタイトルの影に隠れているのは、大企業のロゴが自分の名前の一部だと勘違いしている老人と同じくらい恥ずかしいことだよ。
今年のWISSでは炬燵が撤去される。その結果が楽しみだ。
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話はこうだ。ネットワーク接続をどこでも提供できるようにしようとしたのは、20世紀の取り組みだ。
今は
「ネットを時々使い、時々オフにする方法」
について考えるべきだ。先日参加した「ネタバレ防止」もその一つの考え方だし、不便益もそうかもしれない。
数人でテーブルを囲んでいるが、全員手にもったスマートフォンを眺めている。こう文字にすると冗談のようだが、実際にそこら中で起こっている事象でもある。この現状に何の問題も感じないですか?そうですか。
2012-11-14 19:13
というわけでようやく日本マクドナルドが何をしようとしていたかがわかるようになった。
従来なら確実に売れる商品もターゲットとなる数字に到達しなかった。100円、120円のメニューにここまで消費者がシフトするとは思わなかった。
引用元:マック、崩れた「勝利の方程式」:日経ビジネスオンライン
つまり今の日本マクドナルドにとって最大の問題は客単価が下がっていることにある。
であるから、レジのメニューを廃止した。もっと言えば
「レジのメニューに乗っている100円、120円のメニューを客から見えなくした」
28 : ジョフロイネコ(群馬県):2012/11/14(水) 11:34:27.58 ID:X1DifPsc0
カウンターのメニュー廃止で批判ってよりも
上のメニュー表に100円マックを載せてないから叩かれたんでないの?
引用元:痛いニュース(ノ∀`) : 日本マクドナルド社長 「カウンターのメニュー廃止、テストではうまくいってた。批判が出たのは、クルーの対応が悪かったら」 - ライブドアブログ
そうすれば、客は見にくいカウンター上に存在するセットメニューを注文せざるをえず、客単価が回復すると思ったのだろう。
49 : スペインオオヤマネコ(栃木県):2012/11/14(水) 11:38:13.83 ID:JDm4j2Xy0
正直に「セットの方が儲かるんで、単品購入は控えてください」って言えよ。
それが言えたら月1で通ってやるよ。
引用元:痛いニュース(ノ∀`) : 日本マクドナルド社長 「カウンターのメニュー廃止、テストではうまくいってた。批判が出たのは、クルーの対応が悪かったら」 - ライブドアブログ
しかしこの措置は批判をあびた。当然だ。ユーザベネフィットではなく、自分たちの利益が目的だったのだから。こういう時は想像力の出番だ。
お客様がカウンターマットの前で考え込むことが、長蛇の列や待ち時間の長さにつながっていた。それならラミネート加工したメニュー表を先にお渡しし、待っている間に注文内容を考えていただこうと、カウンターのメニューを廃止した。東京近郊で1年ほどテストした結果、注文時間の短縮や満足度向上につながったので、10月から全店実施に踏み切った。
だが、マクドナルドは全国に3300の店舗があり、約17万人のクルーがいる。店舗によっては要望があったらメニューを出すと勘違いしたクルーがいるなど、対応が不十分な点があった。それらが、一部の消費者からの批判につながった。
引用元:マック、崩れた「勝利の方程式」:日経ビジネスオンライン
実はもともと「列に並んでいる時にメニューを渡し、注文をあらかじめ考えておく」という施策だったのだ!しかし馬鹿なバイト共がそれを勘違いし「要望があればメニューを渡す」と思ったために一部の客が騒いだ。
とはいえ「列に並んでいる客にメニューを渡す」と「正しく」指示を理解した会社がどこだったのかは永遠の謎だろう。
206 : パンパスネコ(会社):2012/11/14(水) 12:28:43.85 ID:o9+D8nea0
メニューの件を指摘されるまでどこの店舗がマニュアル通りに
ラミ加工のメニューを渡してたか教えて下さいw
引用元:痛いニュース(ノ∀`) : 日本マクドナルド社長 「カウンターのメニュー廃止、テストではうまくいってた。批判が出たのは、クルーの対応が悪かったら」 - ライブドアブログ
いや、三木谷氏といいこうでなければ社長になれないのだなあ、と実感する。
251 : 黒トラ(SB-iPhone):2012/11/14(水) 12:44:06.12 ID:QOkq2rW8P
こういう奴でないとトップにたてないというお手本
引用元:痛いニュース(ノ∀`) : 日本マクドナルド社長 「カウンターのメニュー廃止、テストではうまくいってた。批判が出たのは、クルーの対応が悪かったら」 - ライブドアブログ
なんだかんだと言葉を使ってはいるが、この人は「企業の利益=ユーザベネフィット」と単純に信じ込んでいるようだ。以下の文章を読むとその混乱ぶりがよくわかる。
これまで、ビッグマックは粗利が非常に高く、広告宣伝をせずとも着実に売れる「キャッシュカウ」だった。食べたことのある人は継続的に買ってくれる。しかし、今の若い人たちには、ビッグマックを食べた経験が驚くほど少ないことが分かった。
中略
結果、他社には真似できない、マクドナルドの中でも絶対的に強い商品の存在すら知らない人がいる。
引用元:マック、崩れた「勝利の方程式」:日経ビジネスオンライン
いや「他社に真似できない絶対的に強い」のは粗利が高いからであって、それは企業にとっての話。ユーザにとって、ビックマックほど「おいしくて安い」商品は他にない、と本当に信じているのか?
利益が出ている時には本を出し、うまくいかなくなれば社員の(あるいはバイト)のせいにする。
まあ自分が第3水準のリーダーどまりだと気づいた時にはそうやって自尊心を満足させるのも一つの方法かもしれない。
第3水準:有能な管理者
人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に効果的に追求する。
第4水準:有能な経営者
明確で説得力のあるビジョンへの支持と、ビジョンの実現に向けた
努力を生み出し、これまでより高い水準の業績を達成するように組織に
刺激を与える。
第5水準:第5水準の経営者
個人としての謙虚さと職業人としてのとことんやり抜く野心の強さという
矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作り上げる。
引用元:MBA経営戦略入門: LEVEL5 リーダー(第5水準の経営者)
と書き出すと、他の会社についても何か書きたくなるのでこの辺でやめておく。
2012-11-13 11:15
私は10月30日にこう書いた。
さて、次に首が飛ぶ候補筆頭にあるのがシノフスキーである
引用元:ごんざれふ
しかしまさかこんなに早く現実となるとは思わなかった。
Windows unit president Steven Sinofsky is leaving the company, effective immediately, AllThingsD has confirmed.
引用元:Breaking: Windows Head Steven Sinofsky to Leave Microsoft - Ina Fried - News - AllThingsD
シノフスキーがチームプレーヤーではない、という意見はちらほら見ていた。フォーストールと同様、それがこうした決断が避けられないところまで来てしまった、ということだろうか。
あるいはWindows8の失敗をMicrosoftが早々に認めた、、、ということはさすがにないだろうな。もっと早く辞めさせるべきだったが、Windows8の発売まで待った、ということだろうか。
フォーストールの例から推察すれば、おそらく今後数日から数週間で「匿名希望の情報筋」からのコメントがいろいろでてくるだろう。今はそれらを待つ事にしよう。
2012-11-12 07:25
Wii Uが発売されるとのこと。
最近になってTVCMをみた子どもたちは
「TVがなくてもゲームが出来るんだよ」
と感動しているようだ。去年サンタさんがようやくWiiを持ってきてくれたのだが、既にWii Uに気持ちを向かせるとは。
でもって少しだけこのビデオを観た。
正直いって「開封の儀」をやるところはいかがなものか、と思ったが電源投入直後の画面をみてWii Uに2画面をもたせた意味の一部が理解できたように思えた。
Wiiを立ち上げると、まず映し出されるのがメニュー画面である。これは間違っている。毎日つけてもらおうと思えば、コンテンツをまず表示すべきなのだ。(これはTVに何かを映し出すほとんどのサービスが間違っている点でもある。私はApple原理主義者だが、AppleTVも同じ間違いをやっている)
しかし
じゃあメニューはどうするの?という問題がつきまとう。一つの解決策は、全てをチャンネルにしてしまい、上下キーで切り替えるというもの。これは伝統的なTVが行なってきたことでもある。
しかしそれでは間に合わない場合にはどうするか?実際多チャンネルのケーブルTVなどでこの「カチャカチャ」(若いものはこの擬音の意味がわからんだろうな)をやっていると気が遠くなりそうになる。
じゃあ画面に小さなボタンだけを表示しておき、それをおしたらメニューが表示されるようにしよう。これは一見良いアイディアのようだが、同じように間違っている。この「余分なワンクッション」は回数が多くなればはるほど効いてくる。
というわけで2画面である。Wii UではTV画面にわらわら広場が、そして手元のパッドにメニューが表示される。これで問題は解決だ。
何度か書いていることだが、10フィートインタフェースなどというものは存在しない。リモコン振り回して、3m先にある大画面で文字入力など冗談かCHIshでしかない。ケーブルTVとかとにかくそういう物を作っている人たちは、
「全ての家庭にスマホはタブレットが存在する」
という無茶な想定の元に、手元操作と、大画面に映し出される映像を分離したUIを構築するべきだ。っていうかあれだよ。Wii UゲームパッドでTVチャンネル変えられるってことは、リモコンも抑えられちゃうかもしれんよ。
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もう一つ前述のビデオを見ていて気がついたこと。というか見ていて妄想したこと。
Wii Uからは、ユーザアカウントの登録が義務付けられた。思うに各社は「アカウント作成」を競っているに違いない。アカウントを制するものがビッグデータを制しうるのである。
今やTwitterやFacebookでログインできるサービスは多いが、任天堂のIDはそれらに比べて有利な位置にある。なぜかといえば、人間が生まれて初めて触る「インターネットデバイス」はWii Uだからだ。(iPadを触る人は多いかもしれないが、多分アカウントは作らないと思う)
もう一つ任天堂が有利になり得る点。アカウントの乗っ取りというのは常に厄介な問題だ。任天堂はハードを持っているという点においてこの問題にも対処できるかもしれない。
例えばWiiリモコンのIDをそれにひもづけることで、仮にパスワードとIDが漏れたとしても不正使用を防ぐことができる、、、かもしれない。これはGoogleやFacebook,Twitterが逆立ちしてもできないことである。
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しかしなんですね。こうやって自分で書いていて「傍観者は気楽にあれこれ言ってくれるなあ」と思う。学会などで私があれこれコメントしていることもこのたぐいであることだな。
この状態から脱するには、自分で考え作った物を世間にさらしてコテコテに言われることにある。というわけでプレゼンの構想をあれこれ考えるわけだが、、まだ半分。
2012-11-09 03:45
今日は出張なので短く
EaThereminは、食べ物を食べる際にさまざまな音を奏でることで、静かな食卓を楽しくするフォーク&スプーンです。サプライズのプレゼントに、子供のいる食卓に。
引用元:EaTheremin(イーテルミン) :食事を『奏でる』フォーク&スプーン - Cerevo DASH(セレボ ダッシュ)
すごく...CHIshです...
ワークショップでデモしました!好評でした!日本科学未来館でデモしました!CHIにも通りました!来場者に大好評でした!(いや、知らんよ。これは私の妄想)
この「製品」に関する違和感についてはもう少し考えなくてはならない。何がこんなにCHIshなのか。私が感じる違和感はどこから来ているのか。
今想像できるのは、子供が2−3度遊んで放り出し、二度と使わないという光景だ。なんというか発想がいかにも「ワンショットの評価さえとれればいい」論文指向。
「食事を楽しくする」
とはどういうことか。そこに対する「接地した」主張がこの製品からは伝わってこない。もちろんこれは私の側の問題、という可能性も多いに存在する。
しかしなんだこの違和感は。
2012-11-08 06:49
さて、私が作っている本家「大坪家の書庫」だがここのところ目立ってアクセス数が下がっている。
10月23日を境に、アクセス数が一気に1/3になった。これはどうしたことか。調べてみればGoogle様からのアクセスが極端に少なくなっている。とはいってもこちらは何を変えたわけでもない。これが噂に聞いたGoogle Danceというものか。前は「映画評」で検索すれば1ページ目か2ページ目にでてきたのだが、今やどこまで言っても当家の映画評なぞでてこない。
まあこういうこともあろう、と思っていたのだが昨日アクセス解析をみて仰天した。
いきなりの増加である。こういうときはだいたいパターンが決まっており
・アクセス数を集めているサイトからリンクされた
・フォロアーの多いTwitterアカウントから言及された
・TVで何か関連するキーワードが放映された
である。
はて、今回はなんであろう、と調べるとどうやら「前立腺 触診」で検索してくるようだ。なんだそれは?
確かにGoogle先生に「前立腺 触診」でお伺いをたてると1ページ目に私の書いた文章がでてくるのだが、そもそもなんで「前立腺触診」で検索しようとするのだろう。
不思議に思って調べて見ればどうやらこんな番組があったようだ。
さらに、【芸人健康診断】も開催!一般的な検査に加え、今回は内臓脂肪検査や触診の前立腺検査なども実施!普段、忙しく、不摂生が続いている芸人たちは、常に健康状態に不安を抱えているに違いないということで、抜き打ちで有吉弘行、フットボールアワー・後藤、出川哲朗、カンニング竹山らが健康診断を受ける。番組で健康診断を受けられることに大喜びだったが、検査結果は驚きの方向に...!?前立腺検査では、芸人たちの戸惑いの表情にもぜひ注目だ!
via: 前立腺触診検査で悶絶?売れっ子芸人緊急メディカルチェック!『ロンハー』2時間SP! | テレビ関連ニュース [テレビドガッチ]
当家で民放を全く見なくなってから久しい。(未だに民放を見ているのは田中真紀子大臣が大好きな私の妻だけだが....いや書いていて悲しくなってくるからやめよう)TVというものの視聴率も下がってはいるようだが、未だにその影響は大したもんだ。この番組の視聴率がどうなのか知らないが、それを見て「前立腺触診」で検索をし、かつ私のページに辿り着く人(これだけで最初の何十分の一になっているのだろう)だけでこの数。
梅棹忠夫氏が「コンニャク情報」と喝破した無意味な情報だけで生計をたてている人たちもしばらくは安泰のようだ。いやどこかで急激な破壊が起こるのかもしれないけど。
現実の世界にとびかっている情報のうち、じつはその大部分が、この種の無意味情報であるとみることはできないだろうか。そして、それらの無意味情報は、人間にとってプラグマティックな意味をもたないかもしれないが、それは現実に存在するものであり、流通しているものである。
(中略)
このようなアナロジーのもとに、わたしたちはコンニャク情報というものの存在をかんがえることができる。つまり、ただ感覚器官、脳神経を通過するだけで、特に行動上のメリットをともなわない情報のことである。このような情報の存在をかんがえることによって、情報の概念は大幅に拡張されるであろう。情報には、なんの利益ももたらさないし、プラグマティックな意味をもたないものもたくさん存在するのである。
情報の文明学p204
2012-11-07 07:22
というわけでまた渡邊氏からコメントをいただいた。忙しいところありがたいことです(お前は忙しくないのか)
私なりに渡邊氏のコメントの肝となる部分を抜き出せば
僕は「主観」は難しいから極力「主観に変わる方法」を探しているのです。だから「いわゆる主観」は扱いようがないというのです。結局、「立場と姿勢の問題」ということで落ち着かせるのがいいのかもです。
ということになるだろうか。なるほど渡邊氏のスタンスは理解できた。
「UI開発失敗の本質」を書いていて思ったし、このブログにも何度も書いたことだが「主観」とか「感情」とかいうものはここ数十年ブラックボックスのままなのだな。あやしげな「感情を8っつに分類する」とかいう話が声高に語られ続けてはいるが、そこから何もでてきはしない。(論文は別だよ)
従ってそれを抜きにして考えたい、という姿勢は理屈が通っている。
問題は
人間が使うインタラクティブなシステムを考えようと思えば、そのループに「主観」というわけのわからないもので動く人間が必ず入ってくる、ということだ。
量子力学が導くいくつかの結論はどう考えても馬鹿げている。しかしそれが力をもつミクロの世界においてはその存在を無視しては現実を説明することができない。
同じように「扱いようのない主観」というものに触れずに現実を扱う方法があるか?渡邊氏はその道を模索している、ということだろうし、私はあっさり
「ありません」
と思う。これはそれこそ「主観」の違いであり、どちらが正しいとか間違っているという話ではない。
------------------
自己顕示欲に溢れ、知性に恵まれない人間が大臣になると、それまで丹念につみあげ、検証されてきた定量的なロジックがふっとばされるのがこの世の中の現実というものだ。
そして私はそうした「大臣」を賛美する人間と結婚したりしたわけだが、これも世の中の現実というものだ。というわけでなんだか書いていて物悲しくなってきたのでこのへんで終わる。
2012-11-06 06:54
とあるところで、楽天CEO三木谷氏がkoboの新端末を披露する動画を観た。
なのに、これはなんなの?
kobo conference
なんつー猿芝居。
(中略)
記者発表の内容を伏せてムリにマスコミを集め、パワポの大画面(アップルと違って映像じゃないのが苦しいw)をバックに、意気揚々と至極当たり前のビジョンを語り、そしてもったい付けて懐から取り出したるKobo。
via: M谷さんのパフォーマンスに見る彼が本当にやりたかったこと--Press conference reveals Rakuten's true intensions | Books and the City
なんというか。。。
彼の言葉を聞いいていて思ったのだが、日本語の「敬語」というやつはプレゼンに実に相性が悪い。
「皆様。本日は新ブックリーダーに関する記者会見にお越しいただきまことにありがとうございます。」
なんてくだくだしく言うより
"Thank you for coming. We have so much to show you today"
のほうがはるかにすっきりしているしインパクトもある。敬語の悪いところはやたら長いわりには、定型なので意味を持たないところだな。別の例
「それではまずユーザビリティの向上についてお話をさせていただきます」
なんてより
"First, Usability"
のほうがいいでしょ?というか日本語でも
「まずユーザビリティについて」
でもいいじゃない。
また中途半端にアニメーションを用いているが、それが何を意味するかわかっていない。Visual Aidの大原則
「しゃべることと同じ内容を画面にださない」
よっぽど重要で、人に覚えて欲しい内容なら別だよ。それ以外なら人の声がじゃまになるだけ。
彼が強調すべきkoboのビジョン
「読書離れに歯止めを」
「出版業界への貢献」
をばん、と画面に出した後だらだらと読み上げる。そもそも言葉に力がないから、本当に三木谷氏がこれを信じているのかわからない。それどころか聞いている方はもう画面に書いてある文字をとうの昔に読み終えている。
というわけで、楽天でこのプレゼンを企画、作成した人間は12/7 15:10-からWISSでの発表をUstreamでみて、私が惨めにプレゼンで失敗するのを見て嘲笑するように。。。いかん。どうしても最後は腰砕けになってしまう。
しかし
年に一度、たくさんの人を前に自分のidea、作ったものを発表できる機会をもらえるのは大変ありがたいことだ。できることはやろう。
2012-11-05 07:18
先日のエントリーにコメントをいただけたので、あれこれ考えた。
私の
ユーザ体験そのものは主観で、扱いようがないで、体験の原因のことをここではUXと考えます。人を笑顔にすることがUXなど言われるかもしれませんが、UIから出発したUXは、製品やサービス作りをよりメタに捉えようとする、あくまで製品サービスの設計論であって、現状では笑顔自体や心象の話を直接設計する方法論ではないと私は思っています。
via: 観察と記述 | 動いている世界をそのままに。
これは、、どうなんでしょうね。主観でとらえどころがないから対象にしない、と言っているように読める。
via: ごんざれふ
という主張に対して、渡邊氏のコメントは
で、考えてみました。UXっていうのは「人間のUX」ではなく、ATMのUX、マクドナルドのUX、という「モノ側の主観」みたいなものだと思うんです。ATMがユーザの要求によってできあがったものじゃなく、あくまで「銀行が作り出した装置、サービス」です。
というものだった。UXというのは提供者側の主張であり、それを簡単に「ユーザの声」で曲げてはいけない、という主張である。
このコメント自体には全く同感だ。渡邊氏がコメントしてくれた通り、私はApple原理主義者であり、Appleはユーザの声を大胆に無視する。前にも書いたが、私は初代iMacが登場した時Localtalkを切ったのはやり過ぎだと思っていた。当時の状況を考えればそれは正しかったと思うが、確かにiMacは大ヒットとなった。そして今となっては誰もフロッピーディスクとか使わない。
ではどうすればよいのか?ほとんどの場合、トレードオフが存在しどちらにも尤もな理由があるように思える。そして企業はそれに対して勇気をもって決断するべきだ。
フィル・シラー どんなにすばらしい商品にもトレード・オフはあります。例えばノートPCを例に挙げてみましょう。最近のノートPCでは、パフォーマンスが求められます。CPUに加えて、大容量のメモリ、そしてHDD。しかし、その一方で、薄型軽量であることも求められています。また、長いバッテリー動作時間を求める声もあれば、手ごろな価格への要望もあります。これらすべてが相互のトレード・オフ要因となっているのです。
これは顧客にとっても、非常にやっかいで悩ましい問題です。そんな中、私がアップルで非常に誇りに思っているのは、アップルは勇気と責任を振り絞って、顧客に代わり、この難しいトレード・オフの中での最良のバランスを見つけ、難しい決断を下し、そしてそのバランスの中での最良の製品を作るということを実践している点です。
via: アップル上級副社長に聞く:「デジタルライフスタイルの未来はiPhoneにある」――フィル・シラー (2/4) - ITmedia PC USER
この決断を避けるのに一番いい方法は「どの分野の製品を出さないこと」だったりする。つまるところ日本メーカーがルンバを出せないのはそのせいではなかろうか。
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というわけでいただいた渡邊氏のコメントについては全面的に同意するのだが、元々の私の主張は少しずれたところにある。
「ユーザ体験は主観で扱いようがない」
これについても同意するのだが、だからといってすっぱり切り捨てていいのだろうか?という点にある。
マクドナルドが本当に「メニューがないことでユーザが感じる不便(これは計測不能)」と「待ち時間が短くなること(これは計測可能)によるユーザの便利さ(これは計測不可能)」を天秤にかけ、定量化できないトレードオフに勇気をもって決断した結果が
「メニューをなくすこと」
ならばその主張は理解できる(同意するかどうかは別として)
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渡邊氏の元の記事で一番理解に苦しんだのがその点だ。
体験の原因のことをここではUXと考えます。人を笑顔にすることがUXなど言われるかもしれませんが、UIから出発したUXは、製品やサービス作りをよりメタに捉えようとする、あくまで製品サービスの設計論であって、現状では笑顔自体や心象の話を直接設計する方法論ではないと私は思っています。もちろん、人間の計測手法の発展により心理心情の直接的な測定が可能になればその時はまた設計方法がかわるかもしれません。
via: 観察と記述 | 動いている世界をそのままに。
ここは具体的にどういうことなんだろうね?
例えばAppleのiPhone。あれを数値でAndroidと比較すると全く売れるわけがない、という結論が簡単に導かれる。
ではAppleはどうやって設計しているか?シラーの言葉を借りれば
シラー まったく寸分違わない状態です。アップルは製品主導の会社です。我々がやっている仕事は、自分たちで欲しくなるクールな製品を作ること――自分の家族や友だちも気に入ってくれるような素晴らしい製品を作ることです。
via: フィル・シラー氏に聞く:アップル流イノベーションが大きく花開いた2010年(後編) (1/2) - ITmedia PC USER
ということらしい。自分たちで欲しいかほしくないか。友達が気に入ってくれるかくれないか。これは全て主観の話しである。そしてAppleはその主観を定量化するためにフォーカスグループを使ったりはしない。彼らは「人々の主観」については想像し、製品のあらゆる側面に対して「ユーザに代わって決断をし」その評価は売上に委ねている。
という話と渡邊氏の「主観は扱いようがない」「製品サービスの設計論であって、現状では笑顔自体や心象の話を直接設計する方法論ではない」という話はどう対比させればいいんだろうね。ここで渡邊氏が主張していることが具体的に何を意味するのかわからないので、之以上考え様がない。
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ちなみにマクドナルドの判断に関しては、想像するしか無い。私の想像は
「定量化できないユーザ満足という指標をすっ飛ばし、定量化できる待ち時間だけをユーザベネフィット(笑)と解釈した、、というより本当は客を"スループット"という定量値だけで表現した」
愚かな判断だと思うけどね。
2012-11-02 07:00
ここ数日で、UIに関して理解に苦しむ2つの文章を見かけた。ここで「理解に苦しむ」というのは主張に同意できない、という意味ではない。文字通り「何を言っているかわからない」というものである。
だから私がここで書くことは、それぞれの著者にとって「心外」であるに違いない。しかし内容理解できないんだからいかんともしがたい。
その1.
ユーザー・インターフェイスが透明で、経験されないならば、何が経験されるのか。情報・コンテンツが経験される。透明なユーザー・インターフェイスは、情報・コンテンツへの操作をまったく邪魔しない。情報・コンテンツそのものが純粋に経験される。
via: ユーザー・インターフェイスの進化の本質
という文章を読んで考えた。
地図が地図として役に立つのは、その情報の豊かさからではなくて、むしろ街に備わっている無限の情報が適度に抜け落ちているからである。「街の情報の全てを地図には盛り込まない」という知性がある。同様に「目の前にある全ての情報を己の内には取り込まない」ということも、ひとつの知性なのだ。
via: Twitter / shingoemoto: 地図が地図として役に立つのは、その情報の豊かさからで ...
前にも書いたが、ここではUIではなく、「ModelとViewにわける」ことの意味を強調したい。Modelとは地図会社がもっているすべての情報を含むもの。Viewとは地図だ。
ViewをなくしてModelをそのままぶつけるとユーザは混乱してしまう。つまりViewを別個に定義して情報を狭めてやる必要がある。
さてこのViewがユーザに相対するわけだけど、それは「情報・コンテンツそのものが純粋に経験される」ことになっているのだろうか?これは「情報・コンテンツ」の定義に依存するだろう。私はViewはUIであると考える。だからインタフェースが透明化する、などというのは幻想に過ぎない。
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その2
ちなみに、ATMの並んでしまうことを解決するには、たとえば
- わかりやすくて素早い動作のATMをつくる
- 必ず複数台設置する
ことで銀行の預金・引出ことのUXは向上するでしょう。
via: 観察と記述 | 動いている世界をそのままに。
ふむふむ。でもって
追記:並ぶのが悪くない場合もあります。いつもまったく並ばないラーメン屋と、並ぶラーメン屋は、後者のほうが「わくわく」がありますね
via: 観察と記述 | 動いている世界をそのままに。
をを。なるほど。それで、と思って先を読み進めると
ユーザ体験そのものは主観で、扱いようがないで、体験の原因のことをここではUXと考えます。人を笑顔にすることがUXなど言われるかもしれませんが、UIから出発したUXは、製品やサービス作りをよりメタに捉えようとする、あくまで製品サービスの設計論であって、現状では笑顔自体や心象の話を直接設計する方法論ではないと私は思っています。
via: 観察と記述 | 動いている世界をそのままに。
これは、、どうなんでしょうね。主観でとらえどころがないから対象にしない、と言っているように読める。
まあそれも一つの割り切り方と思うけど、なんだか変な気がする。「本当の問題」は何かを見極めるのが大切だ、と説いているけど、「本当の問題」か否かを決めるのはユーザの主観でしかないと思うんだけどね。
ATMで並ぶことを解決するには、、と問題を始めているがこれは「ユーザにとってATMは並ばず、素早く使いたいに違いない」という前提がある。これはどこから来たんだろうね?
ユーザの主観を勝手に推測しているに過ぎない、と私には思えるのだが。
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「主観は計測できないから扱わない」というのは、日本マクドナルドがレジにあるメニューをなくしたのと同じロジックだ。
顧客が求めているのは、いかに早く商品やサービスを提供できるかというスピード感であり、従来のようにレジでメニュー見ながら商品を注文する形では後ろに並ぶ顧客のフラストレーションをためてしまう、というのが会社側の判断だ。
via: メニュー撤去にマクドナルド原田社長が反論 | 企業戦略 | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンライン
つまりこういうことだ。実験した結果、メニューをなくしたほうがユーザは注文を速くすることがわかりました。同じ時間で多数のユーザをさばくことが可能になり、売上が向上しました。(これは計測可能)そして待ち時間が減少しました(これも計測可能)待ち時間が減少したのだから、UXは向上しました。(これは計測不可能)
渡邊氏の論法でいけば、日本マクドナルドはすばらしいUX設計をしたことになる。しかし話はそんなに単純なのだろうか?そして「UXは主観で扱いようがない」というだけでそれに目をそらしていいものだろうか?
原田社長はそう主張しているようだ。
「今日現在コールセンターへのクレームはゼロ」(原田社長)
via: メニュー撤去にマクドナルド原田社長が反論 | 企業戦略 | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンライン
コールセンターへのクレームもカウントできるもんね。計測できる指標で「問題ない」となっているんだから問題ないんだよ!まあこれも一つのビジネス判断のやり方だわな。
2012-11-01 06:47
というわけで今まで何度か書いた
「私はミサイルの設計をしていた、と人に言うことに何の後ろめたさも感じない。DeNAで勤務している、ということを公言する人がいることに驚く」
というお話。
DeNAがCommというアプリをリリースした。
株式会社ディー・エヌ・エー(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:守安 功、以下DeNA)は、2012年10月23日(火)より、無料通話サービス『comm(コム)』を、iOS・Android端末向けアプリとして日本や欧米、アジアをはじめとした世界204の国と地域で配信を開始します。
via: DeNA、無料通話サービス『comm』を世界204の国と地域で配信開始~スマートフォンにおけるグローバル規模でのユーザベース拡大を推進~ - [DeNA] 株式会社ディー・エヌ・エー
いや、もうSkypeがとかLINEが、とは言わないことにしよう。LINEの話しを最初に聞いたときもそう思ったが、信じられないような成功を収めている。「正解」は今「常識」と思われるものを疑うところにあるかもしれないのだ。
でもってAndroidアプリというのは、動作する際に
「ユーザのこういう情報にアクセスしますよ」
という許可を求めてくる。LINEはとんでもない数の許可を求めていたようだ。
分類ごとに見ると、全く違う分類もありましたが、全体的にはやはりcommのアクセス許可が多いように感じます。また、「電池統計情報の変更」など、なにに使うのかよくわからないアクセス許可も要求しており、(commをまだ使ったことはないのですが)commがどんなアプリケーションなのかだいぶ気になりました。
via: commとLINEが要求するアクセス許可の比較表を作ってみた | 情報科学屋さんを目指す人のメモ
でもってあれこれ批判の声がおこってこうしたのだそうな。
Androidアプリのアクセス許可項目に関しまして、皆様の不安を招いてしまったことをお詫び申し上げます。今後のサービス拡大を見据え、現時点のサービスでは利用していない項目も含めアクセス許可をいただいておりましたが、それらの許可項目につきましては見直しをおこない、削除いたしました。
via: commが削除した「サービスに利用していなかった14個のアクセス許可」まとめ | 情報科学屋さんを目指す人のメモ
DeNAという会社が何をやって儲けているかを知っている人であれば、この「釈明」を言葉のまま受け取りはしないと思う。そういう人はそもそもDeNAのアプリなんかインストールしようと思わないだろうが。
また利用規約にも「懐かしい」文言が並んでいたようだ。
会員登録時に確認できる利用規約には、「当社は、すべてのcomm会員記述情報を無償で複製その他あらゆる方法により利用し、また、第三者に利用させることができるものとします」と書かれている(第6条3項)。
via: 「情報を第三者に利用させることができる」? DeNA、新アプリ「comm」規約について釈明 - ITmedia ニュース
なぜ「懐かしい」というかといえば、これは一時mixiが行った規約改定の文章にそっくりだからだ。
第18条 日記等の情報の使用許諾等
1 本サービスを利用してユーザーが日記等の情報を投稿する場合には、ユーザーは弊社に対して、当該日記等の情報を日本の国内外において無償かつ非独占的に使用する権利(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、翻訳、改変等を行うこと)を許諾するものとします。
2 ユーザーは、弊社に対して著作者人格権を行使しないものとします。
附則
1 本利用規約は平成20年4月1日から施行します。
2 本利用規約の施行前にユーザーによって行われた行為についても本利用規約が適用されます。
via: ごんざれふ
この騒動があったのはもう4年半も前なのだな。ちなみに騒ぎになったあとの「釈明」も今回のDeNAとそっくり。「いや、これはサーバーの複製を作らせろという意味だ」というもの。
このころmixiはその絶頂期にあった。今は見る影もないが。
不思議なのは「超優秀な社員」が集まっているはずのDeNAでなぜこういう「愚かな判断の再現」が行われるか、ということ。あるいは逆に考えるべきかもしれん。「超優秀」な人たちは、こういう愚かな誤りを何度でも繰り返す、と考えるべきだろう。これは推測だが、「超優秀」な人は
「いや、自分たちは違う」
という強い信念を持っているのではなかろうか。客観的にみれば同じような馬鹿な事をしていても。
「自分たちは違う」という強い自信があるから、こんな品質で、かつ特徴の無いサービスをリリースできるのだと思う。
電話...音質がもっともよく、ラグ(音声のズレ)もない。
LINE...音質は電話に次いで良いが、少しラグがある。
Skype...ラグはないが音質が少し悪い。
comm...音質も悪いしラグもある。
via: 無料通話-comm(コム) もっとつながる、高音質。 | TABROID(タブロイド)欲しいアンドロイドアプリをギュッと凝縮!
本アプリにはチャット機能があります。複数人のグループチャットができますし、楽しいスタンプも使えますよ。
って、LINEと一緒だこりゃぁ! 現状、本アプリにLINE以上のことはできないようです。
via: 無料通話-comm(コム) もっとつながる、高音質。 | TABROID(タブロイド)欲しいアンドロイドアプリをギュッと凝縮!
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いや、これは笑い事ではない。対米開戦に踏み切った時の「帝国陸軍のエリート達」の考え方もこのDeNAそっくりだったのだ。彼らは
「帝国陸軍は、戦争終結への明確な道筋なしに開戦するほど愚かではない」
と大まじめに言い切っていたらしい。。きっとDeNAの社内でも「LINE,Skypeに比べてこれだけの差別化要因があります!」と真面目に議論されていたのだろうな。