2012-08-29 07:20
わけのわからない題名をつけていますが、要はまとまっていないということです。
先日来「フレーム問題」と「記号接地問題」についてあれこれ調べている。なぜ調べているかといえばそれらについて書こうとしているからだ。
しかし
「問題」や「失敗」について記述しない学会というか論文というシステムのおかげでとても苦労している。私が大学生だったころは、エキスパートシステム花ざかりの時期だった。しかし今それらは見る影もない。しかしそれが「なぜ、どのように失敗したか」について事細かに書いている文章をなかなか見つけることができない。Google先生にお伺いを立てても、このブログの文章が出てきたりする。
というわけで今朝思いついた事を書いておく。
「聖書は一言一句真実であり、神の言葉である」という聖書原理主義者とでもいうべき人がいるわけだ。そうした方面を真面目に考えると
「聖書に書いてある文章は、誰が読んでも同じような意味にとれなくてはならない」
ということになる。「真実」である、というからにはその前に「意味」が確定していなくてはいけないわけだ。
さて、問題です。「言葉」という記号を使って記述された文書の意味は、本当にそれ単体で確定するでしょうか?答えはNo.です。それに近いところを目指したのが、法律用語満載の契約文書だと思う。あの英語だとHereinとか他の場所では観たこともないような単語が満載つのやつだ。しかしそれとて法律やら判例やらの膨大な背景知識(というか合意事項)があっての上で成り立っており、かつそれでも「契約書の解釈を巡って」の裁判は絶えない。
かくのとおり「言葉」という「記号」は実にあやふやなものでしかないのだが、コンピュータはこの記号を処理するというのが大得意だ。そこからどう間違えたのか
「記号を処理すれば、人間の知能のような動作ができる!」
と多くの人が(当時の私含む)考えた時期があった。しかしそれは間違っていた。
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私がつっかえているのはこの「間違っていた」というのを平易でかつわかりやすい実例をあげて説明するところだ。記号というか言葉は所詮「意識」が扱うものなのだが、実は人間の「判断」は多くの場合「無意識」のうちに行われており、「意識」は後付けで理由をこじつけているだけ、とかそういう話しを読んだことがあるような気がする。となると「意識」などというものは冗談としか思えなくなるのだが、それでも日常生活である程度役に立っているような気がする。
「記号処理」でまずつかっかるのは「人間なら同じ意味と判断できる言葉を理解できない」というものだ。iPhoneのSiriに向かって「新しいメールはありますか?」と聞いても「誰に送信しますか?」という見当はずれの答えが返ってくるだけ。「新着メールは?」と聞くと「誰もあなたにメールなんか送りません」と正しい答えが返ってくる。しくしくしく。
つまり「新着メール」と「新しいメール」はSiriにとって全く異なる単語なのだが、人間はその意味を正しく判断できる。これってつまるところ何の問題なのだろうね?
2012-08-28 07:21
こういう考え方を見ていると、このキャリアからiPhoneがでてこないのは尤もだと思う。
ただし、この調査自体は「現時点でのニーズ」であり、半年後、1年後のニーズも掘り起こせるわけではない。今後のニーズを見極めるためにも、現在、最も多く求められている画面サイズだけを用意するのではなく、少し先を見越した、幅広いラインアップを展開して様子をみている。
via: 5インチまではスマートフォン:多様化するディスプレイサイズ ドコモのスマホ戦略に迫る (2/2) - ITmedia Mobile
現状を力いっぱい調べる。それについて滔々と語る。しかし結局未来はわからない。だから未来についてもたくさん製品を出す。どれか当たるだろう。
つまるところ、これは「判断を放棄した」ということを長々としゃべっているにすぎない。
一方、ディスプレイサイズのバリエーションが増えると、プラットフォームの「分断化」を招き、特にアプリ開発者にとってはさまざまな解像度へ対応しなければならないという問題を招いている。この点についてドコモは、「現在のデバイスは8~9割がHDまたはフルワイドVGAという解像度に集約され、十分スケーリングで吸収できる」(後藤氏)というスタンス。
via: 5インチまではスマートフォン:多様化するディスプレイサイズ ドコモのスマホ戦略に迫る (2/2) - ITmedia Mobile
その昔docomoのガラケー向けにアプリを作るとき、無意味とも思える解像度の違いに悩まされた。「ほぼ」同じサイズなのだが、微妙に大きさが違う。それぞれに対応するか、あるいは切り捨てるかの判断をしなければならない。
もちろんそれぞれの差異について聞けばこれまた滔々と語るだろう。しかし作る方にしてみれば鬱陶しいだけだし、その意味もわからない。そして結果として優秀なアプリが生まれない。キャリアが決断を放棄したツケを払わされるのはユーザなのだ。
「2流品を幅広く揃える」というのも確かに一つの「戦略」ではあるだろう。「自ら決断してリスクを取るのを放棄しました」と堂々と顔をだして発言できる勇気には感服する。
などと実績のないサラリーマンが言っても説得力がないだろう。というわけでいくつかの発言を引用しておく。
A : デザイナーとしてこういうことを言うのは変なのかもしれないけど、私が本当に苛立ってしまうことのひとつが、ある製品を使っていて、その製品のデザイナーたちがユーザーに媚びを売っているのに気づいてしまうときなんだ。
我々の目標は、ただシンプルに、モノを創ること。他には考えられないようなモノを。
via: ジョナサン・アイヴ独占インタビュー (2) | 田園Mac
意思決定をソーシャルの最適化にゆだねるというのは、スマートに見える。しかし誤解を恐れずに言えば、マクロ的にはデフレ的なるものを加速することになるのではないか。価格だけではなく感覚のデフレ、緻密さや丁寧さが支持されにくくなるという。
via: Twitter / haraken_tokyo: 意思決定をソーシャルの最適化にゆだねるというのは、ス ...
我々はユーザーに変わって、製品の理想的なバランスという難しい決断を下しているのです。これは大変に勇気がいる行為ですし、我々の決断に不満を感じる顧客が出てくる危険もはらんでいます。しかし、こうしたタフな決断を下すということが、長期的に見ると、ユーザーにとって非常によい体験を提供することになるのだと我々は信じています。
via: アップル上級副社長に聞く:「デジタルライフスタイルの未来はiPhoneにある」――フィル・シラー (2/4) - ITmedia PC USER
2012-08-27 07:17
というわけで親愛なる楽天である。真偽定かならぬ情報ではあるが、読めば「なるほどな」という感想を持たざるをえない。
かつ、たぶんコレが社内的な総意やと思うんやけど、ネットにつながらない人のことを、バカにしてた。楽天の人。ありえへん。これまで楽天にはすごくネガティブな印象しかなかったけど、もう、ダメだ。ネガティブどころの騒ぎじゃない。ほんと、ありえない。
via: 人は財なり、楽天「Kobo」関係者が居酒屋で愚痴っていた様子が捕捉された模様 : 市況かぶ全力2階建
日本企業が成長するに従い、「●●社」という型をつくりあげ、それにはまっている、という理由で自己肯定感を持つ、というのは一つの伝統芸としてもいいのではないかと思う。
そして楽天もその段階に到達しつつあるようだ。型というのはこういうことである。
※楽天本社のメインロビーでポーズをきめる三木谷浩史氏。書道家金田石城の作品「人は財なり」は三木谷氏の座右の銘である。
via: 人は財なり、楽天「Kobo」関係者が居酒屋で愚痴っていた様子が捕捉された模様 : 市況かぶ全力2階建
自らが作り上げた「型」にはまることで満足感を得る人間の姿をこれほど端的に表した写真は観たことがない。
楽天koboについては、また来週早々何か書くことにしよう。
2012-08-24 06:54
というわけで本日は断片的に。
embedding HTML 5 inside an app isn't what people expect
via: Facebook for iOS goes native, waves goodbye to HTML 5 | The Verge
FacebookのiOSアプリが新しくなった。知らなかったのだが、前のバージョンはHTMLでかかれたものをアプリの画面に埋め込んでいただけだったのだな。結果はひどいものだった。「かろうじて動いている」が正当な評価だった。
今朝さっそくダウンロードしてみたら、速い速い。UIEvolution K.K.で働いていたときにDesignerさんが言っていた言葉をここに載せさせてもらう。
「速さは正義」
こうしてみると、HTML5がネイティブアプリを駆逐するのはまだまだ先だなあと思う。というか本当にそういう日が来るんだろうか?デスクトップ環境でもWebサービスで片付けられる仕事も増えたが、結局はネイティブアプリを使っているのだ。
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でもってそのFacebook社内では、iOSアプリではなくAndroidアプリを使わせているのだそうな。理由が面白い。
Instead, Facebook management realizes its Android app is subpar--and believes that the only way employees will take fixing it seriously is if they have to deal with its issues day in, day out.
via: Facebook Is Forcing Its Employees To Use Android Phones Because Its Android App Is Just Awful - Business Insider
AndroidのFacebookアプリはひどいできであって、それを改善するためには使わせるのが一番、という結論に達したのだそうな。こういう「作る側と使う側が対称な位置にある」話は嫌いではない。
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さて、親愛なる日本の家電メーカーである。
シャープは23日、回転翼を備え自動洗米できるIH式炊飯器「ヘルシオ炊飯器」を発表した。同社によると、回転翼を搭載した炊飯器は業界初という。天板部の液晶ディスプレーや操作ボタンの形状、内蔵している炊飯メニューの数などが異なる2モデルがあり、実売価格は7万~9万円。発売は9月20日を予定している。
via: シャープ、自動洗米できる炊飯器 回転翼を内蔵、「ビタミンや甘み成分多く」 :日本経済新聞
スマート家電シリーズは、Androidスマートフォンにダウンロードした専用のアプリ「パナソニックスマートアプリ」を使うことで、機種ごとに便利な機能が使えるというもの。例えばエアコンでは、外出先から遠隔操作ができたり、洗濯機では洗剤・柔軟剤の投入量が事前に分かるなどのメリットがある。また、体組成計などヘルスケア機器では、測定データのグラフ化ができる。
via: パナソニック、スマホで便利に使える家電シリーズ「スマート家電」 - 家電Watch
この新製品群を見ていると、家電メーカーの復活は遠いと思わざるをえない。昨日ふと思い立って、最近シャープがだした製品にを思い返してみた。ガラパゴスというタブレット、人にやさしい掃除ロボット、それにこの「お米を洗ってくれる高級炊飯器」である。もう素直にハイテク液晶に特化した部品メーカーとして出なおしたほうがいいと思うのだが。
後者に関していえば、社長は少し前こんなことを言っていた。
お客様の期待に応えられないような、ひとりよがりの姿で、ビジネスをやることもできない。お客様はなにを期待しているのかを早急に明確にし、それを実現する形として、クラウドを使わなければ十分なサービスができないというのが我々の考え方である
via: 「TVはもはや白物」。パナソニック津賀新社長就任会見 -AV Watch
この製品が「お客様の期待に答える」ことだというのなら、パナソニックの将来も危うい。というか家電メーカーの内部はいったいどうなっているのだろうか。誰もが「こんなもの誰が買うんだ」と思いながらも「とにかくクラウドを使った製品、世界初の製品をだせ」という怒号だけが飛び交っているのだろうか。
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いや、私もサラリーマンの端くれ。じゃあお前はどんな偉大な製品を作っているのだ、と問われるとぐっと答えにつまる。だから第3者のような批判は自重しよう。しかしだね。。
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新CMを9月上旬頃より上映 |
モデルガールズによるパフォーマンス |
via: 【PC Watch】 ブラザー、モデルガールズを招いたPRIVIO発表会
いいかげん、新製品を綺麗な女性にもたせるのやめない?製品にもれなく綺麗な女性がついてくるわけでもあるまいし。こういう馬鹿な慣習を続ける限り「革新がどうの」とか言われても全然説得力がないんだけど。
2012-08-23 07:47
個人ではWindowsを使うことはありえないし(Mac上の仮想環境は別として)会社の環境はしばらくXPだろうから、まあ遠雷のようなものだが
Microsoftに降りかかるリスクは明らかだ。Windowsユーザはできるかぎりデスクトップインタフェイスを使うことによって、このたびのUIの変化を無視しようとするだろう。8へのアップグレードを控えるユーザもいるだろう。デスクトップへの直接のブートはない、と言明したMicrosoftはいい根性だが、問題は、どこまで意地を張れるか、本当にスタートメニューを永遠に葬ってしまうつもりなのか、という点だ。
via: Windows 8はユーザの負担が大きすぎ, そのメリットは見えない
うちの母はWindowsを使っている。パソコン教室で習ったのがWindowsだったから、という理由だ。最初はXPを使っていたが、いつのまにかVistaになり、7になった。しかし8は困ったものだなあと思っている。
もし1年後に母のPCが壊れた場合、7搭載のPCは発売されているだろうか?そうであることを望む。間違いなく母は8に適応できない。スタートボタンがなく、あのタイルを表示されたらそこで母はフリーズしてしまうだろう。
Microsoftは携帯電話のOSとタブレット&PCのOSの2本立てで行く、という決断をしたようだ。個人的にはこれは馬鹿げた判断だと思っているが結果はまだわからない。しかしModern UIをバイパスするデスクトップ環境への直接ブートを禁止する、というMicrosoftの決断は間違っていると思う。というか彼らは自分の立ち位置がわかっていないのではないか。彼らはインフラ企業であり、革新的な製品を提供する役割を期待されてはいないのだ。なのになぜ操作方法を変えようとするのだろう。
もちろんタブレット、スマートフォンに新しい操作方法を導入するのはわかる。それらは新しい製品だからだ。しかし企業で死んだ魚のような目をしてWIndowsを使わされている人間にも新しいインタフェースを強要する理由がわからない。
ユーザはありとあらゆる方法でModern UIを無視しようとする。Microsoftはありとあらゆる方法でModern UIの使用を強制しようとする。この意地の張り合いでどちらが勝つことになるのだろうか。
2012-08-22 07:27
というわけで、毎年恒例「これから投稿しようとする論文のネタバレ」シリーズである。
先日こんな記事を見つけた。
VPたちがプロダクトを説明するときPowerPointを使わせずホワイトボードに図や言葉を書かせる(Jeff Bezos - Jeffにプレゼンするときは平文で書け)。
via: Yahoo新CEOの最初の30日-フリーランチ, "What is Yahoo?"を禁句に
MayerはYahooでこのような変革をもたらしたのだそうな。そしてここから引用されているが、AmazonでもPowerPoint禁止だそうである。Amazonではもう何年も禁止されているのだそうな。
私が考えるに、これらはいくつかの理由から正しいことだと思う。そもそも説明者は自分が何を言おうとしているのかソラで言えるべきだ。そうでなければ他人の時間を奪う権利はない。
次に「できあがってしまった」図を最初から見せるPowerPoint(これはKeynoteを使おうが同じ事だが)は聞いている方にとっては退屈そのものだ。その場でホワイトボードに書け。それで上手に説明できないようであれば、そもそも他人の時間(以下略)
しかし私自身に適応しようと思うと、これには一つ問題がある。私のHand Writingはとても汚く、相手が読めるように書けないのだ。ではどうするか?
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ちなみに少し前のソニー(今ほど凋落が明らかでなかったころ)では社内に「パワーポッター」が増殖していたのそうな。いかに綺麗で、かっこよく見えるパワーポイントをつくるかが重要だったのだとさ。
世界的企業のAmazonと、今や部品メーカーとかしたSonyの差はこんなところにも存在する。これはソニーは「KATAを重んじる日本文化」の罠にハマったためではないか、と最近考え始めている、、ということはいつかまた別の機会に。
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話はだんだんずれていく。来週日本感性工学会の全国大会の招待講演にこういう人がくるのだそうな。
特別講演:きのう・きょう・そしてこれから |
落合 良 氏(三木稔応援・結の会代表/元ソニー勤務) |
via: 第14回日本感性工学会大会 -予稿集-
肩書きにはおそらく誇らしげに「元ソニー勤務」という事を書いている。しかし今の凋落したソニーを生み出したのはこういう世代の人たちなんだよね。もちろん直接聞けば「いや、私が離れた後から凋落が始まった」とか答えるのかもしれないけど。
かつて繁栄したが凋落した企業というのはいわばイス取りゲームのようなものだ。繁栄を極めた時、というのは凋落の種がしっかりとまかれた時期と一致する。しかしその時期に離れた人は
「私はあの世界的大企業で大活躍した人間でございます」
という意識を持ったまま一生を過ごす。気の毒なのはその次に椅子に座らされた人間だ。もちろんその人の責任もあるだろうけど。
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話はいきなり元に戻る。最初に引用した文章からリンクされている「AmazonでJeff Bezosにプレゼンする話」はとてもおもしろい。極端に賢く、あっというまにプレゼン資料の中身を理解してしまう人間を飽きさせないためにはどうすればよいか?話はまたずれる。最近あれこれ本を読んでいると
「あまりに当たり前のことがだらだら書いてあり、数ページに1行読めばいいもの」
と
「簡潔な文章の中に深い意味が込められており、一字一句読む価値のあるもの」
があることに(今更ながら)気がつく。ドラッカーとかG.M.ワインバーグの本は後者だ。プレゼンにも同じようなことが言えるのではないか?
2012-08-21 07:25
ニコニコ学会の合宿に参加してきた。
他の場所では聞くことができない面白い話がいくつか聞けたのが収穫であった。こうした新しい試みは混沌としているところが面白いところだと思う。
そう思ってみてみると一見ふわふわしたような理念を語っていながら、足がちゃんと地についている人と、足までふわふわした人がいたことに気がつく。
「電脳メガネにはあと何が足りない?」というセッションに参加していた時のことだ。
まずプレゼンターが「電脳メガネには何が足りないのだろう?」という問題定期をする。なんでもメガネの産地鯖江ではシンポジウムとかそういう集まりがあったのだそうな。
そこでは「どうやって鯖江の技術を使って電脳メガネを軽くつくるか」とか「アプリがいるよね」という話は議論されていたが、入力装置をどうするか、OSをどうするかという話がなかったのだそうな。
元々の議題は「単機能の"身に付けるコンピュータ"は増えてきたが、汎用コンピュータは身につけられていない」というものだったように記憶する。
さて、というところで議論である。ここである人が
「産総研では脳波を使った入力装置がでてきたはずだ」
と言う。プレゼンターが一般の人には手にはいらないのではないか、というと別の人が
「いや、たしか2万くらいで売っているのがあると思う」
と言う。さっき発言した人が「モニターの解像度が問題ではないか。アイコンを並べてクリックできるのか」という。
私は正直こうしたやり時を聞いてうんざりしていた。ユーザインタフェース開発失敗パターンの「こんなすごいデバイス作っちゃいました!」そのものだ。やれモニターの解像度がどうの、やれ脳波がどうの。
しかしこれで終わらないのが、この合宿のいいところだったと思う。ある人が
「ちょっと話の流れ変えたいんですけど」といって発言をはじめる。GoogleがGlassのプロモーションビデオを発表した。最初のものはAR(Augmented Reality)だったが、あとの2つは「両手がふさがっていても画像が取得できる」つまりつけっぱなしのカメラのような用途にしていた。
ということはGoogleはARをあまりヤル気がないのではないか。彼らがやりたいのは、人間が観たものをかたっぱしからログに残すことではないか。ということを考えると「何がしたいのか」「これが普及すると世の中はどう変わるのか」を議論すべきではないか。
ここから議論は発展的な方向に進み始めた、、、が時間切れで私は別の部屋にうつったので詳細は知らない。しかしこの「そもそも何がしたいのか」を忘れ「解像度がどうの、バッテリーがどうの脳波がどうの」という出口のない議論を延々続けるのはとてもよくハマる穴であり、失敗パターンとして登録したいくらいだ。
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漫画蒼天航路で曹操がこう語る。
「国の主は、まず頭の中で観たこともないすごいごちそうの姿を描くんだよ。そしていろいろな材料を集めそれを実現していく。
すごいごちそうの姿を生み出せない主に人はついていかないのだ」
これは「正しい方向に向かう」ための一つの方法だと思う。曹操の比喩で言えば脳波がどうの、というのは「ごちそうの材料がどうの」といっているようなものだ。それを集めた先がどうなるのか。むかっているのはどんなすごいごちそうなのか、それが問題だし、難しいところだ。
ここに別の陥りがちな穴がある。
「すごいごちそうの姿」
を描くのではなく
「すごいごちそうがほしいなあ」
という願望を列挙してしまうこと。これをやるとふわふわした言葉のリストができあがるが、そこからどこへも進まない。頭の中でもいいが「すごいごちそうの姿」を描かなくてはならない。
そしてあまり言葉にされることはないが、この「すごいごちそうの姿」を描くことができる人間の数というのはそれほど多くはない。それ故実はこの「すごいごちそう」がとんでもないものであっても、人間はついていってしまったりする。ヒトラーのように。
私の考えでは「すごいごちそうがほしい」といっているのは「ふわふわした人」で「すごいごちそうの姿」を頭の中に持っている人は「ふわふわしているように見えるかもしれないが、足が地についた人」だ。今回の合宿ではこの「足が地についた人」を何人か拝見してとても刺激を受けた。
ちょっ追記。
こんなTweetを見つけた。
学者になるべきか悩んでいる子羊に羊飼いが言った言葉。「学者」とは、研究内容が何の役に立つのか、研究意義をきちんと答えられる研究者。「野生の研究者」は研究意義は語れなくても問題ない。
via: Fumi (Fumi)さんはTwitterを使っています
これをみて私はちょっと複雑な感慨に浸っている。「答えられる」のはいいが、それが「答え」だと認めてくれるのは誰なのか?語るだけなら私でもできる。
産総研のヒューマノイドロボットの話しを少し聞いた。そして「この人達は"すごいごちそう"の絵をちゃんと描いているのだろうか」とかなり疑問に思った。ただ我が国では彼らは「研究意義をちゃんと答えた」ことになるのだよね。
2012-08-17 07:06
私は単純な人間なので「これでPCメーカーはおしまいだな」と思っていたが、少なくとも当面の間はそうではないようだ。
"I believe Microsoft was basically making a leadership statement and showing what's possible in the tablet space," Solomon told CRN. "Our relationship has not changed at all due to Microsoft's announcement. In fact, I applaud it -- I think it's great that they are getting out in front and [demonstrating] what's possible."
via: HP Applauds Microsoft's Surface Tablet - John Paczkowski - News - AllThingsD
HPのエライ人が「MicrosoftのSurfaceはそれで何ができるかをMicrosoftが率先して示したもので、歓迎すべきものだ、とかなんとか言ったのだそうな。
ユーザインタフェース開発失敗のパターンに「こんなすごいデバイス作っちゃいました!誰か使い方を考えてください!」というものがある。これがとても得意なのがSonyだ。
2画面を利用したユーザーエクスペリエンスについては、我々が気がつかないようなものをサードパーティーが開発してくれるはずだと期待します。
via: 【大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」】 Sony Tabletは『ソニーらしさ』を最も表現する製品 ~業務執行役員SVPの鈴木国正氏に、ソニーのタブレット戦略を聞く
という具合にハードだけ作って「誰かお願いします!」といったところで無視されるだけである。その文脈においてはHPの偉い人の言葉にも理があるように思える。
しかし問題は
仮に199ドルで販売されることになれば、同じく戦略価格の Google Nexus 7 タブレット (7インチ、Tegra 3) と、また新型発表も近いとみられるアマゾン Kindle Fire と並ぶことになります。
via: マイクロソフト Surface タブレット、Windows RT 版は199ドル・10月26日発売? - Engadget Japanese
この価格だ。$199ならばタブレットとして非常に安価な部類になる。Google Nexus7, Amazon のものと直接ぶつかる。仮に「テクノロジーのデモ機」的な役割であるとすれば、もっと価格を高く設定すべきだ。そうでなければハードウェアベンダーの立つ瀬がない。
そもそも
Microsoftとハードウェアベンダーの戦いは公平なものではない。OSを握っているのがMicrosoftというだけでなく、Microsoftはハードウェアベンダーの試作品を手に入れ、その詳細を知る立場にあるのだ。
This is a snapshot of an actual pre-release Windows RT PC, showing a very early engineering prototype and the evolution to its current form.
Windows helped achieve these goals by focusing on optimizing key scenarios.
via: Collaborating to deliver Windows RT PCs - Building Windows 8 - Site Home - MSDN Blogs
引用した記事は「Microsoftはこんなにハードウェアベンダーと密接に協力していますよ!」と高らかに歌い上げているものだが、そのMicrosofotがハードウェアを作り、他のハードウエアベンダーと直接競合するというのであれば、話は別である。どの会社がどんな製品を作っているか、左手にある極めて初期段階のものから、すべてMicrosoftには筒抜けなのだ。
HPの人の言葉が「撤退前の捨て台詞」なのか、本当なのかはもう少し時間がたってみないとわからない。そもそもSurfaceがちゃんとした製品なのかどうかも現時点ではわかっていないのだ。
しかしMicrosoftが非常に執念深い会社であることを考えるとき、仮に最初のSurfarceが大失敗に終わっても、Windows9とともにSurface2を出してくるに違いない。その時情勢はどうなっているかは興味深いところである。
2012-08-16 06:51
世界中何処をみても、隣国というのは仲が悪い。概ねお互いを罵り合うのだが、隣国は隣国だ。お互い依存しあっていることも間違いない。
というわけで、いろいろ事情はあるのだろうが、韓国の大統領がここ数日はりきっている。
私は、日本には(国賓としては)行っていない。シャトル外交はするが。日本の国会で私の思うままにしたい話をさせてくれるなら、(国賓訪問を)しよう。(天皇も)韓国を訪問したいならば、独立運動をして亡くなられた方々のもとを訪ね、心から謝罪すればいい。何か月も悩んで「痛惜の念」などという言葉一つを見つけて来るくらいなら、来る必要はない。
via: 被害者は忘れず、ただ許すだけ...李大統領 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
実際には、もっと過激な表現が使われていたようだ。
李大統領は現場で日王が「ひざまずいて」謝らなければならないという表現を使ったことが分かったが、その後、大統領府が公開した発言録からは抜けていたことが確認された。
via: 【マジキチ】李明博大統領「天皇は土下座せよ」と発言していたことが明らかに!!!!!:暇つぶしニュース
さて、韓国国内向けにはこれでいいのだが、問題は日本である。竹島云々はまあお約束だからしょうがないなあと思う人もこの発言には反応せざるを得ない。というわけで両国の外務官僚の出番である。
この発言に対し外務大臣は以下のように抗議すると述べた。
玄葉大臣は、「天皇陛下の訪問要請を日本側から取り上げたことはない」と述べ、李大統領の発言について、外交ルートを通じて韓国側に抗議したことを明らかにしました。
via: 李大統領の「天皇謝罪」発言に玄葉外務大臣が反論
この抗議を聞いて「?」と思った人はいないだろうか。論点がずれている。もともとは大統領の発言に対して、日本人が不快感を持ったところが問題だったはずなのだが、抗議しているのは
「誰も日本から天皇陛下の韓国訪問を要請したことはない」
という点なのだ。
翌朝、なぜここで「ずれた抗議」をしたのかがわかった。
【ソウル=中川孝之】韓国の李明博(イミョンバク)大統領が14日に天皇陛下の訪韓に謝罪が必要と発言した問題で、韓国の大統領府は同日午後、「(天皇陛下が)韓国を訪問したがっている」とする李大統領の発言を訂正した。
大統領府関係者によると、李大統領は実際は、「(天皇陛下が)韓国を訪問したいならば」と仮定の話と述べており、「独立運動をして亡くなられた方々のもとを訪ね、心から謝罪すればいい」と発言していた。
発言を代表取材した韓国記者が、誤った発言内容を大統領府が運営する取材記者団専用サイトに掲載してしまったという。記者が誤りに気付き、発言内容を差し替えた。
via: 陛下、訪問したがっている...李大統領発言を訂正 (読売新聞) - Yahoo!ニュース
つまるところ、それは「記者が誤って掲載してしまったもので、もう修正しました」ということにする。こうすると何が起こるか。
韓国国内では「大統領が日本に対して"当然"の発言をした」という印象が残り、日本国内では「あれは誤報だった。もう修正された」という印象が残る。お互い言っていることはちぐはぐなのだが、なんとなく幕引きができるわけだ。
このように、話しをどうでもいいところにすり替え、どうでいいいが故に簡単にお互いが一致できる点を見出す、というのはおそらく外交上の基本技術なのだろう。
これは、米国の偵察機が中国の戦闘機と接触した時にも実感したことだ(誰もそんな事件覚えてないでしょ?)
米国の偵察機が中国軍機と接触した事件は「米国が書簡を渡し、謝罪したと中国側がうけとめた」ことにより解決をみた。朝NHKでこのニュースを聞いたとき
「米国が申し訳なく思う」
とかなんとかいう表現を使っていた。何だこれは?と思い原文を観てみればこのようである
Please convey to the Chinese people and to the family of pilot
Wang Wei that we are very sorry for their loss.
Although the full picture of what transpired is still unclear,
according to our information, our severely crippled aircraft made
an emergency landing after following international emergency
procedures. We are very sorry the entering of China's
airspace and the landing did not have verbal clearance, but very
pleased the crew landed safely.
確かにSorryという文字が2カ所にでてくる。しかし最初のSorryは
「パイロットが行方不明になったことに対する悲しみの意」であり次のSorryは
「国際的な緊急時の手続きに従って緊急着陸を試みたが、口頭での許可を得ないうちに中国の領空にはいり、着陸した事について」
である。両方ともまあ論議のないところであり、普通「謝罪」という文字から想像する内容とはかけ離れている。あの口を極めた非難の言葉、行方不明になったパイロットの妻からBushにあてた「あなたは卑怯者だ」という手紙。これが全てこの的はずれなSorryで解決。中国人はメンツに何よりもこだわると聞くことがある。私はそれについて自分の体験から語ることはできないが、このやりとりを観ると、なるほどそうかもしれない、と思えてくる。2度もSorryがでてくる文章をださせたのだから、メンツは守られた。十分謝ったことにしてやろう、というわけか。
via: Clinton
まあこうやって双方がなんとなくの満足感とともにうやむやになれば、そのうち人は忘れてしまう。これが長年の「外交慣習」で培われた技術というものなのだろう。こうしたテクニックはどこかで仕えるかもしれないから学んでおきたいものだ。
あともう一つ覚えておくべき言葉を引用しておく。
次の二つの事は、絶対に軽視してはならない。
第一は、忍耐と寛容を持ってすれば、人間の敵意といえでも溶解できるなどと、思ってはならない。
第二は、報酬や援助を与えれば、敵対関係すらも好転させうると、思ってはいけない。
via: Clinton
マキャベリの言葉だ。
2012-08-14 07:41
オリンピックが終わった。私個人に関していえば、回を重ねるごとに余裕を持って見ることができている気がする。
さて
「選手の地元の応援風景」をみていて気がついたことがある。なんと呼ぶのかしらないが、長い風船のようなものを打ち鳴らして応援している場合がやたらと多いことだ。あるいはメガホンとか。
アメリカにしばらく住んでいて、日本に帰ってくると、いくつかの風景が異様に見える。そのひとつに「スポーツの応援風景」があった。(当時は野球だったが)なぜ一糸乱れぬリズムに合わせ、皆で同じ事をしているのだ。私が米国で住んでいた地域では、みんな好き勝手に応援していた。驚いたのは、あるチームのファンの真ん中に相手チームのファンが居ても何も気にしていないことだ。(時々そうでない場合もあったのだが)それぞれが正反対のリアクションをして、自分のペースで試合を楽しんでいる。
そうした体験を思い出しながら今回あの「応援用小道具」をみていて、ああ、これはKATAだ、と気がついた。理由はよくわからないが、やはり日本人はKATAが大好きなのだ。なければそれを作り上げ、自分ではまっていく。
これ自体は一つの傾向であり、いいとも悪いとも言えない。私は(私が知っている)米国風の応援のほうが性にあっているが、野球場でお決まりの詩を歌って涙を流す人だっているだろう。
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さて、話は変わる。
日本が敗北したフランスを慰める真のスポーツマンシップの瞬間
via: 海外で躍動する日本人サッカー選手ニュース : なでしこジャパン 日本 vs フランス戦後の宮間あや選手の海外の反応
宮間は、ワールドカップの米国戦の後でも同じように米国選手に歩み寄り何かを話していた。他の選手が喜んでグラウンドを走り回っているときにだ。
少し古い日本人ならこうした行為を「武士道の発露」と形容するかもしれない。
その光景に、米国「NBCニュース」が先んじて報道し、米国のネットなどでも話題になっている。「美しい試合だ」「これは日本の文化的なもので勝利を相手に見せつけず、心からなだめる奥ゆかしい日本の傾向」と、宮間の行動を称える絶賛の声が上がった。
よくぞ貴女のような人が日本代表になってくれた!
武士道の真骨頂は、「惻隠の情」にあり武士道が常に目指して来きたものは、「弱者をいたわる思いやりの心」であろう。
via: なでしこジャパンに見る武士道「惻隠の情(そくいんのじょう)」 | 牛のエセ日記
そもそも「武士道」というものが実在したのか、あるいは明治以降に作られた「伝説」なのかについてはいろいろな議論がある。少なくとも日露戦争ではそうした「武士道」の発露が見られた。激戦の後の旅順開城の写真を見てみよう。
この写真のどこにも勝者も敗者もいないことがわかると思う。
しかしこのあと「武士道」というKATAは間違った方向に進んでいった。伊藤正徳の言葉を借りれば「メッキがはがれた」のである。KATAが示そうとした本質を悟ることなく、KATAにはまることを他者にも強制し、自分たちの愚かさを隠すために用いた。(日本の大企業に蔓延しているKATAも多くの場合はこんなものだ)
おそらく宮間氏は自分の行為のどこにも「武士道」というKATAを見ていないと思う。ただ自分が正しいと思える行為をした、と。彼女はKATAに頼る必要がないのだ。それ故昭和20年までの「武士道」のように本質を見失い堕落することもないだろう。
だから、彼女の行動にはKATAを表す名前を付けず、そのまま語り継いていくのが良いのだと思う。
2012-08-13 08:31
産総研後藤さんのTweetでSongriumなる新しいサービスがリリースされた事を知る。
独立行政法人「産業技術総合研究所」(産総研、AIST)は8月7日(火)、"つながりを用いたあたらしい音楽鑑賞"を目指す音楽視聴支援サービス「Songrium(ソングリウム)」のアルファ版を公開しました。ニコニコ動画に投稿されたVOCALOID楽曲を、満点の星空を眺めるように楽しむことができます。
via: ボカロ動画を星空のように楽しむ「Songrium」、産総研が公開 - はてなブックマークニュース
をを、これは、ということでさっそくアクセスする。するとでてきたのはこんな画面だ。
私が愛する(実はこっそり歌っていたりもするのだが)「サイハテ」があるではないか。ではさっそくクリックしてみよう。するとこんな画面が表示される。
ここで私は「ガクッ」となり床に手をつく。何が書いてあるかわからないからだ。年をとって細かい文字が読めないからかもしれぬ。若い人ならこの重なった小さな文字が読めるのだろうか、とも考えるのだが。
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実は最近ある文章を書いている。「ユーザインタフェース開発失敗の本質」という名著にぶらさがろう、というさもしい根性丸出しの題名をつけている。その中で主張していることの一つが以下の命題
「システムがデータを解析する部分と、ユーザに見せる部分は分けて考えなくてはならない」
システムがものすごいアルゴリズムを使ってアット驚くような結果を出したとしよう。それは偉大なことだが、それをユーザに見せるときにはまた0から考えなくてはならない。
人間というのは実に厄介なもので、「真実」を告げられたからといってそれに感動し、従うわけではない。文章中(というか某雑誌に掲載していただいた文章に書いたことだが)で挙げているのはこういう仮想的な例だ。
この例にピンとこない方はレストランにこれから述べる
「メニュー推薦システム」があるものと考えてほしい。そ の人の性別、体重、年齢、食習慣をデータとして最適なメ ニューとその理由を教えてくれるシステムだ。そしてメ ニュー推薦システムは体重を気にしている女性に対してこ う情報を推薦する。
「あなたには七草粥を推薦します。なぜなら明らかに太りすぎ、かつ食べ過ぎだからです」
その結果何が起こるだろうか。「ユーザプロファイルを 元に、医学的な見地からも最適なメニューを推薦し、その 理由まで説明しているのに何故受容度が低いのだろう」な どと言ったところで事態が改善される見込みは薄い。
こういう大規模なデータを解析する人というのは、多分「こんなにすごい結果がでたのだから全部表示しなくては」と思うのではないかと推測している。結果として見せられたほうが「あれこれあってわからない」という感想を抱くことになる。
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などと文句ばっかり言っているお前は、このデータを見せるのにどんなインタフェースを提案するのだ、と誰も聞かないと思うが、自分で言ってしまおう。
私が作るとすれば、画面を静的なものと考えずに、動的にどんどん変化するものと考える。
・たくさんのつながりがある
・それを全部画面に表示しようとすれば、字が小さくなり、重なって読めない。
こうした問題を解決する一つの方法は、「一つの情報を無理なく読める程度に大きくし、それをどんどん流してしまう」というものである。
例えば、Goromi-Tubeのインタフェースを元に左側にサビ検索などを含む動画再生部品を表示しし、右側には「選択した関連性」で結び付けられた動画を流す。開いているスペースに「この動画にはこの"関連性"が定義されています」というのを表示する。各関連性には代表的な動画のタイトルとサムネイルを一個だけつけておく、、とかいう風に私ならするだろう。あるいは前後左右に動画をならべ、複数の関連性を表示するかもしれない。
とかなんとかいうことは簡単だが、じゃあお前が作ったGoromi-Tubeは誰かが使っているのかと言われると「すいません。ゴーストタウンです」と全力で謝ってしまおう。
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もう一つ考えなくてはならないのは「星座のように配置されている動画の関連」を遠景として表示する方法だが、、こちらのほうには良い知恵がない。そもそもどう見えるとおもしろいんだろうね。
2012-08-07 09:21
というわけで本日は短く。
In case you missed the news, Curiosity landed on Mars early this morning.
via: NASA used more than a few MacBook Pros to get Curiosity to Mars [images] | 9to5Mac | Apple Intelligence
昨日、火星探査機Curiosityが無事火星に着陸した。その時のNASAの管制室?の様子だ。
あなたが私と同様のApple原理主義者であるとすれば、この写真の中に多数のMac Bookが写っていることに気がつくだろう。銀色の筐体にリンゴマークが目印。
このプロジェクトで使用するPCがMacに統一されて「いない」ことは、一番手前にThinkpadを持っている人間がいることで明らかだ。
こうした写真は、私のような狂信者にはうれしいものである。しかし現実を認めようではないか。Macのシェアは10%とかそこらへんなのだ。しかし学会等にいくと、そうした数字が不思議に思える光景に出会うことが多い。異常な数のMac Book Airが使われているのだ。(そうした人の多くがPowerPointを使っているという事実は私を困惑させるが)
思うにWindowsとMacは世の中に偏在しているのだと思う。NASAや先端的な研究を行なっている人間はMacを使い、退屈な仕事をしている人間はWIndowsを使う、、という妄言はこれくらいにしておく。
2012-08-06 06:56
サラリーマンをやっていると何度か「引越し」というイベントに遭遇することがある。いろいろな会社で引越しをやったことがあるが、思うのは
「その会社の特質がよく出る」
ということだ。もちろん昨今は業者にお任せのパターンが多いのでそうも言えないが。
引越しで一番いらいらするのが「何をすべきか誰にもよくわからない状態」だ。人数はやたらと存在しているのだが、なーんとなくそこらへんにつったっている状態。あれが一番いやだ。多少間違っていてもいいから
「じゃあこれをしよう」
と誰かがDirectionすれば話は簡単に治まるのだが。
というわけで今日読んだこの記事。
スウェーデン・ウプサラ大学のMikael Elinder氏らは、1852年から2011年までに沈没した18隻の船に乗船していた、30カ国以上の国籍からなる乗員、乗客1万5千人を調べた結果、色々と興味深いことがわかったようです。タイタニック号の事故では、成人男性の生還率が20%だったのに対し、女性や子供の実に70%が助かりましたが、同氏らの研究結果によれば、上記事故例全体では、女性の生還率は男性のほぼ半分だったそうです。特に、第一次世界大戦(1914-1918年)以前や、英国船の沈没事故、乗客に占める女性の割合が低い場合などの女性の生還率は、かなり低かったようです。一方で、船長や船員の生還率は、乗客の生還率より群を抜いて高かったようです。
via: タイタニック号の美談は非常に稀な例外だった - サイエンスあれこれ
船の沈没は、引越しどころの騒ぎではない。そして映画にもなったタイタニックを除けばほとんどの場合
「船長や船員が優先的に逃げ出し、女子供を見捨てる」
というのが事実なのだそうな。太平洋戦争中、帝国海軍軍艦の艦長はやたらと艦と運命を共にしたらしいが、あるいはそれにも理があるのかもしれない。
しかし「美談」と「惨劇」を分けるのは実は一つのDirection だったかもしれないのだ。
なんともやるせない結果となってしまいましたが、そんな中、わずかな希望の光もあったようです。女性や子供の生還率を最も左右したのが、彼らを優先的に助けるようにという船長の指示だったというのです。
via: タイタニック号の美談は非常に稀な例外だった - サイエンスあれこれ
沈没するまでの時間が長かったことが、タイタニックでパニックが起きなかった原因という調査結果もあったが、どうもそうも言えないらしい。つまるところは船長が
「女性、子供を優先して救命ボートに乗せるように」
と断固として指示することが、事態を変化させるとのこと。
かくのごとく、何をしたらよいかわからなくなった時には、リーダーの一言が大きな違いを生むことがある、、、などと妙な感慨にふけっているのは「誰がリーダーかわからん」プロジェクトで、なかなか進まない検討にいらいらしているからなのだが。
2012-08-03 06:50
誰がどうみても、沖縄にたどり着く見込みはなかった。哨戒長はこう言う。
「進歩のない者は決して勝たない 負けて目ざめることが最上の道だ
日本は進歩ということを軽んじ過ぎた 私的な潔癖や徳義にこだわって、本当の進歩を忘れていた 敗れて目覚める、それ以外にどうして日本が救われるか 今目覚めずしていつ救われるか 俺たちはその先導になるのだ 日本の新生にさきがけて散る まさに本望じゃないか」
via: 戦艦大和ノ最期
というわけでいきなり話はオリンピックになる。なでしこジャパンが引き分け狙いを指示したことに対して、こんな意見があるのだそうな。
佐々木監督は敗退を指示したわけではない。しかし「勝たなくていい」という指示は、
五輪精神、スポーツマンシップに反している可能性が強い。一つには、どの順位で
進出するかで極端に条件が違うような試合設計をした主催者側にも問題はある。
勝たない方が有利になるような状況を作ってはいけないとは思う。
しかし、選手や指導者が、競技ではなく星勘定を優先するのは、ありていに言えば「八百長」である。
via: 痛いニュース(ノ∀`) : 【論説】 なでしこジャパンは「八百長」まがいをした...ライター・広尾晃氏 - ライブドアブログ
戦艦大和を出撃させたのは、こういうメンタリティの持ち主だったのだろう。ただひたすら全力を尽くせ!結果を考えちゃだめだ!五輪精神だ!スポーツマンシップだ!
こうした考え方では、まずい作戦で「玉砕」することは恥ではなく、むしろ称揚される行為である。「帝国陸軍の最後」を読んでいると、旧帝国陸軍は本当に戦争に「勝つ」ことに向いていない組織だったなあと思う。そもそも勝利を目的とするより、(彼らの考える)「帝国陸軍」たることを優先していたように思えるのだ。
私をふくめ、多くの人は物事をすぐ忘れてしまう。この前のワールドカップでドイツにかつまで、「なでしこジャパン」などというものは「ああ、女子もサッカーあったの」くらいの扱いだったのだ。
幸いな事にこうした意見は今のところMajorityではないようだ。戦艦大和が沈んで目覚めた結果の一つと思うことにしよう。
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さて、元柔道少年としては一番興味をもって見ているのは柔道である。今のところ成績はいまいちのようだ。私はその選手を「顔」で判断している。ダメ。みんな顔がダメ。
一人だけ「これはすごいのがでてきた」と思わせてくれた人がいた。
via: 松本薫、日本人金メダル第一号!攻めて、睨んで、吠えて、奪った勝利の巻。 : スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム
いや、すばらしい。彼女の試合をみて爆笑させてもらった。こんなすごい試合を観たのは、シドニーで井上某が金メダルととったとき以来だ。
彼女の姿を見られただけで、私のオリンピックはお腹いっぱい。ああ、面白かった。
2012-08-02 07:09
さて、その「裸の王様ぶり」を世間に披露した楽天の三木谷氏だが、さすがに社内の誰かが「まずい」と思ったのだろう。(この反応自体少し意外なのだが)それを挽回すべく、再度インタビューに応じた。
辛らつな評価とコメントが並んでしまったコボタッチのレビュー欄は23日、三木谷社長の判断で削除された。このことが、一部ユーザーの怒りに油を注ぐこととなってしまった。「隠蔽じゃないか」。そんな声に、三木谷社長はこう弁解する。
「基本的にレビューは『Q&A』的な話と、製品に対するコメントの2種類。Q&A的な話題は、古い設定ソフトの話ですし、内容のほとんどが解決しているので、表に出たままだと『かえってミスリーディングだな』と判断し、いったん、落とさせてもらった。これは、まとめて過去にこういう問題がありましたけれど解決しましたよと、再掲載する予定です」
「製品に対するコメントは、どういう形にするか考えたうえで、適切に対応していこうと。コボのサイトは『メーカーサイト』。楽天市場の一般的な販売サイトとは位置づけがちょっと違うと思うんですよ。楽天市場と同じレビューの形にすることが適切なのかどうか。例えばアマゾンだって、自社製品のレビューはかなりスクリーニングして出しているはずですしね」
via: 楽天kobo、波乱の幕開け 三木谷社長の反省と強気 :日本経済新聞
「自分たちに都合の悪い意見は削除して公開する」と言っていた前回より、かなりの「改善」ぶりである。しかしここで
「こんなことはアマゾンだってやってる」
と言ってしまったところで、広報担当は頭を抱えたに違いない。社長、あんなにお願いしていおいたのに。ちなみに「製品に対するコメントは、どういう形にするか考えたうえで、適切に対応していこうと。」のところだけ「スピード、スピード」という定形文句が入っていないのはどうしてだろう。
気の毒なのは、最前線で顧客対応に当たっている人たちだ。
2012-08-01 07:00
ちなみに、MicrosoftがあるSeatleはいいところですよ。夏は涼しいし冬は温かい。雨が多いらしいが、それで文句をいうやつがいれば、東京に連れてこい。どうだ。雨が少ないだろう。
というわけで物理的にどうかは知らないが、今年の夏はMicrosoftで働く人間にとって暑くて長いものとなるだろう。
Microsoft Windows8は10月26日に発売される。そして
発売は Surface7 件 for RT が Windows 8と同時。for Windows 8 Pro はそれから3か月ほど後。
via: 速報:マイクロソフト Surface タブレット発表、Windows 8と同時発売 - Engadget Japanese
それと同時にARM版のMicrosoft Surfaceは発売されなければならない。そして思い出せば、6月18日時点で、Surfaceはろくに動いていなかった。第3者は触らせてもらえなかったし、自慢のカバー+キーボードの使い心地を試した人間は未だにMicrosoftの外には存在しない。そしてデモの最中で、Explorerはフリーズした。
AppleがiPhoneを発表したのは2007年の1月。発売は6月だった。その間は5ヶ月。そして1月時点で、Steve Jobsはあらゆるデモをフリーズなしでやってのけた。Microsoftはろくに動いていない製品を4ヶ月と10日で販売できる製品にしなければならないのだ。
そもそもWindows8+Surfaceが商品力を持つか否かとは違ったレベルの問題である。とにかく動かさなければならないのだ。もちろんどっかの楽天のように
「95%は成功」
とCEOが強弁する手もあるが、私はBallmerは三木谷よりまともな人間であると信じている。
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その楽天だが、
7月中に3万点。最初に大嘘をついた楽天だが、役員と社長が7月中には3万点揃えると約束したわけだ。ここで8月1日AM0:00時点における日本語書籍の点数を数えてみよう。
日本語書籍で絞ってみるとわずか22,176件。進捗率は74%だ。しかもそのうち青空文庫等の無料コンテンツで水増しされた分が12,565件。日本語の有料コンテンツは9,611件と1万件にも満たない。
via: 7月中に3万点の約束もやっぱり反故にした楽天kobo - A Successful Failure
というわけで、まず第一の約束は反故。これから一ヶ月で日本語書籍は6万点に達するそうだ。楽しみである。というかあれだね。きっと今頃楽天の社員は総出で書籍執筆に勤しんでいるのではなかろうか。楽天社員の子供が書いた「夏休みの絵日記」も楽天出版から書籍として刊行してもらえるに違いない。
しかし
楽天のこうした「蛮行」は多分彼らの業績にほとんど影響を与えていないのだと思う。2chなどをみていても「そもそも楽天で物買ってない」という人ばかりだ。
楽天で物を買うのは、ネットを使ってはいるが、情報取得の多くをTVに頼っている人たちではなかろうか。TVではkoboのCMやってるし、トラブルについては何も報じられていないから、きっといい製品に違いない。そう考えれば、三木谷氏は「自分たちの顧客をよく知っている」ということになるのだろう。しかしインターネットで「大成功」している日本企業って、どうしてこう「下流喰い」が多いんだろうね。
これから折りにふれ三木谷君がどんな独創的な説明をしてくれるか楽しみである。イラクの「コミカル・アル」を上回る芸を見せてほしいものだが。