携帯キャリアというビジネス

2015-01-30 07:13

auが光ファイバーと携帯電話のセット割を始めた時は「しめた」と思った。マンションがauの光ファイバーを使っているはずだから、携帯もauにすれば、、と思ったのだ。

とはいっても世の中で自分が決められることなどほとんどない。結局そうはならなかった。さて、NTTも同じことをやろうとするとNTT分割のほにゃらほにゃらがひっかかるのだそうな。かくして大騒ぎの末NTTもセット割ができることになった。どんなものかと見てみれば

その内容としては、ユーザーがISP(プロバイダ)を選び、ISP代が別途かかる「『ドコモ光』 単独型」と、ドコモと提携するプロバイダの利用料が一体となった「ISP料金一体型」という2つのプランがある。ISP料金一体型の中にも、料金が異なるタイプA、タイプBという2種類がある。タイプAは当初から利用できるプロバイダ、タイプBはシステム開発の都合により6月から提供するプロバイダとなっている。

 それぞれ戸建て向け、集合住宅向けで料金が異なり、固定回線だけで6種類の料金がある、というやや複雑な形だ。2年契約が可能だが、期間拘束がない場合、戸建て向けは1500円、集合住宅向けは1000円、高くなる。

引用元:固定と携帯のセット割「ドコモ光」発表、10GB/1万3500円~ - ケータイ Watch

固定と携帯のセット割はKDDIが「auスマートバリュー」で先行している。ドコモ光の優位性を問われた加藤社長は「簡単には言えない」と悩みつつ、「パケットを家族で分け合え、シェアパックのデータ量が大きいほど割引率が大きくなる。長く使ってもらうとさらに割引が受けられる。ドコモを家族で長く使っていただくとさらにお得という構造」が特徴だと話す。

引用元:「安さだけでは訴求しない」――「ドコモ光」の狙い “キャッシュバック合戦”には終止符 (2/2) - ITmedia ニュース

私はドコモの加藤社長はなかなかいい人ではないかと思っている。そしてその社長には悪いのだが

「何を言っているのか全然わかりません」

まあ「電話といえば電電公社」という概念が頭に刻まれている人はいいと思うのだよね。言われるがままに金を払い続けるから。

AppleのIveの名言でこういうのがある。

You are what you design

この料金プランのデザインは多分今のDocomoを表しているのだろう。減収減益、持ち株様からは「説明」を求められ社内では貴族たちが「おほほほ。」と優雅に会話をし「これ、お前らのせいで怒られてしまったではないか。はようなんとかせい」と部下をしかりつけ部下は一生懸命考えて練りに練った「お得プラン」を提出する。いろいろな部署のプランを「統合サービス部」が統合し、誰にも理解できない値段表ができあがる。

あれだよ。日本にもT-Mobileのようなキャリアができたらいいと思うんだ。孫君みたいに「日本のキャリアビジネスは投資資金を稼ぐためのキャッシュカウ」なんて人間じゃなくて、本当に日本の携帯キャリアを革新するような。


会議が嫌い

2015-01-29 07:21

会議が嫌いだ。会議をして「アイディア出し」をするのはもっと嫌いだ。そうしなければならない場合があるとは知っているが。

これは表のブログに書こうか書くまいかまよっている内容ではある。まずここで書こう。

The next time you need to make a decision or come up with a new idea in a group, call timeout and give the note-and-vote a try.

引用元:Note and vote: how to avoid groupthink in meetings | Google Ventures

この方式をいちいち書き下すことはしない。ポイントは

「集合知」

をその長所、弱点を含めた上でちゃんと使っていること。つまり集合知は正しいがそれは「お互いの干渉がない」うえでの話だ。つまり「話し合って」はダメなのである。

もう一つのポイントは

「すべての意見を聞いた上で、責任者が判断を下す。つまり多数決を尊重してもよいし、無視してもよい」

という点。

話はいきなり飛ぶ。学会の「査読」というのが嫌いだ。なぜ嫌いかというと「協議の結果」結論がでるから。いや、これはもう先行研究がある、という意見を集めるのは意義があることだと思う。しかし最終決定は

「それらの意見をちゃんと聞いた上で」

しかるべき人間が独断で行うべきだ、と今でも考えている。いや、

「なんでこんなのが通って、俺のが落ちるんだ」

という愚痴も8割くらい混じってるんだけどね。


目指すは究極のガラパゴス-DMMの取り組み

2015-01-28 07:10

もうここまでくると意図的にギャグでやっているのではないかと思いたくなる。

DMM.comロボット事業部の岡本康広氏は、「日本に欠如しているのはビジネス視点。1社独自で開発することがほとんどで、技術連携もなかった」と、ロボット産業のガラパゴス化を指摘する。

引用元:目指すは脱ガラパゴス、DMM.com発「スマートロボット」は世界で戦えるか - TechCrunch

違う。

ロボットと言っても広いので今回DMMが販売を発表したようなロボットに限るが、その最大の問題は

「なぜ消費者はこれに金を払うのか、という根源的な問題から目をそらし2足歩行することに異常に執着し、”2足歩行すること自体”が芸になっている」

点にある。だから二足歩行するロボットがやたらとメディアで報道されるのに、なんの役にも立たないといった状況が過去何十年も続いている。

1月27日に開催された記者発表会にゲスト参加した堀江貴文氏は、「ぶっちゃけ何に使うか見えてこない。ロボットで生活が変わるには、結構時間がかかりそう」とバッサリ。スマートロボットを購入するのは、「エンタメに興味がある物好きぐらい」という見解だ。

引用元:目指すは脱ガラパゴス、DMM.com発「スマートロボット」は世界で戦えるか - TechCrunch

必ずしも堀江氏の言動に賛同するわけではないが、「王様は裸だ」と恐れずに言う点は素晴らしい。

今回のDMMの発表は「脱ガラパゴス」の正反対「ガラパゴスの飽くなき追求」だ。いい加減に何か間違っていると気がつかないのか?なんの役にもたたない2足歩行ロボットが踊って「これが日本のお家芸」とかいっている間に、世界中でルンバは大成功している。「お家芸」ってなんだよ?


オーディオはエンジニアリングではなくファッション

2015-01-27 07:22

いや、前回書いたことの続報なのだけど。

オーディオ研究者の国際組織であるAES(※)は、SACDと普通のAudioCD(RedBook)の音質の違いが果たして人間に判別可能なものか?をテストした結果を2007年に発表しました。
http://drewdaniels.com/audible.pdf
http://mixonline.com/recording/mixing/audio_emperors_new_sampling/

結果ですが、554回のテスト結果、正答率は49.82%、つまりほぼ完全に半分であり「まるでコイントスで決めたような結果」だったとのことです。

引用元:価格.com - 『SACDと普通のCDの音質差は人間には判別不可能』 ヘッドホンアンプ・DACのクチコミ掲示板

でもってこの引用ページに書き込まれた「オーディオファン」の書き込みを要約すると

「信じるものは救われる」

となる。一歩引いてみれば「信じるものは搾取される」が正しいのだが、まあ人間心の拠り所をどこかに持つ必要もあるのだろう。

 ソニーのオーディオ事業は黒字を確保しているとみられるが、スマホの普及などで市場は縮小傾向にある。このため、スマホでもハイレゾ対応モデルをそろえ、差別化を図る。

 ハイレゾを“救世主”と位置付けるのは他社も同様だ。パナソニックは4年ぶりにオーディオ機器の超高級ブランド「テクニクス」を復活させ、対応製品を投入する。

引用元:「ハイレゾ音源」に復活託すソニー スマホ不振…携帯音楽プレーヤーで攻勢 (3/3ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

というわけで「業界」あげてオカルトに邁進しようとしている。しかしこれは「オカルト」というほど非難されるべきことではないかもしれない。

こういうことだ。つまりオーディオはエンジニアリングではなく、「ファッション」の領域に入った、と。同じ製品であっても、ブランドマークがつくだけで値段が何倍にもなるのがファッションの世界。それであればまだ「音楽のビット数が多い(人間は区別できないけど)」のオーディオのほうがまだ良心的とも言える。

考えてみればApple Watchも「家電」から「ファッション」の領域に踏み出そうとしていると考えることもできる。であれば「ハイレゾ信仰」とその信者からの「お布施」に企業復活をかけるのもそう非合理的なことではない。一エンジニアとしては、かつての日本家電メーカーの凋落を見る思いで寂しくはなるけどね


裸のデバイスとSDKを配布する愚行

2015-01-26 07:00

世の中にはデバイス原理主義者とか、技術原理主義者という人たちがいる。「こんなすごいデバイス(技術)作っちゃいました!みなさん使ってください!SDKも公開です」とやって得意顔。これは実際にあった例だがある学会で「画像処理の画期的な研究」を発表した人がいた。

「これは何に使えるんですか?」と質問され、返した言葉が

「僕そういうの考えるの苦手なので、誰か考えてください」だった。

世の中で起こっていることを薄目で見ていると、こうした「誰かすごいアプリ作ってください!」戦術が成功する確率は極めて低いことがわかる。もちろんそのデバイスがあまりにすごいので人々の想像力を刺激してやまない場合は別だが、そんなことは滅多におこらない。

"They should spend as much money doing that rather than just on hardware tech and saying, 'Okay developers, we'll leave it to you.' If you look at the cases where technology has worked well - touch is one of those, and Wii Sports and motion control; Nintendo didn't introduce motion control until they had Wii Sports. You weren't just playing a few demos

引用元:Molyneux warns Microsoft: Don't overpromise on HoloLens | GamesIndustry.biz

これは先日発表されたMicrosoftのHoloLensについて書かれた言葉だ。私はこの言葉に全面的に同意する。任天堂は「ほら、このリモコンすごいでしょう、動きがとれるんです。みなさん、すごいゲーム作ってください!」とは言わなかった。Wii Sportsを作り同時に発表したのだ。Appleは「ほら、このスクロールすごいでしょう。(以下同文)」とは言わなかった。実際に動くすごいアプリをいくつも揃えて発表したのだ。

そう考えると先日MicrosoftがやったHorolensのデモはよくある

「完璧に計測された環境下では動く、面白さがよくわからないデモ」

「いつまでたっても未来にあるコンセプトビデオ」

「開発者のみなさん、がんばってね」

のコンビネーションであったように思える。なんでこういう間違いを何度も繰り返すかね。



変わろうとしている巨人

2015-01-23 07:28

ナデラになってからのMicrosoftには確かに変化が見られる。しかしやはり変化していない部分もある。

両方の面を見られた点において昨日の発表会は面白かった。では個別に。

マイクロソフトが開催中のWindows 10 メディアブリーフィングより。マイクロソフトはWindows 10のリリースから1年間は、Windows 7 / Windows 8.1 / Windows Phone 8.1から無料でアップグレードできるようにすることを明らかにしました。

引用元:速報:Windows 10は無料でWindows 7 / 8.1からアップグレード可能。リリースから1年間限定、Windows Phone 8.1も対象 - Engadget Japanese

今回は限られた記者を相手に発表しているので会場の反応が薄いのはしょうがない。しかしこの「無料化」を発表した時の演出の下手さは爆笑ものだった。「Windows10が発表されてから一年は」というセリフを3回も繰り返し、対象となるバージョンを、、まあいいや。あといつもでてくる小柄な人のコルタナとのかけあい、あれ面白いと思ってんのか?

とはいえ多くのメディアがスルーしている

「これから数年、Windowsは世界でもっとも普及しているインターネットサービスになる」

という概念は面白いと思う。インターネットサービスで「どのバージョンをお使いですか」と聞く人はいない。最新のバージョンが当たり前だというわけだ。

しかし

多分ほとんどの人はその「恩恵」を受けられないのではないか。例えばこうだ。今会社から支給されているのはMac Book。しかしその上で動いているのはYosemiteではなくMarvericksだ。いつもMac Bookは「無料でYosemiteが」と言ってくる。しかし特にMicrosoftが得意とするエンタープライズ分野ではそんなことは関係ない。「情報システム部門」がお墨付きを出すまではアップグレードができないのだ。

それが「たった1年」で可能か?と言われればまあ無理だろうなと思う。情報システム部門とは「仕事を早くやる」部門ではなく「責任を回避する」部門だ。ああ、バカバカしい。

次にはこのホロなんとか。チャレンジ精神はすばらしいと思う。Microsoft Researchの膨大な研究成果がこの製品に!

問題は

こうした機器が常にひっかかってきた

「で何に使うの?」

に答えられていない、という点。それがない限り普及はせんよ。デモではなんだか

「空間上で、クアッドコプターを作る」

というのをやっていた。ものすごい技術があれこれ使われていることはわかる。しかし見ている間じゅう

「これ、iPad上でやればもっと簡単なのにな」

と思っていた。だって結局見ているのは2次元の平面だもん。iPadでやれば信頼性のない「空間内でのジェスチャ認識」なんかやる必要ないし。

何度も書いてきたことだが「重要なのはアプリケーション」であり、Microsoftはその問いに対して答えていない。

もう一つ彼らが答えなくてはいけない問いがある。

IT関係者のMac使用率が高いことは今に始まったことではないものの、たしかに写真で確認できる限り、ほとんどの記者がMacを使用していることが確認できます。Microsoftのタブレット端末「Surface」シリーズを使用している記者が若干名、といったところでしょうか。
 
情報元のiMoreによれば、このような状況は数年前から継続中とのことですが、Microsoft(特に発表者)としては発表会当日のこの状況は非常にショックだったでしょうね。
 

引用元:Windows10発表イベントがAppleの広告のようだ、と話題に - iPhone Mania

「安くする」のは話の半分以下でしかない。Surface Pro3はMac Bookよりこんなにいい!とどれだけMicrosoftが大声で主張しようが、現実は厳しい。発表会の記者席には多くのリンゴマークが光っているのだ。

この問いに答えてもいいし、無視して「Microsoftはエンタープライズ専用システムです!」と宣言してもよい。MicrosoftはProductivityの会社だと宣言したのだから、後者でいいと思うのだけどね。

「個人はいやがってるけど、情シス部門には大モテのMicrosoft!」

ってことで。


もう自分でやっちゃうよ

2015-01-22 07:29

これまた何度か書いてきたことだが、今朝たまたま二つみかけたので引用しておく。

Google is preparing to sell mobile phone plans directly to customers and manage their calls and mobile data over a cellular network, according to three people with knowledge of the plans. 

引用元:Google’s Next Telecom Move: Becoming a Wireless Carrier - The Information

Googleさん。日本のMVNO安いですよ。ぜひアメリカだけでなく日本でもサービス提供を。Appleがその前に入ってくるかもしれないし。

きっと彼らもキャリアとの交渉がアホらしいと見切りをつけたのだろう。

でもってその上で流通すべきコンテンツだが、ここにもやれなんとか権利だとかの難関がたくさん存在している。というわけで

 Amazonは、ドラマだけでなく映画の製作にも乗り出すようだ。製作した映画は、劇場で公開してからストリーミングサービスの「Prime Instant Video」で配信するという。

 Amazonは2010年にAmazon Studiosを設立し、Prime Instant Videoで独占配信する新しい番組の製作や資金提供を開始した。その目的は、映画やドラマのラインナップを増やし、Prime Instant Videoの登録ユーザーを増やすことにある。

引用元:アマゾン、映画を独自製作へ--劇場公開後1~2カ月でネット配信 (CNET Japan) - Yahoo!ニュース BUSINESS

年をとるごとに実感することだが「芸能界」というのは実に奇妙な世界だ。米国の事情は知らないが、日本のそれは完全に供給者側のロジックで作られているとしか思えない。

それゆえ新しいメディアであるネットとは親和性が極めて悪い。もうあれですよ。この際全部チャラにして作り直したらどうですかねえ。日本でこれをやるとすればYahooか楽天か、、あまり期待できないが。


気持ち悪い言葉

2015-01-21 07:08

というのがいくつか存在する。昔からある「ネチズン」という言葉にはいつも気持ち悪さを感じるが、最近ではYoutuberがそれにあたる。

Super CoolなGoromi for Youtubeを立ち上げると、まず「日本の人気動画」が表示される。自分で作った仕様だがこれが気に入らない。そこに表示されるのが

「誰がこんなものみるのだ」

という素人が作ったビデオばかり。確かに突発的な話題になったビデオが見られることもあるのだが「打率」の低さには辟易している。地域を米国に切り替えた時とのこの差異はなんなんだ。

そして最近その「ゴミビデオ」を作っているのがYoutuberなる人たちであることを知った。ああ、また「気持ち悪い言葉」との遭遇だ。

なんでもそれだけで生計を立てている人もいるんだそうな。そして「なぜ私がゴミと感じるビデオが上位にくるのか」という謎が昨日ようやく解明された(ような気がした)

実はuuumの握手会にて参加者が、

小学生が大半だったということが発覚しています


詳しいことは話せませんが、

「YouTuberの視聴者が明らかに小学生」

だということが分かります

引用元:YouTuberの視聴者は小学生!?|公式まさがえるブログ

小学生低学年が「面白い」と思うものと我々がそう思うものは一部重なっており、一部全く異なっている。どうやらYoutuberはそうした「異なっている」領域で商売をしていたようだ。なら納得。

しかし

かつてはTVをみていた時間のうちのいくばくかが、そうした「Youtube視聴時間」に流れているというのは面白い話だ。金の向先が違うだけで、起こっていることはあまりかわらない、というのは退屈だなあ。


日本のベンチャー育成を阻むもの

2015-01-20 07:09

何度か書いてきたことだが、改めて書いておく。CESでの日本ベンチャーに関して全く対照的な二つの記事がある。

日本勢でも、身に着けられる「ウェアラブル端末」をはじめ、柔軟な発想で生まれた新技術で注目を集めた。

 「ログバー」(東京)は、指先を動かすだけで家電を操作できる「指輪型ウェアラブル端末」を展示。スマートフォンと連携し、指で三角や四角などを描くだけで、照明のオン・オフやテレビの音量調整などができ、「革新的なウェアラブル端末」として主催者から賞を受けた。山崎貴之・最高執行責任者は「この指輪を使えば魔法使いになれる」と技術力とユニークさを兼ね備えた端末に胸を張った。

引用元:「魔法使いになれる指輪」日本ベンチャー高評価 : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

これを読むと「をを、日本のベンチャーもがんばっているな」と思う。ただ「注目を集めた」に関しては何のエビデンスも上がっていないことに注意しよう。次にはこの記事

同エリアは出展社数とブース全体の面積が急拡大中。2015年はEUREKAの展示スペースは前年比で約6割も広がり、この場所への出展企業は20カ国以上、300社超に上った。今年は特に、フランスやイスラエルからの出展社数が多かったようで、この2カ国の企業がやけに目についた。残念ながら、日本企業の存在感はここではほとんどない。

引用元:あの場所で実感した、日米の勢いの差 (3ページ目):日経ビジネスオンライン

思うに読売新聞の記者は英語がしゃべれないのではないか。というわけで日本のベンチャーを数社回ってはい記事の出来上がり。あーラスベガスは楽しかった。ちなみに読売の記事でもちあげられているCERVOは後者の記事で「解説者」としてしか登場していない。

というか「メリケンサック」と呼ぶべきあの「円形をした何か」を持ち上げられるのは、「私は何もしらない素人でございます」と言っているようなものだ。理由はわからないが、メリケンサックを持ち上げ続けるTechCrunch Japanも同様である。

米国で訪問した500 Startupで感じた熱気と、日本のベンチャーコンテストなどで感じる「気持ち悪いさ」。この差異はなにによるものなのだろう。


iPhone=Dreadnought論

2015-01-19 06:59

そんなのは俺が、iPhone発表直後に考えたことだー!

Rather like the iPhone, it contained few things that were fundamentally new - most of the key features had been around for a while and considered elsewhere - but it was the first to put all of them together in one place in the right way, and, like the iPhone, this changed everything. Every other warship afloat was obsolete. 

引用元:Resetting the score — Benedict Evans

などと言ったところで実質的な意味はあまりない。世界中で何人の人があのプレゼンをみて「唖然」とし、そしてドレッドノートを思い浮かべたことだろう。

そして今朝こんなニュースを知る。

Twitter Japanは1月16日、NTTドコモのフィーチャーフォンで利用できるTwitterのiアプリ「Twitter for iアプリ」を1月31日に終了すると発表した。

引用元:Twitterのiアプリ、1月31日に終了 - ITmedia ニュース

iアプリなるものを誰か覚えているだろうか?あるいはiモードという世界に「花開いていた」下品な広告バナーだらけの世界を。

先日何かのビデオを見ていて「このアプリは、3キャリアのここからダウンロードできます」という懐かしい絵を見た。dメニューなるものの南蛮目にのるかに大きな意味があった時期があるのだよ。

iPhoneという核爆弾は、そうした世界を文字通り一掃した。その変化を「現場」で目撃することができたのは幸運だった、と思うことにしよう。

しかしあのiモードのゴミ仕様との格闘はなんだったんだろうね。そしてもっとゴミな「カーナビプラットフォーム」との格闘はあと何年続くんだろうね。


2015年の予想

2015-01-16 07:12

というわけで年頭にあたって、2015年の予想をたてたい。もう松も取れたではないか、とか細かいことを言う人はいませんね。

いや、自分で予想を立てるのではない。別の人たちが建てた予想から「なるほど」と思ったものを引用するだけなのだが。

1. Cyanogen. This company should develop a credible path for AOSP (non-Google GOOGL -0.36% Android) especially in India. I expect a lot of traction as OEMs who embrace Android reject Google.

引用元:The 2015 "Sleeper Ideas" List: Trends, Stocks, And Private Companies To Watch - Forbes

Androidは誰がコントロールしているのか?というのは何度か問われてきた。そしてGoogleですらコントロールできなくなっている、というのが正しいのかもしれない。非GoogleのAndroidが離陸するだろうか?Tizenは無理だろうけど。

2. iPad. Not as a consumer product but for the Enterprise. The iPad grows up into a solid product for business while being replaced by phones in consumer “jobs to be done”.

引用元:The 2015 "Sleeper Ideas" List: Trends, Stocks, And Private Companies To Watch - Forbes

Appleは「共食い」を恐れない企業として知られる。iPhone6+はiPad miniを駆逐しつつあるのだろうか?そしてiPadはどこに向かうのだろう。個人的には家庭のiPad2の液晶がひび割れていることもあり、iPad 12inchに期待している。それがどんな製品かわからないうちから。しかし「家族複数人で見ながら操作する」という需要は確実に存在することを確信している。iPhone/iPad両用のGoromi for Youtubeだが、我が家では、そして全世界に広がるあと数人のユーザの中でもiPad版の利用が圧倒的に多いのだ。

3. Google will become a car company.

引用元:The 2015 "Sleeper Ideas" List: Trends, Stocks, And Private Companies To Watch - Forbes

これは私が何度か主張してきたことだが、はたして2015年にその兆候が現れるだろうか?日産買収するとかどう?

Google will use some of its $65 billion in cash to buy Twitter as their Social media strategy

引用元:The 2015 "Sleeper Ideas" List: Trends, Stocks, And Private Companies To Watch - Forbes

などという話より、もっと具体的に「Googleが次に買収するのはどこか?」という予想がいくつかある。Tiwtterというのは成功しそうでしないよくわからない存在だ。そのほかにもLINEという予想がいくつかあるが、これは個人的に予想し難い。一つの理由はLINEという企業にまつわるどうしようもない「信じられない」雰囲気だが。

ずらずら眺めているとApple Watchの成功を予想する声がいくつかある。正直言って私はそれほど確信を持っていない。「最初から成功」になるか、「将来に期待を持たせる製品」になるか。

誰も日本企業について言及してくれないのね、と思っていたら一人だけ「ソニー復活!」を予想している人がいた。私は逆にソニーが分割されゆるやなか消滅への道を辿っていることが明確になると思うが私の予想だから逆が正しいのかもしれない。

IOTがどうのといっている人間は何もわかっていないと思うし、VRも結局「デモシステムの山」で終わると思う。個人的には思ってもみなかった方向からの「自動車の破壊」が見たいが、これについてはどうなるかわからない。Teslaみたいな会社があと一つ二つ生まれてもいいと思うのだけど。


とにかく線を伸ばそう(行く先)

2015-01-15 07:17

さて、昨日書いた日本の家電メーカーの「とにかく線を伸ばそう」メンタリティである。そう遠くない過去において

「薄くて軽くて小さい製品を作らせたら日本メーカーの右にでるものはいない」

という時期があった。そしてその頃入社した人たちはその「栄光の時代」が忘れられないのだと思う。かくしてこんな製品が声高らかに発表される。

なお4Kテレビとして世界最薄4.9mm(ソニー調べ)といっても、最薄部は筐体の上半分だけ。

下半分は出っ張っており、出っ張り部分の天面から熱が放出される設計です。

なおテレビを薄型スマートフォンよりも薄くする必要があるのか?とソニーの担当者に尋ねたところ、「薄型設計は壁掛けを想定したもの。テレビと壁の間には放熱のための空間が必要。X900Cシリーズは4.9mmのFloating Styleを採用したことで、壁掛け時に壁との距離が広がり、放熱の効率が向上する」と回答をいただきました。

引用元:iPhone 6より薄い4KテレビBRAVIA X900Cインプレ。薄さの理由は放熱対策 - Engadget Japanese

このSONYのプレゼンを動画で見た。「スマートフォンより薄いテレビ!」と高らかに宣言したあと、会場から

「だから何?」

という声なき声が聞こえたように感じた。その答えが

「放熱がよくできる」

と言われても

「はあ?」

以外何を言えばいいのかわからない。しかしSony社内では

「世界で一番薄い!iPhoneに勝った!」

というとよくわからない"Kando"が巻き起こるのだろう。

とか書いていてなんとなく「ガリバー旅行記」のような気がしてきた。それくらい「会社の中の文化」は外からみてずれている、ということか。


とにかく線を伸ばそう!

2015-01-14 06:57

Audio/Visual業界の「とにかく性能を向上させよう」という意欲には畏怖の念すら覚える。多くの人は忘れていたと思うが彼らはついこないだまで

「これからは3DTV」

と称し、誰も放映していない3DTVを売ろうとしていたのである。そして最新の「トレンド」は「4K,8K,ハイレゾ音源」だ。

批判すべき対象ではなく、憐れむべき対象になったソニーだが、ああ、どうしてこうネタにことかかないのか。

ソニーからは再生音質を重視した高音質版のmicroSDカードも発売される(ただし、こちらはまだ話で出ていただけなので、詳細は不明だ)。もちろん、通常のmicroSDカードも使える。

引用元:【本田雅一のAVTrends】新ウォークマン「NW-ZX2」の音質をCES会場でチェック - AV Watch

何事もそうだが、「正常」と「異常」の間に明確な境界線はない。そしてオーディオマニアという世界はそのグレイゾーンからかなりはみ出している、ということは知っている。しかし他に売るものがないとこんな発言を公にするようになるのだな。

シャーシにはアルミと銅を使ったハイブリッドシャーシを使用する。フレームには総削り出しのアルミ材を用いたうえ、金メッキを施した銅板を組み合わせることで、本体の剛性を高めるとともに抵抗値を大幅に下げ、クリアで力強い低域再生の実現につなげている。

引用元:2015 CES:ソニー担当者に聞く――ウォークマン「NW-ZX2」と新コーデック「LDAC」の特徴 (1/3) - ITmedia LifeStyle

本体の「剛性」を高めることで「クリアで力強い低域再生」ってさあ、本体が振動するならともかく、そこから接続されたヘッドフォンが鳴るんだよね?

いや、別に個人の金だから何に注ぎ込もうと自由だろうというのはもちろん正しい。シャーシの抵抗値が下がっているからこのウォークマンはいい音がするんだ!と大金を払う人がいようが私が文句をつける道理はない。ただ驚くのが、「あの」ソニーが、こういう「オカルトビジネス」を表に出してきたことだ。窮すれば鈍すとはよく言ったもの。

と嘆いているばかりでは生産的ではない。一つ思いついた。こういう「オーディオオカルトロジック」は学会でときどき見かける「感性を取り入れたなんとかシステム」とよく似ている。

何が似ているか?例えば「感性を取り入れた作曲システム」では途中のロジックに組み込まれた「感性表現変換アルゴリズム」が如何に慎重に設計されたかが語られる。しかし

「でもってその出力だけから本当に元の感性が反映されていると誰か識別できるわけ?」

という出力の評価が完全に欠落している点だ。そう指摘しても

「いや、感性を取り入れているので、大丈夫です」

という堂々巡りの議論にしかならない。それはあたかもソニーの担当者が「これだけインピーダンスを低下させ、これだけ剛性を向上させています」ととうとうと述べるようなもの。で、それ剛性が低い筐体に取替えて、ブラインドテストで判別できるの?と聞くのは「禁句」なのだろう。

どうやら大学というところで、そうした不思議な営みを続けることは意外に簡単らしい。きっとオカルトオーディオの教授も存在していろいろなことをやっているのだろうな。私が知らないだけで。そしてソニーは今やそうした「ニッチ」な領域しか売るものがないらしい。


Mac Book Air 12inchのインタフェース

2015-01-13 06:39

というわけで、新しいMac Bookのインタフェースである。いろいろな意見がある中で「これならば成立するだろう」という意見を読んだ。

Most connectivity is wireless these days, we’ve made a great $49 accessory that adds all the ports you’d want, and the included power adapter—the most innovative power adapter ever—features a breakaway magnetic coupler and is itself a USB and Thunderbolt hub.

引用元:Six Colors: The 12" MacBook Air: Back to basics?

というわけで絵にしてみた。

IFコンセプト

確かにこれなら成立するような気がする。ケーブルを蹴飛ばしても電源ユニットについたMag Safeがなんとかしてくれるだろう。でもって3番目の図の「拡張ユニット」を3rd partyにも開放すれば満点であるが、それは期待できないか。

Mac Book Airを最初に買った時、Ethernet,USBのI/Fを買った。これを常時持ち歩くことになると思ったが結局あまりつかっていない。

この拡張ユニットもそういう扱いになるんだろうか。一番使用頻度の高いディスプレイインタフェースだけは、単独の扱いになりそれだけ持ち歩くことになるのかな。しかしプレゼンの時に電源に接続できないのは不安だな。。

もう一つ気になっていることがある。Lightning Cableの将来だ。この際iPhone/iPadのI/FもUSB Type-Cにしてもいいんじゃないだろうか。もちろん些細な優劣はあるんだろうけど一見してLightning Cableじゃなくちゃいけない理由があるようにも思えないし。

初代USBが登場した時、NECが普及させようとがんばっていた記憶がある。ここまで来るのにかかった時間とその間の変化について少し考える。


社内のアイディアコンテスト

2015-01-09 18:10

日本の企業は、「社内のアイディアコンテスト」が大好きである。第一に「会社はみんなのアイディアに耳を傾けていますよ」という姿勢を示すことになる。第二に「社員の未熟なアイディア」をこきおろすのは楽しいし自分の経営者としての力量を示すことになる。第三に対して費用がかからない。

というわけで、苦境に陥った日本の家電メーカーはアイディアコンテストにいそしむのであった。問題は

「そもそも苦境に陥ったということは、経営陣に新しい事業を評価する目がない、ということだ。その経営陣に社員のアイディアが評価できるのか」

という点にある。今まで打率1割の打者しか育てられてませんでした、という監督の声を誰が聞こうというのか。そういえば元巨人の土井が「イチローはだめだ」といったとかなんとかで「わーい、俺土井監督にけなされちゃったー!」と高校生が喜ぶ漫画があったな。とはいえ多くの企業では冗談ではなくこうしたことが大真面目に行われている。

この問題を認識している数少ない企業は、それぞれに「対策」をとっているようだ。まずシャープ。

アニメの声優の声で「べ、べつに、あなたにほめてほしくて掃除したんじゃないんだからね」などと話すおしゃべり機能付きの少し変わった掃除機だ。高橋社長は「全然売れへん」と苦笑いするが、「社長がどう思おうが関係なく、こういう商品を出していくのはいいことだ」と話した。

引用元:シャープ「おもろい家電」再び 失敗も評価する新制度:朝日新聞デジタル

社長が自分に評価する能力がないのを認め、バンザイする。これは確かに一つのやり方だ。そして親愛なるソニー。

SAPについてもアイデア出しから始まり、いろんなステージがあるんですが、各ステージをクリアするときに社内の事業本部長とか、平井のような者が「あーだこーだ」と言っても若い人たちにしてみれば、「どういうことをやろうとしているのかがわからないオジサンたちに評価してもらいたくないよね」という意識があるわけじゃないですか。ですから、社内の知見も大切ですが、シリコンバレーで長く仕事をしてきた人など、いろんな外部の知見を「評価委員」のような形で入ってもらって、外部の視点から「これはいい」「これを考えなかったら、この商品はうまくいかない」といったことをどんどん指摘してもらいます。

引用元:ソニー 平井一夫 CEOグループインタビュー - ケータイ Watch

これも一つのやり方だと思う。そもそも事業の評価ができないのであればCEOである資格はない、といいたいところだがそうはいっていられない事情もある。であれば

「現役時代も、監督になってからも1割バッターでした」

という人より「過去三冠王、もしくは三冠王を育てた」という人に評価してもらう、というのは真っ当な方法だ。(書いていて気がついたが、こういう「野球に関する知識」を前提とした表現はもうすぐ死滅するのだろうな)

何もTop-DownのApple流のやり方だけが正しいわけではない。己の才能のなさを認め、それをおぎなえる人材を持ってくるのは経営者として真っ当な方法だ。


新しいMacBookAir(予想図)が示すもの

2015-01-08 07:32

というわけで、正しいApple原理主義者はCESなどには目もくれず、Appleのニュースに注目するのである。先日リークされた「Mac Book Air 12inch」の予想図があれこれの議論を巻き起こしている。

予想図

予想図:9 to 5 Macより

接続できるケーブルは2種類、2本、未だほとんど普及していないUSB Type-Cとステレオ出力である。

いくらなんでも削りすぎだろう、と思う。しかし古参のApple原理主義者はそう思ったのが初めてではないことに気がつくのだった。

初代iMacのインタフェースを見たとき「いくらなんでも削りすぎだろう」と思った。(実際LocalPortは直前まで存在していた形跡があるが)iPhoneがでたとき「バッテリの取り外しや、SDカードは?」とは思わなかったが世間はそう思った。そして最近誰もそれを問題にしない。

はたしてこれは本当だろうか?それは(Apple社外の人間では)誰にもわからない。しかし今朝気がついたことがある。これはiPhoneのインタフェースとほぼ等価なのだな。(もちろんLightning CableとUSB Type-Cはちがうが)

なぜMac Book Proが存在するか?あれこれつなぐような人はそちらを使ってもらえばよい。Mac Book Airはいわば「キーボード付きのiPad/iPhone」である、と宣言するつもりなのかもしれぬ。

とはいえ議論が尽きないのは「Mag Safeを削るのはいかがなものか?」という点である。過去に電源ケーブルをひっかけMac Book本体を落下させクラッシュさせたのは私だけではない。このMag Safeは偉大な発明だ。それをUSB Type-Cが代替できるとは思えない。磁石式の特別なUSB Type-Cを開発することもできるだろうが、果たして他のType-Cと互換性を持たせられるのか?

「妥当」なのは、Mag Safeを残し、それに加えてUSB Type-Cを一つだけ設置するというものだと思う。しかし古参Apple原理主義者は身にしみて知っているのだ。Appleは「妥当」な判断ばかりする会社ではないことを。



ベイマックス= B-29

2015-01-06 07:49

Facebookに私はこう書いた。

娘とベイマックスを見る。
見ようによっては、米国の大学ビジネスプロパガンダ映画なのだが、実際にそうだから仕方がない。(ちなみにクレジットには東京大学もでてくるよ)
 あるいはBig Bang Theoryの成功を参考にした、と言えるかもしれない。しかし果たして日本から表情がなく戦闘しないロボットベイマックスが生まれるのだろうか。オタクを主人公にした場合のステレオタイプから一歩でもはみ出すことができるのだろうか?
 あの低迷を極めていたディズニーアニメが、Pixarの買収によってここまで素晴らしくなるか。。(代わりにPixarブランドの映画が低迷を極めているが)CGの異常な進歩は言うに及ばず。
 San Fransiscoに日本風要素をちりばめた架空の都市とか、、、見ているうち悔し涙が滲んできたというのは本当のところである。いや、大学関係者でも映画関係者でもない私がなぜ悔しいと思うのが自分でもよくわからないのだが。しかし敗戦直後に皇族の誰かが書いた「悔しいけどB-29は立派です」という言葉が頭をよぎったのも確かだ。エンターテイメントに貴賎などなく、それぞれ楽しめばよい、という一般論を自分に言い聞かせてはみるものの。

引用元:大坪 五郎

世の中には私よりも文章が上手な人がたくさんおり、他の人が書いた感想を読むことは時として楽しい。そしてこの映画に関していえば、私より上手に「なぜ衝撃を受けたか」を書いてくれている人が何人かいる。

ベイマックス観てきた。すごかった。凄すぎてゾッとした。出来が良すぎる。隅々まで違和感がない。ジャパニメーションの優位性だと思ってたものが完全に取り込み終わってる。「PCに配慮なんかしてたら〜」ってのが甘えにしか聞こえなくなる。「クールジャパン」なんて一瞬で踏み潰されるぞこれ。

ストーリーとかキャラクター設定とかのことはたくさん語ってる人がいる通りなんだけど、私は背景の美術の違和感の無さに終始絶句してた。ハリウッドやディズニーの作品で、和洋折衷の町並みが標識看板の一個に至るまで完璧。少なくとも日本の部分はそう見えた。

こんなもんでいいだろ、って嘲る感じが全くなかった、ベイマックス。予算があるといえばそれまでだけど、それを「不快感のなさ」にここまで注ぎ込めるのかと。格が違う。

引用元:ベイマックスの「政治的正しさ」とクールジャパン - Togetterまとめ

【横綱相撲】


ベイマックスって、ほんと横綱相撲なんです。
みんなが好きなものをバーッて並べて、奇をてらう事もなく、
シンプルに、真っ直ぐ組み立てた映画なんですよきっと。
映画のレビューとか見てたら「展開が見えた」とか言ってる人が居ましたけど、そういう問題じゃないんですよ。
展開が見えて当然なんです。だって、横綱相撲なんだもの。

真っ直ぐがっぷり4つに組んで、そのまま寄り切るっていう。

 

ベイマックスはシンプルに、真正面から「I love you」を言い続けて、観客の心を掴んじゃったっていう。
隠したバラの花束も、ヘリコプターの夜景も、高価なプレゼントがあるわけでもなく、シンプルに真っ直ぐな横綱相撲で寄り切っちゃった。


これってすごくないですか。
こんな相撲取られたら誰も勝てないじゃん。

引用元:ベイマックスが最高すぎて恐怖すら覚えた件 - ヨッピーがブチ切れまくるブログ

それが妙に評判良いんで見に行ったらズッコケました。限りなく100点に近い答案なんです。
しかも、表現として尖った部分が何もない。驚異的な映像が詰め込まれているわけでも、作家の狂気があるわけでもないし、アッと驚くストーリーテリングもない。なのに、頭からお尻までワクワクする映像が続くんです。

「あっ、日本のクリエイティブ終わったな」

そう感じました。だって、スタッフの中には天才って一人もいないと思うんですよ。秀才の集団。それが勉強に勉強を重ねて、頭に汗をかいて、切磋琢磨して物凄いものを作ってしまった。彼らは「チーム主義」でモノ作りをしている。だって、スタッフロールに脚本家が20人もいるんですよ。

引用元:『ベイマックス』を見て日本のクリエイティブは完全に死んだと思った

でもってこういう議論にはおきまりの「反論」がある。

すでに言われているが、いろいろおかしい。昔からディズニーが「チーム主義」で組織的に映画を作っているのは事実だが、それでも2000年代には作る映画作る映画ぜんぜん当たらない冬の時代があった。
それを救ったのはラセターという一人の「天才」だった。現在のディズニー映画には、彼の作家性が色濃く出ている。

引用元:すでに言われているが、いろいろおかしい。昔からディズニーが「チーム主..

この人はおそらく自分が何に反論しているか理解していないのだと思う。ラセターは確かに天才かもしれない。しかしこのベイマックスという映画はその天才を「量産」に乗せたというところに驚異があるのだ。

日本にも宮崎という天才がかつて存在した。彼はシナリオを一切書かず、自分で勝手に物語を作っていくらしい。それゆえ「理解ができない傑作」を生み出すことができたのだが、それ一代で終わってしまう。つまり量産ができないのだ。

Pixarブランドが地に落ちた代償として、Disneyはアナ雪、そしてベイマックスという傑作映画を連続して世に送り出した。そう考えると、この「当事者」の方のコメントにはうなずかされる。

こっちのチームっていうのは競争をくぐり抜けてきて互いの強みも何も分かった上でのチームだから。プロスポーツのチームみたいなもん。脚本家がたくさんクレジットされてたって、何も最初からみんなで会議して決めてくわけじゃない。全体のビジョンを監督と共有しながら、自分に最も貢献できるところをそれぞれが強くしてく感じ。貢献できなければ去るだけだし、必要なら助っ人を金で雇い入れることもある。
作家主義が作品において「負ける」とは思わないんだけれども(こっちの業界人は日本のそういう作品のファン多いよ)、日本の作家主義の最大の弱点は次世代を育てるのがうまくいかないことだと思う。作家の「サポート」だけをどんなに続けても作家に変われるとは限らないからなあ。

引用元:一応、アメリカのそっち系で仕事してるけれど、作家主義に対してこっちが..

つまりベイマックスはB-29なのだ。B-29には技術的に傑出したところや、突飛なところがあるわけではない。しかし先端的な技術を見事に一つの機体としてまとめ、しかも量産する。それで日本は正面から散々にやられた。

私は「悔しいけれど、B-29は立派です」という言葉を思い出したのはそう的外れではなかったのだ、と今にして理解できた。

いや、B-29などという古い例えを持ち出す必要はない。

【iPhoneの衝撃】


これと同じ事が以前に一度あって、それがいわゆる「iPhoneの発売」なんですけど、
みんなで飲んでた時に、家入さんがおもむろに当時発売されたばっかりのiPhoneを取り出して、
「いいだろー」って自慢してたんですけど、それを触らせて貰った時に思ったんですよ。


「あ、これ日本の携帯全滅するわ」って。

引用元:ベイマックスが最高すぎて恐怖すら覚えた件 - ヨッピーがブチ切れまくるブログ

ベイマックスは日本の作品をリスペクトする人たちによって作られたと同様の「いや、日本のだって負けてはいない」はiPhoneがでたときに散々聞かされた。

「いわゆるガラケー(ガラパゴス・ケータイ)として、従来の携帯電話を『海外の携帯電話を無視して独自の進化を遂げてしまったため、国際的な競争力や存在意義を失ってしまったもの』などと揶揄して評する人は多いが、これは全く見当違いだ。iPhoneにせよ、アンドロイドにせよ、iモードをはじめとする『ガラケー』を研究し生まれてきた。」

引用元:iPhoneはガラケーをもとに開発された? - Ameba News [アメーバニュース]

かつて「世界最先端。iPhoneには驚く要素は何もない」といっていた日本の携帯電話メーカーはほぼ絶滅状態にある。本を書いて意見を述べるのは個人の自由だ。「日本はこうやれば太平洋戦争に勝てた」という本が最近でているらしい。父は「あの現実を知らないからなあ」とポツリと述べていたが。


大企業の隅っこで

2015-01-05 07:04

元大企業で働いていた身としては、その「役に立たない人材であってもしばらく雇用しておける」キャパシティに驚嘆することが多い。そういう人間は時々間違って中央にいたりするが、ほとんどの場合だんだん外側に押し出されていく。

この「だんだん」というのが問題で、その間多くの人や組織に多大な迷惑をかける。とはいってもその対象はほとんどが「下請け」なので大企業にとっては痛くもかゆくもない。

なんの根拠もないが、この騒ぎを聞いてそんな図式を思い浮かべた。

数日おきにテレビの隅っこにT-POINTの登録をしろってうざい宣伝が出てきて、消す方法が見つからずに東芝に問い合わせたら「宣伝を消す方法はございません。T-POINTの登録をすれば消えます」って信じられない回答が返ってきた。マジかよ……。

引用元:あれっくすさんはTwitterを使っています: "数日おきにテレビの隅っこにT-POINTの登録をしろってうざい宣伝が出てきて、消す方法が見つからずに東芝に問い合わせたら「宣伝を消す方法はございません。T-POINTの登録をすれば消えます」って信じられない回答が返ってきた。マジかよ……。"

この内容自体には様々な情報が飛び交っており真偽の見極めは難しい。しかし東芝自体がこんなFAQを出しているのは事実である。

Q:画面の右下部分にときおり表示される「TimeOnインフォメーション」通知 (サーバメンテナンス、アップデート、「Tポイントためよう!」サービス新キャンペーン情報など) を非表示にしたい。


A:「TimeOnインフォメーション」は、各種サービスの更新やサービスのメンテナンスが行なわれることをユーザの方々に通知する仕組みです。アップデートのお知らせ以外では、「Tポイントためよう!」サービスの新キャンペーン情報などをお知らせしています。
非表示にするためには、下記の3つの方法があります。ご要望に沿ったものをお選びください。
なお、HDMI入力時は自動的に非表示にする等の設定強化を検討中です。

引用元:よくあるご質問/TimeOn全般 | お客様サポート | レグザクラウドサービス「TimeOn」

ユーザが知りたいであろう各種サービス情報と、宣伝情報を同じ枠組みで強制配信するところからしてどうかしている、という気がするがまあそれは問うまい。

REGZAのTimeOnなんていう聞いたこともないシステムは誰も使っちゃいないだろう。Tポイントと連携して、ユーザに「お得感」を提供でき、Tポイント運営しているCCCからなにがしかの利益が得られればいい話じゃないか、と誰かが安易に考えたんだろうな、と思うのだ。

これくらいの「バカな判断」は企業のそこかしこで頻繁に発生している。今回の騒ぎはたまたまそれがユーザ向けの部分で行われたので大きくなってしまった、とみることもできる。しかしやる気がないならスパッと辞めろととも思う。とはいえそれができないのが大企業なのでもあるのだが。