enchantMOONにみる日本のベンチャーを取り巻く環境の荒廃ぶり

2013-04-30 07:06

少し前のことだが、WISH2011というイベントに参加し、そこにでてきた「日本のベンチャー企業のCEO」の気持ち悪さに驚いた。

今、自分でその記事を読み返し、そこからリンクされていた記事をちゃんと読んだ。こんな下りがある。

日本スタートアップ環境は極めて特殊である

そもそもスタートアップと言って良いのかさえ分からない。

それはこう言い表せる。


"変質的なまでの人物志向、つーかプロダクトなんてクソ食らえ!!"


日本スタートアップ環境は、企業の評価を人物のみで行う。その人が有名であるか否かでだ。

有名人プロダクトをリリースすれば、クソみたいなプロダクトでも盛んにRTされ、絶賛される。誰も使わないが。

via: 最近の起業家は気持ち悪い、そしてそもそも起業家ではない。

enchantMOONというタブレットに関する違和感もこの意見に通じるところがあると気がついた。

さて、UEI社長の清水さんは、ご自身のブログで「僕は口が上手すぎるから」と書かれてた事があるんですが、本当にその通りで口が上手すぎる為にメディアも乗っかり、清水さんのブログ読者も話題に食いついているという現状もあるように思えます。

via: 僕がenchantMOONを買うのを止めた理由。 | 着ぐるみ追い剥ぎペンギン

「口がうまい」というか、、、底の浅い景気のよい言葉に飛びつく遺伝子が日本国民のどこかに潜んでいるのでは無いかと思うことがある。「驕敵撃滅の神機到来」みたいにね。

清水氏は自分は口がうまい、と思っているようだ。そしてそう思うからには彼の周囲はそのように反応しているのだろう。

プレゼンが上手すぎてEnchantMOONは夢の端末に聞こえました。

via: 僕がenchantMOONを買うのを止めた理由。 | 着ぐるみ追い剥ぎペンギン

あのプレゼンが上手ねえ。。清水氏の文章を読んで、その内容に感銘を受けたことは一度もない。底の浅い煽り文章と私の中では解釈されるのだが、それでもそれに乗る人は後を絶たないようだ。

そしてそれが「日本のベンチャー」として扱われメディアで注目されることの気持ち悪さ。

メディアが本当に魅力的な製品、サービスを開発しているベンチャーを取り上げるのではなく「知り合いのCEOに頼まれたから」記事を書いているのではなかろうかなあ。そしてそれがPage viewをかせぐ、と。

いや、こんなことに時間を使っている場合ではない。面白いスタートアップ企業はいくつもあるのだ。というわけで明日は(覚えていれば)その話題を。


最前線

2013-04-26 06:48

大企業とか大きな組織で偉くなる人には本当に立派な人もいる。しかし大多数はこういうたぐいだと思う。

発売直後に不具合が発覚する背景について、大谷氏は「発売前にドコモさんと評価を重ねて大丈夫と判断して発売すると、ユーザーは数多くのアプリをダウンロードする。さまざまなアプリが存在して、メモリを大量に消費するもの、ネットワークをがちゃがちゃと触るものなどがあり、そのあたりの検証が弱かった。

via: 富士通の夏モデル発表会、「日本のノウハウをスマホに」 - ケータイ Watch

多分このコメントを聞いて怒りを覚える人は多いだろう。しかしこういうことを真顔で発言できなければ大企業の幹部とはいえない。いや、大変な職業だ。

こういう人たちは決して「動かないじゃないか」と怒るお客様(ここで言うのは一般ユーザ)の相手をすることはない。もちろんドコモ様とか企業様は別だよ。

しかしそうした一般ユーザに相対する「最前線」ではそうした現実から遊離した言い訳が通らない場合もあるようだ。

「僕らは笑顔でゴミを7万円で売っていたという重罪があると本気で思ってます。 」

via: 僕らは笑顔でゴミを7万円で売っていた。: →: iPhone愛用中ドコモ店員のブログ

富士通の幹部は「いや、いろいろアプリを入れられるから問題がでるんですよ」とか寝ぼけた事を言っていられるが、最前線でお客様に接している人は端的に「7万円のゴミ」と言い切る。

どちらが現実に立脚しているかは明らかだが「社会的地位」は富士通の幹部様の方が上だ。そしてたくましい最前線の兵士は戦うすべを身につける。

「お客様にも上司にも怒られない程度にさりげなくダメ端末を買わさず、よい端末を売る」

という技術が少しずつ向上していきました。

via: 僕らは笑顔でゴミを7万円で売っていた。: →: iPhone愛用中ドコモ店員のブログ

この言葉は感動的であるとともに、私のように不満ばかり言っている人間が見習うべき言葉でもある。

最前線にいる人がみなこの人のように現実を見据えているとは思わない。上から命令された指示をそのまま繰り返して良心の呵責を覚えない人もいるだろう。そういう人は強い。現実を見てしまう人は弱い。

しかしこのような行き方もあるのだ、ということは覚えておこうと思う。


これじゃないPad

2013-04-24 06:55

チャレンジは尊いと言う人は多い。概ねそれには賛成するが、ではチャレンジならなんでも応援すべきかというとそれには反対だ。

こんなデモビデオをみた。enchantMoonというのだそうな。

この「コレジャナイ」感は言葉にしがたいほどだ。懐かしのNewtonがなぜ失敗したのか。そこから学んだPalmがなぜ成功したのか(過去のものとはいえ)これを設計した人間は何も学んでいないように見える。

デモビデオでありながら、その反応は鈍く、すべての操作に「探る」ようなワンテンポの遅れがある。簡単な数字ですら認識誤りをして書き直すその煩雑さ。学部4年制がつくりそうな「無駄なアニメーション」効果の数々。プログラムブロックを動かしている時の反応の遅さは、動画を見ているこちらもイライラするほどのものだ。

プログラミング環境があるとかいいながら、ぱっと見Scratchにしか見えないし。。。というかあれだね。発売を発表した時点でのデモビデオでありながら、何一つ「をを、これはすごい」という要素を見せられないのはなあ。えっ、私がApple原理主義で目が曇っているからですか。そうかもしれません。

実際に触ると感想が変わるかもしれない。しかしデモビデオをみた限りでは

「とにかく"今までと違ったことをしたんだ!"と言いたいが何も過去の事例について学んでいないがために、過去の失敗事例の集大成となっている学部4年生の作品」

のようにしか見えない。いや、そう考えるべきなんだろう。

学部4年生にしてはよくやった!これからもがんばってくれよ!と。

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同じくチャレンジをポジティブに讃えよう。苦しい経営状態の中で、よくスマホとTVの連携にチャレンジした!すごいぞシャープ!

商品コンセプトは、「スマートフォンのコンテンツをテレビ画面と良い音で楽しめる」こと。同社は、テレビ単体でVOD(ビデオ・オン・デマンド)などを楽しめるテレビも販売しているが、スマホライフAQUOSではスマートフォンを"頭脳"にした。

via: BluetoothにMiracast:スマホを頭脳にしたスマートテレビ、シャープ「スマホライフAQUOS」登場 (1/2) - ITmedia LifeStyle

スマホの中のコンテンツをTVで上映できるからすごい、ですか。。Apple TVあれば簡単にできるだけどまあいいや。時を同じくして発表されたこれと比べると「コレジャナイ!」感を感じてしまうのだけど。

iPad Fiber TV App

Google launched its Google Fiber TV for iPad app today allowing Google Fiber customers to transform their iPads into QWERTY keyboard, TV guide yielding TV remotes.

via: Google Fiber TV remote app for iPad released | 9to5Mac

だんだん気が滅入ってきたので、今日はこのへん。


Docomoの夜明け

2013-04-23 07:16

よく言うではないか。夜明けの前が一番暗い、と。経験から知っているのだがこれは大嘘だ。夜明けが近づくにつれ空は明るくなる(いや、そっちじゃなくて)

というわけでDocomoにもきっと夜明けが近づいていると思うのだ。なぜなら今はとても憂鬱な時期に見えるから(外から見ると)

ドコモメールにつきましては、提供時期の度重なる延期によりお客様に大変ご迷惑をお掛けしております。
ドコモでは、提供開始時期を変更し、便利かつ快適にご利用いただけるためのサービス品質を目指して開発内容や開発スケジュールの精査を行ってまいりました。その結果、一部開発内容における抜本的な見直しの必要があることが判明したため、サービス品質の改善・強化を行い、10月下旬よりサービスを開始する予定です。

via: 報道発表資料 : ドコモメールの提供開始時期について | お知らせ | NTTドコモ

「遅れる」のではなく「いつ提供できるかわからない」というのは(経験者にはわかると思うが)実によくない状況である。自分たちが何を作ろうとしており、かつそれをどうすれば実現できるか理解できていれば、努力が形になる。しかし何を作っているかわからない状態ではいくら金を人をつぎ込んでも何もできない。

炎上対策の要は、複雑性を減らすことにある。全体を見渡し、分からないことをなくす。当たり前のことばかりかもしれないが、この「当たり前」ができない場合が多いのだ。

via: [録音禁止]「今日から僕は神になります」と言われても......:山本一郎氏が語る、プロジェクト炎上のメカニズムと鎮火法 - @IT

彼らが何を根拠に10月下旬からサービスを開始する、といったか是非聞いてみたいものだ。もうシステムはひと通り動いており、検証に6ヶ月かかる、というのなら理解できるが多分そうではなかろう。10月末をwktk(そして同じサラリーマンの立場としては深い悲しみをもって)眺めようではないか。

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iPhoneはDocomo独自のサービスを載せられないからだめだ、と言い続けてはや何年。独自サービスがこの有様では

スマホで簡単に決済できる強みを生かし、通販事業に本格進出する考えで、加藤社長は「段階を踏んで米アマゾンのようになっていく」と述べた。

via: ドコモ社長「米アマゾンになる」 来年度からモバイル通販で野菜、健康機器など販売 - SankeiBiz(サンケイビズ)

などと言ったところで、誰も耳を貸してくれないだろう。持ち株の担当者も聞いてくれないかもしれないよ。

そもそもDocomoのスマートフォン=Androidであるが、それにしたところで「キャリアの独自サービス」という言葉は冗談として捉えられる兆候が見られる。

どんなに端末ベンダーやキャリアが工夫をこらして端末をお膳立てしておいても、Playストアからダウンロードした1つのアプリの設定だけで、それをそっくり乗っ取ってしまえる。正直なところ、これからの展開が気になって仕方がない。

via: 【山田祥平のRe:config.sys】シェルまでとられて、どうするキャリア

Androidの世界では、ユーザが触れる部分全てをアプリが乗っ取ってしまえる。LINEシェルが登場すれば、若者のほとんどはDocomoのAndroid端末を

「LINE Phone」

として使うことになるだろう。Docomoがおそらくは多数の死人を出しながら開発した「ドコモメール」など誰も使わない。さらに階層深くの奥底に「らでぃっしゅぼーや」のメニューがあったところで誰が触るのだろうか。

ということくらいは、頭のいいDocomoの社員はとっくに理解しているのだろう。問題は組織としてそれを理解し、行動に移せるか、ということだ。「誰もが馬鹿げていると思っている」プランが実行されることは、大企業では珍しくない。

しかしまあなんといっても天下のDocomoだ。仮に全てに失敗したところでユーザは簡単には減らない。

一方、30代後半〜60代までで、現在ドコモを使っている方は、

恐らく死ぬまでドコモを使います。

via: docomo・au・ソフトバンク 3社の未来を本気で予想。: →: iPhone愛用中ドコモ店員のブログ

何が起こってもそうした人たちにとっては「携帯電話=Docomo」であり、

そうカンタンにドコモを出て行かないとわかっているから、安くする必要がないんです。

via: docomo・au・ソフトバンク 3社の未来を本気で予想。: →: iPhone愛用中ドコモ店員のブログ

安くする必要がないどころか、多分値上げしても出て行かないと思うよ。別に30代じゃなくても、姪と甥は家族でDocomoを使っており、いつも文句ばかり言っているが結局動く気配もない。少なくとも加藤社長が在任の間はDocomoは安泰だと思う。

こう考えるとあれだね。Docomo=プロ野球=大相撲という図式が成り立つのではなかろうか。今やプロ野球のTV中継を見ているのは50代以上ばかりと聞く。大相撲も多分そうだろう。それでもそれらが消滅する気配はない。(今のところ)

Docomoの携帯をもち、月に数度プロ野球の中継をTVでみてスポーツ新聞を読む。そして大相撲の開催を心待ちにする。それらは手に手をとって衰退の道を辿るがおそらく私が生きている間は消滅はしないだろう。


失敗すること

2013-04-22 07:07

偶然2つの文章を読む。

「私達の立場からすると、プロに名手妙手をたくさん指してもらい、全敗したいのです。負ければそれが貴重なデータになるからです」そうか、コンピュータ将棋ソフトは、負けて強くなる。人間は負ければ弱くなる。それじゃ立場が逆転するのは時間の問題だ。

via: 第2回将棋電王戦 第4局 電王戦記 - 河口俊彦(ニコニコニュース) - BLOGOS(ブロゴス)

ルールがないので、三星は失敗もしますが、斬新なチャレンジもする。

ルールを守ることに汲々とするより、まず、やってみる。

そして、失敗して直した方が、失敗を恐れて停滞するより良いのではないか。

15年位前の話ですが、自分も、実際に、三星と共同でフラッシュメモリを開発して、彼らから多くを学びました。

これは、明文化したルールだけでなく、心理的な面もあります。

日本では、ちょっとしたルール違反を口うるさく言う人が多すぎる。

むしろ、いまの日本に必要なのは、失敗を叱らないこと。

チャレンジしないことこそ、恥ずべきことじゃないですか。

規則にがんじがらめの組織、規則の中身を考えもせず、規則ををひたすらまじめに守ろうとするカルチャー、こういったものを変えないと、日本の復活はないと思う。

via: (ブログ更新)まじめに規則を守って仕事をすればするほど、ダメになっていく日本 - 竹内研究室の日記

負けて、失敗して強くなる。これは日本語をしゃべっていると「言うは易し行うは難し」だと思うことが多い。そう。失敗を恐れちゃいけないよ!そうはいっても、こことこれとあれは抑えてもらわないと、それにこれも考えなくちゃね、とかいっているうち

「なにもしないのが一番」

という結論に達する。

日本語をしゃべり、日本の文化の中で育った私には

「今までと同じことを文句を言わず繰り返すのが尊いこと」

という概念がどっか根底にあるのではないかと思うことが多い。それが悪いなどと一般化するつもりはない。震災の後はそれで日本は平和だった。前にも書いたが、アメリカで地震があると軍隊が出動する。それは略奪、暴動を鎮圧するためだ。救助のためではない。

しかし

どんな性質もそうだが「時々無視し、時々使う」ことを覚えないと大人とはいえん。これも我が国にある「型」の弊害と言えるかもしれない。


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先日Bostonマラソンに爆弾をしかけた男たちの逮捕劇をずっと見ていた。そして「勝利宣言」とその後のBoston市民たちの歓喜の様子に少し驚いた。

これが我が国で同じ事件が起こったらどうなっていただろう。街角で喝采を叫ぼうものなら「不謹慎だ。人が死んでるんだぞ!」と誰かが言いソーシャルメディアで叩かれまくる。そして警察関係者は「すばらしいチームの働きだった」などとは口が裂けても言えないだろう。メディアも「Bostonは今日ようやく安眠できます」などとは言えず「情報開示、危機管理」という言葉を振り回し誰かを批難し続ける言葉に満ち溢れることだろう。

この差異はどうしたことだろうか、とずっと考えている。思うに彼の国では

「生きていく上で争い、問題は避けられない。それに立ち向かうことが尊い」

という概念が根底に有り我が国では

「正しく生きていれば争い、問題は起こらない。問題が起こったとすれば誰かが批難されるべきだ」

という概念が根底にあるのではなかろうか。

とかなんとか書いているが、ここから発展しないので今日は唐突に終わるのであった。


10feet UIの運命

2013-04-19 06:52

10 feet UIなどというものは存在しない、と主張しているのは私です(誰も聞いていません)

先日NTTぷららがこんなものを発表した。

ユーザーインタフェースは、コンテンツの情報までカバーした「フリックパネル」と呼ばれる大きなアイコンをベースとしたもので、ユーザーが自由にレイアウトできるカスタマイズ性に加え、リモコンの方向キーによる簡単操作やグラフィックエンジンを活用したなめらかな動きも特長だ。

via: Android 4.0搭載:「クラウドゲーム」って何だ? 写真で解説する、ひかりTV「スマートテレビ対応新チューナー」 (1/3) - ITmedia LifeStyle

みているとどうしようもない「古さ」を感じさせる。そもそも10feetはなれたところで「フリック」ってなんなんだ?とか誰が遊ぶんだといったゲームシリーズとか。

これだけスマートフォン、タブレットが普及しているのに、525円はらってTV上でゲームやりたい人間がいるんだろうか?

とはいえ、スマートフォン、タブレットの普及を無視しているわけではない。

スタンプは、スマホやタブレットの画面をタッチするだけで投稿可能。ひかりカエサルなどキャラクターに加え、吹き出しなどさまざまなスタンプを用意する。またタブレットのソフトウェアキーボードを用いてテキストの投稿も可能になっている。

via: Android 4.0搭載:「クラウドゲーム」って何だ? 写真で解説する、ひかりTV「スマートテレビ対応新チューナー」 (3/3) - ITmedia LifeStyle

ニコニコもどきの機能を使うには、スマホが便利らしい。ならばもういっそのこと全部タブレットにすればいいじゃないか。Docomoにはdtabという便利で安いものがあるんだから。というかニコニコと提携すればいいじゃないか、とはならないんだろうな。

これは全くの想像だが、企画+開発をのんびりとやっている間に世の中がどんどん変化し、新旧いりまじったわけのわからないインタフェースになったということではなかろうか。

お客さま自身で自由にレイアウトできる先進的なユーザインターフェースを実現しました。

via: 株式会社NTTぷらら|報道発表資料

レイアウトカスタマイズできるのが「先進的なユーザインタフェース」と断言されると「お、おう」としか反応できないのだが。

Twitterで「クラウドゲーム」という言葉で検索をかけてみる。結果

悲しいほど何の反応もないことに気がつく。Twitterにありがちな脊髄反射的罵倒すらないのだ。数字+女性名のretweet botが枯れ木の賑わいを見せている。

そろそろ皆が気がついてもいいはずだ。10feet UIなどというものは存在しない、と。変なゲーム作る金があるなら,,,,,,,とはならんのだろうな。

いまはアプリをのせたプラットフォームが重要です!とかいえば、それで当座の金が降ってくる。iOS,Androidという強大なエコシステムに対抗できるのか?とかなんとかはそっちのけて。まず存在することが前提で、その上で補強の理屈をあれこれつけていく。結果はご覧のとおりだ。

とはいえこれも立派な仕事である。関係者の皆様の健闘をお祈りしております。


矛盾

2013-04-18 06:43

一昔まえの映画では

・良い役が悪役の秘密をあばく写真、書類、テープなどを手に入れる。
・悪役がそれを取り返そうとする。
・どんぱち

というのがあったように思う。しかし今やインターネットでどこでも情報が転送できる。だから悪役が多大な犠牲を払い、フロッピー(今の若いものは知らんだろう)を取り返したところで、中身はどっか別のところに。私が知る限り、一番速い適用例はミッションインポッシブル(トム・クルーズのやつね)だったか。アップロードに時間がかかり、トンネルにはいると途切れる、というのをうまく使っていた。

ところが最近は回線も早くなったしトンネルの中でもつながったりする。さらに、悪事を暴くきになればインターネットにアップロードし、2chにリンクでも投稿すればよい。それでこの世の中から消すことは事実上不可能になる。

これをうまく使えば「今の会話を聞いたな。生かしちゃおけねえ」というのを無くせるのではないかと思うのだ。スマホでボタンをおした瞬間から、ずっと録音し、ネット上にアップロード。これで殺しても無意味どころか罪を重ねることになる。というかiPhone で撮影すれば、その写真は即座にiCloudにアップロード。というわけで、iPhoneを奪い、破壊したところで証拠は既に保全されてしまった、、というわけだ。

なぜ突然こんなことを言い出したかといえば、このニュースをみたから。

あれ、元記事のリンクがどこかに行ってしまった。まあいいや。内容はこう。つまり今回の爆破事件では、ものすごい数のカメラがものすごい数の写真、ビデオを撮影していた。それを解析することにより、犯人に辿り着けるのではないかという話だ。たとえば今JFKが暗殺されたとしたら、それを撮影したビデオの数は数えきれないほどになるのではないか。

マンションやアパートでの事件を防ぐ、あるいは解決しようとすれば監視カメラが一番効果があることが共通の認識になってきていると思う。(不幸な事件がいくつかそれで解決されたことは記憶に残っている)今回の事件では、間違いなく犯人(もしくは関係者)がスタート後から爆発までの時間の間に現場を訪れている。その姿が幾千枚とられた写真の中に一枚も写っていないとは考えづらい。

もちろん偽物やらいたずらやらも山ほどくるだろう。しかしこうしたCloud surveilance cameraはとても強力な武器になるのではなかろうか。

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というのが盾のほう。しかし話はそこでは止まらない。

尖閣諸島をめぐる日中の衝突で、ビデオが公開された。それをみんなが信用したのは、CGやトリックを用いて撮影したように見えなかったからだ。しかしこの垣根はいつまで持ってくれるのだろう。

こう考えてみよう。ウォーターゲート事件の録音内容を誰かが匿名でインターネットに(もちろん当時インターネットはなかったが)投稿したとする。果たしてその内容を信じることはできるだろうか?

あの極めて不鮮明な録音は簡単に偽造できるような気がする。おそらく「偽造派」と「本物派」の果てしない論争の中でどこかに埋もれてしまうのではなかろうか。

というわけで矛の方も強力になりつつある。今のところ盾のほうが少し強力な気がするが。


アメリカを攻撃するということ

2013-04-17 06:42

昨日Bostonマラソンで爆発があった。それに対するオバマのコメントを見よう。

最後に彼はこう言っている。

I jus want o reiterate we will find out who did this and we will hold them accountable.

途中にも「必ずこの事件を解明し、犯人、もしくは犯行グループはwill feel full weight of justice」と言っている。

アメリカ軍は無辜の市民を殺害しながら自分たちが攻撃されると、とかいろいろな事をいう人はいるだろう。私が言いたいのはそこではない。

先日ゼロ・ダーク・サーティという映画をみた。その内容が真実かどうかは別として、アメリカが911の首謀者であったビン・ラディンを異様な熱意をもって追跡し、殺害したことは事実である。彼らは自国を攻撃した相手を決して許しも忘れもしなかった。

同じ決意は今回のオバマのコメントからも伺える。それが一見何気なく、かつ平静をもって述べられているところがより恐ろしい。この演説は下手な映画などより深い恐怖を感じさせる。日本だったら

「被害者家族の嘆きと、一人事件を追い続ける老刑事のエピソード」

で忘れてしまいそうだが、彼の国は決してそうはしない。

そう思うと、この国を宣告なしに攻撃したかつての某国は実に愚かだったと言うしかない。彼らが呪文のように唱えていた「一大戦勝後の引き分け」などは考える余地もない。

今やインターネットでこうした映像を自分で見ることができるのは幸いなことだと思う。あるいはこのコメントを見て恐怖を感じるのは私だけかな?

あともう一つ昨日の報道で印象に残ったこと。

BOSTON (CBS) - Witnessing the Boston Marathon attacks, seeing images or aftermath, or even hearing about the deaths could cause some children to be worried and confused. Parents need to be prepared to talk to them about it.

via: Boston Marathon Explosions: Talking To Your Children « CBS Boston

こうした恐ろしい事件を目にした子供にどのように接すればよいかのガイドラインが掲載されている。これは見習ってもいいことだと思う。こんな寝言と憶測の固まりを掲載している暇があるなら尚更そうするべきだ。

今後の捜査で実行犯とアルカイダ系過激派との関係が明らかになれば、大統領は「テロ対策の見通しが甘かった」と指摘され、苦しい立場に立たされることになる。

via: <ボストン爆発>米国民に再びテロの脅威 対策問われる (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

TVになろうとしたけれど

2013-04-16 06:38

なんどか書いたことだが、任天堂はWiiで「家庭に置けるTV」になろうとしたと思っている。そのものずばり「みんなの間」もそうだし、各種「チャンネル」もそれを指向していたと思う。

WiiConnect24を利用した情報配信チャンネル、ゲームソフトと連動したクリエイティブなチャンネル、SDメモリーカードを活用するチャンネルなど、まるでテレビのリモコンでテレビ局のチャンネルを選ぶように、WiiリモコンでWiiのさまざまなチャンネルを選ぶことができます。
そして、チャンネルは今後もさまざまな形で増えていきます。

via: Wii | Wiiチャンネル

しかし成功しなかった。

このたび、「Wii」でご利用いただいている一部のネットワークサービスを、2013年6月28日をもって終了することにいたしましたので、お知らせいたします。

via: 任天堂ホームページ:お客様へのお知らせ

毎日電源をいれてもらえる端末、というのがWiiの目指したところだった。しかし誰もニュースをみるためにWiiの電源をいれてはくれなかった。

失敗の理由を解析することは私の力量を超えるからやらない。しかし最後まで理解できなかったのはコンテンツにたどりつくまでの距離だ。Wiiでニュースをみようとすれば、2回クリックが必要だった。電源をいれたらすぐニュースがながれ、気に入らなければ横にスワイプというようにどうしてやらなかったのか。

というかWii Uになれば、手元のPadで番組を選び、大画面のTVにコンテンツを映すという方法で便利に使えたと思うのにな。Wii Uにはテレビの番組表が映し出されるのだが、わざわざ「Wii Uでテレビはみられません」と書いてある。

GamePadのTVリモコン機能か、『Nintendo TVii』の機能を拡張する「追加コンテンツ(有料)」(※)をご利用いただくと、GamePadでチャンネルを切り替えることができます。

via: Wii U|Nintendo TVii|Nintendo

こんな面倒なこと誰もやらないもんねえ。コンテンツまで任天堂でもっていればこんなことしなくてもすんだのに。

何事も始まりがあれば終わりがある。任天堂はここからどこに向かうのだろう。


春の祭典

2013-04-15 06:42

New York沖で「やまと」が核攻撃のブラフをするときにかけていた音楽だな。(誰も知りません)

先日バレー+オーケストラの公開リハーサルを観た。アポロというのはよくわからなかった。長岡京オーケストラが各自てんでんばらばらの方向をみながらちゃんと音楽を合わせていたのが面白かった。とはいえ、数カ所出だしがずれたような気もしたが。

2曲目が春の祭典。事前のレクチャーで

「生贄に指名された少女は死ぬまで踊り続けなくてはならない」

という話しを聞いていたが、でてきたのは全員男性。これはどうしたことだ。

とか考えていたのは最初だけ。このような振付ができることに驚嘆した。何一つとってもありきたりの「これはこういう場面で」ではない。何をしているかわからないし、言葉で説明できないのだが観客の目を引き付ける。

そもそも人間にはこういう動きが可能なのか、という動きを織り交ぜながら。

帰ってから調べてみれば、これは歴史的にも有名な振付なのだな。

「東京・春・音楽祭」では、戦後のバレエ界を代表する重要人物のひとりと思われるベジャールの振付が踊られるのですけれど、その特徴、魅力は何でしょう?

via: 東京・春・音楽祭ー東京のオペラの森ー|春祭ジャーナル

舞台に小道具は一切ない。白い全身タイツを着用した男女だけがでてくる。(女性はおそらく上半身に下着すらつけていない)冬は動物も植物も眠っている時期だ。春がくるとそれらは目覚める。それは殺し合い、繁殖が始まるシーズンということでもある。春がピンクのやわらかな色で表されるイメージのはずがないのだ。

それをみていてこう考える。

もちろんどこで独創性を発揮するかはいろいろだ。ありふれた材料を使いながら思いもしない作品を作り上げる人もいる。しかしこのように「何一つありふれた動きを使っていない」作品にも驚嘆する。

ここでいきなり話が飛ぶ。

日頃iOSであれこれ作っている。iOSにはできあいの部品があり、それを使えばいろいろなことができる。しかし世の中にはそうしたものをほとんど使わずにものすごいインタフェースを作る人がいる。

新しい部品を作ることがどんなに難しいか。さらにはそれを組み合わせて一つの「作品」にする道のりの遠さは気が遠くなるほどだ。

しかしそれは時々私の前に表れる。この「春の祭典」がそれを示している。


線をどこまでも伸ばしていこう

2013-04-12 06:44

というわけで、世の中には「スマートフォンの画面はもっと大きくなくちゃ!」という声が満ち溢れてる。少なくとも供給者サイドからはそうだ。

でもってこんな意見もあるのだそうな。

メーカー「デカイのが流行りだし、5.5インチのGALAXY NOTE2も売れてるし、おれらも5インチだ!」

お客様「なんでこんなデカすぎて使いづらいのばっかのか、マジでわけわかんない。」

via: 【画面の大きさの話】結局、何インチがいいの?: 未分類: iPhone愛用中ドコモ店員のブログ

ここらへん作り手と使い手の意識のギャップがあって面白い。自由なアンドロイドはどんどん大画面の方向に向かっている。Galaxy Noteを使っている人はたまにみかけるが、ついにはこんなのも発売されたのだそうな。

サムスンがスマートフォン Galaxy シリーズの新製品 Galaxy Mega 6.3 / 5.8 を発表しました。低価格高カロリーメニューのような名称のとおり、6.3インチまたは5.8インチの大画面が特徴です。

via: サムスン Galaxy Mega 発表、6.3インチの大画面Androidスマートフォン - Engadget Japanese

供給者側がひたすら大画面を目指す理由はいくつもあると思う。「実際売れているから」という意見もあるだろうが

上記2機種は、ドコモショップでは
「こんな小さいの、使えるわけない!」
と言われることも多いです。

しかし、ほぼ同じサイズのiPhoneがベストセラーというのは不思議ですよね。

via: 【画面の大きさの話】結局、何インチがいいの?: 未分類: iPhone愛用中ドコモ店員のブログ

3.5インチでもiPhoneは売れている。(はいはい。信者がおおいんですよね)

私の推測では「大画面化は社内での稟議が通りやすい」からではないかと思う。だってわかりやすいもの。会社組織では。大きな画面はスペックが高い。表示面積も増え、、、あーだこーだ、散々メリットを並べることができる。

でもってそれを否定する「社内稟議的」な理由を見つけるのは難しい。かくしてどんどん画面が巨大化していくのであった。

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同じ事はTVの解像度についても言えるのではないかと思う。時代は4kですよ!

潜在ニーズの1つは、もちろん高精細な大画面=4Kテレビだ。まだ4Kのネイティブコンテンツは手に入らないが、それだけでは4Kテレビを否定する理由にならないという。

via: 「絶対、テレビをコモディティにはしない」、ソニーの意志表示 - ITmedia LifeStyle

55型を超える大きさでは4kが「圧倒的」なんだそうな。まあTVに50万払える人はそう思うんでしょうね。

高解像度かすればニーズはある、というのは正しいかどうかしらないが、社内稟議的に通りやすいというのは理解できる。

かくして消費者ニーズをおいてけぼりにして、メーカーは自分たちが快適な方向にひたすら走り続けていくのであった。

というか

「絶対にテレビをコモディティにはしない。やることはたくさんある」

via: 「絶対、テレビをコモディティにはしない」、ソニーの意志表示 - ITmedia LifeStyle

私が知る限りこの「やることはたくさんある」というのはRed flag wordである。進化が止まった(と薄々感じている)道にしがみつくとき、人はこの言葉を発する。

コモディティにしないのは結構。つまり「ソニーの良さがわかり、50万払うのも厭わない」人に向けホソボソと作っていく方向に舵をきるのだろうし、それは正しい判断だと思う。

上記ITMediaの記事を開くと、右側にソニー製品の広告がずらっと表示される。それをながめ、かつてのソニーファンは複雑な気持ちになる。


アプリに願いを

2013-04-11 06:58

いきなり引用。

保健所への訴えもネットでオッケーなんですか?」とくるから調子が狂う。そっちかよ。「直接いかなくてもいいんだ。スマホでもいけますか?」と彼。「アプリとかあるんじゃない?」と彼女。

via: 2012-06-12 - Everything You've Ever Dreamed

これは冗談だが、これに近いことを実感することはよくある。子供が五目並べに関心をもった。ではアプリを探そう。ホテルの予約がしたい。ではアプリを探そう。アプリはなんでもかなえてくれる。

だからこんなニュースを聞いても驚かない。

『充電器太陽電池』のレビューには次のようなコメントが投稿されている。

・金返せ!クソ会社
・騙されたー。充電出来ないし。って皆普通に考えれば判るだろ。充電出来ないなんてさ。
・買わなければ良かったです。充電できないです。使い方が悪いのかもしれないけど...。

via: 【もはや詐欺】 iPhoneが太陽充電器になるアプリ登場!→ 騙されて買ってしまうユーザーから批判レビュー殺到 : オレ的ゲーム速報@刃

お金まで払うとはなんだが、そういう人も多いのだろう。

2007年のWWDCで、Steve Jobsは声高らかに「Web2.0でアプリを開発してくれ!」と宣言した。彼は間違っていた。確かに既存サイトのスマホ対応は進んでいるがそれはwebアプリとは別の話だ。

このアプリの隆盛は多分誰にも正確に予測できなかったのだと思う。iOSでごりごり何かを作っている身としては、時々発表される「iOSの標準部品を使わないUI」を見るのが楽しみだ。まだまだ想像力を発揮する余地はある。

こうした図柄をNTTが料理するとこうなる。

なお、よりよいサービスをお客様にご提供するために、主催者が、応募作品に類似するアプリ等を独自に企画開発する可能性がございます。その場合、独自に企画開発したアプリ等については、応募者へのご連絡はいたしませんので予めご了承ください。

via: 応募規約 | MEDIAS W 2画面アプリコンテスト

お前ら、どんどんアプリのideaを出せ。気に入ったら勝手に使ってやるからありがたく思え。いや、すばらしい。

名前がNTTに変わってから随分時が立ったが、電電公社文化は健在だ。

「ライセンス料?高貴な麿が使ってやるのじゃから、タダがあたりまえじゃろう?」

と真顔で言われたことがある。ちなみに一位の賞金は20万円。いやすごい。下賎な民は、麿のために喜んで無償で働くと本気で信じてるんだ。ちなみにトヨタ文化もなかなかのものですが、こうした点においてはNTTの足元にも及ばない。彼らは(時々一方的に値段をカットするけど)払うものは払う。

考えてみれば、日本のテレビ局なんてのもこんなメンタリティかもしれん。テレビ局の人って何をしてるんだろうね。番組は全部下請けが作っているのに。◯◯テレビという名前だけを抑えておけば、下請けが安い値段で番組を作ってくれる、と信じてるんだろうな。

こういう

「空洞化した看板」

はそこかしこに存在しているかもしれん。


Apple危うし!

2013-04-10 06:36

最近下火になったが、一時「Apple危うし!」という報道がたくさんでてきた。

IIcxからの古参Apple原理主義者にとっては「危ういねえ」くらいの気楽さで聞き流せる内容。ここぞとばかり「そらみたことか。やっぱり」と鼻息あらく文章を書く人を微笑ましく感じている。たとえばこの記事についている「ブックマークコメント」はなかなか楽しい。

Phoneが衰退したんじゃなくてAndroid端末が成長したが正解 / Appleって相変わらず圧倒的なブランド力があるし、品質もそこそこ保証されてる上にデザインも良いから何を選べば分からないルーキーには打ってつけっしょ。

via: はてなブックマーク - 携帯売り場の者ですが、iPhoneが本格的にヤバいです

こうした記事の「信ぴょう性」については、以下の記事を引用するだけで十分だ。

本稿でははからずも、アップルのシェア、売上げを小さく見積もりすぎている、という論調での記事展開になったが、アップル擁護を意図しているわけではない。しかし、市場の実態とかけ離れた数字を元にした議論が多くを占めているようでは、市場動向を大きく見誤る。iPhone5減産のニュースでは、アップルの株価が下げ基調の中、さらに下げ圧力を強めるための情報操作ではないか、との疑いの声まで上がっていた。

via: iPhone、iPadが売れてない?アップル製品沈没、不思議報道のメカニズム(本田 雅一) - 個人 - Yahoo!ニュース

こういう「報道の洪水」には裏側に何かの意図があると思って間違いないだろう。もちろん私のようなApple原理主義者と同じ数だけ(もっと多いか?)アンチアップルという人も存在するから、その人達がお祭りをしている、という可能性もあるがお祭りの元はなんなのか。



「~したようだ」「~見通し」といった言葉づかいで一体誰がそういう意向を表明しているのか不明なまま、「iPhone」という単語を見出しに使い、今夏には導入かという論旨の記事を掲載するなど、1紙だけならともかく、大手新聞2紙がほぼ同じタイミングでとなると、これはなかなか偶然では起こりえないと思われます。なにがしかの力が動いての観測気球打ち上げという感じでしょうか。空中戦といっても限度があります。関係各所の皆さんは色々と大変そうで、おつかれさまです。


via: 今年のドコモに熱い夏はやってくるのか(山本 一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

多分ここらへんが「正しい」ところではなかろうかな。つまり(日本国内で)天下のDocomo様内部でiPhone扱う派とiPhone扱わない派がそれぞれの武器を使って「皇軍相撃」をやっていると。DocomoがApple扱う論は、どちらが出したのだろうか。リークすることで交渉を妨害するiPhone扱わない派か、逆にiPhone扱う派が世論の反応を見ているのか。

Apple危うし論の出処を考えているうちに、ある仮説にたどり着いた。(もちろん素直な推測は「iPhone扱わない派が"あんなもん売れませんよ"といいたいがため」であるが。)


DocomoはiPhoneを扱わざるをえないことを理解している。しかしお公家様たるDocomoがAppleなどという夷狄の賤民に頭を下げることなどありえない。

であるからして

「Appleもだいぶ苦戦して在庫を抱えているそうだ。やっぱりわらわが扱わぬと日本では成功せんかな?泣きながら頭を下げてきて哀れでのう。しかたないから我が社でも売ってやるでおじゃる」

といいわけするための材料ではなかろうかな。もちろんこれは現実とは何の関係もないのだが、「メンツを保つ」というのは概ねそうした行為である。

良くも悪くも、リーダーの出現と命令系統の一本化というのはここまで大事なことなのだなあと改めて分かる事件となってしまいました。市場がある程度ゆっくりと流れている時代であれば、半国営でも問題なかったのかもしれませんが、ここまで海外市場との技術、市場、製品のクロスが発生し始めると、ビジネスモデルの再構築も含めて真の意味での組織力が試される、ということなのかもしれません。

via: 今年のドコモに熱い夏はやってくるのか(山本 一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

思い返せば、Jobs復帰前のAppleもあらゆる情報が駄々漏れだったなあ。あれは社内でのいろいろな争いを反映したものだったんだろうか。

少し長い目でみて、Docomoがパンナム(もう若い人はこの言葉知らないでしょ)のような運命を辿るのか、あるいはKDDIのように復活するのか。野次馬としては興味深く見守っていよう。


あれはうちが最初に作ったんだ!

2013-04-09 07:05

その昔Project Xという怪しげな番組があった。味気のない現実をおよそ辻褄の合わない美談にしたてあげていたが、最後にはネタ切れし崩壊した。

そこでPioneerのカーナビがとりあげられたことがあった。あたかも

「人を幸せにする機械をPioneerの技術者は世界で初めて作り上げました」

といったような論調で。でもって当時デンソーからきていた出向者がはりきること

「あの番組は嘘だ。カーナビを世界で最初に作ったのはデンソーだ」

と社員に向かって一生懸命説いていた。トヨタ=デンソー的価値観を理解しない原住民達はそれを聞き流していたが。

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というわけで、世の中に「あれはうちが最初に作ったんだ」と鼻息あらく語る人は後を絶たない。先日こんな記事が掲載された。

Shaw氏は、Facebook HomeとWindows Phoneのコンセプトが「People First」、つまり友人や家族と言った「人」を中心に据えている点できわめて類似していると指摘。さらに、同じコンセプトであれば、複雑なAndroidよりも最初から「人」中心に設計されたWindows Phoneの方が優れているとして、Windows Phoneへのアップグレードを検討するようユーザーに勧めている。

via: 米MS副社長、Facebook Home発表で同コンセプトのWindows Phoneの優位を強調 -INTERNET Watch

そうだねえ。確かに何かそんなことを言っていたような気がするねえ。iPhoneがでたときも同じようなことが起こった。「あんなのはうちが作ったことがある」と言った人の言葉を何度か聞いたことがある。でもってこの「困ったオヤジの言葉」に対する完璧な回答がここにある。

If you have to tell people you won, you lost.

via: If Microsoft Were The Inventors Of Facebook Home, They'd Have Invented Facebook Home | ParisLemon

もし、「私は勝ったんだ!」といわなければならないとすれば、負けたんだよ。


駄目なはてなブックマークつけかた講座 第3回:DocomoからiPhoneが!

2013-04-08 06:48

というわけで恒例の「駄目なはてなブックマークつけかた講座」の第3回です。第2回からどれくらい経ちました?そうですか5年ですか。皆さん待ちきれなかったと思います。みんなありがとう!
(誰もいない部屋に声がうつろに響く)


さて今日の課題はちょっと手ごわいですよ?

ドコモ、今夏にもiPhone投入へ 劣勢挽回狙う

via: ドコモ、今夏にもiPhone投入へ 劣勢挽回狙う+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

これが日経から出たのなら「そうか。もうそんな季節か」というところですが、産経からでているのがポイント。そこをどううまく料理するか。

署名記事にしろよw 「ドコモの加藤薫社長は「(販売台数の)2~3割なら扱ってもいい」」腐れ土管屋の上から目線wwwwwwwwwwwwwwwwwww 無慈悲な契約突きつけられて涙目が目に見えてるwwww

via: はてなブックマーク - ドコモ、今夏にもiPhone投入へ 劣勢挽回狙う+(1/2ページ) - MSN産経ニュース


正しい。正しいのですが、ここは「駄目なブックマークつけかた講座」であり、正しいだけでは何の意味もありません。

では恒例に従ってまず「どうしようもないブックマークコメント」からいきましょう。



今さら感満載すぎて、おなかいっぱいだねぇ。まぁiPhoneのブランド力まだまだあるとは思うけど。正直40代以降向けだろうな。


via: はてなブックマーク - ドコモ、今夏にもiPhone投入へ 劣勢挽回狙う+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

具体的なことを何も言わないで上から目線。「正直」という無意味な形容詞もポイントが高い。中身がない人が「優位」にたとうとすればこういう手段もあります、という教科書にのせたいようなコメントです。

自分の事を言わんとするあまり「産経」という部分に全く言及していないのも微笑ましい限りです。こういうコメントは真面目にブックマークをつける人に任せておきましょう。



日経の芸を奪わなくても、産経はそのままの産経芸で十分ですよ。


via: はてなブックマーク - ドコモ、今夏にもiPhone投入へ 劣勢挽回狙う+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

このように一歩横に外してパチンというのが「駄目なブックマーク」の基本です。しかしこれではまだパンチに弱い。では今回パンチが聞いていたと思えるブックマークを2つ紹介しましょう。



日経の人、転職したのか?


via: はてなブックマーク - ドコモ、今夏にもiPhone投入へ 劣勢挽回狙う+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

同じ視点に立ちながらこの簡明さ。ぎゅっと縮めるとここまでパンチ力がアップするという例です。もう一つはやや長文ながらそのずらしかたが素晴らしいコメント。



「流石に何度も何度も同じデマ流しすぎだろ」って日経に抗議電話したんだが、ウチには関係無いの一点張り。日経にはがっかりです。


via: はてなブックマーク - ドコモ、今夏にもiPhone投入へ 劣勢挽回狙う+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

いや、すばらしい。「ウチには関係ないの一点張り」が正しくもあり、笑えます。皆さんもこの講義を受講しているからにはこのくらい「綺麗にずらした」コメントを書くように。

それでは次回の講義までごきげんよう、さようなら。

(空っぽの部屋にパチパチという音が響く)


多分終戦直後よりはましな彼我の実力差

2013-04-05 06:45

何事もポジティブですよ!終戦直後の焼け野原の日本を思えばこれくらいの差はなんてことはない!また再建しましょう!

パナソニックが新型TVを発表したのだそうな。

パナソニックは2日、使う人の声や顔を識別して、個別のサービスを提供するテレビの新商品を発表した。

 パナソニックが発表したプラズマと液晶の新型テレビは、専用のリモコンに話しかけることで、チャンネル操作や録画予約、インターネットの検索などができる。

 また、内蔵されたカメラでテレビの前にいる人を見分けて、その人の好みに合わせたテレビ番組や、天気予報、占いなどの情報を表示させる機能もある。

via: パナが新型テレビ発表 声や顔を識別し操作 | 日テレNEWS24

これに対するコメントは、2chに誰かが書き込んだこれにつきていると思う。

232 :名刺は切らしておりまして:2013/04/04(木) 06:28:21.87 ID:BV+0L8fG
必要ねえよ
こんなこと真剣に会議してると思うと笑えてくるわw

222 :名刺は切らしておりまして:2013/04/04(木) 05:56:21.93 ID:Lfww7HJs
迷走しすぎ。
これ作った奴、お前は本当にその機能が欲しいと思ったのか?

via: 痛いニュース(ノ∀`) : パナソニックの新型テレビ、顔を識別して、その人の好みに合わせた番組を表示 - ライブドアブログ

こうした狂った機能が、今のパナソニックでは認可されうる機能というわけなのだな。何千億の赤字も納得だ。

日本の大企業で長年勤めている人は、もう忘れていると思うけど「自分が欲しい」と思うものを作るのって楽しいんだよ。

いや、日本には新しいベンチャーの息吹もある。というわけでほぼ忘れかけていた楽天koboはこんな発表をした。

続いて登壇した楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、改めてkoboのサービスが順調だと強調。加えて「今後、世界のトレンドを見ながら日本独自の製品を作っていく」とした。

via: 三木谷氏が楽天ブックスとkoboの戦略を説明--パートナーからは厳しいコメントも - CNET Japan

うちにもkoboあるんだけど(ライトニングトークやったら無料でもらえた)もう電源が切れたまま。時々子供が電源いれるけどね。

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日を同じくして、FacebookがHomeの発表をした。

今日、Facebookがかねてから噂されていたスマホ、『Home』を発表しました。

これまでのスマートフォンは先ずアプリが表示され、そこを入口にユーザーがいろいろなタスクを選択するようにデザインされていましたが、Facebookは人のつながりこそがコミュニケーションの起点であるという考えに基づき、立ち上がりの画面のデザインに先ず友達を持ってくるようにこのスマホをデザインしました。

via: Facebookが独自のスマホ、『Home』をお披露目 - Market Hack

これは非常に興味深い。PCとスマートフォンの画面サイズとか操作系の違いについて深く考え、情報表示の仕方をPCと完全に変えてきた。

PCでは様々な友達の情報がごった煮のタイムラインで表示されるが、こちらはまず人が最初に来る。そしてその人が何をしているかが一画面に表示され、スワイプで人を切り替えることができる。

なぜこれがAndroid版か?iOSではここまで大胆なHomeが採用できないからだ。それはわかる。でもこれの機能縮小版でいいからiOSにだしてもらえんかな。とても便利そうだ。

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昨日の富士通の「新技術」それにパナソニックの「新製品」とこのHomeの差異はいったいなんなんだ。

元大企業社員の想像としては、なぜ富士通、それにパナソニックがこういう製品を出さざるをえなかったは容易に想像できる。何をやっているかわからない研究所はゴミみたいな技術を研究している。事業部では今ある性能を向上させることに躍起で、その他の新しいideaは組織的に抹殺してきた。

その結果何が残ったかといえば、役にたたない「すごい映像技術」と研究所に堆積したゴミ研究。そこに「大赤字だ。クラウドだ!スマホだ!」という掛け声がかかる。会社の方針に疑問を抱かず従順に従うことを唯一の価値として生きてきた人たちだ。それに合わせてさっそく新製品を作る。

そして「大企業の文化」を理解しない「愚かな」消費者たちに嘲笑され、無視される。

終戦直後、頭上を我が物顔に飛び回るB-29を「悔しいけど立派です」と称した人がいたと聞く。日本の再建は落ちるところまで落ちてから始まるのかもしれない。


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もう一つあげておこう。私が未だに理解できないものの一つに「女子アナ」というものがいる。

いま、青山学院大学出身の女子アナウンサーが増えている。民放キー局の女子アナの出身大学をみていくと、00年以降では、慶應義塾大学(24人)に次いで2番目に多い12人を青学が輩出している。

(中略)

都心と、そこから遠く離れた場所の両極端な環境を経験することで、青学出身者に共通して見られる "垢抜けてはいるが、まだ純朴さの残る独特の雰囲気"が醸成されるようだ。これが、女子アナにとって大切な親しみやすさにつながっているのではないか。

via: キー局の一大勢力..."青学出身の女子アナ"急増の理由(女性自身) - エンタメ - livedoor ニュース

でもってアメリカの放送局のこの人。

ケリー・エヴァンスはワシントン&リー大学の出身でラクロスの選手でした。ウォールストリート・ジャーナルでは経済部で主に経済指標関係のニュースを担当するとともに『アヘッド・オブ・ザ・テープ』という、いわば「今日の材料」のようなコラムを書いていました。

細かい統計数字にメチャクチャ詳しいし、個々のデータが持つ意味、そのニュアンスをよくわきまえたレポーターだったと言えます

via: CNBCの『スクウォーク』にケリー・エヴァンスが抜擢される? - Market Hack

もうここまでくると、日米で「女性が働く」ということに関する概念に大きな差異があるとしか思えない。


すごいデバイス原理主義&アルゴリズム原理主義

2013-04-04 06:56

今朝こんなニュースを見つけた。

今回開発した技術を用いることで、例えばテーブルの上の書類を指でなぞって必要な箇所を電子データとして取り込んだり、取り込んだデータをテーブルに表示して拡大や縮小などの操作が可能です。また、手書きの付箋紙をテーブルに貼り付けて画像データとして読み取り、画像化された電子付箋を指で移動させたり、グルーピングするなどの操作が可能です。

via: 指で直観的に操作可能な次世代ユーザーインターフェースを開発 : 富士通

よく読めばようするに高精度でロバストな画像認識を開発した、ということらしい。

特筆すべきは、そのデモムービーの退屈さである。「すごいデバイス(あるいはアルゴリズム)はそれを活かすアプリケーションとワンセット」というのが私の主張。裸のアルゴリズムだけでなく、一応アプリケーションを出してきたところは「がんばった」と思うが、内容については退屈としか言い様がない。

デモムービーでのぎこちない指の動き。実際に使うとイライラするんだろうな。

同じ画像処理技術でありながらこちらとの印象の違いはなんなんだ。

柔軟な動きを実現しながら、高速に動作するロボットができないだろうか。そのようなロボットの先駆けが、東京大学が開発した「ロボットが投げたボールをロボットが打つ」システムである。

via: センシング技術:1/1000秒単位で画像処理、位置検出精度高めて野球ロボット実現 - EE Times Japan

前者には「ふーん」と思い、後者は「すごい」「こんな方向性があったか!」と意外の念にうたれる。

結局どこに着眼するか。研究の出発点が違うのだと思う。
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富士通は膨大な広告費を使ってヒューマンセントリックエンジンがどうのと宣伝をしている。

富士通が打ち出している「ヒューマンセントリックテクノロジー」は、独自のセンシング技術によりユーザーの周辺環境や嗜好などを反映し、「見やすさ」や「操作しやすさ」「ライフサポート」など、個々のユーザーの利用状況に応じていつでも最適な振る舞いをするスマートフォンを実現する技術のことである。

via: 【レポート】富士通の夏モデル発表会 - ドコモ向けスマホ4機種の魅力と開発スタンス (2) 「ヒューマンセントリックテクノロジー」が開発の根底に | 携帯 | マイナビニュース

しかし個々のテクノロジーがどうのといったところで、スマートフォンとして動かないことにはなんともならない。

発表会の質疑応答ではREGZA Phone前モデルが発売直後から不具合を連発したことに対し、「今回は改善されているのか」といった厳しい質問も飛びだした。これに高田氏は、「ソフト面の不具合があったことは事実」とした上で、「夏モデルについてはお客様からの改善要望を取り込み、より高い品質基準を設けた」と説明した。

via: 【レポート】富士通の夏モデル発表会 - ドコモ向けスマホ4機種の魅力と開発スタンス (1) 「ARROWS X F-10D」はPCに匹敵するパフォーマンスを実現 | 携帯 | マイナビニュース

私も今は企業の研究ユニット(意味わかんないでしょ?気にしないでね)で給料をもらっている立場だから、こうしたばらばら技術の背後には、研究者がいるんだろうなあ。がんばってほしいなと思う。


ニッチ向け製品を作ること

2013-04-03 06:48

といっても漠然としすぎているが、たとえばこんなものを考えてほしい。

着信時や操作時、端末下部の透明フレームにカラフルなイルミが輝く――。NTTドコモのシャープ製スマートフォン「AQUOS PHONE EX SH-04E」(1月下旬発売予定)は、クリスタルとイルミネーションの輝きをデザインのアクセントにした女性向けスマートフォン。

via: withシリーズ:透明フレームに輝くイルミ、コンパクトな女性向けスマホ――「AQUOS PHONE EX SH-04E」 - ITmedia Mobile

日本人女性の「かわいー」という言葉はどこから生まれてくるものだろうか。小学校一年の娘も連発しているところからして、どこか遺伝子の奥深くに刻み込まれているのだろうな。

であるからして「かわいー」を誘発するような製品を作りたくなる、という気持ちはわかる。しかしそれは正解なのだろうか?

何度も書いたことだが、無駄な装飾を極限まで排除したiPhoneが我が国において、どのようなデコレーションをされているかを見るのは実に興味深い。ストラップをつける穴すらないのだが、それでもイアフォンの代わりにアクセサリーを差し込む。全体に装飾満点のカバーを付けるなどその創造性には感服する。

そして今日こんな動画を見つけた。

Custom Character Roombas (for SUPER iam8bit) from iam8bit Productions on Vimeo.

お掃除ロボットルンバである。それにぬいぐるみをかぶせればこんな楽しいキャラクターになるのだ。


これらはいずれも本体は無機質だが、それにユーザが勝手にあれこれをくっつけたものである。ニッチ向けの製品というのはこういう方向が正解なんではなかろうか、と思う今日このごろ。ベースになる製品がしっかりしていれば、「かわいー」は後付でなんとでもなるのだ、と断言する。(キッパリ)逆にベースがおろそかで、かわいいだけをつけた製品は、その魂胆が見透かされるんではなかろうか。


世界に目を向けよう

2013-04-02 06:49

というわけで、今日は海外からのお話を2つ。

IDCという調査会社が「2015年にはWindowsPhoneがiPhoneのシェアを上回る!」と言った記事は大きく報道された。この時は2015年に20.9%のシェアをとり、iOSの15.3%を楽に上回ると言ったのだそうな。

米調査会社IDCは9日、2011年から2015年までの世界のスマートフォンの販売台数に関する予測レポートを発表した。同社は、3月末に発表したレポートに続いて、今回も2015年にはWindows PhoneがAndroidに続いて大きなシェアを占めることになると予測している。

via: 「Windows Phone、2015年にシェア第2位に」とIDC - 一部で疑問の声も - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)

あまり報道されなかったのは、IDCがその予想を「修正」し続けていることだ。まずオリジナルのレポートのすぐ後にIDCはその値を修正した。2016年にWindows Phoneのシェアは19.2%ということになった。

次に昨年末、密かにこんな修正を行ったようだ。

IDC now says it expects Windows Phone to post 11.4 percent market share in 2016, in third place behind Android (63.8 percent) and iOS (19.1 percent).

via: IDC cuts Windows Phone forecast, now sees Microsoft in third place in 2016 - GeekWire

今度は2016年に11.4%だそうだ。この様子は私に「カーナビの予想到着時間」を思い出させる。最初はちょっとした条件変化で数十分揺れる。しかし目的地が近づくにつれ精度は向上し(当たり前だ)最後には必ず予想と実際の到着時刻は一致する。(これも当たり前だ)

というわけで、私も一つ予想をしておこう。IDCは2016年には、2016年における各プラットフォームのシェアをかなりの精度で予測できる。2017年その精度は100%にまで高まることだろう。

ああ、馬鹿馬鹿しい。しかしこういう「続報」は滅多に報道されないんだよね。

というわけで、予想は脇において現実の数字を見よう。

Symbian and BlackBerry are obviously the biggest losers. In Mexico, both platforms have seen double digit drops in their share of sales over the last year.

via: Windows Phone sees big gains at the expense of BlackBerry and Symbian

世界的にみれば、Windows Phoneは(IDCが期待したほどではないにせよ)躍進している。それはiOSやAndroidを打ち負かしたというよりは、Symbian, RIMのシェアを侵食することによっているようだ。

↑のページにある各国別のシェアは面白い。ヨーロッパでは概ねiOS20%, Android 50%だがドイツではAndroidが強い。でもってMexicoではまだRIMのシェアがiOSの3倍以上存在している。(確かにへっちゃいるのだが)

ちなみに

Microsoft-powered phones have outsold the iPhone in only seven markets globally and the majority of them are in eastern Europe:  Poland, Ukraine, Russia, and a fourth market classed as "the rest of eastern and central Europe".

The figures from analysts IDC show that eastern Europe is the Windows Phone's power base. Elsewhere, Microsoft's smartphones outsold Apple's only in India, South Africa and Argentina.

via: Windows Phone beats iPhone in Eastern Europe - Tech Europe - WSJ

ポーランド、ウクライナ、ロシア、インド、南アフリカ、それにアルゼンチンではWindows PhoneがiPhoneよりよく売れているのだそうな。ここらへんは国ごとにいろいろな事情があるのだろう。誰か調べて本にしませんか?結構楽しいと思うのだけど。

というわけで、「日本」の携帯キャリアのトップはこう言うことができる。

「端末の販売総数では他社に負けていないが、MNP(番号持ち運び制度を使った転入出)で負けている。日本と米国は(iPhoneにとって)特別な市場で、韓国は『否』、欧州も『否』という感じ」

via: 新OS、iPhone導入...ドコモ社長に聞く戦略  :日本経済新聞

いや、あんたはその「特別な市場」だけで商売してるんでしょ、と言ったら負である。社長、今度は「南アフリカでも否、ウクライナでも否」とかもっと強烈なのをお願いします。


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さて、話は突然変わる。今年の正月私の父が中国に旅行に行ってきた。そこで見聞きしたことの一つに

「TVで抗日ドラマばっかりやっている」

というのがあった。まあ中国だから、と思って聞いていたが裏にはいろいろな事情があるようだ。

「中国のハリウッド」と呼ばれる横店映画城がエラいことになっているのはご存知でしょうか?。既に「KINBRICKS NOW」でもいくつか紹介され、拙ブログでもいくつかネタを出していますが、中国共産党宣伝部によるテレビドラマへの数々の容喙(刑事物はダメ、裁判ものもダメ、歴史ドラマは全体の1割まで、など)により、横店で撮影されるドラマの大半が「共産党的に清く正しく美しい」抗日戦争をテーマにしたものとなっているのです。

via: The Useless Journal of CHINA

政治の行くすえが見えない状況では抗日ドラマを作るしか無い、ということらしい。それならば共産党的に必ず許容されるのだそうな。

報道とか製作の自由がとか言いたい人はいえばよいと思うが、新年度が始まり「体制変更」がなされ、同じような気分にある勤め人は多いに違いない。天候が読めないときは、物陰に潜んでおとなしくしている、というのが古今東西不変の真理である。

というわけで、いつまで続けられるかわからない当ブログですし、気がつくといくつか記事が消えるかもしれませんが、その時は「何かあったのだな」と察してください。


夢のカーナビ

2013-04-01 07:05

先週、ある場所に行くことにした。

PCでその場所の住所を調べる。Mac上でメモというアプリにその住所をコピー&ペーストする。

すると知らない間にiPhoneのメモにその住所が載っている。おまけになぜか下線が引いてある。ぽちっと押すと地図が立ち上がりその場所が表示される。今の場所からここに行きたいので、ガイドしてね、とボタンを押せば道案内がスタートだ。

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今から10年ほど前だが、こういう構想は確かに存在した。「そのうちこういうことができるといいよね」とかなんとか言った。親会社から「技術がどこにあるんだ」とか言われて構想は日の目を見ることはなかった。

それからカーナビはいろいろなトライをした。今でもPioneerのAir Naviというのはとても勇気がある試みだったと思う。(不幸にして成功しなかったが)簡単に車から取り外し、家とか宿泊場所で行き先を入力し、翌日車に取り付ける構想とか。その実行力には感服した。しかし普及はしなかった。

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その夢のカーナビはこんなにもさりげなく、そして「カーナビ」という衣をまとわずにやってきた。

もちろん「ナビの専門家」がみれば、iPhoneの道案内など一笑に付すに違いない。あんなのはナビじゃないよ、と。しかしとにかくそれは動き、しかも「心理的な追加コスト」は0だ。どちらにしてもiPhoneはもっているもんね。おまけにこの It just worksのさりげない連携。

これで、カーナビに追加コストを10万も払う人がいたら「ナビメーカーにお勤めですか?」と思わず聞きたくなる。

そのころ2015年というのは、遠い未来だった。いろいろな「ありきたりな未来」を描き「どこに技術があるんだ」と批判された。そしてその予想はあまり間違っていなかったように思う。達成された方法は想像もしなかったものだが。