企業の体質

2016-08-31 06:40

Pokemon Goに関するインタビューから引用。

宇都宮専務:今の「ポケモンGO」でも、僕らはそんなに高いとは思っていなくて、安くしているつもりなんですけれど、ナイアンティックの人たちって、それ以上に、グリーディー(貪欲)じゃないんですね。

 もともと、グーグルのエンジニアの人たちって、「お金のことなんて考えるな、ユーザーのことだけ考えろ」というふうに徹底的に教育されているので、課金に対して、ものすごく嫌がるんですよ。なので、僕らは「独立した以上はお金が必要ですよ」とか言いながら、なぜお金をもらうことが必要なのかというのを、ナイアンティックのエンジニアの人たちに納得してもらうところから始めました。

引用元:ポケモンGOの開発秘話から今後まで、幹部語る (3ページ目):日経ビジネスオンライン

さらっと書いてあるがこれはものすごいことだ。だってナイアンテックは独立したばかりのベンチャーで、出資者は存在しているが日銭をかせがなければならない立場にある。

それでいて

「課金はさけたいなあ」

と言い続ける。これをもって「ダメだ」という人もいるだろうが私はただ驚く。実際彼等の出身企業、Googleは無茶苦茶に儲けているのだ。

これは国内のメガベンチャー(笑)にも聞かせたいような言葉。(彼等に耳はないが)

Pokemon GOが今後どうなるかはまだわからない。引用したインタビューの人も「まだ成功だと思っていない」と断言している。しかし私はすでにそのユーザ層の広がりに驚いている。私の感覚でしかものを言えないが今までスマホやコンソールでゲームをやったことがない人がプレーしているように思えるのだ。その代表格が私と私の奥様だが。

仮にPokemon GOがこのあと忘れられるにせよ、これほどまでに単純で課金要素を排除したゲームがものすごい広がりを見せた、ということは良い前例として残って欲しいものだ。


PDCAを高速で回しましょう

2016-08-30 07:11

とか「ほうれんそう」とかお仕事の場である人にとっては「真面目な標語」別の人にとっては「冗談」としか思えない言葉はいくつも存在する。

「KPI目標を達成するべく、全力でPDCAを回しましょう」

引用元:マーケティングはPDCAからOODAへ -シン・ゴジラも倒せる!?米軍最新式マネジメントで「任せて、勝つ」- - 電通報

誰かがこんなこと言ったら「アホか」と思うが、大人なので口にはださない。ただ私のサラリーマンとしての致命的なところはそれが顔にでてしまう、ということだ。

某出版社では、編集者に「たくさん企画書を出せ!」と命じて、それを達成すべく「月にいくつ企画書を出したか」をKPIとしました。すると編集者たちは、つまらない企画書しか出せなくなってしまいました。(P.86)
「無理な販売予算」の達成に向けて値下げを始めた会社では、少しずつ売上総利益率(=粗利率)が低下していきます。(P.87)

引用元:マーケティングはPDCAからOODAへ -シン・ゴジラも倒せる!?米軍最新式マネジメントで「任せて、勝つ」- - 電通報

人間は単純さ、明快さにひかれる。しかしそれは複雑怪奇な現実を矮小化する手段でもある。というか書きながら思うのだが、これって無能な管理職のための方法論ではなかろうか。あちらを立てればこちらが立たず。そういう状況をなんとか「よくする」というとらえどころのない問題に取り組むのがマネージャーの務めと思うが、KPIをたててそれに全力で取り組むってマネージャーの仕事放棄に等しい。

ずっと考えてまだ答えがでていないのが「なぜわが国ではそうしたマネージャーの愚鈍化が起きやすいのか」という点。

「こんなのはクソだ」

という言葉を言うことが禁じられるからなのかな。

「まあまあ、そう言わないで」

「ここはひとつ前向きに取り組むということで」



MNPでMVNOに移転して

2016-08-29 06:40

ここに書いておけば誰かの目に止まることもあるだろう、と書いておく。

二年縛りとかとにかく理不尽な制約にうんざりしてSoftbankからIIJへの移転を考えたのがしばらく前。土曜日にIIJのSIMが届いた。箇条書きで書くと

・SoftbankにMNPを告げる。MNP予約番号というものがもらえる。

・IIJのサイトで回線追加を申し込む。その際にMNP番号を入力する。音声通話付きのSIMなので、本人確認が必要とのこと。免許書の写真をアップロードする。

・本人確認に2−3日かかるということだったが、翌日確認とれました。SIMを発送します、というメールが来る。

・SIMが届く。わーい、とばかりiPhoneSEにはいっていたソフトバンクのSIMを取り出し、IIJのSIMをいれる。

・IIJのサイトにあった通り、みおぽん というアプリをダウンロード。構成プロファイルという何かをインストールする。(家のWIFI経由)

・わくわくして表示を見るが「圏外」のまま。通信ができない。再起動とかしてもダメ。

・あわててSIMと一緒にはいってきたものをあれこれ見る。IIJに電話して、MNP開通の手続きが必要ということでさっそくやる。回線の電話番号とSIMのシリアル番号の下4ケタをプッシュフォンで入力するだけ。

・表示は相変わらず圏外。泡食ってPCで検索すると、電話してから切り替えに2時間くらいかかるとのこと。それまでSoftbankで使っていたSIMはiPhone5に入れる。両方共電源を切ってしばらく待つ。切り替えが終わるとメールがくるらしいのだ。

・そうはいっても2時間というとiPhoneを使用される方がおでかけになる時間の間際になる。なんとかならんかな。今Softbankの回線はまだ使えるはずだ、とiPhone5の電源をいれてみる。表示が「圏外」になっている。

・あれ?と思いiPhone SEの電源を入れる。すると回線の表示がNTT Docomoになって通信できるようになっている。やれうれしや。電話してからここまで1時間ちょっとだったと思う。

・しばらくしてIIJから切り替え終了を告げるメールが来る。これで一安心。来月にはソフトバンクからあれやこれやの請求(わかっているだけで解約金、MNP転出手数料だが)がくるだろう。それを払えばもう縁はない。

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こうやってみるとやはりあれこれ面倒だなあと思う。「なんだかわかんないけど、やってよ」とキャリアに高い金払ってお願いする気持ちもわからんではない。

とはいえ「行き届いたサービス」と「高額のぼったくり」の境目は常にどこかに存在している。家にあったPCデポのチラシを見ると、iPHone OSのアップデート表示がでていませんか?ご相談ください!と書いてある。これで契約に持ち込もうとするのだろうが、確かに「アップデートしますか?」と聞かれれば普通は戸惑うだろう。

こうしたサポートはNPOでやるべき、ということなのだろうか。仕事を引退したらそういう法人でも立ち上げようか。


いくつかの断片

2016-08-26 06:46

短くいくつか。まずはこのニュース

実際に、ビーコンが社内コミュニケーション活性化に寄与したかを検証。従業員に対して事後アンケートを実施したところ、「社内コミュニケーションが円滑になったと感じたか?」との問いには、「円滑になった」と回答した人は全体の7%にとどまり、「円滑にならなかった」の54%を大幅に下回る結果となった。

引用元:社員全員に個人情報入りビーコン配布--社内コミュニケーションは活発化したのか? - CNET Japan

このニュースの何が感動的といって、全くうけなかった試みを堂々と発表するのがすごい。大本営補正をかけなかったところもさすがはリクルートというべきか。これが三菱なら数字を反対に操作するところだ。

説明を読むと「そりゃ誰もつかわんわな」と思う。開発した人間は本当にこれが使われると思っていたんだろうか。それとも誰か偉い人が言い出したからしかたなく作ったんだろうか。

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次には民主党(あれ、最近かわったんだっけ)の次の代表になるこの人。

この編集のされ方は残念すぎます。
私は「編集しないでほしい」との前提で、岡田代表への敬意を表しました。その上で、ユーモアのない真面目さを現場で伝えたかったのです。

蓮舫氏「岡田代表は大好き、ただ本当につまらない男」

引用元:蓮舫・れんほう@民進党さんのツイート:

発言内容の思慮のなさといい、そのあとの見苦しい言い訳といい、まさに民主党の代表にふさわしい。最近写真をよくみかけるようになった。実に醜い。菅直人とそっくり。この年にして思うのだが人間の内面というのはだんだん外にでるものなのだな。

岡田くんが辞任すると聞いて自民党からは惜しむ声が上がったというが、多分次期党首も大歓迎されるのではないか。政治家というのは本当になり手がいないのか、あるいは日本の組織で「大多数の支持を集める」ものにロクな奴はいないと考えるべきなのか。

シン・ゴジラをみて「民主党政権時代にゴジラが来ていたら」と考えることがある。観客は「内閣総辞職ビーム」の場面で拍手喝采するかもしれない。現実に3.11の時にはそれが起こっていたのだ。幸いなことに誰も映画にしないようだが。

ーーー

最後はiPhoneの白を可能にした日本企業の話。

だが、澤登社長は「アップルはこちらの仕事に敬意も持ってくれた」と語る。「単にダメだとこき下ろして突き放すのではなく、どこが悪かったのかを細かくフィードバックしてくれる。必ず建設的な意見を出して、次に進むための材料を与えてくれた。ものづくりに対する姿勢は真摯。こちらも一生懸命やってやろうという気になった」(澤登社長)。

引用元:“白いiPhone”を生んだ下町企業 インク開発に約2年 (日経トレンディネット) - Yahoo!ニュース

今ではiPhoneの白だけ発売が遅れていたことを覚えている人は多く無いか。社長の言葉にどれだけ社交辞令が混じっているかわからないが、私はここに

「下請けなんだから黙って言われたものを作れ」

と言ったであろう日本の大企業に対する反感を読み取る。三菱や東芝やNTTは間違い無くそういう仕事のやり方をしていたはずだ。

日本がものづくり大国などというのは幻想にすぎない、と何度も書いた。私はこの社長談話もその証左と考える。良いものを作るためには、その技術をもった会社を世界中から探し出し、その技術に敬意を払い、建設的に仕事を進める。日本の大企業にこうした姿勢をとっているところがどれだけあるのか。


ソフトバンクを解約する

2016-08-25 07:01

PCデポが長年働いていた悪事の清算を迫られている。きっかけは一つのTweetだった。

この「分割して支払い。途中でやめたら違約金」というシステムはおそらく携帯電話キャリアが発明し、3社で寡占的に強制している仕組みだ。PCデポはそれを「徹底的に」活用したのだろう。それに従い妻がソフトバンクに呑気に高額の通信料を払い続けていた。(我が家は貧乏だが妻は金持ちなのだ)iPhone5が壊れたのをきっかけにMVNOに移住させることにした。まず回線名義の変更を行わなくてはならない。しかしそれが無駄な料金なしにおこなえる日は一月に1日しか無い。カウンターに座りあれこれ手続きをする。机の上に「バックアップ用SDメモリ」の広告が見える。

PCデポだけだと思っていたら、痛い目にあいます。

例えばスマートフォンを契約した時に、店員から法外な料金で割賦契約させられるSDカードなどがそうです。ツイッターで「SDカード 分割」で検索すると沢山の被害者がでてきます。

引用元:もし携帯料金の2年間の総額表示が義務付けられたら - ピコシムのブログ

これを押し付けられる人は多いだろう。なんだかわかんないしね。そうやって巻き上げた金はすべてアメリカにもっていかれスプリントの利用者にばらまかれることになる。あるいは副社長の給料になる。

今や3大キャリアの携帯電話料金の仕組みを直感的に理解できる人は誰もいないと思う。その複雑さにかくれてボロ儲けを試みるのはPCデポも3大キャリアも同じこと。だから私はこの表示に賛成だ。

携帯電話料金の表示

引用元:もし携帯料金の2年間の総額表示が義務付けられたら

この画像を作った方も書いている通りタバコの表示のようだが、これでいいではないか。キャリアはこういう表示を避けるために複雑怪奇な料金体系を作って「いや、一概には、、」とかなんとか言っているわけだが。

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MNP転出の電話をしたら、とにかくあれこれ言われる。いま転出するとこれだけ手数料がかかります、違約金もかかります。Yモバイルはどうですか、あそこなら手数料が半額です。それが終わるとようやくMNP予約番号が送られてくる。その前にSNSがくるのだが、それで指定されたページにアクセスするとプラチナバンドが使えなくなります、海外のパケットし放題が使えなくなります、と延々ページをめくらされる。まあ誰かが「これだけページを読ませると解約率が下がります」とかデータを出したんだろう。

それを読めば読むほどキャリアへの嫌悪感が高まる。PCデポで解約を言い出すとこういうことを散々言われたあげく、20万請求されるんだろうな。

とにかくこれでPCデポの師匠とはおさらば。まだ手続きは完了していないが、気分的にはだいぶすっきりした。


戦場をシフトさせる

2016-08-24 07:14

ようやく他人の行動をみてパターンを指摘できるようにはなってきたが、自分ではさっぱり実行できないことの一つに「戦場をシフトさせる」というのがある。

Mac V.S. PCの戦いを覚えている人はいるだろうか。Macがどんなに宣伝しようと、PCのシェアを突き崩すことはできなかった。Steve JobsはPC OSでのシェア争いは終わったと宣言した。

そこで彼は何をやったか?戦場をモバイルにシフトしたのだ。そこではAppleは信じられないほどの成功を収め、Microsoftは手も足もでなかった。そしていまやAppleが製造した「情報機器」の数はWindows搭載のそれを上回るようになった。強大な敵に全く歯が立たないときは戦場自体を移してしまうのだ。

さて

いきなり何を言い出したかといえばこのニュース。

Top auto-parts suppliers Delphi Automotive PLC and Mobileye NV are joining forces to develop a fully autonomous driving system that car makers could begin placing in their vehicles beginning in 2019.

引用元:Delphi, Mobileye Join Forces to Develop Self-Drive System - WSJ

Delphiといってもほとんどの人は知らないだろうし、私も人生の一年ちょっとの間しか聞いたことがない名前である。元GMの一部門の部品メーカー。そこがイスラエルのモービルアイと組んで各自動車メーカーが採用できる自動運転のシステムを作るのだそうな。

これはDelphiによるモービルアイの買収では無い。私のもう一つの信条「連合とか同盟とかにろくなものはない」をあてはめれば、この形態でうまくいくとは思えない。しかしこれは愉快ではないだろうか。

一昔前、トヨタで一番偉いのはエンジン担当だったのだそうな。最近は何かしらないが、今自動車業界に大きな「戦場のシフト」が起こりつつある。電気推進と自動運転である。両方共市場やら環境やら法律の関係があるから一朝一夕にとはいくまいが、ガソリンエンジンとサスペンション、高速性能やら乗りごこちばかりを気にしていた戦いから大きく変貌しようとしている。

こうなるとそれまで「下請け」と思っていたFoxconnにシャープが買収されるような事態が起こらないと誰が言えるだろう?GMをDelphiが買収するようなことが起こっても驚かない。(ありそうにないが)モービルアイがGMを買収するほうが面白いか。

Appleが電気自動車+自動運転に取組んでいると聞いた時「それはちょっと先走りすぎではないか」と思った。しかし今になれば愚鈍な私にも理解ができる。それは思ったよりも現実味のある話で、確かにAppleはそうした「戦場のシフト」を狙って自動車業に参入しようとしている。

Apple原理主義者としては、ここでお小遣いをApple株に投資しようかどうか迷うところだ。iPhone7がでて「失望売り」がでたところで、長期にホールドする株を買ってみようかな。


私たちが至らなかったせいです

2016-08-19 06:48

不思議なのは、なぜこの人間が会長にとどまるのか、ということ。まずこいつらを首にするところから「姿勢」を見せなくてはならんのではないかね。

益子会長はこう打ち明けた。

 「アンケートの上がり方にも問題があった。セクハラ問題や情報流出問題など、非常に多くの項目が含まれていて、いわゆる職場環境の改善の話と本当のリスクの話が一緒になって報告されていた。今後は別立てで管理することが必要だ」

 言葉を選んではいたが、要は「部下の分かりづらい報告の上げ方にも問題があった」と言っているように聞こえた。

 さらに会見で益子会長は、今後の再発防止策の一部として本部長以上の役職者にレポートを提出してもらうことを明かした。燃費不正が起きてしまったことを踏まえ、「どのように受け止めているか」「身近にあるほかのリスクは何か」「それに対して何をすべきか」などを自由記述で書いてもらい、全員と面談するという。

引用元:三菱自社員、「今回こそ変われるんですか?」 (2ページ目):日経ビジネスオンライン

この「レポートを出させる」というのは三菱自動車の伝統だったらしい。それで燃費不正も起こったのだが、会長は聞く耳を持たないようだ。

効果がないのに同じことを何度も何度も繰り返すのは精神異常と呼ばれる。「レポートを出せ」というのは早い話が

「私が悪うございました。努力が足りませんでした。これからは心を入れ替えて働きます」

と言え、と命令しているのと同義。

その根底にあるのは「俺は全く悪く無い。無能な部下が悪い」という暗黙の前提。「身近にある他のリスク」と問われて、社員の多くは「あんたが会長にとどまっていること」と答えたいだろうが、三菱に勤める人間がそんなことを書くわけが無い。というかこれくらい無神経で無能でないと三菱グループで幹部なんか務まらんのだろうなあ。

同じ会見で日産自動車出身の山下副社長がこんなことを言っていた。

 「就任して約1カ月、(開発の)従業員に個別にインタビューしたり会ったりして、5000人を超える人たちの声を聞いた。すると、『今回は本当にやれるんですか? 大丈夫なんですか?』と聞かれる。こうした声に答えないといけない」

引用元:三菱自社員、「今回こそ変われるんですか?」 (3ページ目):日経ビジネスオンライン

日産出身の副社長に、つい本音を言ってしまう社員たちの気持ちは多くのサラリーマンに手に取るようにわかることだろう。というかこの副社長、よっぽどうまく切り出したんだろうなあ。私なら相手が日産出身だろうがなんだろうが「すべて私の努力が足りなかったせいです。これからは新しいマネジメントの元、生まれ変わった気持ちで働きます」というところだが。


売り上げと利益

2016-08-18 07:19

PCが売れなくなったといわれて久しい。考えてみれば今の家に来た時近くにあったPC屋さんはどんどん潰れているなあ。

でもって主に「中古品を買い取ってもらう」ために利用していたPCデポであるが、最近そのあこぎなやり方が話題になってきている。

この度は、弊社のサービスに関しインターネット上をお騒がせし申し訳ございません。
ご契約者様とご家族の皆様には、ご理解・ご納得いただけるように働きかけをしてまいる所存です。
またお客様、特に高齢者のお客様に弊社のサービスをより十分にご理解いただきご
契約いただけるように改善策を検討して参ります。

改めてご報告申し上げますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

引用元:弊社サービスに対するインターネット上のご指摘について | PC DEPOT|パソコン販売・修理・買取・データ復旧

それに対する最初のアナウンスがこれ。でもってあれこれ調べればサラリーマンとして「ああ、そうなのね」と思うような情報が存在している。

PCデポ売り上げ


PC関連の売り上げが先細りになるとき、誰かが「高齢者相手にサービスを開発しました」とか言い出したんだろうな。でもってこのグラフを見せられれば「多少後ろ暗い」ところがあっても、誰も「やめろ」とは言えんだろう。「株主に対する責任」もあるしね。

株価も下がってるけど、元はもっと安かった会社なんだから元に戻るだけ。
上層部はこれに懲りて方針を見直せ!
サポートが必要な老人が多くて、これだけの事があっても客足衰えない店舗もある、需要があるんからお店を潰すわけにはいかないし、胡座かいてないで性根入れ替えろ

引用元:ひかるさんのツイート

多少高くても、対面サービスが必要な顧客が私なんかが想像するよりずっと多く、そうしたサービスが必要なのは確か。しかし「サービスに見あった対価」というのは設定が難しい。誰かが「売り上げと利益をKPI」とか言い出した途端に話がこうなってしまう。

「こんなことは続かない。いつかは破綻する」

と思いながらもやめられない行為は社会に、そして私たちの生活に蔓延している。今回PCデポが表にでたが、ソフトバンクのカウンターに貼ってある「スマホ用外付けメモリ」の宣伝をみたり、あるいは実家の父のところにかかってきたNTT西日本の「実に卑怯な」契約の押し付けといい。

それが法律に触れない限りなかなか対処することは難しい。本来消費者庁がこうした情報を開示させる義務を負うべきだが、お役所で難しいところもあろう。2chと消費者庁の中間に信頼と責任をもった情報サイトがあってもいいような気がする。


サイバーダインという会社

2016-08-17 06:46

だいぶ前職を探していた時、人材コンサルタントからサイバーダインという会社を紹介された。しばらくほったらかしにされた後、お断りが来たのだが、そんな縁もあり何かとニュースは気にかけていた。

体の外に装着するロボットスーツのようなものを開発しているとは知っていた。あと筑波大学の教授が社長だとも。

ダイワハウスと提携したとか、マザーズに上場したとかいろいろな話がある。そして先日こんな記事を読んだ。

Cyberdyne サイバーダインは世界で最も途方もなく低価な株券です。
日本の投資家の方に細心の注意をはらうことをお勧めします。
ターゲットプライス:300 円
http://www.citronresearch.com/wp-content/uploads/2016/08/cyberdyne-final_a-Japanese.pdf …

引用元:ざら速(ザラ場速報) LV20さんのツイート

元記事にもあるが、レポートに「うんこ」の絵が入っているような内容をどこまで真剣にとるべきか。しかし読んでみたのだが、確かに「虚構」と考えざるをえない要素は存在している。今Wikipediaを見れば2004年設立、従業員100余名で売り上げはたったの6億である。

株価というのは美人コンテストのようなものだ、と聞いたことがある。とはいえこれはあまりにも実態を反映していない。そして将来が明るいかといえばとてもそうは思えない。指摘された内容をみて、サイバーダインがだした「決算説明資料」を読むと、確かに指摘された通りの内容が存在している。

こうした「空売り屋」の害悪については私は十分に知らない。今読んでいる「リーマン・コンフィデンシャル」ではアインホーンという人がリーマンブラザーズの決算報告の虚偽を喝破したとある。根拠のない噂は唾棄すべきだが、まともな指摘がなされないのも同様に困る。日本に再生の芽があるとすれば

「まずまちがっていることは間違っていると認める」

ところからではないかと常々思っている。サイバーダインはこの報告書に反論してくれるそうだから、今から楽しみにしていよう。


The Man in the Arena

2016-08-16 06:52

The Man in the Arenaという有名なスピーチがある。セオドアルーズベルトが1910年に行ったもので以下和訳を引用する。

批判はどうでもよい。つまり人がどれだけ強く躓いたか、行動力のある辣腕の人にやらせたらどこがもっとうまくできたか、粗探しはどうでもよい。名誉はすべて、実際にアリーナに立つ男にある。その顔は汗と埃、血にまみれている。勇敢に戦い、失敗し、何度も何度もあと一歩で届かないことの繰り返しだ。そんな男の手に名誉はある。なぜなら失敗と弱点のないところに努力はないからだ。ところが常に完璧を目指して現場で戦う人、偉大な熱狂を知る人、偉大な献身を知る人、価値ある志のためなら自分の身を粉にして厭わない人…結局最後に勝利の高みを極めるのは彼らなのだ。最悪、失敗に終わっても少なくとも全力で挑戦しながらの敗北である。彼らの魂が眠る場所は、勝利も敗北も知らない冷たく臆病な魂と決して同じにはならない。

引用元:心に残ることば:The Man in the Arena | maclalala:annex

なぜいきなりこんなことを言い出しかたといえば、昨日こういう文章を読んだから。

『シン・ゴジラ』の登場人物は、だれもが自分の責任を引き受けて、逃げない。その判断が正しかったのかどうか、だれにもわからない。否、おそらく間違えた判断も多々あったことだろう。

 初めから自衛隊を投入して攻撃していれば惨禍は未然に防げたかもしれない。しかし、この物語にはそういったことを無責任な立場から告発するアウトサイダーは登場しない。

 登場するのは、完璧ではなくてもなんとか事態を解決しようと試みつづけるインサイダーたちばかりである。

引用元:なぜ人がイチローになってから打席に立とうとするのか、『シン・ゴジラ』で説明するよ。:弱いなら弱いままで。:海燕のチャンネル(海燕) - ニコニコチャンネル:エンタメ

確かにそうだ。昔の怪獣映画にはなぜか「新聞記者」がでてきてあれこれやっていた。もちろんこの映画にも新聞記者がでてきてもいいのだが、鳥越某は出る余地が無いな、と思ったのも昨日のこと。

ある意味で、自分に対する批判や弱点の指摘は、反応するしないは別として受け止めておいて、環境に応じて自分を作り替えていくしか方法はないんだろうと思うのですが、やっぱり高齢になり、社会からの反応を直接受け取らなくても大御所として仕事ができてしまうポジションにくると人はこういう腐り方をしていくものなのでしょうか。

引用元:やまもといちろう 公式ブログ - 鳥越俊太郎さんの駄目さ具合から私たちが学ぶべきこと - Powered by LINE

「日本のリベラル」という不思議な集団がおり、その行動は徹底して私の嫌悪感を掻き立てるのだが、理由は彼らの主張の内容ではなくそのスタンス。つまり彼らは徹底的なアウトサイダーなのだ。責任のない立場から他人を批判するばかり。確かに「行動」はしているがそれは彼ら自身「安全であり、何も効果をもたらなさない」とどこかで自覚しているものばかりだ。国会議事堂の前でなんとかするとかね。

日本のマスメディアも同様で

それを経営者やマネジメントの責任について1mmも触れずに、メンバー間の対立であるとか、不一致であるかのように報道しているスポーツ紙とか週刊誌が、正真正銘気持ち悪い。政権批判はできてもジャニーズ批判はできないのか? ジャニーズ怖え。この流れの中で、メンバーの人格に責任を求める記事を書いてる芸能ライターとか、人格を疑うよ。

引用元:SMAP解散の報道の気持ち悪さ

彼らがなぜ「日本政府はメディアに介入している。けしらからん!」と声高に叫び、多くの国民が関心を持つであろうSMAPの命運について事務所側の大本営発表ばかりを流すのか。それは彼らが鳥越と同じくアウトサイダーだから。彼らは政府批判は絶対に安全だと承知しているからやっている。事務所批判は彼らにとって死よりも恐ろしいこと。それは何を意味するかといえば、彼らにとって「真実を明らかにする」ことより「被害を被らない」ことのほうが重要。

サンダースのような人間がリベラルと呼ばれるのであれば、日本のそれは常に「日本のリベラル」と呼称すべきだと思う。マスメディアも同様か。


シン・ゴジラにみた希望と絶望

2016-08-15 06:38

まともな映画評は表のサイトに書く。ここでは一点に絞る。

石原さとみをキャスティングした人間を無期懲役にしろ

それさえなければ、おそらく五十年先にも語り継がれる作品となったはずだった。しかし今のままではつねに「苦笑」つきで語らられる作品。

英語が上手とか下手とかそんな問題ではない。彼女の役柄が不要だと言っているのでも無い。問題はミスキャスト。演技だ。どう目を細めて見ても「上院議員の娘で野心満々の政治家」には見えない。「がんばって英語をしゃべっている日本のアイドル女優」以外の何物でも無い。

いや、普通の邦画だったらそれでも構わないはずだ。日本の芸能の最高峰は「AKB総選挙」なのだから。しかし石原以外のすべての登場人物が見事な演技を見せているなかで石原は

「世界最高峰のオペラの舞台上で、AKBが生歌を歌っている」

ような状況である。プロの演技者とはとても言えない。単なるアイドル女優。

今まで見たことがないような映画を見せてくれたことで庵野監督には感謝をせねばならない。そしてそれは

「日本にもまだ新しい映画を作ることができる」

という希望でもある。

それとともに「それであっても石原の侵入を防げなかったのか」という絶望も湧き上がる。数少ないマーケティグとの妥協なのか、あるいは庵野は信じられないほど日本以外に無知で無神経ということなのか。実際あの映画の中で米国人がでてくるシーンは皆おかしい。そこだけリアリティがないのだ。リアリティとはビニール袋にはいったカップうどんのカップのこと。

自分にそこを描く能力がないと自覚したならば助けを借りるとか、いやそれすらできなかったということか。いずれにせよ庵野監督には傷の責任も存在する。

どんな集団であっても、自分で作り出すことのできる人は、それ以外の人と比較して1%も存在していない。シン・ゴジラはオタク的こだわりが見事な創造に結実した稀有な例と見るべき。しかしそれが「ガラパゴス」であることも同時に見せつけられる結果となった。

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まあしかしあれですよ。これで東京オリンピックの開会式の演出は決定。ゴジラとピカチュウとスモウレスラー。一企業の製品をかついで、、とか馬鹿なことを言ってる場合じゃ無い。


日本の最近のデザインはなぜクソなのか

2016-08-10 07:02

社内で社員同士が講師をやる勉強会のようなことが行なわれている。そこで私もしゃべっているのだが、何度も出てくる話題が(というか私が出してるんだが)なぜ日本の最近のデザインはクソなのか?という話題。具体的に言おう。2020年のオリンピックのロゴはこれ。

2020

でもって1964年のロゴはこれである。

1964


2020年のロゴをめぐるゴタゴタは適当に聞いていた。しかし恥ずかしながら1964のロゴがこれほど美しく大胆なデザインだったとは知らなかった。半世紀以上を経て、日本のデザインがどれほど劣化したかはこれを見るだけも明らか。

2020年のロゴにはたくさん説明がついている。

歴史的に世界中で愛され、日本では江戸時代に「市松模様(いちまつもよう)」として広まったチェッカーデザインを、日本の伝統色である藍色で、粋な日本らしさを描いた。

引用元:東京2020大会エンブレム|東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

ゴミで「問題が少ない」デザインについた長文の説明。これが今の日本の問題を象徴している。小賢しいロジックの集合体はゴミでしかない。いや、貴様ごときが何をいう、という人にはこのプロのデザイナーの言葉を送ろう。

しかし現在、「これほどエディトリアルデザイン(新聞や雑誌、書籍など出版物のデザイン)のレベルが落ちた時代はなかった」と思っています。日本のグラフィックデザインはかつて、世界に冠たるもので、一大王国を作り上げていたのですが、今では逆に「日本のグラフィックデザインが世界の中でこれほど悪い状況に落ちたことはなかった」という状況になっています。日本のコマーシャルはかつては世界中のCMやCF(Commercial Film、映像を使った広告)の賞を総なめしていましたが、今ではそういったことはありません。

引用元:Business Media 誠:イタリア人以外で初めてフェラーリをデザイン、奥山清行氏が語る“ものづくり”の未来


今社内の勉強会に向けてあれこれ調べている。社内での発表が終わったら、集めたネタをこちらのブログでちょこちょこ出していこうと思っている。結論だけ先に書くと

「大胆かつ単純なグランドデザインの欠如」

が直接の原因で、これを生んだのは

「民主的な集団的無責任体制」

である。いや、貴様のような素人が、、と言われると思うので他の人の意見を引用しよう。

もちろん、製作委員会メンバーに上記のような事項を要求するだけの、力強いリーダーシップが必要である。

これはプロデューサーであったり、監督であったりするわけだが、製作委員会方式で成功した事例の裏には、このような力強いリーダーシップが必ず存在している。

引用元:『シン・ゴジラ』は製作委員会方式を終わらせるのか? - 水野祐(@TasukuMizuno)のブログ

悪名高い制作委員会方式であっても、「力強いリーダーシップ」が存在すれば映画を成功に導ける、とこの文章の筆者は主張している。

逆の言い方をすれば、制作委員会方式の最大の問題は「力強いリーダーシップがなくてもなんとなく映画が作れてしまう点」にある。そうして「売れる要素満載!」のゴミ映画が今日も制作される。それが私の言うところの

「民主的な集団的無責任体制」

この「集団的無責任体制」というのは日本のお家芸でもあるのだが、それについては以下次号。


Appleにとって真の問題

2016-08-09 06:47

成功しつつある企業が叩かれるのは当たり前だが、Appleはダメな時も常に叩かれていた。その叩き方にもある程度パターンがあるのだが、そうした「様式美」を除いても問題はちゃんと存在している。その最たるものが

「サーバーベースのサービスが弱い」

ことである。

いや、AmazonやらGoogleが強すぎるのだ、という意見もあろう。しかし

「iOSデバイス購入者は無償で写真、ビデオを無制限に保存可能!バックアップは自動で、ローカルの容量を圧迫しません。It just works"」

はTop Priorityの問題では無いか。

これはGoogleが米国のオリンピック放送でながしまくっているコマーシャルらしい。これはiPhoneを狙っていることは明白であり、実際のところ私は奥様のiPhoneも実家のMacもGoogle Photoを使って写真をバックアップしている。今の所それが一番確実だからだ。(実際先日奥様のMacの写真が死んだのだが、このおかげで何のダメージも受けずにすんだ)

これがAppleのサービスでないのは由々しき事態。「できないのならGoogle PhotoをApple名で提供しろ」といいたいが、それはPrivacyを重んじる姿勢からできんだろう。

無制限ができないから、せめてiCloudを写真、動画限定でどかっと値下げするとかさ。などと考え始めると9月だか10月だかのApple の新製品は票が待ち遠しくなってくる。Special Eventでは何が発表されるんだろうね。


隕石が落ちる時

2016-08-08 06:40

私がここ十年くらいの間にやったゲームというのは二つしか無い。一つはスマホの上でナメタケを集めるもの。子供のリクエストにお答えしてしばらくはかなりがんばった。しかしあるところで

「これ以上はなんともならない」

ことがわかってやめた。もう一つがPokemon GOである。

アプリストアの腐海に沈むアプリばかり作っている身としては

「メジャーにならなければアンチすらわかない」

という言葉を繰り返したくなるほどPokemon GOに対する「もう飽きた」「下火になった」という言説は後を絶たない。こういう時にわかるのはその人間の本質である。

ポケモンGOは壮大な踏み絵で、新しすぎる概念が出たときに、その人間が否定から入るか、利用しようとするか、分析するか、改善しようとするかが可視化された。

引用元:Takayuki Fukatsuさんのツイート:

iPhoneが出た時もそうだったが、こういうものがでたときにどういう反応を示すかはその人の本質を表しているような気がする。前述のTweetにもさっそく「プゲラ」という反応がついていて微笑ましい。

新しい概念か?昔から同じようなアプリあったと思うが。。。ユーザー的にはMeet to Meみたいな感覚だろ(笑)

引用元:Takayuki Fukatsuさんのツイート:

うん。確かに全く新しくないねえ。iPhoneがでたときにも

「こんなのは全く新しく無い。タッチパネル搭載のケータイなんていくつもあり、失敗すると証明されている」

という言説をたくさん聞いたことを覚えている。

土曜日の朝6時に子供と近所のジムにいってジムバトルをやった。それから30分の間にそのジムのマスターは4回変わった。これはおどろくべきことだ。土曜日の7時にもなっていないのに、そこに少なくとも四人の人が物理的に移動してバトルをする、なんてのはこれまで考えられなかったことだ。

私は今採用面接とかをやる立場では無い。もしそうだったしたら「ポケモンGoについてどう思いますか」というのはとても意味がある質問だと思う。(笑)をつけて答えるような人間にはその時点で「ありがとうございました」を出すと思う。


社員の言葉に耳を傾けよう

2016-08-05 06:55

割と最近同じようなことを書いたような気がするが、気にしない。今日のはここ数日読んでいる三菱自動車不正に関する報告書から。

どうも三菱自動車はコンプライアンス遵守に関する意識が薄い。というわけで、ちゃんと部署ができ、担当者が決められる。会社で働いたことがある人ならわかるだろうが、こんなことをしても何もかわらない。私は別に物事をシニカルに見ているわけではない。実例を見てみよう。コンプライアンス部が主催したアンケートでこんな自由記述があった。

➢ 競合他社がやっているとはいえ、燃費を上げるために実用上とかけ離れ たことをやること。

➢ 無謀な超短期日程、少ない人員で開発した自動車は品質が極めて悪い。 リコール問題を起こす前と状況が似ており、再びリコール問題が起こるのではと危惧している。

➢ 開発日程が短く、当社の実力に見合っていない。その中で、コスト低 減、品質玉成が強く求められているので、本末転倒な話である。クオリ ティゲートはあってないようなもの。

➢ 虚偽報告などいまだに存在する。

➢ 評価試験の経過、結果についての虚偽報告。

➢ アウトプットの誤魔化し。

➢ 納期を守るための偽造データ作成。

でもってこれは大変だ、ということになり企業倫理委員会で「十分に精査されたい」というお言葉がでる(もうこの時点でダメだが)

というわけでコンプライアンス部からコンプライアンスオフィサー(各本部長)経由、コードリーダー(各部長)に「ちゃんと調べておけよ」と命令がでる。部長は十分なヒアリングを行った結果こう回答する。

○:問題なし。技術的に机上検討して目標達成可否を判断する(燃費や動力性能 など)ことは日常的にあるが、その点を捉えて実測値と異なるという誤解をする 可能性は否定できない。

と報告を上げる。コンプライアンスオフィサーは「コードリーダーは問題無いと報告してきました」と報告書を束ねて表紙をつけ、コンプライアンス部に提出する。これですべては丸く収まった。

こうみると「さすが三菱」としかいいようがない。ちなみにこれは別に三菱に限った話ではなく、メディア各社など傲慢な企業が言い訳する時の「誤解を招く表現があった」と同類のものである。こうして報告書を読み返してみるとほとんどのサラリーマンは「あるある」と思うのではなかろうか。

だからこう思うのだ。社員アンケートには絶対本当のことなど書いてはいけない、と。会社が答えてほしい内容だけを記載するべきだ。どうせ何も変わらないのだから、「問題を報告しろ」「精査しましたが、問題はありませんでした。しかし軽微な改善点が見つかったので、これに対処します」などという無駄な報告書の行き来をする手間を省くべきだ、と。


日本の大企業に就職する若者が知るべきこと

2016-08-04 07:28

最近の若者は賢いから、きっとこんなことは知っていると思うのだけど。改めて書いておこう。

「組織は下からの意見では絶対に変わらない」

とはいえ何事にも例外はある。長いサラリーマン人生の中で、No3以下がクーデターを起こしNo2を放逐した例を二つ知っている。しかしそれとてもNo1がそれを理解できるだけの知能を持っている場合に成り立つことで、失敗したクーデターはそれよりはるかに多いのだろうな。

いきなり何を言い出したかといえば、親愛なる三菱自動車の不正に関する報告書である。不正の舞台となった性能実験部では毎年新人が一年目の終わりに「新人提言書発表会」で発表を行う。業務内容から改善を提言する場なのだそうな。2005年の発表会では、性能実験部が違法行為を働いていることが事細かに報告された。

この新人を指導したのは、入社四年目の先輩である。彼は自分が働いている部署が不正を働いていることを認識していた。そして上司にそのことを訴えたのだが、その結果はどうだったか。

このテーマは、実際は E 氏が F 氏に提案したものである。E 氏は、2001 年(平成 13 年)4 月に MMC に入社し、認証試験グループに配属されて、型式指定審査に関する業務に 従事していたが、認証試験グループで行われていた不正行為の引継ぎを受け、その中 で、法規で定められた惰行法ではなく、高速惰行法によって測定した走行抵抗のデータ を使用し、逆算プログラムにより、あたかも惰行法によって走行抵抗を測定したかのよ うな体裁を有する虚偽の負荷設定記録を作成して、型式指定審査の資料として提出する ことも経験した。E 氏は、このことについて、かねてからコンプライアンス上、大きな 問題であると認識し、その問題性を認証試験グループの上司らに話していた。しかし、 上司らは、すぐには対応できないと回答するだけで是正に動くことはなかった。

E 氏 は、この問題が一向に是正されなかったこと、2004 年問題が発生し、社内のコンプライ アンスに対する意識が変わる可能性があったことから、F 氏のメンターとなり、新人提 言書発表会のテーマを決める必要があった機会を捉え、この問題を取り上げることを F 氏に提案した。また、E 氏は、認証試験グループの上司であった G 氏に、新人提言書発 表会でこの問題を取り上げることを相談していた。しかし、G 氏は、この問題を取り上 げることに否定的な意見は述べないまでも、積極的な姿勢を見せることもなかった。

ある組織に所属するというのは、その組織の狂気と折り合いをつけることでもある。上司に「粉飾決済をしろ」と言われたら、それを「見事に完遂」することに喜びを見出せなくてはサラリーマンとは言えない。

不幸にしてE氏はそのことを理解していなかったのだろう。リコール隠しで三菱自動車はコンプライアンス改革を行うといっている。今こそ、訴えなければならない。直上の上司に言っても埒があかないから、偉い人が多数出席する新人提言書発表会で直接訴えよう!

映画だったら理解がある偉い人が、E氏の訴えを握りつぶしていた悪い中間管理職に「君はクビだ」と宣告し、同じ疑問を持っていた新人達が笑顔で集まり、発表者を胴上げし、明るい音楽が流れる場面だ。

現実に三菱自動車では何が起こったか。P70から引用する。

2005 年(平成 17 年)2 月 18 日の新人提言書発表会には、当時、性能実験部長であった H 氏、H 氏の前任の性能実験部長である I 氏、後に性能実験部長となる A 氏、J 氏ほか 20 名余りが参加していた。このとき、H 氏は、参加者に対し、MMC における走行抵抗測定方法の問題を明確に認識したことを示すコメントを残した。このことから新人提言書 発表会に参加していた者は、MMC において、法規に則って惰行法によって走行抵抗を測 定していないこと、高速惰行法により測定された走行抵抗が流用されている実態を問題視する従業員がいることを明確に認識したと認められる。

しかし、この新人提言書発表会における参加者の反応は総じて鈍く、その後も、MMC において、それまでの実務を改めて、型式指定審査の際に使用する走行抵抗を、惰行法 によって測定するよう改める動きは見られず、高速惰行法によって走行抵抗を測定する 実務が変わることはなかった。

引用元:燃費不正問題に関する調査報告書

要するに「何もおきなかった」のである。

かつて三菱と名がつく会社で勤めた身であれば、この時どんな雰囲気だったか容易に想像がつく。部長が「これは問題だ。よく指摘してくれた。ご苦労様」という。課長に指示がいく。課長は何か適当に回答してお茶を濁す。会議室を出る時には誰も発表内容のことなど覚えちゃいない。そして日常業務はこれまでと何も変わらず行われる。

こうした「現象」の背後にある「常識」を言語化すれば

「誰も新人から意味がある提言を受け取ろうなんて思っていない。期待しているのは”朝と帰りの挨拶をしっかりしよう!、僕が率先します!”という言葉」

となる。今回たまたま三菱自動車の不正は表にでることとなった。今E氏とF氏がどう思っているかは私にはわからない。まだ三菱自動車に勤めているとしたら、多分何の反応も示さないと思う。そうでなければ三菱で十年も勤めることはできないから。

ダメな組織が、存亡の危機に陥れば少しは良くなるに違い無い、とか思うのは間違っている。ダメな組織は何があってもそのまま。嘘だと思うなら、帝国陸軍、帝国海軍が開戦から終戦までどう変遷したか調べてごらん。日本の大企業に就職を考えている若者は、ぜひこの報告書を読むべきだ。多かれ少なかれ同じことが起こるから。


We are stupid

2016-08-03 07:10

私は人のことを多少離れたところから「上から目線で語る」のが大好きだ。しかしこと自分のこととなると「上から目線」で語っているのとは程遠い信じられないような馬鹿なことをやる。(今も多分やっている)

私は目の前のことだけ考え、一歩離れて考えるということは苦手のようだ。そしておそらくそれは私だけではなかろうと思う。東芝不正の内幕を暴いた本にこんなくだりがあるという。

「管理職は冷静に自らの不正を分析していたが、次第に懐かしそうな口調が混じるようになる。そしてこうつぶやいた。

”不正会計の罪悪感よりチャレンジを遂げたという達成感のほうが強かった”」

引用元:敗戦処理経験者も絶賛、「東芝 粉飾の原点 内部告発が暴いた闇」が始めから終わりまで闇

サラリーマンというのは多かれ少なかれこんなものだと思う。昔航空自衛隊OBのパイロットに「スクランブル発進」の話を聞いた。当時はソ連の航空機が領空侵犯をしていたのだ。(今は知らんよ)戦闘機で近づいていくと、ソ連爆撃機の機銃が全部こちらを向いているのがわかる。

「俺が日本の空を守ってるんだ!」

という気概だったと半ば自嘲気味にパイロットは言った。

彼も航空自衛隊を退職し、三菱重工のテストパイロットとなり少し離れたところから自分の行動を思い返せば、日本の空を守っていたのは彼だけではないことに気がついたのだろう。しかし当時はそんなことを思いもしなかったと。こうでなければ日々のつらい仕事を続けられないのかもしれない。

仮にそれが不法行為であったとしても、「上司からの挑戦に見事に答えば自分すごい!」と思えるようでなければサラリーマンを続けていくことはできないのかもしれぬ。私にはこういう愚かさが欠けている。(これは”無い”という意味ではなく”サラリーマンとして無事に生活をおくるには不十分”という意味だよ)


トランプを葬った夫妻

2016-08-02 06:41

彼らはそう記憶されるかもしれない。

共和党大会で演説した夫妻である。彼らは息子を戦場で亡くしている。父親は

「(トランプに)尋ねるが、あなたはそもそも合衆国憲法を読んだことがあるのか?もしなければ私が持っているものを喜んで貸そう。

この文章の中で自由と法の下の平等という言葉を探してみろ」

と訴えた。母親は一言も発しない。しかし彼女がどういう気持ちでいるかは画面から伝わって来る。この夫妻のスピーチは喝采をもって迎えられた。私も父親である。異国から身一つでアメリカに来て生活を築いた苦労はしていないが、夫妻の悲しみもそして怒りも画面から伝わって来る。

致命的な失言を何度もしながら驚異的な回避能力を示したトランプだが、この件に関する「反撃」は失敗だった。

これに対しトランプ氏はニューヨーク・タイムズ紙やABCニュースとのインタビューで、妻のガザラさんが檀上で「何も言わずに立っていた」「発言を許されていなかったのかもしれない」などと述べた。
ガザラさんは31日付のワシントン・ポストに寄せた論説で、檀上での発言を控えたのは精神的につらかったからだと反論。「トランプ氏にも愛する子どもたちがいるのに、私が話をしなかった理由が本当に分からないというのか」と問い掛けた。
戦死者の遺族を攻撃したトランプ氏に対し、共和党内部から非難の声が相次いでいる。
同党の重鎮、リンジー・グラハム上院議員は声明で「米国の政治にはかつて聖域があったものだ。戦死した兵士の両親に対しては、たとえ批判されても自分からは批判しない、というように」「自由世界の指導者になろうとするなら、批判を受け入れるだけの力量が必要だ。トランプ氏にはそれがない」と述べた。

引用元:CNN.co.jp : トランプ氏に党内から非難の嵐、戦死者の両親への発言で - (1/2)

ちなみにこの記事では触れられていないが「トランプは何も犠牲にしていない」という夫妻の批判に対しても彼は下手な言い訳をしている。

韓国の全大統領が日本の天皇に関して発言したことで、一気に日本人の反感を買ったようにどの国にも「触れてはいけない鱗」というのが存在する。トランプは愚かにも今回それに触れた。

もしヒラリーが勝てばだが、勝因はこのスピーチだったかもしれない、と誰かが言うだろう。仮にそう言われたところで夫妻の悲しみと怒りが癒えるわけではない。


こういうことがあるから民主主義は面白い

2016-08-01 07:01

正直言えば、私は小池東京都知事がどんな人がほとんど知らない。しかし一応大臣を大過なく勤めたことからして鳩山ほどのバカではないと期待してもいいかもしれない。とはいえ「こんなキジルシを選んでしまったか」と後悔する可能性は残っている。

それはそれとして

歳をとり、サラリーマン生活が長くなってくると「結局偉い人に取り入った者勝ちだよね」という考えを持つようになる。剛力某という女性がいつまでもあちこちに顔を出すのも「有力事務所のお気に入り」だからであり、SMAPが公開処刑されるのも「有力事務所の有力者を怒らせた」からであり、会社で出世するのは能力以前に「偉い人に気に入られる」ことが必須であり、偉い人に嫌われれば、仮にノーベル賞を取るような成果を上げたところで若くして子会社に飛ばされる。つまり個人がどうだとか、必要な技能を持っているとかそんなことはどうでもいい。そう思えてくる。

巨大勢力があり、その中で権力を握った人間が「あの男でいいだろう」という人間を推薦する。それに対抗する勢力は団結して別の人間を押す。こうなれば、仮にその二人がどんな人間であろうと「二人のうちどっちかがなるんでしょ」でおしまい。まかり間違っても巨大勢力の権力者にたてついた人間が勝つことなどありえない。

小池氏の勝因の一つは、舛添前知事の辞職で政治不信が高まる中で、女性1人で既存の組織と対決するという小池さんの姿勢に共感が集まったこと。その流れは、自民党東京都連が小池候補を応援すれば処分すると締め付けたり、石原慎太郎元知事が小池さんを「厚化粧」などとやゆしたことなどで一層強まった。出口調査によると、選挙結果を左右する無党派層はおよそ半数が小池氏に投票する結果となった。

引用元:恐ろしい結果…小池氏勝利で自民・民進衝撃|日テレNEWS24

例えば会社であれば、こうした平社員の声が結果を左右することなどまずありえない。今回「論外」の小池氏を都知事にしたのはこうした「下から見えば丸見えの図式に気がついた平社員の正直な気持ち」だったと私は思う。会社の中にもこうした声は存在してるんだよ。ただそれを反映する方法がないだけで。

こういうのが「民主主義」の面白いところなのだろうな。人類が長い歴史を経て辿り着いたのがこうした「政治のやり方」だったのは実に興味深い。