政治家に求められるもの

2017-06-30 07:45

民主主義というのは、「たくさんの人の意見を集めた方が勝ち」というシステムである。でもって私のように頭でっかちの人間というのは、往々にして世の中の姿というものを見誤る。

トランプの嘘

引用元:New York Times

就任以来トランプが嘘をついた日の一覧なのだそうな。そりゃ政治家だからたまには嘘をつくよね、とかそういうレベルではない。すぐばれるような嘘ばかりついている。

でもって彼は世界で最も強力な国の元首であり、意のままにどこでも戦争をしかけらる立場にある。アメリカ人は彼のその役にふさわしいと判断したのだ。(もちろん”アメリカ人”などという人間は存在しないが)

かくのごとく

政治の世界というのは一筋縄ではいかないらしい。下村くんというのは、小保方を弁護していたあたりから完全に気が狂っていることはわかっていたが、政治家としては価値があるらしい。ちゃんと要職につき、そしてあいかわらず狂った発言を連発している。

稲田朋美防衛相が誤解を与えるような発言をしたことについては残念だ。ただ、実際に自衛隊とか防衛省に選挙応援をお願いするわけじゃないし、もちろんそういう風にはならない。それくらいみんなで応援しますよ、と漠としたイメージで言われたんだと思う。選挙の応援に来て、サービス的な発言という風に思われたんじゃないかと思うが、これで辞任となったら続けられる人は、誰もいなくなるんじゃないか。

引用元:稲田氏発言「イメージで言われたんだと」 自民・下村氏:朝日新聞デジタル

別の見方をすれば、人前でこれだけバカな発言を堂々とできる、というのは才能とも呼べる。私にはとても無理だ。でもって下村くんに弁護してもらっている稲田氏だが

東京都議選(7月2日投開票)の応援演説で「防衛省、自衛隊としてもお願いしたい」と発言した稲田朋美防衛相に対し、自民党内からも批判が噴出している。ただ、稲田氏は安倍晋三首相が「次世代のホープ」と見込み、要職に起用してきた経緯がある。辞任させれば、かばい続けてきた首相自身も傷を負いかねない。

引用元:稲田防衛相:自衛隊発言 批判の矛先、首相にも 内閣改造、難しい選択 - 毎日新聞

こちらは完全な無能なのだが、不可解な理由により安倍くんの覚えがめでたいようだ。俺が野党の宣伝担当なら

「安倍首相と自民党を支持することは、近い将来稲田首相を認めるということですよ!稲田首相でいいんですか!(蓮舫首相よりはマシかもしれないけど、それは言わないよ)」

とアピールするがなあ。

これが政権交代前なら、安倍くんは引きずり降ろされているころだが、痛い経験から

「誰がやっても同じ」

ではないとわかっている。最近ポールソン回顧録を読んでいる。リーマン危機の裏で何が行われていたのか、手に汗握るような記述が続く。日替わりで訪れる危機を、素晴らしい知性、勇気で切り抜けていく姿は本人の記述という点を割り引いても感動せずにいられない。この人間のカウンターパート(時期はずれてるけど)を、鳩山は菅直人にやらせていたのだ。これは悪い冗談ですませられるような話ではない。

人間誰しも100%えらい、ということはありえない。2度目登板の安倍くんは誰かいい補佐でも見つけたのか1回目とは別人のような働きを見せている。とはいえ、彼はおそらく女性に対する見る目が決定的に欠けている。こんなことを続けていると、あんたが心から望んでいる「憲法改正」も国民投票で否決されるよ、と誰かが囁いていると思うのだが。


人の死に反応するということ

2017-06-29 08:03

何度か書いていることだが、我々は「絶対数」ではなく「差分」に反応する。学校の乱射事件で二十三人殺されることは「日常」なのですぐ忘れ去られ、ボストンマラソンで三人死ぬと映画ができる。

ボストンマラソン爆破事件では、イスラム教に改宗した女性が「シリアでは無実の人が毎日たくさん死んでいる」と自らの行為を正当化しようとする。しかしアメリカが直面している「戦い」は映画になるものばかりではない。いや、この戦いは映画になったか。

フアレスで麻薬捜査をすることは町全体を敵に回すことを意味し、もはや犯罪の域を超えた麻薬戦争の得体の知れない闇へと飲み込まれていくケイト。そして、さらなる想像を絶する真実を目の当たりにするのだった……

引用元:【ボーダーライン】あらすじ・映画を見る前に知っておきたいこと

私が愛するエミリー・ブラントだが、この映画は恐ろしくて見ることができない。もっと気が滅入るのは、これが事実を元にしているということだ。

CPJによれば、メキシコでは2017年に入ってこれまでに、7人のジャーナリストが職業と直接的に関係する理由で殺害された。
その背景として、政府が十分な捜査を行っていないことや、犯人が摘発されないことが問題を深刻化させていると指摘。「麻薬密売組織は地方自治体当局に保護され、結託していて、ジャーナリストを殺害しても罪に問われないと基本的に認識している」と述べ、「彼らが情報の統制やジャーナリストに対する見せしめ、あるいはジャーナリストの検閲をしたいと思えば、訴追されることなく実行できる」と話している。

引用元:CNN.co.jp : 拉致のジャーナリストが遺体で発見、今年7人目 メキシコ

アメリカという巨大な麻薬の消費国は、アメリカ自体だけではなく周辺国にもその被害を広げている。これは恐るべきことだ。

ジャーナリストが拉致・殺害されても、極東の国にいる我々はCNN.Co.JPの小さなニュースでそれを知るだけ。しかし私が行ったこともあるメキシコという国がどうなってしまうのか、その前途を考えると暗澹たる気持ちになる。

フィリピン版トランプは、超法規的な命令を出し、それに対して非難の声をあげる人はいる。しかし国がこうなってしまった場合にどうすればよいのだろうか。悪い政府より無政府状態のほうが恐ろしいとは何度も聞くことではあるが。


将棋盤の改革を要求する

2017-06-28 07:10

iPhoneの「ぴよ将棋」Level2にようやく勝ち越しつつある私であるが、あいかわらず見るのは大好きである。昨今藤井くんのニュースで将棋に触れたという人も多かろう。

しかし

解説を聞くたびに思うのだ。いい加減この解説用の将棋盤をどうにかするべきではないか、と。

解説用将棋盤

21世紀になってそうとう時間が経っている。なのに将棋盤は昭和時代のままだ。磁石をつかった駒をぱっこんぱっこん動かすって冗談ですか。

いや

目的をちゃんと達成しているのであれば、こうした信頼性が高く、コストも低い方法を使うのは妥当だ。しかし問題は目的がちゃんと達成されていない点にある。

・「ここでこうすると」と候補手の検討を始める。そのうち画面が検討中なのか、それとも現在の状況を表しているのかわからなくなる

・手が進むと、泡食って検討中の駒を元に戻し、現在の状況を更新する。プロであってもこの手順には間違いが多く、見苦しい。盤の両脇に立ち、とった駒を受け渡し、あっているかどうか別の画面をみて確認し。。。

・候補手の検討というのは複数の可能性に対して行われるものである。だから検討図も複数存在しているべきだ。しかしこの物理的な盤面では一種類しか示すことができない。

情報系を専攻している学生に、将棋を興味を持つ人はいくらでもいるだろうに、「タッチディスプレイを用いた検討用将棋盤」が一つも作られないのには正直驚いている。上でばらばら問題をあげたが、これを解決するデザインというのはかなり難しい。しかも誰もが間違いなく、トレーニングなしで使えなくてはならないのだ。それこそ学部の卒論や修士論文にうってつけのテーマだと思うのだが。

というか

藤井くんがこれだけ注目を集めている今、そういうのを開発して無料で寄付し、ありとあらゆる解説で使ってもらい画面の隅に「●◉大学開発品」と小さくテロップをだせば宣伝効果抜群ですぜ、大学のみなさま。変な広告代理店に金払って怪しげなイベントやるよりずっと効果あると思うけどなあ。


Saya Virtual Human Projects

2017-06-27 07:12

6/23に聞いたもう一つの講演はVirtual Human Sayaを作った夫婦のものだった。

Saya

引用元:Sharp Blog

この写真はソーシャルメディアで以前に目にしていた。そして「人の顔を作ることはなんと難しいのだろう」と思った。不気味の谷を超えた、とはしゃぐのは自由だが、このCG画像が示しているのは「進歩」よりも「困難さ」だと思う。

まず第一に顔の造形が不自然だ。100%CGで作られた顔を見るたびいつも思う。なぜ人間の顔はこうも難しいのか。Sayaの顔もいかにも「がんばって作りました」でしかない。さらに髪の毛というのはCGで再現しようとするものにとって悪夢としかいいようがない。講演の最中、前に座った女性の髪型をじっと見つめる。なんという複雑さだ。おまけにこれが一本一本それぞれの物理法則とお互いの干渉によって動くのだ。

講演を聞けば、この作品についてお話しはたくさんいただいているとのこと。しかし彼と彼女たちは自分たちの貯金を取り崩しながら制作を続けているという。「お話をいただく」ことと「それで生計を立てる」ことの間には深くて広い溝がある。

友香:アセットとしては2017年の春には完成させる予定です。そこからはビジネスにつなげていくための活動を行なっていきたいですね。生活の糧を得なければならないので(笑)。

引用元:「アーティストとしての本分をまっとうしたい。」バーチャルヒューマンプロジェクト『Saya』、中核メンバーたちが思いの丈を語り合った。 (CGWORLD.jp) - Yahoo!ニュース

DMMもUPQなんかに大金を捨てているのだったら、こういう活動を支援すればいいと思うのだが。こういうのは偉い人の趣味で決まってしまうのでなんともならない。

あと夫婦の講演スタイルについて。

彼と彼女はひたすら手元にある原稿を読んでいた。その言葉は淀みなく、かつ「失点が少ないように」と考えられたものだったが全く私の心には響かなかった。もっと聴衆の目を見て、むき出しの本音を語ってもらえたほうが、聴衆としては興味深いものになったと思うのだが。


この世界の片隅に

2017-06-26 07:15

Facebookから、私の知り合いが近くで開催されるイベントに参加すると知らされる。なんだそれはとリンク先を見てみる。グラフィクス関係の面白いシンポジウムのようだ。内容もさることながら、招待講演に「この世界の片隅に」の監督が出ることを知る。OMG.あの映画を作った監督の話が聞ける機会。しかしこの日は別の展示会に行くつもりだったからなあ。

そう思っていたが、同じグループにいる若者が私が行こうとしていた展示会に行きたいと言う。であれば年寄りは引っ込んでいるべき。もう講演に行くしかないだろう。

来たのは一橋講堂。昔某イベントで毎年来ていた場所。招待講演のみの聴講ということで、料金は1000円。開始10分前だというのにまだ空席が多い。どういうことだ。片渕監督の話が聞けるというのに。


-中略-


壇上に片渕監督が現れる。いろいろなサイトでみたあの姿が目の前にある、というのは少し不思議な感じがする。以下聞き取った内容と、感じたことを書いていこう。

監督は日大芸術学部での講師も務めているとのこと。そこで今日こんな議論をしたという。ドキュメンタリーといっても現実そのままではない。現実世界を映像のフレームで切り取った時点で、別のものになる。映像化できる時間も現実の時間の一部分でしかない。現実世界はドキュメンタリーフィルムの画面の外側、時間の外側にずっと続いている。

だから実写の映画といっても、それは現実ではない。作り手側の創作物。

アニメーションはさらに人工的。アニメーションといってもいろいろあるが、最近作られているもののように、対象年齢を高くすると、現実を反映したものが必要だと思う。ではアニメーション作品の中にどうやって人工物を忍び込ませるか。

昨日(講演は6月23日だったので、平成29年6月29日)昭和20年6月22日呉に対して行われた空襲について、実時間に合わせてtweetした。当時の一般の人にとって空襲警報が発令されてから解除されるまで90分以上。しかしその場面は映画の中では1分にも満たない。原作漫画でも9コマ。当時の人は1時間半もの間空襲の恐怖と向き合わなくてはならなかった。映画でも漫画でもそうした時間を直接体験してもらうことはできないが、Twitterを使うとそうした体験を拡張できるのではないか。

原作漫画には、19年2月、という章がある。年号がないことに注目してほしい。漫画の中の世界では昭和19年2月だが、漫画自身は平成19年2月に発行された。つまりこの漫画の読者は実時間の流れに付き合わされている。

このように漫画も映像もメディアを選べば、その枠を超えてリアルの世界に広がっていくことができるのではないか。

そう述べながら、監督は普通プレゼンで使われるパワーポイントではなく、PCの中から直接ファイルを開けて見せる。「私はみなさんのようにパワーポイントを使えないので」と言っているが、これは監督の「罠」だと気がつく。

PCの中から説明用のファイルを探す様子が画面に映し出される。それを見ている我々は、監督が講演中に示す画像以上に膨大な数のフォルダがあることを知る。つまり映画化されたものの空間的、時間的に外側にあった時代、背景について監督がどれだけの取材を行ったのかを聴衆である私たちに見せているのだ。我々はそのフォルダの山-パワーポイント上のスクリーンショットではなく、実際のデータ-をみながら監督の体験の一部を知ることになる。

監督は言う。こうやって調べて行くと、有名な火垂るの墓という映画で白い服を着た巡査がでてくるが、あの時代には夏であっても巡査は黒い服を着ていたことがわかる。なぜかというと、物資が枯渇し、白い服を洗濯することができなくなっていたから。

「この世界の片隅に」を制作するにあたり、このような背景を全て調べた。参考にした日本海軍軍装辞典をつくったのは、東宝の衣装部の人だった。なぜ映画会社がそんなことをするか。実はそのように時代の背景情報をまとめたデータベースが存在していない。だから東宝が戦争映画を作るにあたり、衣装部の人が独自に調査をした。

監督は「この世界の片隅に」を作るにあたり膨大な一次情報を調査し、まとめあげた。たとえば漫画でノリが屋外に干されているコマがある。実際にその場所に行き、同じ風景を撮影した。すると漫画に描かれている松がつい最近まで存在したことがわかった。このように築き上げた膨大なデータベースをこの後どうするか?このままだと古本屋行き。

講演後の質問で「集めた資料をたとえば広島原爆資料館に保存できないか」とか「この資料を利用してまた映画が作れないか」という声があがった。当然そう考えたくもなる。しかし私は考えるのだ。こうした地道な調査が映画を作る人によってしかなされない、というのはどこかがまちがっている。監督も「太平洋戦争の映画しか作れない人」になるつもりはない。もともと継承するつもりがないので、Excelで独自に調査したものをまとめた、と言う。こういう「本当の姿」の一次資料を地道にまとめ、公開することこそ国がやるべきことではなかろうか。

監督の話は続く。昨日フランスで、この映画のクライマックスは?と聞かれた。空襲のシーンかあるいは原爆投下のシーンか?監督はこう答えた。エンドロールで女性たちが再びスカートをはいたときだと。なぜならそこで、作りもの映画が我々の現実世界につながっているから。

監督はその前に女性の服装がどう変化したかを示した。大正15年の女性は現代に通じるような洗練された格好をしていた。それが戦争に向かいズボンやモンペをはくようになった。戦争が終わり、しばらくたってようやくスカートが戻ってきた、と。今の日本はその延長線上にある。

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娘が学校の課題で使うから、といってこうの史代氏が書いた本を借りてきた。様々な表現方法にチャレンジした興味深い本だった。この映画の原作もそうした試みの一つだったのか。

こうの史代氏がTVで言っていた。

「戦争を起こした人たちが愚かだったと習うけど、我々が知っている祖父や祖母は愚かな人ではなかったですよね」

我々は戦争について、今とは隔絶した別の世界のように教えられているし、捉えている。しかしそれはまちがっている。当時も普通の人が今と同じように笑い、喧嘩し、生きていた。つまり今とあの漫画・映画に描かれた時代は連続している。

そう示すため映画の制作にあたり綿密な調査を行い、浅く紋切り的な人物を描くのではなく、実際にあったこと、あったものに即した生活、人物を描こうとしたのではないか。だからあの映画は観客の心を揺さぶる。時代は違っても「人ごとではない」ということが感じられるから。

そしてふと考えるのだ。今インターネット上で触れたつもりになっている情報は「現実の一部を切り取ったもの」の集合体。ではどうしたらそうした切り取った情報にリアリティ-他人事ではない-という感じを乗せられるのか。そんなことを考えながら会場を後にする。




たくさん描かないと死んじゃう病

2017-06-23 07:56

先日こんな文を見つけた。

このテーマは、テーマ名「Minimalism」にある通り、デザインは最小限のみに抑えてあり、「美」をとことん追求しました。

引用元:シンプルで美しいはてなブログの新テーマ「Minimalism」を公開しました。 - ひつじの雑記帳

をを、これはすばらしい。わくわくしながら、デモサイトを見た。

minimal

引用元:シンプルで美しいはてなブログの新テーマ「Minimalism」を公開しました。

一つ明白なのは、この作者と私では「シンプル」「美しい」「minimalism」という言葉の定義が異なる、ということ。私だけじゃなくて、たとえばこのページにあるブログ群とかと比べればそれは明白だ。


minimal

引用元:orderedlist

何度も何度も何度も言われているし、私も書いていることだが、日本でみかける多くのデザインは全て「作り手の自己弁護」でできている。聴衆に笑ってもらいたい。だからワイプで笑うポイントを教える。これとこれとこれは絶対書いておかないと安心できない。だから読み手にとって不要な情報が詰め込まれた映画ポスターやらブログができる。

これらは作り手の「自信のなさと想像力の欠如」を表している、ととりあえず言い切ってしまおう。こう断言すると自分でも不安になり、「あれはどうかな、これはどうかな?」と自問自答するので頭の体操になる。

服を脱ぎ捨て自分の体をさらす勇気がないので、ごてごてとあれこれ飾り付ける。そう考えるとAKBの衣装というのは実に日本的にできている。衣装自体がごてごてと可愛くできており、あれを着るとほとんどの女の子が(ぱっとみ)可愛く見える。

akb

引用元:AKB48

これは日本的デザインの象徴。中身はどうでもいいのがまたすばらしい。どことなく日光の東照宮を思い出させる。そう考えると「日本の伝統美」ってのは禅寺なのか、東照宮なのか。両方ともある、というのが模範解答だが、それではつまらん。一般庶民に広く親しまれたのは東照宮のほうではなかろうか。

そして東照宮たるAKBグループは今も莫大な収益を生み出し続ける。この「いいもの=もうかるもの」という図式も私が大嫌いなものの一つだがこれについてはまた別の機会に。



悪は滅びる、なんてことはない

2017-06-22 07:24

あれこれ問題を起こしまくっていたUberのCEOが解任された。

“Travis has always put Uber first. This is a bold decision and a sign of his devotion and love for Uber.” (For those who don't speak fluent tech director, there are four things in those two sentences that are not true.)

引用元:Uber CEO Travis Kalanick has resigned due to investor pressure, and a search for a new leader is on - Recode

「トラビス(首になったCEO)は常にUberを第一に考えていました。これは難しい決断であり、Uberへの愛と献身を示すものです」

この短い文章に4っつ間違いがある、ということは全て嘘ということだろう。そんな人間でも「画期的な事業を起こしたヒーロー」扱いされていたのだ。少し前までは。日本語で言えば「とうとう年貢の納めどきがきた」ということなのかもしれない。日本では頭が狂った議員がその正体をようやく暴露されたようだ。

「週刊新潮」2017年6月29日号(6月22日発売)では、“安倍チルドレン”の豊田真由子代議士による暴行被害を受けた政策秘書(当時)の男性の告白とともに、ICレコーダーで録音した現場音声の詳細を掲載。その一部分を公開する。
 本音声は、車を運転中の男性に対し、後部座席豊田代議士が大絶叫しながら殴りかかっている様子の一部。

引用元:【週刊新潮】凶暴代議士「豊田真由子」による秘書への“絶叫暴言&暴行傷害”音声 - YouTube

思えばいい世の中になったものだと思う(もちろん弊害もあるが)小型録音機という便利なものが発明されていなければ、この秘書は泣き寝入りするしかなかったことだろう。仮に告発しても

「ちょっと言葉に強いところがあったかもしれないが、”しっかりやってくれ”という激励の意味だった」

とかなんとでも言いわけはできたはず。

小市民としては、こういう「悪がその正体を暴露される」ストーリーに喜ぶわけだが、間違いなく「年貢の納めどきを迎えないまま円満退場した」悪はその何千倍もいる。

倉澤清忠陸軍少佐

菅原道大の部下で第六航空軍の参謀。特攻隊を次々と送り出し、機体不良で戻ってきた搭乗員を監禁して毎日毎日
「死ねないようないくじなしは特攻隊の面汚しだ。国賊だ!」と罵り殴りまくった。悔しさのあまり自殺したものもいる。
戦後は元特攻隊員の復讐を恐れてピストルを持ち歩き、寝る時は枕元に日本刀を置いて寝た。天寿を全うする。

引用元:オラ、美しい日本の歴史にワクワクすっぞ!

桜花の発案者はこういう人だというのを最近ようやく知った。

作家柳田邦男も「大田少尉は結局、時流に乗った目立ちたがり屋の発明狂でしかなかったのかも知れない」と結んでいる[33]。

引用元:大田正一 - Wikipedia

歴史に名を残している軍人だけでこれだけいるのだから、実際には何人いるのか想像もつかないほど。

生き方にはいろいろあるなあ、と感慨に耽るのが年寄りである。その人の信条はいろいろあるだろうが、あまりに真面目な人は少し物事鷹揚に考えてもいいんじゃなかろうか、と思ったりする。



広告を出したがる者

2017-06-21 07:43

楽天は、私が今働いている会社の大株主でもあるので何かと難しいところではあるのだが、1消費者として驚くことがあったので書いておく。

先日久しぶりに楽天のトップページにアクセスした。そして驚いた。スーパーセールをやっていることもあるだろうが、画面一面に広告が所狭しと並んでいる。これに匹敵するのは、中国の不動産サイトくらいなものである。

下の方までスクロールすると、ようやく商品が見えて来る。ためしにクリックしてみると飛び先がまたすごい。上からずーっとお店の宣伝が続いており、はるか下方までスクロールしないと商品情報を見ることができない。いや、これは中国のサイトを超えている。

なぜこんなことになったのか。

ユーザとして見た時には「使いにくい」としか言いようがない。だって、商品情報見られないんだもん。楽天にしかない商品というのがあり、それを買うためにやむ追えない場合にしか楽天には触りたくない、と私は考えてしまう。

しかし

おそらく中の人はそんなことなど承知の上でやっているのではなかろうか。この商品情報をはるか彼方に追いやり画面いっぱいに広がる広告は何のためにあるのか?私の推測ではそれは「出店者から広告料金を取る」ためである。

これは

そもそもその会社はどこからお金をもらっているかによる。例えばAmazonは自分たちで商品を仕入れ、消費者に売っている。つまりお金は消費者から来る。であるからして消費者が見たい商品情報を、消費者がみたくもない広告より優先することなどありえない。

逆に楽天は出店者に場所を貸すことでお金をもらっている。つまり神様たるお客様は出店者なのだ。それゆえいかに多くの出店者をあつめ、そこからどれだけ金を搾り取れるかが勝負になる。だから出店者あたりの売り上げを最大化すべく、広告をどんどん販売する、とかそんな図式ではなかろうか。いや、本当のところは知らんよ。

でもって

当然楽天は一般消費者のことも忘れていない。楽天ポイントを大盤振る舞いしているらしい。この「消費者をひきつけるためには金をばら撒けばよい」というのは楽天の一貫した哲学である。それはそれでいいのだが、今の楽天は常軌を逸しているようにしか見えない。

注文をアプリ経由にする、プレミアムカードを利用する、電話サービスの楽天モバイルに加入するなど、あらかじめ決められた条件を満たすと、通常ポイントの比較で最大7倍のポイントをゲットできるというものだ。

ポイントは最終的には商品と交換できるので、このキャンペーンは事実上の値下げということになる。このため楽天では、キャンペーン実施のために、かなりの予算を確保する必要に迫られ、これが営業利益を押し下げた。

引用元:楽天が具体策を打ち出せず Amazonとの決定的な違いは - ライブドアニュース

いや、大株主の景気が悪くなると我が社も危機に瀕するので「楽天がんばれ!」ということなのだが、それにしても1.5ページ分くらいスクロールしないと肝心の商品情報にたどり着かない、という状況が「これはおかしい!」と誰も言えないんだろうな。こうした「賢者の集団の愚行」は歴史上にも時々現れるが、私はいまそのもう一つの例を目にしているのだと確信している。サラリーマンとして楽天の躍進を心から願うが、消費者としてこのサイトには触るのもいやである。



Stupidity

2017-06-20 07:17

ボストンマラソンの爆発事件があったとき、仕事の傍ABCニュースを見ていた。そしてその展開の早さに驚き、劇的な幕切れに「これは映画ではないか」と思った。というわけでPatriots Dayという映画を見てきた。

そして初めて知ったのだが、犯人弟の方には大学のルームメイトがいた。彼らは司法妨害によって数年の実刑を宣告されていた。映画の描写を信じれば、犯人が残した遺留品(花火のカス)とかを捨て、公開された写真をみて犯人と気づいたが通報しなかったことによるらしい。

自分の友達がいきなりTVに映り「大事件の犯人です」と言われたらどう反応するだろう?私は間抜けなので、その時には「みなかったことにする」ことにかけてもよい。

不幸にしてルームメイトは「普通に」愚かだった。だまっていればバレないと思ったのだろう。苦労してアメリカの大学にはいったのに、刑務所に放り込まれ本国に強制送還。それを聞いて少しほっとした。もしアメリカ人だったら、絶対アメリカでは生きて行けないだろうから。帰る国があるだけマシか。

映画に描かれていた犯人兄弟、それにその妻も愚かとしか言いようがない。調べて見たら実際そうした人たちだったようだ。そのバカと愚か者が数人何かするだけで大都市を麻痺に追い込める。

私が子供の頃の日本はテロ大国だった。連合赤軍が海外に行ってまでテロを行っていた。先日連合赤軍内部のリンチ殺人の話を読んだ。これも「バカ」という以外に形容しようがない。理屈も何もなく、仲間内で殺し合いを始めるなどわけがわからない。

しかし

認めなくてはいけないのは、我々人間にはこうしたバカな特性が生まれつき備わっている、ということ。テロをアメリカの横暴とかなんとかと結びつける人は多いが、どうも実際のテロリストをみるとそうした問題だけが原因ではないように思う。大都市で化学兵器を使ったテロを起こす、という世界史上類を見ない(今の所は)テロをおこしたオウム真理教ははたして貧困とか、そのほかの社会問題が産んだものだっただろうか?喜んでそう指摘する人は多いだろうが、私は与しない。

こう考えると

大して世の中の役にも立っていないが、大して悪いこともしていないダメ人間も生きていていいのだ、と思えて来る。ゲゲゲの鬼太郎や星新一の小説にもあった気がするが、世の中怠け者が大多数であるがゆえにちゃんと成立しているのではなかろうか。そう考えて今日も1日だらだら過ごそう。


Tale of two CEOs(二人のCEOの物語)

2017-06-19 07:17

Yahooが首尾よく売却された。思うにMayerの仕事はYahooを手切る限りの高値で売ることだったのではないか。かくして彼女は230億円以上の退職金を手にすることになる。さて、はれてYahooから離れた彼女はこんなTweetをしたらしい。

ヤフーを辞めた後の楽しみは「Gmailをまた使うこと」

引用元:ヤフーCEOを辞めたマリッサ・メイヤー「Gmailを使えるようになる!」 | BUSINESS INSIDER JAPAN

彼女のYahoo CEO就任についてはいろいろな評価があった。それについての議論は誰かに任せるとして、CHI2016のキーノーを聞いて感じた

「こいつはクソだ」

という印象は間違っていなかったと確信する。ちなみに彼女はこの後いくつか言い訳をTweetしている。

素晴らしいYahoo Mailも使い続けるつもり。開発チームの努力で、劇的に使いやすくなっている。

伝えたかったことは、Gmailのデザインについてと、Googleにいた時に機能向上に努めてきたということ。

引用元:ヤフーCEOを辞めたマリッサ・メイヤー「Gmailを使えるようになる!」 | BUSINESS INSIDER JAPAN

ゴミでもクズでも契約に要求されたことを達成できれば、報酬が支払われるのがこの世のルール。お疲れ様でした。

さて

Tim Cookがインタビューでこう答えたのだそうな。

Appleを率いているティム・クック氏は、否応なしにジョブズ氏と比べられることとなります。
 
クック氏は一体何を遺してくれるのか――そんなハードルの高い質問に対し「正直に言って、私はそういうタームで考えていない。むしろ考えているのは、やるべきことについてだ。私のことは善良で礼節のある男だと覚えていてくれればいい。人々がそう記憶してくれるなら、それで成功だ」

引用元:Appleのティム・クックCEO、大いに語る〜ジョブズ氏からトランプ大統領まで - iPhone Mania

前にも書いたことだが、インターネットの普及により、我々は個人の情報をどこかの会社に預けなくてはならない。それを避けるのももちろん可能だが、不便なことが多すぎる。

その場合

誰に預けるのか、が問題になる。私は「善良で礼節のある男だと記憶されたい」というCEOがいる会社を選ぶ。家に置くとすれば、Amazon Echoではなく、HomePodだ。



お国の努力

2017-06-16 07:51

学会などにでていると、お国が「日本に活力を、イノベーションを取り戻そう!」と大変努力していることがうかがえる。Center of Excellence、とかCenter of Innovationとかとにかくそういう大学向けの企画が目白押しである。

たとえばこのページのサイドを見てみよう。バナーがずらっとならんでいる。

各プロジェクトをみてみよう。産業界からプロジェクトリーダーを選出し、ビジョンをかかげ、それをわかりやすく絵にして、、


すばらしい未来

引用元:ビジョン2 「感動」を創造する芸術と科学技術による共感覚イノベーション拠点

実に壮観だ。「できることはなんでもやりました!」と言いたいのはよくわかる。そして何よりもそれが何の役にも立っていないところがすばらしい。

こう書くと参加者からは「いや、それは間違っている」と反論を食うだろうが、一歩引いて考えて見てほしい。このなんとかプロジェクトとかなんとかビジョンとか普通に生活していてカケラも聞いたことがない。私は普通でない生活をおくっているから時々発表会などで見聞きするが、そこで感じるのは

「をを、これはすごい。社会はもっとこれに着目すべきだ」

という感想ではなく

「ふーん。お国からお金がもらえてよかったねえ」

である。

私の考えでは、こうした「努力」は全て本当の問題から目をそらすための目くらましである。というかこんなことをいくら繰り返しても、何も生まれない、ということにそろそろ誰かが気がついて声を上げるべきなのではないか。それが行われないことが一番の問題。


80's and 90's

2017-06-15 07:27

今では信じられないことだが、1980年代から90年代にかけて、日本の家電メーカーは「無敵」に思えた。そのころアメリカにいき、アメリカの会社が家電を作っていないことに驚いた。どっかでみたような製品だなと思ったら日本のOEMだったり。

確かにAppleは存在していたし、私は当時からApple原理主義者だった。なぜこんなことを書き出したかといえば、このスケッチをみたから。

ApplePhone

引用元:What Apple Thought the iPhone Might Look Like in 1995

これはAppleがMacWorld誌に掲載した「データ通信とビデオ通話が可能なNewton」の図である。(Appleがこのような概念図を発表することすら今では考えられないが)

確かにその頃のAppleはこういうものを作っていた。そしてこれを見るたび「確かにかっこいいけど、日本のメーカーならもっといいものができる」と思っていた。そして日本のメーカーならこういう「複数のデバイスを足し合わせたデバイス」を作っただろうなと思う。確かキャノンがFAXとPCと何かを足したような奇妙なものを作っていたように記憶している。

この12年後、Appleが実際に発表した携帯電話がどんなものだったかは誰もが知っている。なぜならその基本コンセプトは全く変わらず今日に生きているからだ。そしてその姿はこの

「複数のデバイスを足してみました」

からは程遠い。ハードウェアのキーボード、スタイラス、拡張記憶を全部捨てシンプルな一枚板である。なぜこんなものを作ることができるのか。

この想像図が描かれてから二十年。日本の家電メーカーは見る影もない。栄枯盛衰は世の習い。少なくとも80-90年代の私はアメリカの企業がこんなもの(iPhoneのことだ)を作るなんて夢想だにしなかった。

であれば、いつの日か日本からこうした「顎が外れるような新製品」がでる可能性だってないとは言えない。




いよ!社長さん!

2017-06-14 07:15

サラリーマン生活も長くなってくると「社長に求められる資質はなんなのか」と考える機会が増える。子供の頃は「しゃちょうさんは、かいしゃで一番偉い人」と思っていた。最近は

「社長は社長」

と考える。つまり頭がいい必要もなければ、人格者である必要もない。社長は社長の仕事をこなしてくれればよい、というものである。

であるからして

だからおれクライアントだったんですよ。あなたの。で、あなたは過去にクライアントであったとしても僕に対してそういう言葉使いをするんですね。よくわかりました。

引用元:Ryo Shimizuさんのツイート

これはある会社の社長が議論を持ちかけられた時、相手に放った言葉である。こんな社長がいる会社で働いている社員はどんな気持ちだろう、と0.3秒くらい考えるが「まあいつものこと」と肩をすくめるくらいではないか、と思い当たる。外部に対してこう発言するくらいだから社内ではもっと馬鹿げたことを繰り返し発言しているにちがいない。それに慣れなければ社員ではいられないし、たいていの人は気にしないと思う。

とはいえ

こういうニュースを聞くと、「やはりある程度まともな人間でなければ、社長業もなし得ないのではないか」と思う。

配車サービスを手掛ける米ウーバー・テクノロジーズのトラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)は、休職する予定を社員に伝えた。復帰の時期は明らかにしていない。相次ぐ不祥事からの立ち直りを目指す同社では、経営委員会が会社を率いることになる。

引用元:不祥事相次ぐ米ウーバー、カラニックCEOが休職へ-職務も縮小 - Bloomberg

トラブルのたえないウーバーで、CEOが休職になった。いろいろなスキャンダルを斜め読みしただけだが、やはりトップにたつ人間が間違っていると、それにふさわしい人間が周りに集まってくるとしか思えぬ。それぐらいウーバーの関する問題は遠く極東の国にまで頻繁に聞こえてくる。
さて
国家元首がそのような状態になっているのが、アメリカ合衆国である。こちらもウーバーと同じくらい「疑惑の総合商社」といった趣。昨日CBSをみていたら「トランプが経営しているホテルを海外企業が利用することがある。すると大統領は海外からの資金援助を禁じる法律に違反している」とかなんとかいう訴訟が起こされたのだそうな。そもそもトランプが大統領になったのに、まだ個人ビジネスを保有しているのがいけないし、そもそもそんなことは前例がない。そうした状況でも、閣僚はトランプを支持し続ける。

閣議では続いて、最近新たに就任したパーデュー農務長官らが名指しされ、それぞれトランプ氏に惜しみない称賛の言葉を贈った。トランプ氏は無言のまま、笑顔で耳を傾けた。
この後さらに、全員が立て続けにトランプ氏への称賛や感謝を口にし、同氏は満足げな表情を見せていた。

トランプ政権では同氏を大げさにほめればほめるほど待遇が良くなるということを、閣僚らは認識しているようだ。

引用元:CNN.co.jp : 米閣議で異例の光景、全出席者が立て続けにトランプ氏称賛

洋の東西を問わず、ボスには尻尾をふるしかないのが、勤め人の性。彼らには哀れみより同情を感じる。しかしこうして記録に残るとわかっていながら演じさせられるのは辛いだろう。今後トランプの運命がどうなるかわからないが、「偉大な大統領」と記録されることはまずあるまい。となると閣僚は末代まで「なんでうちのおじいちゃんは、トランプなんか褒めてるの?」と聞かれることになる。

私もサラリーマンだから、まあ忖度というか知恵をしぼることはあるが、哀れな米国閣僚のように記録に残されることはない。ヒラは気楽なものだ。



我はロボット

2017-06-13 07:25

日本には「ロボットバカ」というべき人たちがたくさん存在しており、そのツボをうまくつくと10億円の売り上げを立てることができる。

創刊から1ヶ月が経過した現在、売上ベースで10億円を見込んでいるというから、この選択は正しかったのかもしれない。奈良原氏によれば、読者の大半は「50代以上で、可処分所得が高く、AIなどに対する知的好奇心が高い人々」だそうだ。本格的なコミュニケーションロボットになると価格が20万円〜30万円のものもあるが、このアトムの場合、ロボットを”70回の分割払い”で買えることも読者を惹きつけた要因の1つなのかもしれない。

引用元:創刊1ヶ月で売上10億円見込む――日本企業5社によって誕生した鉄腕アトム型のロボットキット | TechCrunch Japan

この文章を読むとため息しかでない。小学生や中学生がこういう製品にあこがれ、実際に使い、そして失望し「どこに問題があるのだろう」と考えることはとても有意義だと思う。そうしたきっかけを通じて、人工知能とには何ができ、何ができないのか、と学んでくれればいいと思う。

しかし「50代以上でAIに興味がある人」がこんな「ロボット詐欺」にひっかかるとは。推定10億というのは偉大な数字であり、私がどう逆立ちしてもそんな売り上げを作ることはできない。しかしこんな「ロボット」は過去に何度も作られ、そして何の役にも立っていない。この道は行き止まりなのに、いい年をした大人がその「行く先のない高速道路」に嬉々として金を払うのだ。

その意味では、東大入学を目指す人工知能を断念した判断は信じられないくらいすばしくまともだった。

客観的データと検証、そして子どもの成長を支える効果的な方法を模索するのは、“保護者”として当然のことではないだろうか。新技術をただ盲信せず、子どもの教育に携わる者として、そしてひとりの人間として子どもの未来を支えていきたいと感じさせる60分だった。

引用元:【NEE2017】シンギュラリティは来ない…東ロボくんの母・NIIセンター長 新井紀子教授 | リセマム

ちなみにこの問題を息子にやらせてみた。

question

全国約2万の中高生が実際に解いた問題。全国中学生正答率は38%、高校生正答率は65%。(解答は画像ページ)

引用元:【NEE2017】シンギュラリティは来ない…東ロボくんの母・NIIセンター長 新井紀子教授 | リセマム

彼は4倍の倍率を突破し某私立中学に通っているが、見事に間違えてくれた。今回の人工知能ブームは、確かに生活に役立っている。Google翻訳はその例だ。しかしより明確にしているのは

「人間の馬鹿さ加減」

である。東大に入れる人口知能を作ろうと思えば、どうしようもない「試験対策の特殊処理」を山ほど作る必要がある。そんなことをしている暇があったら、人間様の馬鹿さ加減をどうにかしなくてはならない。

なぜ人は「決められた発話しかしないアトム」に未来をみてしまうのか。3m先が行き止まりになっている道になぜ料金を払ってまで乗り入れようとするのか。いやこうした嘆きは有史以来数え切れないほど繰り返されてきたにちがいない。そして誰も解決策を見出していない。

だから私が解決に何がしかの貢献ができる可能性は限りなく低い。人間こういうものだと思って気楽に暮らそう。


想像力の限界

2017-06-12 07:20

洋画を日本で宣伝する際に、デタラメな予告編を作ったり、無茶苦茶な邦題をつけることはまあ普通に行われている。でもってその最新例がこれ。

邦題を決める際に「確かに懸念の声も上がった」としつつ、「作品の本質にあるのは、偉大な功績を支えた、世の中では知られていない3人の女性たちの人間ドラマ。ドキュメンタリー映画ではないので、日本のみなさんに伝わりやすいタイトルや言葉を思案した結果」

引用元:【更新】タイトルと内容が違う…?大ヒット映画の邦題「私たちのアポロ計画」に批判 配給会社に聞く

私もとっても楽しみにしているHidden Figuresの邦題が「ドリーム:私たちのアポロ計画」になっていたのだ。映画自体はマーキュリー計画を扱っているにもかかわらず。

でもって日本の会社が述べる理由というのが

「いーんだよ。どうせフィクションなんだし。日本人なんてアポロしか知らないんだから」

というもの。映画を観終わった観客が「あれ?アポロ関係ないじゃない?」と思っても、その時点で入場券料金は回収しているから問題ない、どうせ観客そんなことわかんないから、と思ったのだろうな。

さて

このように「馬鹿な相手を馬鹿のように扱ってしまう」ことはまあよく起こる。問題は「(私のような)馬鹿は”お前は馬鹿だ”と言われると怒る」という点にある。しかも「馬鹿を馬鹿にするとはけしからん」というモラリストも横から攻撃してくる。さて、どうやって弁解しよう。

こうした事例を聞くたび思い出すのは中曽根くん(親父の方)が首相をやっていたときの「失言」と「弁解」だ。

記憶で書くが、彼は「女性は政治家のネクタイの色しかみてない」とか発言した。それを聞いて私の母は「確かにそうねえ。中曽根さんがどんな格好してるかくらいしか興味ないものね」と言った。(私の母は賢いのだ)

とはいえ

今から数十年前とはいえこの発言は「女性に対して失礼である」と反感をかった。それに対して中曽根首相が述べた「弁解」はなかなか見事だった。

「女性はファッションのセンスなどについても大変するどい感覚をお持ちである。ですからそうしたところにも気を配らないとやられてしまいますよ、という意味で申し上げた」

吉田茂の「これが本当のガイトー演説だ」にもあるが、こうした失言のリカバリーにも想像力が欲しいと思う今日この頃である。ユーモアのセンスが重要視されない我が国においても、このような先進的な事例があるのだから我々はもっと創造的になれるはずだ。


IT系のイベント

2017-06-09 07:06

世の中にはIT系のイベントなるものがある。有名な企業の偉い人とか、「すごいサービスを作った担当の人」と称する人間がでてきてあれこれ得意そうに喋る。

自分もリクルートの目的で人前で喋ったことがある。だから全部まとめていうのは自分にも悪口を言っていることになるのだが

「ものすごく面白くないです」

mixiという会社がある。かつてはSNSで日本を席巻していた。Facebookが出る前から勝手に自滅行為を繰り返し、社長が変なコンサルに変わった。その社長が何をしたかはよく知られている。そこにあるゲームが奇跡的なヒットを生み出し、今や株価は絶好調。ただし会社の実態は以前と全く別物になっている。そのおそらくは「元中の人」らしき書き込みがある。

ちゃんとあの人が話す内容を見返せばV字回復に寄与したことはそんなにないと
気づくはずなのになあと毎回思うのに、美談がすきなスタートアップ村とかには受けが良いみたいですね。
他の話もそんなことあったっけと思う言葉ばかり話してるけど、あとづけだとこうも綺麗な話にできるのかと。
D社との提携とか結果焼け野原になってるのをうまいこと話をつなげるもんだと
話を作るストーリーテラーとしては立派ですね。
コンサルってそう言う仕事なのだと逆に尊敬するよ。

引用元:オレンジのSNSの元社長アレルギーが治らないよ

不思議なことだが作り上げられた美談を喜ぶ人は多い。それゆえ供給も絶えないのだろう。このコンサルが語った舞台というのが、IVSというこれまた胡散臭さの塊のような会合なので、その場の雰囲気にはあっているということか。

こうしたバカバカしさについてはこのコメントが全てを語っている。

だいたいITベンチャー系のイベントで舞台に立って喋るようなやつとそれを見物に行って喜んでるやつは仕事はしてない。

引用元:はてなブックマーク - オレンジのSNSの元社長アレルギーが治らないよ

うーん。実際に体験したことがないからわからないなー。でもきっとそうなんでしょう。あはははは。

というかもっと不思議なのが、(IVSは参加者もアレな人の集合体だからまあいいとして)こういう話を聞いて無邪気に感動できる人の存在だ。そういう人の名簿を作っておいて、アレな業者に売ったりすると結構儲かるんじゃないだろうか。

というかさ

美談に感動したりしている暇があったら、すごいもん作ろうよ。ぎょえっとなるようなやつ。そういうのについて語りたい人には語らせとけばいいからさ。s


Apple原理主義者の悩み/楽しみ

2017-06-08 07:19

さて、久々にWWDCで多くのハードウェア、あるいはサービスの発表があった。ここで悩みが始まる。

6年間使ったMac Book Airは12inch MacBookに置き換わる予定だ。Tim、大丈夫だよね?今年の秋にかっこいい14inch MacBookなんかださないよね?

さて次の問題は

私が使っているiPhoneは依然として4S.しっかり動く。とはいってもOSは9のまま。この秋には11がでるというのに。というわけでそろそろ買い替えを考えなくてはならない。問題は

・機械的トラブルと、超品薄と高い価格を乗り越えてiPhone8(とかそんな名前)を目指すか

・しばらく「問題ない」機種でやりすごし、新しいデザインが落ち着くのをまつか

という点に戻る。その点からこのWWDCで何に注目していたかといえば、「iOS11の動作機種」である。最新のOSが動かないと何かと問題があるのだ。さてその結果は

古いiPhone(具体的には、2013年よりも前のiPhone)を使っているのでなければ、おそらく恐れることは何もないはずだ。

引用元:今秋リリースの「iOS 11」対象リスト発表--iPhone5/5cは対象外 - CNET Japan

というわけで、理論的に一番安い選択肢はiPhone5Sの中古品。ところがこの記述には注意が必要である。

ただし、iOS 11の全機能が全ての対象端末に提供されるわけではないことに注意してほしい。例えば、拡張現実アプリの開発を支援する新たなフレームワーク「ARKit」は、「iPhone 6s」以降のiPhone、iPad Pro、iPad(第5世代)、「iPhone SE」でしか動作しない。

引用元:今秋リリースの「iOS 11」対象リスト発表--iPhone5/5cは対象外 - CNET Japan

せっかく乗り換えるのなら、機能制限はまっぴら。となるとiPhone6Sの中古かiPhoneSEということになる。もう観念してiPhone SE買おうかな、、

さてもう一つの問題は長年Timに頼んでいた「iCloudの値下げ」Google Photoのおかげで、写真のバックアップは問題がなくなったが、やはりiPhoneを丸ごとバックアップできる、というのは心情的にうれしい。この点でも「少し」進展があった。

iCloudのストレージについては、1TBが廃止され、無料で利用できる5GBと追加購入できる50GB、200GB、2TBという料金体系に変更されました。これまで月額1,300円で提供されていた1TBがなくなり、月額2,500円だった2TBプランが月額1,300円に値下げされています。

引用元:iCloudストレージ、200GB/2TBプランは家族とシェア可能に - iPhone Mania

2TBは広大な領域である。しかも家族で分かち合えるとなれば、月額1300円で家族全員賄うことができる。我が家の子供達もいつかはiPhoneを持つ(Androidは我が家に居場所はない)しかし月額1300円ということは、年に1万円を超える。Tim.ただで200GB使わせろとは言わないから、もう一声なんとかならんだろうか。無料で5GBと、月額$4.99で2TB。これなら即刻契約するぞ。

こういうことを考えると、自分の頭の中身が「行動経済学的」にできていることを痛感する。私が会社で「ちょこちょこ」買っている無駄なおやつはどう考えても月に1300円を超えている。なのに私は絶対に役立つ1300円を払うことに躊躇し、健康維持の点から明らかに好ましくない1300円は払い続けるのだ。あたかも後者は「自由意志でやっているからいつでもやめられる」かのように。

ここは自分を納得させられるロジックを編みだそう。来年になれば、私は一番近い映画館で常に1100円で見られるようになる。一回400円の節約。月に映画を見られるのは、、、3回だったら元がとれるがそんなには見られない。Tim.あと一声。なんとか一声お願いできないだろうか?


WWDC2017での重要な(誰もが見逃している)ポイント

2017-06-07 07:26

私はApple TVのファンである。普通のTVは滅多に見ないが、Apple TVはよくみる。最近AbemaTV上での将棋が加わったことによりその使用頻度が上がっている。

さて、

昨日のWWDC2017でのキーノート。6っつの大きな発表があった。そしてほとんどの人がスルーしていることだが、最初はtvOSだった。Timが発表したのは

「今年中にAmazon PrimeがApple TVにくるよ」

というもの。AmazonとAppleの間にはTVの覇権を巡っていろろいと緊張関係があるが(ここに日本メーカーが顔もだせないなどと誰が予想しただろう)これはユーザを第一に考えたTimらしい良い判断だと思う。しかし私が着目したのはそこではない。彼はtvOSについてのパートを終わるときこう言った。


You will be hearing a lot more about tvOS later this year.

tvOSについては今年もっといろいろな発表があるよん。


Tim.私は全世界にあまり数はいないApple TVのファンとして、その"a lot more"を待ち望んでいるのだ。今のアプリが動くバージョンのAppleTVの前のバージョンが値下げされた時だったか、Timは
This is just the beginning
といった。確かにその後アプリが動くバージョンが発表されたが、まだたりない。

新しいMacBookが発表されたことで、私はようやく6年使ったMac Book Airから乗り換える決断をしたところだ(本当はMac Book Pro15inchが欲しかったけど、お金ないからね)Tim.本当に今年tvOSについていろいろな進展があるのだろうね?
大丈夫。私は古参の訓練されたApple原理主義者。こうやって期待だけふくらませ
「いつまでもその日はやってこない」
状況には慣れている。しかしTim.私は期待しているよ。MacBookは私の予想の1年遅れでアップデートされたし、心から待ち望んでいた14inchはついに登場しないようだ。しかしきっとtvOS上で驚くような進展があるんだよね?ね?ね?(うざい)

栄枯盛衰世の習い

2017-06-06 07:08

栄枯盛衰世の習いとは誰もが知っていることである。それと同時にほとんどの人は

「そんなこと言ったって何もかわらないんだよ」

と思っている。年をとると楽しいのは、「何もかわらない」が嘘だと言うことを体験できることにある。

2007携帯電話シェア

引用元:Buzzapp!

10年前の日本におけるケータイ電話のシェアである。この時点で「10年後、日本におけるシェアはこうなる」と予言すれば間違いなく「お前はアホか」と言われたことだろう。


2017携帯電話シェア

引用元:ケータイWatch

少し前まで「携帯電話販売台数ランキング」なるものがあちこちのサイトに掲載されていた。最近はさっぱり見ないのは、常に上位をiPhoneが占めるようになっておもしろくなくなったからである。

Appleの携帯電話が日本において半分のシェアを取る。こんなことがどうして予測できただろう。2007年にデンソー社内であれこれ議論をした。iPhone(当時まだ日本にはいっていなかった)すごいっすねー、というとデンソーのエリートたちは

「Appleはマーケティングがうまいし、信者がついているから」

と説明していた。そう言えるほうが人生楽しく心おだやかにすごせるのは確かだが。

さて、次の10年はどうなるだろう。願わくば心身ともに健康な状態でその様子を眺めたいものだが。


大企業発のイノベーション

2017-06-05 07:07

これもなかなか微妙なところではあるのだが、大企業が社内ででてきたアイディアを審査の上、新規事業、あるいは新製品として世に出す、というのはよく行われている。

でもって親愛なるソニーではこういうことがなされている。

誕生から約3年。SAPはtoioを含む12個の新商品を生み出している。時計、学習リモコンの「HUIS」、電子ブロック「MESH」、アロマディフューザー「AROMASTIC」などジャンルはさまざま。「新規商品を生み出しやすい仕組みとして社長直轄で立ち上げたのがSAP。

引用元:ソニーから“おもちゃ”--約3年で12個のアイデアを商品化したソニー「SAP」とは - CNET Japan

3年で12個の商品というのは確かに「素晴らしい」と思う。問題はここに並んでいる商品で、名前を聞いたことがあるのがMESHしかないことだ。他の商品に関していえばそもそも存在すら知らない。

つまりこういうことだ。テクノロジーに関するニュースフィードを毎朝チェックするところから1日の仕事は始まる。なのだがそこでこれらの製品が取り上げられたことはない。もちろんすばらしい事業計画を作り、それが評価されてここにでていると思うのだが、私のような人間がみると

「どう考えても売れるわけがない」

といったものばかりである。なんだかわかりやすい「新しさ」は満載である。しかし平井社長がいつかの講演でいっていた"Wao!"は皆無である。

これらをつらつらと眺めていると、「大企業がプロモーションする新規事業、新規サービス」という型があるのではないかと考えたくもなる。おそらく彼らは「新しいがどうでもいい」ものは会社にとって安全だと本能で知っているのだろう。そのうえ「ソニーはイノベーションを積極的に推進しています!」と公言することもできる。日本企業で時々大ヒットを作り出した「密造酒」のような雰囲気が皆無なのも興味深い。

でもってこういう積極的な交流イベントも行われる。

社外スタートアップとの新たなネットワーク、共創効果やインスピレーションを生み出すことを狙い、5月10日(水)ソニー本社1Fクリエイティブラウンジにて、Sony - Startup Switch 2017のMeetupイベントが開催されました。

当日は、斬新な製品・サービスを通じて、世の中にイノベーションを起こそうとしている社外スタートアップ11チームにご参加いただきました。また、社外との直接のネットワーキングの機会に興味のある多くのソニーグループ社員も参加し、大変盛り上がりました。

引用元:Episodes - Startup Switch | First Flight

まあ私のような外野が何を言おうと、ここから一つでも驚くような製品がでてくれば大勝利である。今後ともソニーに期待したい。私はなぜこのような「大企業型イノベーション(の格好をしたもの)」が量産されるかについて考えていきたい。


クズベンチャー列伝

2017-06-01 07:11

自分たちの製品の特徴を強調するため、他の製品を貶めることはとても慎重に行わなければならない。いつになったらこのことを人は学ぶのか。

FTJは2008年7月に和歌山県和歌山市で創業した自動車用品の企画、製造などを行うベンチャー企業。同社代表取締役の鳴海禎造社長は03年に自動車販売や修理を行うショップを個人で立ち上げており、2輪と4輪に関わる事業を15年以上続けてきたという。

 鳴海社長は、glafitバイクが“色物”な近未来的バイクではなく、普通に使える製品を目指したと強調する。

引用元:「遊びではない、本気で安全性に取り組む」──約12万円のハイブリッドバイク 人の命を預かるベンチャー企業の心構えとは (1/2) - ITmedia NEWS

メディアを味方につけることだけに熟達したどっかの会社のゴミよりとても真面目に作っているのはわかる。しかし引用ページに飛んで欲しい。そこにある画像で

オシャレに使える嗜好品:Apple,スターバックス

気軽に使える生活必需品:Windows,ドトール

となっているのだ。

このゴミ野郎!貴様これだけ多くのEngineerがApple製品を使っているのが「オシャレに使える嗜好品だから」とでも思ってるのか?お前はApple製品がUPQと同列にあると思っているのか?Apple製品を使うのはスタバでドヤ顏したい人間ばかりだとでも言いたいのか?

はあはあ。ちょっと取り乱してしまいました。

まああれだよね。誰かが言った通り「なんでも90%はクズ」なのだから、ベンチャーも90%はクズ。いちいち怒っていては身がもたない。

しかし

一時のダメダメだったAppleならともかく、これだけ多くの人が使っている製品をただ「オシャレな嗜好品」だなんてなあ。まるで20世紀のデンソーのおじさんみたいな認識だ。(ちなみに刈谷はまだ20世紀である)iPhoneが売れている原因を

「Appleはマーケティングがうまいし、信者がいるからねえ」

と真顔で語っていた。そう思っているほうが確かに人生シンプルで幸せになるかもしれない。