春秋の筆法

2014-04-30 07:08

マスゴミと言われようがなんだろうが、いろいろな理由により「意に染まない文章」を書かざるをえない記者もいるのだろう。

そういう時こそ中国の知恵に学ぶべき。表向きは決して逆らっているようには見えないが、よく読めばわかる批判を忍ばせることは可能なのだ。そうした例としてこの記事を読んでみよう。まずは冒頭に「スタンス」が記述される。

実質的な大幅値下げとなるドコモの新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」。

via: 独身、夫婦、家族…「ドコモ新料金」お得な利用法を解説 (1/4ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)


まず「大幅値下げ」という(おそらくは強制された)スタンスを述べる。これで首はつながる。さてここからは「ホンネ」を書く場所だ。

 記者は20代の独身男性で配偶者を得る予定も当分ない。現在入っているデータ通信量3GBの「Xiパケ・ホーダイライト」プランでは、月額5743円に通話料がプラスされた料金を払っている。新プランでは、他社の携帯電話と固定電話を含め国内通話がかけ放題となりデータ通信量が2GBで6500円。判断が難しいところだ。

via: 独身、夫婦、家族…「ドコモ新料金」お得な利用法を解説 (1/4ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)


「判断が難しい」とは最大限「権力者」に配慮した表現。記事を読めば普通の人であれば「大幅値下げ+サービス劣化じゃん」と気がつく。しかしそれでは首があぶない。ちゃんとDocomo様の素晴らしさを讃えよう。

佐久間さんは「スマートフォンとタブレットの2台持ちなども良いと思います」とデータ通信のみ利用するデータプランとの組み合わせを勧めてきた。

(中略)

 親切な対応に感激した記者は、ついでに子供がいない30代の先輩夫婦のケースも尋ねてみた。

via: 独身、夫婦、家族…「ドコモ新料金」お得な利用法を解説 (2/4ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)


こちらが必要としていない回線を余分に購入することを薦めてくる。これでこそDocomoの社員。下賎な民はDocomoの「純増」に貢献すべきだ。ここで「おしつけがましい」などと書くことはできない。

「親切な対応に感激した」と書くのが正しいサラリーマンというもの。えっ、これでも足りませんか?ではこれはどうだ。

 「家族が増えればそれだけシミュレーションが必要になります。ご利用方法を詳しく聞かせてください」。佐久間さんが真剣な表情で尋ねてきた。利用者のためには面倒を厭わない天使のような人だ。

via: 独身、夫婦、家族…「ドコモ新料金」お得な利用法を解説 (3/4ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)


Docomo様の店員はすべて「天使のような人」これだけ書いておけばいきなり首を飛ばされることもないだろう。誰かが「あれはいくらなんでも書き過ぎでは」と言われたら

「失敬な。本当に天使のような人だったのです」

といえばよい。誰もそれを否定はできまい。

いや、面白い記事を読ませてもらった。多分この記事を強制した人間は冒頭の「大幅値下げ」だけ読んで「よくやった」とご満悦なのだろうな。


ダメなプレゼン/悪いプレゼン

2014-04-28 07:47

先週の金曜日に某所で2名のプレゼンを見た。

まず「ダメなプレゼン」のほうからだ。従来の「スライド」を用いる最大の欠点は「話す内容をネタバレしてしまう」ことにある。想像してほしい。映画であらかじめ「あらすじ」を表示したあとで延々それについて語られる様子を。考えないで作ったスライドを使ってプレゼンをするのはそれとなんら変わるところはない。

さてこの人が使ったのはPreziというズームインタフェースを使ったプレゼンソフト。そこにこんな「スライド」がある。

スライド

多分プレゼンの導入で「笑い」をとろうとしたのだろう。機械学習を使って女性のスリーサイズから◯カップを推定する試みなのだそうな。説明しているうちに、まずこのスライド全体を写してしまう。見ているほうは全体概要がわかる。

次に話の流れとともに「機械学習でやると31%です」といい、数字をズームアップする。会場は静まり返っている。次に「そうはいっても自分でやると38%です」と左下をズームアップする。会場少し笑いが起こる。でもさあ、もう最初にネタバレしてるんだよ、スライド全体を写したところで。ネタの質とかそういうことは問わないとして、なんのためにこのソフトを使っているのか見ている側は不安になる。

さて、次は「悪いプレゼン」の例。これは古典的なものだ。次に話した人の「スライド」にこういうものがあった。(うろ覚え)

スライド

文字は1.27倍だがグラフはどうみても3倍に伸びている。これは笑っちゃうくらい古典的な「グラフの先っちょだけ切り取りました」のパターン。しかもこれが「私はこんなすごいことをしました!」の決め手となるスライドなのだから聞いている方は暗澹たる気持ちになる。

というか私は最初このグラフは「ギャグ」でいれているのだと思ったのだが、クスっとしたのは私だけだったようなので、多分勘違いだったのだろう。

というわけで私としてはブログのネタができて収穫のあったイベントであった。こういう古典的な例も悪くないが、もっとExcitingな新しい試み(良いもの悪いもの含めて)見ることができないかなあと思ったりもする。今から考えればWWDC2013のlunch timeにあったプレゼンはいずれも見事なものだった。ああいうのがまた見たいなあ。


6月

2014-04-25 07:44

6月には重要なConferenceが2つある。まず2日から6日AppleのWorld Wide Developers Conferenceが行われる。新居さんのコメントをみると昔は当日券を売っていたのだそうな。そりゃ完全に負け組のMac上で何を作るのか、と思われていたのだろう。そのころのMac雑誌には「これから一年開発を続ける気力を持つために来た」とか参加者同士が語り合っていたとか書かれていた。

時代は変わった。

去年は71秒で売り切れた。今年は抽選方式になったのだがそれがどの程度「ランダムな抽選か」については疑問を持つ人もいるだろう。

正直いえば私もWWDCの抽選についてはある程度疑問を持っていた。私が知っている有名な開発者がふたりとも「行きます」とTweetしていたからだ。今回の抽選倍率は多分WWDCで発表されるだろうが、私のカンでは1/10を下回らないと思う。ということはふたりとも当選するのは1/100以下の確率ということになる。

さて、6/25-26にはGoogle I/Oがある。この2つの会議の申し込み時期は微妙にずれており、どう「調整」したのか知らないがWWDCへの応募があたったかどうかを見極めた上でGoogle I/Oに応募できるようになっている。そりゃSan Fransiscoエリア以外に住んでいる人にとって月に二度もSan Fransiscoに出張するのは無理だわな。(それが滅多に起こりえないような事象であれ、確率的には起こりうる)

さて私としてはWWDCに落ちたところですっかり「世捨人」モードになってはいた。しかしGoolge I/Oに応募した。こっちもあたらんだろうな、と思いつつ。

さて、4/22の朝寝ぼけ眼でメールをチェックするとGoogleから$900の引き落としメールが来ている。これは何だ?Your ticket to Google I/Oというメールがきたのはそれから数時間後だった。

どうもあたったらしい。ひょっとして倍率が低かったのだろうか。しかしTweetを検索すると「外れた」という声と「あたった」という声の比率は目測で1:10である。

落ちた時には仮にそれが「サイコロを振った結果」であったとしてもがっかりする。何か自分が否定されたような気になる。

Google I/O行かないとコード書けないわけじゃないからがんばろう

Twitter zundan zunda nはオマケ - 2日前

←実績ないやつは就職どころかGoogle I/Oも㍉な気がしてきて落ち込んだところw

Twitter zundan zunda nはオマケ - 2日前

via: 「Google I/O」のYahoo!検索(リアルタイム) - Twitter(ツイッター)、Facebookをリアルタイム検索


こういう気持ちになるのはとても理解できる。私もWWDCの「お祈りメール」が来た時は同じような気分になった。前に表のサイトで書いたことがあるが、人間は理由が大好きなのだ。悪いことがあれば「何か悪いことをしたのではないか」と思う。

私はiOSアプリを2つリリースしている。Android上でアプリを作ったのは遠い昔に試験的にやっただけ。App Engineは使っているがお布施はしていない。

もし「実績」が考慮されるのであれば、私がWWDCに落ちてGoogle I/Oに当選するわけがない。だから少なくとも今回の私については「サイコロを振った結果」であることに関して、かなりの自信がある。

というわけで今はこの「サイコロの目」を最大限活用する方法を考えている。


日本のものづくり力は世界イチィィィ

2014-04-24 07:32

そう信じていた時期が私にもありました。

そして音声会話機能の搭載で狙うのは、一言で言えば差別化であり、身近な存在として家庭にあることが目的。家電における性能や省エネの競争はいつが限界がくるものであり、その限界も見え始めている状態にあるという。シャープでは人工知能技術を採用したインターフェースを可能にする「ココロエンジン」を搭載し、おしゃべりによって暮らしにヒントを与えたり励ますなど“ココロ配り”ができる家電を目指している。

via: シャープ試作のツンデレ妹系ロボット掃除機が担う“会話する家電の未来” - (page 2) - CNET Japan


そうですか。性能や、省エネの向上は限界が見えていますか...

最初のルンバが誕生してから11年たちましたが、この間つねにブラシの改良を続けてきました。800シリーズにおけるこのブラシを生み出すまでには、実に5年もの歳月を要したのです。最初のプロトタイプはアイデアが生まれて1ヶ月もしないうちにつくりましたが、最終的な製品にいたるまで100以上ものプロトタイピングをおこないました。

via: ルンバのイノヴェイションは「11年間ブラシを改良してきた」から生まれた « WIRED.jp


お掃除ブラシの改良に5年をかけじっくり取り組む。これが私の知っていた日本の「職人魂」ではなかったのか。

いや、過度な一般化は禁物だ。日本にもバルミューダなどのまともなメーカーはある。ただ家電メーカーがおかしくなっているだけだ。

専業の会社が出てくれば、それはそれで非常に良いですが、ソニーでもトヨタ自動車でもホンダでも、大企業がロボットの(収益力のある)商品を生み出すことに注力するようになればと思います。

via: 米国製「ルンバ」に日本勢が勝てないワケ | インタビュー | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト


彼らにはベンチャー企業がうらやむ資金があり、豊富な人材(?)が存在している。客観的に見れば

「日本の大企業が掃除ロボットに取り組めばいいものができる」

と思うだろう。しかしそこからでてくるのは、こんな狂った製品ばかりである。

COCOROBO


彼らは他人をけなすばかりで、自らの信念というものを持っていない。それ故今やっていることがうまく行かなくなったときに取り乱すことしかしない。ちなみに彼らがこの製品で示したクラフトマンシップとは

イラストの描き手と声優の選定には「さまざまな方にヒアリングするなどの調査を行い、独自の分析も加えて約3カ月ほどかけて検討した。試作とはいえ、利用者の方に喜んでもらえることが第一で、キャラクタ作りも含めてそこには時間をかけた」(徳永氏)

via: シャープ試作のツンデレ妹系ロボット掃除機が担う“会話する家電の未来” - (page 2) - CNET Japan


だそうである。こういうセリフを公言してはばからない精神の強靭さは見習いたいと思う。


iPad mini-miniの姿

2014-04-23 07:27

iPhone6が4.7インチになることはほぼ規定事項として語られているし、そろそろ怪しげな「ツールのリーク写真」もでてきた。いつものことながら、そこから「プロモーションビデオ」がさっそく作られるのはすごいと思うが。

問題は5inchを超える方の存在だ。そちらに関しては断片的な情報しかでてこない。しかし私は知っている(妄想です)これが5.5インチ版iPhoneことiPad-mini-miniの全てだ!(思い込みです)

・iPhoneとは異なるブランド-iPad mini-miniとして発売される(そんなダサい名前は誰も使いません)

・大きさは5.5インチ程度。極薄。(これはちょっと根拠があるです)

According to the report, Apple wants the 5.5 inch device to be incredibly thin requiring battery cells that are only 2mm in depth. Normal battery components are usually closer to 3mm.

via: Taiwanese media claims 5.5inch iPhone 6 to be very thin, special battery components causing delays | 9to5Mac


・バッテリは現行iPhoneより大幅に長持ちする。(願望)

別の方面からAppleが5.5インチの製品を出す理由が積み上がってきた。

アップル対サムスン裁判で表に出た証拠のひとつに上のスライドがあった。ライバルのように大型モデルを出さないと iPhone は伸びないというアップルの内部資料だ。

iPhone だけで考えれば、ライバルに対抗するためには大型スクリーン iPhone を出すのが必然のように思える。

一方 Gruber のコメントに従えば、iOS デバイスとしての iPhone と iPad はお互いに食い合う関係にあることになる。

via: 伸び悩む iPad | maclalala2


つまりAppleは、まだ「携帯情報機器のサイズは、そして使い方はどうあるべきか」について最適解を見つけていない。iPadはPCの代替になるには非力すぎ、iPhoneの代わりになるには大きすぎる。

ここからは妄想になるが、今の

・iPhone

・iPad

・Mac Book Air

・より大きなiPhone

・iPad-mini-mini

・12インチiPadもしくはMac Book Air

と少しずつシフトするのではなかろうか。

iOS上でアプリを公開している身としては、「ああ、また新たな画面サイズがでてくるのかぁ」と嘆息を禁じ得ない。表のブログにも書いたが、せめてWWDCでサイズだけ予告してくれませんかねえ。物理的な大きさについては問わないから。

そのWWDCに今年は行くことができない。Life without WWDC.行ったことのない人はなぜそう思うのかなかなか理解できないかもしれないが、去年のkeynoteの最後にTim Cookが言った

Have a great week. Enjoy the conference.

という言葉は今でも私の頭の中をぐるぐるしている。今年はこういう状態だ。

life without WWDC

しかし面白いことが起こっているらしい。WWDCのチケットが手にはいらなかったとしても多くのDeveloperがSan Fransiscoに集まり、パーティやらミーティングをしているらしいのだ。

Being prepared for life without WWDC is the new reality.  Both Apple and the development community have provided resources to make a WWDC week an enjoyable and productive time to be in San Francisco, even without a ticket.

via: Life Without WWDC | James Dempsey


かといってそういう名目で会社の出張費をださせることはまずムリだろう。だから日本に住んでいる私はぼんやりセッションのビデオでも見ていよう。そしてその月の後半に備えなくては。


製品としてのデジタルカメラ

2014-04-22 07:21

製品としてのデジタルカメラは瀕死の状態である。誰もがそれは認識しているかもしれないが、初めてグラフでみることができた。

デジカメの売上推移

というか一応2011年くらいまでは持ちこたえていたのだな。その後に急激な減少が来る。

考えてみればそもそもカメラは常時持ち歩くものではなかった。今やありとあらゆる現場から大量の映像データ(動画含む)がおくられてくる時代だ。

だから「出荷額」はどうかしらないが部品としてのカメラの数は膨大になっているに違いない。時々ふと思うのだ。今や人間は膨大なビットデータを作成している。これは宇宙全体のエントロピーにどのような影響を与えているのだろう、と。


Secretの威力

2014-04-21 07:04

先日紹介したSevretアプリだが、いきなり「本来の使い方」がニュースになっている。

NikeがFuel bandという製品を出している。現在ウェアラブル製品で唯一(手が離せないビジネスでの利用を除けばだが)意味がある使い方をされている「健康関連センサー+簡易ディスプレイ」の分野だがどうやらそこでレイオフが行われるらしい。このニュースは最初にSecretに共有された。

実際に解雇の情報は、テクノロジ業界を中心とした匿名のソーシャルネットワーク「Secret」に投稿されており、それは1週間前まで遡る。その投稿には「Nikeの無能な幹部が、FuelBandや他のNike+製品を開発したエンジニアチームの大半を解雇する予定だ。それは主に、幹部らが重大な過失を犯し、多額の資金を無駄にし、彼らがしていることを知らなかったためだ」と書かれていた。

via: ナイキ、「FuelBand」開発チームの大部分を解雇か - (page 2) - CNET Japan


おそらくこれが「正しい」Secretの使い方なのだろう。そして「コメント欄」に書かれていることがまた興味深い。

それは単なる「炎上」と呼ぶべきものではない。最初のポストをした人の「Friend」しかコメントできないのだ。それ故誰もがなんでも言える普通の掲示板のような内容ではない。

spade

I used to work at RGA and left last year. Couldn't believe how much overhead there was. Most were folks who didn't know shit about tech, most had a good talking game.

via: Secret - The douchebag execs at Nike are going to lay off a bunch of the eng team who developed The FuelBand, and other Nike+ stuff. Mostly because the execs committed gross negligence, wasted tons of money, and didn't know what they were doing


もちろんノイズも混じっているのだろうがそこでつぶやかれているのは「馬鹿なNBAがおしゃべりゲーム」ばかりやっている職場での不満だ。

こういう「怪情報」はインターネットのそこかしこにあふれている。しかしおそらく今後Secret発の話題が取り上げられることはより多くなるのではないかと思う。完全な自由と完全な制約の間で、Secretのやりかたは奇妙なバランスを保っており、なぜか「意味のある情報」だけが表に浮かんでくるようになっているのだ。

このアプリの日本展開がますます楽しみになってくる。そこではどんな"Secret"が語られるのだろう。


Secret

2014-04-18 07:34

といっても、私が何か秘密を告白するとかそういうことではないよ。昨日知ったiOSアプリ(多分まだ日本のApp Storeでは見られないと思う)

詩子

記事が面白いので読んだのだが、どんなアプリかイマイチ想像がつかない。というわけで、アメリカモードになって試してみた。

これいいわ。

基本は上記のように「写真+テキスト」で匿名の投稿ができる、というもの。縦スクロールだけでどんどん内容を見ていくことができる。

電話番号を登録し、かつ連絡帳のデータを使って勝手にユーザ同士をつなげる。それでもって「秘密」は友達だけで共有される。それに誰かがハートマークをつければ、友達の友達まで広がる。さらにハートマークがつけば私のような縁もゆかりもない人までみることができる。

コメントを付けられるのは投稿者の友達だけ。しかも名前は一切表示されず(ハンドルネームも)投稿の中だけで共通なアイコンがランダムに割り当てられる。だから「おい、赤い骸骨。アドバイスありがとう」とかそういう会話が流れている。

こうした方法を使うことによってくだらないメッセージとかエロ写真とか内輪受けとかが拡散するのを防ぐことができているようだ。

徹底的にシンプルにしたUIといい、よく考えられた仕組みといい。結果として私のような第3者がみることができる投稿はいずれも「読ませる」ものばかり。例えば生まれたばかりの赤ちゃんの寝顔に重ねられた

「12時間前、私の人生は永遠に変わった」

というシンプルな文章。とかこんなのとかね。

secret

というわけで、いつの日かこれが日本からも使えるようにならんかなあと思うわけだ。(考えてみれば俺SMSが受け取れる携帯持ってないから使えないか)しかしそうなると日本語ではどんな投稿がなされるのだろうか。なんかいやな予感しかしないのだが、あるいはこのシステムが使っているソーシャルフィルターがちゃんと機能してくれるのかもしれん。あるいは「ボケて」の匿名バージョンになったりするんだろうか。

いずれにせよこれは試して議論する価値のある新しいアプリだと思う。


失敗と成功を分けるもの

2014-04-17 07:24

先日見つけた文章で印象的だったものを以下に引用。

ベゾスはAWSの収益予想を尋ねられたとき、長期的には収益が上げられるようになるが「スティーブ・ジョブズの失敗」を繰り返したくないと回答したという。iPhoneは驚くほど利益があがる価格で販売されたが、そのためにGoogleなどの競合をスマートフォン市場に引き寄せてしまったことをベゾスは失敗だと見なしたのだ。

AWSは確かにまだそこまで利益を生み出していない。しかしながら、ことさら低く設定されたAWSの料金はベゾスが意図した効果を生み、スタートアップ企業がこぞってAmazonのプラットフォームを使うようになったにもかかわらず、Google会長のエリック・シュミットはこの事態に2年以上も気付かなかったそうだ。

via: 【気になるIT書籍】Amazon奇才経営者の実像に迫る『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』 | TechCrunch Japan


利益率が大変高い製品を生み出す。これは誰もが望む「成功」ではなかろうか。しかしベゾスはそれが「失敗」だと考えたのだ。

最初AmazonがAWSを発表した時「何だこれは?」と思った。おそらくGoogleもそう思ったのだろう。たいしてもうからないものをなぜ始めるのか。Googleが発表したApp Engineは「なるほど。こう来たわけね」と思えた。

しかし今やAWSは信じられないくらい広範囲に使用されている。世の中のデータセンター屋とかはまさかこんなことが起こるとは想像だにしなかっただろう。

ベゾスの戦略はまんまと成功した。

Larry Tesler は、 Bezos が Steve Jobs じゃないってことを口説いたかもしれない。でも Bezos には分かっていた。全ての人にふさわしいプロダクトを提供する為に、彼が Steve Jobs になる必要はないっていうことを。インターフェースワークフローこそが、人々が気に入り、安心感を得るものなんだっていうことを。彼はサードパーティ開発者にそれを可能にするだけで良かった。そうすれば、後の事は自動で進んでいく。

via: Steve Yegge の Google とプラットフォームに関するぶっちゃけ話を訳した(中編)

Larry Tesler は、 Bezos が Steve Jobs じゃないってことを口説いたかもしれない。でも Bezos には分かっていた。全ての人にふさわしいプロダクトを提供する為に、彼が Steve Jobs になる必要はないっていうことを。インターフェースワークフローこそが、人々が気に入り、安心感を得るものなんだっていうことを。彼はサードパーティ開発者にそれを可能にするだけで良かった。そうすれば、後の事は自動で進んでいく。

via: Steve Yegge の Google とプラットフォームに関するぶっちゃけ話を訳した(中編)


彼はSteve Jobsではないし、Steve Jobsになるきもない。スタイルは違うがおそらく同じくらい頭が良いのだ。

そんな記事を読んでいる傍らでこういう記事を見る。

代わりに「新御三家」として台頭したのが、ディー・エヌ・エー(DeNA)、グリー、サイバーエージェントの「メガベンチャー」3社だ。

via: 激変、東大生の就活!新御三家はこの3社! | 週刊東洋経済 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト


多分これは何かの政治的動機で書かれた記事とは思う。しかし暗澹たる気持ちにならざるを得ない。「メガベンチャー」って何かの冗談か?


通信用ドローンの思い出

2014-04-16 06:56

今から4半世紀前のことである。あるきっかけで「24時間滞空する無人航空機を作って無線通信の中継に使う」計画の検討を命じられた。

さてどうしよう。そもそも太陽電池の出力だけで24時間滞空できるんだろうか。というか俺飛行機の設計やったことないし。

その検討を命じた課長は「初歩の航空機基礎検討」のやりかたを教えてくれた。それを脇から見ながら「僕が昔やったようなことやってますね」といった人は、今民間旅客機製造企業の社長をしている。

課長は「これ超電導モーター使わんと成立せんぞ」と言い続けていた。この人はとても鋭い人だが「決めつけ」がひどいのが玉に瑕だった。今から思えば彼の「決めつけ」は8割の場合仕事の効率を上げるのに効果的だったのだと思うが。(彼は最終的に役員になった)

双胴式にしろ、というからそういう機体の絵を書いた。モーターの効率とか太陽電池の効率とか計算するとなんとなく成り立ちそうだった。(普通のモーターで。課長は「超電導モータが」と言い続けていたが。ちなみに当時常温超電導が話題だったのですよ)

とはいえ、私のようなチンピラが計算したものでは心もとない。専門の航空機基礎設計課に検討を依頼することにした。打ち合わせにいってこれこれこういうものを考えたいのです。成立性について検討願えませんか、とお願いした。相手は一応検討してみます、というような顔をしていたと思う。

しばらく後に返ってきた答えは「そんなことはできないよ」だった。それは技術的にみて難しい、という趣旨ではなく「そんな検討はできない」という門前払いだった。航空機基礎設計課といってもすでにある機体の細かな改修とか、海外の機体の模倣しかしていない部署だったから「0から設計」ということはできなかったのだと思う。

時を同じくして私にその検討を命じた課長も「飽きた」ようだった。(この人のもう一つの欠点は飽きっぽいことだった)そして私の検討と私が書いた「双胴の太陽電池動力24時間滞空ドローン」はお蔵入りになった。

そして今私はこのニュースを読んでいる。

詩子

なかなかドラマチックな展開となった。Wall Street Journalによれば、Googleは高空に長時間滞空するドローンのTitan Aerospaceを買収した。

via: Google、Facebookも狙っていたと噂の長時間滞空ドローンのTitan Aerospaceを買収 | TechCrunch Japan


大戦中日本で原子爆弾の研究をしていた人は、広島に原爆が投下されたことを知り

「日本の技術は根本的に敗れたのだ」

と書いた。私はそこまで深刻に受け止めてはいない。しかしこういう「新しい革新的なもの」は決して日本の大企業からは生まれないのだという思いを新たにしている。


理研は解体すべきだ

2014-04-15 07:04

一連のSTAP騒動に関して、おそらく決定版とも言える記事が公開されている。

今回の記者会見で、小保方さんは、説明すべきポイントを説明せず、問われている質問に答えることをせず、ただただ、自分がアピールしたい話をひたすらに訴えることしかしていなかった。にもかかわらず、結果を見れば、周囲のかなりの部分の人々を説得してしまっている。このことは、「女子力」という言葉でしか説明がつかない。

(中略)

ここを勘違いしがちなのだが、女子力は、それを発揮している女子が、必ずしも狙って繰り出している武器ではない。  女子力は、どちらかといえば、それを受けとめる側が勝手に受信してしまっている引力のようなものだ。 小保方さんご本人は、天然の女子として、ああいう目つきとあんな感じの声の出し方をしているだけの人なのかもしれない。

(中略)

あの会見での印象だけでモノを言えば、小保方さんを学問の世界に導いたのは、AO入試であり、彼女を研究のエリートコースに乗せたのも、人脈がものを言う研究室人事の政治的文脈だったのではないか、と思わせる。ということはつまり、学力や、研究力や、論文作成能力よりも、プレゼン能力や、説明能力や、女子力が高い評価を獲得してしまうような現場環境があったのではないか、ということだ。  これは、不健康なことだ。

via: あれは「女子力」のイベントだった:日経ビジネスオンライン


私の意見を述べる前にもう一つ記事を引用しておく。

岡村さんの気持ちはわかるけど科学者はズルする人とは一緒に研究したくないですよ」「小保方さんには関わりたくありません」と断るとともに、「岡村さんのおっしゃる通りあの根性と演技力は『たいしたもの』です。芸人で復活するならあたたかく見守ります」

via: 小保方さんへの資金援助を……ナイナイ岡村の呼びかけに高須院長 「関わりたくない」 | RBB TODAY


端的に書こう。事実を重んじ、そこから真理を探求する、という点において小保方氏は0点である。

しかしおそらく「おやじ殺し」に関してはありあまるほどの能力を持っている。

高須委員長の言葉は正しい。科学者としては0点。芸人としては大いに有望。

そんな人間は世の中にごろごろしている。しかしこの一連の騒動で露呈した一番大きな問題というのは

「理化学研究所という組織は、最高水準の科学を追求する場でなければならないのに、”女子力”しかもたない芸人を昇進させ、売り込もうとした」

という点に集約される。

小保方氏の会見をみて、半数の人が「信頼できる」と判断するのが世の中というもの。それは現実であり、肯定も否定もする必要はない。問題は「理化学研究所」が

「”小保方氏の会見は信頼できる”と判断した科学的方法論に無知な大衆と同じ判断」

を公にしてしまった、という点にある。

伊藤正德は、「インパール作戦に対し、牟田口の責任が重いことは間違いない。しかしそれに引きずられた上層部の責任は更に重い」と論じた。同じ論を持って私はこう主張したい。

小保方氏の責任は問われなければならない。しかしその人間を採用し、更には称揚した理研の責任は更に重い。

理研が芸能事務所や政党であるならば、こうした行為は何も非難されることではない。しかし彼らは「理化学研究所」なのだ。

今回の異常なプロモーションに関わった人間それに監督責任を負う人間は懲戒の対象とすべきである。それ故私は標題のように主張する。

しかしどうやら、そうはならないようだ。

いずれにしても、ここに来てどうしてフジテレビは、小保方氏を擁護し始めたのでしょうか?

私は、これは安倍政権が6月にまとめると言われている成長戦略と大きく関係していると思うのです。

via: ここに来て小保方氏を擁護する2人の元防衛大臣(小笠原 誠治) - 個人 - Yahoo!ニュース

「多くの国民から非常に好意的な見方と、(STAP細胞を)200回以上作製したことが本当かという疑問の声が上がっていると思う」と分析し、「私も率直なところ両方の感情を持った」と話した。

via: <小保方氏会見>下村文科相「私も両方の感情」 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース


政治的には、どんな「科学者」だろうが、知ったことではない。白いものを黒といいくるめるのは彼らの十八番であり、政治の世界ではそれは問題がない。

こうした政権与党サイドからの擁護の声、及びマスメディアに見る異常な意見はなんらかのそうた意図が働いていることを想像させる。(もちろん確証はない)

この言葉に「ウソはない」と見る専門家もいる。千葉県警の元刑事でウソを見抜くプロとして知られる森透匡(ゆきまさ)氏(47)が12日、自身のブログで言及。会見での表情などを総合的に判断し、「本当のことを言っているように見える」と分析した。

via: 小保方氏の言葉「本当」と見る専門家も - 社会ニュース : nikkansports.com


漫画家、やくみつる氏は「200回以上作製に成功した」などの発言に「自信を持っていることが伝わった」とホッとした様子。「私の漫画のネタにならないよう、今後は粛々と歩んでほしい」とおもんばかった。

via: 小保方氏会見、識者はどう見た?「生煮え、がっかり」「漫画のネタにならないよう」:イザ!


「専門家」というから科学の専門家かと思ったら元刑事。「識者」というからどういうエキスパートかと思えば「漫画家」こういう状況では「本当の言葉」は2chでしか聞くことができない。


45: パロスペシャル(dion軍)@\(^o^)/ 2014/04/14(月) 11:49:32.16 ID:ZDf35C2e0.net
素人相手だと思って、こいつ、めちゃくちゃなこと言い放題だなw

50: 目潰し(愛媛県)@\(^o^)/ 2014/04/14(月) 11:50:58.86 ID:fBijIjJ60.net
>>45
本人が一番の素人

54: ラ ケブラーダ(東京都)@\(^o^)/ 2014/04/14(月) 11:53:35.90 ID:W6mNjJar0.net
>>50
そんな素人でも理工学研究科の博士で、理研のユニットリーダーなんだよな。

46: ファイナルカット(埼玉県)@\(^o^)/ 2014/04/14(月) 11:49:33.25 ID:Ct8SVqbf0.net
特許申請・出願していたら、公表できる
申請・出願する前に論文発表してたら、特許審査対象外

はい論破
via: 【STAP細胞騒動】小保方さん「STAP細胞作成は特許等の事情があるので個人では公表できないが、コツは近々公開する」 : ジャックログ  2chJacklog



Docomoの新料金プランに対する報道

2014-04-14 07:15

をみているととても興味深い。まずはメジャーな媒体だ。ほとんどの人はこういう情報しか見ないと思う。

10台までスマートフォンやタブレット端末などを接続できる。家族が別々に契約するより割安になる。

 さらに、ドコモを6年以上使う長期利用者には、年数に応じて最大月2000円の割引を行い、25歳以下の利用者も月500円割り引く。家族4人全員がドコモを使う場合、現在の一般的なスマホの通信料金の月8000円程度に比べ、最大で1人当たり月2000円程度安くなる。

via: ドコモ長期利用者、最大月2千円割引の新プラン (読売新聞) - Yahoo!ニュース

NTTドコモは10日、音声通話の完全定額制や、データ通信の容量を家族で分け合う国内初の仕組みを盛り込んだ新料金プランを発表した。実質的な値下げに踏み切ることで、割高な通信料への批判をかわし、利用者を囲い込む。

via: ドコモ、今夏導入へ 「VoLTE」前提に“値下げ競争”幕開け (SankeiBiz) - Yahoo!ニュース


これだけよむと「をを、ドコモが安くなったのか。じゃあ移転を検討しようか」という気分にもなる。

ところが、よりマイナーなPCニュースサイトなどではちょっと論調が変わってくる。


つまり、今回の新プランは、通話定額を名目として基本料金を値上げし、さらにパケット料金を従量制に近いものにしたものだと考えられる。

via: 【山田祥平のRe:config.sys】ワリにあえるかドコモのパケあえる - PC Watch


今まで賢く節約してきた人は、損をする傾向にあります。

via: 解説:複雑怪奇なドコモの新プラン…結局「得をする人」「損をする人」は誰だ! – すまほん!!


複雑にしつくして、ユーザーの思考を停止させようとしているとしか思いません。

via: ■volteとかいろいろ。ドコモ新料金プランの迷いの森から抜け出すために。 | ふじさわブログ(元 iPhone愛用中ドコモ店員のブログ)


メディアの報道内容にどこまで「CMの大口ユーザ様」という権力を振り回せるのか、というのはなかなか興味がある問題だ。本件に関しては、私が読んでいるような「ユーザに近い視点」での記事を掲載しているサイトで、大手新聞のように「ドコモ大幅値下げ」といった解説をしているものはひとつもない。こうした状況を見るにDocomo広報部がんばっているんだろうなあ、とぼんやり想像しているのだが。というかあれだね。多分大手新聞というのは「自分が何を書いているか理解していない」状態でも言われたままに記事をかける、ということだね。

しかしこれだけ「キャリアの都合」でつくられた料金体験もすごいと思う。

「麻呂の高貴な回線を貴様ら下賎な民に使わせてやろうというのじゃから、これくらいは当然じゃろう」

という「公家」電電公社の論理には感服するばかりだ。

●全く通話しなくても2700円かかるプランの登場。いままでの約2倍。
●パケあえるんだから、もちろん家族みんなでドコモよ。他にいっちゃダメよ。
●なんにもわかってない長期ユーザーこそ、残ってもらって存分にお金を使ってもらわねば。
●一番通信費をつかう20代ユーザーこそ、残ってもらわねば。家族縛りから真っ先に離脱するのもこの年代なんだから。

via: ■volteとかいろいろ。ドコモ新料金プランの迷いの森から抜け出すために。 | ふじさわブログ(元 iPhone愛用中ドコモ店員のブログ)





ガラスマの運命

2014-04-11 07:05

ユーザの声なんか聞いたって無駄だ、と何度も思い知らされる。

まず、iPhoneには日本で流行している「着うた」「ワンセグ」「お財布ケータイ」などの機能がありません。これは日本で販売するにあたって致命的です。

via: iPhoneは売れない


そうだよ!日本独自の機能にみがきをかければ、iPhoneなんて怖くないさ!

NTTドコモは15日、2013年夏モデルとして、iモードケータイのように使えるシンプルなユーザーインターフェースを採用したAndroidスマートフォン「MEDIAS X N-06E」(NECカシオモバイルコミュニケーションズ製)を発表した。着信やメール受信を通知するイルミネーション機能を2種搭載。6月下旬より販売を開始する。

via: ドコモ、2種のイルミネーション機能を搭載したスマホ「MEDIAS X N-06E」 | マイナビニュース


iPhoneにはないイルミネーション機能を2種類も搭載!これはAppleにはできない!

主に利用しているスマートフォンになくてもよいと思う機能を聞いたところ、「おサイフケータイ」「イルミネーション機能」「デコメール」「クレジットカード決済サービス」などが各2割弱で上位に。一方、携帯電話では「録画したテレビ番組を携帯電話・スマートフォンに転送して見る」「クレジットカード決済サービス」「スタンプ」「おサイフケータイ」「テレビ電話、ビデオ通話」「イルミネーション機能」などが各2割強で上位にあがっている。

via: スマホに“なくてもいい”機能ランキング (@DIME) - Yahoo!ニュース


これも「ユーザの声」だからあてにならないことは「iPhoneに着うたがないのは致命的!」と同等レベルだ。しかしここにケータイメーカー各社が競って(そして多くのエンジニアの屍と引き換えに)搭載した

「日本独自の機能」

が名前を連ねているのはとても悲しいことだ。少なくとも携帯電話を企画した会社のマーケティング戦略(笑)とかはユーザの心に響いていない。

いや、もう日本の携帯電話各社にとってそんなことはどうでもいいことかもしれない。今や各社出している携帯電話は横並び。もはやチマチマ差別化など行っている場合ではないのだ。そして寡占状態が確定したいまこそ値上げのチャンス!

家族を中心とした既存ユーザーの音声ARPU(1人当たりの音声通話収入)を上向かせ、新規回線も追加しやすくするのが狙いだ。

via: ドコモ「カケホーダイ」の狙い──値上げになるケースも? (ITmedia ニュース) - Yahoo!ニュース


この発表が何を意味するのかおそらく誰にも理解できないと思う。言わんとしているところは「電話の生命線は音声通話だ!音声通話の得意なドコモにもっと金を払え!」ということであり、各社横並びの現状ではこうした値上げも許される。こういう「企業セントリック」な姿勢は大変わかり易い。

まあどうでもいいや。MVNOの接続料金は、下がるそうだし実際iijを使い始めてから機能は向上する一方。最初は128kbps一定だったのが月300MBまで3G,今度は1GBまで3G.今の関心は、4Sはいつまで使えるのか、だ。


Cheap Trick

2014-04-10 07:18

STAP細胞なるものが世間を賑わしている。この話は発端からして違和感があった。違和感としか表現しようのない何かがあった。

その分野について何もしらないこともあるし、「論文の不正」と「STAP細胞の存在」は切り離して考えるべきだ、という主張にも一理ある。そう思って状況を生暖かく見ていたのだが。

小保方「私自身200回以上作成に成功している。今回の論文は最適条件を出したのではないというものでした。最適条件を示していけるような論文を準備しているところだった。研究が止まってしまった」

via: 【小保方氏会見速報(2)】STAP細胞の作成「200回以上成功している」 | THE PAGE(ザ・ページ)


「嘘のつき方」というのは年をとると学習できるように思う。些細な事情をさして「それが問題だ」と話をそらすなどなど。私の中ではこのコメントでこの一連の騒動はGame over。Thanks for coming.

不思議に思うのは、なぜこれだけ安っぽい「自分が信じる物だけが見える人」を理研が持ち上げたのか、という問題である。論文がAcceptされたと聞いてからの理研のプロモーションの仕方は尋常ではなかった。研究の内容ではなく、それ以外のところばかりが取り上げられた。もちろん「馬鹿な大衆」ども相手にはそうしなければならない、という事情はわかる。しかしそれがあまりにも低俗だった。

理研は「不正は一人だけが行ったもの」として幕引きを行う構えである。私はこの姿勢は間違っていると思う。世の中にはアカデミックの研究者という人たちがおり、その人達はムラ社会を形成し、その中で暮らしている。(そうでない人もいる)

このような状況において研究論文に疑問を示す研究者は、研究者コミュニティからも「コミュニティの和を乱す人物」として敬遠され、アカデミアの外に追いやられるリスクが高くなります。研究者の世界は狭いものです。誰かの研究結果について公で議論するのはカドが立つため、円滑な人間関係を維持しづらくなります。

via: 研究者が沈黙する理由 - むしブロ


このコメントをどうとるかは人によって様々だと思うが、その率直さを歓迎したい。ムラ社会ではムラの平和を守ることが最優先なのだ。

その「ムラ理論」ではこうした幕のひきかたは許容されるのだろう。私は納得しないが、別に私は理研に寄付もしてないし。

今回「博士論文」の不正が発覚したことで冷や汗をかいている「博士」も多いことだろう。もちろん立派な「博士」もたくさんいるが「一体なぜこの人が博士号をとれたのか」と不思議に思う人はその何十倍もいる。とはいえ審査するのも追求するのも「ムラ」の中の出来事だからそのうちウヤムヤになるだろうが。

ただ「博士号」というものに対しての不信感が高まったことだけは疑いようがない。まあこれも実世界ではあまり関係ないか。立派な博士に聞けば「いや、私は、私のまわりではまじめにやっている」と答えるし、実際そうだろう。しかし前述の事情により、ムラ社会では自浄作用が働かないのだ。


ある社長の思い出

2014-04-09 06:53

社長といっても大企業の子会社だから、「片道キップ」を渡されて落ちてきた人である。

しばらくつきあっているうちに、会話のパターンが見えてきた。何を話していても3分後には自分の自慢話(と自分が思っているもの)になるのだ。親会社のエンジニアと共同で、親会社から表彰を受けた社員がいた。それについて一言褒めたあと「組んだ相手がよかった(つまり親会社の社員)」「あの社員は私が育てた」「私はこんなすごいことをした」までたった2分で移行したのにはさすがに驚いた。

そのうち彼は会社のゴミ箱の状態をチェックするのが朝の日課になった。そしてちゃんと分別がなされていないとうれしそうに

「燃えるゴミのところにこれを捨てた人がいる。そうい奴は出社するに及ばない」(要するに首にする、ということ)

と宣言した。まあ大企業の子会社というのはこういうものだ。ただ彼が何をそれほど怯えているのかだけがよくわからなかった。想像するに無能だということは誰にでもすぐわかるのだが、多分彼の認識能力はそこまで及んでおらず

「自分の無能さを発見されたらどうしよう」

といつも怯えていたのだと思う。

昨日、こういう記事を読み反原発の人たちと同じロジックが根底にあることに気がついた。

目的:自分に力があることを確認する・・・ために
手段:自分以外の誰か/何かをコントロールしようとする

という行動が共依存的人間関係の根本にあるのですが、そもそも

「自分に力があることを確認したい」

と思っている人というのはどういう人かというと

「自分に力があるという実感がない人」
via: 放射能被害の発生を声高に訴えてきたオオカミ少年は、悲劇を望むようになる : アゴラ - ライブドアブログ


震災以来「"正義の味方"という処刑人になりたい人たち」がたくさん湧いてきた。いろいろな動機の人がいたと思うが、「自分に力がある実感を得る」ために騒いでいる人たちも多いのだろうな。


世界は狂気で満ちている-それで成り立つらしい

2014-04-08 07:10

というわけで、先日大変話題になっていた動画を以下に示す。

でもって世界中からこの動画に「同意と賞賛」の声が寄せられているわけだ。

しかし一歩引いて考えてみよう。この動画をみて「俺は(わたしは)あのエンジニアだ」と思う人は多いが、誰も「俺は(わたしは)エンジニア以外の登場人物だ」とは思わない。

これはおかしくないだろうか?計算が合わないではないか。というわけでいくつか仮設を提示する。

・「わけのわからない言葉の応酬」に喜びと価値を見出す人は、そもそもこの動画をみない。

・「俺は(わたしは)あのエンジニアだ」と思っている人は、外から見ると「こいつはエンジニア以外の登場人物だ」と思われている。

・「わけのわからない言葉の応酬」に喜びと価値を見出す人たちは集団で存在しており、その中でも「エンジニア」と「それ以外」が存在する。

しかしこういう感想がでてくるのも頷ける。

つまり、世界中の会議室でこれと同じことが起こってるんでしょうね。
そうじゃないかとは思ってたけど、こうやって証拠が上がってくると
自分だけじゃなかったという安心感とこれで大丈夫か地球はという不安が
同時に襲ってきた今日この頃。(^_^;

via: 「これは酷い!」「あるあるw」とある会議コメディが海外で大評判になってる: 誤訳御免。


キジルシばかりが集まっている会社(とか組織)というのは実際に存在する。しかしそれが結構ちゃんと収益をあげていたりする。これも長年の疑問なのだが、結構世の中は気が狂っていてもなんとかなるものなのかもしれない。

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もう一つ

みんなの党の渡辺喜美代表が化粧品メーカー大手の「DHC」吉田壽明会長から総額8億円を借りていた問題で、渡辺はこう弁明した。「自分個人に対する借金。個人的な借金で、政治家として生きるために必要な物をいろいろ買った。選挙資金や政治資金には使っていない。違法性はないと認識している」

   その買ったものの中に熊手があったというのだ。

via: みんなの党・渡辺喜美「8億円借金」お酉さまで熊手買った…もっとマシな言い訳しろ! : J-CASTテレビウォッチ


この言い訳に呆れるというより、こういう人間が「有力政党のトップ」にいる、という事自体が興味深いと思うのだ。あるいは民主党とかね。野田くんを除いてトップは極めつけのキジルシばかりだった。

つまり、民主党とかみんなの党に所属している人たちというのはこういう人間をトップに置いて問題なく日常を送っていける、ということなのだ。それはそれですごいことだと思う。

というわけで今日の結論

「世の中結構馬鹿ばっか。それでも成り立つ」

こう考えればちょっと前向きになれませんか?


Microsoftの車載システムへの野望

2014-04-07 07:19

Microsoftが車載システムに進出しようとしてからはや10年以上。Windows Automotiveとか懐かしいなあ。天下のMicrosoft様のOSで車載システムのすごいUIが開発できます!ってなプレゼンを何度聞いたことだろう。そういえばいつかやった仕事もOSはiTronとWindowsと両方想定していたし。

昔話をするときりがないのだが、その野望はいつまでたっても「野望」段階で止まっている。そうこうしているうちにWindows MobileはiOSとAndroidにふっとばされ車の分野では皆Windowsのことなんか忘れ、注目はiOS CarplayとAndroidのほにゃららになった。いや、こういう場面でこそMicrosoftのコピー能力を活かすべき。というわけでこんなものが発表された。

なんというか、Microsoft担当者の心持ちを思うとため息しかでない。去年のApple CarPlayのデモをみて一生懸命作ったんだろうなあ。まだこのデモはコンセプト段階で、実際デモもろくに動いていない。クラッシュしたところでVisual Studioの画面が見えた。開発者はあの画面だけでどんな段階にあるか理解できたと思う。元の記事でもこう書かれている。

It might be some time before we see this in reality, but at least Microsoft is aware it needs to take a different approach to getting its products into the cars of the future.

via: Microsoft unveils Windows in the car, battles Apple CarPlay | The Verge

訳:このシステムが現実世界にでるまではだいぶ時間がかかると思う。しかしMicrosoftは少なくとも「異なるアプローチ」を取る必要があることに気がつくべきではないか。

私が具体的に「異なるアプローチ」について教えてあげよう(何様)実に簡単なことで、しかも効果抜群だ。いいですか?

Windowsマークを取れ。なんでもいいから別の画像に変えろ

Windows Phoneの時も思ったが、Windowsマークというのは仕事でしか見ないものなんだよ。つまり仕事の象徴。使わなければならないから使っているだけで、誰もそんなもの使いたいと思っていない。Necessaly Evilというやつだ。そんなものを個人的な時間である車の中に持ち込もうと思う人間がいると思っているのか?





音声認識の運命(続き)

2014-04-04 07:05

私は音声認識に代表されるNatural User Interfaceにはつねに懐疑的な態度をとっている。もっと正確に言えば、「それらに対する過剰な期待」に懐疑的な態度をとっている。こうして文字にすると当たり前のことだな。

昨日のエントリーを書いてから、面白いことに音声認識関連のニュースがいくつか続いた。

まず親愛なるMicrosoftだ。

米Microsoftは4月2日(現地時間)、「Build 2014」の基調講演で、モバイルOSのアップデート「Windows Phone 8.1」の新機能「Cortana」(コルタナ)を発表した。米Appleの「Siri」や米Googleの「Google Now」と競合する音声によるパーソナルアシスタントだ。

via: Microsoft、「Cortana」発表──Siri対抗のパーソナルアシスタント - ITmedia ニュース


昨日この基調講演を見ていた。まずコルタナを紹介したところで「わざとらしい歓声」があがったのに笑った。この「わざとらしい歓声」はMicrosoftの伝統芸なのだろうか。しかし今頃Siriもどきをだされてもねえ、と誰もが思ったのだろう。

もう一つ面白かったのが、デモがなかなかうまくいかなかったことだ。今日の気温は?(Fで返答が変える)「気温を摂氏で」というとちゃんと返答が返る(カナダでは摂氏が使われているのか?)しかしデモはそこで止まらず

「ケルビンで(絶対温度)」

という。Geek相手のプレゼントしてはなかなかいいネタだ。しかしコルタナちゃんはなかなか理解してくれない。最後には諦めた。デモをしていた人が言うとおり「5000人を前に音声認識のデモをするのは難しい」のは本当だろう。しかしこのデモは音声認識技術は21世紀になって10年以上もたつのに未だに

"Speak and Pray"

という状態にあることを示している。(以下のビデオの28分ほどから)


このような状態ではあるが、ソフトウェアの巨人たちは依然として音声認識技術に対する掛け金を釣り上げている状況のようだ。

Apple has acquired Novauris Technologies, a company with a lot of talent in the automatic speech recognition field, according to a report from TechCrunch.

via: Apple acquired speech recognition company Novauris last year to improve Siri | 9to5Mac


このニュースを見て「?」と思った。調べてみて驚いた。この会社-NovaurisのCEOは前職の時に何度訪問してきてくれたことがある。とても感じのよい「真面目なエンジニア」という感じの人だった。スマホ上で日本の駅名を認識するデモをしてくれた。Linked in で調べてみれば確かにManager Siri at Appleになっている。

私は今のような方向から攻めていってはたして音声認識が使える技術になるのかどうか非常に疑問に思っている。問題が存在していることは確かだし、誰もそれに対する「鍵」を見つけていないから攻撃するのは正しい。しかしもっと創造的な攻撃方法がないかと思うのだ。機械と人間の間には越えがたい壁が存在しており、音声認識がこれだけの努力にもかかわらず使い物にならないのはその壁にぶつかっているからだ。壁をくぐるか、避けるか全く別の方からの攻撃が必要だ...というだけなら簡単だが。


音声インタフェースの運命

2014-04-03 07:39

AmazonがTVにつなぐセットトップボックスを発表した。

実にAmazonらしいというかなんというか非常に常識的。でもって「音声インタフェース」があることを売りにしているらしいのだが。

上記ビデオをみてもらうと「エンダーのゲーム」を表示させようとして何度も失敗している。結局他の「認識しやすい映画」に切り替えデモを成功させている。

音声認識がクラウド対応を前提にするようになってから、考えられないくらい認識率は向上した。しかしまだ状況はこんなんである。しゃべる。そして祈る。願わくば音声認識の神様が願いを聞き届けてくれますことを。

こうした「操作する上での不安感」というのは実に楽しくないものだ。何度も書いたかもしれないが、ではどうしたらいい、と考えると「画面に表示されたボタンを押す」というのは実に素晴らしい発明であることに気がつく。もっともそれがスマートフォンなみにちゃんと反応する、という条件つきでだ。抵抗皮膜式のカーナビは

「画面を押し、そして祈る」

という状態である。


卒業式のスピーチ

2014-04-02 07:11

Stanfordで行ったJobsのそれは有名だが、ジェフ・ベゾスがプリンストンで行ったこのスピーチも素晴らしい。

彼はトレイラーの横で立ち止まりました。私もそこで止まります。少しの沈黙の後、彼は私をしっかりと見て、やさしく穏やかにこう言いました、「ジェフ、いつかわかる日が来ると思うが、賢くなるよりもやさしくなるほうがはるかに難しいことなのだよ」

via: 「才能と選択の違いを知ること」 Amazon創業者ジェフ・ベゾスが卒業式で語った、道の切り開き方 | ログミー[o_O]


こういう「プレゼンテーション」を聞くと「かなわないなあ」と思う。そもそもベゾスに「かなう」ことを考えるあたりからして間違っているのだろうが。

振り返って私が聞いた卒業式のスピーチで覚えているのは、、あれだけだな。日本の教育機関で聞いたものは全部頭から抜け落ちている。

いや、全米でも毎年数限りない卒業式のスピーチがあったなかで名を残しているのはたった2つだけだ、ということもできるし、おそらく日本にもよいスピーチはあるのだろうが不幸にして私は知らない。

80歳になったあなたが、あなたの過去を振り返るとしましょう。その時に一番心に残っていること、思い出すことはあなたが下してきた決断の数々であると私は信じています。あなたが何を選ぶか、あなたが下す決断が「あなた」をつくっていきます。

via: 「才能と選択の違いを知ること」 Amazon創業者ジェフ・ベゾスが卒業式で語った、道の切り開き方 | ログミー[o_O]


この言葉は今の私には厳しく響く。80歳という年齢が「そんなになるまで生きてないよ!」と気楽にいえた10代、20代の頃はそう思わなかったかもしれないが。

と書いたところで沈思黙考モードに入ったので今日は唐突に終わるのであった。


たった4,411人の死者

2014-04-01 07:17

このネタも何度か書いたことだがあれこれ見返していてこういう記事を見つけたので再度掲載。

“If you look at newspapers from American cities in the 1910s and ’20s, you’ll find a lot of anger at cars and drivers, really an incredible amount,”

via: Murder Machines: Why Cars Will Kill 30,000 Americans This Year | Collectors Weekly


適当な訳:1910年、20年代のアメリカの新聞を見れば(事故を起こした)車それにドライバーに対する怒りの記事があふれていることに気がつくだろう。

つまるところ、我々が何を「悲劇」とするかは客観的な事実ではなく感情によるものなのだ。全日本交通安全協会のサイトを見てみるとこんな「さりげない」記述がある。

死者数が最も多かった日は7月31日(火)と11月1日(木)の25人

via: 平成24年中の交通事故死者数 - 一般財団法人 全日本交通安全協会


一日に25人もの人が命を失う。しかも年に2日もだ。考えてもみてほしい。例えばこれが「スマホを使うことが原因で死亡した人の数」だったとしたらどれほどの騒ぎが巻き起こるか。

しかしそれが「交通事故の死亡者数」となると誰もが「ああ、そうですか」と気にも留めない。私が幼いころはそれでも「交通戦争」という言葉があったが昨今これに類するニュースを見た記憶が無い。

とこんなところで書いていてもなんの効果もないと思うので「前向きな提案」をいくつか。まず最初に引用した記事にもあるように「そのように多くの事故を引き起こす物が、どのように社会に浸透し”あたりまえ”になったのか」というプロセスは大変興味深いものだと思うのだ。将来同じようなことが別の何かに対して起こらないとは誰も言えまい。

もう一つ。米国で一度だけ見たCMで未だに忘れられないものがある。かわいい赤ん坊、あるいは子供のビデオが数秒映しだされ

John Smith(仮名): Killed by drunk driver

という黒地に白のテロップが映し出される。それが数回繰り返される。

「交通事故で死亡」などと書くとどこか「風呂場で転倒して死亡」といったように主語が曖昧になってしまう。Killed by drunk driverという表現は強烈だし間違っていない。子どもたちは明らかに「殺された」。何か日本語でも同じような表現ができないか、と思うのだ。