日本の大企業

2015-03-31 07:24

ある男が言った言葉だが

「日本の歴史上、名を残しているスピーチは北条政子のものくらいしかないのではないか」

私は未だにこの言葉に対する反例を見つけることができない。歴史に名を残すまでいかなくても日本の大企業に勤める人間であれば

「偉い人の話」

にはなんの意味もないことを体験的に知っているはずだ。逆説的になるが「あたりさわりのない訓示を大真面目にやる」ことができるメンタリティを持つ人間は日本の大企業で出世する可能性がある。「本当のことをしゃべってしまう」人間はまあ無理。

そうわかっていても「ひょっとしたら次くらいは」と希望を抱いてしまうのが人間というものであろう。

社外から伝わる深刻なニュースと経営陣が発するメッセージとの大きなかい離に、不信感を募らせていくシャープの従業員たち。こんな状況だが、従業員の中には髙橋の発言にわずかな期待も抱いていたものもいた。「たとえ痛みが伴う改革でもいい。今度こそ髙橋さんの本音が聞けるのではないか」(研究開発部門の40代管理職)。

 だが、そんなシャープ社員の期待はもろくも打ち砕かれた。

 「報道には惑わされないようにしてほしい」「銀行ではなく自分たちの力だけで立て直せるはずだ」「経営陣を信じてほしい」――。

 夕方から始まった約5分間の緊急メッセージで髙橋の口から飛び出したのは、イントラネットの掲載内容の繰り返しと言えるもの。社員の不安を和らげる狙いがあったとみられるが、むしろ逆効果となった。別部門の40代社員はこう怒りをあらわにする。「なぜわざわざ放送したのか意味が分からない。会社のことをより信じられなくなった」。

引用元:「けったいな文化」を変えられなかったシャープ (2ページ目):日経ビジネスオンライン

社会人として最初の10年余を日本の大企業で過ごした私にはこの時の「緊急放送」がどのようなものだったかありありと想像できる。

末期に芸能人をCEOに据えるという迷走をみせた三洋電機のようにシャープもきっと何かやらかしてくれると思う。真面目にシャープで働いている人たちには気の毒だが。


AppleのVirtual Reality

2015-03-30 06:56

何も顔面にディスプレイをかぶるばかりがVirtual Realityではない。

FacebookのF8で行われた講演、私は古い人だからVritual Realityといわれるとちょっと斜めに構えた目で見る。しかしこの講演は面白かった。Facebook CTOの

「堂々たるNerdぶり」

も見事であるがそのあとに登場した人がいくつもの「錯視」を紹介する。そして

「我々が現実と思っているものは、いくつかの感覚と頭の中の推量がいりまじった”仮想現実”にすぎない」

といった点を明らかにしていく。

聞いていてふと思った。

先日発表されたMac Bookのトラックパッド。これは実は動いていないのだがユーザはあたかも押し込んだかのような感覚を得る。

新型機のトラックパッドは、まったく動きません。

‘クリック’すると物理的には‘クリック’感はあるし、音もする(下のアホな写真は、ぼくがその音を聴いているところ)。でもそれは、完全なイリュージョンだ。

引用元:新型MacBookのトラックパッド、実際には動いていない - TechCrunch

つまりこれはApple流のVirtual Realityなのである。VRでございます、と鐘や太鼓で宣伝する必要はない。それがどのようにユーザに対してメリットを生むか。それだけを考え役に立てば採用し、立たなければ使わない。ここらへんは実にAppleらしい。


いよっ、社長さん!

2015-03-27 06:47

最近痛感するのだが、出世とか社長になる、というのは頭の良さとか人徳とかは全く関係がないのだな。というか人徳とか理性的な判断いう面ではある程度逆相関にあるのではないかと思える節がある。そりゃ物事を慎重に考え、理性的な判断をすれば起業しない場合のほうが多かろう。

というわけで、「3万円のスマホにVAIOのロゴ貼るだけで5万円」に関する日本通信の社長の弁である。

アップルはブランディングの会社だ。通信業界でもiPhoneはブランド力だけでユーザーから10万円近くとっている。そうでしょ? 何か差別化できているの? 

 福田(尚久副社長。かつてアップル本社で副社長を務めた)に聞いたけど、初代iMacも中身はベーシックな安いコンピュータだった。よりとがった、ニッチな製品を求める声も多い中で、カラフルな筐体にしてブランドを幅広いユーザーに広げていった。当初は「アップルにこんな製品を求めてない」などと酷評されたが、結局は機能ではなく、ポジショニングで大成功したわけだ。iPodも値段を高く設定して、洗練されたデザインで、ブランド戦略によってヒットした製品だ。

 今回は、パソコンのVAIOのブランドを通信業界に紹介したということ。5万1000円の価格も、ブランドとして決して恥ずかしい価格ではない。まともな価格だと思っている。

引用元:「VAIOフォンと初代iMac、戦略は同じだ」 (東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース

こういうことを堂々と公言できる程度の神経と知性でなければ、新しい会社の社長などとても務まらないのだろう。おまけに

「こんなバカな社長のところから製品なんか買うか」

と思うような人間はごく少数。というわけでおそらくツッコミを入れるのは野暮というもの。しかし長年のApple原理主義者としては、こういう写真を作ってみたくもなる。

iMac

日本通信-Appleが作り出した初代iMac

一時のAppleがこれに近いことをやっていたのは認めるが、初代iMacはこんな製品ではなかったよ。これをやれば、林檎マークのブランド価値がなくなるだけ。というかこの社長さん、ブランドで金が取れる、という考えは正しいのだが

「ブランドの価値」

がどうやって生まれるかについては全く考えていないのだな。まあ地に落ちるのは他社のブランド価値だから日本通信にとっては痛くもかゆくもない。つまるところは

「新生VAIO」の愚かさが明らかになっただけ

ということか。


Apple成功の秘密

2015-03-26 07:15

2007年、iPhoneが発表はされたがまだ実物が出回っていない頃。デンソーの内部で展示会をやった。そこで「iPhoneはどうしてこうも強力なのか」という問いかけをした。

デンソーは頭のいい人の集団だ。多く聞かれた声は

「まあAppleは信者がいるからねえ」

だった。

8年前の一流企業内の反応ならそれでいいだろうが、2015年にもなってジャーナリストを名乗る人がこう言っているのにはいささかうんざりする。

それでも、全世界に熱狂的な支持者の「アップルマニア」がいるのが強みだ。米誌タイム(電子版)によると、米調査会社アドビのアナリストはアップルウオッチに連動する端末が世界に約5億台あり、その5~10%が購入しただけで、2500万~5000万台に達すると試算している。アイフォーンの付属品にとどまり新市場を創出できなくても、一定のヒットは約束されている。アップル恐るべし!(SANKEI EXPRESS)

引用元:“アップル信者”のぜいたく品? それでもヒット確実の「アップルウオッチ」 (SankeiBiz) - Yahoo!ニュース BUSINESS

おそらく私は信者を名乗る資格があると思う。電車の中でiPhoneを使っている多くの人をすべて「信者」の一言で片付ける人間が記事を書いて給料をもらえる、というのがいささか希望が持てる話でもある。もっとまともな事が書けます。誰か私に給料ください。さあ、遠慮しないで。

これはFacebookの方に書いたことだが、このSankeiBizの名無しの記者はこの二人も「Apple信者」で片付けるつもりだろうか?

二人のApple信者

引用元:CNET

会社員になって「広告・宣伝」がいかに大変なものであるかを隣でぼんやり聞いているから実感できるのだが、この

「費用をかけずに多くの場を自社製品の宣伝にしてしまう」

製品の力は尋常ではない。何億もかけた広告キャンペーンより、たった一枚のこの写真のほうが製品の力を雄弁に物語っている。ドイツとソ連の首脳二人が、どちらもMacを使っているのだ。誰に強制されたわけでも、広告費をもらったわけでもないのに。

広告・宣伝の力を軽んじるわけではないが、仮に広く知ってもらったとしてもそれがBestの製品でなければ1秒以内に忘れ去られるだけである。だから製品開発に直接携わる人たちは、どこに出しても恥ずかしくないBestの製品を作ることだけに集中するべきだ。

・クソゲーをブーストすると順位は上がるが一瞬で順位が下がる。
・クソゲーをブーストしても儲からない。
・クソゲーをつくったら速やかに次にいく。広告予算をかけてはいけない。

引用元:クソゲーをブーストするとどうなるの?大切なことは全て「タワモン」が教えてくれた。 | アプリマーケティング研究所


Tim Cookが語るSteve Jobs, Apple

2015-03-25 06:47

少なくとも私が購読している英語圏では話題になっていたTim Cookのインタビューから引用しつつ訳す。

There’s this thing in technology, almost a disease, where the definition of success is making the most. How many clicks did you get, how many active users do you have, how many units did you sell? Everybody in technology seems to want big numbers. Steve never got carried away with that. He focused on making the best.

引用元:Tim Cook On Apple's Future: Everything Can Change Except Values | Fast Company | Business + Innovation

適当な訳:テック業界は、ほとんど疫病と言ってもいいと思うが「数を制する」ことが「成功」だと思っている。どれだけクリック数をかせいだか、アクティブユーザは何人か、どれだけ製品を売ったか?テック業界にいる人間はみんな数が大きければいいと思っている。Steveはそんな考えには全く染まらなかった。彼はベストであることに集中していた。

これはシンプルだし、人によっては「何を綺麗事を」というかもしれないがBetterとGreatを分ける越えられない線を形作っている「差異」。

端的にいえばこういうこと。あなたが仮に何かのサービス、製品を世の中に問うている企業であれば

「我々の製品は、我々が誇りに思えるものだろうか?我々は我々の製品をThe Bestと言い切れるだろうか?」

と自問自答するべき。その質問に対して口ごもるようであれば何かが大きく間違っている。

逆に他人がなんと言おうが、この答えに「Yes」と答えられるならあなたは正しい会社で働いていることになる。DeNAやGREEが量産していたゴミゲームであってもそれがThe Bestと言い切れるメンタリティの人間はそれらの会社で働くべきだ。(そしてそう言い切れる人間の数は私が想像するよりはるかに大いに違いない)

あるいはこれは単なる私の妄想なのかもしれない。ここでTim Cookが言っていることに何の関心ももたない、自分たちの製品がThe Bestか、などとということに意味を見出さない人のほうが圧倒的に多いのかもしれない。

他人のことは放っておこう。私は疲れた年寄りだ。問題は私がこの問いに対してどう反応するかだが、そんな重要事項をここにうっかり書くわけにはいかないのであった。



独ソ不可侵条約の中身

2015-03-24 06:54

面白いインタビューが掲載されている。任天堂-DeNAの提携に関して両者の社長が語っているのだ。

読んでいると、この両者が「根本的な価値観」において全く相いれない存在であることがわかる。DeNAの得意技「射幸心をあおり、じゃぶじゃぶ課金」について任天堂はこう断言する。

ユーザーの行動分析・顧客動態によって運営を変化させるという手法は、これまでのソーシャルゲーム陣営の武器でもあります。やろうと思えば、より多くの課金させるよう特定ユーザーの心理を操作することもできる。分析はそういったことにも利用するのでしょうか。

岩田:それはしないですよ。そういった形で勝負しようとしているコンテンツホルダーさんもいらっしゃるかもしれないけれども、そんなことをしたら、任天堂のIPに傷がつきますし、任天堂ブランドの信頼は地に落ちますから。

引用元:任天堂・岩田社長が語る「DeNAとやりたいこと」 (4ページ目):日経ビジネスオンライン

一方頭のいいコンサルタントであるDeNAのコメントはこうだ。

(インタビューア)2012年に「コンプガチャ」など行き過ぎた課金手法が社会問題となりました。そこから自主規制などを進めてきました。

守安:そうですね。あの時に問題だったのは、特に未成年のところです。未成年者への課金について配慮が足りなかったというのがまず一番大きな反省点で、あとは利用者への分かりやすさや誤認の部分でも問題があったかなと思っています。

引用元:任天堂と提携できた理由、DeNA守安社長が語る (4ページ目):日経ビジネスオンライン

まるで悪意のある捏造を「熱意あまったがゆえのちょっとした誤解を招く表現」といい抜けるメディアの言葉を聞いているかのようだ。つまり彼らは自分たちの「生命線」が反社会的な行為だとは未だに考えていない。

こうした根本的なイデオロギーが正反対であることを理解しながら、必要であればイスラエルとアラブ諸国が手を組むのが大人の世界というもの。その「手の組み方」でも微妙でありながらおそらくは重大な齟齬がある。

任天堂岩田社長は「DeNAは黒子でもいいと言った」と繰り返し断言している。多分これは「フカし」だろうと思ったらやっぱりそうだった。

もう1つ、岩田社長は、守安さんが「黒子になっても構わない」という表現をしたことで、任天堂の取り得る戦略オプションが増えた、とも話していました。この「黒子発言」の真意をお聞かせください。

守安:僕、黒子という言葉を使ったのか、ちょっと覚えていないんですよね(笑)

引用元:任天堂と提携できた理由、DeNA守安社長が語る (2ページ目):日経ビジネスオンライン

つまり任天堂はDeNAという会社には何の興味もない。サービス構築の「高級SIer」あるいは「人材バンク」としか見ていない。岩田社長のインタビューをどう読んでもこの提携にDeNAからみたどんなメリットがあるのかさっぱりわからない。つまり彼はDeNAにメリットを与えるつもりがない。

そう考えるとこの「提携」の行く末は2種類しかない。任天堂はこの提携で、DeNAのノウハウを学び尽くすつもりだろう。それが終わったところで「発展解消」。もしくは任天堂がDeNAの主要部分(あるいは全体)を買収し、優秀でかつ任天堂の価値観を理解する人材を除いてリストラするか。つまり条約がどうだろうが、独ソ戦は避けられない。


必要条件と間違いと

2015-03-23 07:02

世の中にはほんの少しの「必要条件」と滅多にない「十分条件」と大量の「それ以外」がある。

特に「成功した企業の秘密」の類はほとんどが「それ以外」だ。つまり文脈によって「成功の秘密」にも「失敗の理由」にもなりうるものである。

Steve Jobsの「常軌を逸した細部へのこだわり」はよく知られている。最近ではそれは「成功の秘密」として語られることが多いが、私が初めてMacを買った頃、つまりAppleといえば「ジョン・スカリー」だった時代、それは「失敗の理由」として扱われていた。

思うに世の中は短い言葉で切り取るには複雑すぎるということなのだと思う。「成功に結びつく細部へのこだわり」と「誰にも理解できない自己満足」の間に明確な線などない。少し前に書いた

「ハイレゾ音源用のメモリーカード」

は誰にも理解できない類だと思うが。

なぜこんなことを書き出したかといえばある「フィギュア」の「目へのこだわり」を誇らしげに書いている文章を見つけたから。

細部へのこだわり

引用元:月サンは困ってます

左は「ぜんぜんダメ。話にならない」なのだそうだ。

間違い探しのつもりで見比べてみたが、私には黄金のメモリーカードのほうがまだ違いがわかりそうな気がする。

一つだけぼんやりわかるのは、こういうことに価値を見出す人たちが一定数存在する、ということ。そういえばメモリーカードによる音質の差異が分かる業界には「ピュアオーディオ」という名前もついているらしい。世の中は私が知っているよりはるかに広く多様だ。


モノづくりにたいする「こだわり」

2015-03-19 07:02

何かと物議を醸しているVAIO Phoneに関するインタビュー

日本通信が発売する「VAIO Phone」でデザインを監修したVAIO。このデザインで特にこだわったポイントや、日本通信と協業した背景、今後の展開について、花里氏に聞いた

引用元:日本通信とVAIOに聞く、「VAIO Phone」誕生の背景と今後の展開 - ITmedia Mobile

(動画はリンク先をごらんください)

Q:色が黒一色だが多色展開は考えなかったか?

A:万人の方に使っていただく、特にビジネスの方面を意識したいということが日本通信さんのほうからありましたので、そういう意味では黒でいいんじゃないか、ということは考えましたね。


モノづくり、そしてデザインにどれほどVAIOが魂を込めているか、このやりとりだけで明確に分かる。

この「まあ無難な選択をしておこう」の大企業内処世術的態度。

「我々は黒一色が正しい選択だと信じています」

と言い切ることができない。それに賛成する人も反対する人もいるだろうが、少なくともそうやって「思い切って線を引く」ことはサラリーマンには難しいか。でも君が戦おうとしているのはこういう相手だよ。

それでは、そもそも「よいデザインとは何なのか?」

 西堀氏はこう言っていた。「自分が信じていることが重要で、良いか悪いかは判断できない。信じたことをやっているとそこに共感する人が集まってきてムーブメントになる。中には共感しない人もいるが、それでいい。

引用元:日本人デザイナーが内側から見たアップル (8ページ目):日経ビジネスオンライン


ロシアとの同盟を選択した国

2015-03-18 07:08

終戦後間もないころに書かれた伊藤正徳の本にこんな下りがあった。

「アムール川の流れが方向を変えないように、国の本性も変わらない」

その頃にはおそらく「ソ連、中国」を理想郷化する人たちもいたのだろう。伊藤の言葉はそうした浮ついた人間たちに向けられたものと考えるべきだ。仮にそうした国と条約を結ぶのであれば、独ソ不可侵条約のようなものであるべきだ。はたして任天堂にそれが可能だろうか。

もちろん任天堂にスマートデバイス戦略で提携を持ちかける事業者は多かったのだそうだ。そんな中で2010年からコミュニケーションを続けてきたDeNAと組んだ理由は、「トップレベルのサービス構築、運営ノウハウにある」(岩田氏)という。

さらに、Q&Aセッションでは、繰り返し提案をしてきたDeNAの情熱、さらには「言葉は極端だが『黒子になって構わない』と言ってくれた。サービス開発に協力をいとわない。エース級人材を当てて頂けるというコミットメントがあった」(岩田氏)とその理由を付け加えた。

引用元:IPの価値を最大化する——任天堂がDeNAと組んでスマートデバイス市場に参入 - TechCrunch

目先の利益よりゲームの魂を大切にしてきた任天堂が、ゲームの魂など知ったこっちゃない。とにかく射幸心をあおり、じゃぶじゃぶ課金、金、金、金のDeNAと提携することになった。

これは独ソ不可侵条約と同じく、両者にとって誠にわかりやすい弱点の補完でもある。DeNAは結局自分たちでは何も新しく生み出すことができない。彼らは所詮「金儲けにしか関心のないコンサル」。だから喉から手が出るほど知的財産が欲しい。

逆に任天堂は素晴らしいコンセプトとハードを作ることができるが、悲しいくらいにネットの世界ではダメだ。今だにWiiをたちあげると「Wiiの間」とか「Wiiニュース」のアイコンが見える。任天堂がWiiをプラットフォームとし、その上でネットのサービスを提供すると聞いた時、それを阻むものは何もないように思われた。しかし私の予想は間違っていた。Appleがネットではダメダメな以上に任天堂はネットの世界では無力だった。

その弱点を補強するため「はてな」と提携とかではらちがあかないことに気がついたのだろう。東方の安定を保証するためソ連と条約を結ぶことを選択したのだ。そのイデオロギーが180度反対であることを100も承知の上で。

ロシアがいつまでたってもロシアであり続けるように、DeNAもDeNAであり続ける。岩田社長が平沼よりは現実的で鋭利な知性をもってこの判断をしたことを祈るばかりだ。

「任天堂やソニーは、人間でいうと還暦を過ぎている。日本で過去30年間に生まれた企業が、世界のリーダーに上り詰めたケースはまだないが、その歴史を変えていく」

横浜市内で先月31日に開かれたゲーム開発者向けイベント「CEDEC(セデック)」。ソーシャルゲーム配信サイト「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子社長は基調講演で、過激な挑戦状をたたき付けた。

引用元:ソーシャルゲームはコンシューマゲームより圧倒的に優れている - 文系ITコンサルタントの思索


Appleが目指す姿の一部

2015-03-17 07:08

なんでも新宿伊勢丹の一階にApple Watchのショップが建設中とのこと。

新宿伊勢丹本館の1Fフロアマップにある、工事中と書かれた場所に設置されます。

このApple Watch Shopは、1Fフロアに常設されるようです。

隣には、カルティエのジュエリー&ウォッチ展示販売がオープンブースとして展開されており、このような感じで展示がされるものと予想されます。

引用元:伊勢丹 新宿店、Apple Watch Shopの設置工事を開始 | Watch | Macお宝鑑定団 blog(羅針盤)

隣はカルチェ。名前だけ知って私が触れたことのないブランドだ。

このようにApple watchは「家電売り場」に並ぶような製品ではない。仮にこのショップがオープンしたとして、果たして私はこの場所に辿り着けるだろうか。待ち受けるのはアクセサリー、婦人雑貨、ハンドバックに化粧品である。その「壁」を乗り越えなければApple Watchに触ることはできない。

伊勢丹一階

引用元:Macお宝鑑定団

おそらくMac BookとApple watchの詳細が同時に発表されたのは偶然ではない。こうした「家電売り場に置かれない製品」は今後Appleが目指す姿の一部なのだと思う。

新しいMac BookはMac Book Airが最初に出た時と同じような位置付けにある。CPUは非力でポートは限られており、ハナから他の機器をつなぐことなど想定しておらず、信じられないほどかっこいい。つまりこれは

「CPUのベンチマークがどうの。動画編集がどうの」

という人間向けではないのだ。このApple WatchショップにDELLやLenovoのPCを置けるだろうか?ここに置くことができる唯一のPCはMac Bookである。つまりMac BookはApple Watch Shopで使うために開発されたという説には-自分でついた嘘だが-説得力があるように思う。


SONYのDNA

2015-03-17 06:51

もう批判する価値すらないと思ったSONYだが、どうしてこう次から次へと楽しいことをやってくれるのか。正確に言えばSONYではなく、ついこないだまでSONYだったVAIOだが。

「VAIO Phone」の発表後、Twitter上には「ELUGA U2にVAIOのシール貼っただけ」、「中身がELUGAで外がVAIOだ。PanaSONYが誕生」、「色が違うだけ」など、「ELUGA U2とVAIO Phoneが似ている」という主旨のツイートがかなりの数書き込まれていた。
「ELUGA U2」はパナソニックが台湾で販売しているSIMフリーAndroidスマートフォン。「VAIO Phone」と比較すると、CPUや内蔵メモリ、ストレージ、カメラの画素数など共通している部分も多い。サイズ/重量に至っては全く同一の数値となっている。

また価格は、「VAIO Phone」が一括購入価格税別51,000円なのに対し、「ELUGA U2」は7,900台湾ドル、日本円にして約31,600円と2万円ほど安い。これについてもTwitterでは、「ロゴ張り替えただけで2万高いのか」、「ロゴが2万ってことだな」など、揶揄するツイートが多数投稿されている。

日本通信に、「ELUGA U2」と似ているということについて問い合わせると、「(ELUGA U2)をベースにしたわけではない。たまたまだと思う」と疑惑を完全否定した。

引用元:日本通信「VAIO PhoneとELUGA U2がスペックもデザインも寸法も似ているのはたまたまだと思う」 : ガジェット2ch

要約すれば

新生VAIOが日本通信と組んでVAIO Phoneを発表!

値段5万円!高い!

あれ、これPanasonicが海外で発売しているスマホと似てね?しかもそのスマホ3万ちょっとで売ってるよ?

差額についてはもうすでにネタバレしているので、ここでは書かない。消費者を舐めきった姑息な「値引き」を実現するための「5万円」ということであり、3大キャリアのわけのわからない値付けとかわらない。


裏の事情を想像すれば

日本通信:ちょっとインパクトのあるスマホを出したい。VAIOさん。どうですか。名前とロゴだけ貸してください。

VAIO:そうだなあ、まあリスク0だし、ロゴの使用料もらえるらしいしやってみるか。じゃあ表向きにはデザインだけ担当したことにして。

とかまあそんなことだと思う。世の中には他社の製品をOEMとか称して売る例はたくさんあるから、まあこれくらいは問題ないよね、と思ったのだろう。

こうした判断はサラリーマンとして全く非の打ち所のないものである。つまり会社の都合だけを考えれば正しいのだが、「それをユーザがどう見るか」という視点が完全に欠落している。

ひと昔前のAppleは他の会社が出したCDドライブ兼プレーヤーにロゴだけつけて売るようなことをしていた。それは過去のAppleであり、今はこう心から信じる人間がVPになっている。

ほんとに心から信じるのですが、ひとびとは思いやり(care)を感じることができると思います。同じように思いやりの欠如(carelessness)も感じることができるのです。これはお互いが相手に対して抱く敬意のことです。まったく思いやりに欠けたものを私に買わせるとしたら、それは私個人に対する侮辱だと受け取るでしょう。文化的文脈でもこれは侮辱的です。なぜなら同胞を軽視することになるからです。私たちが常に正しいといっているのではありません。少なくとも私たちは心から思いやろうと意図しているということなのです

引用元:ジョニー・アイブにとって優れたデザインとは | maclalala2

PowerCD

いつの日かSONY、そしてVAIOもそのような「転換」を達成するかもしれない。しかし少なくとも今の彼らは「自分たちの都合」ばかり考え、それをユーザがどう見るかという想像力を持ち合わせないようだ。


野球狂の詩

2015-03-16 06:41

プロ野球のメディアに対する支配力には感嘆せざるを得ないことが多い。「球界の盟主」では暴力団から浮気で1億円恐喝された男がまだ監督をやっている。これは「他の業界」では到底考えられないことだ。

その支配力をもってすれば台湾沖航空戦を大勝利に変換することなどお茶の子ほにゃほにゃである。かくしてこういう前向きな記事がメジャーなメディアに掲載される。

勝とうとした試合で勝てなかったのも痛かった。東日本大震災からちょうど4年となり、試合前ミーティングで「何が何でも勝とう」と選手に伝えた。主将・嶋は「悔しい。昨年11月の日米野球でも勝ち越して、僕の中でも『この2試合は勝てるのでは』というスキもあった」と振り返った。

 開幕前の3月という時期に代表戦ができた収穫もある。「この大会がなければミスにも気づけず、11月の『プレミア12』で出ていたはず。ヨーロッパはスイングも速いし、簡単には勝てないことも分かった。データのない投手に対しては個より線でいく必要もあるし、センターから逆方向の打撃も必要」と指揮官。チームとして成熟するためにはどうするべきかを今後、コーチ陣とも話し合う予定だ。

引用元:【侍ジャパン】小久保監督「思い切り課題」格下相手にまさかの大敗 (スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

やる前は「誰がこんな試合みるんだ?まあ大勝だろうけど」と思っていた。ところが1戦目は逆転勝ち。2戦目は完敗である。ちなみに相手はこんな人たち。

名ばかりの「欧州代表」だから、そのメンバーも推して知るべし。イタリアリーグのボローニャでプレーするバリオ(26)はこう言った。

「ボクは普段、トレーニングジムなどで働きながら野球をしている。ボク以外にもオフの間は工場で袋づめをしている選手や建設現場で働いている選手もいる。みな、メジャーや日本ではプレーできないことは分かっている。だから、この機会に日本を楽しみたいと思って来たんだ」

引用元:日刊ゲンダイ|各国から寄せ集めて観光気分 侍J苦しめた「欧州代表」の実態

こういう「情報」がメジャーなメディアで一切流れないのも問題だと思うが、より根本的な問題から目をそらしてはいけない。

日本では野球がものすごく上手ならばそれだけですべての学業及び就職が可能になる仕組みが整っている。それゆえ日本のプロ野球でプレーしているのはほぼ全員が「子供の頃から野球だけやっていた」人間たちだ。

それが「本業の片手間に野球をやっている」チームに完敗する。オリンピックで完敗したときからなんとなく思っていたが、もはや確信してもよいと思う。つまり

日本の野球ってものすごく弱い

理由はわからないがどうもこれは事実らしい。

どうも「野球」というのはガラパゴス島で全く独自の進化を遂げた「なにか」であり、BaseBall というSportsではないらしいのだ。もちろんその「なにか」にはそれ独自の価値観と仕組みがあり、その中で勝者は決まるのだがそれはBaseBallという土俵に出たとたん、簡単に寄り切られる。

まるで帝国陸軍を見ているようだ、というのは何度使った比喩だろう。帝国陸軍にも独自の価値基準があり、その中で出世する人しない人がいた。そして「精強を誇る関東軍」はこういう組織だった。

当時の関東軍の一師団に対する検閲後の講評は,「統率訓練は外面の粉飾を事として内容充実せず,上下徒に巧言令色に流れて,実戦即応の準備を欠く,その戦力は支那軍にも劣るものあり」というものであった

引用元:「失敗の本質 ー 日本軍の組織論的研究」 - カレーなる辛口Javaな転職日記

満州国支配機関としての関東軍はその機能をよく果たし,またその目的のためには高度に進化した組織であった.しかし統治機関として高度に適応した軍隊であるがゆえに,戦闘という軍隊本来の任務に直面し,しかも対等ないしはそれ以上の敵としてのソ連軍との戦いというまったく新しい環境に置かれたとき,関東軍の首脳部は混乱し,方向を見失って自壊作用を起こしたのである.

引用元:「失敗の本質 ー 日本軍の組織論的研究」 - カレーなる辛口Javaな転職日記

あれですよ。日本的組織の問題を研究するのに、今や当時の関係者が死滅してしまった日本軍を対象にする必要はない。かっこうの研究材料が目の前に存在しているではないか。

誰かこの「歴史的敗戦」についてまともな本を書いてくれませんかねえ?某学会の査読やった図書券があるから、多少高くても買うよ。是非是非。



「モノ作り大国」という幻想(何度目か)

2015-03-12 07:42

Appleが発表した新しいMac Bookは多くの点で「異常」である。彼ががかなりの時間を使って発表した「中身」を見てみよう。

MacBook Inside

まずほとんどの面積がバッテリーで占められている。さらにロジックボードの小ささはどうしたことか。

狙いが違うのは理解した上でもとSonyの技術者たちが「自由に腕を振るった」モンスターマシン、VAIO Zの内部を見てみよう。

MacBook Inside

引用元:Engadget 日本版

VAIOの人たちは声高らかにこう述べる。

社内でバッテリーパックの形に製造できることから、輸送に必要な外装を最小限として大容量化した点について紹介。

引用元:VAIO Z設計者が解体する『VAIO Z徹底分解』レポ。開発名は神龍、Fitからは99%新規設計 - Engadget Japanese

もちろん200名の小さな会社とAppleを比較するのはフェアではない。しかし彼らの「バッテリーの秘密」はMacBookに採用された完全にカスタムなバッテリー部品からみるとなんと矮小に見えることか。

こうした比較を行った上で、この言葉を読み返そう。

――日本とシリコンバレーのエンジニアの違いはなんでしょうか?
技術力です。ハードウェアは日本の方が低いです。
よく日本は素晴らしい技術を持っていると言われますが、ハッキリ事実を言った方が良いと思います。
知識も技術力も現在取り組んでいることも、日本のほうがレベルは低いと思います。

その理由は単純です。ソニーやパナソニックが元気だったころ、量産体制を作り上げるために、それまで社内で設計していたのを、台湾や中国といった海外に委託しました。
日本は仕様書を書くぐらいしかしなくなり、重要な設計の部分は外国に流れたわけです。

いま日本人の若手技術者は「ここになぜコンデンサーが必要なのか」を理解せずに、
「このコンデンサーを外してはいけない」ということだけを知っているのです。
しかし、台湾や中国の技術者は「なぜ必要なのか」をきちんと理解しています。
設計する技術力は、いま日本ではなく、台湾や中国にあるのです

引用元:Appleの日本人エンジニアが日本のハードウェア技術力の低さを指摘 : iPhoneちゃんねる

新生VAIOも市場での評価を得る前から「苦労話」を誇らしげに語る悪癖は抜けないようだ。iPod nano発表後に石鹸箱ウォークマンを発表せざるをえなかった、またそのあとも「苦労話」をサイトに掲載していた苦い経験から何も学ばないのも日本的組織の「伝統芸」というやつだろうか。確かにこういうユーザもいるのだけど。

色々と書きましたが、実は本当に購入は迷いました。ウォークマンの中ではめちゃくちゃ高いですから。でも、あのNW-ZX1を上をいく究極の音質を目指したウォークマン。そして開発者インタビューから伝わってくるプロダクトへの自信。十分にそれだけで購入する理由になると思っています。早く家でじっくりと聴きたいです。

引用元:12万もするウォークマン NW-ZX2 を購入した理由:とあるソニー好きなエンジニアの日記:So-netブログ


Spring Forward Keynote

2015-03-11 08:11

ほとんど誰もが予想しなかったと思うが、Apple TVがKeynoteの頭のほうで登場した。内容はHBOの追加と「値下げ」だった。

Tim Cookは何度かこのフレーズを繰り返した。

This is just the beginning

これはどういうことだ?

Mark Gurman talks to CNBC about Apple Watch, new MacBook and rest of yesterday’s events


Unusually good questions from CNBC and as always great insight from Mark.

引用元:Mark Gurman talks to CNBC about Apple Watch, new MacBook and rest of yesterday’s events | 9to5Mac

リンク先に掲載されているCNBCのインタビューには驚いた。Mac Bookのスクープを正確にものにしたMark Gurmanのコメントももとより、「きちんとした質問」をしているCNBCの人間にはもっと驚く。日本のメディアにこんな的確な質問ができる人間が果たして存在するのだろうか?

Gurmanの予想はこうである。なぜApple TVを値下げしたのか?それは現在Apple TVが存在しているレンジ(あるいはその少し上)に何か新しい製品をリリースするためだ、というもの。つまりApple TVはAppleにとって「利益は期待しないが、AppleのTVビジネスというプラットフォームへのもっとも安い入り口」にする、ということなのかもしれない。

これはTim Cookが繰り返した前述のセリフと考え合わせると非常に興味深い。そもそもこのKeynoteでApple TVに言及したということはそれに意味がある、ということだ。間違いなくそう遠くない未来にAppleはTV関連で何かの発表をする。

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もう一点Gurmanのコメントで興味深かった点。

Research Kitはもう一つの驚きだった。iPhoneという膨大なプラットフォームを医療の研究用に提供しよう、というのだ。これは驚くべき発表であり、日本のメディアがほとんどResearch Kitをスルーしているのは信じられないような(予想通りというべきか)怠慢である。

GurmanはこのAppleと医療界の結びつきがなぜ存在するかについて「Apple Watchの健康診断センサー機能開発」があることを見て取る。WSJが報道したように、当初計画されていた健康診断用センサー機能は大部分が見送られたという。そうした機能をAppleだけで開発できるわけがない。その過程でAppleは医療界と結びつきを得たのだろう。

Research Kitの開発とその背景を考えるとき「目先の利益と売り上げ」しか眼中にない他家電メーカーとの差異に愕然となる。Appleにとっては「サムソンさん、どうぞこうした取組みをコピーしてください」ということなのだと思う。

これをGoogleがやれば絶対「Googleは一切のデータにアクセスしません」とは言えないだろう。これが言えるのはAppleがデバイスを売る企業であり、Googleのような広告業ではない、という根本的な差異に由来する。金のためなら平気で魂を売り飛ばすDeNAのような企業は論外だが。

そのような観点から私にとってはサプライズ満載のKeynoteだった。こういうことがあるからApple原理主義はやめられない。


長続きする美しく、「使えるもの」

2015-03-10 07:05


Mac Book

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そして、大事な事は、そのパートナーの信頼性が低かったり、性能が低かったりすれば、ビジネスは中断され、その被害というのはそれこそ"プライスレス"かもしれない、という点だ。筆者の仕事で言えば、締め切りまでに記事を書いて出版社に納品する……それがPCの性能が足りなくて、あるいはすぐ壊れてしまって原稿が書き上がらず納品できなければ、次からその出版社は筆者には仕事をくれないだろう。そういうことのないようにと考えれば、数万円高かろうが、より良いモノを選びたい、それがビジネスパーソナルユーザーの1人としての筆者にとってのPCを選ぶ基準だ。野球選手が安価なバットやグローブを買わないのも同じ理屈だろうし、それは言ってみれば将来への投資のようなものだ。そしてその数万円の投資が大きなリターンを呼ぶことを考えれば決して高い投資ではないと考えている。

 筆者は日本のビジネスパーソナルの人達はこの理屈をきちんと理解していると思っているし、だからこそパナソニックのLet's noteシリーズのような製品が日本では売れている。そして、VAIOが発売したVAIO Zもそうした製品だとこの取材で理解できた、これを一連の記事のまとめとしたい。

引用元:【笠原一輝のユビキタス情報局】All about VAIO Z ~VAIO Z開発者インタビュー詳報 - PC Watch

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Apple Macs at the 2015 State of the Union (photo: Reuters)

引用元:State of the Union’s press gallery looked like an Apple ad – MacDailyNews - Welcome Home

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次にいろいろな意味で話題となっているVAIO Zの外観について触れ、「見たことあるデザインだな、って言わないでくださいね(笑)。中身は(VAIO Fit Aシリーズと)全然違います。簡単に言うとジムがガンダムになった、またはザクが赤くなった感じです」と紹介。

引用元:VAIO ZとFit 13Aの差は「ジムがガンダムになった感じ」。企画担当が開発コンセプトを解説 - Engadget Japanese

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ここで現状でのノートPC想定ライバルとしてM、つまりMacBookシリーズを挙げて、「Windowsのモバイルノートには、MacBook Proのような性能とモビリティのバランスとなる製品が実はなかった。なので我々はVAIOの歩む道として、MacBook Airよりモビリティが高く、Pro以上の性能を持った製品を作ろうと考えた」と紹介。


それに対する開発テーマ(社命)を「モンスターをつくれ」としたことをアピール。しかし「私たちとしても持てる技術を発揮できるモンスターPCを作りたかったのですが、本当にユーザーが付いてきてくれるのかが問題でした」と続けました。

引用元:VAIO ZとFit 13Aの差は「ジムがガンダムになった感じ」。企画担当が開発コンセプトを解説 - Engadget Japanese



インタラクション2015に感じた曲がり角感

2015-03-09 08:07

インタラクションというカンファレンスがある。その名の通り人間とコンピュータがあれこれやることに関して研究発表やらデモが行われるイベントだ。2011年にはこれの開催中に震災が起こったりしたのだが、それは今日書くことに関係はない。

ここ数年デモ発表は査読なしで行われている。つまり公序良俗に反しない限り誰でも発表できる。去年までは「確かに質のばらつきはでるがこちらのほうが面白い」と思っていた。しかし今年参加してその方向性に行き詰まりが見えているように思い出した。

1.まずそもそも発表をしていないブースがいくつもあった。もちろん申し込み後に何か事情があってキャンセルすることもあるだろう。しかし今年は空きブースが妙に多かったし、かつたとえば

「開始時間後に、なにやら人がいたのはわかっているが、10分後に行ってみたら何もなかった」

「開始時間にポスターがおりたたまれて机の上に置かれたままになっていた」

「開始10分たっても誰も説明場所にいなかった」

などの例が目についた。この人たちは何をしに来たのだろうか?

2.私は人ごみが苦手なので、必然的に空いている展示を見ることになる。それゆえ例年賞をとるような人気の展示は見たことがない。だからいつも「人気がない展示」を見ていることは自覚している。

しかし今年はそうした事情を自覚した上でも「リアクションに困る」展示がいくつもあった。これは一体何が面白いと思って作ったんでしょうか?意見に賛成できるとか反対だというレベルにも達しておらず、「とにかく作ったのでもってきました」があまりにも多かった。ある人のTwitterを引用する。

インタラクション2015のインタラクティブ発表を見ての感想。厳しい言い方だけど「作った」「何か凄いのできた」だけなら Maker Faire とかニコニコ方面のほうがよくね? 「学術」の場だったら、「過去の知見」を踏まえた議論とかその真価とは何かの議論がないと。

引用元:綾塚 祐二さんはTwitterを使っています

この意見に全面的に賛成である。

3.登壇発表は査読されているから、応募したものの半分に絞っているはずだ。これはおそらく質がどうのというよりインタラクションというカンファレンスがどういうスタンスかという問題なのだと思う。

特に二日目午前中のセッションに顕著だったが

「動くテーブル作りました。テーブルが動くと使っている人はどう感じるか評価しました!」

という研究が発表された。それに私はこう書いた。

で結局何が面白いんだ?

引用元:Goro otsuboさんはTwitterを使っています: "で結局何が面白いんだ? #i2015"

そもそも動くテーブルを何に使うのか?なぜ動くといいのか?私は「こんな素晴らしいデバイス作りました!みなさん使い道を考えてください」を目の敵にしている。その私にとってこの研究は「そもそもなぜテーブルを動かすのか」について何も言っていないと感じたのだ。

それに対しては「机が動くから面白い」的な発言が続いた。つまり「何がおもしろいか」は論文の中で提示する必要はなく、とにかく見た人が「こんなことができそうだ」と思えればいいらしい。

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何事もそうだが、あるルールのもとで競わせるようにすると、必ずそのルールに最適化された方法が発達する。ある人のTweetを引用する。

インタラクティブ発表に賞があるからこそ良い部分もあるけど,賞をとるために体験者を捌くことに専念したり,インパクト重視だったり,いいところだけ見せて悪いところを一生懸命隠して本質的な議論を避けようとしているのとか見えるところがあって,悩ましいなとか思ったりした.

引用元:Satoshi NakamuraさんはTwitterを使っています:"

というわけで、今年はいろいろな問題が明らかになったインタラクションだったように思う。まあしかしあれだよね。私はその気になれば自分が作ったものを発表できる立場にあるんだから、文句があれば自分で論文書いたりデモしたりしろ、ということだよね。

しかし仮にデモ発表するにしても、「賞をとるために体験者を捌く」のはやめようとおもう。というかそういう「最適化」を考えたこともなかったので正直驚いている。






困った時は基本に戻る

2015-03-04 07:27

サムソンの次の主力機種が発表された。


@gruber I had to give my head a shake upon seeing this picture. Litigation's the cost of Samsung doing business.

引用元:Steve LybさんはTwitterを使っています: "@gruber I had to give my head a shake upon seeing this picture. Litigation's the cost of Samsung doing business. http://t.co/XwZVChCTtg"

いや、これはすごい。iPhone6そのものである。ここについているコメントが

「なんでiPhoneのホームボタンの形が変なんだ?」

とか笑えるものだ。

iPhoneに対して(最近あまり聞かなくなったが)バッテリの交換ができない。防水でない。SDカードが使えない、という批判を耳にする。実際サムソンもそう言っていたのだろうが、この「最新機種」ではそれらを全部捨てて

「いいところも悪いところも全部iPhone6」

にしてきた。

思うにサムソンは最近のスマホ事業の利益低下(それでも利益を出しているだけ大したものだが)に悩んでいるのだと思う。そして困った時、人は(そして会社)はその本性に立ち戻る。

もう一つ面白いのは、それほどまでにコピーしながら、出来上がった製品をiPhone6と比べると圧倒的に「美しくない」こと。これは私が狂信的Apple原理主義者であるということを除いても多くの同意が得られることだと思う。製品のデザインとはかように難しいものなのだな。

さて、この「チープな模造品」を買いたいと思う人がどれだけいるんだろうね?


何に価値を置くか

2015-03-03 07:26

先日DeNAがこんなアプリを発表した。

「Flat」は、同じ職場に勤める社員同士のコミュニケーションの促進を目的としたアプリです。同じ会社の社員のみ入ることができるルームで、自分が誰かを知られずにコミュニケーションできます。匿名性があることで、同じ会社という共通のバックグラウンドを持った社員同士が情報交換をフラットに行うことができます。登録には、同じ会社の社員であることを確認するため、会社のメールアドレスが必要です。メンバーが一定の人数に達する等の条件を満たした場合にルームの開設が承認されます。

引用元:同じ会社の社員同士で名前は内緒で雑談 企業内クローズド匿名SNS「Flat(フラット)」の提供を開始 | 株式会社ディー・エヌ・エー【DeNA】

私の意見はこのコメントと同じである。

「しばらくしてから経営層向けにこっそり発言とメールアドレスを結びつけたデータを販売する」というビジネスモデルはどうか(ぉ

引用元:はてなブックマーク - 同じ会社の社員同士で名前は内緒で雑談 企業内クローズド匿名SNS「Flat(フラット)」の提供を開始 | 株式会社ディー・エヌ・エー【DeNA】

DeNAが他社企業の内部事情を知るためのアプリ。

引用元:はてなブックマーク - 同じ会社の社員同士で名前は内緒で雑談 企業内クローズド匿名SNS「Flat(フラット)」の提供を開始 | 株式会社ディー・エヌ・エー【DeNA】

「あの」DeNAであるからしてまともなことをやるわけがない、と多くの人が感じているのだと思う。今や全く異なるアプリになってしまったSecretは自分たちがどのように秘密を保持しているかちゃんと説明していたが、DeNAはそう言う気もないようだ。

さて、このコメントを読もう。

We don’t read your emails, we don’t read your messages, we find it unacceptable to do that. I don’t want people reading mine! […]

We have designed Apple Pay purposely so that we don’t know where you buy something, how much you pay for it, what you bought. We don’t want to know any of that.

引用元:Tim Cook talks Snowden, Apple Car and Steve Jobs as the best teacher he’s ever had | 9to5Mac

ナデラではないが、「その会社は何の会社か?」という単純な問いは、時として極めて強力である。Appleはデバイスを売っている会社。それゆえこう言い切ることができる。Googleにはこうは言えない。なぜなら彼らは広告会社だからだ。

ではDeNAはなんの会社か?

「金儲けのためなら合法ではあっても人が眉をしかめるようなことを平気でやる会社」

としか言いようがない。GREEも同様で、彼らはGreedと改名したほうがいいのではなかろうか。

報道が悪いのか、あるいは私の視野が狭いのかもしれない。しかしTim Cookやナデラのような

「我が社の価値はここにある」

と言い切る強い言葉が日本の経営者から聞こえてこないのは至極残念に思える。いや、もちろんそう発言する社長さんはいるんだよ。でも実態と合ってないから。

「インターネットを通じて、世界をより良くする」ことで、社会や世の中に貢献していきたいと思っています。

引用元:グリー株式会社 (GREE, Inc.) - 会社情報 - 社長の想い


2014-2015ごんざれふ賞

2015-03-02 06:41

あれですよ。ロスアンゼルスでなにやらイベントがあると「今年もそろそろ書かなくちゃ」という気になるわけです。

忘れている人もいるかもしれませんが、この「ごんざれふ」は映画評サイトでもあるのです。「でも」ということは他に存在意義があるような言い方だな、と突っ込む人は優しさが足りない。というわけで今年もずらずら書きます。対象作品は2014/3/1-2015/2/28に「私が観た」映画。米国で公開とか日本で公開された日付とか細かいことは知りません。では行きましょう。

作品賞

きっと、星のせいじゃない。 - THE FAULT IN OUR STARS

ベイマックス - BIG HERO 6

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー - GUARDIANS OF THE GALAXY

ごんざれふ賞のいいところは「柔軟さ」誰が作品賞は一つにしないといけないと言ったのか。少なくとも俺は言っていない。

この3作品の素晴らしくも恐ろしいところは「定番ジャンルで定番ストーリーを語り正面から観客をノックアウトする」ところ。これらの作品はB-29であり、M-1戦車であり、原爆であり、、その威力は素直に認めましょう。


監督賞:ベン・スティーラー(LIFE!
この作品は十分監督賞に値すると思う。期間の前半はこれが作品賞かとも思っていたし。


主演男優賞ベイマックス作り上げた人たち
主演男優でも女優でもいいんだけど、どこかで彼らと彼女たちに言及しないのはフェアではない。あの登場人物たちを「演技」させたのは彼らと彼女たちなのだから。

最近Apple TVでBig Hero6のクリップ集を見るんですよ。登場人物たちの表情、しぐさの細やかさ、一瞬しか映らない街並みとか研究室とかの完成度に驚嘆せざるを得ない。それゆえそれらのクリップは何度見ても飽きることがない。これはすごいことだ。


主演女優賞:エミリー・ブラント(オール・ユー・ニード・イズ・キル)
この映画の価値の8割以上は彼女に負っているのではなかろうか。


助演男優賞:ウィレム・デフォー(きっと、星のせいじゃない。
なぜこの役にこの役者が?と思えばそれにはきちんと理由があった。Jerkでありながら、きっちりと言葉に意味と重みがあるのはお見事。



助演女優賞:ジャレッド・レト(ダラス・バイヤーズ・クラブ
いや、これはすごかった。特にマコノヒーが「彼女」を侮辱した友人を羽交い締めにするところの眼差し。


ちょっと言及したくなった映画
ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅:静かな。何かを考えさせる映画。
鑑定士と顔のない依頼人:まあ、なんというか男ってバカですよね。
エクソダス:ヤハウェの人でなしさ加減(神様です)

では皆様お待ちかね、観てしまった中で最低映画賞の発表です。

観てしまったなかで最低映画賞GODZILLA ゴジラ

小学生の頃の五郎ちゃんならそれなりに楽しく見られたのかもしれないけど..Ken Watanabeの認知症科学者とか野球帽をかぶった少年とか「見所」には事欠かない映画でございました。

最近なかか外出できず、おそらくここにはいるべきであったジャージーボーイズとか見られてません。でもその分おうちで「見たことがなかった過去の名作」をビデオでみるとかしたのです。マディソン郡の橋とかシャイニングとか。さすが名作と唸らされました。

今年はどれだけ映画を見られるかわからないけど、なんとかごんざれふ賞を続けることができるくらいは見られるといいなあ、と言ったところで来年のごんざれふ賞までさようならー(ブログはいつも通り続きます)